【解決手段】換気システム100Aは、屋内に設置されるレンジフード10と、屋内に設置され、屋内の空気質条件を設定可能な空気質関連機器80と、レンジフードと空気質関連機器の運転を制御する制御部20と、屋内の空気質を検知する検知部30と、屋外の空気質情報を取得する情報取得部40と、を備え、制御部は、空気質関連機器の始動を制御する際、検知部が検知した空気質における屋内空気質状態と情報取得部が取得した空気質情報における屋外空気質状態とを比較し、屋内の空気質を空気質関連機器に設定された空気質条件に近づけるようにレンジフードの事前換気を行う。
前記制御部は、前記空気質関連機器に設定された空気質条件が、屋内空気質状態と屋外空気質状態の間にある場合、前記屋内の空気質が前記空気質関連機器に設定された空気質条件に近づいた時に前記事前換気を終了し、
前記空気質関連機器に設定された空気質条件が、屋内空気質状態と屋外空気質状態の間にない場合、前記屋内の空気質が屋外空気質状態に近づいた時に前記事前換気を終了することを特徴とする請求項5に記載の換気システム。
前記制御部は、前記レンジフードが調理運転状態にない場合にのみ前記所定の空気質条件または前記空気質関連機器に設定された空気質条件に近づけるように前記レンジフードの運転を制御することを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の換気システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一般に、レンジフードは、キッチンに設置される調理器具(コンロ等)の近傍に設置され、調理から発生する油煙などの物質を大きな排気風量により捕集し、屋外へ排出するために使用される。レンジフードが大排気風量でキッチン内の空気を屋外へ排出するとき屋内は負圧となるため、建物の開口部(たとえば、リビングルームの開放された窓や壁に設けられた給気口など)から外気が屋内に取り入れられる。そうすると、屋外の空気が屋内の空気と入れ替わり混入することにより、屋内の空気質は徐々に屋外の空気質に近づくことになる。その際、従来技術においては単に屋外の空気を取り入れて屋内の空気質の改善を図るものが多いが、そこに暮らす人にとって望ましい空気質に近づけるように制御することが求められる。
【0009】
そこで、本発明は、一般住宅に設置される排気ファンの中では最大の排気風量を有するレンジフードの新しい利用方法を提案するものであり、キッチン以外の居住空間も含めた屋内の空気質の改善を図るためのレンジフードを含む換気システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、屋内に設置されるレンジフードと、レンジフードの運転を制御する制御部と、屋内の空気質を検知する検知部と、屋外の空気質情報を取得する情報取得部と、を備え、制御部は、検知部が検知した空気質における屋内空気質状態と情報取得部が取得した空気質情報における屋外空気質状態とを比較し、屋内の空気質を所定の空気質条件に近づけるようにレンジフードの運転を制御する換気システムが提供される。
これによれば、屋内空気質状態と屋外空気質状態とを比較し、屋内の空気質を所定の空気質条件に近づけるようにレンジフードの運転を制御することで、キッチン以外の居住空間も含めた屋内の空気質の改善を図る換気システムを提供することができる。
【0011】
さらに、所定の空気質条件は、予め設定されていることを特徴としてもよい。
これによれば、所定の空気質条件が予め設定されていることで使用開始時から屋内の空気質の改善を図ることができる。
【0012】
さらに、所定の空気質条件は、任意に設定可能であることを特徴としてもよい。
これによれば、所定の空気質条件が任意に設定可能であることで使用者にとって望ましい空気質に近づけるように制御することができる。
【0013】
さらに、使用者からの評価を受け付ける入力部と、入力部が受け付けた評価、所定の空気質条件、検知部が検知した空気質における屋内空気質状態、および、情報取得部が取得した空気質情報における屋外空気質状態に基づき、所定の空気質条件を学習する学習部と、をさらに備え、制御部は、学習部の学習結果に基づき所定の空気質条件を変更することを特徴としてもよい。
これによれば、空気質の改善を行ったときの、空気質条件、使用者による評価、屋内空気質状態、および屋外空気質状態に基づき、使用者にとっての好ましい所定の空気質条件を学習し、変更することで、使用者にとって望ましい空気質に近づけ屋内の空気質を改善してゆくことができる。
【0014】
上記課題を解決するために、屋内に設置されるレンジフードと、屋内に設置され、屋内の空気質条件を設定可能な空気質関連機器と、レンジフードと空気質関連機器の運転を制御する制御部と、屋内の空気質を検知する検知部と、屋外の空気質情報を取得する情報取得部と、を備え、制御部は、空気質関連機器の始動を制御する際、検知部が検知した空気質における屋内空気質状態と情報取得部が取得した空気質情報における屋外空気質状態とを比較し、屋内の空気質を空気質関連機器に設定された空気質条件に近づけるようにレンジフードの事前換気を行う換気システムが提供される。
これによれば、空気質関連機器の始動を制御する際、屋内空気質状態と屋外空気質状態とを比較し、望ましい空気質として空気質関連機器に設定された空気質条件に近づけるようにレンジフードの事前換気を行うことで、使用者にとって望ましい空気質に近づけて屋内の空気質の改善を図る換気システムを提供することができる。
【0015】
さらに、制御部は、空気質関連機器に設定された空気質条件が、屋内空気質状態と屋外空気質状態の間にある場合、屋内の空気質が空気質関連機器に設定された空気質条件に近づいた時に事前換気を終了し、空気質関連機器に設定された空気質条件が、屋内空気質状態と屋外空気質状態の間にない場合、屋内の空気質が屋外空気質状態に近づいた時に事前換気を終了することを特徴としてもよい。
これによれば、望ましい空気質として空気質関連機器に設定された空気質条件における空気質状態が、屋内空気質状態と屋外空気質状態の間にある場合は屋内の空気質が設定空気質条件に近づいた時に事前換気を終了し、屋内空気質状態と屋外空気質状態の間にない場合は屋内の空気質が屋外空気質状態に近づいた時に事前換気を終了することで、使用者にとって望ましい空気質に近づけて屋内の空気質の改善を図ると共に、エネルギー効率の良い空気質の改善を行うことができる。
【0016】
さらに、空気質関連機器は、空調機器であり、検知部が検知する屋内の空気質は、屋内の温度であり、情報取得部が取得した空気質情報は、屋外の温度であり、空調機器に設定された空気質条件は、設定温度であり、制御部は、空調機器に設定された設定温度が、屋内の温度と屋外の温度の間にある場合、屋内の温度が空調機器に設定された設定温度に近づいた時に事前換気を終了し、空調機器に設定された設定温度が、屋内の温度と屋外の温度の間にない場合、屋内の温度が屋外の温度に近づいた時に事前換気を終了することを特徴としてもよい。
これによれば、レンジフードと空調機器が連動し、空調機器の始動を制御する際空調機器の設定温度に近づけるようにレンジフードの事前換気を行い、設定温度が屋内の温度と屋外の温度の間にある場合は屋内温度が設定温度に近づいた時に事前換気を終了し、屋内温度と屋外温度の間にない場合は屋内温度が屋外温度に近づいた時に事前換気を終了することで、使用者にとって望ましい屋内温度に近づけて室温の改善を図ると共に、エネルギー効率の良い空気調節を行うことができる。
