特開2020-114981(P2020-114981A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-114981(P2020-114981A)
(43)【公開日】2020年7月30日
(54)【発明の名称】軒樋支持具
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/072 20060101AFI20200703BHJP
【FI】
   E04D13/072 502R
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-6762(P2019-6762)
(22)【出願日】2019年1月18日
(71)【出願人】
【識別番号】593178409
【氏名又は名称】株式会社オーティス
(74)【代理人】
【識別番号】110002686
【氏名又は名称】協明国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】北村 昌司
(57)【要約】      (修正有)
【課題】簡易な構成で軒先の傾斜に応じて傾斜角度が調整可能且つ時間が経過しても所望の傾斜角度を維持できる軒樋支持具を提供する。
【解決手段】軒先に固定される取付部材10と、取付部材10に傾斜角度が調整可能に連結された、軒樋を保持する樋支持具本体20とを備えた軒樋支持具1において、取付部材10は、取付板部11と、取付板部から前方に突出する取付本体部12とを備えており、取付本体部12は、前方に突出する形状に形成され、その前面13には、上下方向に間隔を空けて形成された複数の係合凹部13aを有しており、樋支持具本体20は、弾性変形する線状材で折曲形成され、係合凹部13aのいずれかに係合される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軒先に固定される取付部材と、該取付部材に傾斜角度が調整可能に連結された、軒樋を保持する樋支持具本体とを備えた軒樋支持具において、
前記取付部材は、取付板部と、該取付板部から前方に突出する取付本体部とを備えており、
該取付本体部は、前方に突出する形状に形成され、その前面には、上下方向に間隔を空けて形成された複数の係合凹部を有しており、
前記樋支持具本体は、弾性変形する線状材で折曲形成され、前記係合凹部のいずれかに係合されることを特徴とする軒樋支持具。
【請求項2】
請求項1において、
前記取付本体部は、その前面に上下方向に延びる長孔を有し、前記係合凹部は、前記長孔の幅方向外側に開口して形成され、前記樋支持具本体は、前記長孔にスライド移動可能に連結されることを特徴とする軒樋支持具。
【請求項3】
請求項2において、
前記樋支持具本体は、後端部が幅方向外側に向けて折曲され、前記取付本体部は、前記後端部が軸支される連結孔を有していることを特徴とする軒樋支持具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軒先に固定される取付部材と、取付部材に傾斜角度が調整可能に連結された、軒樋を保持する樋支持具本体とを備えた軒樋支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、軒先の取付面の傾斜に応じて軒樋を略水平に保持するために、傾斜角度を調整可能な軒樋支持具が提案されている(たとえば、特許文献1)。特許文献1の軒樋支持具は、軒先に固定された取付部材の長孔にスライド移動可能に樋支持具本体を連結し、所望の位置で固定ネジで締め付けて固定することにより、軒先の傾斜角度に応じて軒樋を略水平に保持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6−20688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の軒樋支持具は、固定ネジで樋支持具本体を固定するため、時間が経つにつれて固定ネジが緩んで所望の角度を維持できないおそれがある。また、固定ネジが必要となるので、軒樋支持具の部品点数が増えて構造が複雑になってしまう。