【解決手段】電磁弁システム10Aは、給気用電磁弁14と、複数の排気用電磁弁16、18と、給気用電磁弁14と複数の排気用電磁弁16、18とのそれぞれの開閉動作をPWM制御又はPFM制御によって制御する弁制御部126と、を備える。複数の排気用電磁弁16、18は、互いに並列に配置され、給気用電磁弁14の流量特性と複数の排気用電磁弁16、18のそれぞれの流量特性とは、互いに略同一であり、複数の排気用電磁弁16、18の数は、給気用電磁弁14の数の2倍である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る電磁弁システムについて好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
【0011】
(第1実施形態)
図1に示す本発明の第1実施形態に係る電磁弁システムは、例えば、入力信号に基づいて空気圧機器302の圧力制御を行う電空レギュレータとして用いられる。
【0012】
図1に示すように、電磁弁システム10Aは、弁本体12、給気用電磁弁14、第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18を備える。弁本体12は、弁ボディ20、給気弁部22、排気弁部24及びパイロット弁部26を有する。弁ボディ20には、入口ポート28と出口ポート30とを互いに連通する給気流路32が形成されている。入口ポート28には、圧縮気体(例えば、圧縮空気)を供給するための気体供給源300が接続される。出口ポート30には、空気圧機器302が接続される。
【0013】
給気弁部22は、給気流路32を開閉する。具体的には、給気弁部22は、給気流路32内に配設された給気弁体34と、給気弁体34が着座する給気弁座36と、給気弁体34を給気弁座36に付勢する給気付勢部材38とを有する。
【0014】
給気弁体34は、給気付勢部材38によって常時閉じる方向に付勢されている。給気弁座36は、給気流路32を形成する壁部に設けられている。給気付勢部材38としては、例えば、圧縮コイルばねが挙げられるが、これに限定されない。
【0015】
弁ボディ20には、給気流路32における給気弁座36よりも下流側と排気ポート40とを互いに連通する排気流路42が形成されている。排気ポート40は、大気開放される。
【0016】
排気弁部24は、給気付勢部材38の給気弁体34の付勢方向に給気弁部22と並ぶように配置されている。排気弁部24は、排気流路42を開閉する。具体的には、排気弁部24は、排気流路42内に配設された排気弁体44と、排気弁体44が着座する排気弁座46と、排気弁体44を排気弁座46に付勢する排気付勢部材48とを有する。
【0017】
排気弁体44は、排気付勢部材48によって常時閉じる方向に付勢されている。排気弁座46は、排気流路42を形成する壁部に設けられている。排気付勢部材48の付勢方向は、給気付勢部材38の付勢方向に対して反対方向である。排気付勢部材48としては、例えば、圧縮コイルばねが挙げられるが、これに限定されない。
【0018】
パイロット弁部26は、給気弁体34及び排気弁体44を駆動させるためのものであって、弁ボディ20に設けられている。パイロット弁部26は、ダイヤフラム50と、ダイヤフラム50に設けられた弁体操作部52とを含む。
【0019】
ダイヤフラム50は、弁ボディ20に形成された所定の空間をパイロット室54と背圧室56とに区画する。背圧室56は、弁ボディ20に形成された中間流路58を介して出口ポート30に連通している。弁体操作部52は、ダイヤフラム50の中央部に固定された固定部60と、固定部60から排気弁部24を貫通するように給気弁部22まで延出したロッド62とを有する。
【0020】
ロッド62の延出端部は、給気弁体34に当接している。ロッド62は、給気付勢部材38の付勢方向とは反対方向に給気弁体34を押圧する。ロッド62における給気弁部22と排気弁部24との間には、排気弁体44に係合する係合凸部64が設けられている。係合凸部64は、排気付勢部材48の付勢方向とは反対方向に排気弁体44を押圧する。
【0021】
給気用電磁弁14は、入口ポート28とパイロット室54とを互いに連通する連通流路66を開閉する。給気用電磁弁14は、パイロット室54に供給される気体の流量を制御する。
【0022】
第1排気用電磁弁16は、連通流路66に接続された第1排出流路68を開閉する。第2排気用電磁弁18は、連通流路66に接続された第2排出流路70を開閉する。第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18は、互いに並列に配設されている。第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18のそれぞれは、パイロット室54から排出される気体の流量を制御する。
【0023】
本実施形態では、1つの給気用電磁弁14に対して2つの排気用電磁弁(第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18)が設けられている。つまり、排気用電磁弁の数は、給気用電磁弁14の数の2倍である。
【0024】
図2に示すように、給気用電磁弁14は、弁ボディ72、ポペット弁74、ハウジング76、固定鉄心78、可動鉄心80、付勢部材82、ソレノイド部84を備える。弁ボディ72には、入力ポート86と出力ポート88とを連通する流路90が形成されている。ポペット弁74は、流路90を開閉する。具体的には、ポペット弁74は、流路90を形成する壁部に設けられた弁座92に着座するように流路90内に配設されている。
【0025】
ハウジング76は、固定鉄心78、可動鉄心80、付勢部材82及びソレノイド部84を収容するように弁ボディ72に設けられている。ソレノイド部84は、コイル84aが巻回されたボビン84bを含む。ボビン84bには、固定鉄心78及び可動鉄心80が配設される内孔85が形成されている。
【0026】
