【解決手段】 バスバー1は、異なる金属から形成された第一金属板10と第二金属板20とを含み、電力供給装置の電極に接続される一方の接続部と他方の接続部を備えるバスバーであって、第一金属板10は、第二金属板20より導電率が高い金属から形成され、一方の接続部として第一接続部12を備え、他方の接続部は、第一金属板10と第二金属板20を接合した第一接合部11を第一接続部12との間で挟む位置に配置され、第一接続部12における第一金属板10と第二金属板20が並ぶ並び方向に直交する方向に沿った断面積は、第二金属板20における並び方向に直交する方向に沿った断面積より小さくしたことにより、軽量化することができる。
前記第一接続部は、前記並び方向に直交し且つ前記第一金属板の表面に沿う方向の幅が前記第二金属板より小さくなるように形成された請求項1または2に記載のバスバー。
前記第一接続部は、前記並び方向に直交し且つ前記第一金属板の表面に直交する方向の厚みが前記第二金属板より小さくなるように形成された請求項1〜3のいずれか一項に記載のバスバー。
前記第一金属板と同じ金属から形成され、前記第一金属板との間で前記第二金属板を挟むように配置されて前記第二金属板と縁部同士で接合されると共に前記他方の接続部として第三接続部が配置された第三金属板をさらに有し、
前記第三接続部における前記並び方向に直交する方向に沿った断面積は、前記第二金属板における前記並び方向に直交する方向に沿った断面積より小さい請求項1〜6のいずれか一項に記載のバスバー。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示される構造は、電池セル100の正極端子102と負極端子103とが異なる金属から形成されている。また、複数の電池セル100同士を、異なる材質の金属板104と金属板105からなるバスバー106により直列に電気的に接続され、電池パック101を形成している。
【0006】
ここで、金属板104と金属板105は、異なる金属であるため材料の特性が異なるが、いずれの金属板もバスバーの延在方向に沿って同じ断面積のまま形成されている。このような形状は、バスバーに電流が流れることによる温度上昇を考えると最適な形状ではなく、一方の金属板を形成する金属材料を過剰に使用しているものであって、この結果、バスバーの軽量化が阻害されているとともに、使用されている金属材料の質量に応じてバスバーの価格が上がる原因となっている問題があった。
【0007】
本発明は、このような課題を鑑みてなされるものであって、異種金属で形成されたバスバーの形状を適切にすることで、従来のバスバーに対して軽量化を図るとともに、それに伴って価格を下げることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するために、本発明のバスバーは、少なくとも第一金属板と第二金属板とを含み、電力供給装置の電極に接続される一方の接続部と他方の接続部を備えるバスバーであって、前記第一金属板と前記第二金属板は、異なる金属から形成され、相互の縁部同士を接合した第一接合部で一体化され、前記第一金属板は、前記第二金属板より導電率が高い金属から形成され、前記一方の接続部として第一接続部を備え、前記他方の接続部は、前記第一接続部との間で前記第一接合部を挟む位置に配置され、前記第一接続部における前記第一金属板と前記第二金属板が並ぶ並び方向に直交する方向に沿った断面積は、前記第二金属板における前記並び方向に沿った断面積より小さいことを特徴とする。
【0009】
ここで、前記第一接続部は、前記第一金属板に対する前記第二金属板の導電率の割合を前記第二金属板の断面積に乗じた値以上の断面積を有することが好ましい。
【0010】
また、前記第一接続部は、前記並び方向に直交し且つ前記第一金属板の表面に沿う方向の幅が前記第二金属板より小さくなるように形成することができる。
また、前記第一接続部は、前記並び方向に直交し且つ前記第一金属板の表面に直交する方向の厚みが前記第二金属板より小さくなるように形成することもできる。
【0011】
また、前記第一金属板は、前記第一接続部に対して前記第二金属板側に隣接して配置されて、前記第二金属板と接合される縁部が形成された第一連結部を有し、前記第一連結部は、前記並び方向に直交する方向に沿った断面積が前記第一接続部から前記第二金属板に向かって徐々に大きくなるように形成することができる。
【0012】
また、前記第一接合部は、前記第一金属板と前記第二金属板の縁部同士が同じ外形で且つ全面で接合された形状を有することが好ましい。
