【実施例】
【0030】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0031】
(実施例1:食品用品質改良剤の製造)
20kgの小麦たん白加水分解物(HPLC分析による分子量測定において、1300〜45000(MW)の分子量範囲内にメインピークの頂点が位置した。これを「原小麦たん白加水分解物」ともいう)をジェットミル粉砕機(日本ニューマチック工業株式会社:TYPE 200SP)を用いて圧力0.3Mpaにて1時間処理した。本処理により得られた物を「実施例1の改質小麦たん白加水分解物」と称した。
【0032】
(実施例2:食品用品質改良剤の製造)
原小麦たん白加水分解物2kgを振動ミル(中央化工機株式会社製:試験研究用振動ミルMB−3)を用いて2時間処理した。本処理により得られた物を「実施例2の改質小麦たん白加水分解物」と称した。
【0033】
(疎水度の測定方法:ANS蛍光法)
15ml遠沈管に試料と蒸留水を秤量して調製した1%(w/w)水溶液を3時間転倒攪拌後に遠心分離(16000g[10000rpm]で4℃にて5分)し、上清を採取した。採取した上清に蒸留水を加えて10倍の容量に希釈した後、280nmの吸光度を測定し、たん白質量を求めた。たん白質量が一定(A
280=0.35)となるように蒸留水で全量を4mlに調整し、次いで0.4mlの0.04%(w/w)ANSを添加し、励起波長365nmおよび蛍光波長470nmにて測定した(株式会社日立ハイテクノロジーズ:F−4500分光蛍光光度計)。測定値を下記計算式にて処理し、疎水度を求めた:
疎水度=試料ANS蛍光強度−ブランクANS蛍光強度
【0034】
実施例1の改質小麦たん白加水分解物、実施例2の改質小麦たん白加水分解物および原小麦たん白加水分解物について、疎水度測定結果を以下の表1に示す。疎水度上昇率(%)は、下式のように、改質小麦たん白加水分解物の疎水度の原小麦たん白加水分解物の疎水度からの増加分(疎水度上昇分)を、原小麦たん白加水分解物の疎水度に対する割合として求めた:
疎水度上昇率(%)={(改質小麦たん白加水分解物疎水度−原小麦たん白加水分解物疎水度)/原小麦たん白加水分解物疎水度}×100
【0035】
【表1】
【0036】
実施例1の改質小麦たん白加水分解物および実施例2の改質小麦たん白加水分解物とも、原小麦たん白加水分解物と比べて、10%以上上昇した疎水度を有することを確認した。
【0037】
(実施例3:生中華麺の製造)
卓上ミキサー(株式会社品川工業所:5DM 03r)に準強力粉300g、小麦たん白(奥野製薬工業株式会社:プロテインX)6g、実施例1の改質小麦たん白加水分解物0.3g、水93g、かん粉3g、食塩3g、アルコール(アルコール(エタノール)濃度75%)6g、クチナシ色素0.15gを配合し、8分間混捏後に複合し、熟成し、麺生地を得た。得られた麺生地を圧延後に切出し(厚さ1.5mm、20番角[幅1.5mm])を行い、得られた麺をポリエチレン袋に120gずつ入れて口封し、10℃にて24時間保存後に生中華麺を得た。
【0038】
(実施例4:生中華麺の製造)
実施例1の改質小麦たん白加水分解物に代えて実施例2の改質小麦たん白加水分解物を用いたこと以外は、実施例3と同様にして生中華麺を得た。
【0039】
(比較例1:生中華麺の製造)
実施例1の改質小麦たん白加水分解物に代えて原小麦たん白加水分解物を用いたこと以外は、実施例3と同様にして生中華麺を得た。
【0040】
以下の表2に、実施例3、実施例4および比較例1の生中華麺の製造のための配合を示す。
【0041】
【表2】
【0042】
(製造した生中華麺の評価方法)
実施例3、実施例4および比較例1で得られた各生中華麺を沸騰水中で2分30秒間茹で、ラーメンスープの入ったどんぶりに移し、パネリスト10名にて、麺の食感、茹で伸びおよび食味について評価した。麺の食感については、茹で立ての麺を喫食した際の麺の硬さおよびコシ(弾力性)を評価した。茹で伸びについては、茹でてから5分後の麺を喫食し、麺の食感の劣化(やわらかくなり、コシがなくなる)の程度に基づき、劣化の程度が低いほど良好と評価した。食味については、茹で立ての麺を喫食したときの味を評価した。これらの評価は、かなり良いものを5点、やや良いものを4点、普通を3点、やや悪いものを2点、かなり悪いものを1点とし、0.5点刻みで採点し、10名の集計結果から得られた平均点で示した。各試験区(実施例3、実施例4および比較例1)の評価した結果を以下の表3に示す。
