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特開2020-105841機械式駐車装置及び機械式駐車装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-105841(P2020-105841A)
(43)【公開日】2020年7月9日
(54)【発明の名称】機械式駐車装置及び機械式駐車装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/18 20060101AFI20200612BHJP
   E04H 6/06 20060101ALI20200612BHJP
【FI】
   E04H6/18 601F
   E04H6/06 V
   E04H6/18 601G
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-246703(P2018-246703)
(22)【出願日】2018年12月28日
(11)【特許番号】特許第6528348号(P6528348)
(45)【特許公報発行日】2019年6月12日
(71)【出願人】
【識別番号】592217141
【氏名又は名称】サノヤス・エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】草竹 崇行
(57)【要約】
【課題】入力手段による入力が完了するまでに安全確認を促すことができる機械式駐車装置及び機械式駐車装置の制御方法を提供する。
【解決手段】車両を搬送するための搬送部が設置され、搬送部に載置された車両に人が乗降するための乗降領域が形成された乗降部と、乗降部内が安全であるという安全情報が入力される入力手段4と、入力手段からの入力信号に基づいて搬送部の搬送を制御する制御部6と、を備え、制御部6は、入力手段4による操作が設定時間以上連続して操作されたかどうかを検出する操作検出手段13と、操作検出手段13からの判断信号に基づいて入力手段4への入力が完了したことを判断する入力完了判断手段14と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を搬送するための搬送部が設置され、該搬送部に載置された車両に人が乗降するための乗降領域が形成された乗降部と、該乗降部内が安全であるという安全情報が入力される入力手段と、該入力手段からの入力信号に基づいて前記搬送部の搬送を制御する制御部と、を備えた機械式駐車装置であって、
前記制御部は、前記入力手段による操作が設定時間以上連続して操作されたかどうかを検出する操作検出手段と、該操作検出手段からの検出信号に基づいて前記入力手段への安全情報の入力が完了したことを判断する入力完了判断手段と、を備えていることを特徴とする機械式駐車装置。
【請求項2】
前記入力手段が、前記乗降部への出入口側に配置され、前記乗降部と該乗降部の外側とを隔離すべく該乗降部への出入口を閉塞し、かつ、車の入出庫時に前記出入口を開放可能なゲート部と、該ゲート部を開放した状態において表示するように前記搬送部に対応して配置される表示手段と、を備え、前記表示手段が、前記入力手段よりも乗降部の奥側に配置され、前記制御部は、前記入力完了判断手段からの信号に基づいて前記表示手段の表示状態を変更させる表示状態変更手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項3】
前記表示手段が、前記ゲート部を開放した状態において点灯又は点滅する発光部から構成され、前記表示状態変更手段が、前記入力完了判断手段からの信号に基づいて前記発光部の点灯状態を変更させる点灯状態変更手段であることを特徴とする請求項2に記載の機械式駐車装置。
【請求項4】
検知対象物の前記乗降部内への侵入を検知する検知手段を備え、前記制御部は、前記点灯状態変更手段により前記発光部の点灯状態が変更された後に、前記検知手段からの検出信号に基づいて開放状態の前記ゲート部を閉じ操作するか否かを判断するゲート閉操作判断手段を備えていることを特徴とする請求項3に記載の機械式駐車装置。