【0013】
また、前記第一金属板と前記第二金属板からなり、前記第二金属板は、前記他方の接続部として第二接続部を配置することが好ましい。
【0014】
また、前記第一金属板と同じ金属から形成され、前記第一金属板との間で前記第二金属板を挟むように配置されて前記第二金属板と縁部同士で接合されると共に前記他方の接続部として第三接続部が配置された第三金属板をさらに有し、前記第三接続部における前記並び方向に直交する方向に沿った断面積は、前記第二金属板における前記並び方向に直交する方向に沿った断面積より小さいことが好ましい。
【0015】
上述の課題を解決するために、本発明のバスバーの製造方法は、少なくとも第一金属板と第二金属板とを含み、電力供給装置の電極に接続される一方の接続部と他方の接続部を備えるバスバーの製造方法であって、前記第一金属板と、前記第一金属板より導電率が低い金属から形成された前記第二金属板とを縁部で互いに当接させる工程と、前記第一金属板と前記第二金属板の縁部同士を摩擦撹拌接合により全面で接合する工程とを含み、前記一方の接続部が第一接続部として前記第一金属板に形成されると共に、前記他方の接続部が前記第一接続部との間で前記第一金属板と前記第二金属板の接合部分を挟む位置に形成され、前記第一接続部は、前記第一金属板と前記第二金属板が並ぶ並び方向に直交する方向に沿った断面積が前記第二金属板における前記並び方向に直交する方向に沿った断面積より小さくなるように形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、異なる金属の第一金属板と第二金属板とは、それぞれの金属板を形成する金属材料に応じて、バスバーが延在する方向に直交する断面の面積をそれぞれの金属板毎に必要となる最適な面積にすることによって、バスバーを軽量化することができる。
【0017】
また、軽量化することは、バスバーに使用する金属材料を減らすことになり、バスバーの価格を下げることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の第1の実施例に係るバスバー1について、
図1を用いて説明する。図中のバスバー1が延在する方向をX方向、バスバーの板厚方向をZ方向、バスバーの幅方向をY方向として説明する。
【0020】
バスバー1は第一金属板10と、第二金属板20と、第三金属板30とを縁部で順次接合して構成されている。
【0021】
第一金属板10は、銅または銅合金で形成され、第二金属板20は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成され、第三金属板30は第一金属板10と同じ銅または銅合金で形成されている。なお、以下、銅と銅合金とを総称して「銅」、また、アルミニウムとアルミニウム合金とを総称して「アルミニウム」と称することがある。第一金属板10と第三金属板30とが銅で形成されているのは、本実施例の接続対象の電池セルの電極端子が銅で形成されているためであり、銅同士とすることで電食の発生を防ぐことができる。また、第二金属板20がアルミニウムで形成されているのは、材料価格を考慮して、より安価に第二金属板20を形成するためである。
【0022】
第一金属板10は、図示しない電力供給装置の電極、例えば電池セルの電極端子と接続するための平板状の第一接続部12を有し、その第一接続部12に電極端子を挿入する孔部14が形成されている。さらに、第一金属板10は、第一接続部12に対して第二金属板20側に隣接して配置されて、第二金属板20に接合される縁部が形成された第一連結部13を有する。
【0023】
第一接続部12は、バスバー1が延在する方向(X方向)に延びるように形成され、一方の端部に第一連結部13が接続されると共に他方の端部近傍に孔部14が形成されている。このように、第一接続部12は、第一金属板10において第一連結部13以外の部分からなり、電池セルの電極端子が接続される部分だけでなく、電極端子からの電流をX方向に導く伝導路も含まれるものである。
第一連結部13は、第一金属板10、第二金属板20および第三金属板30が並ぶ方向、すなわちバスバー1の延在する方向(X方向)に直交する断面(Y−Z面)の面積がバスバー1の延在する方向(X方向)の第二金属板20に向かうにつれて徐々に大きくなるように形成されている。
【0024】
第一金属板10と第二金属板20は、相互の縁部同士を接合した第一接合部11で一体化されている。ここで、第一接合部11は、第一金属板10と第二金属板20の縁部同士が同じ外形で且つ全面で接合された形状を有する。このように異種金属を接合する手段として、公知な摩擦撹拌接合法を好適に応用することができる。
