【解決手段】平面型トランスは、一次側コイルと二次側コイルとを備え、一次側コイルは、1層以上のコイル導体パターンを含んで構成されている第1の一次側コイルと、1層以上のコイル導体パターンを含んで構成されている第2の一次側コイルと、を有し、二次側コイルは、1層以上のコイル導体パターンを含んで構成されている第1の二次側コイルと、1層以上のコイル導体パターンを含んで構成されている第2の二次側コイルと、を有し、第1の二次側コイルと、第1の一次側コイルと、第2の二次側コイルと、第2の一次側コイルと、が絶縁層(プリプレグ層32、33、34)を介してこの順に積層されている。
前記第1の二次側コイルと、前記第1の一次側コイルと、前記第2の二次側コイルと、前記第2の一次側コイルと、のうちのいずれか1つ以上は、複数層のコイル導体パターンを含んで構成されている請求項1に記載の平面型トランス。
前記第1の二次側コイル、前記第1の一次側コイル、前記第2の二次側コイル及び前記第2の一次側コイルの各々は、1層あたり1巻きのコイル導体パターンを有する請求項3に記載の平面型トランス。
前記第1の二次側コイルを構成する各層のコイル導体パターンの各々、並びに、前記第2の二次側コイルを構成する各層のコイル導体パターンの各々は、一対の接続端子を有し、
前記第1の二次側コイルを構成する各層のコイル導体パターンの接続端子どうしがスルーホールを貫通して設けられた導体ピンを介して電気的に接続されていることで、前記第1の二次側コイルを構成する各層のコイル導体パターンが直列に接続されており、
前記第2の二次側コイルを構成する各層のコイル導体パターンの接続端子どうしがスルーホールを貫通して設けられた導体ピンを介して電気的に接続されていることで、前記第2の二次側コイルを構成する各層のコイル導体パターンが直列に接続されている請求項1から4のいずれか一項に記載の平面型トランス。
前記第1の一次側コイルを構成する各層のコイル導体パターンの各々、並びに、前記第2の一次側コイルを構成する各層のコイル導体パターンの各々は、一対の接続端子を有し、
前記第1の一次側コイルを構成する各層のコイル導体パターンの接続端子どうしがスルーホールを貫通して設けられた導体ピンを介して電気的に接続されていることで、前記第1の一次側コイルを構成する各層のコイル導体パターンが直列に接続されており、
前記第2の一次側コイルを構成する各層のコイル導体パターンの接続端子どうしがスルーホールを貫通して設けられた導体ピンを介して電気的に接続されていることで、前記第2の一次側コイルを構成する各層のコイル導体パターンが直列に接続されている請求項1から5のいずれか一項に記載の平面型トランス。
前記一次側コイルを構成する前記コイル導体パターンのうち互いに隣り合う2つの層に配置されている一対のコイル導体パターンは、前記一対の接続端子のうちの一方どうしが、互いに同一の平面位置に配置されて重なっており、前記一対の接続端子のうちの他方どうしが、互いに異なる平面位置に配置されており、
前記二次側コイルを構成する前記コイル導体パターンのうち互いに隣り合う層に配置されている一対のコイル導体パターンは、前記一対の接続端子のうちの一方どうしが、互いに同一の平面位置に配置されて重なっており、前記一対の接続端子のうちの他方どうしが、互いに異なる平面位置に配置されている請求項7に記載の平面型トランス。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
【0010】
〔第1実施形態〕
先ず、
図1から
図6を用いて第1実施形態を説明する。
図6に示すように、本実施形態に係る平面型トランス100は、一次側コイル150と二次側コイル160とを備える。
一次側コイル150は、1層以上のコイル導体パターン(例えば、
図2(a)に示す1層のコイル導体パターン63)を含んで構成されている第1の一次側コイル151と、1層以上のコイル導体パターン(例えば、
図2(b)に示す1層のコイル導体パターン63)を含んで構成されている第2の一次側コイル152と、を有する。
二次側コイル160は、1層以上のコイル導体パターン(例えば、
図3(a)に示すコイル導体パターン63と
図3(b)に示すコイル導体パターン63との2層のコイル導体パターン63)を含んで構成されている第1の二次側コイル161と、1層以上のコイル導体パターン(例えば、
図3(c)に示すコイル導体パターン63と
図3(c)に示すコイル導体パターン63との2層のコイル導体パターン63)を含んで構成されている第2の二次側コイル162と、を有する。
第1の二次側コイル161と、第1の一次側コイル151と、第2の二次側コイル162と、第2の一次側コイル152と、が絶縁層(
図1に示すプリプレグ層32、33、34)を介してこの順に積層されている。
【0011】
本実施形態によれば、コイル層の総数の増大を抑制しつつ、一次側コイル150と二次側コイル160との結合係数を十分に確保することが可能となる。
【0012】
平面型トランス100は、
図1に模式的な構造を示す積層体91を備えている。
積層体91は、プリプレグ層31と、第1の二次側コイル161(
図6)を含む第1の二次側コイル層21と、プリプレグ層32と、第1の一次側コイル151(
図6)を含む第1の一次側コイル層11と、プリプレグ層33と、第2の二次側コイル162(
図6)を含む第2の二次側コイル層22と、プリプレグ層34と、第2の一次側コイル152(
図6)を含む第2の一次側コイル層12と、プリプレグ層35と、がこの順に積層されることによって構成されている。
各プリプレグ層31〜35は、エポキシ系などの樹脂材料により構成されており、絶縁層となっている。
第1の二次側コイル層21は、2層のコイル層211、212が積層されることにより構成されている。このうちコイル層211がプリプレグ層31側、コイル層212がプリプレグ層32側に位置している。
第2の二次側コイル層22は、2層のコイル層221、222が積層されることにより構成されている。このうちコイル層221がプリプレグ層33側、コイル層222がプリプレグ層34側に位置している。
【0013】
第1の一次側コイル層11としては、例えば、
図2(a)に示すコイル層41が用いられている。第2の一次側コイル層12としては、例えば、
図2(b)に示すコイル層42が用いられている。
コイル層211としては、例えば、
図3(a)に示すコイル層51が用いられている。コイル層212としては、例えば、
図3(b)に示すコイル層52が用いられている。コイル層221としては、例えば、
図3(c)に示すコイル層53が用いられている。コイル層222としては、例えば、
図3(d)に示すコイル層54が用いられている。
【0014】
図2(a)に示すコイル層41について説明する。
コイル層41は、基板61と、基板61の一方の面に形成されているコイル導体パターン63と、を備えている。コイル導体パターン63は、当該コイル導体パターン63の全体に亘って一定の幅に形成されている。
基板61の第1辺231(
図2(a)における基板61の左辺)に沿って、それぞれ基板61を貫通する複数の(例えば7つの)孔71、72、73、74、75、76、77が互いに等間隔の配置でこの順に並んで形成されている。各孔71〜77の内周面には、導体メッキ68(
