【解決手段】各駆動部(ボウルフィーダB、リニアフィーダL、リターンフィーダR、ホッパH)の振動条件に関する項目112を共通の画面110に表示する表示部11と、表示部11に表示された調整操作対象項目112のうち指定した調整操作対象項目112に関する調整操作を行うことが可能な複数の操作部12と、各操作部12による調整操作対象項目112を操作部12ごとに割り付ける制御部13とを備えたパーツフィーダXコントローラ1であり、各操作部12として、触覚を伴う操作で調整操作対象項目112に関する調整操作を行うことが可能なものを適用した。
前記複数の操作部のうちどの操作部にどの前記調整操作対象の項目が割り当てられているかを前記表示部に表示させる調整操作対象項目割当表示機能を有するものである請求項1乃至3の何れかに記載のパーツフィーダ用コントローラ。
【背景技術】
【0002】
外観検査装置やテーピング機等の様々な装置に取り付けられ、電子チップ部品等の小型のワークを振動によって搬送しながら整列させて次工程に供給するワーク搬送装置(パーツフィーダ)として、螺旋状に延伸する搬送トラック(螺旋トラック)に沿ってワークを搬送するボウルフィーダと、ボウルフィーダにワークを供給するホッパと、ボウルフィーダの螺旋トラックの下流端に接続され且つ直線状に延伸する搬送トラック(リニアトラック)に沿ってワークを搬送するリニアフィーダと、リニアトラック上のワークであって且つ異方向のワーク等をボウルフィーダに戻すリターンフィーダとを備えた装置が知られている。
【0003】
このような複数の駆動部を備えたパーツフィーダによるワーク排出能力の調整は、各駆動部におけるワークの動き(充填率、ワーク搬送速度)と、ワーク排出数のカウンタ数をオペレータが観察しながら各駆動部の振幅や周波数を調整して各駆動部の振動を調整することで実現できる。すなわち、パーツフィーダは、例えばボウルフィーダ、ホッパ、リニアフィーダ、リターンフィーダの各駆動部の振幅(電圧)と周波数を制御するコントローラによって駆動制御され、駆動部ごとに振幅や周波数の調整を行う必要がある。例えば、下記特許文献1には、ボウルフィーダの駆動制御をコントローラ(制御装置)によって制御する態様が開示されている。
【0004】
ところで、パーツフィーダの走行面の振幅や周波数が同じであったとしても、搬送するワークの形状や重心、重量、表面摩擦、搬送路の走行面の形状、傾斜の程度、表面処理環境温度、湿度、静電気等の様々な要因によってワーク搬送速度に変化が生じる。また、駆動部同士のバランス(装置全体のバランス)も含めて、パーツフィーダとしての最終のワーク排出能力が決定される。
【0005】
このような複数のパラメータの複合的な相関関係によって、ワーク搬送速度は決まるため、供給先へのワーク排出能力に関する設定(駆動部ごとの振幅や周波数の設定)の計算式やモデル化、テーブル化が困難であり、オペレータがワークの搬送状態(全体としてのワーク排出状況)を目視しながらコントローラにより駆動制御する必要がある。
【0006】
パーツフィーダの導入現場では、従来より、1つの駆動部に対して1つのコントローラが設けられ、異なる駆動部の振幅及び周波数等の振動条件をそれぞれのコントローラによる駆動制御で同時に調整する態様が採用されている。これは上述のように、駆動部同士のバランスを考慮した上で最終的なワーク排出能力が決定される事情に鑑みて、駆動部の振動条件に関する複数の項目を、個別に、リアルタイムで制御することが求められるためである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、ホッパ、ボウルフィーダ等の複数の駆動部を備えたパーツフィーダであれば、コントローラが駆動部と同数台必要になり、装置全体の大型化を招来していた。
【0009】
そこで、装置の大型化を回避すべく、複数台の駆動部を1台のコントローラで制御する態様も考えられる。このような態様であれば、複数台の駆動部の振動条件を複数台のコントローラ単位で制御する態様と比較して、装置の小型化のみならず、コストダウン及び配線処理の軽減化を図ることができる。
【0010】
しかしながら、複数台の駆動部を1台のコントローラで制御する態様である場合、コントローラ自体の小型化を優先すると、当該コントローラに配置可能な操作部の数も限定され、例えばスイッチ操作等によって制御対象の駆動部を切り替えて、駆動部単位で振動条件を調整する態様であれば、異なる駆動部の振動条件を同時に調整することが不可能または困難である。
【0011】
また、コントローラの表示部にタッチパネルディスプレイを採用した場合には、各駆動部に対する制御操作画面の共通化を図ることができ、タッチパネルディスプレイを見ながら設定項目(パラメータ)を選択して、表示画面上において数値入力を行うことによって振動条件を変更することになる。
