【解決手段】第1のセンサ901及び第2のセンサ群902nは、中継基板910のGND端子V_gthにて共通のグランド線L5に接続される。制御基板110と中継基板910とがハーネス920によって接続されることで、制御基板110のGND端子V_gはGND端子V_gthと電気的に接続される。CPU171は、省エネモードへ移行するとき、第1のセンサ901への電力供給を遮断した状態で読み取った第1のセンサ901の出力を補正値AN_CとしてRAM175に記憶させ、その後、手差しトレイ900にシートPが載置されたと判断すると、第1のセンサ901へ電力を供給した状態で読み取った第1のセンサ901の出力値AN_Mを補正値AN_Cで補正して出力値AN_Rを得る。
前記制御基板は、前記第2センサから出力された第2出力値が第1信号レベルから第2信号レベルへ変化した場合、前記第1センサから出力された第1出力値を取得することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
前記中継基板には、前記第1センサへ電力を供給するための第1電源パターン、前記第1センサの第1出力値を前記制御基板へ中継する第1信号パターン、前記第2センサへ電力を供給するための第2電源パターン、前記第2センサの第2出力値を前記制御基板へ中継する第2信号パターンが印刷されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施の形態に係る画像形成装置の断面図である。画像形成装置100としてフルカラープリンタを挙げるが、これに限定されない。画像形成装置100は、イエロー色の画像を形成する画像形成部1Yと、マゼンタ色の画像を形成する画像形成部1Mと、シアン色の画像を形成する画像形成部1Cと、ブラック色の画像を形成する画像形成部1Bkの4つの画像形成部とを備える。画像形成手段としてのこれら4つの画像形成部1Y,1M,1C,1Bkは一定の間隔で一列に配置される。
【0014】
画像形成部1Y,1M,1C,1Bkにはそれぞれ、像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(以下、感光ドラムという)2a,2b,2c,2dが設置されている。各感光ドラム2a,2b,2c,2dの周囲にはそれぞれ、一次帯電器3a,3b,3c,3d、現像装置4a,4b,4c,4d、転写ローラ5a,5b,5c,5d、ドラムクリーナ装置6a、6b、6c、6dが配置される。一次帯電器3a,3b,3c,3dと現像装置4a,4b,4c,4dとの間の位置の下方には、レーザ露光装置7が設置されている。
【0015】
現像装置4a,4b,4c,4dにはそれぞれ、イエロートナー、シアントナー、マゼンタトナー、ブラックトナーが収納されている。各感光ドラム2a,2b,2c,2dは、負帯電のOPC感光体であり、アルミニウム製のドラム基体上に光導電層を有し、駆動装置(不図示)によって
図1の時計回りに所定のプロセススピードで回転駆動される。一次帯電器3a,3b,3c,3dは、帯電バイアス電源(不図示)から印加される帯電バイアスによって各感光ドラム2a,2b,2c,2dの表面を負極性の所定電位に均一に帯電させる。現像装置4a,4b,4c,4dは、それぞれ各感光ドラム2a,2b,2c,2d上に形成される各静電潜像に各色のトナーを付着させてトナー像として現像(可視像化)する。転写ローラ5a,5b,5c,5dはそれぞれ、一次転写部32a、32b、32c、32dにて、無端状の中間転写ベルト8を介して各感光ドラム2a,2b,2c,2dに当接可能に配置されている。ドラムクリーナ装置6a、6b、6c、6dは、感光ドラム2a,2b,2c,2d上で一次転写時に残留した転写残トナーを除去するためのクリーニングブレード等を有している。
【0016】
中間転写ベルト8は、感光ドラム2a,2b,2c,2dの上方に配置され、二次転写対向ローラ10とテンションローラ11とに張架される。テンションローラ11は、対向側に配置され、中間転写ベルト8に張力を付与する。二次転写対向ローラ10は、二次転写部34において、中間転写ベルト8を介して二次転写ローラ12と当接可能に配置されている。二次転写対向ローラ10は、中間転写ベルト8に駆動力を付与し、中間転写ベルト8を
