特開2020-111330(P2020-111330A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2020-111330サスペンション装置用ナックルブラケット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-111330(P2020-111330A)
(43)【公開日】2020年7月27日
(54)【発明の名称】サスペンション装置用ナックルブラケット
(51)【国際特許分類】
   B60G 7/00 20060101AFI20200626BHJP
【FI】
   B60G7/00
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2020-77517(P2020-77517)
(22)【出願日】2020年4月24日
(62)【分割の表示】特願2019-74445(P2019-74445)の分割
【原出願日】2014年12月10日
(71)【出願人】
【識別番号】594058665
【氏名又は名称】株式会社ブリッツ
(74)【代理人】
【識別番号】100180976
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 一郎
(72)【発明者】
【氏名】駒形 行春
【テーマコード(参考)】
3D301
【Fターム(参考)】
3D301AA25
3D301AA68
3D301AA69
3D301AA85
3D301CA09
3D301DA08
3D301DA33
3D301DA52
3D301DB10
3D301DB16
3D301DB20
(57)【要約】
【課題】簡単な構造で、キャンパ角度調整機能を備えるサスペンション装置用ナックルブラケットを提供する。
【解決手段】サスペンション装置に使用されるナックルブラケットが、対向板面を有し、車輪側のナックルとの接続部位となるブラケット部とを備え、ブラケット部の上下にナックル連結用の取付孔が設けられると共に、ブラケット部の一方の対向板面に取付孔を含む座金嵌合部が設けられ、偏心位置に取付ボルトが貫通装着された偏心座金を座金嵌合部内に装着し、取付孔内の所定位置で取付ボルトを装着してブラケット部にナックルを連結するサスペンション装置用ナックルブラケットであって、偏心座金の回転位置によって取付ボルトの取付孔内での位置が連続的に変化するとともに、取付ボルトの移動範囲における中立位置および最端位置の両方において座金嵌合部との当接により偏心座金の上下方向の位置が固定される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向板面を有し、車輪側のナックルとの接続部位となるブラケット部を備え、
前記ブラケット部の上下に取付孔が設けられると共に、前記ブラケット部の一方の前記対向板面に前記取付孔を含む座金嵌合部が設けられ、
偏心位置に取付ボルトが貫通装着された偏心座金を前記座金嵌合部内に装着し、前記取付孔内の所定位置で前記取付ボルトを装着して前記ブラケット部に前記ナックルを連結するサスペンション装置用ナックルブラケットであって、
前記偏心座金の回転位置によって前記取付ボルトの前記取付孔内での位置が連続的に変化するとともに、前記取付ボルトの移動範囲における中立位置および最端位置の両方において前記座金嵌合部との当接により前記偏心座金の上下方向の位置が固定される、ことを特徴としたサスペンション装置用ナックルブラケット。
【請求項2】
前記取付ボルトの移動範囲における中立位置および最端位置の両方において、前記座金嵌合部の壁面と前記偏心座金の周面とが面接触する、請求項1記載のサスペンション装置用ナックルブラケット。
【請求項3】
前記ブラケット部の他方の前記対向板面に設けられた取付孔は、前記取付ボルトの上下方向の移動を制限する長孔形状に設けられた、請求項1または2に記載のサスペンション装置用ナックルブラケット。
【請求項4】
前記座金嵌合部は、前記ブラケット部の前記対向板面に設けた浅い凹部を有する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のサスペンション用ナックルブラケット。
【請求項5】
前記座金嵌合部は、前記凹部を囲繞する周壁を有する、請求項4記載のサスペンション用ナックルブラケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のサスペンション装置及びサスペンション装置に使用される部品(ナックルブラケット)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多用されている車両用の独立懸架式のサスペンション装置は、車体に装着するアッパーマウントを有するショックアブソーバーにコイルスプリングを外装し、車輪側(ナックル)と連結するナックルブラケット(ストラットシェルケース)を下端に設けている。