【0012】
しかしながら、通常、タッチパネルディスプレイの表面には凹凸がないため、設定項目(パラメータ)を選択する処理や、具体的な数値を入力する処理はタッチパネルディスプレイで行う必要があり、その度にタッチパネルディスプレイを注視する必要がある。つまり、タッチパネルディスプレイを見ている間はワークの搬送状態を目視できないため、タッチパネルディスプレイを目視できる状態でなければ適切な調整操作を行うことは困難である。このような問題は、スペースの制約上、パーツフィーダ付近にコントローラを設置できない場合等に顕著になる。こうした状況では、ワークの搬送状態の目視か、タッチパネルディスプレイ操作の何れか一方のみを行うことができ、これらを同時に行うことは困難といったジレンマが生じる。その結果、各駆動部の調整処理に関する作業性等が悪化し、ワーク搬送効率の低下を招来する。
【0013】
なお、例えばカメラによる画像処理や人工知能を活用した自動化処理によって、複数台の駆動部を1台のコントローラで制御する態様も考えられるが、コストが嵩むため、現場に導入し難いというデメリットがある。
【0014】
本発明は、このような点に着目してなされたものであって、主たる目的は、オペレータがワークの搬送状態を目視しながら駆動部の振動条件に関する複数の項目を同時に調整可能なパーツフィーダ用のコントローラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
すなわち本発明は、振動によってワークを搬送可能な少なくとも1つの駆動部を有するパーツフィーダに適用されるコントローラに関するものである。そして、本発明に係るパーツフィーダ用コントローラは、駆動部の振動条件に関する複数の項目を共通の画面に表示する表示部と、表示部に表示された駆動部の振動条件に関する複数の項目のうち指定した項目の振動条件を調整操作可能な複数の操作部と、各操作部による調整操作対象の項目を操作部ごとに割り付ける制御部とを備え、各操作部として、触覚を伴う操作で調整操作対象の項目を調整可能なものを適用していることを特徴としている。
【0016】
ここで、本発明における「駆動部の振動条件」は、振幅(電圧)及び周波数を少なくとも含む振動に関する条件である。また操作部は、触覚を伴って操作可能なものであればよく、例えば、エンコーダを用いたツマミタイプやノブタイプ(回転操作可能なもの)、あるいはジョイスティック、指で押すボタンタイプ、スイッチタイプ、タッチセンサ等を挙げることができ、さらには、表示部の縁に段差など触覚で認知可能な部分があれば当該段差部分を操作部として設定することも可能である。操作部の数は複数であればよく、操作部ごとに触覚または操作方法が異なる構成であってもよい。また、本発明には、表示部、操作部、制御部を一体に備えたコントローラや、別体として無線または有線で接続されたコントローラが含まれる。
【0017】
このような本発明に係るパーツフィーダ用コントローラであれば、オペレータは、目視でパーツフィーダの状態を確認しつつ、全体としてのワーク排出状況を見ながら調整すべき対象の駆動部の駆動条件を、表示部に画面表示されている駆動部の振動条件に関する複数の項目から選択し、当該選択した駆動部の振動条件を、操作部よって調整することができ、操作部による調整処理中は、操作部の手元を見ることが要求されないため、ワーク排出状況を見ながらワークの最適な搬送を実現できるように調整することができる。さらに、本発明に係るパーツフィーダ用コントローラであれば、操作部による調整操作対象の項目を操作部ごとに割り付ける制御部を備えているため、オペレータが調整操作対象の項目を複数選択した場合に、制御部によって、例えば表示部に表示された駆動部の種別と指定した複数の駆動部の振動条件に関する項目(調整操作対象項目)の調整機能を任意に割り付けることによって、各操作部による個別の調整操作をスムーズ且つ適切に行うことができる。すなわち、本発明によれば、表示部には多種類の調整操作対象項目を視認しやすく、デジタル表示させながらオペレータがパーツフィーダを目視しつつ操作部をアナログ的に操作することができるというデジタル表示とアナログ操作の優れた点を両立させることができる。
【0018】
特に、本発明に係るパーツフィーダ用コントローラが、表示部、操作部、及び制御部を一体に収容するケースをさらに備えたものであれば、これら各部をユニット化することで取扱性に優れ、パーツフィーダの導入現場における当該コントローラのセッティング処理の容易化を図ることができる。
【0019】
この場合、ケースにおける複数の操作部が表示部から離間した部位にあれば、オペレータが表示部を見る場合に操作部が邪魔になる事態を回避することができ、操作部と表示部がケース上で相互に離間していない構成と比較して、表示部の一部が操作部に占有されないことによって表示部の画面サイズを最大限に利用することが可能になる。