【請求項5】
車両を搬送するための搬送部が設置され、該搬送部に載置された車両に人が乗降するための乗降領域が形成された乗降部と、該乗降部内が安全であるという安全情報が入力される入力手段と、該入力手段からの入力信号に基づいて前記搬送部の搬送を制御する制御部と、を備えた機械式駐車装置において、
前記制御部は、前記入力手段による操作が設定時間以上連続して操作されたかどうかを検出する操作検出ステップと、該操作検出ステップにより設定時間以上連続して操作されたことが検出されることにより前記入力手段への安全情報の入力が完了したことを判断する入力完了判断ステップと、を備えていることを特徴とする機械式駐車装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車装置及び機械式駐車装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる機械式駐車装置は、車両を搬送するための搬送部(パレット)が乗入階と車両を格納する格納庫との間で移動可能に設けられ、前記搬送部に載置された車両に人が乗降するための乗降部が搬送部の横側部に設けられた機械式駐車装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この機械式駐車装置では、車両の運転者が、車両を搬送部上に駐車し、乗降部から機械式駐車装置外へ退出した後に、搬送部が車両の搬送を開始する。この機械式駐車装置では、車両の運転者や同乗者等が乗降部に残った状態で搬送部が車両の搬送を開始しないように種々の安全手段が講じられている。
【0004】
前記安全手段としては、人による安全情報を入力すべく乗降部に設置されている入力手段と、人の乗降部への入退室を検知する入退室検知手段(センサ)と、前記入力手段で前記安全情報が入力された状態で、前記車両の搬送を実行する制御手段と、を備えている。そして、前記制御手段は、前記入力手段で前記安全情報の入力が完了した後に、人が前記乗降部へ立ち入ったことを前記入退室検知手段によって検知した場合、前記入力手段で入力された前記安全情報の入力を無効にして車両の搬送を実行しないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−48595号公報(図1図2参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の機械式駐車装置では、一旦入力手段による入力が無効にされると、再び乗降部へ入り込んで入力手段で安全情報を再度入力しなければならず、煩わしいものになっていた。ところで、前記入力手段を入力する前に、例えば車両内に同乗者が残っているかどうかの安全確認を行うことになっているが、入力手段への入力操作に気を取られてしまい、前記安全確認をしていない場合が実情である。そのため、前記入力手段で前記安全情報の入力が完了した後に、残っている同乗者が車両から出て乗降部に立ち入ってしまうという予期せぬ事態が発生する。
【0007】
そこで、本発明は、かかる実情に鑑み、入力手段による入力が完了するまでに安全確認を促すことができる機械式駐車装置及び機械式駐車装置の制御方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る機械式駐車装置は、車両を搬送するための搬送部が設置され、該搬送部に載置された車両に人が乗降するための乗降領域が形成された乗降部と、該乗降部内が安全であるという安全情報が入力される入力手段と、該入力手段からの入力信号に基づいて前記搬送部の搬送を制御する制御部と、を備えた機械式駐車装置であって、前記制御部は、前記入力手段による操作が設定時間以上連続して操作されたかどうかを検出する操作検出手段と、該操作検出手段からの検出信号に基づいて前記入力手段への安全情報の入力が完了したことを判断する入力完了判断手段と、を備えていることを特徴としている。
【0009】