図5参照)が形成されている。
基板61の第2辺232(
図2(a)における基板61の右辺)に沿って、それぞれ基板61を貫通する複数の(例えば5つの)孔81、82、83、84、85が等間隔の配置でこの順に並んで形成されている。各孔81〜85の内周面には、導体メッキ68(
図5参照)が形成されている。
基板61の中央部には、基板61を貫通する開口62が形成されている。開口62は、例えば円形である。
コイル導体パターン63は、開口62の周囲に開口62と同心のC環状に形成されている環状部64と、環状部64の両端部からそれぞれ第1辺231の方に向けて直線状に延出している一対の接続端子65と、を含んで構成されている。環状部64の両端部及び一対の接続端子65は、開口62を基準として、第1辺231側の位置に配置されている。
一対の接続端子65の各々は、第1辺231及び第2辺232に対して直交する方向に延在している。
一方の接続端子65は、孔73内の導体メッキ68と接触しており、当該導体メッキ68と電気的に接続されている。
他方の接続端子65は、孔74内の導体メッキ68と接触しており、当該導体メッキ68と電気的に接続されている。
環状部64の両端部どうしの間から、一対の接続端子65どうしの間にかけて、直線状のスリット状の形状でコイル導体パターン63が非形成となっているスリット部67が形成されている。これにより、コイル導体パターン63は、環状部64と一対の接続端子65とを含む全体としても、C環状に形成されている。スリット部67は、孔73と孔74との中間位置において、第1辺231及び第2辺232に対して直交する方向に延在している。
環状部64は、基板61の一方の面上の仮想的な円周C1に沿って形成されている。
図2(a)に示す直線L1は、コイル層41の基板61の一方の面上に位置している仮想的な直線であり、孔73の中心を通過し、且つ、第1辺231に対して直交している。
図2(a)に示す直線L2は、コイル層41の基板61の一方の面上に位置している仮想的な直線であり、孔74の中心を通過し、且つ、第1辺231に対して直交している。コイル層41の環状部64は、
図2(a)において、少なくとも、直線L1と円周C1との交点P1から直線L2と円周C1との交点P2に亘って、周回状に形成されている。つまり、コイル層41の環状部64の一端部は
図2(a)に示す交点P1を含んでおり、コイル層41の環状部64の他端部は
図2(a)に示す交点P2を含んでいる。
【0015】
図2(b)に示すコイル層42は、以下に説明する点でコイル層41と相違しており、その他の点では、コイル層41と同様に構成されている。
コイル層42のコイル導体パターン63の一方の接続端子65は、孔74内の導体メッキ68と接触しており、当該導体メッキ68と電気的に接続されている。
コイル層42のコイル導体パターン63の他方の接続端子65は、孔75内の導体メッキ68と接触しており、当該導体メッキ68と電気的に接続されている。
コイル層42のスリット部67は、孔74と孔75との中間位置において、第1辺231及び第2辺232に対して直交する方向に延在している。
図2(b)に示す直線L1は、コイル層42の基板61の一方の面上に位置している仮想的な直線であり、孔74の中心を通過し、且つ、第1辺231に対して直交している。
図2(b)に示す直線L2は、コイル層42の基板61の一方の面上に位置している仮想的な直線であり、孔75の中心を通過し、且つ、第1辺231に対して直交している。コイル層42の環状部64は、
図2(b)において、少なくとも、直線L1と円周C1との交点P1から直線L2と円周C1との交点P2に亘って、周回状に形成されている。つまり、コイル層42の環状部64の一端部は
図2(b)に示す交点P1を含んでおり、コイル層42の環状部64の他端部は
図2(b)に示す交点P2を含んでいる。
【0016】
図3(a)に示すコイル層51は、以下に説明する点でコイル層41と相違しており、その他の点では、コイル層41と同様に構成されている。
コイル層51のコイル導体パターン63の環状部64の両端部及び一対の接続端子65は、開口62を基準として、第2辺232(
図3(a)における基板61の右辺)側の位置に配置されている。
コイル層51のコイル導体パターン63の一対の接続端子65は、環状部64の両端部からそれぞれ(第1辺231の方ではなく)第2辺232の方に向けて直線状に延出している。
コイル層51のコイル導体パターン63の一方の接続端子65は、孔81内の導体メッキ68と接触しており、当該導体メッキ68と電気的に接続されている。
コイル層51のコイル導体パターン63の他方の接続端子65は、孔82内の導体メッキ68と接触しており、当該導体メッキ68と電気的に接続されている。
コイル層51のスリット部67は、孔81と孔82との中間位置において、第1辺231及び第2辺232に対して直交する方向に延在している。
図3(a)に示す直線L1は、コイル層51の基板61の一方の面上に位置している仮想的な直線であり、孔81の中心を通過し、且つ、第2辺232に対して直交している。
図3(a)に示す直線L2は、コイル層51の基板61の一方の面上に位置している仮想的な直線であり、孔82の中心を通過し、且つ、第2辺232に対して直交している。コイル層51の環状部64は、
図3(a)において、少なくとも、直線L1と円周C1との交点P1から直線L2と円周C1との交点P2に亘って、周回状に形成されている。つまり、コイル層51の環状部64の一端部は
図3(a)に示す交点P1を含んでおり、コイル層51の環状部64の他端部は
図3(a)に示す交点P2を含んでいる。
【0017】
図3(b)に示すコイル層52は、以下に説明する点でコイル層51と相違しており、その他の点では、コイル層51と同様に構成されている。
コイル層52のコイル導体パターン63の一方の接続端子65は、孔82内の導体メッキ68と接触しており、当該導体メッキ68と電気的に接続されている。
コイル層52のコイル導体パターン63の他方の接続端子65は、孔83内の導体メッキ68と接触しており、当該導体メッキ68と電気的に接続されている。
コイル層52のスリット部67は、孔82と孔83との中間位置において、第1辺231及び第2辺232に対して直交する方向に延在している。
図3(b)に示す直線L1は、コイル層52の基板61の一方の面上に位置している仮想的な直線であり、孔82の中心を通過し、且つ、第2辺232に対して直交している。
図3(b)に示す直線L2は、コイル層52の基板61の一方の面上に位置している仮想的な直線であり、孔83の中心を通過し、且つ、第2辺232に対して直交している。コイル層52の環状部64は、
図3(b)において、少なくとも、直線L1と円周C1との交点P1から直線L2と円周C1との交点P2に亘って、周回状に形成されている。つまり、コイル層52の環状部64の一端部は
図3(b)に示す交点P1を含んでおり、コイル層52の環状部64の他端部は
図3(b)に示す交点P2を含んでいる。
【0018】
図3(c)に示すコイル層53は、以下に説明する点でコイル層51と相違しており、その他の点では、コイル層51と同様に構成されている。