図1の反時計回りに回転させる。中間転写ベルト8は、感光ドラム2a,2b,2c,2dに対向する一次転写面8bを下方にして配置され、特に、一次転写面8bのうち二次転写部34側が下方となるように傾斜配置されている。中間転写ベルト8は、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム、ポリフッ化ビニリデン樹脂フィルム等のような誘電体樹脂によって構成されている。
【0017】
中間転写ベルト8の外側で、テンションローラ11の近傍には、中間転写ベルト8の表面に残った転写残トナーを除去して回収するベルトクリーニング装置(不図示)が設置される。また、転写材であるシートPの搬送方向において二次転写部34よりも下流側には、定着装置16が縦パス構成で設置されている。
【0018】
レーザ露光装置7は、与えられた画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応した発光を行うレーザ発光部のほか、ポリゴンレンズ、反射ミラー等を有する。レーザ露光装置7は、各感光ドラム2a、2b、2c、2dを露光することによって、一次帯電器3a,3b,3c,3dで帯電された感光ドラム2a,2b,2c,2dの表面に画像情報に応じた各色の静電潜像を形成する。
【0019】
次に、画像形成装置100による画像形成動作について説明する。画像形成開始信号が発せられると、所定のプロセススピードで回転駆動される感光ドラム2a,2b,2c,2dは、それぞれ一次帯電器3a,3b,3c,3dによって一様に負極性に帯電される。そして、レーザ露光装置7は、外部から入力されるカラー色分解された画像信号をレーザ発光部から照射し、ポリゴンレンズ、反射ミラー等を経由して各感光ドラム2a,2b,2c,2d上に各色の静電潜像を形成する。
【0020】
画像形成装置100は、感光ドラム2a上に形成された静電潜像に、感光ドラム2aの帯電極性(負極性)と同極性の現像バイアスが印加された現像装置4aにより、イエローのトナーを付着させてトナー像として可視像化する。このイエローのトナー像は、感光ドラム2aと転写ローラ5aとの間の一次転写部32aにて、一次転写バイアス(トナーと逆極性(正極性))が印加された転写ローラ5aにより、中間転写ベルト8上に転写される。イエローのトナー像が転写された中間転写ベルト8は、画像形成部1M側に移動する。そして、画像形成部1Mにおいても同様にして、感光ドラム2bに形成されたマゼンタのトナー像が、中間転写ベルト8上のイエローのトナー像上に重ね合わせて、一次転写部32bにて転写される。
【0021】
同様にして、画像形成装置100は、中間転写ベルト8上に重畳転写されたイエロー、マゼンタのトナー像上に、画像形成部1C,1Bkの感光ドラム2c,2dで形成されたシアン、ブラックのトナー像を各一次転写部32a〜32dにて順次重ね合わせる。これにより、フルカラーのトナー像が中間転写ベルト8上に形成される。なお、各感光ドラム2上に残留した転写残トナーは、ドラムクリーナ装置6a、6b、6c、6dに設けられたクリーナブレード等により掻き落とされ、回収される。
【0022】
シートPは、給紙カセット17または手差しトレイ900のうち選択された方から、搬送パス18を通して給紙される。給紙されたシートPは、中間転写ベルト8上のトナー像の先端が、二次転写対向ローラ10と二次転写ローラ12との間の二次転写部34に到達するタイミングに合わせて、レジストローラ19により二次転写部34に搬送される。二次転写部34に搬送されたシートPに、二次転写バイアス(トナーと逆極性(正極性))が印加された二次転写ローラ12により、フルカラーのトナー像が一括して転写される。手差しトレイ900の給紙構成については後述する。
【0023】