固定鉄心78は、ハウジング76に固定されている。可動鉄心80は、固定鉄心78と同軸に配設されるとともにポペット弁74に固定されている。可動鉄心80は、ボビン84bの内面を摺動する。付勢部材82は、ポペット弁74が弁座92に着座するように可動鉄心80を付勢する。
【0027】
このような給気用電磁弁14では、コイル84aに通電されていない非励磁状態で、付勢部材82の付勢力によりポペット弁74が弁座92に着座して流路90が閉じられる。一方、コイル84aに通電すると、コイル84aが励磁され、励磁作用によって可動鉄心80が固定鉄心78側に吸引され、可動鉄心80がボビン84bの内面を摺動しながら変位する。これにより、ポペット弁74が弁座92から離間するため、流路90が開放する。
【0028】
第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18のそれぞれは、給気用電磁弁14と同様に構成されている。つまり、第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18は、給気用電磁弁14と同じ部品構成であり、同じ製造工程で製造された電磁弁である。換言すれば、第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18のそれぞれの流量特性は、給気用電磁弁14の流量特性と略同一である。
【0029】
ここで、流量特性とは、音速コンダクタンスと臨界圧力比とを用いて算出される圧力損失を表す式によって定められるものを言う(JIS B8390)。また、流量特性が略同一とは、給気用電磁弁14の流量特性の圧力損失を1とした場合に、第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18のそれぞれの流量特性の圧力損失が0.7〜1.3の範囲に入ることを言う。
【0030】
このように、第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18のそれぞれは、給気用電磁弁14と同様の構成要素を備えるため、その詳細な構成の説明については省略する。
【0031】
図1及び
図3に示すように、電磁弁システム10Aは、検出センサ100、電源102、入力部104、表示部106及び制御部108をさらに備える。
【0032】
検出センサ100は、出口ポート30と背圧室56とに連通する中間流路58内の圧力を検出する圧力センサである。換言すれば、検出センサ100は、出口ポート30の下流側に発生する圧力(空気圧機器302の圧力)を検出する。検出センサ100は、空気圧機器302の圧力に対応する信号を制御部108に出力する。この場合、電磁弁システム10Aは、出口ポート30の下流側の気体の圧力を制御する。
【0033】
検出センサ100は、圧力センサに限定されない。検出センサ100は、出口ポート30の流量を検出する流量センサであってもよい。この場合、電磁弁システム10Aは、出口ポート30の下流側に放出される流量を制御することになる。
【0034】
電源102は、制御部108に電力を供給する。入力部104は、例えば、空気圧機器302の設定値(設定圧力)を入力するためのボタンを有する。入力部104は、タッチパネル等であってもよい。表示部106は、設定値(設定圧力)及び測定値(検出センサ100によって検出された圧力)等を表示する。
【0035】
制御部108は、マイクロコンピュータを含む計算機であり、CPU(中央処理装置)、メモリであるROM、RAM等を有しており、CPUがROMに記憶されているプログラムを読み出し実行することで各種機能実現部(機能実現手段)として機能する。なお、各種機能実現部は、ハードウエアとしての機能実現器により構成することもできる。
【0036】
図3に示すように、制御部108は、信号変換部112、偏差算出部114、開時間設定部116、閾値設定部118、判定部120、動作モード設定部122、使用電磁弁設定部124、弁制御部126及びタイマ128を有する。
【0037】
信号変換部112は、検出センサ100からのアナログ信号をデジタル信号(測定値)に変換する。偏差算出部114は、入力部104からの指示値(設定値)と信号変換部112からの測定値との偏差を算出する。
【0038】
開時間設定部116は、測定値を設定値に一致させるために必要な給気用電磁弁14及び排気用電磁弁(第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18)の開時間Tonを設定する。
【0039】
図11等に示すように、閾値設定部118は、第1上限閾値Au、第1下限閾値Al、第2上限閾値Bu及び第2下限閾値Blを設定する。第1上限閾値Auは、設定値よりも第1閾値幅ΔAだけ大きい値に設定される。第1下限閾値Alは、設定値よりも第1閾値幅ΔAだけ小さい値に設定される。第2上限閾値Buは、設定値よりも第2閾値幅ΔBだけ大きい値に設定される。第2下限閾値Bl幅は、設定値よりも第2閾値幅ΔBだけ小さい値に設定される。
【0040】
第1閾値幅ΔAは、電磁弁システム10Aのフルスケールの出力値(最大圧力値)の3%未満の範囲内に設定するのが好ましく、1%に設定するのがより好ましい。第2閾値幅ΔBは、電磁弁システム10Aのフルスケールの出力値(最大圧力値)の3%以上7%以下に設定するのが好ましく、5%に設定するのがより好ましい。この場合、電磁弁システム10Aの下流側の圧力(空気圧機器302の圧力)を設定値に精度よく一致させる(近づける)ことができる。
【0041】
図3において、判定部120は、偏差算出部114によって算出された偏差と閾値設定部118で設定された第1閾値幅ΔA及び第2閾値幅ΔBとを比較する。判定部120は、タイマ128によって測定された時間が所定の時間(制御周期、開時間)に到達したか否かを判定する。
【0042】
動作モード設定部122は、第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18が1回ずつ(又は複数回ずつ)交互に開く第1動作モードと、第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18が同時に開く第2動作モードとのいずれかを設定する。