コイル層53のコイル導体パターン63の一方の接続端子65は、孔83内の導体メッキ68と接触しており、当該導体メッキ68と電気的に接続されている。
コイル層53のコイル導体パターン63の他方の接続端子65は、孔84内の導体メッキ68と接触しており、当該導体メッキ68と電気的に接続されている。
コイル層53のスリット部67は、孔83と孔84との中間位置において、第1辺231及び第2辺232に対して直交する方向に延在している。
図3(c)に示す直線L1は、コイル層53の基板61の一方の面上に位置している仮想的な直線であり、孔83の中心を通過し、且つ、第2辺232に対して直交している。
図3(c)に示す直線L2は、コイル層53の基板61の一方の面上に位置している仮想的な直線であり、孔84の中心を通過し、且つ、第2辺232に対して直交している。コイル層53の環状部64は、
図3(c)において、少なくとも、直線L1と円周C1との交点P1から直線L2と円周C1との交点P2に亘って、周回状に形成されている。つまり、コイル層53の環状部64の一端部は
図3(c)に示す交点P1を含んでおり、コイル層53の環状部64の他端部は
図3(c)に示す交点P2を含んでいる。
【0019】
図3(d)に示すコイル層54は、以下に説明する点でコイル層51と相違しており、その他の点では、コイル層51と同様に構成されている。
コイル層54のコイル導体パターン63の一方の接続端子65は、孔84内の導体メッキ68と接触しており、当該導体メッキ68と電気的に接続されている。
コイル層54のコイル導体パターン63の他方の接続端子65は、孔85内の導体メッキ68と接触しており、当該導体メッキ68と電気的に接続されている。
コイル層54のスリット部67は、孔84と孔85との中間位置において、第1辺231及び第2辺232に対して直交する方向に延在している。
図3(d)に示す直線L1は、コイル層54の基板61の一方の面上に位置している仮想的な直線であり、孔84の中心を通過し、且つ、第2辺232に対して直交している。
図3(d)に示す直線L2は、コイル層54の基板61の一方の面上に位置している仮想的な直線であり、孔85の中心を通過し、且つ、第2辺232に対して直交している。コイル層54の環状部64は、
図3(d)において、少なくとも、直線L1と円周C1との交点P1から直線L2と円周C1との交点P2に亘って、周回状に形成されている。つまり、コイル層54の環状部64の一端部は
図3(d)に示す交点P1を含んでおり、コイル層54の環状部64の他端部は
図3(d)に示す交点P2を含んでいる。
【0020】
積層体91を構成するコイル層211(コイル層51)、コイル層212(コイル層52)、第1の一次側コイル層11(コイル層41)、コイル層221(コイル層53)、コイル層222(コイル層54)、及び、第2の一次側コイル層12(コイル層42)の平面形状は互いに等しい。
積層体91において、各コイル層は、各々のコイル導体パターン63が各々の基板61の上面側に位置する配置で、積層されている。
これらコイル層が積層された状態で、各コイル層の孔71どうしの平面位置は互いに等しく、同様に、孔72どうしの平面位置は互いに等しく、孔73どうしの平面位置は互いに等しく、孔74どうしの平面位置は互いに等しく、孔75どうしの平面位置は互いに等しく、孔76どうしの平面位置は互いに等しく、孔77どうしの平面位置は互いに等しく、孔81どうしの平面位置は互いに等しく、孔82どうしの平面位置は互いに等しく、孔83どうしの平面位置は互いに等しく、孔84どうしの平面位置は互いに等しく、孔85どうしの平面位置は互いに等しい。
各プリプレグ層31〜35の中央部には、各プリプレグ層31〜35を貫通する開口36(
図5)が形成されている。開口36の形状及び寸法は、開口62の形状及び寸法と等しい。
各コイル層及び各プリプレグ層31〜35が積層された状態で、開口62どうしの平面位置は互いに等しく、開口36どうしの平面位置は互いに等しく、開口62と開口36との平面位置も互いに等しい(
図5)。
各プリプレグ層31〜35には、各コイル層の孔71〜77、81〜85とそれぞれ対応する位置に、各プリプレグ層31〜35を貫通する孔が形成されている。
各コイル層の孔71と、各プリプレグ層31〜35において孔71と対応する位置に形成された孔とによって、スルーホールが形成されている。同様に、各コイル層の孔72〜77、81〜85と、各プリプレグ層31〜35において孔72〜77、81〜85とそれぞれ対応する位置に形成された孔とによって、それぞれスルーホールが形成されている。
【0021】
図4又は
図5に示すように、平面型トランス100は、積層体91を内部に有する本体部90と、板コア111とEコア112とにより構成されているコア110と、本体部90の表裏を貫通して設けられている複数の導体ピン121、122、123、131、132、133、134、135と、を備えて構成されている。例えば、導体ピン121〜123、131〜135の各々について、その下端部は本体部90よりも下方に突出しており、その上端部は本体部90よりも上方に突出している。
なお、
図4及び
図5においては、各コイル層の孔71〜77、81〜85が、側方に向けて開放した形状の切欠形状部であるとともに、各プリプレグ層31〜35の孔も、側方に向けて開放した形状の切欠形状部が形成されている例を示す。各コイル層の孔71〜77、81〜85及び各プリプレグ層31〜35の孔は、丸孔であってもよいし、切欠形状部であってもよい。以下では、丸孔と切欠形状部とを区別せず「孔」と称する。
本体部90は、積層体91と、積層体91を内包しているモールド樹脂92と、を備えて構成されている。
モールド樹脂92には、開口62及び開口36と同じ平面位置に、開口62及び開口36と同じ形状及び寸法の開口92a(
図5)が形成されている。
本体部90は、開口92a、複数の開口62、及び、複数の開口36により構成された貫通孔93(
図5)を有する。
本体部90の貫通孔93には、Eコア112の芯112aが挿通されている。
板コア111は、芯112aの先端面に当接又は近接して配置されている。
更に、モールド樹脂92は、各コイル層の孔71〜77、81〜85と同じ平面位置に形成された孔を有する。
【0022】
導体ピン121は、各コイル層の孔73と、孔73と対応する各プリプレグ層31〜35の孔と、孔73と対応するモールド樹脂92の孔と、に亘って差し込まれている。導体ピン121は、第1の一次側コイル層11(コイル層41)の孔73の内周面に形成されている導体メッキ68と接触しているとともに、当該導体メッキ68と電気的に接続されている。これにより、導体ピン121は、第1の一次側コイル層11(コイル層41)の一方の接続端子65と電気的に接続されている。
導体ピン122は、各コイル層の孔74と、孔74と対応する各プリプレグ層31〜35の孔と、孔74と対応するモールド樹脂92の孔と、に亘って差し込まれている。導体ピン122は、第1の一次側コイル層11(コイル層41)の孔74の内周面に形成されている導体メッキ68と接触しているとともに、当該導体メッキ68と電気的に接続されている。更に、導体ピン122は、第2の一次側コイル層12(コイル層42)の孔74の内周面に形成されている導体メッキ68と接触しているとともに、当該導体メッキ68と電気的に接続されている。これにより、導体ピン122は、第1の一次側コイル層11(コイル層41)の他方の接続端子65と第2の一次側コイル層12(コイル層42)の一方の接続端子65とを相互に電気的に接続している。