【0025】
第二金属板20は、バスバー1が延在する方向(X方向)に延びる平板状であり、第一接続部12の幅方向(Y方向)において、第一接続部12より幅が大きく形成され、第一接続部12の厚さ方向(Z方向)において、第一接続部12と同一の厚さで形成されている。
【0026】
第二金属板20と第三金属板30は、相互の縁部同士を接合した第三接合部31で一体化されている。第三接合部31は、第一接合部11と同様に、第三金属板30と第二金属板20の縁部同士が同じ外形で且つ全面で接合された形状を有し、例えば摩擦撹拌接合により形成することができる。
【0027】
第三金属板30は、図示しない電池セルの電極端子と接続するための平板状の第三接続部32を有し、その第三接続部32に電極端子を挿入する孔部34が形成されている。さらに、第三金属板30は、第三接続部32に対して第二金属板20側に隣接して配置されて、第二金属板20に接合される縁部が形成された第三連結部33を有する。
【0028】
第三接続部32は、バスバー1が延在する方向(X方向)に延びるように形成され、一方の端部に第三連結部33が接続されると共に他方の端部近傍に孔部34が形成されている。このように、第三接続部32は、電池セルの電極端子が接続される部分だけでなく、電極端子からの電流をX方向に導く伝導路も含まれるものである。
第三連結部33は、第一金属板10、第二金属板20および第三金属板30が並ぶ並び方向、すなわちバスバー1の延在する方向(X方向)に直交する断面(Y−Z面)の面積がバスバー1の延在する方向(X方向)の第二金属板20に向かうにつれて徐々に大きくなるように形成されている。
【0029】
第三接続部32は、第二金属板20の幅方向(Y方向)において、第二金属板20より幅が小さく形成されている。また、第三金属板30は、第二金属板20の厚さ方向(Z方向)において、第二金属板20と同一の厚さで形成されている。
【0030】
第一接続部12と第三接続部32は、幅方向(Y方向)において同一の幅で形成され、厚さ方向(Z方向)においても同一の厚さで形成されている。
【0031】
つまり、平板状のバスバー1は、厚さ方向(Z方向)は変化せずに、幅方向(Y方向)は銅製の第一金属板10および第三金属板30の第一接続部12および第三接続部32がアルミニウム製の第二金属板20よりも小さくなる構成となっている。これにより、第一接続部12は、並び方向(X方向)に直交する断面(Y−Z面)の面積が第二金属板20より小さく形成されることになる。また、第三接続部32は、並び方向(X方向)に直交する断面(Y−Z面)の面積が第二金属板20より小さく形成されることになる。
【0032】
ここで、銅とアルミニウムの導電率を比較することで、アルミニウム製の第二金属板20の幅方向(Y方向)の寸法を基準としたときに、銅製の第一接続部12と第三接続部32の幅方向(Y方向)の寸法を何割程度小さくしても、無理なく電流を流すことが可能か算出することができる。
【0033】
具体的には、アルミニウムの導電率は、銅の導電率の約0.6倍であることが知られている。一例として、アルミニウムの導電率は62(10
6S/m)であるのに対し、銅の導電率は97(10
6S/m)である。つまり、バスバーに一定の電流を流すにあたり、銅製の第一金属板10の第一接続部12の断面(Y−Z面)の面積は、アルミニウム製の第二金属板の約0.6倍であってもよい。ここでバスバー1において、厚さ方向(Z方向)は同一であるため、第一接続部12と第三接続部32と幅方向(Y方向)の寸法を0.6倍にすることができる。
【0034】
このように、第一接続部12の断面(Y−Z面)の面積は、第二金属板20の断面(Y−Z面)の面積より小さく、且つ、第一金属板10に対する第二金属板20の導電率の割合である約0.6を第二金属板20の断面の面積に乗じた値以上の範囲で設定することができる。このとき、第一接続部12の断面(Y−Z面)の面積は、第一金属板10に対する第二金属板20の導電率の割合に応じて算出される値とほぼ同じ大きさとすることが好ましい。同様に、第三接続部32の断面(Y−Z面)の面積についても、第二金属板20の断面(Y−Z面)の面積より小さく、且つ、第三金属板30に対する第二金属板20の導電率の割合である約0.6を第二金属板20の断面の面積に乗じた値以上の範囲で設定することができる。
【0035】