かかる構成によれば、入力手段の前で立ち止まった状態で入力手段による操作を設定時間以上連続して操作していると、入力手段の操作だけに集中することができず、周囲を目視してしまう。これにより、車両内に同乗者が残っているかどうか等の安全確認を促すことができる。この安全確認を促すことによって、入力手段を操作している操作者に安全確認を行わせることができる。そして、制御部は、入力手段による操作が設定時間以上連続して操作されたときの検出信号に基づいて入力手段への安全情報の入力が完了したことを判断することにより、搬送部の搬送動作に迅速に移ることができる。
【0010】
また、本発明に係る機械式駐車装置は、前記入力手段が、前記乗降部への出入口側に配置され、前記乗降部と該乗降部の外側とを隔離すべく該乗降部への出入口を閉塞し、かつ、車の入出庫時に前記出入口を開放可能なゲート部と、該ゲート部を開放した状態において表示するように前記搬送部に対応して配置される表示手段と、を備え、前記表示手段が、前記入力手段よりも乗降部の奥側に配置され、前記制御部は、前記入力完了判断手段からの信号に基づいて前記表示手段の表示状態を変更させる表示状態変更手段を備えていてもよい。
【0011】
上記のように、入力完了判断手段からの信号に基づいて表示手段の表示状態を変更させる表示状態変更手段を備えることによって、表示している表示手段の表示状態が変更されるまで入力手段の操作を行えばよく、入力手段の操作を確実に行うことができる。しかも、表示手段が入力手段よりも乗降部の奥側に配置されることによって、表示手段を確認する際に、機械式駐車装置内の安全確認も同時に行うことができ、車両内に同乗者が残っているかどうかの安全確認をより一層促すことができる。
【0012】
また、本発明に係る機械式駐車装置は、前記表示手段が、前記ゲート部を開放した状態において点灯又は点滅する発光部から構成され、前記表示状態変更手段が、前記入力完了判断手段からの信号に基づいて前記発光部の点灯状態を変更させる点灯状態変更手段であってもよい。
【0013】
上記のように、入力完了判断手段からの信号に基づいて発光部の点灯状態を変更させる点灯状態変更手段を備えることによって、点灯又は点滅している発光部の点灯状態が変更されるまで入力手段の操作を行えばよく、入力手段の操作を確実に行うことができる。
【0014】
また、本発明に係る機械式駐車装置は、検知対象物の前記乗降部内への侵入を検知する検知手段を備え、前記制御部は、前記点灯状態変更手段により前記発光部の点灯状態が変更された後に、前記検知手段からの検出信号に基づいて開放状態の前記ゲート部を閉じ操作するか否かを判断するゲート閉操作判断手段を備えていてもよい。
【0015】
上記のように、点灯状態変更手段により発光部の点灯状態が変更された後に、検知手段からの検出信号に基づいて開放状態のゲート部を閉じ操作するか否かを判断することによって、安全確認をより一層確実に行うことができる。
【0016】
本発明に係る機械式駐車装置の制御方法は、車両を搬送するための搬送部が設置され、該搬送部に載置された車両に人が乗降するための乗降領域が形成された乗降部と、該乗降部内が安全であるという安全情報が入力される入力手段と、該入力手段からの入力信号に基づいて前記搬送部の搬送を制御する制御部と、を備えた機械式駐車装置において、前記制御部は、前記入力手段による操作が設定時間以上連続して操作されたかどうかを検出する操作検出ステップと、該操作検出ステップにより設定時間以上連続して操作されたことが検出されることにより前記入力手段への安全情報の入力が完了したことを判断する入力完了判断ステップと、を備えていることを特徴としている。
【0017】
かかる構成によれば、入力手段の前で立ち止まった状態で入力手段による操作を設定時間以上連続して操作していると、入力手段の操作だけに集中することができず、周囲を目視してしまう。これにより、車両内に同乗者が残っているかどうか等の安全確認を促すことができる。この安全確認を促すことによって、入力手段を操作している操作者に安全確認を行わせることができる。そして、制御部は、入力手段による操作が設定時間以上連続して操作されたときの検出信号に基づいて入力手段への安全情報の入力が完了したことを判断することにより、搬送部の搬送動作に迅速に移ることができる。