【0020】
さらに、本発明に係るパーツフィーダ用コントローラにおいて、制御部が、各操作部に何れの振動源の振動条件に関する項目(調整操作対象項目)が割り当てられているかを表示部に表示させる調整操作対象項目割当表示機能を有するものであれば、オペレータは表示部に表示された内容を見て、調整操作対象項目と操作部との関連を直感的に把握することができる。したがって、表示部に表示される調整操作対象項目が多く、操作部が複数設けられている構成であっても、どの操作部で調整操作できるのかをオペレータが認識し難いことに起因する誤操作の発生を防止・抑制することができ、各操作部を利用した調整操作をスムーズに行うことが可能である。
【0021】
また、本発明に係るパーツフィーダは、上述の構成を有するコントローラを備えていることを特徴としている。
【0022】
なお、本発明におけるワークとしては、例えば電子部品などの微小部品を挙げることができるが、電子部品以外の物品であってもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、触覚を伴う操作で調整操作対象の項目を調整可能な操作部を利用して、搬送されているワークを目視で観察しながら、制御対象である駆動部の振幅や周波数等の振動条件を直感的・感覚的に調整する作業が可能になり、また、操作部を複数備えているため、異なるパラメータ(調整操作対象項目)を同時に調整することが可能になり、パラメータを個別に1つずつ調整する態様と比較して調整時間を短縮することのできるパーツフィーダ用コントローラを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0026】
本実施形態に係るコントローラ1は、
図1に示すように、部品供給装置であるパーツフィーダXに適用可能なものである。パーツフィーダXは、ICチップ、微小なコイル等の精密部品であるワークを振動搬送するものであり、投入されるワークを整列させるボウルフィーダ2と、ボウルフィーダ2により搬送されてきたワークをさらに一定方向に搬送しつつ適正な姿勢のものを選別するリニアフィーダ3と、リニアフィーダ3で不適切とされたワークをボウルフィーダ2に帰還させるリターンフィーダ4と、ボウルフィーダ2にワークを投入するホッパ5とを備えている。
【0027】
ボウルフィーダ2、リニアフィーダ3及びリターンフィーダ4は、例えば共通の基台X1上に配置されて、互いに連携して円滑に部品の受渡しが行えるように、適切に位置決めした状態でユニット化して組み付けられ、ホッパ5はボウルフィーダ2の上方に配置されている。特に、上記のような精密部品は極めて小さいことから、この種の用途向けのパーツフィーダXは、数十cm四方程度の広さの基台X1上に、各フィーダ(ボウルフィーダ2、リニアフィーダ3、リターンフィーダ4)を密集させて配置される。
【0028】
ボウルフィーダ2は、
図1に想像線で示す部品投入手段たるホッパ5から供給されたワークを収容できる搬送部たるボウル21と、ボウル21の下方に位置する駆動部22とを備える。ボウル21は、中央が膨出した平面視円形の底部と、底部の周縁部からボウル21の内周面を周回しながら螺旋状の登坂する搬送部たる螺旋トラックと、この螺旋トラックに形成された搬送溝とを有する。搬送溝は、走行方向と直交する断面がV字状をなしており、ICチップ等の直方体のワークであれば2面がV字溝の2面に接する状態で搬送される。なお、搬送溝の断面形状はV字状に限らず、U字状であってもよい。
【0029】
駆動部22は、電磁石と、ボウル21を下方から支持する板ばねとを有するものである。電磁石の励磁により駆動部22からボウル21に振動が伝達され、ボウル21がねじり振動する。なお、駆動部は電磁石の他にも圧電素子を利用したものなども存在する。駆動部22を駆動させてボウル21を振動させることにより、ワークが螺旋トラックに沿って順次搬送される。
【0030】
リニアフィーダ3は、搬送方向に沿って直線状に延びる搬送部たるリニアトラック31と、リニアトラック31の下方に位置する駆動部32とを有する。
【0031】
リニアトラック31の上部には長手方向に、水平方向に延びる一本の搬送溝が形成されている。この搬送溝も、走行方向と直交する断面がV字状をなしており、ICチップ等の直方体のワークであれば2面がV字溝の2面に接する状態で搬送される。なお、搬送溝の断面形状はV字状に限らず、U字状であってもよい。
【0032】
ボウルフィーダ2及びリニアフィーダ3は、図示しない接続用ブロックを介して接続され、接続用ブロックに設けた断面V字状の搬送溝を介してボウルフィーダ2の溝とリニアフィーダ3の溝とが連携されている。
【0033】