【0043】
【表3】
【0044】
評価結果から、実施例3(実施例1の改質小麦たん白加水分解物を配合)および実施例4(実施例2の改質小麦たん白加水分解物を配合)の生中華麺は、比較例1(原小麦たん白加水分解物を配合)の生中華麺に比べ、麺の食感に優れており、茹で伸びがより抑制でき、そして食味を維持していた。
【0045】
(実施例5:餃子皮の製造)
卓上ミキサー(株式会社品川工業所:5DM 03r)に準強力粉300g、実施例1の改質小麦たん白加水分解物3g、水108g、食塩3g、アルコール(アルコール(エタノール)濃度75%)6gを配合し、8分間混捏後に複合し、熟成し、餃子生地を得た。この餃子生地を0.8mmに圧延し、型抜き後、ポリエチレン袋に入れ口封した。10℃にて24時間保存後に餃子皮を得た。
【0046】
(実施例6:餃子皮の製造)
実施例1の改質小麦たん白加水分解物に代えて実施例2の改質小麦たん白加水分解物を用いたこと以外は、実施例5と同様にして餃子皮を得た。
【0047】
(比較例2:餃子皮の製造)
実施例1の改質小麦たん白加水分解物に代えて原小麦たん白加水分解物を用いたこと以外は、実施例5と同様にして餃子皮を得た。
【0048】
以下の表4に、実施例5、実施例6および比較例2の餃子皮の製造のための配合を示す。
【0049】
【表4】
【0050】
(製造した餃子皮の評価方法)
実施例5、実施例6および比較例2で得られた各餃子皮をレオメーター(株式会社島津製作所:Ez Test)にて貫入試験を行い、皮が破断した距離を測定し、この破断距離を皮の伸展距離として比較した(試験治具:φ10mm球状型押し棒、試験速度:10mm/分)。各試験区(実施例5、実施例6および比較例2)における評価結果を以下の表5に示す。
【0051】
【表5】
【0052】
評価結果から、実施例5(実施例1の改質小麦たん白加水分解物を配合)および実施例6(実施例2の改質小麦たん白加水分解物を配合)の餃子皮は、比較例2(原小麦たん白加水分解物を配合)の餃子皮に比べ、皮の伸展性が向上した。
【0053】
(実施例7:キャラメルの製造)
鍋に水飴70gおよび水30.5gを計量し、加熱しながら溶解した。これにグラニュー糖60g、実施例1の改質小麦たん白加水分解物0.9g、ショ糖脂肪酸エステル0.6gを篩過しながら加え、溶解した。これに、加糖練乳34g、パーム油15g、生クリーム12g、無塩バター4g、バニラエッセンス0.6gを加え、溶解し、最終水分量が7%になるまで煮詰めた後、型枠に生地を流し込み、冷却、切断しキャラメルを得た。
【0054】
(比較例3:キャラメルの製造)
実施例1の改質小麦たん白加水分解物に代えて原小麦たん白加水分解物を用いたこと以外は、実施例7と同様にしてキャラメルを得た。
【0055】
以下の表6に、実施例7および比較例3のキャラメルの製造のための配合を示す。
【0056】
【表6】
【0057】
(製造したキャラメルの評価方法)
実施例7および比較例3で得られた各キャラメルをパネリスト10名にて風味、ソフト感、滑らかさについて評価した。これらの評価は、かなり良いものを5点、やや良いものを4点、普通を3点、やや悪いものを2点、かなり悪いものを1点とし、0.5点刻みで採点し、10名の集計結果から得られた平均点で示した。各試験区(実施例7および比較例3)における評価結果を以下の表7に示す。
【0058】
【表7】
【0059】
評価結果から、実施例7(実施例1の改質小麦たん白加水分解物を配合)のキャラメルは、比較例3(原小麦たん白加水分解物を配合)のキャラメルに比べ、風味は維持しつつ、ソフト感があり、滑らかであった。
【0060】
(実施例8:スポンジケーキの製造)
