特開2020-105787(P2020-105787A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2020105787-くさり竪樋 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-105787(P2020-105787A)
(43)【公開日】2020年7月9日
(54)【発明の名称】くさり竪樋
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/08 20060101AFI20200612BHJP
【FI】
   E04D13/08 321F
   E04D13/08 321J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-244952(P2018-244952)
(22)【出願日】2018年12月27日
(71)【出願人】
【識別番号】593178409
【氏名又は名称】株式会社オーティス
(74)【代理人】
【識別番号】110002686
【氏名又は名称】協明国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】北村 昌司
(57)【要約】
【課題】全体が簡易な構成であり、低コストで簡易に製造できるくさり竪樋を提供する。
【解決手段】くさり竪樋1は、複数の鎖部材10を連設してなり、鎖部材10は、引っ掛け部20と、引っ掛け部20の側方に配され、上方に突出した突出片31を有した掛かり受部30とを一体として備えており、引っ掛け部20は、当該鎖部材10の上方に配される鎖部材10の突出片31に引っ掛けできるようになっている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の鎖部材を連設してなるくさり竪樋において、
前記鎖部材は、引っ掛け部と、該引っ掛け部の側方に配され、上方に突出した突出片を有した掛かり受部とを一体として備えており、
前記引っ掛け部は、当該鎖部材の上方に配される前記鎖部材の前記突出片に引っ掛けできるようになっていることを特徴とする、くさり竪樋。
【請求項2】
請求項1において、
前記引っ掛け部は、当該鎖部材の上方に配される前記鎖部材の前記突出片が挿通し得る引っ掛け開口を有している一方、前記掛かり受部は、前記突出片の下部より前記引っ掛け部側に折曲、延出した連結部をさらに有したL字形状とされており、
前記引っ掛け部と前記突出片とが略平行となるように前記連結部を介して一体化されていることを特徴とする、くさり竪樋。
【請求項3】
請求項2において、
前記引っ掛け部は、板材の中央部を切り起こすことで形成され、前記掛かり受部は、該板材の切り起こし部分を、前記突出片と前記連結部とにL字形状に加工してなることを特徴とする、くさり竪樋。
【請求項4】
請求項3において、
前記連結部には落水開口が開設されていることを特徴とする、くさり竪樋。
【請求項5】
請求項2において、
前記鎖部材は、前記引っ掛け部と前記掛かり受部とを一体として線材で形成されていることを特徴とする、くさり竪樋。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の鎖部材を連設してなるくさり竪樋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のくさり竪樋には、鎖部材の本体として、軒樋より吊るした状態でバランスをよくするために、また見栄えをよくするために、平面視で点対称形状となるカップ状などの立体形状のものが多く提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−106519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、平面視で点対称形状となる立体形状のものは、高級感を出しやすいものの、生産コストは高コスト化する傾向がある。特に特許文献1のものなど多くのものは、鎖部材どうしを連結、接続する接続部材が鎖部材(カップ体)とは別体の線材などで形成されているため、それによっても高コスト化している。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮して提案されたもので、その目的は、全体が簡易な構成であり、低コストで簡易に製造できるくさり竪樋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載のくさり竪樋は、複数の鎖部材を連設してなるくさり竪樋において、前記鎖部材は、引っ掛け部と、該引っ掛け部の側方に配され、上方に突出した突出片を有した掛かり受部とを一体として備えており、前記引っ掛け部は、当該鎖部材の上方に配される前記鎖部材の前記突出片に引っ掛けできるようになっていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載のくさり竪樋は、前記引っ掛け部は、当該鎖部材の上方に配される前記鎖部材の前記突出片が挿通し得る開口を有し、前記掛かり受部は、前記突出片の下部より前記引っ掛け部側に折曲、延出した連結部をさらに有したL字形状とされ、前記引っ掛け部と前記突出片とが略平行