【解決手段】縮小側2の第1の像IM1を拡大側3に投射する光学系10は、最も拡大側3に位置し、ズーミングおよびフォーカシングの際に固定されている、負の屈折力のレンズ群G11と、最も第1の像IM1の側に配置され、ズーミングおよびフォーカシングの際に固定されている、正の屈折力のレンズ群G17と、最も拡大側3のレンズ群G11と最も第1の像IM1の側のレンズ群G17との間に配置された複数のレンズ群であって、ズーミングおよびフォーカシングの際に移動するレンズ群を含む中間の複数のレンズ群GMとを有する。中間の複数のレンズ群GMは、少なくともフォーカシングのために移動する正の屈折力の第1のレンズ群G14であって、絞りStの拡大側3に、絞りStの拡大側3に隣接して配置された正の屈折力の第2のレンズ群G15を介して配置されている。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面を参照して、さらに本発明について説明する。
図1に、本発明の一実施例の光学系(光学システム)を含む装置を示している。装置の一例はプロジェクタ100であり、光学系10と、縮小側2に配置された光変調器(ライトバルブ)5とを有する。プロジェクタ用の光学系10は、光変調器5の像面5aの像(画像)IM1を拡大側3から投影光19として出力してスクリーンまたは壁面(不図示)へ投射(投影)して拡大像として再結像させる。ライトバルブ5は、LCD、デジタルミラーデバイス(DMD)あるいは有機ELなどの画像を形成できるものであればよく、単板式であっても、各色の画像をそれぞれ形成する方式であってもよい。ライトバルブ5は発光タイプであってもよく、照明タイプであってもよい。照明タイプの場合は、プロジェクタ100はさらに照明光学系(不図示)を含んでもよい。スクリーンは、壁面やホワイトボードなどであってもよく、プロジェクタ100はフロントプロジェクタであっても、スクリーンを含むリアプロジェクタであってもよい。
【0019】
図1(a)に広角端の配置を示し、
図1(b)に望遠端の配置を示すように、光学系10は、ズーム機能を備えた投射光学系である。光学系10は、7群、22枚のレンズで構成されている。具体的には、光学系10は、最も拡大側3に位置し、ズーミングおよびフォーカシングの際に固定されている、負の屈折力の最も拡大側のレンズ群G11と、最も縮小側2の第1の像IM1の側に配置されたレンズ群であって、ズーミングおよびフォーカシングの際に固定されている、正の屈折力の最も像側のレンズ群(最も縮小側のレンズ群)G17とを含む。光学系10は、これら最も拡大側3および縮小側2に固定されたレンズ群G11とG17との間に複数のレンズ群G12〜G16からなる中間のレンズ群GMを含む。中間のレンズ群(中間レンズ群)GMは、ズーミングおよびフォーカシングの際に移動するレンズ群を含む。中間レンズ群(GM)は、複数のレンズ群を含み、少なくともフォーカシングのために移動する正の屈折力の第1のレンズ群G14であって、絞りStの拡大側3に、正の屈折力の第2のレンズ群G15を介して配置された第1のレンズ群G14と、絞りStの縮小側2に配置された負の屈折力の第3のレンズ群G16とを含む。絞りStの拡大側には第1のレンズ群G14と第2のレンズ群G15とが隣接して、すなわち、第1のレンズ群G14は第2のレンズ群G15のみを挟んで絞りStの拡大側に配置されている。
【0020】
本例の中間のレンズ群GMは、拡大側3から順番に配置された、ズーミングの際に移動する正の屈折力のレンズ群(中間レンズ群GMの中の第5のレンズ群)G12と、ズーミングの際に移動する負の屈折力のレンズ群(中間レンズ群GMの中の第4のレンズ群)G13と、フォーカシングのために移動する正の屈折力のレンズ群(中間レンズ群GMの中の第1のレンズ群)G14と、正の屈折力のレンズ群(中間レンズ群GMの中の第2のレンズ群)G15と、絞りStを挟んで縮小側に配置された負の屈折力のレンズ群(中間レンズ群GMの中の第3のレンズ群)G16とを含む。
【0021】
すなわち、中間レンズ群GMは、第1のレンズ群G14の拡大側3に、拡大側3から順番に配置された、ズーミングの際に移動する正の屈折力の第5のレンズ群G12と、ズーミングの際に移動する負の屈折力の第4のレンズ群G13とをさらに含み、第2のレンズ群G15および第3のレンズ群G16が固定されたレンズ群である。第1のレンズ群G14の拡大側には負の屈折力の第4のレンズ群G13が配置され、ズーミングの際に第1のレンズ群G14の拡大側の第4のレンズ群G13との距離(空気間隔)が変化する。
【0022】
この光学系10は、フォーカシングのために移動する正の屈折力のレンズ群G14は、絞りStの拡大側3に、正の屈折力のレンズ群G15を介して配置されており、絞りStの縮小側2に負の屈折力のレンズ群G16が配置された構成を備えている。この光学系10は、全体として、負−正−負−正−正−負−正の7群構成であり、絞りを含めると、負−正−負−正−正−絞り−負−正の構成となっている。
