【解決手段】本体部3の長手方向の両端部近傍のそれぞれには、互いに離隔して一対のレーザシステム7が配置される。レーザシステム7は、レーザ光を照射する発光部と、対象物で反射したレーザ光を受光する受光部とを有する。レーザシステム7は、レーザ光の出射から受光までの時間によって、対象物までの距離を測定することができる。本体部3の長手方向の略中央には、撮像装置9a、9bが配置される。撮像装置9a、9bはカメラであって、本体部3の前方の対象物の写真や映像を撮像することができる。
前記本体部は、前記長手方向を第1回転軸とする上下方向の回転動作と、前記第1回転軸に略垂直であって、レーザの照射方向に略平行な方向を第2回転軸とする回転動作と、前記第1回転軸および前記第2回転軸と略垂直であって、略鉛直方向を第3回転軸とする回転動作が可能であることを特徴とする請求項1記載の杭打設位置教示装置。
前記本体部は、無線通信手段を有し、前記本体部の現在の位置から打設予定の位置までの方向と距離と、前記レーザシステムで測定された対象物の方向と位置とを比較して、その偏差を他の端末に送信して表示可能であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の杭打設位置教示装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の方法は、2カ所に配置した光源からそれぞれ光を照射させるもので、杭の打設位置ごとに光源位置を設定するのは作業性が悪い。また、それぞれの光源部と杭打設位置とに作業者を要するため、作業者の人数が必要となる。また、光源を設置するたびに、設置位置を測定するための他の測量が必要となり、多数の杭を打設するには、作業工数を要する。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、効率よく杭の打設位置を把握することが可能な杭打設位置教示装置および杭の打設方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するために、第1の発明は、杭打設時の杭の打設位置を把握するための杭打設位置教示装置であって、所定の長さを有する本体部と、前記本体部を支持する脚部と、前記本体部に内蔵される制御部と、前記本体部の長手方向の両端部近傍にそれぞれに離隔して配置される一対のレーザシステムと、前記本体部に配置される撮像装置と、を具備し、それぞれの前記レーザシステムからレーザを照射して、それぞれの反射光を受光することで、前記本体部から対象物までの距離を測定可能であり、前記撮像装置によって、対象物を撮像可能であり、前記制御部は、打設予定の杭の打設予定位置情報と、前記本体部が設置されている原位置情報とを用い、原位置から打設予定位置までの方向と距離と、前記レーザシステムで測定された対象物の方向と位置とを比較して、その偏差を出力することが可能であることを特徴とする杭打設位置教示装置である。
【0009】
前記本体部は、前記長手方向を第1回転軸とする上下方向の回転動作と、前記第1回転軸に略垂直であって、レーザの照射方向に略平行な方向を第2回転軸とする回転動作と、前記第1回転軸および前記第2回転軸と略垂直であって、略鉛直方向を第3回転軸とする回転動作が可能であってもよい。
【0010】
前記本体部は、無線通信手段を有し、前記本体部は、前記本体部の各回転動作を行う駆動部を有し、前記制御部は、前記無線通信手段によって他の端末からの無線信号を受信し、無線信号に基づいて、前記駆動部を制御可能であってもよい。
【0011】
前記本体部は、無線通信手段を有し、前記本体部の現在の位置から打設予定の位置までの方向と距離と、前記レーザシステムで測定された対象物の方向と位置とを比較して、その偏差を他の端末に送信して表示可能であってもよい。
【0012】
前記撮像装置で撮像された杭の画像から、杭の傾斜を測定可能であり、前記本体部は、無線通信手段を有し、杭の傾斜を他の端末に送信して表示可能であってもよい。
【0013】
杭の上下端近傍に設けられた反射部材の位置を、前記レーザシステムで計測して、杭の傾斜を測定可能であり、前記本体部は、無線通信手段を有し、杭の傾斜を他の端末に送信して表示可能であってもよい。
【0014】
第1の発明によれば、本体部に離隔して配置される一対のレーザシステムによって、対象物の位置を把握するため、一つのレーザで位置を把握する場合と比較して、精度が高い。また、別々の2カ所にレーザを設置する必要がなく、測定が容易である。また、複数個所に作業者を配置する必要がなく、特殊な技量も不要である。また、あらかじめ設定された打設予定位置情報に基づく打設予定位置と、現実の杭位置とを比較することができるため、作業者は、杭の誘導が容易である。