【発明の効果】
【0018】
以上より、本発明によれば、入力手段による操作を設定時間以上連続して操作させることによって、入力手段による入力が完了するまでに安全確認を促すことができる機械式駐車装置及び機械式駐車装置の制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の機械式駐車装置の制御ブロック図である。
図2】本発明の機械式駐車装置の斜視図である。
図3】無人確認の入力処理の全体動作を示すフローチャートである。
図4図3の中の無人確認操作のサブフローチャートである。
図5図4の続きのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態に係る機械式駐車装置について、図面を参照しつつ説明する。
【0021】
図2に示すように、機械式駐車装置1は、図示していない車両を搬送するための搬送部2が設置され、搬送部2に載置された車両に人が乗降するための乗降領域が形成される乗降部3と、該乗降部3内が安全であるという安全情報が入力される入力手段4と、検知対象物の乗降部3内への侵入を検知する検知手段5と、搬送部2の搬送を制御する制御部6(図1参照)と、を備える。また、機械式駐車装置1は、機械式駐車装置1を動作させるための情報を入力するための操作盤7と、乗降部3と乗降部3の外側とを隔離するためのゲート部8と、搬送部2に載置された車両を格納するための地下ピット9と、を更に備える。以下において、車両が搬送部2に出入りする方向を前後方向として、ゲート部8側を前方、乗降部3におけるゲート部8とは反対側(奥側)を後方とし、また、乗降部3に載置された車両の左右に対応する方向を左右方向とする。
【0022】
乗降部3は、前後方向に長い長方形で板状に構成されている。また、乗降部3は、地上に位置し、かつ、搬送部2の左右方向一方側(図2では左側)に位置した状態で固定され、搬送部2に載置された車両に乗り降りする際に使用される。また、右端にも乗降部3を備えており、3つの搬送部2,2,2のうちのどの搬送部2に車両を入出庫する場合でも、左ハンドル用の車両及び右ハンドル用の車両のいずれにも対応して乗り降りすることができるように各搬送部2の左右両側に乗降部3を備えている。なお、右端の乗降部3が他の乗降部3よりも左右の幅が狭くなっているが、同一幅で構成してもよい。
【0023】
搬送部2は、長方形で板状のパレットである。搬送部2は、長辺が前後方向に沿い、短辺が左右方向に沿うように設置されている。搬送部2は、左右方向に3つ並ぶように接地され、かつ、上下方向に複数(2段)並ぶように設置されるとともに、上下方向に移動(昇降)するように構成されている。なお、図2では、6台の車両を格納できる。上下方向における上方に位置する搬送部2を第1搬送部2a、下方に位置する搬送部2を第2搬送部2bとする。第1搬送部2aは、車両を搬送していない通常位置では、地上に位置するように設置されている。第2搬送部2bは、前記通常位置において、地下(地下ピット9)に位置するように設置されている。
【0024】
入力手段4は、乗降部3内が安全であるという安全情報が入力される部分である。例えば、入力手段4は、車両の運転者、機械式駐車装置1の管理者等の安全確認者が乗降部3内に人が存在していないことを目視等によって確認後、乗降部3内が安全であることを証するために安全情報を入力する部分である。
【0025】
また、入力手段4は、ボタン式のスイッチである。即ち、安全確認者は、乗降部3内の安全を確認後、ボタンを押圧することによって安全情報の入力を行い、ボタンの押圧によって、制御部6に安全情報が入力される。入力手段4は、ゲート部8に設けられている。基本的には、入力手段4は、後述するゲート本体8Aの両側に設置された支柱部8B,8Bに設けられているが、操作盤7が取り付けられている支柱部8Bには設けられていない。
【0026】
