【実施例】
【0028】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0029】
下記表1に示す構造を持つスチールコードを作製した。また、撚りピッチは、13.5mmとした。なお、表1中の「2×0.15/5×0.28」の0.15はコアのフィラメント径が0.15mmであり、本数が2本であり、0.28はシースのフィラメント径が0.28mmであり、本数が5本であることを示す。
【0030】
スチールコードについての測定方法は以下の通りである。
【0031】
・フィラメント径(mm)、コード径(mm)、断面積(mm
2):JIS G3510に準拠し、所定の厚み計によりコード及びフィラメントの直径を計測した。フィラメントの直径とコード構造からスチールコードの断面積を求めた。
【0032】
・コード曲げ硬さ(cN/本):各コードについて、コードのコード曲げ硬さを、
図3を用いて上述した方法により測定した。すなわち、室温下にて、長さ80mmのスチールコード20を、
図3に示すように、両端がフリーの状態で、中央部を25.4mm間隔の位置で吊り下げた状態に支持具22で支持するとともに、その中点20Mを逆U字状の固定された治具21の直線状の上辺部21Aに対して、下側から直角に交差するように当て、この状態から、引張試験機((株)島津製作所製 オートグラフ)を用いて支持具22を引張速度500mm/分で上方に引き上げて、スチールコード20を治具21により曲げながら、支持具22にかかる荷重を測定した。そのときの最大荷重(cN)の、n=5の平均値をもってコード曲げ硬さとした。
【0033】
・曲げ剛性(N/25.4mm):コード曲げ硬さに打ち込み本数を掛け合わせた値である。
【0034】
・スチールコード1本当りの引張強力(N):JIS G3510に準拠し、スチールコードとフィラメントの強伸度特性を、引張り試験機((株)島津製作所製 オートグラフ)を用いて測定した。
【0035】
・スチールコード1本当りのコード強度(N/mm
2):スチールコード1本当りの引張強力を、スチールコードの断面積で割った値である。
【0036】
・ベルトプライ1枚の単位幅当りのコード強力(kN/25.4mm):引張強力に打ち込み本数を掛け合わせた値である。
【0037】
得られたコードをベルト層用のコードとして用いて、タイヤサイズがLT265/75R16であるライトトラック用タイヤを、常法に従い加硫成形した。各タイヤについて、ベルト層以外の構成は、全て共通の構成とした。カーカスは、1670dtex/2のポリエチレンテレフタレート(PET)からなる有機繊維コードを用いて、打ち込み本数を22本/25mmとしたカーカスプライを2プライとした。
【0038】
ベルトプライ(6A)/(6B)におけるスチールコードの角度は、タイヤ周方向に対して+23°/−23°とした。
【0039】
ベルトプライは、スチールコードをその長径方向がベルト面に平行になるように、表1記載の打ち込み本数にて配置した上で、カレンダー装置を用いて、トッピング反とすることにより作製した。
【0040】
ベルト補強層は、1400dtex/2のナイロン66からなる有機繊維コードを用いて、打ち込み本数を28本/25mmとしたベルト補強プライを2プライとした。
【0041】
得られた各空気入りタイヤにつき、ベルトプライ重量、タイヤ重量、乗り心地性、及び耐久性を評価した。各評価項目の評価方法を、以下に示す。
【0042】
・ベルトプライ重量:ベルトプライの単位面積当たりの重量であり、比較例1のベルトプライの単位面積当たりの重量を100として指数で表示した。指数が小さほど軽い。
【0043】
・タイヤ重量:タイヤ1本当りの総重量であり、比較例1のタイヤの総重量を100として指数表示した。指数が小さいほど軽く、98以下であればタイヤ重量の低減効果があると評価した。
【0044】
・乗り心地性:内圧200kPaで標準リムに組み込んだ試験タイヤを試験車両の前輪に装着し、一般道の轍を模した
図4に示す断面形状を持つ試験路40(轍の高低差h=20mm)にて、タイヤの乗り越し性を官能評価した。轍をスムーズに乗り越せるものを「○」、振動がやや不快なものを「△」、振動が大きいものを「×」とした。
【0045】
・耐久性:表面が平滑な鋼製の直径1700mmの回転ドラムを有するドラム試験機により、周辺温度38±3℃、JIS規定の標準リムを使用してタイヤ内圧600kPa、速度64km/hで一定として、JATMA規定の最大荷重の70%で7時間、次に最大荷重の88%で16時間、最大荷重の106%で24時間走行させた後、タイヤ外観及び内面に異常がなければさらに最大荷重の115%で24時間走行させた後、タイヤ外観及び内面に異常がなければさらに最大荷重の130%で24時間走行させる。この時タイヤ外観及び内面に異常がなければさらに最大荷重の160%で故障が発生するまで走行させた。故障発生までの走行距離を、従来例を100とする指数で表1に示す。指数が大きいほど耐久性に優れる。
【0046】
【表1】
【0047】
結果は、表1に示す通りであり、実施例1〜3は、比較例1と比較し、タイヤ重量が低減し、優れた乗り心地性及び耐久性が得られた。
【0048】
比較例2は、コード強度が下限値未満の例であり、タイヤ重量の低減効果が十分ではない。
【0049】
比較例3は、ベルトプライ1枚の単位幅当りのコード強力が下限値未満の例であり、比較例1と比較し、耐久性が劣っていた。
【0050】
比較例4は、コード径及びコード曲げ硬さが上限値を超える例であり、タイヤ重量の低減効果、及び乗り心地性の向上効果が十分ではない。