(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-111384(P2020-111384A)
(43)【公開日】2020年7月27日
(54)【発明の名称】フレキシブルコンテナバッグ
(51)【国際特許分類】
B65D 88/22 20060101AFI20200626BHJP
B01D 29/00 20060101ALI20200626BHJP
【FI】
B65D88/22 A
B01D23/02 A
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2019-5433(P2019-5433)
(22)【出願日】2019年1月16日
(71)【出願人】
【識別番号】515039650
【氏名又は名称】有限会社日向栄進産業
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【弁理士】
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】吉田 瑞穂
【テーマコード(参考)】
3E070
4D116
【Fターム(参考)】
3E070AA31
3E070AB01
3E070AB11
3E070DA10
3E070GB09
3E070GB20
3E070VA21
3E070VA30
3E070WJ10
3E070WK01
3E070WK20
4D116AA13
4D116AA16
4D116AA18
4D116BB01
4D116BC17
4D116DD04
4D116FF11B
4D116GG12
4D116HH01B
4D116HH01C
4D116HH30B
4D116KK02
4D116QB49
4D116UU20
4D116VV12
4D116VV30
(57)【要約】
【課題】製造コストや袋体への負荷を抑えるとともに、排水のための手間を掛けずに、速やかな排水を可能とするフレキシブルコンテナバッグを提供すること。
【解決手段】フレコン1は、液体Wと固体とを混在した状態で収容可能であり、側面12に開口部121が形成された袋体10と、袋体10の開口部121を塞ぎ、透水性を有するフィルタ30と、を備え、開口部121は、袋体10の外周に沿って、所定方向に延びる形状に形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体と固体とを混在した状態で収容可能であり、側面に開口部が形成された袋体と、
前記袋体の前記開口部を塞ぎ、透水性を有するフィルタと、を備え、
前記開口部は、前記袋体の外周に沿って、所定方向に延びる形状に形成されていることを特徴とするフレキシブルコンテナバッグ。
【請求項2】
前記フィルタは、
引張強さが、100N/cm2以上150N/cm2以下であり、
伸び率が、50%以上70%以下であり、
透水係数が、0.01cm/sec以上0.05cm/sec以下であることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルコンテナバッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルコンテナバッグに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フレキシブルコンテナバッグは、液体である水と、土砂や粉塵等の固体とが混在した汚染水等が収容され、液体のみを外部に染み出させるために用いられていた。
ところが、自然に液体が、フレキシブルコンテナバッグの外側に染み出てくるまでには、長時間待たなければならなかった。
【0003】
このため、水分を含む土を入れ脱水し袋詰する、透水性を有する素材で形成した袋体に開閉切替自在な排水口部を設けた脱水袋体が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−17960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の脱水袋体は、袋体に開閉切替自在な排水口部を取り付ける必要があり、製造コストが嵩むとともに、袋体の排水口部を取り付けた部分に負荷が掛かり、袋体が破損する虞があり、また、排水するためには排水口部を開く手間が発生していた。
【0006】
本発明は、製造コストや袋体への負荷を抑えるとともに、排水のための手間を掛けずに、速やかな排水を可能とするフレキシブルコンテナバッグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 液体と固体とを混在した状態で収容可能であり、側面に開口部が形成された袋体と、
前記袋体の前記開口部を塞ぎ、透水性を有するフィルタと、を備え、