シートPが定着装置16に搬送され、フルカラーのトナー像が加熱、加圧されてシートPの表面に熱定着された後に、排紙ローラ21によって装置本体上面の排紙トレイ22上に排出されることで、一連の画像形成動作が終了する。中間転写ベルト8上に残った二次転写残トナー等は、ベルトクリーニング装置によって除去されて回収される。以上が片面画像形成時の画像形成動作である。続いて両面画像形成動作について説明する。
【0024】
シートPが定着装置16に搬送されるまでの工程は片面画像形成動作と同様である。画像形成装置100は、シートPにフルカラーのトナー像を熱定着させ、排紙ローラ21によって排紙トレイ22上にシートPの大部分を排出させた状態で、排紙ローラ21の回転を停止する。その際、シートPの後端位置が反転可能位置42に到達している。続いて、画像形成装置100は、搬送が停止されたシートPを、両面ローラ40、41を備えた両面パスへと送り込むために、排紙ローラ21を逆回転させる。排紙ローラ21を逆回転させることにより、画像形成装置100は、反転可能位置42に位置していたシートPを、その後端側を先端側として両面ローラ40に到達させる。
【0025】
その後、画像形成装置100は、シートPを両面ローラ40により両面ローラ41へと搬送し、両面ローラ40、41によりレジストローラ19に向かって搬送する。画像形成装置100は、その間に画像形成開始信号を発生させる。画像形成装置100は、上記した片面画像形成時と同様に、中間転写ベルト8上のフルカラーのトナー像の先端が二次転写部34に到達するタイミングに合わせて、レジストローラ19により二次転写部34へとシートPを移動させる。画像形成装置100は、二次転写部34にてシートPの第2面にトナー像を転写させた以降は、片面画像形成動作と同様に、定着装置16にてシートP上の画像を定着させ、再度、排紙ローラ21によって搬送し、排紙トレイ22上に排出する。
【0026】
図2は、画像形成装置100の制御ブロック図である。制御基板110(第1の基板)は、画像形成装置100の全体を制御する制御手段としてのCPU171を有する。CPU171には各構成要素がアドレスバスまたはデータバスにより接続されている。ROM174には、CPU171により実行される制御プログラムが書き込まれている。記憶手段としてのRAM175は各種情報を記憶すると共に、CPU171が制御を実行する際のワークエリアとなる。不揮発性メモリ176は、画像形成装置100の電源OFF(オフ)中にも記憶した情報を保持する。
【0027】
外部I/F処理部400は、PC(パーソナルコンピュータ)などの外部機器に対して、画像データや処理データなどを送受信する。画像メモリ部300は、画像の伸張処理や一時的な蓄積処理などをする。画像形成制御部200は、画像メモリ部300から転送されたライン画像データをレーザ露光装置7に露光させるための処理を行う。このほか、制御基板110は、I/Oポート173、アナログI/F(インタ-フェイス)180を有する。
【0028】
制御基板110には、定着装置16や手差しトレイ900が接続されるほか、電源装置800、操作部172が接続される。I/Oポート173には、モータ、クラッチ等の各種駆動負荷(不図示)や、シートPの位置ないし有無を検知するセンサ等(不図示)の入力や、定着装置16が接続されている。CPU171は、ROM174に記憶されたプログラムに従って、I/Oポート173を介して順次、I/Oポート173の入出力の制御を行い、画像形成動作等の処理を実行する。CPU171は、操作部172の表示部及びキー入力部(いずれも図示せず)を制御する。ユーザは、操作部172を通じて、画像形成動作モードや表示の切り替え等をCPU171に指示し、CPU171は装置の状態の表示やキー入力による動作モード設定の表示を行う。電源装置800は、複数の制御用電源装置(電源供給部)として、
図4で後述する電源A、Bを有するほか、負荷用電源装置(不図示)を有する。
【0029】
定着装置16及び電源装置800にはAC商用電源550から給電される。電源A(
図4)は、制御基板110のCPU171やアナログI/F180にDC電源を供給する。電源Aはまた、第1のセンサ901(