【0003】
前記のサスペンション装置は、車両高を使用者の好みの高さにするため、既存車両に装着されているサスペンション装置を取外し、所望高さの車両を得ることができるよう、長さが相違する代替部品が販売されている。
【0004】
また車高調整の手段としてショックアブソーバーの下端の外周にネジを刻設し、ナックルブラケットを螺合装着することで車高調整する手段も知られている(特許文献1)。
【0005】
更にサスペンション装置において、キャンバ角を調整する手段として、前記ナックルブラケットをショックアブソーバーの下端に回動可能に取り付け、ナックルブラケットを所望の角度に調整する調整ネジを組み込んだものが知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−143886号公報。
【特許文献2】特開2001−39137号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前記の特許文献1記載のサスペンション装置を採用して車高調整した場合、それに伴ってキャンバ角が僅かに変化してしまう。このため車両を使用すると走行性能に影響を与えると共に、タイヤの偏摩耗が生じてしまう。
【0008】
また所望の車高を得ることができるサスペンション装置を組み込んだ場合でも、当該車両の使用による経年変化により、所謂ヘタレが生じて車高に変化が生じ、それに伴ってキャンバ角に変化が生ずる。
【0009】
このためサスペンション装置にキャンバ角調整機能を備えることが望ましいが、特許文献2記載のナックルブラケットを回動可能に装着する手段では、ナックルブラケット全体構造を従前装置より大きく変更する必要があるため、当業者(車両使用者や部品製造業者、整備業者)に馴染み難く、また構造が複雑になりコストの点でも課題がある。
【0010】
そこで本発明は、従前装置と同様な外観構成を備えると共に、簡単な構造でキャンバ角度調整機能を備えるナックルブラケット及び前記部品を使用したサスペンション装置を提案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の請求項1記載に係るサスペンション装置用ナックルブラケットは、対向板面を有し、車輪側のナックルとの接続部位となるブラケット部と、を備え、ブラケット部の上下にナックル連結用の取付孔が設けられると共に、ブラケット部の一方の対向板面に取付孔を含む座金嵌合部が設けられ、偏心位置に取付ボルトが貫通装着された偏心座金を座金嵌合部内に装着し、取付孔内の所定位置で取付ボルトを装着してブラケット部にナックルを連結するサスペンション装置用ナックルブラケットであって、偏心座金の回転位置によって取付ボルトの取付孔内での位置が連続的に変化するとともに、取付ボルトの移動範囲における中立位置および最端位置の両方において座金嵌合部との当接により偏心座金の上下方向の位置が固定される、ことを特徴としたサスペンション装置用ナックルブラケットである。
【0012】
また、上記サスペンション装置用ナックルブラケットでは、前記取付ボルトの移動範囲における中立位置および最端位置の両方において、前記座金嵌合部の壁面と前記偏心座金の周面とが面接触することが好ましい。また、前記ブラケット部の他方の前記対向板面に設けられた取付孔は、前記取付ボルトの上下方向の移動を制限する長孔形状に設けられていることが好ましい。
【0013】
而して前記のサスペンション装置は、アッパーマウントで車体と連結接続し、ナックルブラケットのブラケット部に、上下取付孔を貫通装着する車輪側のナックル(「ハブ」とも称されている)を接続するものである。前記の車輪側ハブの接続に際して、上下方の何れかの取付孔の長孔内の取付ボルト位置を決定することでキャンバ角が定まるので、所望位置に取付ボルトを装着固定することで、ナックルを適切なキャンバ角で接続できるものである。しかし当該箇所は車両走行によって振動を受けるので、単にボルトナットの緊締でボルト軸を長孔内に位置させたとしても、ボルト軸が当該位置からずれてしまい、キャンバ角が変化してしまう虞がある。
【0014】
しかし本発明は、前記のとおり、偏心座金の回転位置によって取付ボルトの取付孔内での位置が連続的に変化するとともに、取付ボルトの移動範囲における中立位置および最端位置の両方において座金嵌合部により偏心座金の上下方向の位置が固定されるので、車両走行の振動を受けても取付ボルト(上方ボルト)位置が変化せずキャンバ角の変化することが無く安全に走行ができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の構成は上記のとおりで、サスペンション装置用のナックルブラケットを、簡単な構造で、名キャンバ角の調整を可能としたもので、車高調整後や経年変化による車高の変化に対し、容易にキャンバ角を調整して、走行性能の向上とともに、タイヤの偏摩耗や走行性能(エコ走行機能)の低下を防止できたものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態(サスペンション装置)を示す全体斜視図。