【0043】
使用電磁弁設定部124は、第1動作モードの制御周期で制御した排気用電磁弁(第1排気用電磁弁16又は第2排気用電磁弁18)を使用電磁弁として設定する。
【0044】
弁制御部126は、給気用電磁弁14、第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18のそれぞれの開閉動作をPWM(Pulse Width Modulation)制御又はPFM(Pulse Frequency Modulation)制御する。
【0045】
次に、電磁弁システム10Aの制御について説明する。なお、初期状態では、
図1に示すように、給気用電磁弁14、第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18のそれぞれは、閉じているものとする。すなわち、初期状態では、給気弁体34が給気弁座36に着座するとともに排気弁体44が排気弁座46に着座している。
【0046】
図4に示すように、ステップS1において、ユーザは、入力部104に空気圧機器302の設定圧力を入力する。そうすると、入力部104から設定圧力に対応した入力信号(設定値)が制御部108に入力される。また、検出センサ100は、出口ポート30(空気圧機器302)の圧力を検出する。検出センサ100の検出信号は、信号変換部112に出力される。
【0047】
次に、ステップS2において、偏差算出部114は、設定値から測定値(信号変換部112から出力される信号)を減算することにより偏差を算出する。そして、ステップS3において、タイマ128は、制御時間Tの測定を開始する。その後、ステップS4において、判定部120は、偏差の絶対値が第1閾値幅ΔAよりも小さいか否かを判定する。
【0048】
偏差の絶対値(設定値と測定値との差)が第1閾値幅ΔA以上である場合(ステップS4:NO)、
図5において、開時間設定部116は、空気圧機器302の圧力を設定値にするために必要な給気用電磁弁14又は排気用電磁弁(第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18)の開時間Tonを算出する(ステップS5)。
【0049】
この際、開時間設定部116は、偏差の極性が正である(設定値が測定値よりも大きい)場合、給気用電磁弁14の開時間Tonを算出する。開時間設定部116は、偏差の極性が負である(設定値が測定値よりも小さい)場合、排気用電磁弁(第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18)の開時間Tonを算出する。
【0050】
続いて、ステップS6において、開時間設定部116は、算出された開時間Tonが制御周期の上限開口時間Tl以下であるか否かを判定する。開時間Tonが上限開口時間Tlよりも大きい場合(ステップS6:NO)、ステップS7において、開時間設定部116は、開時間Tonを上限開口時間Tlに設定する。開時間Tonが上限開口時間Tl以下である場合(ステップS6:YES)には、開時間設定部116は、開時間TonとしてステップS5で算出された値を用いる。
【0051】
開時間Tonが設定されると、ステップS8において、判定部120は、偏差の極性が正であるか否かを判定する。換言すれば、判定部120は、偏差の極性に基づいて給気用電磁弁14と排気用電磁弁(第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18)のいずれを制御すべきか判定する。すなわち、判定部120は、偏差の極性が正である場合、測定値が設定値よりも小さいため、給気用電磁弁14を制御すべきであると判定する。一方、判定部120は、偏差の極性が負である場合、測定値が設定値よりも大きいため、排気用電磁弁(第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18)を制御すべきであると判定する。
【0052】
偏差が正の値であった場合(ステップS8:YES)、ステップS9において、弁制御部126は、給気用電磁弁14にON信号(弁開信号)を出力する。これにより、給気用電磁弁14が開く。
【0053】
図8において、給気用電磁弁14が開くと、連通流路66が開放するため、入口ポート28の圧縮気体が連通流路66を介してパイロット室54内に導かれる。そのため、パイロット室54内の圧力が上昇する。パイロット室54内の圧力が背圧室56内の圧力よりも大きくなると、ダイヤフラム50が背圧室56側に変位するため、ロッド62が給気弁体34を給気付勢部材38の付勢力に抗して押圧する。
【0054】
これにより、給気弁体34が開くため、給気流路32が開放する。従って、入口ポート28の圧縮気体は、給気流路32を介して出口ポート30に流れ、空気圧機器302に導かれる。よって、測定値(検出センサ100が検出する圧力)が上昇する。なお、この時、排気弁体44は、排気付勢部材48の付勢力によって排気弁座46に着座している。
【0055】
この際、入口ポート28から出口ポート30に導かれた圧縮気体は、中間流路58を介して背圧室56に導かれる。すなわち、背圧室56内の圧力が上昇する。そして、背圧室56内の圧力と給気付勢部材38の付勢力との合力がパイロット室54内の圧力と釣り合うようにダイヤフラム50が動作する。
【0056】
また、
図5に示すように、ステップS10において、タイマ128は、弁制御部126からON信号が出力されてからの開経過時間Trの測定を開始する。そして、ステップS11において、判定部120は、開経過時間Trが開時間Tonに達したか否かを判定する。ステップS11は、開経過時間Trが開時間Tonに達するまで繰り返し行われる(ステップS11:NO)。
【0057】
開経過時間Trが開時間Tonに達すると(ステップS11:YES)、ステップS12において、弁制御部126は、給気用電磁弁14にOFF信号(弁閉信号)を出力する。これにより、給気用電磁弁14が閉じる。