【0015】
また、本体部には撮像装置が設けられるため、杭の打設時の写真を得ることができる。このため、杭打設作業の作業実績を残すことができる。また、実際の画像と前述した測定された偏差との両者を利用して杭を誘導可能であるため、杭の誘導が容易であり、迅速に杭を誘導することができる。
【0016】
また、本体部が、互いに直交する3軸を回転軸として回転可能であるため、本体部の向きを任意の方向に向けることができる。このため、装置を設置した状態で、本体部の向きや姿勢のみを変えて、全ての杭の打設位置に対して杭を誘導することができる。例えば、水平位置のみではなく、高さ方向の位置も確実に把握することができるため、杭の打設深さなども把握することができる。
【0017】
また、端末を用いて、無線手段によって本体部の制御を行うことで、杭の誘導と本体部の操作とを同一の作業者が行うことができる。
【0018】
また、端末に、杭の位置と打設予定位置とを表示させることで、作業者は、端末の表示に従って杭を誘導すればよく、作業が容易である。
【0019】
また、打設中において、杭の画像またはレーザによって杭の傾斜を検出し、杭の傾斜を端末に表示可能とすることで、杭が確実に所定の位置と姿勢で打設されているかを、作業者がリアルタイムで確認することができる。
【0020】
第2の発明は、第1の発明に係る杭打設位置教示装置を用いた杭の打設方法であって、一対の前記レーザシステムが略水平に配置されるように杭打設位置教示装置を設置する工程と、基準位置に設けた反射部材にそれぞれの前記レーザシステムからレーザを照射して、前記杭打設位置教示装置の位置を把握する工程と、杭の下端近傍に配置した反射部材に対してそれぞれの前記レーザシステムからレーザを照射して、杭の位置を把握するとともに、前記杭打設位置教示装置で算出された、現在の杭の位置から打設予定の位置までの方向と距離によって、杭を打設予定位置まで移動させる工程と、打設予定位置において、杭を打設する工程と、杭の上端部近傍に取り付けられた反射部材によって、杭頭部の位置と高さを前記杭打設位置教示装置で測定する工程と、を具備することを特徴とする杭の打設方法である。
【0021】
第2の発明によれば、杭の打設位置と杭の位置とを把握して、容易に杭の誘導を行うことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、効率よく杭の打設位置を把握することが可能な杭打設位置教示装置および杭の打設方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下図面に基づいて、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1(a)は、杭打設位置教示装置1の正面図であり、
図1(b)は、杭打設位置教示装置1の側面図である。杭打設位置教示装置1は、杭打設時の杭の打設位置を把握するための装置であり、主に、所定の長さを有する本体部3と、本体部3を支持する脚部5から構成される。
【0025】
本体部3の長手方向の両端部近傍のそれぞれには、互いに離隔して一対のレーザシステム7が配置される。レーザシステム7は、レーザ光を照射する発光部と、対象物で反射したレーザ光を受光する受光部とを有する。レーザシステム7は、レーザ光の出射から受光までの時間によって、対象物までの距離を測定することができる。
【0026】
一対のレーザシステム7の間であって、本体部3の長手方向の略中央近傍には、撮像装置9a、9bが配置される。撮像装置9a、9bは、本体部3の前方の対象物の写真や映像を撮像することができる。なお、撮像装置9a、9bは、レンズが異なり、それぞれ視野が異なる。例えば、撮像装置9aは、広角レンズであり、広い視野範囲で撮像が可能である。一方、撮像装置9bは、より狭い視野を拡大して撮像可能である。
【0027】
図2は、本体部3の動作を示す図である。本体部3は、互いに直交する3方向に回転動作が可能である。例えば、本体部3は、本体部3の長手方向を第1回転軸(図中C)とする上下方向の回転動作(図中矢印D)と、第1回転軸に略垂直であって、レーザの照射方向(紙面に垂直な方向)に略平行な方向を第2回転軸(図中E)とする回転動作(図中矢印F)と、第1回転軸および第2回転軸と略垂直であって、略鉛直方向(図中A)を第3回転軸とする回転動作(図中矢印B)が可能である。
【0028】