導体ピン123は、各コイル層の孔75と、孔75と対応する各プリプレグ層31〜35の孔と、孔75と対応するモールド樹脂92の孔と、に亘って差し込まれている。導体ピン123は、第2の一次側コイル層12(コイル層42)の孔75の内周面に形成されている導体メッキ68と接触しているとともに、当該導体メッキ68と電気的に接続されている。これにより、導体ピン123は、第2の一次側コイル層12(コイル層42)の他方の接続端子65と電気的に接続されている。
【0023】
よって、第1の一次側コイル層11(コイル層41)のコイル導体パターン63と第2の一次側コイル層12(コイル層42)のコイル導体パターン63とが、導体ピン122を介して、相互に直列に接続されている。
ここで、
図6に示す第1の一次側コイル151は、第1の一次側コイル層11(コイル層41)のコイル導体パターン63であり、
図6に示す第2の一次側コイル152は、第2の一次側コイル層12(コイル層42)のコイル導体パターン63である。
図6に示すように、第1の一次側コイル151と第2の一次側コイル152とが相互に直列に接続されて、一次側コイル150が構成されている。
一次側コイル150の一方の外部端子171(
図6)は、導体ピン121(
図4)により構成されており、一次側コイル150の他方の外部端子172(
図6)は、導体ピン123(
図4)により構成されている。
【0024】
導体ピン131は、各コイル層の孔81と、孔81と対応する各プリプレグ層31〜35の孔と、孔81と対応するモールド樹脂92の孔と、に亘って差し込まれている。導体ピン131は、コイル層211(コイル層51)の孔81の内周面に形成されている導体メッキ68と接触しているとともに、当該導体メッキ68と電気的に接続されている。これにより、導体ピン131は、コイル層211(コイル層51)の一方の接続端子65と電気的に接続されている。
導体ピン132は、各コイル層の孔82と、孔82と対応する各プリプレグ層31〜35の孔と、孔82と対応するモールド樹脂92の孔と、に亘って差し込まれている。導体ピン132は、コイル層211(コイル層51)の孔82の内周面に形成されている導体メッキ68と接触しているとともに、当該導体メッキ68と電気的に接続されている。更に、導体ピン132は、コイル層212(コイル層52)の孔82の内周面に形成されている導体メッキ68と接触しているとともに、当該導体メッキ68と電気的に接続されている。これにより、導体ピン132は、コイル層211(コイル層51)の他方の接続端子65とコイル層212(コイル層52)の一方の接続端子65とを相互に電気的に接続している。
導体ピン133は、各コイル層の孔83と、孔83と対応する各プリプレグ層31〜35の孔と、孔83と対応するモールド樹脂92の孔と、に亘って差し込まれている。導体ピン133は、コイル層212(コイル層52)の孔83の内周面に形成されている導体メッキ68と接触しているとともに、当該導体メッキ68と電気的に接続されている。更に、導体ピン133は、コイル層221(コイル層53)の孔83の内周面に形成されている導体メッキ68と接触しているとともに、当該導体メッキ68と電気的に接続されている。これにより、導体ピン133は、コイル層212(コイル層52)の他方の接続端子65とコイル層221(コイル層53)の一方の接続端子65とを相互に電気的に接続している。
導体ピン134は、各コイル層の孔84と、孔84と対応する各プリプレグ層31〜35の孔と、孔84と対応するモールド樹脂92の孔と、に亘って差し込まれている。導体ピン134は、コイル層221(コイル層53)の孔84の内周面に形成されている導体メッキ68と接触しているとともに、当該導体メッキ68と電気的に接続されている。更に、導体ピン134は、コイル層222(コイル層54)の孔84の内周面に形成されている導体メッキ68と接触しているとともに、当該導体メッキ68と電気的に接続されている。これにより、導体ピン134は、コイル層221(コイル層53)の他方の接続端子65とコイル層223(コイル層54)の一方の接続端子65とを相互に電気的に接続している。
導体ピン135は、各コイル層の孔85と、孔85と対応する各プリプレグ層31〜35の孔と、孔85と対応するモールド樹脂92の孔と、に差し込まれている。導体ピン135は、コイル層222(コイル層54)の孔85の内周面に形成されている導体メッキ68と接触しているとともに、当該導体メッキ68と電気的に接続されている。これにより、導体ピン135は、コイル層222(コイル層54)の他方の接続端子65と電気的に接続されている。
【0025】
よって、コイル層211(コイル層51)のコイル導体パターン63とコイル層212(コイル層52)のコイル導体パターン63とが、導体ピン132を介して、相互に直列に接続されている。
ここで、
図6に示すコイル導体パターン161aはコイル層211(コイル層51)のコイル導体パターン63であり、
図6に示すコイル導体パターン161bはコイル層212(コイル層52)のコイル導体パターン63である。
図6に示すように、コイル導体パターン161aとコイル導体パターン161bとが相互に直列に接続されて、第1の二次側コイル161が構成されている。
また、コイル層221(コイル層53)のコイル導体パターン63とコイル層222(コイル層54)のコイル導体パターン63とが、導体ピン134を介して、相互に直列に接続されている。
ここで、
図6に示すコイル導体パターン162aはコイル層221(コイル層53)のコイル導体パターン63であり、
図6に示すコイル導体パターン162bはコイル層222(コイル層54)のコイル導体パターン63である。
図6に示すように、コイル導体パターン162aとコイル導体パターン162bとが相互に直列に接続されて、第2の二次側コイル162が構成されている。
更に、コイル層212(コイル層52)のコイル導体パターン63とコイル層221(コイル層53)のコイル導体パターン63とが、導体ピン133を介して、相互に直列に接続されている。すなわち、第1の二次側コイル161のコイル導体パターン161bと第2の二次側コイル162のコイル導体パターン162aとが相互に直列に接続されている。
よって、
図6に示すように、第1の二次側コイル161と第2の二次側コイル162とが相互に直列に接続されて、二次側コイル160が構成されている。
二次側コイル160の一方の外部端子181(
図6)は、導体ピン131(
図4)により構成されており、二次側コイル160の他方の外部端子182(
図6)は、導体ピン135(
図4)により構成されている。
【0026】
このように、平面型トランス100において、第1の二次側コイル161と、第1の一次側コイル151と、第2の二次側コイル162と、第2の一次側コイル152と、のうちのいずれか1つ以上は、複数層のコイル導体パターン63を含んで構成されている。