図2】同要部(ナックルブラケット)の拡大斜視図。
図3】同使用状態の説明図。
図4】同上方ボルトと偏心座金部材の斜視図。
図5】同キャンバ角調整機能の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に本発明の実施形態について説明する。独立懸架式のサスペンション装置は、ショックアブソーバー1にコイルスプリング2を外装し、ショックアブソーバー1の頂部には車体に取り付けるためのアッパーマウント3を設け、下端部には車輪側のナックル(ハブ)5と連結するナックルブラケット4を設けてなる。
【0018】
ナックルブラケット4は、ショックアブソーバー1の下端に装着される円筒状の本体部41と、ナックル5との接続部位となるブラケット部42を備えてなる。
【0019】
本体部41は、内周面にショックアブソーバー1の下端外周に形成したネジ部に螺合するネジ部411を設けてなり、ブラケット部42は、本体部41の外周側面に2枚の対向板状に突設したものである。
【0020】
そして前記ブラケット部42には、上下で取付ボルト43a,43bを貫通装着する取付孔421a,421bを設けており、下方取付孔421bは通常の円孔で、上方取付孔421aは、下方取付孔421bを中心とした円弧状(横方向)の長孔に形成したものである。
尚本実施形態では上方取付孔421aを長孔に形成した例を示したが、下方取付孔421bを長孔としても理論上可能であるが、組み立て性等を考慮すると、上方取付孔421aを長孔とするほうが好ましい。
【0021】
更に長孔である上方取付孔421aを含む周囲に、偏心座金422が下方取付孔421bを中心とした半径方向(上下方向)のみに移動可能とした座金嵌合部423を設けたものである。即ち座金嵌合部423は、偏心座金422を後述する偏心位置と対応する範囲で上下動させた際の座金外周軌跡の形状としたものである。図示例は偏心座金422を円形とした例であり、必ずしも真円形状に限定されない。
【0022】
偏心座金422の偏心位置には、上方ボルト43aを挿着するものであるが、挿着手段は任意であるが、図4に示すように両者を一体に形成するようにしても良い。また前記座金嵌合部423の形成手段として、ブラケット部42の一部を切欠し、別に形成した凹部423を備えた部材を当該切欠部に溶着する手法を採用しても良いし、或いは座金嵌合部423を、ブラケット部42の対向板面に設けた浅い凹部と、前記溶接で設けた前記凹部を囲繞する周壁424で形成すると、ブラケット部42の強度を低下させることなく、且つ偏心座金422が座金嵌合部423内に確実に位置させることができる。
【0023】
而して前記のナックルブラケット4を組み込んだサスペンション装置は、アッパーマウント3で車体と連結接続し、ナックルブラケット4のブラケット部42の上下取付孔421a,421bに、車輪側のナックル5を、上下ボルト43a,43b及び緊締ナット44a,44bを使用して連結するものである。
【0024】
車輪のキャンバ角は、前記のナックル5の連結に際して、長孔である上方取付孔421aにおける上方ボルト43aの固定位置で定まる。従って最適なキャンバ角は、所定の位置で上方ボルト43aを緊締ナット44aで固定することで得られるものである。
【0025】
特に車両走行による振動を受けて、上方ボルト43aが長孔内(上方取付孔421a内)を移動する場合を考慮すると、本発明は偏心座金422と凹部423の嵌合でボルト軸(上方ボルト43a)の横移動が阻止され、且つ上方取付孔421aの上下辺でボルト軸の上下移動即ち偏心座金422の上下移動が阻止されるもので、結果的に長孔状の上方取付孔421aは、単孔の取付孔として機能することになり、何らの支障も乗じない。
【0026】
従って前記のサスペンション装置は、車両製造に際して当該装置として組み込むこと、サスペンション装置自体に経年変化の影響が出た場合、例えばタイヤの偏摩耗が生じた時など、キャンバ角の補正が可能である。更に既存車両に対しては、車高調整品として本発明のサスペンション装置として提供することも、また本発明のナックルブラケットをサスペンション装置の部品として提供することもできる。
【符号の説明】
【0027】
1…ショックアブソーバー
2…コイルスプリング
3…アッパーマウント
4…ナックルブラケット
41…本体部
411…ネジ部
42…ブラケット部
421a…上方取付孔
421b…下方取付孔
422…偏心座金
423…座金嵌合部
424…周壁
43a…上方ボルト(取付ボルト)
43b…下方ボルト(取付ボルト)
44a,44b…緊締ナット
5…ナックル

図1
図2
図3
図4
図5