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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-110817(P2020-110817A)
(43)【公開日】2020年7月27日
(54)【発明の名称】金型装置
(51)【国際特許分類】
   B21D 28/02 20060101AFI20200626BHJP
   B21D 28/14 20060101ALI20200626BHJP
   H02K 1/18 20060101ALI20200626BHJP
【FI】
   B21D28/02 C
   B21D28/14 E
   H02K1/18 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-2797(P2019-2797)
(22)【出願日】2019年1月10日
(71)【出願人】
【識別番号】000144038
【氏名又は名称】株式会社三井ハイテック
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100153969
【弁理士】
【氏名又は名称】松澤 寿昭
(72)【発明者】
【氏名】大和 茂敏
【テーマコード(参考)】
5H601
【Fターム(参考)】
5H601CC01
5H601DD01
5H601DD09
5H601DD11
5H601DD18
5H601GA02
5H601GB12
5H601GB33
5H601GC12
5H601GD02
5H601GD08
5H601GD22
5H601KK01
5H601KK29
(57)【要約】
【課題】本開示は、打ち抜かれた金属製品の形状の精度を高めることが可能な金型装置を説明する。
【解決手段】金型装置は、帯状の金属板の長手方向に対して一列に並ぶようにダイホルダに保持された第1及び第2のダイプレートと、第1のダイプレートに保持され、自身を貫通する第1のダイ孔が設けられた第1のダイと、第2のダイプレートに保持され、自身を貫通する第2のダイ孔が設けられた第2のダイと、第1のダイに対向するように配置され、第1のダイ孔に対して挿抜可能に構成された第1のパンチと、第2のダイに対向するように配置され、第2のダイ孔に対して挿抜可能に構成された第2のパンチとを備える。第1のダイプレートと第2のダイプレートとは長手方向において離間している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の金属板の長手方向に対して一列に並ぶようにダイホルダに保持された第1及び第2のダイプレートと、
前記第1のダイプレートに保持され、自身を貫通する第1のダイ孔が設けられた第1のダイと、
前記第2のダイプレートに保持され、自身を貫通する第2のダイ孔が設けられた第2のダイと、
前記第1のダイに対向するように配置され、前記第1のダイ孔に対して挿抜可能に構成された第1のパンチと、
前記第2のダイに対向するように配置され、前記第2のダイ孔に対して挿抜可能に構成された第2のパンチとを備え、
前記第1のダイプレートと前記第2のダイプレートとは前記長手方向において離間している、金型装置。
【請求項2】
前記第1のダイは外形抜き用のダイである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1のダイプレートは前記ダイホルダに設けられた凹部内に配置されている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1のダイプレートと前記凹部との間に配置された金属ライナをさらに備える、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第1のダイ孔は、上方から見て前記金属板の幅方向に延びる長孔である、請求項2〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記第1のダイ孔は、
前記金属板の幅方向において直線状に延びるヨーク対応領域と、
前記ヨーク対応領域から前記金属板の長手方向に突出すると共に前記金属板の幅方向において所定間隔をもって一列に並ぶ複数のティース対応領域とを含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第1及び第2のダイプレートの表面は前記ダイホルダの表面よりも上方に位置している、請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、金型装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、順送り金型を開示している。順送り金型は、例えば、コイル状に巻回された帯状の金属板(コイル材)をアンコイラーから間欠的に送り出しながら、当該金属板をパンチで順次打ち抜いて、金属製品を製造するように構成されている。そのため、順送り金型は、金属板の長手方向(金属板の搬送方向)に並ぶ複数のダイ孔が設けられた下型と、当該複数のダイ孔にそれぞれ対応する複数のパンチとを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5719979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、パンチによって金属製品が打ち抜かれる際、当該パンチに対応するダイ孔の周囲に対して打抜荷重の15%程度の横荷重が作用することがある。この横荷重により当該ダイ孔が広がると、長手方向において当該ダイ孔に隣り合う他のダイ孔の位置がずれて、打ち抜かれた金属製品の形状の精度に影響が生じうる。
