【解決手段】複数枚の帳票それぞれをイメージ化した帳票イメージデータを取得する帳票イメージ取得部と、前記帳票イメージデータそれぞれを帳票の予め設定された記入領域ごとに分割して複数の分割イメージデータを作成するイメージ分割部と、異なる記入領域の分割イメージデータの複数を記入領域が順不同となるようにシャッフルする分割イメージシャッフル部と、シャッフルされた複数の前記分割イメージデータを文字認識手段に送信する分割イメージ送信部と、前記分割イメージデータそれぞれを文字認識した結果である分割テキストデータを受け付ける分割テキスト受付部と、共通の帳票イメージデータを元にする複数の前記分割テキストデータを統合するテキスト統合部とを備えるようにした。
前記分割イメージシャッフル部によりシャッフルされる複数の分割イメージデータの元となる帳票の枚数が、予め設定されており、その設定枚数が変更可能であることを特徴とする請求項1又は2記載の帳票登録装置。
帳票に設定された記入領域のうち、前記分割イメージ送信部の送信対象から除く記入領域を受け付けて、その記入領域を非送信領域として設定する非送信領域設定部をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至3のうち何れか一項に記載の帳票登録装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、上述した問題を解決するべくなされたものであり、帳票に記入された情報を電子化して登録するにあたり、そのセキュリティの強化を図ることをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明に係る帳票登録装置は、複数枚の記入済み帳票をイメージ化した複数の帳票イメージデータを格納する帳票イメージ格納部と、前記帳票イメージデータそれぞれを帳票の予め設定された記入領域ごとに分割して複数の分割イメージデータを作成するイメージ分割部と、異なる記入領域の分割イメージデータを含む複数の分割イメージデータを、少なくとも記入領域が順不同となるようにシャッフルする分割イメージシャッフル部と、シャッフルされた複数の前記分割イメージデータを文字認識手段に送信する分割イメージ送信部と、前記分割イメージデータそれぞれを文字認識した結果である分割テキストデータを受け付ける分割テキスト受付部と、共通の帳票イメージデータを元にする複数の前記分割テキストデータを統合してテキスト統合データを作成するテキスト統合部とを備えることを特徴とするものである。
【0009】
このように構成された帳票登録装置によれば、例えば「姓」と「名」を異なる記入領域として設定すれば、複数人の氏名を姓と名とに分割した分割イメージデータがシャッフルされるので、それらの分割イメージデータから例えば特定の人物の氏名を推測することはほぼ不可能である。
また、例えば電話番号や郵便番号を実際の桁数よりも少ない文字に区切り、それらを異なる記入領域に設定すれば、それらの分割イメージデータは、もはや単なる数字を表すに過ぎず、どの項目の数字であったかすら推測することが出来なくなる。
このように、本発明に係る帳票登録装置によれば、異なる記入領域の分割イメージデータを含む複数の分割イメージデータを少なくとも記入領域が順不同となるようにシャッフルして文字認識手段に送信するので、セキュリティを従来よりも遥かに強化することができる。
【0010】
前記イメージ分割部が、前記分割イメージデータのファイル名を、前記記入領域それぞれに対して生成されたユニークキーを少なくとも含む文字列とし、前記分割イメージシャッフル部が、前記分割イメージ送信部による前記分割イメージデータの送信順を、前記ファイル名に関して予め定めた規則に従って決定することが好ましい。
このような構成であれば、分割イメージデータのファイル名に固有のユニークキーが含まれているので、例えばファイル名のアルファベット順や数字順に分割イメージデータを送信するように決定すれば、複数の分割イメージデータを簡単にシャッフルすることができる。
【0011】
セキュリティの強化とデータの処理時間とはトレードオフの関係にあり、例えばシャッフルする分割イメージデータが多い程、セキュリティは強化されるが、その一方で、データ処理に要する時間は長くなる。