前記開口部は、前記袋体の外周に沿って、所定方向に延びる形状に形成されていることを特徴とするフレキシブルコンテナバッグ。
【0008】
(1)の構成によれば、フレキシブルコンテナバッグは、袋体と、フィルタと、を備える。
袋体は、液体と固体とを混在した状態で収容可能であり、側面に開口部が形成されている。
フィルタは、袋体の開口部を塞ぎ、透水性を有する。
そして、開口部は、袋体の外周に沿って、所定方向に延びる形状に形成されている。
【0009】
これにより、袋体に収容された液体と固体のうち、液体は開口部を塞ぐフィルタを介して外部に排出される。
また、例えば、開口部が垂直方向に延びる場合、混在した状態で袋体内に入れられた液体と固体とは、順次、液体が外部に排出され、固体が袋体内に貯留される。
また、混在した状態で袋体内に入れられた液体と固体とは、固体が沈殿し、液体が固体の上方に溜まる。例えば、開口部が水平方向に延びる場合、開口部が形成された位置の下端まで固体が貯留され、この固体の上方に溜まった液体が開口部を塞ぐフィルタを介して外部に排出される。
このように、本発明の構成によれば、袋体に開口部を形成し、この開口部をフィルタで塞ぐだけで、液体と固体とを混在した状態で袋体に収容された液体を、手間を掛けずに排出できる。
したがって、製造コストや袋体への負荷を抑えるとともに、排水のための手間を掛けずに、速やかな排水を可能とするフレキシブルコンテナバッグを提供できる。
【0010】
(2) 前記フィルタは、
引張強さが、100N/cm
2以上150N/cm
2以下であり、
伸び率が、50%以上70%以下であり、
透水係数が、0.01cm/sec以上0.05cm/sec以下であることを特徴とする(1)に記載のフレキシブルコンテナバッグ。
【0011】
(2)の構成によれば、フィルタの引張強さと伸び率とを、比較的大きくすることで、袋体に収容された固体に突起があったり、加重が比較的大きい場合でも、フィルタが破断することを防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、製造コストや袋体への負荷を抑えるとともに、排水のための手間を掛けずに、速やかな排水を可能とするフレキシブルコンテナバッグを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係るフレキシブルコンテナバッグを正面上方から視た図である。
【
図2】本発明の一実施形態の変形例に係るフレキシブルコンテナバッグを正面上方から視た図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るフレキシブルコンテナバッグの使用状態を示す断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態の変形例に係るフレキシブルコンテナバッグの使用状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態に係るフレキシブルコンテナバッグ(以下、「フレコン」ともいう。)1の構成を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るフレキシブルコンテナバッグを正面上方から視た図である。
【0015】
フレコン1は、土砂や粉塵等の粉末や粒状物の荷物を保管・運搬するための袋状の包材であり、ポリエチレンやポリプロピレン等の化学繊維で織られたシートにより形成されており、液体と固体とを混在した状態で収容可能である。フレコン1は、袋体10と、ベルト20と、フィルタ30と、を備える。
【0016】
袋体10は、上方が開放された袋状体に形成され、略円形状の底11と、底11の側縁から上方に立設する側面12と、を備える。なお、本実施形態において、袋体10は、上方が開放された円筒形状に形成されているが、これに限らず、上方が開放された四角柱形状としてもよい。
【0017】
側面12には、袋体の外周に沿って、所定方向(
図1に示す例では、上下方向)に長辺121aが延びる長方形形状の貫通孔である開口部121が形成されている。なお、開口部121は、長方形形状に限らず、所定方向に長手方向が延びる形状であれば、例えば、楕円形状等であってもよい。
【0018】
ベルト20は、底11を横断し、側面12に沿って垂直方向に延び、側面12の上端から突出し、環形状を形成し、再び、側面12の上端から垂直方向に延び、底11を横断するように、袋体10に固定されている。ベルト20は、このように袋体10に固定されることで、一対の環形状を形成する。フレコン1は、この一対の環形状が、例えば、重機に支持され、持ち上げられることで、吊り下げたり、移動させたりすることが可能となる。
【0019】
フィルタ30は、袋体10の開口部121を塞ぎ、透水性を有する。詳細には、フィルタ30は、開口部121の側縁より大きく形成され、袋体10の内部側から開口部121を覆うように配置され、開口部121の周縁において側面12に固定されている。