【0005】
そこで、本開示は、打ち抜かれた金属製品の形状の精度を高めることが可能な金型装置を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一つの観点に係る金型装置は、帯状の金属板の長手方向に対して一列に並ぶようにダイホルダに保持された第1及び第2のダイプレートと、第1のダイプレートに保持され、自身を貫通する第1のダイ孔が設けられた第1のダイと、第2のダイプレートに保持され、自身を貫通する第2のダイ孔が設けられた第2のダイと、第1のダイに対向するように配置され、第1のダイ孔に対して挿抜可能に構成された第1のパンチと、第2のダイに対向するように配置され、第2のダイ孔に対して挿抜可能に構成された第2のパンチとを備える。第1のダイプレートと第2のダイプレートとは長手方向において離間している。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る金型装置によれば、打ち抜かれた金属製品の形状の精度を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、固定子積層鉄心の一例を示す斜視図である。
図2図2は、積層鉄心の製造装置の一例を示す概略図である。
図3図3は、金型装置の一例を示す概略断面図である。
図4図4は、外形抜き用のダイプレートの近傍を例示する断面図である。
図5図5は、外形抜き用のダイプレートの近傍を例示する斜視図である。
図6図6は、打抜部材の一例を示す上面図である。
図7図7は、外形抜き用のダイプレートの近傍の他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示に係る実施形態の一例について、図面を参照しつつより詳細に説明する。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0010】
[固定子積層鉄心]
まず、図1を参照して、固定子積層鉄心1の構成について説明する。固定子積層鉄心1(ステータ)は、円筒形状を呈している。固定子積層鉄心1の中央部分には、中心軸Axに沿って延びる貫通孔1aが設けられている。貫通孔1a内には、図示しない回転子鉄心(ロータ)が配置可能である。固定子積層鉄心1は、回転子鉄心と共に電動機(モータ)を構成する。
【0011】
固定子積層鉄心1は、複数の打抜部材Wが積層された積層体St(図2参照)を加工して得られる。固定子積層鉄心1は、一つのヨーク部2と、複数のティース部3とを有する。
【0012】
ヨーク部2は、円環状を呈しており、中心軸Axを囲むように延びている。ヨーク部2の内径、外径、幅等はそれぞれ、モータの用途及び性能に応じて種々の大きさに設定しうる。ヨーク部2は、複数のヨーク2aと、複数の連結部2bとを含む。
【0013】
連結部2bは、固定子積層鉄心1の円周方向において隣り合うヨーク2aの間に位置すると共に、ヨーク2aの外縁側に位置している。連結部2bは、固定子積層鉄心1の周方向において隣り合うヨーク2a同士を一体的に連結している。連結部2bによって連結されているヨーク2aの内縁側には、切欠部4が形成されている。図1に示される例では、切欠部4内に隙間が存在しているが、切欠部4の側面同士が接触していてもよい。
【0014】
各ティース部3はそれぞれ、対応するヨーク2aの内縁から中心軸Ax側に向かうように、固定子積層鉄心1の径方向に延びている。図1に示される例では、一つのティース部3が一つのヨーク2aに一体的に形成されており、一つの鉄心片を構成している。
【0015】
各ティース部3は、固定子積層鉄心1の周方向において、略等間隔で並んでいる。固定子積層鉄心1がモータとして構成される場合には、各ティース部3には、巻線(図示せず)が所定回数巻回される。隣り合うティース部3の間には、巻線を配置するための空間であるスロット5が画定されている。
【0016】
ヨーク部2及びティース部3にはそれぞれカシメ部6が設けられている。カシメ部6は、複数の打抜部材Wのうち隣り合う2つの打抜部材Wを互いに締結するように構成されている。なお、カシメ部6は、ヨーク部2及びティース部3の少なくとも一方に設けられていてもよい。
【0017】
[固定子積層鉄心の製造装置]
続いて、図2を参照して、固定子積層鉄心1の製造装置10について説明する。製造装置10は、帯状の電磁鋼板ES(金属板)から積層鉄心を製造するための装置である。製造装置10は、アンコイラー20と、送出装置30と、金型装置100と、コントローラCtr(制御部)とを備える。
【0018】