卓上ミキサー(株式会社品川工業所:5DM 03r)に上白糖100g、全卵液140g、乳化剤(奥野製薬工業株式会社:トップユニックDSO)4gおよび液体油脂(カネカ食品株式会社:NSM)40gを計量し、攪拌した。さらに、薄力粉100g、膨張剤(奥野製薬工業株式会社:トップふくらし粉750)1gおよび、実施例1の改質小麦たん白加水分解物5gを計量し、篩過しながら加えて3分間攪拌した(生地比重:0.50mg/ml)。型枠に生地120gを流し込み、170℃にて28分間焼成した。冷却後にポリエチレン袋に入れて口封し、24時間保存後にスポンジケーキを得た。
【0061】
(比較例4:スポンジケーキの製造)
実施例1の改質小麦たん白加水分解物に代えて原小麦たん白加水分解物を用いたこと以外は、実施例8と同様にしてスポンジケーキを得た。
【0062】
以下の表8に、実施例8および比較例4のスポンジケーキの製造のための配合を示す。
【0063】
【表8】
【0064】
(製造したスポンジケーキの評価方法)
実施例8および比較例4で得られた各スポンジケーキをパネリスト10名にて食感、口どけ、風味を評価した。これらの評価は、かなり良いものを5点、やや良いものを4点、普通を3点、やや悪いものを2点、かなり悪いものを1点とし、0.5点刻みで採点し、10名の集計結果から得られた平均点で示した。評価した結果を以下の表9に示す。
【0065】
【表9】
【0066】
評価結果から、実施例8(実施例1の改質小麦たん白加水分解物を配合)のスポンジケーキは、比較例4(原小麦たん白加水分解物を配合)のスポンジケーキに比べ、風味を維持しつつ、食感および口どけが良好であった。
【0067】
(実施例9:茹でそばの製造)
卓上ミキサー(株式会社品川工業所:5DM 03r)にそば粉150g、小麦粉(強力粉)150g、実施例1の改質小麦たん白加水分解物1gおよび水99gを配合し、8分間混捏後に複合し、麺生地を得た。得られた麺生地を圧延後に切出し(厚さ1.5mm、18番角[幅1.7mm])、麺を得た。得られた麺を沸騰水中で2分間茹でた後、1分間水で冷却し、茹でそばを得た。
【0068】
(比較例5:茹でそばの製造)
実施例1の改質小麦たん白加水分解物に代えて原小麦たん白加水分解物を用いたこと以外は、実施例9と同様にして茹でそばを得た。
【0069】
以下の表10に、実施例9および比較例5の茹でそばの製造のための配合を示す。
【0070】
【表10】
【0071】
(製造した茹でそばの評価方法)
実施例9および比較例5で得られた各茹でそばを10℃で48時間保存後、官能評価、麺ほぐれ性評価および澱粉老化度測定を行った。
【0072】
(官能評価および麺ほぐれ性評価)
官能評価では、茹でそばをパネリスト10名にて麺の食感、滑らかさ、および食味を評価した。これらの評価は、かなり良いものを5点、やや良いものを4点、普通を3点、やや悪いものを2点、かなり悪いものを1点とし、0.5点刻みで採点し、10名の集計結果から得られた平均点で示した。評価した結果を以下の表11に示す。
【0073】
麺ほぐれ性評価は、100gの茹でそばの塊状の麺に水40mlをかけた後、箸で麺をほぐし、そのほぐれ易さの程度をパネリスト10名による採点にて評価した。この評価は、ほぐれ易いほど良好であり、かなり良いものを5点、やや良いものを4点、普通を3点、やや悪いものを2点、かなり悪いものを1点とし、0.5点刻みで採点し、10名の集計結果から得られた平均点で示した。評価した結果を以下の表11に示す。
【0074】
【表11】
【0075】
(澱粉老化度測定)
貝沼圭二(1981)『β−アミラーゼ−プルラナーゼ(BAP)法系を用いた澱粉の糊化度,老化度の新測定法』、澱粉化学(J. Jap. Soc. Starch Sci.)第28巻第4号、p235-240に記載の澱粉老化度測定方法に準じて、澱粉老化度を測定した。測定した結果を以下の表12に示す。
【0076】
【表12】
【0077】