駆動部32は、電磁石と、リニアトラック31を支持する板ばねとを有するものである。電磁石の励磁により駆動部32からリニアトラック31に振動が伝達されると、リニアトラック31が往復振動する。駆動部32を駆動させてリニアトラック31を振動させることにより、ワークがリニアトラック31に沿って搬送方向下流側に順次搬送される。
【0034】
リニアフィーダ3は、ワークの姿勢を判別するカメラ等を含む判別部と、適正姿勢でないワークをエアでリニアトラック31から排除するワーク排除部とを備え、ワーク排除部で排除したワークをリターンフィーダ4に送るものである。
【0035】
リターンフィーダ4は、リニアフィーダ3のリニアトラック31と並行に延びる搬送部たるリターントラック41と、このリターントラック41の下方に位置する駆動部42とを有する。リターントラック41上におけるワークの搬送方向は、リニアトラック31上におけるワークの搬送方向と逆方向である。このリターンフィーダ4は、駆動部42の代わりにリニアフィーダ3の駆動部32の振動を利用して駆動するように構成される場合もある。
【0036】
リターントラック41の上部には、長手方向に、水平方向に延びる一本または複数本の搬送溝が形成され、走行方向と直交する断面がV字状の搬送溝の2面に接する状態でワークを搬送することができる。なお、搬送溝の断面形状はV字状に限らず、U字状であってもよい。そして、リニアフィーダ3のワーク排除部によりリニアトラック31から排除されたワークは、リターンフィーダ4を経由して通ってボウルフィーダ2のボウル21に戻される。
【0037】
なお、ホッパ5は、投入されるワークを漏斗状の内面に沿って下端側のノズル部からボウル21に供給するように構成されたもので、漏斗状の内面からノズル部に亘る部位が搬送路をなしている。このホッパ5も、駆動部52によって駆動されることで、ワークを円滑にノズル部側に移送するように構成されている。本実施形態における各フィーダ(ボウルフィーダ2、リニアフィーダ3、リターンフィーダ4、ホッパ5)の全部または少なくとも1つが、電磁石ではなく圧電素子を利用した駆動部を有するものであってもよい。
【0038】
このようなパーツフィーダXは、駆動部を有するボウルフィーダ2、リニアフィーダ3、リターンフィーダ4、ボウルフィーダ2、ホッパ5それぞれの振動条件を調整可能なコントローラ1を備えている。なお、正確には、コントローラ1が制御する対象は、ボウルフィーダ2、リニアフィーダ3、リターンフィーダ4、ホッパ5における各駆動部22、32、42、52の振幅や周波数(各駆動部の振動条件)である。以下では、必要に応じて、各フィーダ(ボウルフィーダ2、リニアフィーダ3、リターンフィーダ4)はホッパ5とともに、駆動部(ボウルフィーダB、リニアフィーダL、リターンフィーダR、ホッパH)と表記し、コントローラ1が、各駆動部(ボウルフィーダB、リニアフィーダL、リターンフィーダR、ホッパH)の振動条件を調整するものとして説明する。
【0039】
コントローラ1は、
図2乃至
図9に示すように、表示部11と、表示部11の画面110に表示された各駆動部B、L、R、Hの振動条件に関する項目(調整操作対象項目112)のうち指定した複数の駆動部L、R、B、Hの振動条件に関する項目112について当該振動条件を調整操作可能な複数の操作部12と、各操作部12による調整操作対象の項目を操作部12ごとに割り付ける制御部13(
図1参照)とを備え、これら表示部11、操作部12及び制御部13を共通のケース14を用いてユニット化したものである。
【0040】
表示部11は、
図10に示すように、各駆動部(ボウルフィーダB、リニアフィーダL、リターンフィーダR、ホッパH)の振動条件に関する項目112を例えばタッチパネルタイプの画面(タッチパネルディスプレイ)110に表示するものである。本実施形態では、タッチパネルタイプの画面110に、リニアフィーダL、リターンフィーダR、ボウルフィーダB、ホッパHの種別を示す項目として、「LF」111L、「RF」111R、「BF」111B、「HP」111Hを画面110に表示するとともに、各駆動部(ボウルフィーダB、リニアフィーダL、リターンフィーダR、ホッパH)の振動条件に関する項目112として、駆動部(ボウルフィーダB、リニアフィーダL、リターンフィーダR、ホッパH)の種別ごとに、各駆動部(ボウルフィーダB、リニアフィーダL、リターンフィーダR、ホッパH)に対して振幅や電圧値を設定する第1調整操作対象項目112a、112b、112c、112dと、各駆動部(ボウルフィーダB、リニアフィーダL、リターンフィーダR、ホッパH)の周波数を設定する第2調整操作対象項目112e、112f、112g、112hとを適用している。
【0041】