図4)にDC電源を供給する。電源Bは、シートPの位置ないし有無を検知するセンサ等にDC電源を供給する。負荷用電源装置はモータやクラッチ等の駆動負荷にDC電源を供給する。
【0030】
図3は、手差しトレイ900の平面図である。手差しトレイ900は、シート搬送方向(
図3の下方)に直交する方向に可動して、互いの間隔を変化させるスライドガイド903a、903bを備えている。第1のセンサ901(第1センサ)は、多値信号を出力するアナログセンサである。第2のセンサ902a(第2センサ)は、第2のセンサ群902n(
図4)の1つであり、手差しトレイ900にシートPが有るかどうかを検知する紙有無検知センサである。第2のセンサ902aは、スライドガイド903a、903b間のシート載置面に配置される。第2のセンサ902aは、2値信号(第2出力値)を出力する、例えばフォトセンサであり、手差しトレイ900に載置されたシートPを検知するとオンの信号を出力する。第2のセンサ902aから出力される2値信号は信号レベルの異なる信号であってもよい。つまり、第2のセンサ902aは、シートP(検知対象)が検知された状態ではハイレベルの信号を出力し、シートP(検知対象)が検知されない状態ではローレベルの信号を出力する。第2のセンサ902aはシートPの検知結果に基づき信号レベルの異なる出力値を出力する。
【0031】
ユーザが、手差しトレイ900にセットされたシートPに接触するようにスライドガイド903a、903bを移動させると、シート搬送方向に直交するシートPの両端がガイドされる。スライドガイド903a、903bが移動すると、スライドガイドギア904が回転し、第1のセンサ901が設けられた部材が第1のセンサ901と一体に変位する。第1のセンサ901は、例えば、自身の位置に応じてその抵抗値が変動する可変抵抗で構成される。従って、スライドガイド903a、903b(検知対象)が移動すると、その移動量に応じて第1のセンサ901の出力値が変化する。第1のセンサ901は、スライドガイド903a、及び903bの検知結果に応じた出力値(第1出力値)を出力する。
【0032】
CPU171は、公知のシート長さ検知方法を用い、第1のセンサ901の出力値を長さ情報に変換することで、シート搬送方向に直交する方向のシートPの長さであるシート幅を取得する。これによりCPU171は、載置されたシートPのサイズ(紙サイズ)を検出する。例えば、CPU171は、第2のセンサ902aが反応(オンを出力)したら、そのときの第1のセンサ901の出力値を用いてシートサイズを検出する。そしてCPU171は、検出したシートサイズを操作部172に表示させ、手差しトレイ900から給紙するシートPのサイズの確認をユーザに促す。シートPのサイズが確認されたら、CPU171は、プリントを開始する。
【0033】
図4は、手差しトレイ900を含む画像形成装置100の要部のブロック図である。本実施の形態の画像形成装置100では、比較例の画像形成装置(
図8)に比し、制御基板110にSW(スイッチ)905が追加された点が異なる。本実施の形態において比較例の画像形成装置と共通する構成については、説明が一部重複する。以下、主に
図4を参照して画像形成装置100の構成を説明する。
【0034】
第2のセンサ群902nは第2のセンサを複数含み、第2のセンサの中には手差しトレイ900に含まれないもの(不図示)もある。第2のセンサ群902nは少なくとも1つであればよく、第2のセンサ群902nのうち第2のセンサ902a以外のセンサは、例えば、搬送路や給紙カセット17等に配置される。制御基板110は、第1のセンサ901の駆動用の電源Aと、第2のセンサ群902nの駆動用の電源Bを有する。制御基板110が有するSW905は、例えば、一般的なFET(電界効果トランジスタ)で構成される。このSW905は、I/Oポート173によって、第1のセンサ901に電源Aからの電力を供給するか遮断するかを切り替え可能に設けられる。CPU171は、I/Oポート173を介してSW905の切り替えを制御する。
【0035】