そこで、前記分割イメージシャッフル部によりシャッフルされる複数の分割イメージデータの元となる帳票の枚数が、予め設定されており、その設定枚数が変更可能であることが好ましい。
このような構成であれば、ユーザは、所望するセキュリティや所望するデータ処理時間とに鑑みて、設定枚数を変更することができ、ユーザにとってより使い勝手の良いものとなる。
【0012】
ユーザによっては、帳票に記入された項目のうち、一部の項目が外部に送信してはいけないものとして取り決められている場合がある。
こうした場合にも本装置を利用可能なものとするためには、帳票に設定された記入領域のうち、前記分割イメージ送信部の送信対象から除く記入領域を受け付けて、その記入領域を非送信領域として設定する非送信領域設定部をさらに備えることが好ましい。
このような構成であれば、外部に送信できない項目を非送信領域として設定することで、残りの送信可能な項目に対して本発明に係る装置を利用することができる。
【0013】
前記テキスト統合部により作成された複数のテキスト統合データを出力するデータ出力部と、前記データ出力部の出力対象から除くテキスト統合データを受け付けて、そのテキスト統合データを非出力データとして設定するデータ抜き取り部とをさらに備えることが好ましい。
このような構成であれば、テキスト統合データのうち、例えば記入内容を再確認する必要があるようなものを、そのまま出力されてしまわないように抜き取っておくことができ、後から再確認等することができる。
【0014】
また、本発明に係る帳票登録用プログラムは、複数枚の記入済み帳票をイメージ化した複数の帳票イメージデータを格納する帳票イメージ格納部と、前記帳票イメージデータそれぞれを帳票の予め設定された記入領域ごとに分割して複数の分割イメージデータを作成するイメージ分割部と、異なる記入領域の分割イメージデータを含む複数の分割イメージデータを、少なくとも記入領域が順不同となるようにシャッフルする分割イメージシャッフル部と、シャッフルされた複数の前記分割イメージデータを文字認識手段に送信する分割イメージ送信部と、前記分割イメージデータそれぞれを文字認識した結果である分割テキストデータを受け付ける分割テキスト受付部と、共通の帳票イメージデータを元にする複数の前記分割テキストデータを統合してテキスト統合データを作成するテキスト統合部としての機能をコンピュータに発揮させることを特徴とするものである。
このように構成された帳票登録用プログラムによっても、上述した帳票登録装置と同様の作用効果を奏し得る。
【発明の効果】
【0015】
このように構成した本発明によれば、帳票に記入された情報を電子化して登録する際のセキュリティを従来に比べて遥かに強化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態に係る帳票登録装置について図面を参照しながら説明する。
【0018】
本実施形態の帳票登録装置1は、帳票Pに記入された情報を電子化して登録するために用いられるものであり、
図1に示すように、スキャナ等の撮像手段2やOCR等の文字認識手段3とともに帳票登録システムXを構築するものである。
【0019】
まず、帳票Pについて、
図2を参照しながら簡単に説明する。
帳票Pは、複数の記入項目それぞれに対する記入欄P1が設けられた記入用紙である。記入項目は、「氏名」、「生年月日」、「住所」、「電話番号」、「性別」などである。記入欄P1は、ここでは枠線で囲われており、例えば「性別」という記入項目に対する記入欄P1のように、1つの記入領域P2が設けられているものもあれば、例えば「氏名」という記入項目に対する「姓」の記入領域P2、及び、「名」の記入領域P2のように、複数の記入領域P2に細分化されているものもある。つまり、記入欄P1には、予め1又は複数の記入領域P2が設定されている。
【0020】
次に、帳票登録装置1について説明する。
この帳票登録装置1は、CPU、メモリ、入出力インターフェース等を備えた専用乃至汎用のコンピュータであり、前記メモリに格納されている帳票登録用プログラムに従って、CPUやその他の周辺機器を協働させることにより、