入力手段4は、複数設けられている。図2に示すように、入力手段4は、左側から右側に向かって第1入力手段4a、第2入力手段4b、第3入力手段4cの3つが設けられており、左側と左右中央に位置する車両の入出庫に対しては、2つの入力手段(4aと4b又は4bと4c)が使用されるが、操作盤7が取り付けられている位置(右端)の搬送部2に載置されている車両の入出庫時には、左側の1つの入力手段4(図2では4c)のみを使用することになる。詳述すれば、第1入力手段4aが、左端に位置するゲート本体8Aの両側に設置された左右の支柱部8B,8Bのうちの一方(左側)の支柱部8Bに1つ設けられ、他方(右側)の支柱部8Bに第2入力手段4bが設けられている。また、第3入力手段4cが、右端のゲート本体8Aの両側に設置された左右の支柱部8B,8Bのうちの一方(左側)の支柱部8Bに設けられている。なお、左端に位置する車両の入出庫に対しては、第1入力手段4aと第2入力手段4bとを用い、左右中央に位置する車両の入出庫に対しては、第2入力手段4b及び第3入力手段4cとを用いる。また、右端に位置する車両の入出庫に対しては、第3入力手段4cのみを用いる。
【0027】
検知手段5は、検知対象物の乗降部3内への侵入を検知する部分である。検知手段5は、例えば、人、ペット、自転車等の移動する検知対象物が乗降部3の外から乗降部3に接近した場合には接近を、乗降部3内に侵入した場合には侵入を検知する。また、検知手段5は、検知対象物が乗降部3内に留まっている場合には、乗降部3内の検知対象物を直接検知する。更に、検知対象物は、車両が搬送部2に対して前方に食み出している場合には、車両の食み出しを検知する。
【0028】
検知手段5は、具体的には、乗降部3に接近する検知対象物を検知する第1検知手段5aと、乗降部3内に侵入する検知対象物を検知する第2検知手段5bと、乗降部3内の検知対象物を検知する第3検知手段5cと、車両のはみ出しを検知する第4検知手段5dと、搬送部2の後方の検知対象物を検知する第5検知手段5eと、を備えているが、本発明は、これらの構成に限定されない。本実施形態の検知手段5は、光学センサであるが、超音波センサや磁気センサの他、カメラ等の撮像装置等であってもよい。前記検知対象物は、人、動物、車、物体等、検出手段で検知可能なもの全てを含む。
【0029】
第1検知手段5a及び第2検知手段5bは、ゲート部8の外側(即ち、乗降部3の外側)に設置されている。具体的には、第1検知手段5a及び第2検知手段5bは、左端の支柱部8B及び右端の支柱部8Bそれぞれの前側部分に設置されている。第1検知手段5aは、例えば、大人だけでなく、子供、ペット等の背の低い検知対象物も検知できるように各支柱部8Bの下方側に設置されている。また、第2検知手段5bは、例えば、ゲート本体8Aを乗り越えて乗降部3内に侵入する検知対象物を検知できるように、閉まった状態のゲート本体8Aの上端近傍(図2ではゲート本体8Aの上端よりも少し上方)に設置されている。
【0030】
第3検知手段5c、第4検知手段5d、及び第5検知手段5eは、乗降部3内に設置されている。具体的には、第3検知手段5cは、乗降部3内を前後方向で検知することで、乗降部3内に検知対象物が留まっていないかを検知する。また、第4検知手段5dは、乗降部3の前方、支柱部8Bの後側部分の左端及び右端に設置され、車両前方の食み出しを左右方向に亘って検出する。第5検知手段5eは、乗降部3の後方に設置されている。第5検知手段5eは、左右方向に4つ並んだ乗降部3の左右方向における左端及び右端に設置され、搬送部2の後方に留まっている検知対象物を左右方向に亘って検知する。
【0031】
操作盤7は、後述する右端の支柱部8Bの前側部分に取り付けられ、制御部6に連係されるとともに、その制御部6に各種情報を入力するためのタッチパネルを備えている。本実施形態の操作盤7は、制御部6に第1入力手段4a及び第2入力手段4bからの安全入力が入力されると、乗降部3内の無人が確認されたとして無人確認入力を促すように構成されている。検知手段5が検知対象物を検知しない場合に、ゲート本体8Aを閉じ、搬送部2の搬送が実行される。
【0032】