【0023】
中間レンズ群GMの内の縮小側2に絞りStを挟んで配置されたレンズ群G15およびG16は、ズーミングおよびフォーカシングの際に移動しない固定されたレンズ群となっている。したがって、本例の光学系10は、拡大側3から順に配置された、固定された負の屈折力のレンズ群G11からなる、拡大側の固定されたレンズ群GF1と、広角端から望遠端に変倍(ズーミング)する際に縮小側2へ移動する正の屈折力のレンズ群G12と、ズーミングの際に縮小側2へ移動する負の屈折力のレンズ群G13と、フォーカシングの際に移動する正の屈折力のレンズ群G14と、ズーミングおよびフォーカシングの際に全体として移動しない、正の屈折力の縮小側2の固定されたレンズ群GF2との5群のレンズ群を含む。したがって、光学系10は、全体として、負−正−負−正−正の5群のレンズ構成であるということもできる。最も縮小側2の固定されたレンズ群GF2は、絞りStを挟んで拡大側3に配置された正の屈折力のレンズ群G15と、縮小側2に配置された負の屈折力のレンズ群G16と、正の屈折力のレンズ群G17とを含む。絞りStの縮小側2に配置されたレンズ群(G16+G17)の屈折力は全体として正の屈折力である。
【0024】
いずれの構成を参照しても光学系10は、負の屈折力のレンズ群が拡大側に配置されたネガティブリードのレトロフォーカス型のパワー配置を備えたレンズ群であり、拡大側3を広角にしやすく、縮小側2をテレセントリックまたはテレセントリックライクとしてバックフォーカスを長く確保しやすいレンズ構成となっている。さらに、縮小側2に絞りStを配置し、絞りStを挟んで拡大側3に、正の屈折力のレンズ群G14および正の屈折力のレンズ群G15を配置し、縮小側2に負の屈折力のレンズ群G16と、正の屈折力のレンズ群G17とを配置している。このレンズ配置は、絞りStの縮小側2に、負の屈折力のレンズ群G16と正の屈折力のレンズ群G17とを配置して光束を比較的短い距離で絞り、一方、拡大側3において正の屈折力のレンズ群G14およびG15で光束を比較的長い距離で徐々に広げることができる。したがって、絞りStの前後ではレンズ径を小さくすることができ、小型のレンズを複数配置することにより収差を良好に補正できる。
【0025】
一方、絞りStの拡大側3に、正の屈折力のレンズ群G15を介して配置されたレンズ群G14においては、光軸7に対する軸上光線高(LHx)7xと、軸外主光線高(LHy)7yとをほぼ等しくすることができる。レンズ群G14においては、軸上光線高7xと軸外主光線高7yがほぼ等しい位置で入射するため、軸外主光線高7yが低く抑えられ、フォーカシング用のレンズ群G14を構成するレンズが小型になり移動に有利となる。さらに、軸上および軸外のどちらの光線に対しても同程度の補正能力を有することとなるため、光線全体(光束全体)を効率よく補正可能となる。これに対し、軸外主光線高7yが低すぎると軸外光線に対する補正能力のバランスが崩れ、かつ、レンズ群G14を縮小側に近づける必要があり、その場合、正の屈折力を強くする必要があり、結果として、軸上光線に対しては収差の補正が過剰となり、バランスの崩れが増大する。一方、軸外主光線高7yが高すぎると絞りStから離れたレンズを動かす必要があり、レンズ径が増大することになる。
【0026】
本例においては、フォーカシング用のレンズ群G14を、拡大側3に凸の正のメニスカスレンズL12の一枚構成で実現しており、このレンズL12の拡大側3の面S22および縮小側2の面S23の両方を非球面として、フォーカシングの際の収差補正能力を確保するとともに、フォーカシングのための機構の簡略化を図っている。軸上光線高7xと軸外主光線高7yは、フォーカシング用のレンズL12の面S22およびS23のいずれかの近傍でほぼ等しく、例えば±30%以内、さらに望ましくは±20%以内になっていてもよく、レンズ内部でほぼ等しくなっていてもよい。
【0027】
すなわち、レンズL12の入射側(縮小側)2の面S23における軸上光線高(LHx)7xと軸外主光線高(LHy)7yとの比は、以下の条件(0)を満たしてもよい。
0.7<|LHx/LHy|<1.3 ・・・(0)
【0028】
軸外主光線高7yは比較的高いところに位置しており、この位置に正パワーを付加すれば、軸外主光線に対し、歪曲収差及び倍率色収差補正効果がある。拡大側3に近づく程、その補正効果は大きくなるがレンズL12も大きくなる。条件(0)の下限は0.8であってもよく、0.85であってもよい。条件(0)の上限は、1.2であってもよく、1.15であってもよい。
【0029】