図3に示すように、テンプレート格納部11、帳票イメージ格納部12、ファイル名変更部13、参照テーブル作成部15、イメージ分割部16、分割イメージシャッフル部18、分割イメージ送信部20、分割テキスト受付部21、及びテキスト統合部23などとしての機能を発揮するように構成されたものである。
【0021】
以下、各部に説明を兼ねて、
図3の機能ブロック図、及び、
図4のフローチャートを参照しながら、帳票登録装置1を用いた本帳票登録システムXによる情報の登録までの動作について説明する。なお、以下に述べる種々のイメージデータは、画像データであっても良いし、画像データを文字列に変換したデータであっても良い。
【0022】
まず、ユーザは、
図5に示すように、帳票Pに設けられている記入領域P2の位置、及び、その記入領域P2に対する項目名を少なくとも結び付けた複数のテンプレート情報からなるテンプレートファイルを作成する(S1)。
【0023】
具体的には、マウスやキーボードやタッチパネルなどの入力手段を用いて、帳票Pに設定されている記入領域P2を選択し、その記入領域P2に対する項目名を入力する。これにより、その記入領域P2の位置を示す座標及び項目名がテンプレート情報として結び付き、そのテンプレート情報が本装置1のハードディスクの所定領域に設定されたテンプレート格納部11に格納される。なお、テンプレート情報としては、記入領域P2の座標や項目名に加えて、例えば記入領域P2に記入される文字種(例えば数字、アルファベット等)や、記入領域P2の行数など、記入領域P2に関する付加情報を結び付けても良い。なお、テンプレート格納部11は、SSD等の補助記憶装置に設定されていても良い。
【0024】
一方、複数枚の記入済み帳票Pは、スキャナ等の撮像手段2を用いてイメージ化する(S2)。そして、イメージ化した帳票イメージデータを本装置1に入力し、複数枚分の帳票イメージデータが本装置1のハードディスクの所定領域に設定された帳票イメージ格納部12に格納される。なお、帳票イメージ格納部12は、SSD等の補助記憶装置に設定されていても良い。
【0025】
次に、ファイル名変更部13が、帳票イメージ格納部12に格納されている帳票イメージデータそれぞれのファイル名を、互いに異なる固有のファイル名にユニーク化する(S3)。
【0026】
具体的にファイル名変更部13は、帳票イメージ格納部12から帳票イメージデータを順次取得し、それぞれの帳票イメージデータに対して、複数の文字列からなり、互いい異なる第1のユニークキーを生成する。そして、帳票イメージデータを取得した際のファイル名の手前に、生成した第1のユニークキーを付加したものを、ユニーク化後のファイル名とする。例えば、取得した帳票イメージデータのファイル名がabcであり、この帳票イメージデータに対して生成した第1のユニークキーが3f2504E0であれば、ユニーク化後のファイル名は、3f2504E0.abcとなる。そして、このようにファイル名がユニーク化された帳票イメージデータは、本装置1のハードディスクの所定領域に設定されたユニークファイル格納部14に保存される。なお、ユニークファイル格納部14は、SSD等の補助記憶装置に設定されていても良い。
なお、ファイル名のユニーク化方法は上述したものに限らず、例えば帳票イメージデータを取得した際のファイル名を、生成した第1のユニークキーに置き換えたものをユニーク化後のファイル名とするなど、適宜変更して構わない。
【0027】
続いて、参照テーブル作成部15が、
図6に示すように、ユニーク化後のファイル名、テンプレート情報に含まれる項目名、及び各項目名に対して生成された第2のユニークキーを結び付けた参照テーブルを作成する(S4)。なお、参照テーブル作成部15は、オンメモリにより発揮される機能である。ただし、参照テーブル作成部15としての機能を、オンメモリデータベースや仮想ドライブなどの技術により発揮させても良い。
【0028】
具体的に参照テーブル作成部15は、テンプレート格納部11にテンプレート情報として格納されている複数の項目名を参照し、それらの項目名それぞれに対して、複数の文字列からなり、互いに異なる第2のユニークキーを生成する。