したがって、オペレータが第1調整操作対象項目112a、112b、112c、112dの何れかを選択すると、当該選択した駆動部(ボウルフィーダB、リニアフィーダL、リターンフィーダR、ホッパH)によるワーク搬送速度を左右する振幅の調整を行うことが可能な状態になり、オペレータが第2調整操作対象項目112e、112f、112g、112hの何れかを選択すると、当該選択した駆動部(ボウルフィーダB、リニアフィーダL、リターンフィーダR、ホッパH)の周波数の調整を行うことが可能な状態になる。周波数の調整は、振幅に応じてワークに効率良く搬送力が伝わるように設定する調整である。
【0042】
なお、本実施形態では、
図10に示すように、駆動部(ボウルフィーダB、リニアフィーダL、リターンフィーダR、ホッパH)各々の起動を緩やかにするソフトスタートのための第3調整操作対象項目112i、112j、112k、112mも画面110に表示している。また、タッチパネルタイプの画面110には、機能切替115、キャンセル116、セーブ117、画面切替118の各選択項目も画面表示される。
【0043】
操作部12は、
図2等に示すように、ロータリーエンコーダを用いたものであり、操作部12のうちオペレータが手で摘まむことが可能なツマミ部を含む所定部分がケース14よりも前方(画面110から離れる方向)に出っ張った形態で配置されている。本実施形態では、四隅の各コーナー部をアール状に設定した正面視略矩形状をなすケース14のうち下側の各コーナー部近傍にそれぞれ1つずつオペレータが操作するエンコーダ等の操作部12(左操作部12L、右操作部12R)を設けている。本実施形態では、正面視略矩形状をなすケース14のうち、操作部12を配置する部分を他の部分よりもケース14の中央部から離間する方向(具体的には斜め下方)に向かって膨出した形状に設定している。これにより、2つの操作部12(左操作部12L、右操作部12R)の配置領域を確保しつつ、操作部12の配置領域を考慮することで表示部11の画面110サイズが小さくなるという設計上の制約を回避している。
【0044】
なお、本実施形態のコントローラ1は、タブレットタイプのものであり、薄型箱状のケース14に対して表示部11及び操作部12をコントローラ1の正面(前方)から視認可能な状態で設ける一方(
図2参照)、制御部13をケース14の内部に収容している(
図1参照)。本実施形態のケース14は、
図2等に示すように、背面142から前面141に向かって緩やかに広がる形状を有し、背面142と側面143の境界部分、及び前面141と側面143の境界部分をそれぞれアール形状に設計したものである。また、ケース14は、一体成形品であってもよいが、本実施形態では、前側ケースと後側ケースを相互に組み付けて箱型にした二分割タイプのものを適用している。
【0045】
本実施形態に係るコントローラ1は、ケース14の前面141中央部分に所定サイズの画面110(タッチパネルディスプレイ)を設け、表示画面110の下縁よりも下側の位置に操作部12を配置している。本実施形態では、表示部11の画面110をケース14の前面141よりも奥方に配置し、画面110の周縁にケース14の境界部分としての段部1Dを形成している。また、ケース14のうち、画面110及び操作部12に重ならない所定の位置、具体的には表示画面110の左右両サイドのうち上側の所定部分近傍の位置に、マルチボタン15とセーブボタン16を設けている。これらマルチボタン15及びセーブボタン16は、オペレータが押圧操作可能なスイッチボタンによって構成され、ケース14よりも前方に出っ張った形態で配置されている。なお、マルチボタン15及びセーブボタン16は、上述の操作部12よりも小型であり、ケース14に対するマルチボタン15及びセーブボタン16の前方への出っ張り寸法は、ケース14に対する操作部12の前方への出っ張り寸法よりも小さい。特に、本実施形態では、ケース14のうちマルチボタン15を配置した部分から画面110に向かって延伸する直線状の溝145と(
図2参照)、画面110のうち「機能切替115」の項目からマルチボタン15に向かって延伸する直線118(画面表示された直線118、
図10参照)とが相互に連続する直線(ガイド線)となるように設定し、マルチボタン15が「機能切替115」に関するボタンであることをオペレータが直感的に把握できるように設定している。
【0046】
本実施形態のコントローラ1では、背面142に複数の係合孔(図示省略)を形成したケース14を適用し、係合孔を適宜の取付部に引っ掛けることで当該コントローラ1を所定位置にセッティングすることができる。なお、コントローラ1の背面142には、引っ掛け紐用孔も形成されている。
【0047】
なお、本実施形態に係るパーツフィーダXは、