アンコイラー20は、コイル状に巻回された帯状の電磁鋼板ESであるコイル材21が装着された状態で、コイル材21を回転自在に保持する。送出装置30は、電磁鋼板ESを上下から挟み込む一対のローラ31,32を有する。一対のローラ31,32は、コントローラCtrからの指示信号に基づいて回転及び停止し、電磁鋼板ESを金型装置100に向けて間欠的に順次送り出す。
【0019】
コントローラCtrは、例えば、記録媒体(図示せず)に記録されているプログラム又はオペレータからの操作入力等に基づいて、送出装置30及び金型装置100をそれぞれ動作させるための指示信号を生成し、これらに送信するように構成されている。
【0020】
[金型装置の詳細]
続いて、図3図5を参照して、金型装置100の詳細について説明する。金型装置100は、送出装置30によって間欠的に送り出される電磁鋼板ESを順次打抜加工して打抜部材Wを形成するように構成されている。金型装置100は、打抜加工によって得られた打抜部材Wを順次積層しつつ重ね合わせて積層体Stを製造するように構成されている。
【0021】
金型装置100は、下型200と、上型300と、プレス機400とを含む。下型200は、ベース210と、ダイホルダ220と、複数のダイ部材D1〜D4と、複数のガイドポスト230とを含む。ベース210は、例えば床面上に固定されており、金型装置100全体の土台として機能する。
【0022】
ダイホルダ220は、ベース210上に支持されている。ダイホルダ220には、複数の排出孔C1〜C4と、複数の凹部E1〜E4とが形成されている。ダイホルダ220は、例えば、焼き入れ等の熱処理が施されていない鋼材(生材)で構成されていてもよい。
【0023】
複数の排出孔C1〜C4は、図3に例示されるように、ダイホルダ220の内部を上下方向(図3図5の矢印Z参照)に延びていてもよい。複数の排出孔C1〜C4には、電磁鋼板ESから打ち抜かれた材料(例えば、打抜部材W、廃材等)が排出される。
【0024】
複数の凹部E1〜E4はそれぞれ、排出孔C1〜C4と対応するように排出孔C1〜C4の上端と接続されており、ダイホルダ220の上面に向けて開放されている。複数の凹部E1〜E4は、送出装置30による電磁鋼板ESの搬送方向(図3図5の矢印X参照)において一列に並んでいる。当該搬送方向は、電磁鋼板ESの長手方向でもある。図3に例示されるように、複数の凹部E1〜E4のいずれもが、長手方向において隣り合う他の凹部と離間していてもよい。凹部E4の深さは、図3に例示されるように、他の凹部E1〜E3よりも深く設定されていてもよい。
【0025】
複数のダイ部材D1〜D4は、ダイホルダ220の上部に取り付けられている。ダイ部材D1は、背面板D11と、ダイプレートD12と、ダイD13とを含む。背面板D11は、凹部E1内に収容されている。図3に例示されるように、背面板D11が凹部E1内に収容された状態において、背面板D11の上面はダイホルダ220の上面と略同一面とされていてもよい。背面板D11は、ダイプレートD12及びダイD13を保持するように構成されている。背面板D11は、例えば、焼き入れ等の熱処理が施された鋼材で構成されていてもよい。背面板D11の中央部には、上下方向に貫通する貫通孔が形成されている。当該貫通孔は排出孔C1と連通している。
【0026】
ダイプレートD12は、背面板D11上に載置されており、背面板D11を介してダイホルダ220に保持されている。すなわち、ダイプレートD12の上面は、ダイホルダ220の上面よりも上方に位置していてもよい。ダイプレートD12の中央部には、上下方向に貫通する貫通孔が形成されている。ダイプレートD12は、当該貫通孔内にダイD13を保持するように構成されている。ダイプレートD12は、例えば、焼き入れ等の熱処理が施された鋼材で構成されていてもよい。
【0027】
ダイD13は、ダイプレートD12の貫通孔内に収容され且つ背面板D11上に載置されている。ダイD13の中央部には、上下方向に貫通するダイ孔が形成されている。当該ダイ孔は背面板D11の貫通孔と連通している。上方から見たときに、ダイD13の外形は背面板D11の外形よりも小さくてもよい。ダイD13のダイ孔内に対して、対応するパンチP1(後述する)が挿抜されることで、当該ダイ孔の輪郭に沿った形状で電磁鋼板ESが打ち抜かれる。ダイD13は、例えば、炭化タングステンを含む超硬合金で構成されていてもよい。
【0028】
ダイ部材D2は、背面板D21と、ダイプレートD22と、ダイD23とを含む。背面板D21、ダイプレートD22及びダイD23はそれぞれ、背面板D11、ダイプレートD12及びダイD13と同様に構成されている。ただし、背面板D21が凹部E2内に収容されており、背面板D21の貫通孔が排出孔C2と連通している点で、背面板D11と相違している。そのため、背面板D21上に載置されているダイプレートD22は、搬送方向において隣り合うダイプレートD12とは離間している。また、ダイD23のダイ孔内に対して、対応するパンチP2(後述する)が挿抜されることで、当該ダイ孔の輪郭に沿った形状で電磁鋼板ESが打ち抜かれる点で、ダイD13と相違している。
【0029】