【0029】
そして、1つの帳票イメージデータのユニーク化後のファイル名、すなわち第1のユニークキーを含むファイル名に対して、複数の項目名と、各項目名に対して生成された第2のユニークキーとを結び付ける。なお、参照テーブルとしては、テンプレート情報に含まれる付加情報がさらに結び付けられていても良い。
【0030】
参照テーブル作成部15は、上述した動作を予め設定された設定枚数分の帳票イメージデータに対して順次行う。これにより、参照テーブル作成部15は、単一の参照テーブルの作成において、上述した設定枚数に、テンプレート格納部11に格納されている項目名の数(項目数)を掛け合わせた数だけ、第2のユニークキーを生成することになる。
なお、設定枚数は変更可能であり、具体的にはユーザがキーボード等の入力手段を用いて設定枚数を入力すると、その入力値を設定枚数変更部(不図示)が受け付けて設定枚数が変更される。
【0031】
その後、イメージ分割部16が、ユニークファイル格納部14から帳票イメージデータを取得し、
図7に示すように、その帳票イメージデータを記入領域P2ごとに分割して分割イメージデータを作成する(S5)。なお、イメージ分割部16は、オンメモリにより発揮させる機能である。ただし、イメージ分割部16としての機能を、オンメモリデータベースや仮想ドライブなどの技術により発揮させても良い。
【0032】
具体的にイメージ分割部16は、テンプレート格納部11を参照して、項目名それぞれに対応する記入領域P2の座標を取得し、それらの座標で表される記入領域P2毎に帳票イメージデータを分割する。
【0033】
そして、イメージ分割部16は、参照テーブルを参照して、
図7に示すように、各項目名それぞれに結び付けられている第2のユニークキーを、各分割イメージデータのファイル名とする。なお、分割データのファイル名は、必ずしも第2のユニークキーのみからなる必要はなく、例えば、少なくとも第2のユニークキーを含むものであれば、その第2のユニークキーの後ろに別の文字列が付加されていても良い。
【0034】
イメージ分割部16は、かかる帳票イメージデータの分割を設定枚数分の帳票イメージデータに対して行う。これにより、分割イメージデータは、上述した設定枚数に、テンプレート格納部11に格納されている項目名の数(項目数)を掛け合わせた数だけ生成されることになる。そして、これらのファイル名には、互いに異なる第2のユニークキーが含まれており、全て異なる固有のファイル名となる。
【0035】
そして、これらの分割イメージデータの中には、互いに異なる記入領域P2の分割イメージデータが複数含まれることになる。
より詳細に説明すると、例えば上述したテンプレートファイルの作成時において、帳票Pの「姓」及び「名」を互いに異なる記入領域P2として設定すれば、イメージ分割部16により作成された複数の分割イメージデータの中には、設定枚数分の帳票Pに記入された「姓」の分割イメージデータと、設定枚数分の帳票Pに記入された「名」の分割イメージデータとが混在する。
また、
図7とは別の態様ではあるが、例えば郵便番号の各桁や電話番号の各桁を互いに異なる記入領域P2として設定すれば、イメージ分割部16により作成された複数の分割イメージデータの中には、設定枚数分の帳票Pに記入された郵便番号の各桁及び電話番号の各桁それぞれの分割イメージデータが混在することになる。
ただし、記入領域P2の設定方法は、上述した態様に限らず、ユーザが適宜変更して構わない。
【0036】
そして、これらの分割イメージデータは、本装置1のハードディスクの所定領域に設定された分割イメージ格納部17に保存される。なお、分割イメージ格納部17は、SSD等の補助記憶装置に設定されていても良い。
【0037】
次に、分割イメージシャッフル部18が、
図8に示すように、分割イメージ格納部17に格納されている複数の分割イメージデータを、少なくとも記入領域P2が順不同となるようにシャッフルする(S6)。
【0038】
具体的に分割イメージシャッフル部18は、後述する分割イメージ送信部20による分割イメージデータの送信順を、分割イメージデータのファイル名に関して予め定めた規則に従って決定することで、送信される分割イメージデータの記入領域P2を不規則にする。