図1に示すように、駆動部(ボウルフィーダB、リニアフィーダL、リターンフィーダR、ホッパH)に電力を供給する電力供給装置(パワーユニット)6をパーツフィーダ用コントローラ1とは別に備え、電力供給装置6とパーツフィーダ用コントローラ1を適宜の通信ケーブル(例えばLANケーブル、ハーネス等)で接続している。通信ケーブルは各駆動部(ボウルフィーダB、リニアフィーダL、リターンフィーダR、ホッパH)に関する設定情報の移送のためのシリアル通信線として機能させ、少なくとも一本のケーブルをパワー線として用いて駆動部制御装置6からコントローラ1に所定電圧の電力を供給可能に構成している。
【0048】
このようなパーツフィーダXによれば、電力供給装置6を駆動部(ボウルフィーダB、リニアフィーダL、リターンフィーダR、ホッパH)とともに共通の基台X1上に配置する一方、パーツフィーダ用コントローラ1を基台X1とは異なる場所、例えば駆動部(ボウルフィーダB、リニアフィーダL、リターンフィーダR、ホッパH)によるワークの搬送状態を観察することが可能な位置であって且つオペレータによる操作が可能な位置に配置することが可能である。なお、パワー線はコントローラ1を駆動部制御装置6に接続するだけで使用できるようにするためのものであって、コントローラ1側で別途電源をとっても構わない。これとともに、コントローラ1と駆動部制御装置6の間を無線化することもできる。また、駆動部制御装置6に設けたリニアフィーダ接続ポート、リターンフィーダ接続ポート、ボウルフィーダ接続ポート、ホッパ接続ポートを用いて各駆動部(ボウルフィーダB、リニアフィーダL、リターンフィーダR、ホッパH)との間を配線で接続することができる。
【0049】
本実施形態のパーツフィーダXは、基台X1の下にベースX2を配置し、基台X1及びベースX2を防振ゴムや防止バネ等の防振手段X3で接続した構成であり、駆動部制御装置6を基台X1とベースX2の間に配置している。なお、ベースX2に駆動部制御装置6を直接取り付けてもよい。
【0050】
本実施形態に係るパーツフィーダXの排出口(リニア搬送路31の下流端)を適宜の供給先設備に接続し、供給先設備の運転指令部からパーツフィーダXの制御部(パーツフィーダ用コントローラ1の制御部13であってもよいし、パーツフィーダコントローラ1の制御部13とは別の制御部であってもよい)に開始/停止信号を入力して同期をとるように構成することで、制御上の連携を図ることができる。
【0051】
次に、本実施形態に係るパーツフィーダ用コントローラ1を用いたパーツフィーダXの調整処理について説明する。
先ず、表示部11の画面110には、
図10に示すメイン画面110が表示されており、オペレータは、パーツフィーダXの稼動状況を見ながら、振幅または周波数を調整する対象の駆動部(ボウルフィーダB、リニアフィーダL、リターンフィーダR、ホッパH)を決定し、画面110に表示されている調整操作対象項目112から該当する項目を選択する(タッチパネルディスプレイを押す)。
【0052】
コントローラ1の制御部13は、オペレータによる選択操作処理を受け付けると、各操作部12による調整操作対象項目112に関する操作をどの操作部12で行うかを決定し、その決定内容を画面110に表示する。本実施形態では、
図11に示すように、オペレータが1つの調整操作対象項目(図示例ではリニアフィーダLの振幅調整項目112a)を選択すると、コントローラ1の制御部13は、
図11に示すように、選択された調整操作対象項目112aを強調表示(例えば青等の第1強調色で表示)し、操作部12による調整操作が可能であることを示す操作指示マーク119(図示例では4分の1円状のマーク)を調整操作対象項目112aの左右下隅の2箇所に表示する。この場合、2つの操作部12(左操作部12L、右操作部12R)のどちらの操作部12を回しても、当該調整操作対象項目(図示例ではリニアフィーダLの振幅調整項目112a)に関する調整操作を行うことができる。
【0053】
また、
図12に示すように、1つ目の調整操作対象項目112がオペレータによって選択された状態において、2つ目の調整操作対象項目(図示例ではリターンフィーダRの振幅調整項目112b)がオペレータによって選択された場合、コントローラ1の制御部13は、選択された2つ目の調整操作対象項目112も1つ目の調整操作対象項目112と同様に強調表示(例えば青等の第1強調色で表示)し、操作部12による調整操作が可能であることを示す操作指示マーク119(図示例では4分の1円状のマーク)を各調整操作対象項目112a、112bの左右下隅の何れか1箇所に表示する。図示例では、1つ目に選択された調整操作対象項目(図示例ではリニアフィーダLの振幅調整項目112a)の右下隅に4分の1円状の操作指示マーク119を表示し、2つ目に選択された調整操作対象項目(図示例ではリターンフィーダRの振幅調整項目112b)の左下隅に4分の1円状の操作指示マーク119を表示する。