となるように前記連結部を介して一体化されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載のくさり竪樋は、前記引っ掛け部は、板材の中央部を切り起こすことで形成され、前記掛かり受部は、該板材の切り起こし部分を、前記突出片と前記連結部とにL字形状に加工してなることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載のくさり竪樋は、前記連結部には落水開口が開設されていることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載のくさり竪樋は、前記鎖部材は、前記引っ掛け部と前記掛かり受部とを一体として線材で形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載のくさり竪樋は上述した構成とされているため、全体を簡易な構成にすることができ、低コストで簡易に製造することができる。
【0012】
請求項2に記載のくさり竪樋は上述した構成とされているため、線材などより形成された、鎖部材とは別体の接続部材を用いなくても鎖部材どうしを連結することができる。よって、さらなる低コスト化が図れる。また、鎖部材一体ではそれほどバランスのよい形状ではないが、複数のものが連設されることで立体感が増し、バランスもよくなり、高級感を表現することができる。
【0013】
請求項3に記載のくさり竪樋は上述した構成とされているため、板材を加工して簡単に成形することができる。
【0014】
請求項4に記載のくさり竪樋は上述した構成とされているため、板材で形成されていても、雨水の落下をスムーズにさせることができる。
【0015】
請求項5に記載のくさり竪樋は上述した構成とされているため、さらに安価に形成することができる。また、鎖部材が線材で形成されているため、雨水が滞留するおそれもほとんどない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係るくさり竪樋の鎖部材の説明図である。(a)は鎖部材の加工前の板材を示す正面図、(b)は鎖部材の正面図、(c)は同平面図である。
図2】(a)は、同鎖部材の連設態様を示す、図1(b)のA−A線矢視断面図である。(b)は、同鎖部材の連設態様を示す側面図である。
図3】同くさり竪樋の取付状態を示す概略正面図である。
図4】(a)(b)は、本発明の他の2実施形態に係るくさり竪樋の鎖部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施の形態について添付図面を参照しながら説明する。まず、添付図面に示す複数の実施形態に係るくさり竪樋1の基本構成について記述する。
【0018】
本くさり竪樋1は、複数の鎖部材10を連設してなるくさり竪樋1である。鎖部材10は、引っ掛け部20と、引っ掛け部20の側方に配され、上方に突出した突出片31を有した掛かり受部30とを一体として備えており、引っ掛け部20は、当該鎖部材10の上方に配される鎖部材10の突出片31に引っ掛けできるようになっている。
【0019】
なお、本明細書および特許請求の範囲においては、くさり竪樋1が施工された状態を基準として上下方向などの方向を規定するものとする。また、引っ掛け部20の側方とは、くさり竪樋1が施工された状態において、引っ掛け部20の前後側、左右側のいずれをも含むものとする。
【0020】
また、これらの実施形態に係るくさり竪樋1では、鎖部材10の引っ掛け部20は、当該鎖部材10の上方に配される鎖部材10の突出片31が挿通し得る引っ掛け開口21を有している一方、掛かり受部30は、突出片31の下部より引っ掛け部20側に折曲、延出した連結部32をさらに有したL字形状とされており、引っ掛け部20と突出片31とが略平行となるように連結部32を介して一体化されている。もちろん、くさり竪樋1は、このような形状のものには限られない。
【0021】
ついで、図1図3に例示した、くさり竪樋1の詳細について説明する。
【0022】
このくさり竪樋1の鎖部材10は、板材を加工して形成されるものであり、図1(a)に示したような湾曲外形をなす、ステンレスやアルミニウムなどの金属材料よりなる板材を、一部を切り起こして図1(b)に示すように形成したものである。
【0023】
図1(a)に示した板材は、円の下部を直線的に切り取り、切り取られて形成された下辺22の中央より二等辺三角形状に切り欠いた外形をなしている。さらに、中央部の切り起こしのために、内部に、下部が接続された状態にして、外形の円と同心円状の切り込みが入れられている。その切り起こし部分を前方(紙面手前方向)に折曲状に切り起こすことで、具体的には図1(a)中の破線部を谷折りし、一点鎖線部を山折りすることで、引っ掛け部20と、L字形状の掛かり受部30とが形成してある。
【0024】
引っ掛け部20は、中央部が切り起こしにより開口し、全体として起立した環状の板状部とされる一方、掛かり受部30は側面視L字の形状とされる(図1(b)および図2(a)参照)。
【0025】