【0017】
さらに、空気質関連機器は、加湿器または除湿器であり、検知部が検知する屋内の空気質は、屋内の湿度であり、情報取得部が取得した空気質情報は、屋外の湿度であり、加湿器または除湿器に設定された空気質条件は、設定湿度であり、制御部は、加湿器または除湿器に設定された設定湿度が、屋内の湿度と屋外の湿度の間にある場合、屋内の湿度が加湿器または除湿器に設定された設定湿度に近づいた時に前記事前換気を終了し、加湿器または除湿器に設定された設定湿度が、屋内の湿度と屋外の湿度の間にない場合、屋内の湿度が屋外の湿度に近づいた時に事前換気を終了することを特徴としてもよい。
これによれば、レンジフードと加湿器または除湿器が連動し、加湿器または除湿器の始動を制御する際加湿器または除湿器の設定湿度に近づけるようにレンジフードの事前換気を行い、設定湿度が屋内の湿度と屋外の湿度の間にある場合は屋内湿度が設定湿度に近づいた時に事前換気を終了し、屋内湿度と屋外湿度の間にない場合は屋内湿度が屋外湿度に近づいた時に事前換気を終了することで、使用者にとって望ましい屋内湿度に近づけて屋内の湿度の改善を図ると共に、エネルギー効率の良い加湿または除湿を行うことができる。
【0018】
さらに、空気質関連機器は、温度設定可能な暖房機であり、検知部が検知する屋内の空気質は、屋内の温度であり、情報取得部が取得した空気質情報は、屋外の温度であり、暖房機に設定された空気質条件は、設定温度であり、制御部は、暖房機に設定された設定温度が、屋内の温度と屋外の温度の間にある場合、屋内の温度が暖房機に設定された設定温度に近づいた時に事前換気を終了し、暖房機に設定された設定温度が、屋内の温度と屋外の温度の間にない場合、屋内の温度が屋外の温度に近づいた時に事前換気を終了することを特徴としてもよい。
これによれば、レンジフードと暖房機が連動し、暖房機の始動を制御する際暖房機の設定温度に近づけるようにレンジフードの事前換気を行い、設定温度が屋内の温度と屋外の温度の間にある場合は屋内温度が設定温度に近づいた時に事前換気を終了し、屋内温度と屋外温度の間にない場合は屋内温度が屋外温度に近づいた時に事前換気を終了することで、使用者にとって望ましい屋内温度に近づけて室温の改善を図ると共に、エネルギー効率の良い空気調節を行うことができる。
【0019】
上記課題を解決するために、屋内に設置されるレンジフードと、屋内に設置される空気質関連機器と、レンジフードと空気質関連機器の運転を制御する制御部と、屋内の空気質を検知する検知部と、屋外の空気質情報を取得する情報取得部と、を備え、制御部は、空気質関連機器の始動を制御する際、検知部が検知した空気質における屋内空気質状態と情報取得部が取得した空気質情報における屋外空気質状態とを比較し、屋内の空気質を所定の空気質条件に近づけるようにレンジフードの事前換気を行う換気システムが提供される。
これによれば、空気質関連機器の始動を制御する際屋内空気質状態と屋外空気質状態とを比較し、屋内の空気質を所定の空気質条件に近づけるようにレンジフードの事前換気を行うようにすることで、エネルギー効率の良い屋内の空気質の改善を図る換気システムを提供することができる。
【0020】
さらに、空気質関連機器は、空気清浄機であり、検知部が検知する屋内の空気質は、屋内の埃または臭いであり、情報取得部が取得した空気質情報は、屋外の埃または臭いであり、制御部は、検知部が検知した屋内の埃または臭いの濃度と情報取得部が取得した空気質情報における埃または臭いの濃度とを比較し、所定の埃または臭いの濃度に近づけるようにレンジフードの事前換気を行うことを特徴としてもよい。
これによれば、レンジフードと空気清浄機が連動し、空気清浄機の始動を制御する際屋内の埃または臭いの濃度と屋外の埃または臭いの濃度とを比較し、所定の埃または臭いの濃度に近づけるようにレンジフードの事前換気を行うことで、エネルギー効率の良い屋内の埃または臭いの濃度を改善することができる。
【0021】
さらに、空気質関連機器は、温度設定可能ではない暖房機であり、検知部が検知する前記屋内の空気質は、屋内の温度であり、情報取得部が取得した空気質情報は、屋外の温度であり、制御部は、検知部が検知した屋内の温度と情報取得部が取得した空気質情報における屋外の温度とを比較し、所定の温度に近づけるようにレンジフードの事前換気を行うことを特徴としてもよい。
これによれば、レンジフードと暖房機が連動し、暖房機の始動を制御する際屋内の温度と屋外の温度を比較し、屋内の温度を所定の温度に近づけるようにレンジフードの事前換気を行うことで、エネルギー効率の良い屋内の温度を改善することができる。
【0022】
さらに、レンジフードが設置された部屋以外に屋外と通ずるように設置され、制御部が開閉可能な給気口をさらに備え、制御部は、レンジフードの運転の開始を制御する際に給気口を開制御することを特徴としてもよい。
これによれば、レンジフードが運転状態になり屋内が負圧となるときにキッチン以外の部屋の給気口から屋外の空気を取り入れることで、キッチンだけではなく広い屋内空間の空気質を改善することができる。
【0023】
さらに、制御部は、レンジフードが調理運転状態にない場合にのみ所定の空気質条件または空気質関連機器に設定された空気質条件に近づけるようにレンジフードの運転を制御することを特徴としてもよい。
これによれば、レンジフードが運転状態にない場合にのみ上記したような空気質改善を行うことで、調理から発生する油煙等を適格に捕集するというレンジフード本来の機能を果たすことができる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明によれば、一般住宅に設置される排気ファンの中では最大の排気風量を有するレンジフードの新しい利用方法を提案するものであり、キッチン以外の居住空間も含めた屋内の空気質の改善を図るためのレンジフードを含む換気システムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下では、図面を参照しながら、本発明に係る各実施例について説明する。
<第一実施例>
図1乃至
図5を参照し、本実施例における換気システム100を説明する。換気システム100は、建物HS(本実施例では住宅)の屋内に設置されるレンジフード10を、屋内の空気質を所定の空気質条件に近づけるために機能させるものである。レンジフード10は、キッチンに設置されるコンロBNの上方に設けられ、コンロBNで調理される際に発生する油煙等を含む空気を吸引し屋外に排出することにより、油煙等が屋内に拡散することを防止する。換気システム100におけるレンジフード10は、このような通常のレンジフードとしての機能を有すると共に、この通常の機能に加えて以下に述べるように、屋内の空気質を所定の空気質条件に近づけるために機能する。
【0027】
なお、本明細書における空気質とは、空気を構成する物質(たとえば、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素など)、空気に含まれる物質(たとえば、水分、油分、塵埃、におい物質などが微粒子状或いはガス状となったもの)、空気の運動エネルギーを示す指標(温度)などを言い、人間が感じ得るまたは影響を受け得る空気の質を示す概念である。空気質は、一般的には、温度、湿度、一酸化炭素濃度、汚染物質濃度などとして、それぞれの空気質に対応した検知器(センサ)を用いて測定される。また、空気質は、検知器で測定された1次情報だけでなく、たとえば温度と湿度から求められる不快指数(
