(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-116139(P2020-116139A)
(43)【公開日】2020年8月6日
(54)【発明の名称】作業用フェイスマスク
(51)【国際特許分類】
A62B 18/02 20060101AFI20200710BHJP
A41D 13/11 20060101ALI20200710BHJP
【FI】
A62B18/02 B
A41D13/11 L
A41D13/11 H
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2019-9858(P2019-9858)
(22)【出願日】2019年1月24日
(71)【出願人】
【識別番号】519027187
【氏名又は名称】株式会社笠井仏檀工芸
(74)【代理人】
【識別番号】100084102
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 彰
(72)【発明者】
【氏名】笠井 武
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA06
2E185BA08
2E185BA12
2E185CB16
2E185CC33
2E185CC44
(57)【要約】
【課題】塗装作業時などに使用する作業用フェイスマスクにおいて目を保護するゴーグル部を設けると共に、簡易な構造を付加することで、ゴーグル部のレンズ面が曇らないようにした作業用フェイスマスクを提供する。
【解決手段】 前面にレンズ面11を備え密閉状態で装着されるゴーグル部1と、鼻部及び口部を密閉状態で覆うマスク部2とを、各々密閉状態を維持する状態で連結して一体に形成すると共に、頭部装着部材(ヘッドバンド3)を付設し、前記マスク部に吸気作動の逆止弁を備えたフィルタ部からなる吸気部24と呼気作動の逆止弁を備えた呼気部25を設け、ゴーグル部1とマスク部2との間にゴーグル部への通気方向を遮断する逆止弁からなる通気部26を設けてなる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面にレンズ面を備え密閉状態で装着されるゴーグル部と、鼻部及び口部を密閉状態で覆うマスク部とを、各々密閉状態を維持する状態で連結して一体に形成すると共に、頭部装着部材を付設し、前記マスク部に吸気作動の逆止弁を備えたフィルタ部からなる吸気部と呼気作動の逆止弁を備えた呼気部を設け、ゴーグル部とマスク部との間にゴーグル部への通気方向を遮断する逆止弁からなる通気部を設けてなることを特徴とする作業用フェイスマスク。
【請求項2】
顔の上方部分を覆うゴーグル部と、三角形状のマスク部において、ゴーグル部の中央下方部分にマスク部の三角頂点部分を侵入させた状態で連結し、当該侵入部分に通気部を設けてなる請求項1記載の作業用フェイスマスク。
【請求項3】
ゴーグル部が1レンズ面で形成される一眼タイプである請求項2記載の作業用フェイスマスク。
【請求項4】
ゴーグル部が2レンズ面で形成される眼鏡タイプで、二分されるゴーグル部内空間との間にそれぞれ通気部を設けてなる請求項2記載の作業用フェイスマスク。
【請求項5】
マスク部の前面に吸気部を設けると共に吸気部の下方に呼気部を設けてなる請求項2乃至4記載の何れかの作業用フェイスマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装作業時などに使用する作業用フェイスマスクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
作業中の呼吸時に粉塵の吸引を防止し、且つ目を保護するフェイスマスクは、視覚を阻害しない透明な前面(レンズ面)を備え、呼吸時における吸気に際して粉塵除去のためのフィルタ部を介するようにしているものである。またレンズ面に曇りが生ずると作業に支障が生ずるので、これらのフェイスマスクには、曇り止め機構を備えている(特許文献1,2)。
【0003】
例えばゴーグル部とマスク部を合体したフェイスマスク(特許文献1)や、顔面全体を覆う透明なフェイス保護部(=ゴーグル部)の内側に呼吸用のマスク部を設けたフェイスマスク(特許文献2)においては、呼吸時の吸気がゴーグル部を通過するようにして、ゴーグル部内に常に新鮮な外気が導入されるようにしてレンズ面の防曇を実現している。
【0004】
すなわち呼吸時の吸気が、付属若しくは付設したフィルタ部を通過してゴーグル部に入り、ゴーグル部から逆止弁を介してマスク部内に入って、そこでマスク装着者の吸気となる。呼気はマスク部から逆止弁を介して直接外気に放出される構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭59−156356号公報。