また、ズーミング時に、フォーカシング用のレンズ群(第1のレンズ群)G14の拡大側の空気間隔が変動することが好ましい。拡大側からレンズ群G14へ出射する光線は、軸上光線は軸上光線高を規定する上下光線(マージナル光線)が略平行に近い状態でレンズ群G14から出射され、拡大側へ向かうにつれて軸外光線は光軸から離間するように光軸に対して角度をもってレンズ群(第4のレンズ群)G13へ入射する。そのため、レンズ群G14の拡大側の空気間隔が変化することで、レンズ群G13へ入射する光線は、ズーミングの前後で軸上光線と比べ軸外光線に対する影響が強く出ることとなる。上記構成により、レンズ群G14でフォーカシングを行うことで、広角光学系のズーミングで収差が変動しやすい軸外収差に対してより効果的に補正を行うことが可能となる。
【0030】
図2に、投射光学系10の各レンズL1〜L22のデータを示す。レンズデータは、各エレメント(レンズの場合は各レンズ面)の番号(S)と、曲率半径R(mm)、各エレメントの面の間の距離D(間隔、mm)、屈折率nd(d線)、アッベ数νd(d線)とを示している。
図3は、各エレメントの面の中の、非球面の面番号と、非球面データを示している。非球面は、Xを光軸方向の座標、Yを光軸と垂直方向の座標、光の進行方向を正、Rを近軸曲率半径とすると、
図2に示した係数Rと
図3に示した係数K、A4〜A14を用いて次式で表わされる。なお、「en」は、「10のn乗」を意味する。以下の各実施例においても同様である。
X=(1/R)Y
2/[1+{1−(1+K)(1/R)
2Y
2}
1/2]
+A4Y
4+A6Y
6+A8Y
8+A10Y
10+A12Y
12+A14Y
14
【0031】
図1および
図2に示した光学系10は、中間レンズ群GMを構成するレンズ群の内の縮小側2に配置された第1のレンズ群であるレンズ群G14がフォーカシングだけに動き、第2のレンズ群であるレンズ群G15および第3のレンズ群であるレンズ群G16は固定され(フォーカシングおよびズーミングの際に動かず)、拡大側3から順番に配置された、第5のレンズ群であるレンズ群G12および第4のレンズ群であるレンズ群G13がズーミングの際に移動する。
【0032】
最も拡大側3のレンズ群のレンズ群G11は、拡大側3から順番に配置された7枚のレンズL1〜L7により構成されている。最も拡大側3のレンズL1は拡大側3に凸の負のメニスカスレンズであり、レンズL2は光軸7の近傍は両凹の負レンズであるが、全体として拡大側3に凸の負のメニスカスレンズであり、レンズL3は拡大側3に凸の負のメニスカスレンズであり、レンズL4は拡大側3に凸の負のメニスカスレンズであり、レンズL5は両凹の負レンズであり、レンズL6は両凸の正レンズであり、レンズL7は両凹の負レンズである。先行する4枚のレンズL1〜L4を縮小側2に凹の負の屈折力のレンズにより構成することにより、多数枚の負レンズをコンパクトに配置でき、最も拡大側3に大口径の負のレンズ群をコンパクトに配置できるようにしている。
【0033】
レンズ群G11は、これらの負のメニスカスレンズL1〜L4および両凹の負レンズL5とから構成された、負の屈折力の第1のサブレンズ群G11−1と、両凸の正レンズL6および両凹の負レンズL7により構成された第2のサブレンズ群G11−2との組み合わせとして規定してもよく、最も拡大側に配置されるレンズ群G11を6枚という多数枚の負のパワーのレンズと1枚の正のパワーのレンズとで構成することにより、いっそう広角で、収差が良好に補正できる光学系10を提供できる。
【0034】
第1のサブレンズ群G11−1の両凹の負レンズL5の縮小側2の面S10の曲率半径Rs1と、第2のサブレンズ群の両凸の正レンズL6の拡大側の面S11の曲率半径Rs2とは以下の条件(1)を満たしてもよい。
0.8<Rs1/Rs2<1.2 ・・・(1)
【0035】
面S10およびS11は共に拡大側3に湾曲した面であり、両者の曲率半径が条件(1)を満たすことにより両面を接近して配置できるとともに、凹面となるS10と凸面となるS11で、像面湾曲と歪曲収差に対してほぼ同じ効き量を与えて収差を相殺することにより諸収差をより良好に補正できる。
【0036】
第2のサブレンズ群G11−2の両凸の正レンズL6の焦点距離pfs2と、両凹の負レンズL7の焦点距離nfs2とが以下の条件(2)を満たしてもよい。
−1.2<pfs2/nfs2≦−0.8 ・・・(2)
条件(2)は、両者の焦点距離の符号が逆で、絶対値が近いことを示し、接合レンズを高輝度対応で接合を剥がした組み合わせであることも示す。接合レンズの接合面の曲率半径が小さかったり、接合レンズの径が大きくなると高輝度の光束が通過することによる温度上昇で接合面を安定して維持できない可能性が発生する。この第2のサブレンズ群G11−2においては、正レンズL6と負レンズL7の像面湾曲、偏心感度が逆符号で絶対値はほぼ同じとなり、バランスよく収差補正が可能となる。これらのレンズのパワーの絶対値が離れると、これらの収差・効き量にも差が生じ、バランスがくずれる。