図13に示す)や熱中症危険度(
図14に示す)などの2次情報をも含む広い概念であってもよい。
【0028】
換気システム100は、建物HSの屋内に設置されるレンジフード10と、レンジフード10の運転を制御する制御部20と、屋内の空気質を検知する屋内検知部30と、屋外の空気質情報を取得する屋外検知部40(情報取得部40)と、を備える。レンジフード10は、上述したように、コンロBNの上方に設けられ、調理により発生する油煙等を捕集するためにこれらを含む空気を吸引し屋外に排出する。レンジフード10は、そもそも油煙等を的確に捕集し屋内に拡散させないために大きな排気風量で排気する能力を有する。一般的に住宅には常時換気システムのように屋内の空気を換気するための装置が設けられることがあるが、レンジフード10は、そのような常時換気システムと比較しても、明らかに大きな排気風量で排気する能力を有する。レンジフード10は、自身の運転を制御するためのRH制御部11と後述するコントローラ20(制御部20)と通信を行うためのRH通信部12を備える。
【0029】
換気システム100は、一般住宅に設置される排気ファンの中では最大の排気風量を有するレンジフード10の新しい利用方法を提案するものである。大排気風量の能力を有するレンジフード10が空気を屋外へ排出するとき屋内は負圧となるため、建物HSの開口部(たとえば給気口70や開放された窓WN)から外気が屋内に取り入れられる。そうすると、屋外の空気が屋内の空気と入れ替わり混入することにより、屋内の空気質は徐々に屋外の空気質に近づくことになる。換気システム100は、この現象を利用した、キッチン以外の居住空間も含めた屋内の空気質の改善を図るためのレンジフード10を含む換気システムである。
【0030】
屋内検知部30は、屋内の空気に関して上述したような空気質を検知する検知器(センサ)である。たとえば、
図2においては、屋内検知部30は、温湿度センサ31、埃センサ32、臭気センサ33を備える。もちろん、これに限定されず、他に様々な空気質を検知する装置(たとえば一酸化炭素濃度センサなど)を備えてもよい。屋内検知部30は、それぞれの空気質を検知するための公知の方法により検知する。屋内検知部30は、
図1では食卓TBが置かれたダイニングに1つ設置されているが、これに限定されず、テレビセットTVが置かれたリビングにも設置されてもよいし、2階の寝室(図示せず)に設置されてもよい。
【0031】
屋内検知部30がレンジフード10の近傍であるダイニングに設置された場合、レンジフード10から遠い場所の開口部(たとえばリビングの窓WN)から屋内に流入し、屋内の空気と入れ替わった屋外の空気の空気質を検知する。すなわち、レンジフード10近傍の設置された屋内検知部30は、屋内全体の空気質の改善を目指した場合、この1つのみで屋内全体の空気質が改善したことを検知できる。また、屋内検知部30をリビングにも設置した場合、まずリビングに設置された屋内検知部30が窓WNから流入した空気質を検知する。その段階では、ダイニングに設置された屋内検知部30は、ダイニングやリビングにあったレンジフード10の方へ流れる屋内の空気の空気質を検知する。しかし、ダイニングに設置された屋内検知部30もやがて窓WNから流入した空気質を検知する。このように、2つ以上の屋内検知部30を屋内に設置すると、屋外の空気が屋内の空気と入れ替わり混入することにより、屋内の空気質が徐々に屋外の空気質に近づく状況を検知することができる。
【0032】
屋外検知部40は、屋外の空気に関して上述したような空気質を検知する検知器(センサ)であり、典型的には、空調機器の室外機や建物HSの外壁などに設置される。また、屋外の空気質は、建物HSが位置する地域で検知するものと大差ないので、屋外検知部40は、それぞれの建物に設置されるものではなく、その地域の空気質情報(たとえば気象情報など)を取得するものであってもよい。たとえば、換気システム100は、インターネットに接続できる通信部23を備え、その地域の空気質情報を取得する。このように、屋外の空気質情報を取得するための情報取得部40とは、建物HSに設置され空気質を検知する屋外検知部40と、建物HSが位置する地域の空気質情報を取得するための通信部23とを含むものである。
【0033】
コントローラ20(制御部)は、屋内検知部30および屋外検知部40(情報取得部40)が得た空気質情報に基づきレンジフード10の運転を制御する。コントローラ20は、
図2に示すように、上述した通信部23を有する。通信部23は、上述したようにインターネットに接続する通信機能だけでなく、レンジフード10のRH通信部12と通信をする機能、屋内検知部30や屋外検知部40から空気質情報を取得するための通信機能を有する。通信部23におけるそれぞれの通信機能は、特に限定されず、公知の通信技術により適宜実行される。
【0034】
コントローラ20は、建物HSに暮らす人(使用者)にとって望ましい空気質(所定の空気質条件)を設定し、また設定したその空気質を読み出す条件設定部25と、屋内検知部30が検知した空気質における屋内空気質状態と情報取得部40が取得した空気質情報における屋外空気質状態を検出処理する検出処理部29と、検出処理部29が検出した屋内空気質状態と屋外空気質状態を比較する比較判定部24と、レンジフード10のRH制御部11と通信し運転を制御するRH制御処理部28と、使用者の評価を受けるための画面を出力する出力部27と、出力部27が出力した画面から評価を受け付ける評価入力部21と、受け付けた評価に基づき学習する学習部22と、コンロBNでの調理の状態を判定する調理判定部26と、を備える。コントローラ20は、様々な演算処理を行うマイクロプロセッサ、OS(Operating System)等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データや所定の空気質条件などを格納するためのメモリ、通信部23を構成するネットワークインターフェースなどが内部バス等を介して互いに接続されたものである。コントローラ20を構成する機能は、これらのハードウェアと協働して実現される。
【0035】
図3を参照し、換気システム100におけるコントローラ20の処理フローについて説明する。なお、フローチャートにおけるSはステップを意味する。コントローラ20は、S100において、レンジフード10が運転を開始するための作動信号を待っている。レンジフード10が運転を開始するための作動信号は、レンジフード10に対して使用者が操作を行うことでレンジフード10のRH制御部11からRH通信部12と通信部23を介してRH制御処理部28が受信してもよいし、逆に、使用者がコントローラ20に対して操作を行ったり外部からの指令信号を受けたりすることでRH制御処理部28から通信部23とRH通信部12を介してRH制御部11に伝達されてもよい。
【0036】
当該作動信号がコントローラ20に伝えられると、検出処理部29は、S102において、屋内検知部30が検知した空気質における屋内空気質状態を通信部23を介して取得し、また、情報取得部40(屋外検知部40またはインターネットから空気質情報を得る通信部23)が取得した空気質情報における屋外空気質状態(AQ:Air Quality)を通信部23を介して取得する検出処理を行う。
【0037】