上述した本実施例のように、金属材料の導電率の相違に基づいて、第一金属板10と第三金属板30の板幅を第二金属板20の板幅に対して小さくすることで、電流を流すうえで無理なくバスバーを軽量化するとともに、使用する材料を減らしたことでバスバーの価格を下げることができる。
【0036】
また、導電率の高い銅製の第一金属板10に第一連結部13を備えたことで、第一接合部11の面積が増えて強度が高くなるとともに、導電率の低いアルミニウム製の第二金属板20へ電流を流すにあたり第一接合部11において電流を均一に分布させることで、接合部におけるジュール熱の発生を抑制しながら流せる電流量を維持することができる。具体的には、第一連結部13は、断面(Y−Z面)の面積が第一接合部11から第二金属板20に向かって徐々に大きくなるように形成されているため、接合部分の強度を高めることができる。また、第一連結部13と第二金属板20の縁部同士が同じ外形で且つ全面で接合されているため、第一連結部13と第二金属板20の間で電流をスムーズに流すことができ、第一接合部11におけるジュール熱の発生を抑制することができる。これは第三連結部33についても同じ効果が得られる。
【0037】
また、第一金属板10と、第二金属板20と、第三金属板30にわたって板厚が同一であるため、電池セルの電極端子同士を接続する際に、電池セル側にバスバーを逃がす凹部を設ける必要がなく、容易に接続することができる。
【0038】
本発明の第2の実施例に係るバスバー4について、
図2および
図3を用いて説明する。図中のバスバー4が延在する方向をX方向、バスバーの板厚方向をZ方向、バスバーの幅方向をY方向として説明する。
【0039】
主な構成は、第1の実施例と同様なため異なる構成について説明をする。
【0040】
バスバー4は第一金属板40と、第二金属板50と、第三金属板60とを縁部で順次接合して構成されている。
【0041】
第一金属板40は、銅または銅合金で形成され、第二金属板50は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成され、第三金属板60は銅または銅合金で形成されている。
【0042】
第一金属板10は、図示しない電池セルの電極端子と接続するための平板状の第一接続部42を有し、その第一接続部42に電極端子を挿入する孔部44が形成されている。さらに、第一金属板10は、第一接続部42に対して第二金属板50側に隣接して配置されて、第二金属板50に接合される縁部が形成された第一連結部43を有する。
【0043】
第一接続部42は、互いに対向する一対の端部のうち一方の端部に第一連結部43が接続され、その中央部近傍に孔部44が形成されている。
第一連結部43は、バスバー4の延在する方向(X方向)に直交する断面(Y−Z面)の面積がバスバー4の延在する方向(X方向)の第二金属板50に向かうにつれて徐々に大きくなるように形成されている。
【0044】
第一金属板40と第二金属板50は、相互の縁部同士を接合した第一接合部41で一体化されている。ここで、第一接合部41は、第一金属板40と第二金属板50の縁部同士が同じ外形で且つ全面で接合された形状を有し、例えば摩擦撹拌接合により形成することができる。
【0045】
第二金属板50は、バスバー1が延在する方向(X方向)に延びる平板状であり、第一接続部42の幅方向(Y方向)において、第一接続部42と同一の幅で形成され、第一接続部42の厚さ方向(Z方向)において、第一接続部42より厚さが大きく形成されている。
【0046】
第二金属板50と第三金属板60は、相互の縁部同士を接合した第三接合部61で一体化されている。第三接合部61は、第一接合部41と同様に、第三金属板60と第二金属板50の縁部同士が同じ外形で且つ全面で接合された形状を有し、例えば摩擦撹拌接合により形成することができる。
【0047】
第三金属板60は、図示しない電池セルの電極端子と接続するための平板状の第三接続部62を有し、その第三接続部62に電極端子を挿入する孔部64が形成されている。さらに、第三金属板60は、第三接続部62に対して第二金属板50側に隣接して配置されて、第二金属板50に接合される縁部が形成された第三連結部63を有する。
【0048】
第三接続部62は、互いに対向する一対の端部のうち一方の端部に第三連結部63が接続され、その中央部近傍に孔部64が形成されている。
第三連結部63は、バスバー4の延在する方向(X方向)に直交する断面(Y−Z面)の面積がバスバー4の延在する方向(X方向)の第二金属板50に向かうにつれて徐々に大きくなるように形成されている。