図3は、対象物11の位置を把握する方法を示す図である。まず、本体部3を所定の方向に回転させて向きを合わせ、一方のレーザシステム7(図の左側)からレーザを対象物11の方向に照射する。このため、レーザシステム7から出射したレーザの一部が、対象物11に照射される(図中矢印G)。なお、レーザシステム7により照射されるレーザはある程度の広がりを持つが、必要に応じて、レンズ等によってレーザの照射角度を広げてもよく、本体部3の角度を微調整することで、確実に対象物11に向けてレーザを照射することもできる。対象物11に照射されたレーザは、対象物11に設けられた反射板(拡散反射板)やプリズムによって、反射する。この反射光(図中矢印H)をレーザシステム7で受光する。レーザ照射から受光までの時間によって、当該レーザシステム7と対象物11との距離を測定することができる。
【0029】
次に、同様の手順で、他方のレーザシステム7(図の右側)からレーザを対象物11の方向に照射する(図中矢印I)。なお、前述したように、この際、本体部3の角度を微調整して、対象物11に向けて、レーザを照射してもよい。レーザは、対象物11に設けられた反射板(拡散反射板)やプリズムによって反射し、この反射光(図中矢印J)を当該レーザシステム7で受光する。レーザ照射から受光までの時間によって、当該レーザシステム7と対象物11との距離を測定することができる。
【0030】
このようにして一対のレーザシステム7のそれぞれからレーザを照射して、それぞれの反射光を受光することで、本体部3から対象物11までの距離を測定することができ、対象物11の位置(本体部3の位置を基準とした図中X方向及びY方向のそれぞれの座標)を正確に把握することができる。例えば、本体部3を水平に配置し(それぞれのレーザシステム7の水平方向の高さを合わせ)、レーザを水平方向に向けて出射した際には、水平方向の座標を測定することができる。
【0031】
なお、前述したように、本体部3は回転させることができるため、本体部3を90度回転させ(
図2の回転軸Eを中心にF方向に90度回転させ)、レーザシステム7を鉛直方向に配置させることもできる。この場合には、図中Xは、鉛直方向の高さとなり、対象物11の高さ(X方向)と距離(Y方向)の座標を知ることができる。このように、制御部21は、本体部3の各回転軸に対する回転角度を考慮して、一対のレーザシステム7の配置と向きに応じて対象物11の座標を算出することができる。すなわち、本体部3の回転角度を変えて測定を行えば、対象物11の3次元的な座標を知ることができる。
【0032】
次に、杭打設位置教示装置1の構成についてより詳細に説明する。本体部3には、電源と、制御部21と、記憶部23と、駆動部25と通信部27とが内蔵される。
【0033】
制御部21は、例えばCPUチップであり、杭打設位置教示装置1の各種の動作や演算を行う。例えば、制御部21は、レーザシステム7の動作を制御し、レーザの照射及び受光と、この時間差から距離の演算を行う。
【0034】
記憶部23は、メモリーカード等であり、打設予定の杭の打設予定位置情報(杭番号ごとの座標)と、現在、本体部3が設置されている原位置情報(座標)が記憶されている。また、後述する実際の杭の打設位置や撮像データ等を記憶することができる。
【0035】
駆動部25は、制御部21によって制御され、前述した本体部3を各回転軸に対して回転動作させるモータやアクチュエータ等である。なお、本体部3の各回転軸に対する角度は、モータやセンサ等によって検出される。なお、作業者が本体部3の動作を手動で行う場合には、駆動部25は、必ずしも必要ではない。
【0036】
通信部27は、作業者が使用する端末30との通信を行う無線通信手段であり、例えば、BlueTooth(登録商標)規格に従った無線通信を実現することができる。
【0037】
端末30は、携帯端末やいわゆるタブレットPCなどである。端末30は、少なくとも、端末30にプログラムを実行させる制御部31と、各種情報を表示する表示部35と、杭打設位置教示装置1の通信部27と無線通信を行う通信部33とを有する。作業者は、端末30を操作することによって、杭打設位置教示装置1の動作を制御することができるとともに、杭打設位置教示装置1からの情報を受信して表示部35に表示させることができる。
【0038】
次に、杭打設位置教示装置1を用いた杭の打設方法について説明する。
図5は、杭打設予定位置17を含む作業現場13に杭打設位置教示装置1を設置した状態を示す概念図である。まず、杭打設位置教示装置1を作業現場13であって、杭打設予定位置17とは異なる位置に設置される。この際、一対のレーザシステム7が略水平に配置されるように杭打設位置教示装置1が設置される。
【0039】