屋内空気質状態と屋外空気質状態を検出すると、条件設定部25は、S104において、予め設定されメモリに格納されている望ましい空気質の条件を読み出す。なお、望ましい空気質条件(所定の空気質条件)が予め設定されていることで使用開始時から屋内の空気質の改善を図ることができる。予め設定されている空気質は、多くの人が快適な空気質と感じる標準的なものでよい。
【0038】
屋内空気質状態、屋外空気質状態と所定の空気質条件を取得すると、コントローラ20の比較判定部24は、S200において、屋内空気質状態と屋外空気質状態を比較する。
図4と
図5を参照し、比較判定部24とRH制御処理部28の処理フローをより具体的に説明する。比較判定部24は、S202において、上記S102で取得した屋内空気質と屋外空気質の状態から、比較対象となる屋内AQ値と屋外AQ値を取り出す。また、比較判定部24は、S204において、上記S104で取得した設定されている望ましい空気質条件(所定の空気質条件)から設定AQ値を取り出す。ここでは、屋内AQ値、屋外AQ値、設定AQ値をそれぞれ屋内温度、屋外温度、設定された望ましい温度を例として以下説明する。
【0039】
比較判定部24は、S206において、設定AQ値である設定温度が、屋内AQ値である屋内温度と屋外AQ値である屋外温度の間にあるか否か検査する。設定温度が屋内温度と屋外温度の間にある場合、コントローラ20のRH制御処理部28は、S106において、屋内温度を設定温度に近づけるようにレンジフード10の運転を制御する。たとえば、
図5(A)に示すように、屋外温度が25℃、屋内温度が35℃、設定温度が27℃である場合、RH制御処理部28は、温度の高い屋内の空気を排気し、温度の低い屋外の空気を給気口70などから吸入することで、屋内の温度は徐々に屋外の温度に近づくことになる。レンジフード10は、たとえば強中弱などと複数の風量で運転することが可能であり、RH制御処理部28は、このような場合にはレンジフード10を最も大きい風量で運転することが好ましい。
【0040】
また、上述したように、換気システム100は、レンジフード10が設置された部屋以外に屋外と通ずるように設置され、コントローラ20が開閉可能な給気口70(換気レジスタ70)を備え、コントローラ20は、レンジフード10の運転の開始を制御する際に給気口70を開制御することが好ましい。このように、レンジフード10が運転状態になり屋内が負圧となるときにキッチン以外の部屋の給気口70から屋外の空気を取り入れることで、キッチンだけではなく広い屋内空間の空気質を改善することができる。なお、同時給排型レンジフード使用し、屋内が負圧となるときにレンジフードの機能により給気を行って屋外の空気を取り入れることで、空気質改善を行ってもよい
【0041】
屋外温度が25℃で屋内温度が35℃という状況は、真夏の夜によく起こる。たとえば、昼間に非常に気温が高くなり日光が当たる部屋では、温室効果により屋内の温度は非常に高くなることがある。そして、夕方に夕立などで雨が降り、屋外の気温は下がったが、屋内の温度は窓などを締め切っている場合は熱が籠って屋内の温度はあまり下がらない。このような場合に、大きな排気風量を有するレンジフード10により、屋内の熱気のある空気を排出し、屋外の比較的ひんやりした空気を取り入れることで、室内温度を35℃から設定温度の27℃に徐々に近づけることができる。そして、RH制御処理部28は、設定温度に近づいた時、レンジフード10の運転をやめてもよいし、排気風量を小さくして運転を継続してもよい。なお、設定温度に近づいた時とは、人間の体感に関する制御なので厳密なものでなくともよく、±1℃程度の範囲に収まることでよい。
【0042】
また、
図5(B)に示すように、屋外温度が22℃、屋内温度が15℃、設定温度が21℃である場合、RH制御処理部28は、温度の低い屋内の空気を排気し、温度の高い屋外の空気を給気口70などから吸入することで、屋内の温度は徐々に屋外の温度に近づくことになる。屋外温度が22℃で屋内温度が15℃という状況は、春先の昼によく起こる。たとえば、晩は非常に気温が低くなり日光が当たらない部屋では昼になっても気温が低いままになることがある。そして、昼になって春の陽気で屋外が温かくなったが、日光が当たらないため部屋の気温は上がらない。このような場合に、大きな排気風量を有するレンジフード10により、屋内の冷えた空気を排出し、屋外の比較的暖かい空気を取り入れることで、室内温度を15℃から設定温度の21℃に徐々に近づけることができる。そして、RH制御処理部28は、設定温度に近づいた時、レンジフード10の運転をやめてもよいし、排気風量を小さくして運転を継続してもよい。また、レンジフード10の元の運転状態(事前換気する前のレンジフードの運転状態)に戻ることとしてもよい。
【0043】
比較判定部24は、S206で設定温度が屋内温度と屋外温度の間にあるか否か検査し設定温度が屋内温度と屋外温度の間にない場合、S208において、屋外温度が屋内温度と設定温度の間にあるか否か検査する。屋外温度が屋内温度と設定温度の間にある場合、RH制御処理部28は、S106において、屋内温度を設定温度に近づけるようにレンジフード10の運転を制御する。たとえば、
図5(C)に示すように、屋外温度が27℃、屋内温度が35℃、設定温度が25℃である場合、RH制御処理部28は、温度の高い屋内の空気を排気し、温度の低い屋外の空気を給気口70などから吸入することで、屋内の温度は徐々に屋外の温度に近づくことになる。
【0044】
このような場合に、大きな排気風量を有するレンジフード10により、屋内の熱気のある空気を排出し、屋外の比較的ひんやりした空気を取り入れることで、室内温度を35℃から設定温度の25℃に徐々に近づけることができる。そして、RH制御処理部28は、屋外温度に近づいた時これ以上同様の運転を継続しても設定温度には近づかないので、レンジフード10の運転をやめてもよいし、排気風量を小さくして運転を継続してもよい。このように、屋内温度(屋内空気質状態)と屋外温度(屋外空気質状態)とを比較し、屋内温度(屋内の空気質)を設定温度(所定の空気質条件)に近づけるようにレンジフード10の運転を制御することで、キッチン以外の居住空間も含めた屋内の空気質の改善を図る換気システム100を提供することができる。
【0045】
なお、コントローラ20は、調理判定部26がコンロBNで調理がなされていないと判定する場合にのみ、すなわちレンジフード10が調理運転状態にない場合にのみ所定の空気質条件に近づけるようにレンジフード10の運転を制御することとしてもよい。このように、レンジフード10が運転状態にない場合にのみ上記したような空気質改善を行うことで、調理から発生する油煙等を適格に捕集するというレンジフード本来の機能を果たすことができる。
【0046】
なお、比較判定部24は、S208で屋外温度が屋内温度と設定温度の間にない場合、S202で屋内空気質と屋外空気質の状態から別の比較対象となる屋内AQ値と屋外AQ値(たとえば屋内湿度と屋外湿度)を取り出してもよい。また、同様に、比較判定部24は、S204で設定されている望ましい空気質条件(所定の空気質条件)から別の設定AQ値(たとえば設定湿度)を取り出してもよい。そして、その別の屋内AQ値、屋外AQ値、設定AQ値に基づき、上述した処理(S206、S208、S106)を行ってもよい。これによれば、別の屋内空気質状態と屋外空気質状態とを比較し、屋内の空気質を所定の空気質条件に近づけるようにレンジフード10の運転を制御することで、屋内の別の空気質の改善を図ることができる。