【0039】
予め定めた規則とは、例えばアルファベット順、数字順、或いはこれらを組み合わせた順序などを挙げることができ、分割イメージシャッフル部18は、この予め定められた順序で、分割イメージデータを分割イメージ格納部17から順次取得して並べる。
【0040】
なお、ここでの分割イメージシャッフル部18は、上述した参照テーブルを参照して、分割イメージ格納部17から取得した分割イメージデータのファイル名に用いられている第2のユニークキーに結び付いた付加情報を、その分割イメージデータに附帯させる。これにより、後述する文字認識手段3は、この付加情報を用いて文字認識を行うことができる。
【0041】
そして、この実施形態では、後述の分割イメージ送信部20により1度に送信されるデータ量を抑えるべく、分割イメージシャッフル部18は、分割イメージ格納部17から連続して取得した所定数の分割イメージデータを1つの送信用データ群としてまとめる。
【0042】
その後、分割イメージ格納部17に格納された全ての分割イメージデータ、すなわち上述した設定枚数に項目数を掛け合わせた数の分割イメージデータの全てが、分割イメージシャッフル部18により取得されてシャッフルされたかが判断される(S7)。
【0043】
分割イメージ格納部17に格納された全ての分割イメージデータがシャッフルされていなければ、分割イメージシャッフル部18による動作が繰り返される。
一方、分割イメージ格納部17に格納された分割イメージデータの全てがシャッフルされると、上述した参照テーブル作成部15により作成された参照テーブルが、オンメモリから削除され、本装置1のハードディスクの所定領域に設定された参照テーブル蓄積部19に蓄積される(S8)。なお、参照テーブル蓄積部9は、SSD等の補助記憶装置に設定されていても良い。
【0044】
参照テーブルがオンメモリから削除されると、次に、帳票イメージ格納部12に格納された帳票イメージデータが残っているかが判断される(S9)。
【0045】
帳票イメージ格納部12に帳票イメージデータが残っている場合は、S3〜S9までの動作を繰り返す。
一方、帳票イメージ格納部12に格納された帳票イメージデータが存在しなくなると、分割イメージ送信部20が、シャッフルされた分割イメージデータを、ここでは送信用データ群ごとに文字認識手段3に送信する(S10)。なお、文字認識手段3は、本装置1の外部にあり、本装置1のユーザとは別の者によって操作されるので、分割イメージ送信部20は、分割イメージデータを本装置1の外部に出力することになる。
【0046】
文字認識手段3は、分割イメージ送信部20により送信された分割イメージデータそれぞれを文字認識し、これにより得られた結果である分割テキストデータを作成する(S11)。ここで、文字認識手段3は、分割イメージデータのファイル名、すなわち第2のユニークキーを、分割テキストデータのファイル名として引き継ぐように構成されており、このように作成された分割テキストデータは、文字認識手段3から本装置1に入力される。
【0047】
入力された分割テキストデータは、本装置1の分割テキスト受付部21により受け付けられ、本装置1のハードディスクの所定領域に設定された分割テキスト格納部22に格納される(S12)。なお、分割テキスト格納部22は、SSD等の補助記憶装置に設定されていても良い。
【0048】
その後、テキスト統合部23が、複数の分割テキストデータのうち、共通の帳票イメージデータを元にする複数の分割テキストデータを統合してテキスト統合データを作成する(S13)。
【0049】
具体的にテキスト統合部23は、上述した参照テーブル蓄積部19に蓄積された参照テーブルを参照して、分割テキストデータのファイル名に用いられている第2のユニークキーに結び付いた帳票イメージデータのファイル名(第1のユニークキー)を特定し、このファイル名(第1のユニークキー)が共通している分割テキストデータを、共通の帳票イメージデータを元にするものとして特定する。
【0050】