本実施形態の場合、第1の二次側コイル161及び第2の二次側コイル162の各々は、複数層(例えば2層ずつ)のコイル導体パターン63を含んで構成されている。
【0027】
第1の一次側コイル151と第2の一次側コイル152とでコイル導体パターン63の層数及び巻数が互いに等しい。すなわち、本実施形態の場合、第1の一次側コイル151のコイル導体パターン63の層数は1、巻数は1であり、第2の一次側コイル152のコイル導体パターン63の層数も1、巻数も1である。
また、第1の二次側コイル161と第2の二次側コイル162とでコイル導体パターン63の層数及び巻数が互いに等しい。すなわち、本実施形態の場合、第1の二次側コイル161のコイル導体パターン63の層数は2、巻数は2であり、第2の二次側コイル162のコイル導体パターン63の層数も2、巻数も2である。
【0028】
また、本実施形態の場合、第1の二次側コイル161、第1の一次側コイル151、第2の二次側コイル162及び第2の一次側コイル152の各々は、1層あたり1巻きのコイル導体パターン63を有する。
【0029】
また、第1の二次側コイル161を構成する各層のコイル導体パターン63の各々、並びに、第2の二次側コイル162を構成する各層のコイル導体パターン63の各々は、一対の接続端子65を有する。
そして、第1の二次側コイル161を構成する各層のコイル導体パターン63の接続端子65どうしがスルーホールを貫通して設けられた導体ピン132を介して電気的に接続されていることで、第1の二次側コイル161を構成する各層のコイル導体パターン63が直列に接続されている。
同様に、第2の二次側コイル162を構成する各層のコイル導体パターン63の接続端子65どうしがスルーホールを貫通して設けられた導体ピン134を介して電気的に接続されていることで、第2の二次側コイル162を構成する各層のコイル導体パターン63が直列に接続されている。
【0030】
また、平面型トランス100は、コイル導体パターン63の総数と対応する数のコイル層を備えている。本実施形態の場合、コイル導体パターン63の総数が6であり、コイル層の総数も同じく6である。
コイル層の各々は、基板61と、基板61の一方の面に形成されたコイル導体パターン63と、を有する。
コイル導体パターン63の各々は、環状に形成されている環状部64と、環状部64の両端部からそれぞれ延出している一対の接続端子65とを有する。
基板61は、当該基板61の一の辺(第1辺231又は第2辺232)に沿って所定間隔で形成されているとともに、それぞれ当該基板61を貫通している複数の孔(孔71〜77、又は、孔81〜85)を有する。
ここで、孔71〜77は、上記のように等間隔で配置されていることが好ましいが、本発明は、等間隔で配置されている例に限らず、等間隔ではない所定間隔で並んで配置されていてもよい。同様に、孔81〜85は、上記のように等間隔で配置されていることが好ましいが、本発明は、等間隔で配置されている例に限らず、等間隔ではない所定間隔で並んで配置されていてもよい。
また、孔71〜77は、同一直線上に並んで配置されていることが好ましいが、ジグザグ状(千鳥状)の配置など、直線状の配置以外の配置で並んでいてもよい。同様に、孔81〜85は、同一直線上に並んで配置されていることが好ましいが、ジグザグ状(千鳥状)の配置など、直線状の配置以外の配置で並んでいてもよい。
複数の孔(孔71〜77、又は、孔81〜85)の各々の内周面には導体メッキ68が形成されている。
一対の接続端子65のうちの一方は、複数の孔のうち隣り合う2つの孔の一方に接続されており、一対の接続端子65のうちの他方は、隣り合う2つの孔の他方に接続されている。つまり、コイル層41の例では、コイル導体パターン63の一対の接続端子65の一方は、隣り合う2つの孔73、74の一方である孔73の導体メッキ68に電気的に接続されており、一対の接続端子65の他方は、隣り合う2つの孔73、74の他方である孔74の導体メッキ68に電気的に接続されている。また、コイル層42の例では、コイル導体パターン63の一対の接続端子65の一方は、隣り合う2つの孔74、75の一方である孔74の導体メッキ68に電気的に接続されており、一対の接続端子65の他方は、隣り合う2つの孔74、75の他方である孔75の導体メッキ68に電気的に接続されている。また、コイル層51の例では、コイル導体パターン63の一対の接続端子65の一方は、隣り合う2つの孔81、82の一方である孔81の導体メッキ68に電気的に接続されており、一対の接続端子65の他方は、隣り合う2つの孔81、82の他方である孔82の導体メッキ68に電気的に接続されている。同様に、その他のコイル層のコイル導体パターン63についても、一対の接続端子65の一方は、隣り合う2つの孔の一方の導体メッキ68に電気的に接続されており、一対の接続端子65の他方は、隣り合う2つの孔の他方の導体メッキ68に電気的に接続されている。
【0031】
一対の接続端子65のうちの一方が、複数の孔のうち隣り合う2つの孔の一方に接続されており、一対の接続端子65のうちの他方が、隣り合う2つの孔の他方に接続されていることによって、コイル導体パターン63の環状部64を、全周回の円環に近い形状にすることができる。よって、一次側コイル150のコイル導体パターン63と二次側コイル160のコイル導体パターン63とで互いに対向する面積を十分に確保することができる。
【0032】
また、一次側コイル150を構成するコイル導体パターン63のうち互いに隣り合う2つの層に配置されている一対のコイル導体パターン63は、一対の接続端子65のうちの一方どうしが、互いに同一の平面位置に配置されて重なっており、一対の接続端子65のうちの他方どうしが、互いに異なる平面位置に配置されている。つまり、コイル層41の一対の接続端子65のうち孔74内の導体メッキ68に接続されている方の接続端子65と、コイル層42の一対の接続端子65のうち孔74内の導体メッキ68に接続されている方の接続端子65と、が互いに同一の平面位置に配置されて上下に重なっている。また、コイル層41の一対の接続端子65のうち孔73内の導体メッキ68に接続されている方の接続端子65と、コイル層42の一対の接続端子65のうち孔75内の導体メッキ68に接続されている方の接続端子65と、が互いに異なる平面位置に配置されており、互いに上下に重なっていない。
一次側コイル150を構成するコイル導体パターン63のうち互いに隣り合う2つの層に配置されている一対のコイル導体パターン63の一対の接続端子65のうちの一方どうしが、互いに同一の平面位置に配置されて重なっていることによって、これら接続端子65の周囲に生じる磁束どうしが打ち消し合うようにできる。よって、一次側コイル150のコイル導体パターン63について、主として環状部64の形状が平面型トランス100の特性に影響するようにできるため、平面型トランス100を容易に狙い通りの特性のものとすることができる。
【0033】
同様に、二次側コイル160を構成するコイル導体パターン63のうち互いに隣り合う2つの層に配置されている一対のコイル導体パターン63は、一対の接続端子65のうちの一方どうしが、互いに同一の平面位置に配置されて重なっており、一対の接続端子65のうちの他方どうしが、互いに異なる平面位置に配置されている。