中継基板910(第2の基板)には、第1電源パターンL1、第2電源パターンL2、第1信号パターンL3、第2信号パターンL4、グランドパターンL5が印刷されている。第1電源パターンL1は、第1のセンサ901に電力を供給するための電源パターンであり、ハーネス920を介して制御基板110のSW905と接続される。第1のセンサ901は、SW905及びハーネス920を介して電源Aから電力を供給される。第2電源パターンL2は、第2のセンサ902aに電力を供給するための電源パターンであり、ハーネス920を介して制御基板110の電源Bと接続される。第2のセンサ902aは、ハーネス920を介して電源Bから電力を供給される。なお、中継基板910には第2のセンサ群902nの中の他のセンサに電力を供給するための別の電源パターンも印刷される。しかし、ここでは説明を簡略化するために他のセンサに電力を供給するための別の電源パターンの図示及び説明を省略する。
【0036】
第1信号パターンL3は、第1のセンサ901の出力を制御基板110に中継するための信号パターンであり、ハーネス920を介して制御基板110のアナログI/F180と接続される。CPU171は、アナログI/F180を介して第1のセンサ901の出力を受ける。第2信号パターンL4は、第2のセンサ902aの出力を制御基板110に中継するための信号パターンであり、ハーネス920を介して制御基板110のI/Oポート173と接続される。なお、中継基板910には第2のセンサ群902nの中の他のセンサの出力を中継するための別の信号パターンも印刷される。しかし、第2のセンサ群902nの他のセンサの出力を中継するための信号パターンについても、電源パターン同様、その図示及び説明を省略する。CPU171は、I/Oポート173を介して第2のセンサ群902nの出力を受ける。
【0037】
グランドパターンL5は、中継基板910のGND端子V_gthに接続されると共に、制御基板110のGND端子V_gと接続される。すなわち、制御基板110と中継基板910とがハーネス920によって接続されることで、制御基板110のGND端子V_gは、中継基板910のGND端子V_gthと、電気的に接続されている。GND端子V_gとGND端子V_gthとの間でハーネス920が有する接触抵抗値Rgはゼロより大きい。GND端子V_gthには、第1のセンサ901及び第2のセンサ群902nが電気的に接続されている。従って、グランドパターンL5は、第1のセンサ901及び第2のセンサ群902nに共通のグランドパターンである。
【0038】
このように、第1のセンサ901と第2のセンサ群902nとのGNDが共通化されている。一方、ハーネス920には、第1のセンサ901を駆動するのに必要な電流量である駆動電流I_ANと、第2のセンサ群902nを駆動するのに必要な電流量である駆動電流I_sensorsとが流れる。駆動電流I_ANは駆動電流I_sensorsより十分に小さいため、GND電位の観点からは駆動電流I_ANを無視できる。従って、中継基板910におけるGND(GND端子Vgth)の電位「Rg×I_sensors」だけ、第1のセンサ901の出力値がオフセットされるという問題がある。
【0039】
具体的には、ハーネス920自身の抵抗値は、ハーネス920の種類や長さにも依存するが、一般に1メートルあたり0.1〜0.2Ω程度である。また、ピンコンタクトの接触抵抗値は、一般に1箇所あたり0.01〜0.05Ω程度である。本実施の形態では、一例として、接触抵抗値Rg=0.2Ωとする。第1のセンサ901に可変抵抗を用いたとし、駆動電流I_ANは1mA以下であるとする。フォトセンサ1個当たり20mA程度とし、フォトセンサが10個であるとすると、駆動電流I_sensorsは0.2Aとなる。駆動電流I_sensorsは、第2のセンサ群902nの全センサ分の駆動電流である。この条件だと、中継基板910におけるGND(GND端子Vgth)の電位「Rg×I_sensors」は、0.2[Ω]×0.2[A]=0.04[V]となる。
【0040】