【0037】
第1のサブレンズ群G11−1の焦点距離fs1と、第2のサブレンズ群G11−2の焦点距離fs2と、光学系10の広角端における焦点距離fwとは以下の条件(3)および(4)を満たしてもよい。
−1.6<fs1/fw<−1.0・・・(3)
0<|fs1/fs2|<0.1 ・・・(4)
【0038】
全体が負のパワーの最も拡大側3のレンズ群G1において、多数の負のレンズからなる第1のサブレンズ群G11−1のパワーを光学系10の全パワーに対してある程度強くし、一方、それに続く、正−負のパワーの組み合わせの第2のサブレンズ群G11−2のパワーを十分に弱くすることが望ましい。広角化には光学系10の前側(拡大側)3に強い負のパワーのレンズが複数枚必要で、その光線を受ける第2のサブレンズ群G11−2のパワーを余り大きくしないことにより広角化に適した光学系10を提供できる。
【0039】
第2のサブレンズ群G11−2の両凸の正レンズL6の縮小側2の面S12の曲率Rs22と、両凹の負レンズL7の拡大側3の面S13の曲率Rs23とが以下の条件(5)を満たしてもよい。
0.8<Rs22/Rs23<1.2 ・・・(5)
条件(5)は、向かい合った両面S12およびS13の曲率半径が近いことを示し、接合レンズを高輝度対応で接合を剥がした組み合わせであることも示す。曲率半径が近い、逆符号の面を接近配置することにより、バランスよく収差補正が可能となる。
【0040】
また、第1のサブレンズ群G11−1のレンズL2〜L4の光路長、すなわち、レンズL2の最も拡大側3の面S3からレンズL4の最も縮小側2の面S8までの距離(光路長)LL24と、最も拡大側3のレンズL1の拡大側の面S1から絞りSt1までの距離(光路長)LLAとは以下の条件(6)を満足してもよい。
0<LL24/LLA≦0.2 ・・・(6)
光学系10の全体を短縮化できる。
【0041】
拡大側3から2番目のレンズ群であり、中間レンズ群GMの最も拡大側3のレンズ群(第5のレンズ群)G12は、全体が正のパワーの2枚構成または3枚構成のレンズ群であり、広角端から望遠端に変倍する際に縮小側2へ移動するレンズ群である。本例のレンズ群G12は、拡大側3から順に配置された両凸の正レンズL8と、縮小側2に凸の正のメニスカスレンズL9と、縮小側2に凸の負のメニスカスレンズL10とから構成されており、レンズL9およびL10により全体として正のパワーの接合レンズB11が構成されている。
【0042】
拡大側3から3番目のレンズ群であり、中間レンズ群GMの次のレンズ群(第4のレンズ群)G13は、全体が負のパワーの1枚構成のレンズ群であり、広角端から望遠端に変倍する際に縮小側2へ移動するレンズ群である。本例のレンズ群G13は、両凹の負レンズL11の一枚構成である。
【0043】
第4のレンズ群G13を構成する負レンズL11は、フォーカシングの際に移動する第1のレンズ群G14に、拡大側で隣接するレンズである。上記構成により、正の屈折力の第1のレンズ群G14によって拡大側へ向かうにつれて光軸へ近づく方向に屈折された軸外光線の光線角度を逆方向に緩和させることにより、第1のレンズ群G14からの出射光が拡大側のレンズ群へ入射する際の軸外主光線高が低くなりすぎることを抑制することが可能となる。
【0044】
また、負レンズ11が両凹レンズであることで、各面で負の屈折力を分担可能となり、個々の面での光線の屈折角を小さくできるため、収差の発生を抑制することが可能となる。
【0045】
拡大側3から4番目のレンズ群であり、中間レンズ群GMの次のレンズ群(第1のレンズ群)G14は、全体が正のパワーの1枚構成のレンズ群であり、ズーミングの際に動かず、フォーカシングの際に移動するレンズ群である。本例のレンズ群G14は、拡大側3に凸の正のメニスカスレンズL12の一枚構成である。
【0046】
拡大側3から5番目のレンズ群であり、中間レンズ群GMの次のレンズ群(第2のレンズ群)G15は、全体が正のパワーの2枚構成のレンズ群であり、固定されたレンズ群である。本例のレンズ群G15は、拡大側3から順に配置された、拡大側3に凸の負のメニスカスレンズL13と、両凸の正レンズL14との2枚構成である。
【0047】
絞りStを挟んで配置されたレンズ群G16は、拡大側3から6番目のレンズ群であり、中間レンズ群GMの最も縮小側2のレンズ群(第3のレンズ群)G16である。レンズ群G16は、全体が負のパワーの6枚または7枚構成のレンズ群であり、固定されたレンズ群である。このレンズ群G16は、全体が負のパワーであってもよく、非常に弱い正のパワーであってもよい。例えば、レンズ群G16の焦点距離fr3は、光学系10の広角端における焦点距離fwに対して以下の条件(7)を満たしてもよい。
0<fw/fr3<0.001・・・(7)
【0048】