【0020】
フィルタ30は、例えば、耐水性、耐候性、耐腐食性を有する化学合成繊維を不規則に配列して繊維層を形成しニードルパンチで繊維を交絡、結合した河川護岸の吸い出し防止シート等で形成されている。
【0021】
フィルタ30は、
密度が、0.12g/cm
3以上0.2g/cm
3以下であり、
引張強さが、100N/cm
2以上150N/cm
2以下であり、
伸び率が、50%以上70%以下であり、
耐薬品性が、90%以上95%以下であり、
透水係数が、0.01cm/sec以上0.05cm/sec以下であることが好ましい。
【0022】
このようなシートでフィルタ30を構成することで、フィルタ30は、引張強さと伸び率が比較的大きくなり、重量物による荷重がかかっても容易に破断せず、弾性・柔軟性があるので、突起物などの衝撃に対しても簡単に破損せず、耐候性、耐薬品性、耐腐食性に優れているので長期間使用でき、透水性に優れるので、排水効果、液体と固体との分離効果に優れる。
【0023】
図2は、本発明の一実施形態の変形例に係るフレキシブルコンテナバッグを正面上方から視た図である。
図1に示す本実施形態のフレコン1と、
図2に示す本実施形態の変形例のフレコン1Aとは、開口部121が延びる方向が異なる。
フレコン1Aの開口部121は、所定方向(
図2に示す例では、左右方向)に長辺121aが延びる長方形形状の貫通孔である。
【0024】
なお、開口部121は、
図1及び
図2に示す形状に限らす、例えば、
図1(上下方向に延びる形状)及び
図2(左右方向に延びる形状)に示す形状を合わせた略十字形状や、斜め方向に延びる形状等の任意の形状とすることができる。
【0025】
次に、フレコン1の作用について説明する。
図3は、本発明の一実施形態に係るフレキシブルコンテナバッグの使用状態を示す断面図である。
フレコン1を吊り下げ、袋体10の内部に、液体Wと固体とを混在した状態の物(例えば、コンクリートカッターによりコンクリートを削った時に発生するコンクリートの粉塵と、コンクリートカッターの冷却水が混在した物)を収容する。
すると、混在した状態で袋体内に入れられた液体Wと固体とは、順次、液体Wが、開口部121を覆うフィルタ30を通過して、袋体10の外部に排出され、固体が袋体10内に貯留される。
【0026】
図4は、本発明の一実施形態の変形例に係るフレキシブルコンテナバッグの使用状態を示す断面図である。
フレコン1Aを吊り下げ、袋体10の内部に、液体Wと固体とを混在した状態の物(例えば、コンクリートカッターによりコンクリートを削った時に発生するコンクリートの粉塵と、コンクリートカッターの冷却水が混在した物)を収容する。
すると、混在した状態で袋体内に入れられた液体Wと固体とは、固体が沈殿し、液体Wが固体の上方に溜まり、開口部121が形成された位置の下端まで固体が貯留され、この固体の上方に溜まった液体Wが開口部121を塞ぐフィルタ30を介して袋体10の外部に排出され、固体が袋体10内に貯留される。
【0027】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0028】
1,1A フレキシブルコンテナバッグ(フレコン)
10 袋体
11 底
12 側面
20 ベルト
30 フィルタ
121 開口部
121a 長辺
W 液体
【手続補正書】
【提出日】2020年5月8日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体と固体とを混在した状態で収容可能であり、側面に開口部が形成された袋体と、
前記袋体の前記開口部を塞ぎ、透水性を有するフィルタと、を備え、
前記開口部は、前記袋体の外周に沿って、所定方向に延びる形状に形成され、
前記フィルタは、前記開口部の周縁において前記側面に固定されていることを特徴とするフレキシブルコンテナバッグ。
【請求項2】
前記フィルタは、
引張強さが、100N/cm2以上150N/cm2以下であり、
伸び率が、50%以上70%以下であり、
透水係数が、0.01cm/sec以上0.05cm/sec以下であることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルコンテナバッグ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
(1) 液体と固体とを混在した状態で収容可能であり、側面に開口部が形成された袋体と、
前記袋体の前記開口部を塞ぎ、透水性を有するフィルタと、を備え、
前記開口部は、前記袋体の外周に沿って、所定方向に延びる形状に形成され
、
前記フィルタは、前記開口部の周縁において前記側面に固定されていることを特徴とするフレキシブルコンテナバッグ。