ダイ部材D3は、背面板D31と、ダイプレートD32(第2のダイプレート)と、ダイD33(第2のダイ)とを含む。背面板D31、ダイプレートD32及びダイD33はそれぞれ、背面板D11、ダイプレートD12及びダイD13と同様に構成されている。ただし、背面板D31が凹部E3内に収容されており、背面板D31の貫通孔が排出孔C3と連通している点で、背面板D11と相違している。そのため、背面板D31上に載置されているダイプレートD32は、搬送方向において隣り合うダイプレートD22とは離間している。また、ダイD33のダイ孔(第2のダイ孔)内に対して、対応するパンチP3(後述する)が挿抜されることで、当該ダイ孔の輪郭に沿った形状で電磁鋼板ESが打ち抜かれる点で、ダイD13と相違している。
【0030】
ダイ部材D4は、図3図5に示されるように、背面板D41と、ダイプレートD42(第1のダイプレート)と、ダイD43(第1のダイ)と、スクイズリングD44と、金属ライナD45とを含む。背面板D41は、凹部E4内に収容されている。図3及び図4に例示されるように、背面板D41が凹部E4内に収容された状態において、背面板D41は、その全体が凹部E4内に収容されるように凹部E4の底部に位置していてもよい。
【0031】
背面板D41は、ダイプレートD42、ダイD43及びスクイズリングD44を保持するように構成されている。背面板D41は、例えば、焼き入れ等の熱処理が施された鋼材で構成されていてもよい。背面板D41の中央部には、上下方向に貫通する貫通孔D41a(図4参照)が形成されている。貫通孔D41aは排出孔C4と連通している。
【0032】
ダイプレートD42は、背面板D41上に載置されており、背面板D41を介してダイホルダ220に保持されている。そのため、ダイプレートD42は、搬送方向において隣り合うダイプレートD32とは離間している。図4及び図5に示されるように、ダイプレートD42の下部は凹部E4内に収容されており、ダイプレートD42の上部は凹部E4の外方に突出していてもよい。すなわち、ダイプレートD42の上面は、ダイホルダ220の上面よりも上方に位置していてもよい。
【0033】
ダイプレートD42の中央部には、上下方向に貫通する貫通孔D42aが形成されている。ダイプレートD42は、貫通孔D42a内にダイD43を保持するように構成されている。ダイプレートD42は、例えば、焼き入れ等の熱処理が施された鋼材で構成されていてもよい。
【0034】
ダイD43は、ダイプレートD42の貫通孔D42a内に収容され且つスクイズリングD44上に載置されている。ダイD43の上面は、ダイプレートD42の上面と略同一面であってもよい。ダイプレートD42及びダイD43の上面は、他のダイプレートD12,D22,D32及びダイD13,D23,D33の上面と略同一面であってもよい。ダイD43の中央部には、上下方向に貫通するダイ孔D43a(第1のダイ孔)(図3及び図4参照)が形成されている。ダイD43のダイ孔D43a内に対して、対応するパンチP4(第1のパンチ)(後述する)が挿抜されることで、ダイ孔D43aの輪郭に沿った形状で電磁鋼板ESが打ち抜かれる。ダイD43は、例えば、炭化タングステンを含む超硬合金で構成されていてもよい。図5に例示されるように、複数の分割片が組み合わされることによりダイD43が構成されていてもよい。
【0035】
ダイ部材D4は、外形抜きのために用いられてもよい。この場合、ダイ孔D43aの形状は打抜部材Wの外形と略同一となる。ダイ孔D43aを通じて打ち抜かれた打抜部材Wは、図4に示されるように、上下動可能に構成されたシリンダD46によって支持される。シリンダD46は、打抜部材Wが積み重ねられるごとに間欠的に下方に移動するように構成されている。シリンダD46上に積層された打抜部材Wが所定枚数となり、積層体Stが形成されると、シリンダD46が降下して、シリンダD46上の積層体Stが排出孔C4を通じて金型装置100の外部に排出される。なお、ダイ部材D4はシリンダD46を含んでいなくてもよい。
【0036】
ダイ孔D43aは、図5に示されるように、一つのヨーク対応領域D43bと、複数のティース対応領域D43cとを含む。一つのヨーク対応領域D43bは、電磁鋼板ESの幅方向(図3図5の矢印Y参照)において直線状に延在している。複数のティース対応領域D43cは、ヨーク対応領域D43bから電磁鋼板ESの長手方向に向けて突出している。複数のティース対応領域D43cは、電磁鋼板ESの幅方向において所定間隔をもって一列に並んでいる。そのため、ダイ孔D43aは、全体として電磁鋼板ESの幅方向に延びる長孔状を呈していてもよいし、全体として櫛歯状を呈していてもよい。
【0037】
スクイズリングD44は、図3及び図4に示されるように、ダイプレートD42の貫通孔D42a内に収容され且つ背面板D41とダイD43との間に配置されている。スクイズリングD44の中央部には、図4に示されるように、上下方向に貫通する貫通孔D44aが形成されている。貫通孔D44aは、背面板D41の貫通孔D41aと、ダイD43のダイ孔D43aとにそれぞれ連通している。
【0038】