【0049】
第三接続部62は、第二金属板50の幅方向(Y方向)において、第二金属板50と同一の幅で形成され、第二金属板50の厚さ方向(Z方向)において、第二金属板50より厚さが大きく形成されている。
【0050】
第一接続部42と第三接続部62は、幅方向(Y方向)において同一の幅で形成され、厚さ方向(Z方向)においても同一の厚さで形成されている。
【0051】
つまり、平板状のバスバー4は、幅方向(Y方向)は変化せずに、厚さ方向(Z方向)は銅製の第一金属板40および第三金属板60の第一接続部42および第三接続部62がアルミニウム製の第二金属板50よりも小さくなる構成となっている。これにより、第一接続部42は、並び方向(X方向)に直交する断面(Y−Z面)の面積が第二金属板50より小さく形成されることになる。また、第三接続部62は、並び方向(X方向)に直交する断面(Y−Z面)の面積が第二金属板50より小さく形成されることになる。
【0052】
第1の実施例では板幅を小さくできる理由と説明したのと同様に、本実施例のように、金属材料の導電率の相違に基づいて、第一接続部42と第三接続部62の厚さを第二金属板50の厚さに対し小さくすることで、電流を流すうえで無理なくバスバーを軽量化するとともに、使用する材料を減らしたことでバスバーの価格を下げることができる。
【0053】
また、導電率の高い銅製の第一金属板40に第一連結部43を備えたことで、第一接合部41の面積が増えて強度が高くなるとともに、導電率の低いアルミニウム製の第二金属板50へ電流を流すにあたり第一接合部41において電流を均一に分布させることで、接合部におけるジュール熱の発生を抑制しながら流せる電流量を維持することができる。これは第三連結部63についても同じ効果が得られる。
【0054】
また、第一金属板40と、第二金属板50と、第三金属板60にわたって幅が同一であるため、電池セルの電極端子同士を接続する際に、電池セル側にバスバーを逃がす凹部を設ける必要がなく、容易に接続することができる。
【0055】
本発明の第3の実施例に係るバスバー7について、
図4ないし
図6を用いて説明する。図中のバスバー7が延在する方向をX方向、バスバーの板厚方向をZ方向、バスバーの幅方向をY方向として説明する。
【0056】
主な構成は、第1の実施例と同様なため異なる構成について説明をする。
【0057】
バスバー7は第一金属板70と、第二金属板80とを縁部で接合して構成されている。
【0058】
第一金属板70は、銅または銅合金で形成され、第二金属板80は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されている。これは、本実施例の接続対象の電池セルの電極端子の一方は銅であり、他方はアルミニウムであるためである。
【0059】
第一金属板70は、図示しない電池セルの電極端子と接続するための平板状の第一接続部72を有し、この第一接続部72に電極端子を挿入する孔部74と、曲面状に延びる曲げ部75とが形成されている。さらに、第一金属板70は、第一接続部72に対して第二金属板80側に隣接して配置されて、第二金属板80に接合される縁部が形成された第一連結部73を有する。
【0060】
第一接続部72は、バスバー1が延在する方向(X方向)に延びるように形成され、一方の端部に第一連結部73が接続されると共に他方の端部近傍に孔部74が形成されている。また、第一接続部72は、X方向において第一連結部73側の半部に曲げ部75が配置されている。この曲げ部75は、板厚方向(Z方向)に凸状に湾曲するように形成されている。このように、第一接続部72は、第一金属板70において第一連結部73以外の部分からなり、電池セルの電極端子が接続される部分だけでなく、電極端子からの電流をX方向に導く曲げ部75などの伝導路も含まれるものである。
第一連結部73は、バスバー7の延在する方向(X方向)に直交する断面(Y−Z面)の面積がバスバー7の延在する方向(X方向)の第二金属板80に向かうにつれて徐々に大きくなるように形成されている。また、第一連結部73は、曲げ部75に連続して湾曲した形状を有する。
【0061】
第一金属板70と第二金属板80は、相互の縁部同士を接合した第一接合部71で一体化されている。ここで、第一接合部71は、第一金属板70と第二金属板80の縁部同士が同じ外形で且つ全面で接合された形状を有し、例えば摩擦撹拌接合により形成することができる。
【0062】