評価結果から、実施例9(実施例1の改質小麦たん白加水分解物を配合)の茹でそばは、比較例5(原小麦たん白加水分解物を配合)の茹でそばに比べ、食感、滑らかさおよび食味が良好であった。麺ほぐれ性についても、実施例9の茹でそばは、比較例5の茹でそばに比べて良好であり、ほぐれ易かった。実施例9の茹でそばにおいて、比較例5の茹でそばに対し、澱粉の老化抑制効果が観察された。
【0078】
(実施例10:食品用品質改良剤の製造)
実施例1の改質小麦たん白加水分解物50重量部と小麦たん白(グリコ栄養食品株式会社製:A−グルG)50重量部とをポリエチレンの袋に充填して混合し、粉末混合物を得た。得られた粉末混合物を製剤1と称した。
【0079】
(比較例6:食品用品質改良剤の製造)
実施例1の改質小麦たん白加水分解物に代えて原小麦たん白加水分解物を用いたこと以外は、実施例10と同様に粉末混合物を調製した。得られた粉末混合物を製剤2と称した。
【0080】
(実施例11:即席麺の製造)
卓上ミキサー(株式会社品川工業所製:5DM 03r)に小麦粉240g、加工デンプン60g、小麦たん白(奥野製薬工業株式会社製:プロテインX)2.4g、製剤1(実施例10にて調製した、実施例1の改質小麦たん白加水分解物を含有する製剤)0.6g、水120g、かん粉1.5gおよび食塩6gを配合し、8分間混捏後に複合し、麺生地を得た。得られた麺生地を圧延後に切出し(厚さ2.0mm、12番角[幅2.5mm])を行い、麺を得た。得られた麺を蒸し機でα化した後、金属枠に入れて140〜160℃の揚げ油で揚げることで即席麺を得た。
【0081】
(比較例7:即席麺の製造)
製剤1に代えて製剤2(比較例6にて調製した、原小麦たん白加水分解物を含有する製剤)を用いたこと以外は、実施例11と同様にして即席麺を得た。
【0082】
以下の表13に、実施例11および比較例7の即席麺の製造のための配合を示す。
【0083】
【表13】
【0084】
(製造した即席麺の評価方法)
実施例11および比較例7で得られた各即席麺と粉末スープとをどんぶり容器に入れ、95℃の湯を注ぎ、蓋をして5分間湯戻しした。パネリスト10名にて、麺のほぐれ性、麺の食感、茹で伸びおよび食味について評価した。麺のほぐれ性については、湯戻し直後の麺を箸でつかんで持ち上げることを3回行い、その際の麺のほぐれやすさの程度で評価した。麺の食感については、湯戻し直後の麺を喫食した際の麺の硬さ(湯戻り性)およびコシ(弾力性)を評価した。茹で伸びについては、湯戻ししてから5分後の麺を喫食し、麺の食感の劣化(やわらかくなり、コシがなくなる)の程度に基づき、劣化の程度が低いほど良好と評価した。食味については、湯戻し直後の麺を喫食したときの味を評価した。これらの評価は、かなり良いものを5点、やや良いものを4点、普通を3点、やや悪いものを2点、かなり悪いものを1点とし、0.5点刻みで採点し、10名の集計結果から得られた平均点で示した。各試験区(実施例11および比較例7)の評価した結果を以下の表14に示す。
【0085】
【表14】
【0086】
評価結果から、実施例11(実施例1の改質小麦たん白加水分解物を含有する製剤1)は、比較例7(原小麦たん白加水分解物を含有する製剤2)の即席麺に比べ、麺の食味はほぼ同程度でありながら、麺のほぐれ性が良く、麺の食感に優れており、茹で伸びがより抑制できた。
【0087】
(実施例12:食品用品質改良剤の製造)
50gのエンドウたん白(たん白含量:85%。これを「原エンドウたん白」と称した)をジェットミル粉砕機(ホソカワミクロン株式会社製:スパイラルジェットミル TYPE 50AS)を用いて圧力0.6Mpaにて1時間処理した。本処理により得られた物を「実施例12の改質エンドウたん白」と称した。
【0088】
(実施例13:食品用品質改良剤の製造)
原エンドウたん白:水=1:10の割合で懸濁液を調製した。懸濁液を45℃に昇温後、たん白に対して0.5%となるようにエンド型プロテアーゼを添加し3時間酵素分解を行った。90℃にて30分間加熱処理を行った後、冷却した液を凍結乾燥した。乾燥物を乳鉢ですり潰した後、篩過し、エンドウたん白加水分解物を得た(これを「原エンドウたん白加水分解物」と称した)。
【0089】