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮して提案されたもので、その目的は、簡易な構成で軒先の傾斜に応じて傾斜角度が調整可能且つ時間が経過しても所望の傾斜角度を維持できる軒樋支持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の軒樋支持具は、軒先に固定される取付部材と、該取付部材に傾斜角度が調整可能に連結された、軒樋を保持する樋支持具本体とを備えた軒樋支持具において、前記取付部材は、取付板部と、該取付板部から前方に突出する取付本体部とを備えており、該取付本体部は、前方に突出する形状に形成され、その前面には、上下方向に間隔を空けて形成された複数の係合凹部を有しており、前記樋支持具本体は、弾性変形する線状材で折曲形成され、前記係合凹部のいずれかに係合されることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の軒樋支持具は、前記取付本体部は、その前面に上下方向に延びる長孔を有し、前記係合凹部は、前記長孔の幅方向外側に開口して形成され、前記樋支持具本体は、前記長孔にスライド移動可能に連結されることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の軒樋支持具は、前記樋支持具本体は、後端部が幅方向外側に向けて折曲され、前記取付本体部は、前記後端部が軸支される連結孔を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の軒樋支持具は、上述した構成とされているため、簡易な構成で軒先の傾斜に応じて傾斜角度を調整することができる。また、線状材で樋支持具本体が形成されているため、コストを安く抑えることができる。さらに、時間が経過しても樋支持具本体の傾斜角度を維持できる。
【0010】
請求項2に記載の軒樋支持具は、上述した構成とされているため、長孔に沿って樋支持具本体をスライド移動させることができる。
【0011】
請求項3に記載の軒樋支持具は、上述した構成とされているため、樋支持具本体を取付本体部の連結孔に回動可能に連結でき、安定した状態でスライド移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態に係る軒樋支持具の斜視図である。
図2】(a)は、第1実施形態に係る軒樋支持具の模式平面図、(b)は(a)の樋支持具本体を変形させた状態の模式平面図である。
図3】(a)は、軒先に固定された状態の第1実施形態に係る軒樋支持具の模式側面図、(b)は傾斜した軒先に固定された状態の軒樋支持具の模式側面図である。
図4】(a)は、図2(a)のX−X線矢視断面図に相当する第2実施形態に係る軒樋支持具の模式断面図、(b)は、第3実施形態に係る軒樋支持具の斜視図である。
図5】(a)は、第4実施形態に係る軒樋支持具の模式平面図、(b)は、(a)のY−Y線矢視模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。まず、図1図3に示した第1実施形態の軒樋支持具1の基本構成について説明する。なお、軒先に軒樋支持具を取り付けた状態を基準にして、前後方向(長手方向)、幅方向(軒先に対する見付の方向と一致する方向)、上下方向等を規定する。また、一部の図では、他図に付している詳細な符号の一部を省略している。
【0014】
図1図3に示した軒樋支持具1は、軒先3に固定される取付部材10と、取付部材10に傾斜角度が調整可能に連結された、軒樋4を保持する樋支持具本体20とを備えている。取付部材10は、取付板部11と、取付板部11から前方に突出する取付本体部12とを備えている。取付本体部12は、前方に突出する形状に形成され、その前面13には、上下方向に間隔を空けて形成された複数の係合凹部13aを有している。樋支持具本体20は、弾性変形する線状材で折曲形成され、係合凹部13aのいずれかに係合される。以下、詳しく説明する。
【0015】
軒樋支持具1は、軒先3に固定される受け具であり、軒先3に取付部材10を介して固定される。取付部材10は、軒先3に固定させるための固着具が挿通される複数の挿通孔11bが開設されたステンレス等の板状の金属材料からなる取付板部11と、取付板部11の前面11aから前方に突出する曲がり形状に形成されたステンレス等の金属材料からなる取付本体部12とにより構成される。
【0016】
取付本体部12は、下方が開口して形成されている。取付本体部12の前面13は、上方側よりも下方側が前方に突出し前方の斜め上方を向く円弧状の湾曲面に形成され、上下方向に延びる長孔13bを有している。図1に示すように、本実施形態では、長孔13bは、前面13の中央部13cを挟んで幅方向に2つ形成され、それぞれの下端が開口して凹状に形成されている。
【0017】