次に、杭打設位置教示装置1の作業現場13内の正確な位置を把握する。作業現場13には、予め、基準となる位置がトランシット等によって測定される。例えば、図示したように、作業現場13の2カ所に基準位置15が設置される。
【0040】
まず、一方の基準位置15に設けられ、予め高さが測定されたプリズムにそれぞれのレーザシステム7からレーザを順次照射して、本体部3から当該基準位置15までの距離を測定する。また、この際、前述したように、本体部3を鉛直方向に90度回転させて再度測定を行うことで、基準位置15に対する本体部3の高さについても、測定することができる。同様に、他方の基準位置15に設けたプリズムにそれぞれのレーザシステム7からレーザを順次照射して、本体部3から当該基準位置15までの距離を測定する。また、この際、基準位置15に対する本体部3の高さについても、測定することができる。
【0041】
なお、基準位置15には、例えば、
図6に示すように、高さ方向に複数個所に反射部材としてプリズム19を配置してもよい。プリズム19のそれぞれの高さは予め測定される。この場合には、本体部3を鉛直方向に90度回転させず、本体部3を水平方向に維持した状態であっても、それぞれの高さのプリズム19の距離を測定することで、基準位置15に対する本体部3の高さについて測定することができる。なお、測定の際には、必要に応じて、測定対象ではないプリズム19に蓋をすることで、測定対象のプリズム19の高さ及び距離を正確に測定することができる。
【0042】
なお、作業者は、本体部3を直接操作させてもよいが、端末30を用いて本体部3を操作してもよい。例えば、端末30の操作により、制御部21は、通信部27によって他の端末30からの無線信号を受信し、無線信号に基づいて、駆動部25を制御して、本体部3の向き等の動作やレーザシステム7の動作を行うことができる
【0043】
このようにして、2点の基準位置15からの距離を正確に測定することで、杭打設位置教示装置1(本体部3)が設置されている原位置(水平方向および高さ方向の位置)を算出することができる。なお、算出された原位置情報(座標)は、記憶部23に記憶される。
【0044】
次に、打設する杭を移動させる。
図7は、杭40の概略図である。杭40は、杭打ち機(図示省略)によって保持される。この際、杭40の下端近傍には、反射部材として、例えば反射板41を設ける。反射板41は、例えば拡散反射板である。また、杭40の上端部近傍には、必要に応じてプリズム43が設けられる。なお、プリズム43は、杭打設後に取り付けてもよい。また、プリズム43として、シートプリズムを用いることで、経済性が優れる。
【0045】
制御部21は、杭40の下端近傍に配置した反射板41に対してそれぞれのレーザシステム7から順次レーザを照射して、前述した手順で杭40の位置(座標)を把握する。また、制御部21は、杭40の打設予定位置情報と、本体部3が設置されている原位置情報とを用い、原位置から打設予定位置までの方向と距離と、レーザシステム7で測定された杭40の方向と位置とを比較して、その偏差を出力する。
【0046】
例えば、制御部21は、このようにして算出された偏差情報を、通信部27を介して端末30に送信して、端末30の表示部35に表示させる。
図8(a)は、表示部35の表示例を示す概略図である。
【0047】
表示部35には、杭40の軌跡、杭40の現在位置である杭位置45、および杭打設予定位置17等を平面視で表示させることができる。また、杭位置45と杭打設予定位置17までの距離や方向を示すこともできる。なお、杭40には、予め識別番号が付され、該当する杭番号の杭打設予定位置17の位置が記憶部23から呼び出されて表示される。また、レーザシステム7を所定のタイミングで動作させることで、所定のタイミング毎に杭位置45を把握することができる。
【0048】
なお、
図8(a)に示すような位置関係を示す図と合わせて、撮像装置9a、9bで撮像した画像を合わせて表示させることもできる。このようにすることで、レーザシステム7の測定タイミングではなく、リアルタイムで杭40の位置を把握することできるため、より早く、杭40の誘導を行うことができる。
【0049】
杭位置45が、杭打設予定位置17に対して、所定以上近づくと、
図8(b)に示すように、杭打設予定位置17と杭位置45とを拡大表示することもできる。この際、例えば、杭打設予定位置17に対して、許容される打設範囲を表示させることもできる。このようにすることで、どこまで杭位置45を杭打設予定位置17へ近づければよいか容易に把握することができる。
【0050】