【0047】
なお、上記では、比較判定部24が、屋内AQ値、屋外AQ値、設定AQ値をそれぞれ屋内温度、屋外温度、設定された望ましい温度として比較することを例として説明したが、これに限定されず、たとえば、温度の代わりに不快指数(
図13に示す)であってもよい。すなわち、比較判定部24は、S204において、屋内AQ値、屋外AQ値、設定AQ値をそれぞれ屋内不快指数、屋外不快指数、設定された望ましい不快指数を取り出して比較してもよい。たとえば、屋内不快指数が85(たとえば屋内温度34℃、屋内湿度60%の場合)、屋外不快指数が73(たとえば屋外温度26℃、屋外湿度50%の場合)、設定された望ましい不快指数が65とした場合、コントローラ20は、設定された望ましい不快指数65に近づけるようにレンジフード10の運転を制御する。
【0048】
RH制御処理部28によるRH制御処理終了後、コントローラ20の学習部22は、S300において、RH制御処理における設定された望ましい空気質の妥当性について学習する。
図6と
図7を参照し、より具体的に説明する。学習部22は、S302において、屋内検知部30が検知した空気質における屋内空気質状態(たとえば屋内AQ値である温湿度センサ31が検知した屋内温度)と、情報取得部40が取得した空気質情報における屋外空気質状態(たとえば屋外AQ値である屋外温度)を取得する。次いで、学習部22は、S304において、レンジフード10がどのように制御されたかを示す運転データを取得する。
【0049】
次いで、出力部27は、S306において、
図7に示すような、レンジフード10の運転について使用者の評価を受けるための画面を出力する。
図7(A)は、制御の基準になった空気質が温度であった場合に、「本日の部屋の温度はいかがでしたか?」と使用者に尋ねて、「1.暑かった」、「2.寒かった」、または「3.快適だった」の評価を受けるための画面である。この画面は、コントローラ20に付属したディスプレイに表示してもよいし、通信部23を介して使用者の携帯端末に表示してもよい。また、空気質が湿度であった場合には本図(B)のように、「本日の部屋の湿度はいかがでしたか?」と使用者に尋ねて、「1.高かった」、「2.低かった」、または「3.快適だった」の評価を受ける。また、空気質が塵埃や臭気であった場合には本図(C)のように、「本日の部屋の空気質はいかがでしたか?」と使用者に尋ねて、「1.臭かった」、「2.埃っぽかった」、または「3.快適だった」の評価を受ける。
【0050】
使用者がこれらの画面に対して評価を入力すると、評価入力部21は、S308において、その評価を受け付けて確認する。学習部22は、S310において、受け付けた評価に基づき学習する。学習部22における学習は、使用者にとって望ましい空気質を使用者が任意に設定した空気質から始めてもよい。このように、所定の空気質条件が使用者の好みに合うように任意に設定可能であることで使用者にとって望ましい空気質に近づけるように制御することができる。
【0051】
学習部22は、機械学習により学習させることにより、より望ましい空気質を設定できるようにしてもよい。望ましい空気質は、季節、天気、時刻などにより変化するものである。たとえば、真夏の屋内温度で27℃は比較的涼しく快適に感じるし、真冬の屋内温度で20℃も比較的暖かく快適に感じる。このように望ましい空気質は、時により変化する。学習部22の学習方法は、このように変化する設定値を求めるものなので複雑であり、機械学習により学習させることが好ましい。この学習方法は、様々な機械学習手法を適用できるが、例えば機械学習アルゴリズムに深層学習(ディープラーニング)を適用してもよい。
【0052】
学習部22は、S302で取得した屋内空気質状態および屋外空気質状態と、S304で取得した運転データと、その時の所定の望ましい空気質条件とを入力データとし、その時の使用者の評価が如何なるものになるか(快適だったか否か)を出力データとした組み合わせの教師データを用いて、学習部22の多層ニューラルネットワークの入力層と出力層の間の中間層において両者の関係性が成立するよう各ノードどうしを繋ぐ各リンクの重み係数を調整する。最初は、学習部22から出力される使用者の評価は「快適だった」としても、それに対する使用者の評価が「暑かった」であった場合には、設定された望ましい温度(空気質)を少し低くするように調整される。逆に、学習部22から出力される使用者の評価は「快適だった」としても、それに対する使用者の評価が「寒かった」であった場合には、設定された望ましい温度を少し高くするように調整される。
【0053】
学習の結果、設定温度を変化させた方がよければ、条件設定部25は、S312において、変化後の空気質条件を登録する。すなわち、コントローラ20の条件設定部25は、学習部22の学習結果に基づき所定の望ましい空気質条件を変更してもよい。このように、使用者の評価の度に学習部22の多層ニューラルネットワークを再学習させて、所定の望ましい空気質を学習していく。このように、空気質の改善の運転を行ったときの、望ましい空気質条件、使用者による評価、屋内空気質状態、および屋外空気質状態に基づき、使用者にとっての好ましい所定の空気質条件を学習し、設定される空気質条件を変更することで、使用者にとって望ましい空気質に近づけ屋内の空気質を改善してゆくことができる。
【0054】
<レンジフードの換気開口位置による換気効率について>
レンジフード10は、典型的には下記のように設置される。すなわち、屋内の空気を屋外へ導出するダクトが天井線付近にあり、ダクトを覆うように所定高さの幕板があり、幕板の下部開口付近にフードがあり、フードの下面に換気開口と整流板がある。このように、レンジフード10の換気開口は、天井から所定距離(500〜1000mm)離れた位置に配置される。このような環境において、換気システム100を作動させると、換気開口付近の空気が排出され、次に床付近の空気が排出される。天井付近には暖気がたまるがレンジフード10は急速に空気の排出を行うため、床付近の空気と天井付近の空気が循環する。一方、換気扇のようにダクトと連結され天井付近に開口がある場合、天井付近の暖気は排出されるが、室内での空気の循環はおきにくい。したがって、レンジフード10では、換気するための開口の場所が天井から所定距離(500〜1000mm)離れた位置にあることにより、熱籠り換気効率を高めている。
【0055】
<第二実施例>
図1、
図4、
図8乃至
図12を参照し、本実施例における換気システム100Aを説明する。なお、重複記載を避けるために同じ要素には同じ符号を付し説明を省略し、上記実施例と異なる点を中心に説明する。
図1に示すように、建物HSの屋内には、上述した物以外に、リビングには空気質関連機器80である空調機器(エアコン)81、リビングダイニングに空気質関連機器80である加湿器82が配置されている。たとえば、空調機器81は、通常この建物HSに暮らす人(使用者)が望ましい温度を設定できるようになっている。また、同様に、加湿器82は、通常使用者が望ましい湿度を設定できるようになっている。
【0056】
換気システム100Aは、建物HSの屋内に設置され屋内の空気質条件を設定可能な空気質関連機器80と同屋内に設置されるレンジフード10を含み、屋内の空気質を空気質関連機器80に設定された使用者にとって望ましい空気質条件に近づけるようにレンジフード10を機能させるものである。換気システム100Aにおけるレンジフード10は、通常のレンジフードとしての機能を有すると共に、この通常の機能に加えて以下に述べるように、空気質関連機器80に設定された使用者にとって望ましい空気質条件に屋内の空気質を近づけるために機能する。