本例のレンズ群G16は、具体的には、拡大側3から順に配置された、両凹の負レンズL15と、両凸の正レンズL16と、両凹の負レンズL17と、両凸の正レンズL18と、両凹の負レンズL19と、両凸の正レンズL20と、両凸の正レンズL21とから構成されており、負レンズL19および正レンズL20が全体として縮小側に凸の接合レンズB12を構成している。
【0049】
このレンズ群G16は、拡大側3から、屈折力が正、負、正、負および正の順番で隣接配置されたレンズからなる第1の組み合わせ(レンズ配置)AR1を含む。レンズ配置AR1は、両凸の正レンズL16と、両凹の負レンズL17と、両凸の正レンズL18と、両凹の負レンズL19と、両凸の正レンズL20とにより構成されている。ネガティブリードのレトロフォーカスタイプの広角レンズで発生しやすく、高精細の光学系で問題となりやすい収差の補正のために、このレンズ配置AR1は、絞りStの縮小側2に配置される両凸の正レンズL18の前後に、色消しレンズとして正レンズL16と負レンズL17との配置と、対称的な負レンズL19と正レンズL20との配置を含み、色収差を主とした各収差を補正する。さらに、縮小側2に負−正の配置を設けることにより、軸外光線の主光線高が高い状態でかつ入射角度が大きいまま入射することで正(アンダー)の歪曲収差を発生させ、絞りStより拡大側3で発生する負(オーバー)の歪曲収差を相殺することができる。
【0050】
また、この配置AR1の中心は両凸の正レンズL18からなる。負レンズL17により跳ね上げられた軸外光線の上側光線を光軸側へ折り返して光束の発散を抑えて像側(縮小側)2の光学素子5の大型化を抑制しつつ、主光線に対する上側光線と下側光線との角度の差を小さくし非対称による収差、例えば、拡大側で発生する正(アンダー)のタンジェンシャル非点収差を相殺するための負(オーバー)のタンジェンシャル非点収差を発生させて補正できる。また、この正レンズL18を配置することで、合成のパワーが負に傾く負正の組み合わせ(正レンズL16と負レンズL17、負レンズL19と正レンズL20)を2つ有するレンズ群G16のパワーを弱めることが可能となる。
【0051】
このレンズ群G16は、拡大側3から、屈折力が負、正、負、正、負、正および正の順番で隣接配置されたレンズからなる第2の組み合わせ(レンズ配置)AR2を含む。レンズ配置AR2は、両凹の負レンズL15と、両凸の正レンズL16と、両凹の負レンズL17と、両凸の正レンズL18と、両凹の負レンズL19と、両凸の正レンズL20と、両凸の正レンズL21とを含む。絞りStの縮小側2で収束された収束光を発散させて、正レンズL16および負レンズL17の対向面へ略平行光を入射させる。また、主光線に対する上側光線と下側光線との角度の差を小さくし非対称による収差、例えば、拡大側で発生する正(アンダー)のタンジェンシャル非点収差を相殺するための負(オーバー)のタンジェンシャル非点収差を発生させて補正できる。
【0052】
レンズ群G16の最も拡大側3のレンズL15は、両凹の負レンズとなっている。拡大側3の面を凹面とすることで、立ちすぎていた周辺光線(特に下側光線)を寝かせて主光線と上下光線の角度の差を低減させ、略平行となった周辺光線を含む光束を縮小側の面の曲率の小さな凹面により、強く発散させることで、絞りを通すために収束させていた光線の歪みを補正しつつ広げることが可能となる。
【0053】
レンズ群G16の最も縮小側2に、正のパワーのレンズL21を設けることにより、拡大側のレンズL20の縮小側2の面が凹面であることによる周辺光線の出射角の広がりを抑えることができる。また、以下の実施例のように、レンズ群G16が移動するような構成であっても、像面5aとの距離の変化に対して正のパワーのレンズL21により、縮小側2に配置されるレンズへの周辺光線の入射位置の変動を抑制できる。このため、縮小側2のレンズの大型化を抑制できる。
【0054】
レンズ群G16の縮小側2から2番目の正のパワーのレンズL20の縮小側2のレンズ面S39は凹面であってもよい。出射光線の内の周辺光線の出射角度が広がるため、接合レンズB12の負のパワーを強くしなくても光束を発散して出射可能となり、縮小側2に配置されるレンズL21の正のパワーを比較的弱く設定できる。このため、収差補正が容易となる。
【0055】
光学系10の中の最も縮小側2のレンズ群G17は、固定された正のパワーのレンズ群であり、本例においては両凸の正レンズL22の一枚構成となっている。この固定レンズ群G17は、像面5に対する結像レンズであり、像側(縮小側)2がほぼテレセントリックになるようにパワーが調整されている。
【0056】