そして、共通の帳票イメージデータを元にする分割テキストデータを全て特定した後、再び参照テーブルを参照して、各分割テキストデータのファイル名に用いられている第2のユニークキーに結び付いた項目名を特定し、各分割テキストデータの示す文字列を、その特定した項目名として記入された文字列として認定する。
【0051】
ここで、テキスト統合部23は、テキスト統合データを作成した後、そのテキスト統合データを構成する各分割テキストデータの示す文字列をディスプレイに表示する。
【0052】
具体的にテキスト統合部23は、分割テキストデータの元となる帳票イメージデータをユニークファイル格納部14から取得して、その元となる帳票の画像と分割テキストデータの示す文字列とを比較可能に表示する。
なお、帳票イメージデータをユニークファイル格納部14から取得する代わりに、或いは、帳票イメージデータの取得に加えて、分割イメージ格納部17から分割テキストデータに対応する分割イメージデータを取得し、その文字列及び分割画像を比較可能に表示しても良い。
【0053】
ここで、本装置1は、分割テキストデータが示す文字列を修正可能に構成されている。
例えばテキスト統合部23によりディスプレイ表示された文字列の中に、文字認識手段3の誤認識により作成された文字列が含まれている場合、例えばマウスやキーボードやタッチパネル等の入力手段を用いてその文字列を修正することができ、その修正後の文字列が分割テキストデータの示す文字列として更新される。
【0054】
上述したようにテキスト統合部23により作成されたテキスト統合データは、データ出力部24によって出力可能である。
【0055】
データ出力部24は、テキスト統合データを所定の出力形式で出力するものであり、ここでは帳票複数枚分のテキスト統合データを一括して、例えば分割テキストデータが示す文字列と、その分割テキストデータに対応する項目名とを識別可能に例えば表形式等で出力する(S14)。
【0056】
本装置1は、テキスト統合部23により作成された複数のテキスト統合データのうち、データ出力部24の出力対象から除くテキスト統合データを受け付けて、そのテキスト統合データを非出力データとして設定するデータ抜き取り部25としての機能をさらに備えている。
【0057】
より具体的に説明すると、例えばテキスト統合部23によりディスプレイ表示されているテキスト統合データのうち、例えば記入された手書き文字そのものが読めなかったり、性別が男女ともに選択されている場合など、再確認が必要なテキスト統合データに対して、そのテキスト統合データを例えばマウスやタッチパネル等により選択できるようにしてある。
【0058】
これにより、選択されたテキスト統合データがデータ抜き取り部25により受け付けられて、非出力データとして設定され、データ出力部24による一括出力の対象から外される。なお、設定された非出力データに対して、例えば再確認の理由など種々のコメントを記入できるようにしても良い。
【0059】
このように構成された帳票登録装置1によれば、例えば複数人の氏名を姓と名とに分割した分割イメージデータがシャッフルされるので、それらの分割イメージデータから例えば特定の人物の氏名を推測することはほぼ不可能である。
また、例えば電話番号や郵便番号を実際の桁数よりも少ない桁数に分割した分割イメージデータをシャッフルすれば、それらの分割イメージデータは、もはや単なる数字を表すに過ぎず、どの項目の数字であったかすら推測することが難しい。
このように、本発明に係る帳票登録装置1によれば、異なる記入領域P2の分割イメージデータの複数を、記入領域P2が順不同となるようにシャッフルして文字認識手段3に送信するので、セキュリティを従来よりも遥かに強化することができる。
【0060】
さらに、分割イメージデータのファイル名に第2のユニークキーが用いられるので、複数の分割イメージデータを例えばファイル名がアルファベット順や数字順となるように並べることで、複数の分割イメージデータを簡単にシャッフルすることができる。
【0061】
加えて、シャッフルされる複数の分割イメージデータの元となる帳票Pの設定枚数が変更可能であるので、ユーザは、所望するセキュリティの高さとデータ処理時間とに鑑みて、設定枚数を変更することができ、ユーザにとってより使い勝手の良いものとなる。