【0057】
換気システム100Aは、一般住宅に設置される排気ファンの中では最大の排気風量を有するレンジフード10の新しい利用方法を提案するものである。大排気風量の能力を有するレンジフード10が空気を屋外へ排出するとき屋内は負圧となるため、建物HSの開口部から外気が屋内に取り入れられる。そうすると、屋外の空気が屋内の空気と入れ替わり混入することにより屋内の空気質は徐々に屋外の空気質に近づくことになる。
【0058】
一方、屋内の空気質条件(たとえば室温)を設定可能なエアコン81には、使用者が望ましい空気質(たとえば室温)が設定されているものと考えられる。たとえば、エアコン81の設定温度は、夏に屋外の温度が30℃を超えるような場合に、屋内を快適な温度にすると共に冷え過ぎ防止や省エネルギーの観点から28℃に設定し、外気より室温を下げつつも設定温度になったら冷房運転を停止し、使用者にとって快適な温度を維持するように機能する。
【0059】
換気システム100Aは、屋外の空気を屋内に取り入れると望ましい設定温度に近づく場合にエアコン81などの空気質関連機器80を機能させる前にレンジフード10を機能させる(事前換気する)。これにより、換気システム100Aは、事前に外気を屋内に取り入れることで屋内の空気質を空気質関連機器80に設定された空気質に近づけ、空気質関連機器80の機能を補助してキッチン以外の居住空間も含めた屋内の空気質の改善を図るためのレンジフード10を含む換気システムである。
【0060】
図8に示すように、換気システム100Aは、建物HSの屋内に設置されるレンジフード10と、同じ屋内に設置され、屋内の空気質条件を設定可能な空気質関連機器80と、レンジフード10と空気質関連機器80の運転を制御するコントローラ20A(制御部20A)と、屋内の空気質を検知する屋内検知部30と、屋外の空気質情報を取得する情報取得部40と、を備える。空気質関連機器80は、空気質条件設定可能な、エアコン81、加湿器82、除湿器83、暖房機84(たとえば石油ファンヒーター)などを含む。これらの空気質関連機器80は、コントローラ20Aから運転に関する制御を受けるための機能を備え、この制御に関する信号を受信するための通信機能を有する。なお、本図には、空気質条件を設定可能ではない空気質関連機器80’も示されているが、空気質関連機器80’については後述する。
【0061】
コントローラ20Aは、屋内検知部30および情報取得部40が得た空気質情報に基づきレンジフード10の運転を制御する。コントローラ20Aは、建物HSに暮らす人(使用者)にとって望ましい空気質を設定し、また設定したその空気質を読み出す条件設定部25Aと、屋内検知部30が検知した空気質における屋内空気質状態と情報取得部40が取得した空気質情報における屋外空気質状態を検出処理する検出処理部29と、検出処理部29が検出した屋内空気質状態と屋外空気質状態を比較する比較判定部24と、レンジフード10のRH制御部11と通信し運転を制御し、また空気質関連機器80と通信し運転を制御するRH/関連機器制御処理部28Aと、使用者の評価を受けるための画面を出力する出力部27と、出力部27が出力した画面から評価を受け付ける評価入力部21と、受け付けた評価に基づき学習する学習部22と、コンロBNでの調理の状態を判定する調理判定部26と、を備える。
【0062】
図9を参照し、換気システム100Aにおけるコントローラ20Aの処理フローについて説明する。コントローラ20Aは、S400において、空気質関連機器80が運転を開始するための作動信号を待っている。空気質関連機器80が運転を開始するための作動信号は、空気質関連機器80に対して使用者が操作を行うことで空気質関連機器80の制御部や通信部(図示せず)と通信部23を介してRH/関連機器制御処理部28Aが受信してもよいし、逆に、使用者がコントローラ20Aに対して操作を行ったり外部からの指令信号を受けたりすることでRH/関連機器制御処理部28Aから通信部23を介して対象となる空気質関連機器80に伝達されてもよい。
【0063】
当該作動信号がコントローラ20Aに伝えられると、検出処理部29は、S402において、屋内検知部30が検知した空気質における屋内空気質状態を通信部23を介して取得し、また、情報取得部40(屋外検知部40またはインターネットから空気質情報を得る通信部23)が取得した空気質情報における屋外空気質状態を通信部23を介して取得する検出処理を行う。
【0064】
屋内空気質状態と屋外空気質状態を検出すると、条件設定部25Aは、S404において、通信部23を介して空気質関連機器80に予め設定されている望ましい空気質の条件を読み出す。屋内空気質状態、屋外空気質状態と所定の空気質条件を取得すると、コントローラ20Aの比較判定部24は、S200において、屋内空気質状態と屋外空気質状態を比較する。
【0065】
図4と
図10、
図11も参照し、比較判定部24とRH/関連機器制御処理部28Aの処理フローをより具体的に説明する。比較判定部24は、S202において、上記S402で取得した屋内空気質と屋外空気質の状態から、比較対象となる屋内AQ値と屋外AQ値を取り出す。また、比較判定部24は、S204において、上記S404で条件設定部25Aが取得した空気質関連機器80に設定されている望ましい空気質条件から設定AQ値を取り出す。ここでは、屋内AQ値、屋外AQ値、設定AQ値をそれぞれ屋内温度、屋外温度、設定された望ましい温度を例として以下説明する。
【0066】
比較判定部24は、S206において、設定AQ値である設定温度が、屋内AQ値である屋内温度と屋外AQ値である屋外温度の間にあるか否か検査する。設定温度が屋内温度と屋外温度の間にある場合、コントローラ20AのRH/関連機器制御処理部28Aは、S406において、空気質関連機器80の始動を制御する前に、屋内温度を設定温度に近づけるようにレンジフード10の運転を制御する。
図10は、レンジフード10による事前換気処理のパターンの内、設定温度が屋内温度と屋外温度の間にある場合を示している。
【0067】
たとえば、
図10(A)に示すように、屋外温度が5℃、屋内温度が25℃、設定温度が21℃である場合、RH/関連機器制御処理部28Aは、温度の高い屋内の空気を排気し、温度の低い屋外の空気を給気口70などから吸入することで、屋内の温度は徐々に屋外の温度に近づくことになる。RH/関連機器制御処理部28Aは、このような場合にはレンジフード10を最も大きい風量で運転することが好ましい。
【0068】
屋外温度が5℃、屋内温度が25℃、設定温度が21℃という状況は、冬に室内温度を温めすぎた場合に起こる。このような場合に、大きな排気風量を有するレンジフード10により、屋内の熱気のある空気を排出し、屋外のひんやりした空気を取り入れることで、室内温度を25℃から設定温度の21℃に徐々に近づけることができる。そして、RH/関連機器制御処理部28Aは、設定温度に近づいた時、それ以上室温を下げないためにレンジフード10の運転を停止し、設定温度を維持するために空気質関連機器80の暖房運転の始動を制御する。なお、設定温度に近づいた時とは、人間の体感に関する制御なので厳密なものでなくともよく、±1℃程度の範囲に収まることでよい。