図4に、光学系10の変倍(ズーミング)の際の諸数値を示している。距離(間隔)D14、D19、D21はズーミングの際に移動するレンズ群G12およびG13の前後のレンズ群との間隔の変化を示し、間隔D23は、フォーカシングの際にレンズ群G14が移動する操作量を、投影するスクリーンまでの距離が近距離(0.78m)、中距離(1.24m)、遠距離(6.40m)で示している。
【0057】
この光学系10は、ズーム比が1.06倍で、半画角が60度前後と超広角な投射レンズであり、Fナンバーが2.4と小さくて明るく、さらに全長が260mm程度と比較的コンパクトなプロジェクタレンズシステムである。
【0058】
この光学系の諸数値は以下の通りである。
広角端における光学系の焦点距離(fw): 6.731mm
レンズ群G11(レンズL1〜L7、固定群GF1)の焦点距離: −9.783mm
サブレンズ群G11−1の焦点距離(fs1): −9.782mm
サブレンズ群G11−2の焦点距離(fs2): 197.588mm
レンズL6の焦点距離(pfs2): 35.451mm
レンズL7の焦点距離(nfs2): −36.184mm
レンズ群G12(レンズL8〜L10、ズーム群)の焦点距離: 46.760mm
レンズ群G13(レンズL11、ズーム群)の焦点距離: −121.989mm
レンズ群G14(レンズL12、フォーカス群)の焦点距離: 98.568mm
レンズ群G15(レンズL13〜L14、固定群)の焦点距離: 48.001mm
レンズ群G16(レンズL15〜L21、固定群)の焦点距離: −93.196mm
レンズ群G17(レンズL22、固定群)の焦点距離: 40.371mm
レンズ群GF2(レンズL13〜L22、固定群)の焦点距離: 32.900mm
レンズ群GR(レンズL15〜レンズL22、固定群)の焦点距離: 28.588mm
レンズL2〜L4の光路長(LL24): 27.703mm
レンズL1〜絞りSt1までの光路長(LLA): 184.043mm
条件(0)(LHx(7.856)/LHy(7.800)): 1.01
条件(1)(Rs1/Rs2:(R10/R11)): 1.008
条件(2)(pfs2/nfs2): −0.980
条件(3)(fs1/fw): −1.453
条件(4)(|fs1/fs2|): −0.05
条件(5)(Rs22/Rs23:(R12/R13)): 1.107
条件(6)(LL24/LLA): 0.151
【0059】
図5(a)〜(c)に、光学系10の広角端における球面収差、非点収差および歪曲収差を示している。
図6(a)〜(c)に、光学系10の望遠端における球面収差、非点収差および歪曲収差を示している。球面収差は、波長680nm(長破線)、波長620nm(実線)と、波長550nm(短破線)と、波長460nm(一点鎖線)と、波長430nm(二点鎖線)とを示し、非点収差は、タンジェンシャル光線Tとサジタル光線Sとを示している。
【0060】
このように、投射光学系10においては、上述した条件(0)〜(6)を満たし、さらに、広角端および望遠端における諸収差が良好に補正された光学系10を提供できる。
【0061】
図7に異なる光学系10を示している。
図7(a)に広角端の配置を示し、
図7(b)に望遠端の配置を示すように、この光学系10は、ズーム機能を備えた投射光学系である。光学系10は、7群、22枚のレンズで構成されており、最も拡大側3に位置し、ズーミングおよびフォーカシングの際に固定されている、負の屈折力の最も拡大側のレンズ群G11と、最も縮小側2の第1の像IM1の側に配置されたレンズ群であって、ズーミングおよびフォーカシングの際に固定されている、正の屈折力の最も像側のレンズ群(最も縮小側のレンズ群)G17とを含む。光学系10は、これら最も拡大側3および縮小側2に固定されたレンズ群G11とG17との間に複数のレンズ群G12〜G16からなる中間のレンズ群GMを含む。中間のレンズ群GMは、ズーミングおよびフォーカシングの際に移動するレンズ群を含む。
【0062】
本例の中間のレンズ群GMは、拡大側3から順番に配置された、ズーミングおよびフォーカシングの際に固定された正の屈折力のレンズ群G12と、ズーミングおよびフォーカシングの際に固定された負の屈折力のレンズ群G13と、ズーミングおよびフォーカシングのために移動する正の屈折力のレンズ群(中間レンズ群GMの中の第1のレンズ群)G14と、ズーミングおよびフォーカシングの際に移動する正の屈折力のレンズ群(中間レンズ群GMの中の第2のレンズ群)G15と、絞りStを挟んで縮小側に配置されたズーミングの際に移動する、弱い正の屈折力のレンズ群(中間レンズ群GMの中の第3のレンズ群)G16とを含む。
【0063】
この光学系10では、フォーカシングのために移動する正の屈折力のレンズ群G14は、絞りStの拡大側3に、正の屈折力のレンズ群G15を介して配置されており、絞りStの縮小側2に条件(7)を満たす弱い正の屈折力のレンズ群G16が配置された構成を備えている。また、この光学系10は、全体として、負−正−負−正−正−正−正の7群構成であり、絞りを含めると、負−正−負−正−正−絞り−正−正の構成となっている。