第二金属板80は、図示しない電池セルの電極端子と接続するための平板状の第二接続部82からなり、この第二接続部82に電極端子を挿入する孔部84と、曲面状に延びる曲げ部85とが形成されている。
【0063】
第二接続部82は、バスバー1が延在する方向(X方向)に延びるように形成され、一方の縁部に第一金属板70が接合されると共に他方の縁部近傍に孔部84が形成されている。また、第二接続部82は、X方向において第一金属板70側の半部に曲げ部85が配置されている。この曲げ部85は、板厚方向(Z方向)に凸状に湾曲するように形成されている。このように、第二接続部82は、第二金属板80全体から構成され、電池セルの電極端子が接続される部分だけでなく、電極端子からの電流をX方向に導く曲げ部85などの伝導路も含まれるものである。
【0064】
第二金属板80は、第一金属板70の幅方向(Y方向)において、第一接続部72より幅が大きく形成され、第一接続部72の厚さ方向(Z方向)において、第一接続部72と同一の厚さで形成されている。
【0065】
つまり、平板状のバスバー7は、厚さは変化せずに、幅方向(Y方向)は銅製の第一金属板70の第一接続部72がアルミニウム製の第二金属板80よりも小さくなる構成となっている。これにより、第一接続部72は、並び方向(X方向)に直交する断面(Y−Z面)の面積が第二金属板80より小さく形成されることになる。
【0066】
本実施例のように、第1の実施例と同様に、金属材料の導電率の相違に基づいて、第一接続部72の板幅を第二金属板80の板幅に対し小さくすることで、電流を流すうえで無理なくバスバーを軽量化するとともに、使用する材料を減らしたことでバスバーの価格を下げることができる。
【0067】
また、導電率の高い銅製の第一金属板70に第一連結部73を備えたことで、第一接合部71の面積が増えて強度が高くなるとともに、導電率の低いアルミニウム製の第二金属板80へ電流を流すにあたり第一接合部71において電流を均一に分布させることで、接合部におけるジュール熱の発生を抑制しながら流せる電流量を維持することができる。
【0068】
また、第一接続部72と第二接続部82との間に、曲面状の曲げ部75、85を有するため、電池セルの電極端子同士を接続する際に、電池セル側に凸形状があってもバスバー7に干渉せず、容易に接続することができる。
【0069】
本発明の第4の実施例に係るバスバーの製造方法について説明する。
バスバーの製造方法の一例として、本発明の第2実施例に係るバスバー4の製造方法について説明する。
【0070】
まず、
図7(a)に示すように、第一金属板40の縁部45と第二金属板50の縁部51が対向すると共に第三金属板60の縁部65と第二金属板50の縁部52が対向するように、第一金属板40、第二金属板50および第三金属板60が順次並べられる。このとき、第一金属板40には、第一金属板40、第二金属板50および第三金属板60が並ぶ並び方向に直交する方向に沿った断面積が第二金属板50における並び方向に直交する方向に沿った断面積より小さくなるように表面を切削して、第一接続部42が予め形成されている。また、第一金属板40には、縁部45に向かって断面積を徐々に大きくした第一連結部43が予め形成されている。同様に、第三金属板60には、第二金属板50より断面積が小さくなるように表面を切削して第三接続部62が予め形成されると共に、縁部65に向かって断面積を徐々に大きくした第三連結部63が予め形成されている。
【0071】
ここで、第一金属板40の縁部45は第二金属板50の縁部51と同じ外形、すなわち同じ厚みおよび幅を有し、第三金属板60の縁部65は第二金属板50の縁部52と同じ外形を有するように形成されている。また、第一金属板40および第三金属板60は、銅または銅合金で形成され、第二金属板50は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されている。すなわち、第一金属板40および第三金属板60は、第二金属板50より導電率が高い金属から形成されている。
続いて、第一金属板40の縁部45を第二金属板50の縁部51に突き合わせて当接させ、第三金属板60の縁部65を第二金属板50の縁部52に突き合わせて当接させる。
【0072】
そして、
図7(b)に示すように、第一金属板40、第二金属板50および第三金属板60の裏面において当接部分に円柱状の回転装置91を押し当てて、回転装置91を回転しつつ当接部分に沿って移動させる。これにより、第一金属板40、第二金属板50および第三金属板60の当接部分が、回転装置91との摩擦により加熱されて、第一金属板40、第二金属板50および第三金属板60を互いに接合することができる。