【0069】
また、
図10(B)に示すように、屋外温度が22℃、屋内温度が15℃、設定温度が21℃である場合、RH/関連機器制御処理部28Aは、温度の低い屋内の空気を排気し、温度の高い屋外の空気を給気口70などから吸入することで、屋内の温度は徐々に屋外の温度に近づくことになる。屋外温度が22℃、屋内温度が15℃、設定温度が21℃という状況は、春先の昼によく起こる。このような場合に、大きな排気風量を有するレンジフード10により、屋内の冷えた空気を排出し、屋外の比較的暖かい空気を取り入れることで、室内温度を15℃から設定温度の21℃に徐々に近づけることができる。そして、RH/関連機器制御処理部28Aは、設定温度に近づいた時、それ以上室温を上げないためにレンジフード10の運転を停止し、設定温度を維持するために空気質関連機器80の始動を制御する。
【0070】
上記はエアコン81が暖房運転の場合に起こり得る制御であるが、以下のように冷房運転の場合も起こり得る。たとえば、
図10(C)に示すように、屋外温度が25℃、屋内温度が35℃、設定温度が27℃という状況は、真夏の夜によく起こる。このような場合に、大きな排気風量を有するレンジフード10により、屋内の熱気のある空気を排出し、屋外の比較的ひんやりした空気を取り入れることで、室内温度を35℃から設定温度の27℃に徐々に近づけることができる。そして、RH/関連機器制御処理部28Aは、設定温度に近づいた時、それ以上室温を下げないためにレンジフード10の運転を停止し、設定温度を維持するために空気質関連機器80の冷房運転の始動を制御する。
【0071】
また、
図10(D)に示すように、屋外温度が35℃、屋内温度が25℃、設定温度が27℃である場合、RH/関連機器制御処理部28Aは、温度の低い屋内の空気を排気し、温度の高い屋外の空気を給気口70などから吸入することで、屋内の温度は徐々に屋外の温度に近づくことになる。屋外温度が35℃、屋内温度が25℃、設定温度が27℃という状況は、夏に冷房で冷やし過ぎた場合に起こり得る。このような場合に、大きな排気風量を有するレンジフード10により、屋内の冷えた空気を排出し、屋外の暖かい空気を取り入れることで、室内温度を25℃から設定温度の27℃に徐々に近づけることができる。そして、RH/関連機器制御処理部28Aは、設定温度に近づいた時、それ以上室温を上げないためにレンジフード10の運転を停止し、設定温度を維持するために空気質関連機器80の冷房運転の始動を制御する。
【0072】
比較判定部24は、S206で設定温度が屋内温度と屋外温度の間にあるか否か検査し設定温度が屋内温度と屋外温度の間にない場合、S208において、屋外温度が屋内温度と設定温度の間にあるか否か検査する。屋外温度が屋内温度と設定温度の間にある場合、RH/関連機器制御処理部28Aは、S406において、屋内温度を設定温度に近づけるようにレンジフード10の運転を制御する。
図11は、レンジフード10による事前換気処理のパターンの内、設定温度が屋内温度と屋外温度の間にない場合を示している。たとえば、
図11(A)に示すように、屋外温度が27℃、屋内温度が30℃、設定温度が24℃である場合、RH/関連機器制御処理部28Aは、温度の高い屋内の空気を排気し、温度の低い屋外の空気を取り入れることで、設定温度の方へ、室内温度を30℃から屋外温度の27℃に徐々に近づけることができる。
【0073】
また、
図11(B)に示すように、屋外温度が27℃、屋内温度が24℃、設定温度が30℃である場合、RH/関連機器制御処理部28Aは、温度の低い屋内の空気を排気し、温度の高い屋外の空気を取り入れることで、設定温度の方へ、室内温度を24℃から屋外温度の27℃に徐々に近づけることができる。また、
図11(C)に示すように、屋外温度が27℃、屋内温度が35℃、設定温度が25℃である場合、RH/関連機器制御処理部28Aは、温度の高い屋内の空気を排気し、温度の低い屋外の空気を取り入れることで、設定温度の方へ、室内温度を24℃から屋外温度の27℃に徐々に近づけることができる。また、
図11(D)に示すように、屋外温度が27℃、屋内温度が25℃、設定温度が28℃である場合、RH/関連機器制御処理部28Aは、温度の低い屋内の空気を排気し、温度の高い屋外の空気を取り入れることで、設定温度の方へ、室内温度を25℃から屋外温度の27℃に徐々に近づけることができる。
【0074】
このように、空気質関連機器80の始動を制御する際、屋内温度(屋内空気質状態)と屋外温度(屋外空気質状態)とを比較し、望ましい空気質として空気質関連機器80に設定された設定温度(空気質条件)に近づけるようにレンジフードの事前換気を行うことで、使用者にとって望ましい空気質に近づけて屋内の空気質の改善を図る換気システム100Aを提供することができる。また、通常、レンジフード10の使用電力量は、エアコン81などの空気質関連機器80の使用電力量より小さいため、省エネルギーの観点からも好ましい。
【0075】
なお、コントローラ20Aは、調理判定部26がコンロBNで調理がなされていないと判定する場合にのみ、すなわちレンジフード10が調理運転状態にない場合にのみ空気質関連機器80に設定された空気質条件に近づけるようにレンジフード10の運転を制御することとしてもよい。このように、レンジフード10が運転状態にない場合にのみ上記したような空気質改善を行うことで、調理から発生する油煙等を適格に捕集するというレンジフード本来の機能を果たすことができる。
【0076】
RH/関連機器制御処理部28Aは、屋外温度に近づいた時これ以上同様の運転を継続しても設定温度には近づかないので、レンジフード10の事前換気運転を停止する。また、RH/関連機器制御処理部28Aは、レンジフード10の事前換気運転を停止すると共に、設定温度を維持するために空気質関連機器80の始動を制御してもよい。すなわち、RH/関連機器制御処理部28Aは、空気質関連機器80に設定された設定温度(空気質条件)に近づけるようにレンジフード10の事前換気を行った後、S500において、レンジフード10の事前換気を終了させる。
図10と
図11で示した事前換気処理のパターンにおいて説明したように、事前換気を終了する場合として、屋内空気質が空気質条件に十分近づいた時に事前換気を終了する場合と、屋内空気質が屋外空気質に近づきこれ以上事前換気運転を継続しても設定温度には近づかないために事前換気を終了する場合の2つの場合がある。この事前換気終了処理について、
図12を参照して説明する。
【0077】
比較判定部24は、S502において、上記S402で取得した屋内空気質と屋外空気質の状態から、比較対象となる屋内AQ値と屋外AQ値を取り出す。また、比較判定部24は、S504において、上記S404で条件設定部25Aが取得した空気質関連機器80に設定されている望ましい空気質条件から設定AQ値を取り出す。ここでは、上記と同様、屋内AQ値、屋外AQ値、設定AQ値をそれぞれ屋内温度、屋外温度、設定された望ましい温度を例として以下説明する。
【0078】
比較判定部24は、S506において、設定AQ値である設定温度が、屋内AQ値である屋内温度と屋外AQ値である屋外温度の間にあるか否か検査する。設定温度が屋内温度と屋外温度の間にある場合(