【特許文献2】特開2007−20675号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した従前のフェイスマスクは、呼吸時の吸気が一旦ゴーグル部を通過する構成であるので、特許文献1に示されている作業用フェイスマスクのように、ゴーグル部に防塵用のフィルタ部を付属させたフェイスマスクでは、フィルタ部を頭部背後位置等に別に設け、ゴーグル部と通気パイプで連結する必要があり、作業者にとってフィルタ部はマスク装着時や作業時の邪魔になる。
【0007】
また特許文献2に示されている作業用フェイスマスクのように顔全体を覆うフェイス保護部(=ゴーグル部)にフィルタ部を付設するフェイスマスクでは、マスク全体が多重構造となり、且つ全体が嵩張ってしまう。
【0008】
そこで本発明は、小型で且つレンズ面の防曇機能を備えた簡易な構造の作業用フェイスマスクを提案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1記載に係る作業用フェイスマスクは、前面にレンズ面を備え密閉状態で装着されるゴーグル部と、鼻部及び口部を密閉状態で覆うマスク部とを、各々密閉状態を維持する状態で連結して一体に形成すると共に、頭部装着部材を付設し、前記マスク部に吸気作動の逆止弁を備えたフィルタ部からなる吸気部と呼気作動の逆止弁を備えた呼気部を設け、ゴーグル部とマスク部との間にゴーグル部への通気方向を遮断する逆止弁からなる通気部を設けてなることを特徴とするものである。
【0010】
而して本マスクは、塗装作業等の粉塵環境内での作業に使用するもので、頭部装着部材を以て作業者の頭部に装着すると、作業者の顔面はゴーグル部とマスク部で覆われることになり、作業者の呼吸はマスク部に設けられた吸気部と呼気部を通してなされ、フィルタ部によって粉塵の吸引が阻止され、ゴーグル部によって目が保護される。
【0011】
本マスクのゴーグル部のレンズ面の防曇は、通気部の通気によってなされる。マスク部内及びゴーグル部内は基本的に大気圧と一致するが、呼吸によってマスク部内の気圧が微妙に変動する。即ち吸気においてはマスク部の圧力が低下し、呼気においてはマスク部内の圧力が高まる。従って吸気によって外気がマスク内に入ると共にマスク部内の圧力が低下して通気部が開口し、湿度が高い呼気によってマスク部の圧力が高まり通気部が閉じるので、吸気時の瞬間に通気部が開口してゴーグル部内の空気が僅かに入れ替わる。このゴーグル部内の空気が僅かずつ入れ替わることでレンズ面の曇りが防止される。
【0012】
また本発明の請求項2記載に係る作業用フェイスマスクは、前記のマスクにおいて特に、顔の上方部分を覆うゴーグル部と、三角形状のマスク部において、ゴーグル部の中央下方部分にマスク部の三角頂点部分を侵入させた状態で連結し、当該侵入部分に通気部を設けてなるもので、全体がコンパクトとなり、通気部の形成位置もゴーグル部の中央になりゴーグル部内の換気が効率的に行われる。
【0013】
また本発明の請求項3,4記載に係る作業フェイスマスクは、ゴーグル部が1レンズ面で形成される一眼タイプであり、またゴーグル部が2レンズ面で形成される眼鏡タイプで、二分されるゴーグル部内空間との間にそれぞれ通気部を設けてなるもので、ゴーグル部の態様に関係なく適用され見ものである、
【0014】
また本発明の請求項5記載に係る作業用フェイスマスクは、マスク部の前面に吸気部を設けると共に吸気部の下方に呼気部を設けてなるので、通気出入り箇所がマスクの上下に並んで配置され、通気部におけるゴーグル部内への換気がスムーズに流れる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の構成は上記のとおりで、防曇機能を有するゴーグル部を備えた作業用フェイスマスクの小型化を実現できたものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態の説明図(使用状態の正面図)。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に本発明の実施形態について説明する。実施形態に示した作業用フェイスマスクは、ゴーグル部1とマスク部2とヘッドバンド(頭部装着部材)3で構成される。
【0018】
ゴーグル部1は顔Aの上方部分を覆う形状で、前面にレンズ面11を備え、周囲部12はレンズ枠で顔面に密着する当接面13は、適宜クッション材で形成してなる。
【0019】
マスク部2は、鼻部及び口部を密閉状態で覆う三角形状で、前面部21はゴム質材(硬質)で形成され、周縁裏面部22は内方に折返した柔軟性を確保して顔面に密着するようにしてなる。
【0020】
前記のマスク部2は、ゴーグル部1の中央下方部分にマスク部2の三角頂部23を侵入させた状態で連結し、ヘッドバンド3を使用してゴーグル部1とマスク部2を顔面に装着した際に、ゴーグル部1とマスク部2は各々密封状態となるように形成したものである。
【0021】
またマスク部2は吸気部24、呼気部25、通気部26を設けたもので、吸気部24はマスク部2の正面、呼気部25は吸気部24の下方、通気部26は三角頂部23に設けたものである。