係合凹部13aは、長孔13bの幅方向外側に開口して複数形成されている。詳しく説明すると、本実施形態では、図1において、右側の長孔13bの幅方向外側となる右側に、左側の長孔13bの幅方向外側となる左側に、それぞれ開口して係合凹部13aが間隔を空けて上下方向に連続して5つずつ形成されている。つまり本実施形態では、樋支持具本体20は、取付本体部12に対して5段階の角度調整が可能となっている。係合凹部13aは、後述する樋支持具本体20の線状部22が係合する大きさに形成されており、係合凹部13aの幅寸法及び高さ寸法は、後述する樋支持具本体20を構成する線状材の径と略同じか若干大きく形成される。左右の係合凹部13a,13aは、弾性変形していない状態の樋支持具本体20の線状部22,22が係合する間隔に形成されている。なお、線状部22,22が幅方向外側に弾性付勢して係合凹部13a、13aに強固に係合される態様でもよい。また、一番下方にある係合凹部13a,13aが、軒先3の取付面3aが垂直なときに用いられ、取付面3aの傾斜角度に合わせて、上方の係合凹部13a,13aが用いられる。なお、各係合凹部13aは、側面視において、後述する側面14,14の連結孔14a,14aに向かって傾斜して開口されている。
【0018】
取付本体部12の側面14,14は扇状に形成され、後述する樋支持具本体20の後端部23が軸支される連結孔14a,14aが貫通して形成されている。連結孔14a,14aは、幅方向において、互いに対向する位置に形成されている。
【0019】
樋支持具本体20は、弾性変形する金属製の1本の線状材により折曲形成されている。樋支持具本体20は、前方に軒樋4を受け支持する受け部21,21と、受け部21,21の後ろ側に直線状の線状部22,22と、線状部22,22の後ろ側に幅方向外側に向けて折曲された後端部23,23とが一体に構成されている。受け部21,21は互いに略平行に形成され、同様に線状部22,22も互いに略平行に形成されている。
【0020】
上述のようにして構成された取付部材10と樋支持具本体20とを連結させる。取付本体部12の下方から樋支持具本体20を適宜幅方向内側に変形させながら挿し入れ、樋支持具本体20の後端部23,23が連結孔14a,14aに挿入され、線状部22,22が係合凹部13a,13aに係合される。
【0021】
図2(a)は、取付部材10と樋支持具本体20とが連結された状態の軒樋支持具1の平面図である。図に示されているように、樋支持具本体20の線状部22,22は、左右の係合凹部13a,13aに係合されている。また、樋支持具本体20は、後端部23,23が連結孔14a,14aに連結されることによって回動可能に軸支されている。後端部23,23はその先端部23a,23aが側面14,14の外側に露出するような寸法で形成されている。
【0022】
図2(b)の太矢印に示すように幅方向内側の力が線状部22,22に加えられると、樋支持具本体20は変形して係合凹部13a,13aとの係合状態が解除される。この解除状態が維持されていれば、樋支持具本体20は、長孔13b,13bに沿って上下方向にスライド移動が可能となる。そして、所望の位置で線状部22,22に加えられている幅方向内側の力が解除されと、線状部22,22は幅方向内側の力が加えられていない状態に弾性復帰して係合凹部13a,13aに係合される。
【0023】
後端部23,23は、線状部22,22が幅方向内側に変形したときに、連結孔14a,14aから脱落しないような長さで形成されている。また、取付本体部12の前面13の中央部13cによって線状部22,22が必要以上に幅方向内側に変形しにくくなっているので、後端部23,23が連結孔14a,14aから脱落しにくくなっている。さらに、樋支持具本体20は、中央部13cに沿って安定してスライド移動させることができる。
【0024】
図3(a)は、垂直な取付面3aを有する軒先3に固定された軒樋支持具1の側面図である。取付板部11の挿通孔11bに挿通した固着具(不図示)によって取付部材10は、軒先3に固定されている。線状部22,22が一番下の係合凹部13a,13aに係合されることによって、軒樋4は樋支持具本体20の受け部21によって略水平に保持される。
【0025】