【0058】
その後、ステップS13において、判定部120は、制御時間Tが制御周期に達したか否かを判定する。ステップS13は、制御時間Tが制御周期に達するまで繰り返し行われる(ステップS13:NO)。
【0059】
制御時間Tが制御周期に達すると(ステップS13:YES)、ステップS14において、制御部108は、測定値を取得する。つまり、制御部108は、検出センサ100による圧力の検出を行う。その後、ステップS2の処理に戻る(
図4参照)。
【0060】
偏差が負の値であった場合(ステップS8:NO)、ステップS15において、判定部120は、偏差の絶対値が第2閾値幅ΔBよりも小さいか否かを判定する。偏差の絶対値が第2閾値幅ΔBよりも小さい場合(ステップS15:YES)、ステップS16において、動作モード設定部122は、第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18が1回ずつ交互に開く第1動作モードを設定する。
【0061】
すなわち、
図6に示すように、ステップS17において、判定部120は、第1動作モードの前回の制御周期で設定された使用電磁弁Mが第1排気用電磁弁16であるか否かを判定する。換言すれば、判定部120は、今回の制御周期において、第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18のどちらを制御するべきか判定する。すなわち、判定部120は、第1動作モードの前回の制御周期で動作した排気用電磁弁とは異なる排気用電磁弁を今回の制御周期で制御するべきであると判定する。なお、使用電磁弁Mの初期値(第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18のいずれも動作していない場合の初期設定値)は、第2排気用電磁弁18に設定されている。
【0062】
第1動作モードの前回の制御周期で設定された使用電磁弁Mが第1排気用電磁弁16ではない(第2排気用電磁弁18である)場合(ステップS17:NO)、ステップS18において、弁制御部126は、第1排気用電磁弁16にON信号(弁開信号)を出力する。これにより、第1排気用電磁弁16が開く。この時、第2排気用電磁弁18は閉じている。
【0063】
図9において、第1排気用電磁弁16が開くと、パイロット室54内の圧縮気体は、第1排出流路68から外部に排出され、パイロット室54内の圧力が低下する。
【0064】
パイロット室54内の圧力が背圧室56内の圧力よりも小さくなると、ダイヤフラム50がパイロット室54側に変位するため、ロッド62に設けられた係合凸部64が排気弁体44を排気付勢部材48の付勢力に抗して押圧する。これにより、排気弁体44が開くため、排気流路42が開放する。よって、測定値(検出センサ100が検出する圧力)が低下する。なお、この時、給気弁体34は、給気付勢部材38の付勢力によって給気弁座36に着座している。
【0065】
この際、背圧室56内の圧縮気体は、中間流路58、出口ポート30及び排気流路42を介して排気ポート40に導かれる。すなわち、背圧室56内の圧力が低下する。そして、パイロット室54内の圧力と排気付勢部材48の付勢力との合力が背圧室56内の圧力と釣り合うようにダイヤフラム50が動作する。
【0066】
また、
図6に示すように、ステップS19において、タイマ128は、弁制御部126からON信号が出力されてからの開経過時間Tfの測定を開始する。そして、ステップS20において、判定部120は、開経過時間Tfが開時間Tonに達したか否かを判定する。ステップS20は、開経過時間Tfが開時間Tonに達するまで繰り返し行われる(ステップS20:NO)。
【0067】
開経過時間Tfが開時間Tonに達すると(ステップS20:YES)、ステップS21において、弁制御部126は、第1排気用電磁弁16にOFF信号(弁閉信号)を出力する。これにより、第1排気用電磁弁16が閉じる。また、ステップS22において、使用電磁弁設定部124は、第1動作モードの今回の制御周期で制御した使用電磁弁Mを第1排気用電磁弁16に設定する。その後、
図4及び
図5に示すように、ステップS13以降の処理が行われる。
【0068】
図6に示すように、ステップS17において、第1動作モードの前回の制御周期で設定された使用電磁弁Mが第1排気用電磁弁16である場合(ステップS17:YES)、ステップS23において、弁制御部126は、第2排気用電磁弁18にON信号(弁開信号)を出力する。これにより、第2排気用電磁弁18が開く。この時、第1排気用電磁弁16は閉じている。この際の電磁弁システム10Aの動作は、上述した第1排気用電磁弁16を開いた場合の動作と同様である。
【0069】
また、ステップS24において、タイマ128は、弁制御部126からON信号が出力されてからの開経過時間Tfの測定を開始する。そして、ステップS25において、判定部120は、開経過時間Tfが開時間Tonに達したか否かを判定する。ステップS25は、開経過時間Tfが開時間Tonに達するまで繰り返し行われる(ステップS25:NO)。
【0070】
開経過時間Tfが開時間Tonに達すると(ステップS25:YES)、ステップS26において、弁制御部126は、第2排気用電磁弁18にOFF信号(弁閉信号)を出力する。これにより、第2排気用電磁弁18が閉じる。また、ステップS27において、使用電磁弁設定部124は、第1動作モードの今回の制御周期で制御した使用電磁弁Mを第2排気用電磁弁18に設定する。その後、
図4及び
図5に示すように、ステップS13以降の処理が行われる。
【0071】
図5に示すように、ステップS15において、偏差の絶対値が第2閾値幅ΔB以上である場合(ステップS15:NO)、ステップS28において、動作モード設定部122は、第1排気用電磁弁16と第2排気用電磁弁18が同時に開く第2動作モードを設定する。
【0072】
すなわち、