つまり、コイル層51の一対の接続端子65のうち孔82内の導体メッキ68に接続されている方の接続端子65と、コイル層52の一対の接続端子65のうち孔82内の導体メッキ68に接続されている方の接続端子65と、が互いに同一の平面位置に配置されて上下に重なっている。また、コイル層51の一対の接続端子65のうち孔81内の導体メッキ68に接続されている方の接続端子65と、コイル層52の一対の接続端子65のうち孔83内の導体メッキ68に接続されている方の接続端子65と、が互いに異なる平面位置に配置されており、互いに上下に重なっていない。
また、コイル層52の一対の接続端子65のうち孔83内の導体メッキ68に接続されている方の接続端子65と、コイル層53の一対の接続端子65のうち孔83内の導体メッキ68に接続されている方の接続端子65と、が互いに同一の平面位置に配置されて上下に重なっている。また、コイル層52の一対の接続端子65のうち孔82内の導体メッキ68に接続されている方の接続端子65と、コイル層53の一対の接続端子65のうち孔84内の導体メッキ68に接続されている方の接続端子65と、が互いに異なる平面位置に配置されており、互いに上下に重なっていない。
また、コイル層53の一対の接続端子65のうち孔84内の導体メッキ68に接続されている方の接続端子65と、コイル層54の一対の接続端子65のうち孔84内の導体メッキ68に接続されている方の接続端子65と、が互いに同一の平面位置に配置されて上下に重なっている。また、コイル層53の一対の接続端子65のうち孔83内の導体メッキ68に接続されている方の接続端子65と、コイル層54の一対の接続端子65のうち孔85内の導体メッキ68に接続されている方の接続端子65と、が互いに異なる平面位置に配置されており、互いに上下に重なっていない。
二次側コイル160を構成するコイル導体パターン63のうち互いに隣り合う層に配置されている一対のコイル導体パターン63の一対の接続端子65のうちの一方どうしが、互いに同一の平面位置に配置されて重なっていることによって、これら接続端子65の周囲に生じる磁束どうしが打ち消し合うようにできる。よって、二次側コイル160のコイル導体パターン63について、主として環状部64の形状が平面型トランス100の特性に影響するようにできるため、平面型トランス100を容易に狙い通りの特性のものとすることができる。
【0034】
なお、一次側コイル150を構成するコイル導体パターン63の各々の一対の接続端子65は、環状部64の両端部からそれぞれ基板61の第1辺231の方に向けて(つまり互いに同じ方向に)延びている。
同様に、二次側コイル160を構成するコイル導体パターン63の各々の一対の接続端子65は、環状部64の両端部からそれぞれ基板61の第1辺231とは反対側の第2辺232の方に向けて(つまり互いに同じ方向に)延びている。
【0035】
また、各コイル層において、コイル導体パターン63の一対の接続端子65が互いに平行に延在している。このため、各コイル導体パターン63の一対の接続端子65の周囲に生じる磁束どうしが打ち消し合うようにできる。
よって、各コイル層のコイル導体パターン63について、主として環状部64の形状が平面型トランス100の特性に影響するようにできるため、平面型トランス100を容易に狙い通りの特性のものとすることができる。
【0036】
各コイル層のコイル導体パターン63は、一対の接続端子65及びスリット部67の位置が異なる他は、互いに同じ形状及び寸法(幅)に形成されており、且つ、互いに同一の平面位置に配置されている。
したがって、各コイル層のコイル導体パターン63において、一対の接続端子65及びスリット部67を除く部分の全体が、互いに対向している。
【0037】
図6に示すように、第1の二次側コイル161と第1の一次側コイル151との間(コイル導体パターン161bと第1の一次側コイル151との間)に静電容量191が形成されている。
また、第1の一次側コイル151と第2の二次側コイル162との間(第1の一次側コイル151とコイル導体パターン162aとの間)に静電容量192が形成されている。
また、第2の二次側コイル162と第2の一次側コイル152との間(コイル導体パターン162bと第2の一次側コイル152との間)に静電容量193が形成されている。
図1において、静電容量191は、コイル層212と第1の一次側コイル層11との間に形成されており、静電容量192は、第1の一次側コイル層11とコイル層221との間に形成されており、静電容量193は、コイル層222と第2の一次側コイル層12との間に形成されている。
【0038】
ここで、結合係数kに関して、下記の数式1が成り立つ。
(数式1) Le2=(1−k)・L2
数式1において、Le2は二次側コイル160の漏れインダクタンス、kは一次側コイル150と二次側コイル160との結合係数、L2は二次側コイル160の自己インダクタンスである。
結合係数は、一次側コイル150と二次側コイル160とで互いに重なる(対向する)面積が大きくなるほど増大し、一次側コイル150と二次側コイル160とで互いに対向する距離が小さくなるほど増大する。
【0039】
本実施形態によれば、一次側コイル150が第1の一次側コイル151と第2の一次側コイル152との2つに分割されているとともに、第1の一次側コイル151と第2の一次側コイル152とによって第2の二次側コイル162を挟んだ構造となっている。
このため、第1の一次側コイル151と第1の二次側コイル161及び第2の二次側コイル162との距離を低減でき、且つ、第2の一次側コイル152と第1の二次側コイル161及び第2の二次側コイル162との距離も同等に設定できる。
よって、本実施形態によれば、特許文献1の構造と比べて、コイル層の総数を増やさずに、一次側コイル150と二次側コイル160との結合係数を向上することが可能となり、結合係数を十分に確保することができる。
【0040】
〔第2実施形態〕
次に、
図7を用いて第2実施形態を説明する。
本実施形態に係る平面型トランス100は、以下に説明する点で、上記の第1実施形態に係る平面型トランス100と相違しており、その他の点では、上記の第1実施形態に係る平面型トランス100と同様に構成されている。
【0041】
本実施形態の場合、コイル層のコイル導体パターン63どうしが、(積層体91を貫通する(ひいては本体部90を貫通する)導体ピンによってではなく、)上下に隣接する複数の孔(孔71〜77、81〜85のいずれか)に埋め込まれたビア241(
図7)によって、相互に電気的に接続されている。ビア241は、インタースティシャルビア(積層体91の内層に配置されているベリッドビア、又は、積層体91の表層に配置されているブラインドビア)である。
【0042】
一次側コイル150の外部端子171、172(
図6参照)としては、第1実施形態と同様の導体ピン121、122を用いてもよいが、以下では、外部端子171、172についても、導体ピン121、122を用いずに構成されている例を説明する。
同様に、二次側コイル160の外部端子181、182(