このように、作業者は、杭打設位置教示装置1で算出された現在の杭位置45から杭打設予定位置17までの方向と距離(偏差情報)を視覚的に知ることで、杭40を杭打設予定位置17まで移動させることができる。
【0051】
杭40を杭打設予定位置17まで移動させると、必要に応じて、打設前の杭40の位置情報と、打設前の杭40の撮像を行う。
図9(a)は、打設前の杭位置45と杭打設予定位置17との位置関係を示し、制御部21は、杭位置45の座標等を、通信部27を介して端末30に送信して、表示部35へ表示させるとともに、杭番号と杭位置情報を記憶部23に記憶する。同時に、
図9(b)に示すように、撮像装置9a、9bによって、杭40の打設前写真49a、49bが撮像されて、制御部21は、通信部27を介して画像を端末30に送信して表示部35へ表示させるとともに、杭番号とともに記憶部23に記憶する。
【0052】
このようにして杭40を所定の位置に移動させた後、杭打ち機によって、杭打設予定位置17へ杭40の打設を開始する。
【0053】
杭40の打設中においては、撮像装置9a、9bで杭の画像を撮像する。
図10は、杭傾斜51を示す図である。撮像された画像に基づいて、制御部21は、杭40の傾斜を測定することができる。制御部21は、通信部27を介して、杭の傾斜を端末30に送信して表示させるとともに、杭番号とともに記憶部23に記憶する。なお、杭傾斜51が所定以上となると、必要に応じて、杭打設作業の修正や、やり直しが行われる。
【0054】
なお、杭打設中における杭傾斜51は、撮像装置9a、9bによる画像ではなく、杭40の上下端近傍に設けられたプリズム43の位置を、レーザシステム7で計測して、杭40の傾斜を測定することもできる。この場合には、杭40の傾斜方向によらず、精度良く傾斜角度を測定することができる。
【0055】
杭40を所定の深さ以上打設すると、当該杭の打設作業が終了する。杭40の上部には、プリズム43が取り付けられる。このため、杭頭部の位置を杭打設位置教示装置1によって測定することができる。
【0056】
制御部21は、杭打設終了時の杭位置45(杭頭部の位置)と、打設終了後の杭40の撮像を行う。
図11(a)は、杭打設終了時の杭位置45(杭頭部の位置)を示す図であり、制御部21は、杭番号と杭位置45の座標等を、通信部27を介して端末30に送信して、表示部35へ表示させるとともに、杭番号とともに杭位置情報を記憶部23に記憶する。同時に、制御部21は、
図11(b)に示すように、撮像装置9a、9bによって、杭40の打設後写真53a、53bを撮像して、通信部27を介して端末30に送信して画像を表示部35へ表示させるとともに、杭番号とともに記憶部23に記憶する。なお、杭頭部の位置は、高さ情報を含む。このため、事前に設定された杭長さから、杭40の打設深さを知ることができる。
【0057】
以上を繰り返して、全ての杭40について打設を行う。なお、打設後の杭40からは、プリズム43を取り外して、他の杭40に使用することができる。一方、杭40の下方の反射板41は、杭40とともに、打設してもよい。また、プリズム43がシートプリズムの場合には、そのまま打設してもよい。
【0058】
以上、本実施形態によれば、一対のレーザシステム7によって、対象物の位置を測定することで、精度良く対象物の位置を把握することができる。また、本体部3が3軸方向に回転可能であるため、本体部3を任意の方向に向けて測定を行うことができる。また、本体部3の向きを変えて対象物までの距離の測定を行うことで、水平方向の座標のみではなく、高さ方向の座標も知ることができる。
【0059】
また、撮像装置9a、9bを有するため、実際の打設時の画像等を撮像することができる。このため、杭打設作業の証拠写真として、記録を残すことができる。特に、広角の撮像と、拡大の撮像を同時にできるため、必要に応じて最適な撮像を行うことができる。
【0060】
また、撮像装置9a、9bと、レーザシステム7による杭位置の測定の両者を用いることで、杭40の誘導がより容易となり、迅速に杭40を杭打設予定位置17へ誘導することができる。
【0061】
また、杭打設中にも、杭40の傾斜を測定することができるため、杭40の打設時の異常等をより速く検出することができ、早く対応することができる。
【0062】
また、全ての作業において、端末30を有する作業者が単独で行うことができるため、従来必要であった、測定者、誘導者、測定装置等の運転者などの人数を削減することができる。また、測定作業においても、特殊な技量を必要としないため、コストを削減することができる。
【0063】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。