図7に示すように、ステップS29において、弁制御部126は、第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18の両方にON信号(弁開信号)を同時に出力する。これにより、第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18が同時に開く。
【0073】
図10に示すように、第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18の両方を開くと、パイロット室54内の圧縮気体は、第1排出流路68及び第2排出流路70の両方から外部に排出され、パイロット室54内の圧力が低下する。そうすると、第1排気用電磁弁16を開いた場合と同様に弁本体12が動作するため、信号変換部112から出力される測定値(検出センサ100が検出する圧力)が低下する。
【0074】
また、
図7に示すように、ステップS30において、タイマ128は、弁制御部126からON信号が出力されてからの開経過時間Tfの測定を開始する。そして、ステップS31において、判定部120は、開経過時間Tfが開時間Tonに達したか否かを判定する。ステップS31は、開経過時間Tfが開時間Tonに達するまで繰り返し行われる(ステップS31:NO)。
【0075】
開経過時間Tfが開時間Tonに達すると(ステップS31:YES)、ステップS32において、弁制御部126は、第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18の両方にOFF信号(弁閉信号)を同時に出力する。これにより、第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18が閉じる。その後、
図4及び
図5に示すように、ステップS13以降の処理が行われる。
【0076】
図4に示すように、ステップS4において、偏差の絶対値が第1閾値幅ΔAよりも小さい場合(ステップS4:YES)、ステップS33において、弁制御部126は、給気用電磁弁14、第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18にOFF信号(弁閉信号)を出力する。その後、ステップS34において、判定部120は、制御時間Tが制御周期に達したか否かを判定する。ステップS34は、制御時間Tが制御周期に達するまで繰り返し行われる(ステップS34:NO)。制御時間Tが制御周期に達すると(ステップS34:YES)、ステップS35において、制御部108は、偏差の絶対値が第1閾値幅ΔAよりも低い状態(設定値到達状態)が所定時間継続したか否かを判定する。
【0077】
設定値到達状態が所定時間継続しなかった場合(ステップS35:NO)には、ステップS2以降の処理が行われる。設定値到達状態が所定時間継続した場合(ステップS35:YES)には、一連の動作フローが終了する。
【0078】
上述した電磁弁システム10Aの制御では、第1動作モードにおいて、第1排気用電磁弁16と第2排気用電磁弁18が1回ずつ交互に開く例を説明した。しかしながら、弁制御部126は、第1動作モードにおいて、第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18が複数回ずつ交互に開くように開閉動作を制御してもよい。
【0079】
次に、電磁弁システム10Aを用いて空気圧機器302の圧力を初期値P0から設定値P1まで上昇させる立ち上がり制御(
図11に示す制御)について説明する。すなわち、この立ち上がり制御において、ユーザは、設定値P1に対応する設定圧力を入力部104に入力する(
図4のステップS1)。
【0080】
立ち上がり制御では、
図11の時点t1において、
図4〜
図7に示すフローチャートのステップS2が開始される。すなわち、時点t1において、
図4に示すように、偏差算出部114は、設定値から測定値を減算することにより偏差を算出する(ステップS2)。そして、ステップS3において、タイマ128は、制御時間Tの測定を開始する。
【0081】
続いて、ステップS4において、判定部120は、偏差の絶対値が第1閾値幅ΔAよりも大きいと判定する(ステップS4:NO)。この場合、偏差の極性が正であるため、
図5に示すように、ステップS5において、開時間設定部116は、測定値を設定値に一致させるために必要な給気用電磁弁14の開時間Tonを算出する。時点t1では、開時間Tonは制御周期の上限開口時間Tlよりも長いため(ステップS6:NO)、開時間設定部116は、開時間Tonを制御周期の上限開口時間Tlに設定する(ステップS7)。
【0082】
そして、判定部120は、偏差の極性が正であると判定する(ステップS8:YES)。従って、弁制御部126は、給気用電磁弁14を開時間Tonだけ開いた後で閉じる(ステップS9〜ステップS12、
図8参照)。
図11に示すように、このような給気用電磁弁14の開制御は、繰り返し実施される(
図4及び
図5のステップS2〜ステップS14参照)。これにより、測定値が上昇する。
【0083】
時点t2において、測定値は、第1下限閾値Alまで上昇する。そうすると、
図4に示すように、判定部120は、偏差の絶対値が第1閾値幅ΔAよりも小さいと判定する(ステップS4:YES)。
【0084】
そして、ステップS33において、弁制御部126は、給気用電磁弁14、第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18にOFF信号を出力する。続いて、制御時間Tが制御周期に達すると(ステップS34:YES)、制御部108は、設定値到達状態が所定時間継続したか否かを判定する(ステップS35)。設定値到達状態が所定時間継続していないため(ステップS35:NO)、ステップS2以降の処理を行う。
【0085】
図11の時点t3において、測定値は、第1上限閾値Auまで上昇する。そうすると、
図4において、判定部120は、偏差の絶対値が第1閾値幅ΔA以上であると判定する(ステップS4:NO)。
【0086】
この場合、偏差の極性が負であるため、