図6参照)としては、第1実施形態と同様の導体ピン131、135を用いてもよいが、以下では、外部端子181、182についても、導体ピン131、135を用いずに構成されている例を説明する。
【0043】
第1の一次側コイル層11(コイル層41)のコイル導体パターン63と第2の一次側コイル層12(コイル層42)のコイル導体パターン63とを相互に電気的に接続するビア241は、図示は省略するが、第1の一次側コイル層11(コイル層41)の孔74内、孔74と対応するプリプレグ層33の孔内、コイル層221(コイル層53)の孔74内、コイル層222(コイル層54)の孔74内、孔74と対応するプリプレグ層34の孔内、及び、第2の一次側コイル層12(コイル層42)の孔74内に、それぞれ埋設されている。
【0044】
第1の一次側コイル層11(コイル層41)のコイル導体パターン63の外部接続は、例えば、以下に説明するようにして実現される。
図示は省略するが、第1の一次側コイル層11(コイル層41)の孔73内、孔73と対応するプリプレグ層33の孔内、コイル層221(コイル層53)の孔73内、コイル層222(コイル層54)の孔73内、孔73と対応するプリプレグ層34の孔内、第2の一次側コイル層12(コイル層42)の孔73内、及び、孔73と対応するプリプレグ層35の孔内に、それぞれビア241が埋設されている。
さらに、孔73と対応するプリプレグ層35の孔内に埋設されているビア241は、当該孔の下方においてモールド樹脂92に形成された孔を介して、導電材料により構成された端子部材141と電気的に接続されている。端子部材141とビア241とは、例えば、はんだ接合することができる。この端子部材141は、モールド樹脂92から下方に突出しており、外部端子171(
図6)を構成している。
図7では、端子部材141において、モールド樹脂92から下方に突出している部分が示されている。
【0045】
同様に、第2の一次側コイル層12(コイル層42)のコイル導体パターン63の外部接続は、例えば、以下に説明するようにして実現される。
第2の一次側コイル層12(コイル層42)の孔75内、及び、孔75と対応するプリプレグ層35の孔内に、それぞれビア241が埋設されている。
さらに、孔75と対応するプリプレグ層35の孔内に埋設されているビア241は、当該孔の下方においてモールド樹脂92に形成された孔を介して、導電材料により構成された端子部材141と電気的に接続されている。この端子部材141は、モールド樹脂92から下方に突出しており、外部端子172(
図6)を構成している。外部端子172を構成する端子部材141は、
図7には示されていない。
【0046】
図7に示すように、コイル層211(コイル層51)のコイル導体パターン63とコイル層212(コイル層52)のコイル導体パターン63とを相互に電気的に接続するビア241は、コイル層211の孔82内、及び、コイル層212の孔82内に、それぞれ埋設されている。
【0047】
また、図示は省略するが、コイル層212(コイル層52)のコイル導体パターン63とコイル層221(コイル層53)のコイル導体パターン63とを相互に電気的に接続するビア241は、コイル層212の孔83内、孔83と対応するプリプレグ層32の孔内、第1の一次側コイル層11の孔83内、孔83と対応するプリプレグ層33の孔内、及び、コイル層221の孔83内に、それぞれ埋設されている。
【0048】
また、図示は省略するが、コイル層221(コイル層53)のコイル導体パターン63とコイル層222(コイル層54)のコイル導体パターン63とを相互に電気的に接続するビア241は、コイル層221の孔84内、及び、コイル層222の孔84内に、それぞれ埋設されている。
【0049】
コイル層211(コイル層51)のコイル導体パターン63の外部接続は、例えば、以下に説明するようにして実現される。
図示は省略するが、コイル層211の孔81内、コイル層212の孔81内、孔81と対応するプリプレグ層32の孔内、第1の一次側コイル層11の孔81内、孔81と対応するプリプレグ層33の孔内、コイル層221の孔81内、コイル層222の孔81内、孔81と対応するプリプレグ層34の孔内、第2の一次側コイル層12の孔81内、及び、孔81と対応するプリプレグ層35の孔内に、それぞれビア241が埋設されている。
さらに、孔81と対応するプリプレグ層35の孔内に埋設されているビア241は、当該孔の下方においてモールド樹脂92に形成された孔を介して、導電材料により構成された端子部材142と電気的に接続されている。端子部材142とビア241とは、例えば、はんだ接合することができる。この端子部材142は、モールド樹脂92から下方に突出しており、外部端子181(
図6)を構成している。
図7では、端子部材142において、モールド樹脂92から下方に突出している部分が示されている。
【0050】
同様に、コイル層222(コイル層54)のコイル導体パターン63の外部接続は、例えば、以下に説明するようにして実現される。
コイル層222の孔85内、孔85と対応するプリプレグ層34の孔内、第2の一次側コイル層12の孔85内、孔85と対応するプリプレグ層35の孔内に、それぞれビア241が埋設されている。
さらに、孔85と対応するプリプレグ層35の孔内に埋設されているビア241は、当該孔の下方においてモールド樹脂92に形成された孔を介して、導電材料により構成された端子部材142と電気的に接続されている。この端子部材142は、モールド樹脂92から下方に突出しており、外部端子182(
図6)を構成している。外部端子182を構成する端子部材142は、
図7には示されていない。
【0051】
以上、図面を参照して各実施形態を説明したが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0052】
例えば、上記の第1実施形態においては、第1の一次側コイル151と第2の一次側コイル152とがそれぞれ単層のコイル導体パターン63を備えて構成されている例を説明したが、第1の一次側コイル151と第2の一次側コイル152とがそれぞれ複数層のコイル導体パターン63を備えて構成されていてもよく、その場合に、第1の一次側コイル151を構成する各層のコイル導体パターン63が直列に接続されているとともに、第2の一次側コイル152を構成する各層のコイル導体パターン63が直列に接続されていてもよい。
すなわち、第1の一次側コイル151を構成する各層のコイル導体パターン63の各々、並びに、第2の一次側コイル152を構成する各層のコイル導体パターン63の各々は、一対の接続端子65を有し、第1の一次側コイル151を構成する各層のコイル導体パターン63の接続端子65どうしがスルーホールを貫通して設けられた導体ピンを介して電気的に接続されていることで、第1の一次側コイル151を構成する各層のコイル導体パターン63が直列に接続されており、第2の一次側コイル152を構成する各層のコイル導体パターン63の接続端子65どうしがスルーホールを貫通して設けられた導体ピンを介して電気的に接続されていることで、第2の一次側コイル152を構成する各層のコイル導体パターン63が直列に接続されていてもよい。
【0053】