この場合、1つ目に選択された調整操作対象項目(図示例ではリニアフィーダLの振幅調整項目112a)に関する調整操作を右操作部12Rによって行うことができ、2つ目に選択された調整操作対象項目(図示例ではリターンフィーダ4の振幅調整項目112b)に関する調整操作を左操作部12Lによって行うことができる。このように、本実施形態では、1つ目に選択された調整操作対象項目112に関する調整操作を右操作部12Rで行うことができるようにするとともに、2つ目に選択された調整操作対象項目112に関する調整操作を左操作部12Lで行うことができるようにする割り付けをコントローラ1の制御部13によって行っている。なお、1つ目に選択された調整操作対象項目112に関する調整操作を左操作部12Lで行うことができるようにするとともに、2つ目に選択された調整操作対象項目112に関する調整操作を右操作部12Rで行うことができるようにする割り付けをコントローラ1の制御部13で行うように設定してもよい。また、オペレータは、1つの駆動部に関する2つの調整操作対象項目を選択することもできる。例えば、1つ目の調整操作対象項目112として、リニアフィーダLの振幅調整項目112aを選択し、2つ目の調整操作対象項目112として、リニアフィーダLの周波数調整項目112eを選択してもよい。このような場合にも、コントローラ1の制御部13は、選択された2つの調整操作対象項目112a、112eを強調表示し、操作部12による調整操作が可能であることを示す操作指示マーク119を各調整操作対象項目112a、112eの左右下隅の何れか1箇所に表示する処理を実行する。
【0054】
調整操作対象項目112を選択して表示部11の画面110における操作指示マーク119を見たオペレータは、その時点以降、パーツフィーダXによるワークの排出量等を観察しながら且つ表示部11の画面110を見ることなく、操作指示マーク119による指示通りに左右の操作部12RL,12Rに対して適宜の操作(エンコーダを回す操作)を行うことで、2つの調整操作対象項目(図示例ではリニアフィーダ3の振幅調整項目112a、リターンフィーダ4の振幅調整項目112b)に関する調整操作を同時または時間差で行うことができる。
【0055】
オペレータが、画面110上の「セーブ117」項目を選択する操作を行ったり、ケース14のうち画面110から外れた位置に設けたセーブボタン16を押す操作を行うことで、操作部12による調整操作後の設定値を保存することができる。なお、オペレータが画面110上の「キャンセル116」項目を選択すると、選択した調整操作対象項目112を他の調整操作対象項目112に変更したり、駆動部(ボウルフィーダB、リニアフィーダL、リターンフィーダR、ホッパH)の振動状態を操作部12による調整操作前の状態に戻すことができる。
【0056】
このように、本実施形態に係るパーツフィーダX用のコントローラ1は、各駆動部(ボウルフィーダB、リニアフィーダL、リターンフィーダR、ホッパH)の振動条件に関する項目(調整操作対象項目112)を共通の画面110に表示する表示部11と、表示部11に表示された調整操作対象項目112のうち指定した調整操作対象項目112に関する調整操作を行うことが可能な複数の操作部12と、各操作部12による調整操作対象項目112を操作部12ごとに割り付ける制御部13とを備え、各操作部12として、触覚を伴う操作で調整操作対象項目112に関する調整操作を行うことが可能なものを適用しているため、オペレータは、パーツフィーダXにおけるワーク搬送状態(ワーク排出状況等)を目視で確認しながら、調整すべき対象の駆動部(ボウルフィーダB、リニアフィーダL、リターンフィーダR、ホッパH)に関する調整操作対象項目112を、表示部11に画面表示されている各調整操作対象項目112から選択し、当該選択した調整操作対象項目112に関する調整操作を操作部12よって行うことができる。そして、本実施形態に係るパーツフィーダ用コントローラ1によれば、操作部12による調整操作中は、操作部12の手元を見ることが要求されないため、ワーク排出状況を見ながらワークの最適な搬送を実現できるように調整することができるとともに、オペレータが調整操作対象項目112を複数選択した場合であっても、制御部13によって複数の操作部12がそれぞれ担う操作対象を、オペレータが選択した調整操作対象項目112ごとに任意に割り付けることで、複数の調整操作対象項目112に関する調整処理を複数の操作部12を用いて個別に、リアルタイムで同時に、または時間差でスムーズに行うことができる。
【0057】