図5において、開時間設定部116は、測定値を設定値に一致させるために必要な排気用電磁弁(第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18)の開時間Tonを算出する。ここでは、開時間Tonは制御周期の上限開口時間Tl以下であるため(ステップS6:YES)、開時間設定部116は、開時間TonとしてステップS5で算出された値を用いる。
【0087】
そして、判定部120は、偏差の極性が負であると判定し(ステップS8:NO)、偏差の絶対値が第2閾値幅ΔBよりも小さいと判定する(ステップS15:YES)。従って、ステップS16において、動作モード設定部122は、第1動作モードを設定する。
【0088】
図6において、判定部120は、第1動作モードの前回の制御周期で使用電磁弁Mとして第2排気用電磁弁18が設定されていると判定した場合(ステップS17:NO)、弁制御部126は、第1排気用電磁弁16を所定の開時間Tonだけ開いた後で閉じる(ステップS18〜ステップS21、
図9参照)。これにより、出口ポート30(空気圧機器302)の圧力が低下する。その後、ステップS22において、使用電磁弁設定部124は、使用電磁弁Mを第1排気用電磁弁16に設定する。
【0089】
図11の時点t4において、測定値は、第2上限閾値Buまで上昇する。そうすると、
図5において、判定部120は、偏差の絶対値が第2閾値幅ΔB以上になったと判定する(ステップS15:NO)。そのため、ステップS28において、動作モード設定部122は、第2動作モードを設定する。
【0090】
従って、
図7に示すように、弁制御部126は、第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18を同時に所定の開時間Tonだけ開いた後で同時に閉じる(ステップS29〜ステップS32、
図10参照)。これにより、出口ポート30(空気圧機器302)の圧力が低下する。
【0091】
図11の時点t5において、測定値は、第2上限閾値Buまで低下する。そうすると、
図5において、判定部120は、偏差の絶対値が第2閾値幅ΔBよりも小さくなったと判定する(ステップS15:YES)。そのため、ステップS16において、動作モード設定部122は、第1動作モードを設定する。
【0092】
図6に示すように、判定部120は、使用電磁弁Mとして第1排気用電磁弁16が設定されていると判定するため(ステップS17:YES)、弁制御部126は、第2排気用電磁弁18を所定の開時間Tonだけ開いた後で閉じる(ステップS23〜ステップS26)。これにより、出口ポート30(空気圧機器302)の圧力が低下する。その後、ステップS27において、使用電磁弁設定部124は、使用電磁弁Mを第2排気用電磁弁18に設定する。
【0093】
図11の時点t6において、測定値は、第1上限閾値Auまで低下する。そうすると、
図4において、判定部120は、偏差の絶対値が第1閾値幅ΔAよりも小さくなったと判定する(ステップS4:YES)。この場合、ステップS33〜ステップS35の処理が行われる。ここでは、設定値到達状態が所定時間継続していないため(ステップS35:NO)、ステップS2以降の処理を行う。
【0094】
図11の時点t7において、測定値は、第1下限閾値Alまで低下する。そうすると、判定部120は、
図4において、偏差の絶対値が第1閾値幅ΔA以上になったと判定する(ステップS4:NO)。そして、
図5において、判定部120は、偏差が正であると判定する(ステップS8:YES)。そのため、弁制御部126は、給気用電磁弁14を所定の開時間Tonだけ開いた後で閉じる(ステップS9〜ステップS12、
図8参照)。
【0095】
図11の時点t8において、測定値は、第1下限閾値Alまで上昇する。そうすると、
図4において、判定部120は、偏差の絶対値が第1閾値幅ΔAよりも小さいと判定する(ステップS4:YES)。この場合、
図4のステップS33〜ステップS35の処理が行われる。ここでは、設定値到達状態が所定時間継続するため(ステップS35:YES)、立ち上がり制御の処理が終了する。
【0096】
次に、電磁弁システム10Aを用いて空気圧機器302の圧力を初期値P2から設定値P3まで下降させる立ち下がり制御(
図12に示す制御)について説明する。すなわち、この立ち下がり制御において、ユーザは、設定値P3に対応する設定圧力を入力部104に入力する(ステップS1)。
【0097】
立下がり制御では、
図12の時点t10において、
図4のフローチャートのステップS2が開始される。すなわち、時点t10において、
図4に示すように、偏差算出部114は、設定値から測定値を減算することにより偏差を算出する(ステップS2)。そして、ステップS3において、タイマ128は、制御時間Tの測定を開始する。
【0098】
続いて、ステップS4において、判定部120は、偏差の絶対値が第1閾値幅ΔAよりも大きいと判定する(ステップS4:NO)。この場合、偏差の極性が負であるため、
図5に示すように、ステップS5において、開時間設定部116は、測定値を設定値に一致させるために必要な排気用電磁弁(第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18)の開時間Tonを算出する。時点t10では、開時間Tonは制御周期の上限開口時間Tlよりも長いため(ステップS6:NO)、開時間設定部116は、開時間Tonを制御周期の上限開口時間Tlに設定する(ステップS7)。
【0099】
そして、判定部120は、偏差の極性が負であると判定する(ステップS8:NO)、偏差の絶対値が第2閾値幅ΔBよりもよりも大きいと判定する(ステップS15:NO)。従って、ステップS28において、動作モード設定部122は、第2動作モードを設定する。
【0100】
すなわち、
図7に示すように、弁制御部126は、第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18を同時に所定の開時間Tonだけ開いた後で同時に閉じる(ステップS29〜ステップS32、
図10参照)。これにより、出口ポート30(空気圧機器302)の圧力が低下する。