貫通孔D44aの径は、ダイ孔D43aの径よりも小さく設定されている。例えば、貫通孔D44aの径は、ダイ孔D43aの径よりも2μm〜10μm程度小さく設定されていてもよい。そのため、ダイ孔D43aにおいて打ち抜かれた打抜部材WがダイD43を通過してスクイズリングD44に到達すると、打抜部材Wの外周側から内側に向かう側圧が打抜部材Wに作用する。そのため、打抜部材WがスクイズリングD44に保持されて下方に落下しがたくなるので、後続の打抜部材Wとの間でカシメ部6を介した締結がより確実に行えるようになる。
【0039】
上方から見たときに、ダイD43及びスクイズリングD44の外形は背面板D41の外形よりも小さくてもよい。スクイズリングD44は、例えば、炭化タングステンを含む超硬合金で構成されていてもよい。
【0040】
金属ライナD45は、ダイプレートD42の周囲を取り囲むように、ダイプレートD42とダイホルダ220との間に介在している。図5に例示されるように、複数の金属ライナD45がダイプレートD42とダイホルダ220との間に介在していてもよい。金属ライナD45は、ダイホルダ220に対するダイプレートD42の位置を調整するために用いられる。そのため、金属ライナD45のサイズは、位置調整の目的が達成できる範囲で適宜選択されてもよい。
【0041】
ダイプレートD42及び金属ライナD45の取り付けの観点から、金属ライナD45は、その上端側の厚さが下端側よりも薄いテーパ形状を呈していてもよい。あるいは、ダイプレートD42の下部の外形がダイプレートD42の上部の外形よりも小さく設定されていてもよい。
【0042】
複数のガイドポスト230は、図3に示されるように、ダイホルダ220から上方に向けて直線状に延びている。複数のガイドポスト230は、ガイドブッシュ311(後述する)と共に、上型300を上下方向に案内するように構成されている。なお、複数のガイドポスト230は、上型300から下方に向けて延びるように上型300に取り付けられていてもよい。
【0043】
上型300は、パンチホルダ310と、ストリッパ320と、複数のパンチP1〜P4とを含む。パンチホルダ310は、ダイホルダ220と対向するようにダイホルダ220の上方に配置されている。パンチホルダ310は、その下面側において複数のパンチP1〜P4を保持するように構成されている。
【0044】
パンチホルダ310には、複数のガイドブッシュ311が設けられている。複数のガイドブッシュ311はそれぞれ、複数のガイドポスト230に対応するように位置している。ガイドブッシュ311は円筒状を呈しており、ガイドポスト230がガイドブッシュ311の内部空間を挿通可能である。
【0045】
パンチホルダ310には、複数の貫通孔312が設けられている。貫通孔312の内周面には、階段状の段差が形成されている。そのため、貫通孔312の上部の径は、貫通孔312の下部の径よりも小さく設定されている。
【0046】
ストリッパ320は、パンチP1〜P4で電磁鋼板ESを打ち抜く際にパンチP1〜P4に食いついた電磁鋼板ESをパンチP1〜P4から取り除くように構成されている。ストリッパ320は、ダイ部材D1〜D4とパンチホルダ310との間に配置されている。
【0047】
ストリッパ320は、接続部材321を介してパンチホルダ310と接続されている。接続部材321は、長尺状の本体部と、本体部の上端に設けられた頭部とを含む。本体部は、貫通孔312の下部に挿通されており、貫通孔312内を上下動可能である。本体部の下端は、ストリッパ320に固定されている。本体部の周囲には、例えば圧縮コイルばね等の付勢部材322が取り付けられている。
【0048】
頭部は、貫通孔312の上部に配置されている。頭部の外形は、上方から見たときに、本体部の外形よりも大きく設定されている。そのため、頭部は、貫通孔312の上部を上下動可能であるが、貫通孔312の段差がストッパとして機能して、貫通孔312の下部に移動できないようになっている。そのため、ストリッパ320は、パンチホルダ310に対して相対的に上下移動可能となるように、パンチホルダ310に吊り下げ保持されている。
【0049】
ストリッパ320には、パンチP1〜P4に対応する位置に貫通孔がそれぞれ設けられている。各貫通孔はそれぞれ、上下方向に延びている。各貫通孔はそれぞれ、上方から見たときに、対応するダイD13,D23,D33,D43のダイ孔と連通する。各貫通孔内にはそれぞれ、パンチP1〜P4の下部が挿通されている。パンチP1〜P4の当該下部はそれぞれ、各貫通孔内においてスライド可能である。
【0050】
プレス機400は、上型300の上方に位置している。プレス機400のピストンは、パンチホルダ310に接続されており、コントローラCtrからの指示信号に基づいて動作する。プレス機400が動作すると、そのピストンが伸縮して、上型300が全体的に上下動する。
【0051】
[固定子積層鉄心の製造方法]