【0064】
また、中間レンズ群GMの内の拡大側3に配置されたレンズ群G12およびG13は、ズーミングおよびフォーカシングの際に移動しない、固定されたレンズ群となっている。したがって、本例の光学系10は、拡大側3から順に配置された、固定された負の屈折力のレンズ群G11、G12およびG13からなる、拡大側の固定されたレンズ群GF1と、広角端から望遠端に変倍(ズーミング)する際に拡大側3へ移動する正の屈折力のレンズ群G14と、ズーミングの際に拡大側3へ移動する正の屈折力のレンズ群G15と、ズーミングの際に拡大側3へ移動する正の屈折力のレンズ群G16と、ズーミングおよびフォーカシングの際に移動しない正の屈折力の縮小側2の固定されたレンズ群GF2との5群のレンズ群を含む。レンズ群G14およびG15はフォーカシング(F)の際にも移動するレンズ群である。したがって、光学系10は、負−正−正−正−正の5群のレンズ構成であるということもできる。
【0065】
いずれの構成を参照しても、本光学系10も、負の屈折力のレンズ群が拡大側に配置されたネガティブリードのレトロフォーカス型のパワー配置を備えたレンズ群であり、拡大側3を広角にしやすく、縮小側2をテレセントリックまたはテレセントリックライクとしてバックフォーカスを長く確保しやすいレンズ構成となっている。さらに、縮小側2に絞りStを配置し、絞りStを挟んで拡大側3に、正の屈折力のレンズ群G14および正の屈折力のレンズ群G15を配置している。このレンズ配置は、上述した光学系と同様に、拡大側3において正の屈折力のレンズ群G14およびG15を配置することにより絞りStの前後ではレンズ径を小さくすることができ、小型のレンズを複数配置することにより収差を良好に補正できる。
【0066】
また、絞りStの拡大側3に、正の屈折力のレンズ群G15を介して配置されたレンズ群G14においては、光軸7に対する軸上光線高(LHx)7xと、軸外主光線高(LHy)7yとをほぼ等しくすることができる。このため、レンズ群G14においては、軸上光線高7xと軸外主光線高7yがほぼ等しい位置で入射し、フォーカシングの際にも移動するレンズ群G14を構成するレンズを小型にできる。本例においては、フォーカシング用のレンズ群G14を、拡大側3に凸の正のメニスカスレンズL12の一枚構成で実現しており、このレンズL12の拡大側3の面S22および縮小側2の面S23の両方を非球面として、フォーカシングの際の収差補正能力を確保するとともに、フォーカシングのための機構の簡略化を図っている。軸上光線高(LHx)7xと軸外主光線高(LHy)7yは上記と同様に条件(0)を満足してもよい。
【0067】
図8に、投射光学系10の各レンズL1〜L22のデータを示す。また、
図9は、各エレメントの面の中の、非球面の面番号と、非球面データを示している。
図7に示した光学系10のレンズ構成は、基本的に
図1に示した光学系と共通し、共通する部分については説明を省略する。
【0068】
最も拡大側3のレンズ群のレンズ群G11は、拡大側3から順番に配置された7枚のレンズL1〜L7により構成されて、
図1に示した光学系10とそれぞれのレンズL1〜L7の基本的な構成は共通する。レンズ群G11は、これらの負のメニスカスレンズL1〜L4および両凹の負レンズL5とから構成された、負の屈折力の第1のサブレンズ群G11−1と、両凸の正レンズL6および両凹の負レンズL7により構成された第2のサブレンズ群G11−2との組み合わせとして規定してもよいことも同様である。
【0069】
拡大側3から2番目のレンズ群であり、拡大側3の固定レンズ群GF1に含まれるレンズ群G12は、全体が正のパワーの2枚構成または3枚構成のレンズ群である。本例のレンズ群G12は、拡大側3から順に配置された両凸の正レンズL8と、縮小側2に凸の正のメニスカスレンズL9と、縮小側に凸の負のメニスカスレンズL10とから構成されており、レンズL9およびL10により全体として正のパワーの接合レンズB11が構成されている。拡大側3から3番目のレンズ群であり、拡大側3の固定レンズ群GF1に含まれるレンズ群G13は、両凹の負レンズL11の一枚構成である。
【0070】
拡大側3から4番目のレンズ群であり、中間レンズ群GMの第1のレンズ群G14は、全体が正のパワーの1枚構成のレンズ群であり、ズーミングおよびフォーカシングの際に移動するレンズ群である。本例のレンズ群G14は、拡大側3に凸の正のメニスカスレンズL12の一枚構成である。
【0071】
拡大側3から5番目のレンズ群であり、中間レンズ群GMの第2のレンズ群G15は、全体が正のパワーの2枚構成のレンズ群であり、ズーミングおよびフォーカシングの際に移動するレンズ群である。本例のレンズ群G15は、拡大側3から順に配置された、拡大側3に凸の負のメニスカスレンズL13と、両凸の正レンズL14との2枚構成である。