【0101】
図12の時点t11において、測定値は、第2上限閾値Buまで低下する。そうすると、
図5に示すように、判定部120は、偏差の絶対値が第2閾値幅ΔBよりも小さくなったと判定する(ステップS15:YES)。そのため、ステップS16において、動作モード設定部122は、第1動作モードを設定する。
【0102】
図6において、判定部120は、第1動作モードの前回の制御周期で使用電磁弁Mとして第2排気用電磁弁18が設定されていると判定した場合(ステップS17:NO)、弁制御部126は、第1排気用電磁弁16を所定の開時間Tonだけ開いた後で閉じる(ステップS18〜ステップS21、
図8参照)。これにより、出口ポート30(空気圧機器302)の圧力が低下する。その後、ステップS22において、使用電磁弁設定部124は、使用電磁弁Mを第1排気用電磁弁16に設定する。
【0103】
図12の時点t12において、測定値は、第1上限閾値Auまで低下する。そうすると、
図4において、判定部120は、偏差の絶対値が第1閾値幅ΔAよりも小さくなったと判定する(ステップS4:YES)。この場合、
図4のステップS33〜ステップS35の処理が行われる。ここでは、設定値到達状態が所定時間継続していないため(ステップS35:NO)、ステップS2以降の処理を行う。
【0104】
図12の時点t13において、測定値は、第1下限閾値Alまで低下する。そうすると、
図5に示すように、判定部120は、偏差の絶対値が第1閾値幅ΔA以上になったと判定し(ステップS4:NO)、偏差が正であると判定する(ステップS8:YES)。そのため、弁制御部126は、給気用電磁弁14を所定の開時間Tonだけ開いた後で閉じる(ステップS9〜ステップS12、
図8参照)。
【0105】
図12の時点t14において、測定値は、第1下限閾値Alまで上昇する。そうすると、
図4に示すように、判定部120は、偏差の絶対値が第1閾値幅ΔAよりも小さいと判定する(ステップS4:YES)。この場合、
図4のステップS33〜ステップS35の処理が行われる。ここでは、設定値到達状態が所定時間継続するため(ステップS35:YES)、立ち下がり制御の処理が終了する。
【0106】
本実施形態に係る電磁弁システム10Aは、以下の効果を奏する。
【0107】
電磁弁システム10Aは、パイロット弁部26のパイロット室54に供給される気体の流量を制御する給気用電磁弁14と、パイロット室54から排出される気体の流量を制御する複数の排気用電磁弁(第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18)と、給気用電磁弁14と複数の排気用電磁弁(第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18)とのそれぞれの開閉動作をPWM制御又はPFM制御によって制御する弁制御部126と、を備える。複数の排気用電磁弁(第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18)は、互いに並列に配置され、給気用電磁弁14の流量特性と複数の排気用電磁弁(第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18)のそれぞれの流量特性とは、互いに略同一である。複数の排気用電磁弁(第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18)の数は、給気用電磁弁14の数の2倍である。
【0108】
このような構成によれば、給気用電磁弁14の流量特性と複数の排気用電磁弁(第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18)のそれぞれの流量特性とが互いに略同一である。これにより、部品の共通化を図ることができるため、電磁弁システム10Aの低廉化を図ることができる。
【0109】
また、複数の排気用電磁弁(第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18)の数を給気用電磁弁14の数の2倍にしているため、各排気用電磁弁(第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18)の駆動回数を効率的に低減することができる。これにより、各排気用電磁弁(第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18)と給気用電磁弁14との寿命差(ポペット弁74が弁座92に着座する時の摩耗や可動鉄心80がボビン84bの内面を摺動する時の摩耗による寿命差)を小さくすることができるため、電磁弁システム10Aの長寿命化を図ることができる。
【0110】
電磁弁システム10Aは、複数の排気用電磁弁(第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18)が1回ずつ又は複数回ずつ交互に開く第1動作モードと、複数の排気用電磁弁(第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18)が同時に開く第2動作モードとのいずれかを設定する動作モード設定部122を備える。弁制御部126は、動作モード設定部122で設定された動作モードに基づいて複数の排気用電磁弁(第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18)の開閉動作を制御する。
【0111】
このような構成によれば、複数の排気用電磁弁(第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18)が1回ずつ又は複数回ずつ交互に開く第1動作モードを行うことにより、制御周期における排気用電磁弁の最小開口時間を給気用電磁弁14の最小開口時間と同じにすることができる。これにより、パイロット室54内の圧力の制御分解能が低下することを抑えつつ各排気用電磁弁(第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18)の駆動回数を効率的に低減することができる。また、複数の排気用電磁弁(第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18)が同時に開く第2動作モードを行うことにより、パイロット室54内の圧力の低下速度(立ち下がり応答時間)の遅延を抑えることができる。