続いて、固定子積層鉄心1の製造方法について説明する。電磁鋼板ESが送出装置30によって間欠的に金型装置100に送り出され、電磁鋼板ESの非加工部位がダイ部材D1に到達すると、プレス機400が動作して、上型300を下型200に向けて下方に押し出す。ストリッパ320が電磁鋼板ESに到達して、ストリッパ320とダイ部材D1とで電磁鋼板ESが挟持された後も、プレス機400が上型300を下方に向けて押し出す。このとき、ストリッパ320は移動しないが、パンチホルダ310及びパンチP1〜P4は引き続き降下する。そのため、パンチP1〜P4の先端部はそれぞれ、ストリッパ320の各貫通孔内を下方に移動し、さらにダイD13,D23,D33,D43のダイ孔に到達する。この過程で、パンチP1が電磁鋼板ESをダイD13のダイ孔に沿って打ち抜く。打ち抜かれた廃材は、排出孔C1から排出される。その後、プレス機400が動作して、上型300を上昇させる。
【0052】
次に、電磁鋼板ESが送出装置30によって間欠的に送り出され、電磁鋼板ESの非加工部位がダイ部材D2,D3,D4に順次到達すると、プレス機400によって上型300が上記と同様に上下動し、パンチP2,P3,P4による電磁鋼板ESの打ち抜き又は加工が行われる。ダイ部材D4においては、パンチP1〜P3の加工を経た電磁鋼板ESがダイD43のダイ孔D43aに沿った形状に打ち抜かれ、打抜部材Wが形成される。
【0053】
ここで、打抜部材Wは、図6に示されるように、一つのヨーク部W1と、複数のティース部W2とを含む。ヨーク部W1の形状は、ヨーク対応領域D43bの形状と対応している。そのため、ヨーク部W1は、所定方向において直線状に延在している。
【0054】
ヨーク部W1は、複数のヨークW1aと、複数の連結部W1bとを含む。複数のヨークW1aはそれぞれ、ヨーク部W1の長手方向に延びるように当該長手方向において一列に並んでいる。連結部W1bは、隣り合うヨークW1aの間に位置すると共に、ヨークW1aの外縁側(ティース部W2とは反対側)に位置している。連結部W1bは、隣り合うヨークW1a同士を一体的に連結している。連結部W1bによって連結されているヨーク32aの内縁側には、切欠部W3が形成されている。
【0055】
複数のティース部W2の形状はそれぞれ、複数のティース対応領域D43cの形状と対応している。そのため、複数のティース部W2はそれぞれ、ヨーク部W1の長手方向に対して交差する方向に向けて、ヨーク部W1から突出している。ヨーク部W1及びティース部W2にはそれぞれカシメ部W4が形成されている。
【0056】
このような構成を有する打抜部材Wは、ダイD43及びスクイズリングD44内において、既に打ち抜かれた打抜部材Wとカシメ部6を介して締結されつつ積層される。シリンダD46上において所定枚数の打抜部材Wが積層され、積層体Stが形成されると、積層体Stは、金型装置100の外部に払い出され、図示しない加工機に搬送される。加工機では、ヨーク部W1が円環状になるように積層体Stを各切欠部W3において折り曲げる処理と、ヨーク部W1の両端同士を溶接して接合する処理とが行われる。これにより、固定子積層鉄心1が製造される。したがって、打抜部材Wのヨーク部W1、ティース部W2、切欠部W3及びカシメ部W4はそれぞれ、固定子積層鉄心1のヨーク部2、ティース部3、切欠部4及びカシメ部6に相当する。
【0057】
[作用]
以上の例によれば、複数のダイプレートD12,D22,D32,D42のいずれもが、長手方向において隣り合う他のダイプレートと離間している。この場合、電磁鋼板ESの打ち抜き時に生ずる横荷重によって複数のダイD13,D23,D33,D43のいずれかが電磁鋼板ESの長手方向に膨らむように変形したとしても、これと隣り合う他のダイプレートが当該変形の影響をほとんど受けない。そのため、いずれのダイプレートD12〜E42においても、ダイ孔の位置ずれが生じがたくなる。したがって、打ち抜かれた打抜部材Wの形状の精度を高めることが可能となる。
【0058】
以上の例によれば、ダイD43は外形抜き用のダイとして用いられている。この場合、ダイ孔D43aは、一般に他のダイ孔よりも開口面積が大きい。そのため、外形抜き用のダイD43を保持するダイプレートD42は、打抜加工時の横荷重により変形しやすい傾向にある。しかしながら、長手方向において隣り合うダイプレートD32,D42が離間しているので、ダイプレートD42が変形したとしても、ダイプレートD32が当該変形の影響をほとんど受けない。したがって、打ち抜かれた打抜部材Wの形状の精度をより高めることが可能となる。
【0059】
以上の例によれば、ダイプレートD42はダイホルダ220に設けられた凹部E4内に配置されている。この場合、ダイプレートD42の周囲にダイホルダ220が存在しているので、ダイプレートD42が変形したとしても当該変形がダイホルダ220によって拘束される。そのため、ダイ孔の位置ずれがより生じがたくなるので、打ち抜かれた打抜部材Wの形状の精度をより高めることが可能となる。
【0060】
以上の例によれば、金属ライナD45がダイプレートD42と凹部E4との間に配置されている。この場合、ダイホルダ220に対するダイプレートD42の取付位置を、金属ライナD45によって微調整することが可能となる。また、ダイホルダ220とダイプレートD42との間に金属ライナ45が介在することで両者が直接接触しなくなるので、両者を共に保護することが可能となる。
【0061】