第1のセンサ901の出力値は、GND端子Vgthの電位を基準とすることから、Rg×I_sensorsだけプラス側にオフセットされる。仮に、電源Aを3.3V、アナログI/F180の分解能を10bitであるとすると、このオフセット量である0.04Vは、AD値で12程度の誤差に相当する。ここで、第1のセンサ901で測定されるシートPのサイズの上限を、一般的なA4横サイズである297mmとする。第1のセンサ901の測定値とシートサイズとの関係が線形であるとすると、第1のセンサ901の出力のAD値「1」あたりの距離は、0.3mm程度である。従って、AD値の12のずれにより、約3.6mm程度の測定誤差が生じることになる。これにより、シートサイズを誤判定するおそれがある。そこで、以下に説明するように、本実施の形態では、第1のセンサ901の出力値を用いる際にオフセット分を補償する工夫をする。
【0041】
図5は、起動処理のフローチャートである。この処理は、CPU171が、ROM174に記憶されたプログラムをRAM175に読み出して実行することにより実現される。この処理は、装置電源オンの指示があると開始され、装置電源オフの指示があると終了する。装置電源オン、オフの指示は、ユーザが操作部172を介して入力できる。
【0042】
まず、装置電源がオンされ、AC商用電源550により各部への給電が開始されると、CPU171は、起動シーケンスを実行する(ステップS501)。すなわち、CPU171は、電源A、B、負荷用電源装置の起動のほか、装置の状態確認、及び各種調整といった各種処理を実行する。画像形成装置100には、電力モードとして、少なくともスタンバイモードと省エネモード(省電力モード又はパワーセーブモード)とがある。各電力モードへの移行要因及び復帰要因は、ユーザからの切替スイッチ(不図示)による指示によって発生するほか、装置状態の変化や時間の経過等に基づいてCPU171により発生される。画像形成装置100はスタンバイモードにおいて画像を形成可能である。画像形成装置100は省エネモードにおいて印刷ジョブを受信することができるが、省エネモードにおいて画像を形成できない。しかし、省エネモードはスタンバイモードよりも消費電力が小さい。そのため、ユーザが画像形成装置100を長時間使用しない場合にCPU171は省エネモードへ移行する。
【0043】
次に、CPU171は、スタンバイモードへと移行し(ステップS502)、外部接続された機器等から画像形成要求が入ったか否かを判別する(ステップS503)。そして、画像形成要求が入った場合は、CPU171は、画像形成モードに移行して、要求に応じた画像形成動作を実行する(ステップS504)。画像形成装置100が画像形成モードにおいて全ての画像を形成し終えた後に、CPU171は処理をステップS502に戻す。
【0044】
一方、ステップS503において画像形成要求が入らない場合は、CPU171は、省エネモードへの移行要因があったか否かを判別する(ステップS505)。そして、CPU171は、省エネモードへの移行要因がない場合は、処理をステップS503に戻す。つまり、画像形成要求又は省エネモードへの移行要因がない場合、画像形成装置100はスタンバイモードに制御されている。省エネモードへの移行要因があった場合は、CPU171は、後述する補正値記憶シーケンス(
図6)を実行してから(ステップS506)、処理をステップS507に進める。
【0045】
ステップS507では、CPU171は、省エネモード移行シーケンスを実行し、省エネモードへと移行する(ステップS508)。その後、CPU171は、省エネモードからの復帰要因があったか否かを判別する(ステップS509)。画像形成装置100は復帰要求が入力されるまで省エネモードにおいて制御されている。省エネモードからの復帰要因があった場合は、CPU171は、省エネモードからスタンバイモードへ復帰するための復帰シーケンスを実行し(ステップS510)、処理をステップS502に戻す。
【0046】
図6は、