【0112】
電磁弁システム10Aは、出口ポート30の気体の圧力又は流量を検出する検出センサ100を備える。動作モード設定部122は、設定値と検出センサ100の測定値との偏差の絶対値が所定の閾値よりも小さい場合に、第1動作モードを設定し、偏差の絶対値が閾値以上である場合に、第2動作モードを設定する。
【0113】
このような構成によれば、偏差の絶対値が閾値(第2閾値幅ΔB)よりも小さい場合(測定値と設定値との差が比較的小さい場合)に第1動作モードを行うため、測定値(出口ポート30の下流側の圧力)を精度よく設定値に一致させる(近づける)ことができる。また、偏差の絶対値が閾値(第2閾値幅ΔB)以上である場合(測定値と設定値との差が比較的大きい場合)に第2動作モードを行うため、測定値(出口ポート30の下流側の圧力)を効率的に低下させることができる。
【0114】
動作モード設定部122は、弁制御部126が複数の排気用電磁弁(第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18)の開閉動作を制御する場合、弁制御部126の制御周期毎に第1動作モード及び第2動作モードのいずれかを設定する。
【0115】
このような構成によれば、測定値(出口ポート30の下流側の圧力)を効率的且つ精度よく設定値に近づけることができる。
【0116】
弁制御部126は、動作モード設定部122が第1動作モードを設定した場合、複数の排気用電磁弁(第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18)が1回ずつ交互に開くように複数の排気用電磁弁(第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18)の開閉動作を制御する。
【0117】
このような構成によれば、複数の排気用電磁弁(第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18)をバランスよく駆動することができる。
【0118】
弁制御部126は、動作モード設定部122が第1動作モードを設定した場合、前回の制御周期で動作した排気用電磁弁とは異なる排気用電磁弁の開閉動作を制御する。
【0119】
このような構成によれば、複数の排気用電磁弁(第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18)をバランスよく駆動することができる。
【0120】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る電磁弁システム10Bについて説明する。本実施形態において、第1実施形態と同様の構成要素には同一の参照符号を付し、その説明を省略する。
【0121】
図13に示すように、電磁弁システム10Bは、弁本体12に代えて弁本体200を備える。弁本体200は、弁ボディ201、給気弁部22及びパイロット弁部202を有する。弁ボディ201には、入口ポート28と出口ポート30とを互いに連通する給気流路32が形成されている。
【0122】
パイロット弁部202は、給気弁体34を駆動させるためのものであって、弁ボディ201に設けられている。パイロット弁部202は、弁ボディ201に形成された所定の空間をパイロット室54と背圧室56とに区画するダイヤフラム50と、ダイヤフラム50に設けられた弁体操作部52とを含む。弁体操作部52は、ダイヤフラム50の中央部に固定された固定部60と、固定部60から給気弁部22まで延出したロッド62とを有する。
【0123】
出口ポート30には、絞り部204が設けられている。絞り部204は、オリフィスであって、出口ポート30を形成する内面から内方に突出した環状部である。弁ボディ201には、給気流路32における給気弁部22及び絞り部204の間と背圧室56とを互いに連通する連通路206が形成されている。
【0124】
電磁弁システム10Bは、背圧室56に連通する第1流路208の圧力を検出する検出センサ210と、給気流路32のうち絞り部204よりも下流側に連通する第2流路212の圧力を検出する検出センサ214とを備える。各検出センサ210、214は、圧力センサである。
【0125】
このような電磁弁システム10Bでは、絞り部204の上流側の圧力と絞り部204の下流側の圧力とを検出センサ210、214で検出する。そして、その圧力差により流量を算出することにより、出口ポート30の下流に放出される気体の流量が設定値に一致するように給気用電磁弁14、第1排気用電磁弁16及び第2排気用電磁弁18の開閉動作を制御する。
【0126】
この場合、出口ポート30の下流に放出する流量と発生する圧力とを同時に測定することができ、電磁弁システム10Bの制御対象として、圧力と流量のいずれかを選択することが可能になる。
【0127】
本実施形態によれば、上述した第1実施形態に係る電磁弁システム10Aと同様の効果を奏する。
【0128】
本実施形態では、2つの検出センサ210、214に代えて絞り部204の上流と下流の圧力差を検出する差圧センサと、圧力補正用の圧力センサを設けてもよい。
【0129】
本発明は、上述した構成に限定されない。本発明は、複数の排気用電磁弁の数が給気用電磁弁の数の2倍であればよく、給気用電磁弁14が1つ設けられるとともに排気用電磁弁が2つ設けられた例に限定されない。すなわち、給気用電磁弁14が2つ設けられるとともに複数の排気用電磁弁が4つ設けられてもよい。
【0130】
本発明に係る電磁弁システムは、上述の実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。