【0022】
前記の吸気部24は、外気からマスク部2への通過を許容し、マスク部2から外気への通過を阻止する逆止弁と外気の粉塵のマスク部2内への塵埃の侵入を阻止するフィルタ部を備えている。呼気部25は、マスク部2内から外気への通過を許容し、外気からマスク部2への通過を阻止する逆止弁で形成されているものである。
【0023】
通気部26はゴーグル部1内に突出侵入しているマスク部2の三角頂部23に設けたもので、ゴーグル部1とマスク部2と間の通気遮断・通過をなす逆止弁で、マスク部2内がゴーグル部1内よりも気圧が高いときに閉口し、マスク部2内がゴーグル部1内よりも気圧が低いときに開口する。
【0024】
而して本マスクは、塗装作業等の粉塵環境内での作業に使用するもので、一体となっているゴーグル部1及びマスク部2で顔面Aを覆うと共にヘッドバンド3を締め、ゴーグル部1及びマスク部2を顔面密着させて装着する。
【0025】
本マスクを顔面Aに装着した際の作業者の呼吸は、外気が吸気部24からマスク部内に入り、呼気部25から外気に放出され、吸気時に吸気部24のフィルタによって粉塵が遮断され、またゴーグル部1によって目が保護される。
【0026】
特にゴーグル部1のレンズ面11の防曇は、呼吸時におけるマスク部2内の圧力変動で通気部26での通気が行われることによって実現するものである。
【0027】
吸気時においては、マスク部2の圧力が低下し、呼気においてはマスク部2内の圧力が高まるので、通気部26は吸気時に開口し、呼気時に閉口することになる。この吸気時の僅かな時間通気部26が開口し、ゴーグル部1内の空気が吸気部24を通過した外気と僅かに入れ替わることになる。即ち呼吸のたびにゴーグル内の空気が粉塵除去された外気と僅かずつ入れ替わることになり、ゴーグル部1内の湿度が高まることが防止され、レンズ面11が曇ることがない。
【0028】
また本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、
図5に示したようにレンズ面11aが並列し、ゴーグル部内空間が二分する眼鏡型ゴーグル部1aを採用する作業用フェイスマスクにも適用できる。
【0029】
その際には二分される各ゴーグル部空間とマスク部2内と間にそれぞれ通気部26を設けるようにすれば良いものである。
【0030】
以上のとおりであるから、本発明はゴーグル部1とマスク部2で構成される簡易な小型な作業用マスクに、簡易な構造で防曇機能を付与することができたものである。
【符号の説明】
【0031】
1,1a ゴーグル部
11,11a レンズ面
12 周囲部
13 当接面
2 マスク部
21 前面部
22 周縁裏面部
23 三角頂部
24 吸気部
25 呼気部
26 通気部
3 ヘッドバンド(頭部装着部材)
【手続補正書】
【提出日】2020年3月11日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面にレンズ面を備え密閉状態で装着されるゴーグル部と、鼻部及び口部を密閉状態で覆うマスク部とを、各々密閉状態を維持する状態で連結して一体に形成すると共に、頭部装着部材を付設し、前記マスク部に吸気作動の逆止弁を備えたフィルタ部からなる吸気部と呼気作動の逆止弁を備えた呼気部を設け、ゴーグル部とマスク部との間に、マスク装着時における吸気時のマスク部内圧力低下で開口し、呼気時のマスク部内圧力上昇で閉口する逆止弁からなる通気部を設けてなることを特徴とする作業用フェイスマスク。
【請求項2】
顔の上方部分を覆うゴーグル部と、三角形状のマスク部において、ゴーグル部の中央下方部分にマスク部の三角頂点部分を侵入させた状態で連結し、当該侵入部分に通気部を設けてなる請求項1記載の作業用フェイスマスク。
【請求項3】
ゴーグル部が1レンズ面で形成される一眼タイプである請求項2記載の作業用フェイスマスク。
【請求項4】
ゴーグル部が2レンズ面で形成される眼鏡タイプで、二分されるゴーグル部内空間との間にそれぞれ通気部を設けてなる請求項2記載の作業用フェイスマスク。
【請求項5】
マスク部の前面に吸気部を設けると共に吸気部の下方に呼気部を設けてなる請求項2乃至4記載の何れかの作業用フェイスマスク。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明の請求項1記載に係る作業用フェイスマスクは、前面にレンズ面を備え密閉状態で装着されるゴーグル部と、鼻部及び口部を密閉状態で覆うマスク部とを、各々密閉状態を維持する状態で連結して一体に形成すると共に、頭部装着部材を付設し、前記マスク部に吸気作動の逆止弁を備えたフィルタ部からなる吸気部と呼気作動の逆止弁を備えた呼気部を設け、ゴーグル部とマスク部との間に
、マスク装着時における吸気時のマスク部内圧力低下で開口し、呼気時のマスク部内圧力上昇で閉口する逆止弁からなる通気部を設けてなることを特徴とするものである。