特に、本実施形態に係るパーツフィーダ用コントローラ1は、表示部11、操作部12、及び制御部13を共通のケース14に収容したものであるため、これら各部(表示部11、操作部12、制御部13)をユニット化することで取扱性に優れ、パーツフィーダXの導入現場における当該コントローラ1のセッティング処理の容易化を図ることができる。さらに、本実施形態に係るパーツフィーダ用コントローラ1では、複数の操作部12をケース14のうち表示部11から外れた位置に配置しているため、オペレータが表示部11の画面110を見る場合に操作部12が画面110の手前に重なって見える事態を回避することができるとともに、操作部12が表示部11の一部に重なる位置に配置された構成と比較して、表示部11の一部が操作部12に占有されないことによって表示部11の画面サイズを最大限に活用することが可能になる。
【0058】
加えて、本実施形態に係るパーツフィーダX用コントローラ1は、制御部13として、各操作部12に何れの調整操作対象項目112が割り当てられているかを表示部11に表示させる調整操作対象項目割当表示機能を発揮するものを適用しているため、オペレータは表示部11に表示された内容(操作指示マーク119)を見て、調整操作対象項目112と操作部12との関連を直感的に把握することができる。したがって、表示部11に表示される調整操作対象項目112が多く、操作部12が複数設けられているパーツフィーダ用コントローラ1であっても、どの操作部12で調整操作を行うことができるのかをオペレータが認識し難いことに起因する誤操作の発生を防止・抑制することができ、各操作部12を使用した調整操作をスムーズに行うことが可能である。
【0059】
このように、本実施形態に係るパーツフィーダ用コントローラによれば、オペレータが操作したい目的の項目を選択すると、どの操作部12で操作をすればよいのかを認識でき、迷ったり、誤ることなく、直感的に操作することができ、調整時間の短縮とストレスの低減になる。
【0060】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態ではパーツフィーダ用コントローラとしてタッチパネルディスプレイを有するタブレットを用いたが、スマートフォン等であっても構わない。コントローラとパワーユニットとの通信手段も、Blue−tooth、Wifi、光など、特に限定されるものではない。
【0061】
各駆動部によるワークの搬送原理は、楕円振動による搬送のほか、進行波による搬送等であっても構わない。
【0062】
また、上記実施形態ではパーツフィーダとしてリニアフィーダ、リターンフィーダ、ボウルフィーダ、ホッパを備える場合について説明したが、一部の構成、例えばボウルフィーダ、リニアフィーダ、リターンフィーダだけの場合、ボウルフィーダ、リニアフィーダだけの場合、ボウルフィーダ単体のみ場合等であっても、上記に準じた作用効果が奏される。
【0063】
「駆動部の振動条件」は、振幅(電圧)または周波数の何れか一方のみであってもよいし、振幅(電圧)や周波数以外の振動に関する条件であってもよい。
【0064】
また、操作部は、触覚を伴って操作可能なものであればよく、例えば、エンコーダを用いたツマミタイプに代えて、ノブタイプ(回転操作可能なもの)、あるいはジョイスティック、指で押すボタンタイプ、スイッチタイプ、タッチセンサ等を適用してもよい。さらには、表示部の画面の縁に段差(
図2に示す1D)など触覚で認知可能な部分があれば当該段差部分を操作部として設定することも可能である。操作部の数は複数であればよく、操作部ごとに触覚または操作方法が異なる構成であってもよい。
【0065】
上述の実施形態では、表示部の画面に表示する操作指示マークとして、「4分の1円状のマーク」を例示したが、これ以外のマークを適用したり、あるいは音声でオペレータに伝える構成にすることもできる。
【0066】
ケースを備えていないパーツフィーダ用コントローラであってもよい。
【0067】
表示部の画面に表示する項目の種類や数を変更することも可能である。
【0068】
また、操作部へのアナログ的な操作量を検知してデジタル的に駆動部の振動条件に対してフィードバック制御をかける機能を追加することもできる。
【0069】
本発明に係るコントローラが適用可能なパーツフィーダは、少なくとも1つの駆動部を有するパーツフィーダであればよい。したがって、例えば、ホッパが、上記実施形態で述べた駆動部を有するものではなく、振動に依らずにワークを自重でノズル排出端から下方に排出するものである場合、このようなホッパ(ノズル排出端から排出したワークを受け取ってボウルフィーダのボウルに向かって搬送する搬送手段(ベルトコンベアタイプまたはリニアフィーダタイプ等)を備えているか否かは不問)と、駆動部を有するボウルフィーダとを備えたパーツフィーダに本発明に係るコントローラを適用することができる。
【0070】
搬送対象物であるワークの一例として電子部品などの微小部品を挙げることができるが、ワークは電子部品以外の物品であってもよい。
【0071】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。