図5のステップS506で実行される補正値記憶シーケンスの処理のフローチャートである。CPU171は、I/Oポート173を介してSW905をオフ(OFF)にする(ステップS601)。これにより、第1のセンサ901への電源Aからの電力供給が遮断される。一方、電源Bからの第2のセンサ群902nへの電力供給は維持されている。次に、CPU171は、この状態で、アナログI/F180を介して、第1のセンサ901の出力値である出力電圧を読み取る(ステップS602)。そしてCPU171は、読みとった出力電圧の値を、補正値AN_CとしてRAM175に記憶する(ステップS603)。その後、CPU171は、
図6の処理を終了する。ステップS603において、CPU171は読み取った出力電圧に基づいて補正値AN_Cを生成する。
【0047】
なお、起動処理(
図5)の開始時点で、RAM175には、補正値AN_Cの初期値としてゼロが記憶されている。CPU171は、
図6の処理を実行する際、RAM175に補正値AN_Cが既に記憶されている場合は、新たに読み取った値で補正値AN_Cを更新する。従って、RAM175には最新の補正値AN_Cが記憶されている。
【0048】
図7は、サイズ検知シーケンスの処理のフローチャートである。この処理は、CPU171が、ROM174に記憶されたプログラムをRAM175に読み出して実行することにより実現される。この処理は、例えば、スタンバイモード(ステップS502)、または画像形成モード(ステップS504)に移行したときに開始される。
【0049】
CPU171は、I/Oポート173を介して第2のセンサ902aが反応(信号がオンに変化)するまで待機する(ステップS701)。第2のセンサ902aが反応した場合は、手差しトレイ900にシートPが載置されたと判断できる。なお、第2のセンサ902aから出力される2値信号が信号レベルの異なる信号であるとした場合、CPU171は、当該2値信号がハイレベルの信号である場合に、第2のセンサ902aが反応したと判別してもよい。この場合、CPU171は、ステップS702〜S705で、第1のセンサ901の出力値を用いた制御として、シートPのサイズを取得する処理を行う。
【0050】
まず、CPU171は、アナログI/F180を介して、第1のセンサ901の出力電圧を読み取る(ステップS702)。なお、ステップS702で第1のセンサ901の出力電圧を読み取るときには、第1のセンサ901への電源Aからの電力供給と、電源Bからの第2のセンサ群902nへの電力供給とは、共に維持されている。ステップS702で読みとった出力電圧の値を出力値AN_Mとする。
【0051】
次に、CPU171は、RAM175に記憶されている補正値AN_Cを読み出す(ステップS703)。そしてCPU171は、ステップS702で読み取った出力値AN_Mを、ステップS703で読み出した補正値AN_Cで補正する(ステップS704)。具体的には、式1を用いて、補正前の出力値AN_Mから補正値AN_Cを減算することで、補正後の出力値AN_Rを求める。
AN_R=AN_M−AN_C・・・(式1)
【0052】
次に、ステップS705で、CPU171は、公知の手法により、補正後の出力値AN_Rをシートサイズに変換する。例えば、出力値AN_Rとシートサイズとの関係を規定する変換テーブルがROM174に予め格納されている。CPU171は、この変換テーブルを参照して、出力値AN_Rに対応するシートサイズを取得する。その後、CPU171は、
図7の処理を終了する。
【0053】
これにより、駆動電流I_sensorsと、ハーネス920が有する接触抵抗値Rgとに起因する第1のセンサ901の出力値のオフセットの影響を受けずに、手差しトレイ900に載置されたシートPのサイズを正確に測定可能となる。
【0054】
本実施の形態によれば、CPU171は、省エネモードへ移行するとき、第1のセンサ901への電力供給を遮断した状態で第1のセンサ901の出力を読み取り、読み取った値を補正値AN_CとしてRAM175に記憶させる処理を実行する(