ゲート部8は、乗降部3への出入口側に配置され、乗降部3と乗降部3の外側とを隔離すべく該乗降部への出入口を閉塞し、かつ、車の入出庫時に前記出入口を開放可能なゲート本体8Aと、ゲート本体8Aの左右両側に設置され、ゲート本体8Aを上下方向に移動可能に支持する支柱部8Bとを備える。ゲート部8は、搬送部2と同数の3つ設けられている。
【0033】
機械式駐車装置1には、ゲート部8を開放した状態において点灯(又は点滅(明滅を含む)でもよい)するように搬送部2に対応して配置される3つの発光部10,11,12(表示手段)を更に備えている。具体的には、第1入力手段4a、第2入力手段4b、第3入力手段4cに対応する位置、つまり3つの入力手段4a,4b,4cそれぞれの直後方の後端部(入力手段4a,4b,4cよりも奥側)に設置されている。そのため、入力手段4a,4b,4cを押すときに駐車している車両等に発光部10,11,12が遮られることがなく、確実に視認できる。また、各発光部10又は11又は12は、縦長の本体部10A又は11A又は12Aと、本体部10A又は11A又は12Aの上端に取り付けられたLED(発光ダイオード)等からなる光照射部10B又は11B又は12Bと、を備えている。例えば、左端の搬送部2のゲート部8を開放すると、それに対応する左端の発光部10と左端から2番目に位置する発光部11とが点灯する。また、左右中央の搬送部2のゲート部8を開放すると、それに対応する左端から2番目の発光部11と左端から3番目に位置する発光部12とが点灯する。また、右端の搬送部2のゲート部8を開放すると、それに対応する左端から3番目に位置する発光部12のみが点灯する。図2に示すように、各発光部10又は11又は12が各入力手段4a又は4b又は4cの直後方に配置されているので、各発光部10又は11又は12を操作する際に、各発光部10又は11又は12が見え易いという利点がある。
【0034】
制御部6は、機械式駐車装置1の動作を制御する部分である。制御部6は、具体的には、搬送部2の搬送、ゲート本体8Aの開閉、入力手段4及び検知手段5からの信号の受信等を行う部分である。また、制御部6は、図1に示すように、操作検出手段13と、入力完了判断手段14と、表示状態変更手段(点灯状態変更手段)15と、ゲート閉操作判断手段16と、を備えている。
【0035】
操作検出手段13は、入力手段4による操作が設定時間以上連続して操作されたかどうかを検出する手段である。また、入力完了判断手段14は、操作検出手段13からの検出信号に基づいて入力手段4への安全情報の入力が完了したことを判断する手段である。このように、入力手段4の前で立ち止まった状態で入力手段4による操作を設定時間以上連続して操作していると、入力手段4の操作だけに集中することができず、周囲を目視してしまう。これにより、車両内に同乗者が残っているかどうか等の安全確認を促すことができる。この安全確認を促すことによって、入力手段4を操作している操作者に安全確認を行わせることができる。そして、制御部6は、入力手段による操作が設定時間以上連続して操作されたときの検出信号に基づいて入力手段4への安全情報の入力が完了したことを判断することにより、搬送部2の搬送動作に迅速に移ることができる。
【0036】
点灯状態変更手段15は、入力完了判断手段14からの信号に基づいて発光部10又は11又は12の点灯状態を変更させる手段である。このように、入力完了判断手段14からの信号に基づいて発光部10又は11又は12の点灯状態を変更させる点灯状態変更手段15を備えることによって、点灯又は点滅している発光部10又は11又は1の点灯状態が変更されるまで入力手段4の操作を行えばよく、入力手段4の操作を確実に行うことができる。しかも、発光部10又は11又は12が入力手段4よりも乗降部3の奥側に配置されることによって、発光部10又は11又は12を確認する際に、機械式駐車装置1内の安全確認も同時に行うことができ、車両内に同乗者が残っているかどうかの安全確認をより一層促すことができる。
【0037】
ゲート閉操作判断手段16は、検知手段5からの検出信号に基づいて開放状態のゲート部8を閉じ操作するか否かを判断する手段である。前述したように、点灯状態変更手段15により発光部10又は11又は12の点灯状態が変更された後に、検知手段5からの検出信号に基づいて開放状態のゲート部8を閉じ操作するか否かを判断することによって、安全確認をより一層確実に行うことができる。