【0073】
従来のように、例えば、第一金属板40、第二金属板50および第三金属板60を溶接により接合した場合には、接合される縁部の形状が変化して縁部同士を全面で接合することが困難であった。本発明では、摩擦撹拌接合で接合することにより、互いに同じ外形を有する第一金属板40の縁部45と第二金属板50の縁部51を全面で接合させることができ、互いに同じ外形を有する第三金属板60の縁部65と第二金属板50の縁部52を全面で接合させることができる。これにより、第一金属板40と第二金属板50を接合した第一接合部41が形成されると共に第三金属板60と第二金属板50を接合した第三接合部61が形成される。そして、第一金属板40に形成された第一接続部42と第三金属板60に形成された第三接続部62とが、第一接合部41および第三接合部61を挟む位置に配置されることになる。このようにして、第一金属板40、第二金属板50および第三金属板60が互いに接合された1枚の接合金属板を形成することができる。
【0074】
続いて、
図7(c)に示すように、接合金属板は、第一接続部42および第三接続部62に孔部44および孔部64がそれぞれ形成されると共に、第一金属板40、第二金属板50および第三金属板60が並ぶ並び方向に所定の幅で切断されることにより、バスバー4が作製される。ここで、例えば、本発明の実施の形態1に係るバスバー1を作成する場合には、接合金属板を切断した後に、第一金属板10および第三金属板30を所定の幅に削る必要がある。本発明の実施の形態2に係るバスバー4は、厚みの異なる金属板を接合して切断するだけでよく、バスバー4を容易に作製することができる。
【0075】
上述した本実施例のように、第一金属板40と第三金属板60の断面積を第二金属板50の断面積より小さく形成することで、電流を流すうえで無理なくバスバー4を軽量化するとともに、使用する材料を減らしたことでバスバー4の価格を下げることができる。
また、摩擦撹拌接合により、第一金属板40と第二金属板50の縁部同士が全面で接合されると共に第三金属板30と第二金属板50の縁部同士が全面で接合されるため、接合強度を向上させると共に、バスバー4に電流を流した際に接合部におけるジュール熱の発生を抑制することができる。
【0076】
なお、本実施例では、第一金属板40、第二金属板50および第三金属板60の裏面に回転装置91を押し当てて摩擦撹拌接合したが、第一金属板40、第二金属板50および第三金属板60の表面に回転装置91を押し当てて摩擦撹拌接合することもできる。例えば、第一金属板40、第二金属板50および第三金属板60の当接部分近傍に回転装置91を押し当てることにより摩擦撹拌接合することができる。また、本発明の第1の実施例に係るバスバー1のように、第一金属板10、第二金属板20および第三金属板30の断面積が同じ場合には、表面側についても当接部分に回転装置91を押し当てて摩擦撹拌接合することができる。
また、本実施例では、第一金属板40および第三金属板60は、それぞれ第一連結部43および第三連結部63を形成した後に摩擦撹拌接合により接合されたが、これに限られるものではない。例えば、第一金属板40および第三金属板60は、表面側を摩擦撹拌接合しつつその撹拌力により第一連結部43および第三連結部63を形成することもできる。
【0077】
なお、上述した実施例1〜4では、第一接続部および第三接続部の断面(Y−Z面)の面積は、バスバー1が延在する方向(X方向)の全体にわたって第二金属板の断面(Y−Z面)の面積より小さく形成されたが、その一部が第二金属板の断面(Y−Z面)の面積より小さく形成されていればよく、これに限られるものではない。例えば、第一接続部および第三接続部においてバスバー1が延在する方向(X方向)の半分以上を占める部分の断面(Y−Z面)の面積が、第二金属板においてバスバー1が延在する方向(X方向)の半分以上を占める部分の断面(Y−Z面)の面積より小さくなるように形成することが好ましい。これにより、バスバーに流れる電流を妨げることなく軽量化することができる。
【0078】
また、上述した実施例1〜4では、第一金属板および第三金属板が銅または銅合金で形成されると共に第二金属板がアルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されたが、第一金属板および第三金属板が第二金属板より導電率の高い金属から形成されていればよく、これに限られるものではない。