掛かり受部30は突出片31と連結部32とよりなる。連結部32は引っ掛け部20の下辺22に平行とされ、その連結部32には、その中央部が下辺22側からの切り欠きにより台形状に開口している(図1(c)参照)。この開口が落水開口33とされる。なお、この切り欠き開口は突出片31の下部にまで及んでおり、本図例では、その突出片31側の開口および引っ掛け部20の下辺22側の開口を含め、落水開口33とされる。
【0026】
図2(a)(b)に示すように、上側の鎖部材10(10A)の掛かり受部30に、下側に配する鎖部材10(10B)の引っ掛け部20を引っ掛けることで、上下方向に複数の鎖部材10を連設していくことができる。
【0027】
図2(b)に示すように、最上端に配する鎖部材10を固定した状態で鎖部材10を下方に吊り下げ連設(連結)していくと、重力により下方の鎖部材10は略鉛直状に垂れ下がる。このときそれぞれの鎖部材10の引っ掛け部20の上端部が、上側に配置された鎖部材10の掛かり受部30の突出片31と連結部32との入隅部に位置するように、上側の鎖部材10の連結部32は前方に下り傾斜した状態となる。下方側の鎖部材10についても同様の前傾状態となる。
【0028】
このように最上端の鎖部材10を固定して全鎖部材10を垂れ下げるようにしたくさり竪樋1は、図2(b)のように、壁面6の前方に配すれば、掛かり受部30を前側に、引っ掛け部20を後ろ側に並べた状態にして施工することができる、つまり、図3の概略図に示すように最上端の鎖部材10を軒樋3の集水器4に流水可能なように連結すれば、くさり竪樋1を、円盤が上下方向に連なったように施工することができる。図3中の15は、最下端に設けた、地面7に設置される錘部材15である。
【0029】
以上のように、本くさり竪樋1は、鎖部材10がカップ形状のような平面視で対称形状とはなっておらず、一体一体は傾斜しているが、全体としては、図2(b)および図3に示すようにバランスよく上下に連なり、美観についても悪くはならない。また、引っ掛け部20および掛かり受部30(突出片31)は板状であるが、それらは前後に並んでいるため立体感が表出され、重厚感を出すことができる。もちろん、本くさり竪樋1は、各部の板面や落水開口33を介して下方向に、雨水を滞留することなく流すことができ、竪樋の機能を十分に果たすことができる。
【0030】
さらに、本くさり竪樋1は板材を加工した簡易な形状であるため、低コストで生産することができる。特に、本実施形態のものは鎖部材10どうしを接続部材で連結する必要がなく、それによっても低コスト化を実現することができる。また図1の鎖部材10は、1枚の板材より形成できるので、鎖部材10の製造を簡易化することができる。なお、引っ掛け部20と掛かり受部30とを個別に製造し、それらを一体化して鎖部材10を成形してもよい。引っ掛け部20と掛かり受部30とを個別に、または一体に合成樹脂で形成してもよい。
【0031】
なお、本図例のくさり竪樋は、鎖部材10が傾斜状態で連なるが、鉛直起立状態で連なるものであってもよい。また、引っ掛け部20と掛かり受部30とを前後に並べず、左右に並べるように吊り下げてもよい。
【0032】
また、図1の鎖部材10は板材を加工したものであるが、鋼材などの線材を折曲、加工して形成したものであってもよい。
【0033】
図4(a)の鎖部材10は、線材を加工して、引っ掛け部20と掛かり受部30とを一体に形成したものである。本鎖部材10は線材で形成されているため、引っ掛け開口21などを含む大きな開口を有し、雨水を下方に効率よく落下させることができるが、板体25、35を付加することで落水量をコントロールするようにしてもよい。なお、連結部32に設ける板体35には落水開口35aを設けてもよいし、板体35を網目状にしてもよい。
【0034】
このように鎖部材10を線材で形成すれば、くさり竪樋1の製造コストをさらに安価にすることができる。また、くさり竪樋1を軽量化でき、取り扱いもしやすくなる。鎖部材10が軽量であっても、鎖部材10どうしは上下方向にしっかりと連結できるため、最下端に錘部材15さえ取り付ければ、風などで大きく揺れ動いたり、連結が解除されたりするおそれはない。もちろん、個々の鎖部材10は立体的であるため、美観や重厚感を表出することもできる。
【0035】
また、図4(b)のくさり竪樋1は板材を加工して形成されたものであるが、このものはより簡易な形状とされ、全体がおおむねL字の形状とされている。掛かり受部30は小片とされ、引っ掛け部20の引っ掛け開口21も掛かり受部30の寸法におうじた小さな開口とされる。このような構成であるため、くさり竪樋1を、より簡易に、より安価に形成することができる。
【0036】
図4(a)(b)のものは鎖部材10が正面視で略矩形とされているが、図1のものと同様、湾曲形状としてもよい。また、正面視で略矩形のものには、その周囲に花弁体などを付加してもよい。
【0037】
以上の3種の鎖部材10は、引っ掛け開口21が周囲を囲まれた窓形状とされているが、そうでなくてもよく、横方向などより引っ掛けできる、一部が開放された例えばフック形状のものであってもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 くさり竪樋
3 軒樋
4 集水器
6 壁面
7 地面
10 鎖部材
15 錘部材
20 引っ掛け部
21 引っ掛け開口
22 下辺
30 掛かり受部
31 突出片
32 連結部
33、35a 落水開口


図1
図2
図3
図4