【0038】
左側2つの搬送部2,2では、安全入力が複数回(2回)入力されることで、乗降部3内の安全確認が完了したことを意味し、搬送部2の搬送が実施されるようになっている。また、右端の搬送部2では、安全入力が1回入力されることで、乗降部3内の安全確認が完了したことを意味し、搬送部2の搬送が実施されるようになっている。
【0039】
次に、無人確認の入力処理の全体動作を図3のフローチャートに基づいて説明する。図3では、左端の搬送部2を対象とする動作説明を行うが、左右方向中央の搬送部2も同様である。
【0040】
まず、運転者又は管理者が、操作盤7を操作することにより所望の搬送部2の呼出を行う(ステップS1)。呼出に基づいて制御部6が搬送部2を呼出動作させる(ステップS2)。搬送部2が呼び出されると、制御部6は、3つのゲート部8のうちの所望のゲート部8を開動作させる(ステップS3)。ゲート部8が開くと同時に、例えば左端の搬送部2である場合には、それに対応する2個の発光部(ランプ)10,11を点灯させる(ステップS4)。点灯後に、運転者が車両の入庫又は出庫を行う(ステップS5)。入出庫が完了すると、本発明の無人確認操作のサブフローチャートに移り(ステップS6)、無人確認操作が完了すると、開いているゲート部8を閉動作させる(ステップS7)。
【0041】
無人確認操作のサブフローチャートを図4及び図5に基づいて説明する。
【0042】
車両の入庫又は出庫を終えた運転者が、装置内の無人確認を行う(ステップS10)。無人確認後、運転者が一方(左側)の無人確認用の第1入力手段4aを押して安全情報を制御部6に入力しているか否かを確認する(ステップS11)。入力が開始されると入力が継続されているか否かを確認する(ステップS12)。第1入力手段4aが継続して押されている場合には、押されている状態で設定時間を経過するか否かを確認する(ステップS13)。設定時間が経過したことが確認されると、第1入力手段4aに対応するランプ(発光部10)を消灯する(ステップS14)。前記のように、運転者が第1入力手段4aを継続して押しているときには、車両内に同乗者が残っているかどうか等の安全確認を運転者に促すことができる。
【0043】
次に、他方(右側)の無人確認用の第2入力手段4bを押して安全情報を制御部6に入力しているか否かを確認する(ステップS15)。入力が開始されると入力が継続されているか否かを確認する(ステップS16)。第2入力手段4bが継続して押されている場合には、押されている状態で設定時間を経過するか否かを確認する(ステップS17)。設定時間が経過したことが確認されると、第2入力手段4bに対応するランプ(発光部11)を消灯する(ステップS18)。前記のように、運転者が第2入力手段4bを継続して押しているときには、車両内に同乗者が残っているかどうか等の安全確認を運転者に促すことができる。そして、2つのランプ(発光部10,11)が消灯することにより、制御部は、2つの入力手段4a,4bへの入力が終了したと判断する(ステップS19)。ステップS15で設定時間経過しても、第2入力手段4bが押されていないと判断すると(ステップS20)、第1入力手段4aに対応するランプ(発光部10)を再度点灯させて(ステップS21)、ステップS11に戻って第1入力手段4aから再度押し直すことになる。
【0044】
次に、図5に示すように、ステップS19の入力終了後は、検知手段5が検知しているか否かを確認する(ステップS22)。検知していなければ、制御部6が、ゲート部8を閉動作しても安全だと判断する。この判断後に運転者又は管理者がゲート部8を閉動作するよう、操作盤7を最終操作する。検知手段5が検知対象物を検知しない場合に、無人確認操作の制御を終了し、図3のステップS7に移行して、ゲート部8を閉動作する。ゲート部8を閉動作したのち、搬送部2の搬送が開始される。その操作盤7に対する最終操作が設定時間なされていないと判断した場合は(ステップS23)、消灯した2個のランプ(発光部10,11)を点灯させて(ステップS24)、ステップS10に戻って無人確認操作を最初からやり直すことになる。なお、右端の搬送部2の無人確認操作は、無人確認用の第3入力手段4cを設定時間以上連続して操作したときに、1個のランプ(発光部12)を消灯させることになる。設定時間は、どのような時間に設定しても良いが、例えば1秒以上が好ましく、2秒〜3秒の間でもよい。また、昼間の設定時間よりも確認し難い夜間の設定時間を長く設定してもよい。