【0062】
そのうえ、テキストデータ抜き取り部25が、データ出力部24の出力対象から除くテキスト統合データ非出力データとして設定するので、テキスト統合データのうち、例えば記入内容を再確認する必要があるようなものを、そのまま出力されてしまわないように抜き取っておくことができ、後から再確認することができる。
【0063】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0064】
例えば、ユーザによっては、帳票Pに記入された項目のうち、一部の項目を外部に送信してはいけないものとして取り決められている場合がある。
【0065】
そこで、帳票登録装置1としては、
図9に示すように、帳票Pに設定された記入領域P2のうち、分割イメージ送信部20の送信対象から除く記入領域P2を受け付けて、その記入領域P2を非送信領域として設定する非送信領域設定部26をさらに備えていても良い。
【0066】
具体的には、例えばテンプレートファイルの作成時において、項目名を所定の態様で入力すると、非送信領域設定部26が、その態様で入力された項目名に結び付けられた記入領域P2を非送信領域として設定する。なお、所定の態様とは、例えば項目名の前、後、又は前後に所定文字を付加して入力する方法などが挙げられる。
また、非送信領域の設定の仕方としては、テンプレートファイルに含まれる種々の記入領域P2の中から所望の領域を例えばチェックボックス等により選択可能にしておき、ユーザが選択した記入領域P2が非送信領域として設定されるようにしても良い。
【0067】
そして、1又は複数の記入領域P2が非送信領域として設定されたテンプレートファイルは、テンプレート格納部11からテキスト統合部23に出力されても良い。
このような構成であれば、テキスト統合部23により作成されたテキスト統合データに対して、非送信領域の文字列をオペレータが入力して追加することができる。
これにより、非送信領域以外に記入された文字列は、自動的にテキスト統合データに含まれ、非送信領域に記入された文字列は、外部に出力されることなく、マニュアルでテキスト統合データに含ませることができる。
【0068】
このような構成であれば、外部に送信できない項目を非送信領域として設定することで、取り決めに従いながら、残りの送信可能な項目に対して本発明に係る帳票登録装置1を利用することができる。
【0069】
なお、上述した構成において、イメージ分割部16としては、非送信領域設定部26により設定された非送信領域の分割イメージデータを作成しても良いし、作成しなくても良い。非送信領域の分割イメージデータを作成する場合は、分割データシャッフル部が、非送信領域の分割イメージデータを分割イメージ格納部17から取得しないように構成されていれば良い。
【0070】
また、上述したように非送信領域を設定した場合、テキスト統合部23が作成して表示するテキスト統合データには、非送信領域に設定された記入領域P2のみならず、非送信領域には設定されてはいないものの未記入な記入領域P2も空白な状態となる。
そこで、テキスト統合部23は、非送信領域として設定された記入領域P2を、その他の記入領域P2と識別可能に表示することが好ましく、具体的には記入領域P2の色を変えたり、記入領域P2の内部又は外部近傍に識別文字を付す等の表示態様を挙げることができる。
【0071】
さらに、テキスト統合部23は、非送信領域として設定された記入領域P2をフィルタリングして表示出力するように構成されていても良い。
これならば、ユーザは、フィルタリングして表示された非送信領域に、次々と文字列を入力することができるので、非送信領域を設定する構成においても、作業の高効率化を図れる。
【0072】
また、前記実施形態の分割イメージ送信部20は、分割イメージシャッフル部18により生成された送信用データ群単位で分割イメージデータを文字認識手段3に送信していたが、分割イメージデータを1つずつ送信しても良いし、全てを一括して送信しても良い。
【0073】
その他、本発明の趣旨に反しない限りにおいて様々な実施形態の変形や組み合わせを行っても構わない。