【0072】
絞りStを挟んで配置されたレンズ群G16は、拡大側3から6番目のレンズ群であり、中間レンズ群GMの最も縮小側2のレンズ群(第2のレンズ群)G16である。レンズ群G16は、全体が弱い正のパワーの6枚または7枚構成のレンズ群であり、ズーミングの際に移動するレンズ群である。具体的には、拡大側3から順に、両凹の負レンズL15と、両凸の正レンズL16と、両凹の負レンズL17と、両凸の正レンズL18と、両凹の負レンズL19と、拡大側3に凸の正のメニスカスレンズL20と、両凸の正レンズL21とから構成されており、負レンズL19および正メニスカスレンズL20が全体として両凹の接合レンズB12を構成している。
【0073】
このレンズ群G16は、拡大側3から、屈折力が正、負、正、負および正の順番で隣接配置されたレンズからなる第1の組み合わせ(レンズ配置)AR1を含む。また、このレンズ群G16は、拡大側3から、屈折力が負、正、負、正、負、正および正の順番で隣接配置されたレンズからなる第2の組み合わせ(レンズ配置)AR2を含む。
【0074】
図10に、光学系10の変倍(ズーミング)の際の諸数値を示している。距離(間隔)D21、D23、D27はズーミングの際に移動するレンズ群G14およびG15の前後のレンズ群との間隔の変化を、投影するスクリーンまでの距離が近距離(0.78m)の場合で示している。また、フォーカシングの際にレンズ群G14およびG15が移動する操作量を、投影するスクリーンまでの距離が近距離(0.78m)、中距離(1.24m)、遠距離(6.40m)で示している。
【0075】
この光学系10は、ズーム比が1.07倍で、半画角が60度以上と超広角な投射レンズであり、Fナンバーが2.4と小さくて明るく、さらに全長が250mm以下とコンパクトなプロジェクタレンズシステムである。
【0076】
この光学系の諸数値は以下の通りである。
広角端における光学系の焦点距離(fw): 6.636mm
固定群GF1(レンズL1〜L11)の焦点距離: −18.234mm
レンズ群G11(レンズL1〜L7)の焦点距離: −8.316mm
サブレンズ群G11−1の焦点距離(fs1): −8.555mm
サブレンズ群G11−2の焦点距離(fs2): 121.477mm
レンズL6の焦点距離(pfs2): 32.219mm
レンズL7の焦点距離(nfs2): −32.723mm
レンズ群G12(レンズL8〜L10)の焦点距離: 39.925mm
レンズ群G13(レンズL11)の焦点距離: −84.963mm
レンズ群G14(レンズL12、フォーカスおよびズーム群)の焦点距離: 85.035mm
レンズ群G15(レンズL13〜L14、フォーカスおよびズーム群)の焦点距離: 76.296mm
レンズ群G16(レンズL15〜L21、ズーム群、fr3)の焦点距離: 10170.598mm
レンズ群G17(レンズL22、固定群GF2)の焦点距離: 43.935mm
レンズ群GR(レンズL15〜L22)の焦点距離: 30.027mm
レンズL2〜L4の光路長(LL24): 27.975mm
レンズL1〜絞りSt1までの光路長(LLA): 175.082mm
条件(0)(LHx(7.434)/LHy(8.419)): 0.88
条件(1)(Rs1/Rs2:(R10/R11)): 1.098
条件(2)(pfs2/nfs2): −0.985
条件(3)(fs1/fw): −1.289
条件(4)(|fs1/fs2|): −0.070
条件(5)(Rs22/Rs23:(R12/R13)): 1.099
条件(6)(LL24/LLA): 0.160
条件(7)(fw/fr3):0.0007
【0077】
図11(a)〜(c)に、光学系10の広角端における球面収差、非点収差および歪曲収差を示している。
図12(a)〜(c)に、光学系10の望遠端における球面収差、非点収差および歪曲収差を示している。このように、この投射光学系10においても、上述した条件(0)〜(7)を満たし、さらに、広角端および望遠端における諸収差が良好に補正された光学系10を提供できる。また、広角端において半画角が60度を超える超広角な光学系(レンズシステム)10において、フォーカシングを、小径の1枚または3枚のレンズを動かすことにより実現することができる。したがって、フォーカシングの際の機械的な負荷も低減でき、コンパクトな光学系10を提供できる。また、これらの光学系10は、収差図にも示すように、ズーミングおよびフォーカシングの際の収差補正も良好であり、投射光学系としては、ズーミングが可能で、コンパクトでありながら、収差補正が良好にされた像を投影できる投射光学系10、および投射光学系10を備えたプロジェクタ100を提供できる。