【0045】
本発明は、前記機械式駐車装置1の他に、機械式駐車装置1の制御方法を備える。車両を搬送するための搬送部2が設置され、該搬送部2に載置された車両に人が乗降するための乗降領域が形成された乗降部3と、該乗降部3内が安全であるという安全情報が入力される入力手段4と、該入力手段4からの入力信号に基づいて前記搬送部2の搬送を制御する制御部6と、を備えた機械式駐車装置において、前記制御部6は、前記入力手段4による操作が設定時間以上連続して操作されたかどうかを検出する操作検出ステップと、該操作検出ステップにより設定時間以上連続して操作されたが検出されることにより前記入力手段4への安全情報の入力が完了したことを判断する入力完了判断ステップと、を備えていることを特徴とする機械式駐車装置の制御方法である。
【0046】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0047】
前記実施形態では、入力手段4がボタン式のものから構成したが、光を遮光することにより検出状態となる非接触センサ等であってもよいし、またリモコン等で遠隔から入力するものであってもよい。更に、入力手段4の取付位置や個数については前記実施形態に限定されない。
【0048】
また、前記実施形態では、例えば第1入力手段4aで安全情報が入力されることにより、点灯状態変更手段15が、点灯(又は点滅)している発光部10又は11又は12を消灯させるようにしたが、点灯から点滅に変更してもよいし、点灯している色を他の色に変更してもよい。また、表示手段として、発光部を示したが、モニタであってもよい。モニタの場合には、例えば入力手段4による安全情報の入力がされると、モニタの画面に入力中との文字表示をし、入力が完了した場合に、表示状態を変更する表示状態変更手段15によって、完了した旨の文字表示に切り替えることができる。また、点灯状態変更手段15が入力手段4による入力が完了した時点で点灯状態を変更したが、入力手段4による入力開始から入力完了までの間に段階毎に又は徐々に点灯状態が変更されるように構成してもよい。また、発光部が搬送部及び乗降部を照らすことができる照明器具で構成すれば、特に夜間での安全確認を容易に行える利点がある。
【0049】
また、前記実施形態では、操作盤7が取り付けられた支柱部8Bには入力手段4を設けていないが、入力手段4を操作盤7が取り付けられた支柱部8Bにも設けてもよい。この場合、入力手段4を操作盤7とは別に設ける他、操作盤7に入力手段4を設けてもよい。また、1つの搬送部2に1つの入力手段4を備えて実施することもできる。
【0050】
また、前記実施形態では、表示手段である発光部を、発光部の直後方で、かつ、後端部に配置したが、入力手段4よりも後側(奥側)であれば、どの位置に配置してもよい。
【符号の説明】
【0051】
1…機械式駐車装置、2…搬送部、2a…第1搬送部、2b…第2搬送部、3…乗降部、4…入力手段、4a…第1入力手段、4b…第2入力手段、4c…第3入力手段、5…検知手段、5a…第1検知手段、5b…第2検知手段、5c…第3検知手段、5d…第4検知手段、5e…第5検知手段、6…制御部、7…操作盤、8…ゲート部、8A…ゲート本体、8B…支柱部、9…地下ピット、10,11,12…発光部(ランプ、表示手段)、10A,11A,12A…本体部、10B,11B,12B…光照射部、13…操作検出手段、14…入力完了判断手段、15…点灯状態変更手段(表示状態変更手段)、16…ゲート閉操作判断手段、17,18,19…ボタン
図1
図2
図3
図4
図5