また、第1の二次側コイル161の層数及び巻数は、上記の例に限らず、例えば、4層で合計4巻きであってもよい。同様に、第2の二次側コイル162の層数及び巻数は、上記の例に限らず、例えば、4層で合計4巻きであってもよい。
また、第1の一次側コイル151の層数及び巻数は、上記の例に限らず、例えば、4層で合計4巻きであってもよい。同様に、第2の一次側コイル152の層数及び巻数は、上記の例に限らず、例えば、4層で合計4巻きであってもよい。
【0054】
また、上記の各実施形態では、第1の二次側コイル161、第1の一次側コイル151、第2の二次側コイル162及び第2の一次側コイル152の各々が、1層あたり1巻きのコイル導体パターン63を有する例を説明したが、本発明は、この例に限らない。例えば、第1の二次側コイル161、第1の一次側コイル151、第2の二次側コイル162及び第2の一次側コイル152の各々が、1層あたり2巻きのコイル導体パターン63を有していてもよい。
【0055】
また、上記の各実施形態では、第1の一次側コイル151及び第2の一次側コイル152におけるコイル導体パターン63の巻数よりも、第1の二次側コイル161及び第2の二次側コイル162におけるコイル導体パターン63の巻数の方が多い例を説明した。ただし、本発明は、この例に限らず、第1の一次側コイル151及び第2の一次側コイル152におけるコイル導体パターン63の巻数が、第1の二次側コイル161及び第2の二次側コイル162におけるコイル導体パターン63の巻数よりも多くてもよい。
【0056】
また、上記の第1実施形態においては、第1の一次側コイル151と第2の一次側コイル152とが相互に電気的に接続されている例を説明したが、第1の一次側コイル151と第2の一次側コイル152とは相互に電気的に接続されていなくてもよい。この場合、第1の一次側コイル151が一対の外部端子を有するとともに、第2の一次側コイル152も一対の外部端子を有する。
また、上記の第1実施形態においては、第1の二次側コイル161と第2の二次側コイル162とが相互に電気的に接続されている例を説明したが、第1の二次側コイル161と第2の二次側コイル162とは相互に電気的に接続されていなくてもよい。この場合、第1の二次側コイル161が一対の外部端子を有するとともに、第2の二次側コイル162も一対の外部端子を有する。
【0057】
また、上記の各実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、適宜に組み合わせることができる。
【0058】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)一次側コイルと二次側コイルとを備え、
前記一次側コイルは、
1層以上のコイル導体パターンを含んで構成されている第1の一次側コイルと、
1層以上のコイル導体パターンを含んで構成されている第2の一次側コイルと、
を有し、
前記二次側コイルは、
1層以上のコイル導体パターンを含んで構成されている第1の二次側コイルと、
1層以上のコイル導体パターンを含んで構成されている第2の二次側コイルと、
を有し、
前記第1の二次側コイルと、前記第1の一次側コイルと、前記第2の二次側コイルと、前記第2の一次側コイルと、が絶縁層を介してこの順に積層されている平面型トランス。
(2)前記第1の二次側コイルと、前記第1の一次側コイルと、前記第2の二次側コイルと、前記第2の一次側コイルと、のうちのいずれか1つ以上は、複数層のコイル導体パターンを含んで構成されている(1)に記載の平面型トランス。
(3)前記第1の一次側コイルと前記第2の一次側コイルとでコイル導体パターンの層数及び巻数が互いに等しく、
前記第1の二次側コイルと前記第2の二次側コイルとでコイル導体パターンの層数及び巻数が互いに等しい(1)又は(2)に記載の平面型トランス。
(4)前記第1の二次側コイル、前記第1の一次側コイル、前記第2の二次側コイル及び前記第2の一次側コイルの各々は、1層あたり1巻きのコイル導体パターンを有する(3)に記載の平面型トランス。
(5)前記第1の二次側コイルを構成する各層のコイル導体パターンの各々、並びに、前記第2の二次側コイルを構成する各層のコイル導体パターンの各々は、一対の接続端子を有し、
前記第1の二次側コイルを構成する各層のコイル導体パターンの接続端子どうしがスルーホールを貫通して設けられた導体ピンを介して電気的に接続されていることで、前記第1の二次側コイルを構成する各層のコイル導体パターンが直列に接続されており、
前記第2の二次側コイルを構成する各層のコイル導体パターンの接続端子どうしがスルーホールを貫通して設けられた導体ピンを介して電気的に接続されていることで、前記第2の二次側コイルを構成する各層のコイル導体パターンが直列に接続されている(1)から(4)のいずれか一項に記載の平面型トランス。
(6)前記第1の一次側コイルを構成する各層のコイル導体パターンの各々、並びに、前記第2の一次側コイルを構成する各層のコイル導体パターンの各々は、一対の接続端子を有し、
前記第1の一次側コイルを構成する各層のコイル導体パターンの接続端子どうしがスルーホールを貫通して設けられた導体ピンを介して電気的に接続されていることで、前記第1の一次側コイルを構成する各層のコイル導体パターンが直列に接続されており、
前記第2の一次側コイルを構成する各層のコイル導体パターンの接続端子どうしがスルーホールを貫通して設けられた導体ピンを介して電気的に接続されていることで、前記第2の一次側コイルを構成する各層のコイル導体パターンが直列に接続されている(1)から(5)のいずれか一項に記載の平面型トランス。
(7)前記コイル導体パターンの総数と対応する数のコイル層を備え、
前記コイル層の各々は、基板と、前記基板の一方の面に形成された前記コイル導体パターンと、を有し、
前記コイル導体パターンの各々は、環状に形成されている環状部と、前記環状部の両端部からそれぞれ延出している一対の接続端子と、を有し、
前記基板は、当該基板の一の辺に沿って所定間隔で形成されているとともに、それぞれ当該基板を貫通している複数の孔を有し、
前記複数の孔の各々の内周面には導体メッキが形成されており、
前記一対の接続端子のうちの一方は、前記複数の孔のうち隣り合う2つの孔の一方に接続されており、
前記一対の接続端子のうちの他方は、前記隣り合う2つの孔の他方に接続されている(1)から(6)のいずれか一項に記載の平面型トランス。
(8)前記一次側コイルを構成する前記コイル導体パターンのうち互いに隣り合う2つの層に配置されている一対のコイル導体パターンは、前記一対の接続端子のうちの一方どうしが、互いに同一の平面位置に配置されて重なっており、前記一対の接続端子のうちの他方どうしが、互いに異なる平面位置に配置されており、
前記二次側コイルを構成する前記コイル導体パターンのうち互いに隣り合う層に配置されている一対のコイル導体パターンは、前記一対の接続端子のうちの一方どうしが、互いに同一の平面位置に配置されて重なっており、前記一対の接続端子のうちの他方どうしが、互いに異なる平面位置に配置されている(7)に記載の平面型トランス。
(9)前記一対の接続端子が互いに平行に延在している(7)又は(8)に記載の平面型トランス。