50gの原エンドウたん白加水分解物をジェットミル粉砕機(ホソカワミクロン株式会社製:スパイラルジェットミル TYPE 50AS)を用いて圧力0.6Mpaにて1時間処理した。本処理により得られた物を「実施例13の改質エンドウたん白加水分解物」と称した。
【0090】
実施例12の改質エンドウたん白および原エンドウたん白、ならびに実施例13の改質エンドウたん白加水分解物および原エンドウたん白加水分解物の疎水度を測定した。測定結果を以下の表15に示す。疎水度上昇率(%)は、実施例12の改質エンドウたん白については、原エンドウたん白の疎水度からの増加分(疎水度上昇分:改質エンドウたん白の疎水度から原エンドウたん白の疎水度を差し引いたもの)を原エンドウたん白の疎水度に対する百分率であり、そして実施例13の改質エンドウたん白加水分解物については、原エンドウたん白加水分解物の疎水度からの増加分(疎水度上昇分:改質エンドウたん白加水分解物の疎水度から原エンドウたん白加水分解物の疎水度を差し引いたもの)を原エンドウたん白加水分解物白の疎水度に対する百分率である。
【0091】
【表15】
【0092】
実施例12の改質エンドウたん白および実施例13の改質エンドウたん白加水分解物とも、ジェットミル粉砕機による機械的処理を通じて、原エンドウたん白または原エンドウたん白加水分解物と比べて10%以上上昇した疎水度を有することを確認した。
【0093】
(実施例14:茹でうどんの製造)
卓上ミキサー(株式会社品川工業所製:5DM 03r)に小麦粉(中力粉)240g、加工デンプン60g、実施例12の改質エンドウたん白3g、水120g、食塩6gを配合し、8分間混捏後に複合、熟成し、麺生地を得た。得られた麺生地を圧延後に切出し(厚さ3.0mm、8番角[幅3.75mm])、麺を得た。得られた麺を沸騰水中で10分間茹でた後、1分間水で冷却し、茹でうどんを得た。
【0094】
(比較例8:茹でうどんの製造)
実施例12の改質エンドウたん白に代えて原エンドウたん白を用いたこと以外は、実施例14と同様にして茹でうどんを得た。
【0095】
(実施例15:茹でうどんの製造)
実施例12の改質エンドウたん白に代えて実施例13の改質エンドウたん白加水分解物を用いたこと以外は、実施例14と同様にして茹でうどんを得た。
【0096】
(比較例9:茹でうどんの製造)
実施例12の改質エンドウたん白に代えて原エンドウたん白加水分解物を用いたこと以外は、実施例14と同様にして茹でうどんを得た。
【0097】
以下の表16に、実施例14、比較例8、実施例15および比較例9の茹でうどんの製造のための配合を示す。
【0098】
(製造した茹でうどんの評価方法)
実施例14、比較例8、実施例15および比較例9で得られた各茹でうどんを10℃で24時間保存後、官能評価、麺ほぐれ性評価を行った。
【0099】
(官能評価および麺ほぐれ性評価)
官能評価では、茹でうどんをパネリスト10名にて麺の食感、滑らかさ、および食味を評価した。これらの評価は、かなり良いものを5点、やや良いものを4点、普通を3点、やや悪いものを2点、かなり悪いものを1点とし、0.5点刻みで採点し、10名の集計結果から得られた平均点で示した。結果を以下の表16に示す。
【0100】
麺ほぐれ性評価は、100gの茹でうどんの塊状の麺に水40mlをかけた後、箸で麺をほぐし、そのほぐれ易さの程度をパネリスト10名による採点にて評価した。この評価は、ほぐれ易いほど良好であり、かなり良いものを5点、やや良いものを4点、普通を3点、やや悪いものを2点、かなり悪いものを1点とし、0.5点刻みで採点し、10名の集計結果から得られた平均点で示した。評価した結果を以下の表17に示す。
【0101】
【表16】
【0102】
評価結果から、実施例14(実施例12の改質エンドウたん白を配合)および実施例15(実施例13の改質エンドウたん白加水分解物を配合)の茹でうどんはそれぞれ、比較例8(原エンドウたん白を配合)および比較例9(原エンドウたん白加水分解物)の茹でうどんに比べ、食感、滑らかさおよび食味が良好であった。麺ほぐれ性についても、実施例14および15の茹でうどんはそれぞれ、比較例8および9の茹でうどんに比べて良好であり、ほぐれ易かった。