以上の例によれば、ダイ孔D43aが、全体として電磁鋼板ESの幅方向に延びる長孔状を呈している。この場合、ダイプレートD42は打抜加工時の横荷重により長手方向にいっそう変形しやすくなるが、長手方向において隣り合うダイプレートD32,D42が離間しているので、ダイプレートD42に隣り合うダイプレートD32が当該変形の影響をほとんど受けない。したがって、打ち抜かれた打抜部材Wの形状の精度をより高めることが可能となる。
【0062】
以上の例によれば、ダイ孔D43aが、電磁鋼板ESの幅方向において直線状に延びる一つのヨーク対応領域D43bを含んでいる。この場合、ダイ孔D43aが特に細長い形状となるので、ダイプレートD42は打抜加工時の横荷重により長手方向にいっそう変形しやすくなる。しかしながら、長手方向において隣り合うダイプレートD32,D42が離間しているので、ダイプレートD42に隣り合うダイプレートD32が当該変形の影響をほとんど受けない。したがって、打ち抜かれた打抜部材Wの形状の精度をより高めることが可能となる。
【0063】
以上の例によれば、ダイプレートD12,D22,D32,D42の上面はダイホルダ220の上面よりも上方に位置している。この場合、金型装置100のメンテナンスのためにダイプレートD12,D22,D32,D42の表面を研削する際に、ダイホルダ220への研削砥石の接触が防止される。そのため、ダイホルダ220の損耗を抑制することが可能となる。また、ダイホルダ220が生材で構成されている場合には、研削砥石がダイホルダ220に接触しないことにより、研削砥石の目詰まりを抑制することが可能となる。
【0064】
[変形例]
以上、本開示に係る実施形態について詳細に説明したが、特許請求の範囲及びその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を上記の実施形態に加えてもよい。
【0065】
(1)以上の例では、複数のヨーク2a(鉄心片)が連結部2bにより直列につながっており、連結部2bが折り曲げられることによって環状となる折り曲げ型の固定子積層鉄心1を製造する金型装置100について説明した。しかしながら、複数の鉄心片が組み合わされてなる分割型の固定子積層鉄心が金型装置100によって製造されてもよいし、非分割型の固定子積層鉄心が金型装置100によって製造されてもよい。あるいは、回転子積層鉄心が金型装置100によって製造されてもよい。金型装置100は、その他の種々の金属製品(例えば、リードフレーム)を製造するように構成された順送り金型であってもよい。
【0066】
分割型の固定子積層鉄心を構成する鉄心片は、一つのヨーク2aと、当該ヨーク2aに一体的に設けられた一つ又は複数のティース部3とによって構成されていてもよい。図7に、一つのヨーク2aに複数のティース部3が一体的に設けられた鉄心片を形成するための外形抜き用のダイD43の一例を示す。図7の例では、ヨーク対応領域D43bが円弧状を呈しており、ダイ孔D43aが、全体として電磁鋼板ESの幅方向に延びる長孔状を呈している。そのため、ダイプレートD42は打抜加工時の横荷重により長手方向にいっそう変形しやすくなる。しかしながら、長手方向において隣り合うダイプレートD32,D42が離間しているので、図7の例においても、ダイプレートD42に隣り合うダイプレートD32が当該変形の影響をほとんど受けない。
【0067】
(2)例えば、外形抜きに用いられないダイ孔が一つのダイに設けられており、当該ダイが一つのダイプレートによって保持されていてもよい。この場合も、打抜加工時の横荷重によって変形しやすい外形抜き用のダイプレートが、非外形抜き用のダイプレートと離間しているので、打ち抜かれた打抜部材Wの形状の精度を高めることが可能となる。
【0068】
(3)ヨーク対応領域D43bは、電磁鋼板ESの幅方向に略平行に延びていてもよいし(図5参照)、電磁鋼板ESの幅方向に対して所定の傾きをもって直線状に延びていてもよい。すなわち、ヨーク対応領域D43bは、電磁鋼板ESの幅方向に沿って延びていてもよい。
【0069】
(4)金型装置100は金属ライナD45を含んでいなくてもよい。
【0070】
(5)ダイプレートD12,D22,D32,D42の上面は、ダイホルダ220の上面と略同一面であってもよいし、ダイホルダ220の上面よりも下方に位置していてもよい。
【0071】
(6)以上の例では、各ダイプレートD12,D22,D32,D42にダイD13,D23,D33,D43がそれぞれ一つずつ配置されていたが、一つのダイプレートに対して複数のダイが配置されていてもよい。
【0072】
[例示]