図3(b)は、下方側よりも上方側が前方に突出し前方の斜め下方を向く傾斜した取付面3aを有する軒先3に固定された軒樋支持具1の側面図である。取付部材10は、傾斜した状態で取付面3aに固着具(不図示)によって固定される。図3(b)では、線状部22,22が、下から3番目の係合凹部13a,13aに係合されることによって、軒樋4は樋支持具本体20の受け部21によって略水平に保持される。図3(a)に示す扇状の側面14,14を、取付面3aの傾斜に合わせて、図3(a)の状態から下方に回転した状態に取り付けることで、図3(b)に示すような下方側よりも上方側が前方に突出し前方の斜め下方を向く傾斜した取付面3aを有する軒先3に対して、軒樋4を略水平に保持することが可能となっている。なお、線状部22,22が係合される係合凹部13a,13aは、軒先3の取付面3aの傾斜角度に合わせて適宜選択される。また、水勾配等のために軒樋4は、受け部21に略水平に保持されていなくてもよい。
【0026】
本実施形態では、樋支持具本体20は、係合凹部13aにより5段階の角度調整が可能であるが、これに限定されることはなく、係合凹部13aを少なくしてもよい。また係合凹部13aをより多く形成し、樋支持具本体20がより細かい角度調整ができる態様であってもよい。係合凹部13aは、線状部22が係合する大きさに形成されればいいので、長孔13bの幅方向外側に開口して間隔を空けて上下方向に多くの係合凹部13aを形成することができる。さらに一番下方にある係合凹部13a,13aが、軒先3の取付面3aが垂直なときに用いられることに限定されることはない。そして、取付本体部12の前面13は、上方側よりも下方側が前方に突出し前方の斜め上方を向く円弧状の湾曲面に形成されることに限定されることはなく、例えば、上方側よりも下方側が前方に突出し前方の斜め上方を向く直線状の傾斜面であってもよい。また、前面13に中央部13cを形成せずに1つの長孔13bが形成される構成であってもよい。さらに、樋支持具本体20の形状は図示されているものに限定されることはない。受け部21の形状は、種々の軒樋の形状に合わせて形成されればよい。
【0027】
次に、他の実施形態における軒樋支持具について、図4図5を参照して説明する。なお、第1実施形態と共通する部分には、可能な限り同一の符号を付し、その構成及び作用・効果等の説明は省略する。
【0028】
図4(a)は、図2(a)の軒樋支持具1のX−X線矢視断面図に相当する第2実施形態の軒樋支持具1の模式断面図である。第1実施形態の軒樋支持具1とは異なり、取付本体部12の側面14に連結孔14aが形成されておらず、側面14,14を接続する丸棒体の軸部14bが形成されている。また、各係合凹部13aは、側面視において、軸部14bに向かって傾斜して開口されている。そして、樋支持具本体20は、後端部23が軸部14bに巻きつくように形成されている。これにより、樋支持具本体20は、軸部14bを軸にして回動できる。取付部材10、樋支持具本体20のその他の構成は、第1実施形態と略同じ構成である。第1実施形態の軒樋支持具1と同様に、線状部22,22に幅方向内側の力が加えられることで、線状部22,22と係合凹部13a,13aとの係合状態が解除され、樋支持具本体20の角度調整が可能となる。なお、本実施形態では、軸部14bに後端部23が巻きついているので、樋支持具本体20が取付部材10から脱落するおそれが少ない。そのため、取付本体部12の前面13に中央部13cが形成されていなくてもよい。
【0029】
図4(b)は、第3実施形態の軒樋支持具1の斜視図である。第1実施形態の軒樋支持具1と異なる点としては、取付本体部12の側面14に連結孔14aが形成されていない点である。また、前面13には、長孔13bが形成されておらず、幅寸法aの大きさで開口した係合凹部13aが、上下方向に間隔を空けて連続して形成されている。樋支持具本体20は、線状部22の後方にU字状の係合部24が形成されている。係合部24は線状部22から幅方向内側に向けて折曲した前片部24aと、前片部24aから後方に向けて折曲した接続部24bと、接続部24bの後端から幅方向外側に向けて折曲した後片部24cにより形成されている。接続部24b,24b間の幅寸法bは、係合凹部13aの幅寸法aと略同じである。
【0030】
次に取付部材10に樋支持具本体20を連結させる方法について説明する。
まず、後片部24c,24cの先端部24ca,24ca間の幅寸法cが係合凹部13aの幅寸法aよりも小さくなるまで線状部22,22に幅方向内側に力が加えられる。そして、この状態が維持されたまま、所望の位置の係合凹部13aの前方から係合部24、24が挿し込まれる。後片部24c、24cが、挿し込んでいる係合凹部13a,13aよりも後方の位置まで挿し込まれる。この状態で樋支持具本体20に加えられている幅方向内側の力が解除されると、樋支持具本体20は幅方向内側の力が加えられていない状態に弾性復帰し、係合部24の前片部24aと後片部24cとが、取付本体部12の前面13の表面と裏面とを挟み込む。これにより、樋支持具本体20は、取付部材10の係合凹部13aに連結される。接続部24b,24b間の幅寸法bは、係合凹部13aの幅寸法aと略同じであるので、樋支持具本体20は、左右にずれにくくなっている。また、係合部24の前片部24aと後片部24cとが、取付本体部12の前面13の表面と裏面とを挟み込むので、樋支持具本体20は前後にずれにくくなっている。