図6)。そしてCPU171は、手差しトレイ900にシートPが載置されたと判断すると、第1のセンサ901へ電力を供給した状態で読み取った出力値AN_Mを補正値AN_Cで補正して出力値AN_Rを得る。これにより、複数のセンサのGNDを共通化した構成において、多値信号を出力するセンサ(第1のセンサ901)の出力誤差を抑制することができる。
【0055】
ところで、第1のセンサ901に出力オフセットが生じないようにする方法はいくつか考えられる。例えば、制御基板110と中継基板910間のIF(インターフェイス)として、第1のセンサ901専用のGNDのハーネスを追加する方法が考えられる。しかしこの方法では、IFの追加によりコストや体積が大きく増加してしまう。また、この他に、出荷前に平均的なオフセット値(補正値)を予めRAM175に記憶しておく方法が挙げられる。しかしこの方法では、ハーネスの配線抵抗値Rgの個体バラツキや、第2のセンサ群902nへの駆動電流I_sensorsのバラツキによる第1のセンサ901の出力誤差が大きくなる。さらに、この他に、出荷前に個別にオフセット値を取得し、予めRAM175に記憶しておく方法が挙げられる。しかしこの方法では、装置個別の調整が必要になって生産効率が下がるだけでなく、納品先の温度環境や耐久状況によって配線抵抗値Rgや駆動電流I_sensorsが変動した場合に対応できない。従って、これらの点を考慮すると本実施の形態の構成は有利である。
【0056】
ところで、本実施の形態では、アナログセンサである第1のセンサ901の電源を落とした状態で第1のセンサ901の出力を読み取ることで、これ以外のセンサの影響を取得する構成をとった。この構成の第1の利点は、アナログセンサでアナログ値を読み取りたいタイミング以外は、いつでも補正値記憶シーケンス(
図6)を行うことが出来る点である。第2の利点は、補正値AN_Cを記憶する際にアナログセンサの状態に依存しない点である。つまり、第1のセンサ901でいうと、スライドガイド903a、903bの位置に依存しないので、スライドガイド903a、903bがどの位置にあっても、補正値AN_Cを取得できる。
【0057】
なお、補正値記憶シーケンス(
図6)を実行するタイミングは、電力モードが省電力モードへ移行するタイミングに限らず、第1のセンサ901へ電力を供給した状態における第1のセンサ901の出力を用いない所定のタイミングであればよい。この観点からは、補正値記憶シーケンスを実行するタイミングとして以下が考えられる。
【0058】
まず、手差しトレイ900にシートPが載置されていないタイミング、つまり、第2のセンサ902aにより、シートPが無いと検知されている(反応(オン)していない)タイミングが考えられる。あるいは、手差しトレイ900からの給紙の実行中のタイミング、つまり、手差しトレイ900からの給紙による画像形成動作中タイミングが考えられる。これらいずれかのタイミングであれば、通常、シートサイズの検知が必要とされないからである。
【0059】
また、このほか、画像形成装置100のメンテナンスが実施されるタイミングも考えられる。例えば、手差しトレイ900内の部品をサービスマンが交換した場合、ハーネス920や第2のセンサ902aの個体バラツキにより、交換前に対し配線抵抗値Rgや駆動電流I_sensorsが変化する可能性がある。従って、メンテナンス実施時には補正値記憶シーケンスを実施するのが望ましい。なお、上記したタイミングのうち2つ以上を採用してもよい。
【0060】
なお、補正値記憶シーケンスの対象となるセンサとして、手差しトレイ900に配置された第1のセンサ901を例示したが、これに限るものではない。共通のGNDに接続されるセンサのうち、他のセンサと比較して駆動電流が十分に多いセンサを対象にしてもよい。また、補正値記憶シーケンスの対象となるセンサは2つ以上であってもよく、これら2つ以上のセンサは互いに異なる場所に配置されてもよい。
【0061】
なお、電源A、Bは制御基板110に設けられたが、制御基板110以外の場所に設けられてもよい。
【0062】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。