例1.本開示の一つの例に係る金型装置(100)は、帯状の金属板(ES)の長手方向に対して一列に並ぶようにダイホルダ(220)に保持された第1及び第2のダイプレート(D42,D32)と、第1のダイプレート(D42)に保持され、自身を貫通する第1のダイ孔(D43a)が設けられた第1のダイ(D43)と、第2のダイプレート(D32)に保持され、自身を貫通する第2のダイ孔が設けられた第2のダイ(D33)と、第1のダイ(D43)に対向するように配置され、第1のダイ孔(D43a)に対して挿抜可能に構成された第1のパンチ(P4)と、第2のダイ(D33)に対向するように配置され、第2のダイ孔に対して挿抜可能に構成された第2のパンチ(P3)とを備える。第1のダイプレート(D43)と第2のダイプレート(D33)とは長手方向において離間している。この場合、例えば、第1のダイを通じた金属板の打ち抜きにより第1のダイに横荷重が作用して、第1のダイプレートが長手方向に膨らむように変形したとしても、第2のダイプレートが当該変形の影響をほとんど受けない。同様に、第2のダイを通じた金属板の打ち抜きにより第2のダイに横荷重が作用して、第2のダイプレートが長手方向に膨らむように変形したとしても、第1のダイプレートが当該変形の影響をほとんど受けない。そのため、これらの2つのダイプレートにおいて、ダイ孔の位置ずれが生じがたくなる。したがって、打ち抜かれた金属製品の形状の精度を高めることが可能となる。
【0073】
例2.例1の装置(100)において、第1のダイ(D43)は外形抜き用のダイであってもよい。第1のダイプレートが外形抜き用である場合、第1のダイ孔は、一般に他のダイ孔よりも開口面積が大きい。そのため、外形抜き用の第1のダイを保持する第1のダイプレートは、打抜加工時の横荷重により変形しやすい傾向にある。しかしながら、例2によれば、長手方向において隣り合う第1及び第2のダイプレートが離間しているので、第1のダイプレートが変形したとしても、それに隣り合う第2のダイプレートが当該変形の影響をほとんど受けない。したがって、打ち抜かれた金属製品の形状の精度をより高めることが可能となる。
【0074】
例3.例2の装置(100)において、第1のダイプレート(D43)はダイホルダ(220)に設けられた凹部(E4)内に配置されていてもよい。この場合、第1のダイプレートの周囲にダイホルダが存在しているので、第1のダイプレートが変形したとしても当該変形がダイホルダによって拘束される。そのため、ダイ孔の位置ずれがより生じがたくなるので、打ち抜かれた金属製品の形状の精度をより高めることが可能となる。
【0075】
例4.例3の装置(100)は、第1のダイプレート(D43)と凹部(E4)との間に配置された金属ライナ(D45)をさらに備えていてもよい。この場合、ダイホルダに対する第1のダイプレートの取付位置を、金属ライナによって微調整することが可能となる。また、ダイホルダと第1のダイプレートとの間に金属ライナが介在することで両者が直接接触しなくなるので、両者を共に保護することが可能となる。
【0076】
例5.例2〜例4のいずれかの装置(100)において、第1のダイ孔(D43a)は、上方から見て金属板(ES)の幅方向に延びる長孔であってもよい。この場合、第1のダイプレートは打抜加工時の横荷重により長手方向にいっそう変形しやすくなるが、長手方向において隣り合う第1及び第2のダイプレートが離間しているので、第1のダイプレートに隣り合う第2のダイプレートが当該変形の影響をほとんど受けない。したがって、打ち抜かれた金属製品の形状の精度をより高めることが可能となる。
【0077】
例6.例5の装置(100)において、第1のダイ孔(D43a)は、金属板(ES)の幅方向において直線状に延びるヨーク対応領域(D43b)と、ヨーク対応領域(D43b)から金属板(ES)の長手方向に突出すると共に金属板(ES)の幅方向において所定間隔をもって一列に並ぶ複数のティース対応領域(D43c)とを含んでいてもよい。この場合、第1のダイ孔は幅方向において特に細長い形状となるので、第1のダイプレートは打抜加工時の横荷重により長手方向にいっそう変形しやすくなる。しかしながら、長手方向において隣り合う第1及び第2のダイプレートが離間しているので、第1のダイプレートに隣り合う第2のダイプレートが当該変形の影響をほとんど受けない。したがって、打ち抜かれた金属製品の形状の精度をより高めることが可能となる。
【0078】
例7.例1〜例6のいずれかの装置(100)において、第1及び第2のダイプレート(D43,D33)の表面はダイホルダ(220)の表面よりも上方に位置していてもよい。この場合、金型装置のメンテナンスのために第1及び第2のダイプレートの表面を研削する際に、ダイホルダへの研削砥石の接触が防止される。そのため、ダイホルダの損耗を抑制することが可能となる。また、ダイホルダが生材で構成されている場合には、研削砥石がダイホルダに接触しないことにより、研削砥石の目詰まりを抑制することが可能となる。
【符号の説明】
【0079】
1…固定子積層鉄心、2…ヨーク部、3…ティース部、10…製造装置、100…金型装置、200…下型、220…ダイホルダ、300…上型、D1〜D4…ダイ部材、D32…ダイプレート(第2のダイプレート)、D33…ダイ(第2のダイ)、D42…ダイプレート(第1のダイプレート)、D43…ダイ(第1のダイ)、D43a…ダイ孔(第1のダイ孔)、D43b…ヨーク対応領域、D43c…ティース対応領域、D45…金属ライナ、E1〜E4…凹部、ES…電磁鋼板(金属板)、P3…パンチ(第2のパンチ)、P4…パンチ(第1のパンチ)、St…積層体、W…打抜部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7