【0031】
図5(a)は、第4実施形態の軒樋支持具1の模式平面図であり、図5(b)は、(a)のY−Y線矢視模式断面図である。第1実施形態の軒樋支持具1と異なる点は、取付本体部12の前面13の中央部13cと、側面14の連結孔14aとが形成されておらず、第2実施形態と同様に側面14,14を接続する丸棒体の軸部14bが形成されている点である。また、前面13の中央部13cが形成されていないので、長孔13bは1つ形成されており、その幅方向外側に係合凹部13aが間隔を空けて上下方向に連続して形成されている。
【0032】
本実施形態の樋支持具本体20は、軒樋4を吊り支持する吊具であり、受け具である第1実施形態の樋支持具本体20と異なる。樋支持具本体20は、軒樋4の前耳4aを保持する前耳保持部25と、線状部22を介して軒樋4の後耳4bを保持する後耳保持部26とが形成されている。図5(b)に示すように、後耳保持部26の上辺部26aから後方に延びた後端部23が、軸部14bに巻きついて前方に延びて後耳保持部26の下片部26bが形成される。これにより、取付部材10と樋支持具本体20とが連結される。樋支持具本体20に幅方向内側の力が加えられていない状態のとき、後耳保持部26の上辺部26aは係合凹部13aに係合され、下片部26bは、長孔13b内か、取付本体部12の下方に位置する。樋支持具本体20に幅方向内側の力が加えられることで、後耳保持部26の上辺部26a,26aと、係合凹部13a,13aとの係合状態が解除され、樋支持具本体20の角度調整が可能となる。図5(a)に示すように、本実施形態では第1実施形態のように前面13に中央部13cが形成されていないので、上辺部26aよりも幅方向内側に形成されている下片部26bが他の部材に接触して樋支持具本体20の変形が阻止されることなく、樋支持具本体20の角度調整が行える。なお、樋支持具本体20に幅方向内側の力が加えられたときに樋支持具本体20の変形が阻止されない寸法で、前面13に中央部13cが形成されてもよい。
【0033】
次に、本実施形態の軒樋支持具1に軒樋4を吊り支持させる方法について説明する。軒樋支持具1の前耳保持部25に軒樋4の前耳4aを係合させ、前耳保持部25を軸にして軒樋4を後方に回動させる。そして、軒樋4を持ち上げるようにして、後耳4bにより下片部26bを弾性変形させる。これにより、後耳4bは、後耳保持部26内に到達する。そして、下片部26bが弾性変形していない状態に弾性復帰し、後耳4bは出口を塞いだ状態で後耳保持部26に収容される。軒樋4を押し込む力が解除されると、軒樋4は自然落下し、下片部26bの先端部26baに後耳4bが載置され、軒樋4は所定の位置に装着され、軒樋支持具1に吊り支持された状態となる。
【0034】
本実施形態では、樋支持具本体20に幅方向内側の力が加えられていない初期状態のとき、後耳保持部26の上辺部26aは係合凹部13aに係合され、下片部26bは、長孔13b内か、取付本体部12の下方に位置する態様だが、初期状態のとき、後耳保持部26の上辺部26a,下片部26bが、それぞれ別々の係合凹部13aに係合される態様であってもよい。
【0035】
軒樋支持具1は、上述した各実施形態に限定されることはなく、また、図面で示した形状に限定されることはない。例えば、図面では、樋支持具本体を構成する線状材の径が、取付板部や取付本体部の厚みより大きく図示されているが、線状材の径は、取付板部や取付本体部の厚みと略同じでもよく、小さくてもよい。また、樋支持具本体20は、1本の線状材で形成されることに限定されることはなく、複数の線状材を組み合わせて形成されてもよく、線状材の材質も金属材料に限定されることはない。取付部材10と樋支持具本体とを連結させる構成も、上述したものに限定されることはない。
【符号の説明】
【0036】
1 軒樋支持具
3 軒先
4 軒樋
10 取付部材
11 取付板部
12 取付本体部
13 前面
13a 係合凹部
13b 長孔
14a 連結孔
20 樋支持具本体
23 後端部
図1
図2
図3
図4
図5