図10に示すケースの場合)、RH/関連機器制御処理部28Aは、S508において、屋内温度と設定温度の差が所定の範囲内か否かを検査する。ここで、所定の範囲とは、屋内温度(屋内空気質)が設定温度(空気質条件)に十分近づいたと言える範囲であり、たとえば、人間の体感に関する制御なので厳密な範囲ではなく、±1℃程度の範囲に収まることでよい。屋内温度と設定温度の差が所定の範囲にあるならば、すなわち屋内の温度(空気質)が空気質関連機器80に設定された設定温度(空気質条件)に近づいた時に、RH/関連機器制御処理部28Aは、S510において、レンジフード10で行った事前換気の処理を終了する。
【0079】
また、S506で設定温度が屋内温度と屋外温度の間にない場合(
図11に示すケースの場合)、RH/関連機器制御処理部28Aは、S512において、屋内温度と屋外温度の差が所定の範囲内か否かを検査する。屋内温度と屋外温度の差が所定の範囲にあるならば、すなわち屋内の温度(空気質状態)が屋外の温度(空気質状態)に近づいた時に、RH/関連機器制御処理部28Aは、S510において、レンジフード10で行った事前換気の処理を終了する。S508で屋内温度と設定温度の差が所定の範囲内にない場合、または、S512で屋内温度と屋外温度の差が所定の範囲内にない場合、RH/関連機器制御処理部28Aは、レンジフード10の事前換気処理を終了しないで、継続する。
【0080】
このように、コントローラ20Aは、望ましい空気質として空気質関連機器80に設定された空気質条件における空気質状態が、屋内空気質状態と屋外空気質状態の間にある場合、屋内の空気質が空気質関連機器80に設定された空気質条件に近づいた時に事前換気を終了し、空気質関連機器80に設定された空気質条件における空気質状態が、屋内空気質状態と屋外空気質状態の間にない場合、屋内の空気質が屋外空気質状態に近づいた時に事前換気を終了する。これによれば、使用者にとって望ましい空気質に近づけて屋内の空気質の改善を図ると共に、エネルギー効率の良い空気質の改善を行うことができる。
【0081】
上述したように、空気質関連機器80が空調機器(エアコン)81である場合、屋内検知部30は屋内の空気質として屋内の温度を検知し、情報取得部40は屋外の空気質情報として屋外の温度を取得し、空調機器81に設定された空気質条件は設定温度である。そして、コントローラ20Aは、空調機器81に設定された設定温度が、屋内の温度と屋外の温度の間にある場合、屋内の温度が空調機器81に設定された設定温度に近づいた時に事前換気を終了し、空調機器81に設定された設定温度が、屋内の温度と屋外の温度の間にない場合、屋内の温度が屋外の温度に近づいた時に事前換気を終了する。これによれば、レンジフード10と空調機器81が連動し、空調機器81の始動を制御する際空調機器81の設定温度に近づけるようにレンジフード10の事前換気を行い、設定温度が屋内の温度と屋外の温度の間にある場合は屋内温度が設定温度に近づいた時に事前換気を終了し、屋内温度と屋外温度の間にない場合は屋内温度が屋外温度に近づいた時に事前換気を終了することで、使用者にとって望ましい屋内温度に近づけて室温の改善を図ると共に、エネルギー効率の良い空気調節を行うことができる。
【0082】
また、空気質関連機器80が加湿器82または除湿器83であり、屋内検知部30は屋内の空気質として屋内の湿度を検知し、情報取得部40は屋外の空気質情報として屋外の湿度を取得し、加湿器82または除湿器83に設定された空気質条件は設定湿度である。そして、コントローラ20Aは、加湿器82または除湿器83に設定された設定湿度が、屋内の湿度と屋外の湿度の間にある場合、屋内の湿度が加湿器82または除湿器83に設定された設定湿度に近づいた時に事前換気処理を終了し、加湿器82または除湿器83に設定された設定湿度が、屋内の湿度と屋外の湿度の間にない場合、屋内の湿度が屋外の湿度に近づいた時に事前換気処理を終了する。これによれば、レンジフード10と加湿器82または除湿器83が連動し、加湿器82または除湿器83の始動を制御する際加湿器82または除湿器83の設定湿度に近づけるようにレンジフード10の事前換気を行い、設定湿度が屋内の湿度と屋外の湿度の間にある場合は屋内湿度が設定湿度に近づいた時に事前換気処理を終了し、屋内湿度と屋外湿度の間にない場合は屋内湿度が屋外湿度に近づいた時に事前換気処理を終了することで、使用者にとって望ましい屋内湿度に近づけて屋内の湿度の改善を図ると共に、エネルギー効率の良い加湿または除湿を行うことができる。
【0083】
また、空気質関連機器80が温度設定可能な暖房機84(たとえば石油ファンヒーター、図示せず)であり、屋内検知部30は屋内の空気質として屋内の温度を検知し、情報取得部40は屋外の空気質情報として屋外の温度を取得し、暖房機84に設定された空気質条件は設定温度である。コントローラ20Aは、暖房機84に設定された設定温度が、屋内の温度と屋外の温度の間にある場合、屋内の温度が暖房機84に設定された設定温度に近づいた時に事前換気処理を終了し、暖房機84に設定された設定温度が、屋内の温度と屋外の温度の間にない場合、屋内の温度が屋外の温度に近づいた時に事前換気処理を終了する。これによれば、レンジフード10と暖房機84が連動し、暖房機84の始動を制御する際暖房機84の設定温度に近づけるようにレンジフードの事前換気を行い、設定温度が屋内の温度と屋外の温度の間にある場合は屋内温度が設定温度に近づいた時に事前換気を終了し、屋内温度と屋外温度の間にない場合は屋内温度が屋外温度に近づいた時に事前換気を終了することで、使用者にとって望ましい屋内温度に近づけて室温の改善を図ると共に、エネルギー効率の良い空気調節を行うことができる。
【0084】
なお、出力部27、評価入力部21、学習部22の説明は本実施例では省略するが、本実施例においても機能させてもよい。その場合、学習部22は、条件設定部25Aを介して、それぞれの空気質関連機器80に設定された空気質条件を取得すると共に、学習によりより良い空気質条件が得られた場合には、そのより良い空気質条件をそれぞれの空気質関連機器80に設定し直してもよい。
【0085】
<第二実施例の変形例>
上記では空気質条件を設定可能な空気質関連機器80とレンジフード10との連携について説明したが、換気システム100Aは、
図8に示す空気質条件を設定可能ではない空気質関連機器80’との連携も可能である。空気質条件を設定可能ではない空気質関連機器80’とは、たとえば床暖房85や空気清浄機86である。これらの空気質関連機器80’は、自分が目標とする空気質条件を有さないが、空気質に影響を与えるものである。たとえば、床暖房85は、自ら屋内の温度を何度にするという設定温度を有さないが、屋内の温度(屋内空気質)を上げるように機能する。また、空気清浄機86は、自ら屋内の塵埃やにおい物質をどの程度にするのかという設定濃度などを有さないが、屋内の所定の物質の濃度を少なくするように機能する。
【0086】
換気システム100Aは、このような屋内に設置される空気質関連機器80’と、同じ屋内に設置されるレンジフード10と、屋内の空気質を検知する屋内検知部30と、屋外の空気質情報を取得する情報取得部40と、レンジフード10と空気質関連機器80’の運転を制御するコントローラ20A(制御部)とを備える。コントローラ20Aの比較判定部24は、空気質関連機器80’に設定される空気質条件はないが、空気質関連機器80’の始動を制御する際、屋内検知部30が検知した空気質における屋内空気質状態と情報取得部40が取得した空気質情報における屋外空気質状態とを比較する。そして、RH/関連機器制御処理部28Aは、上述したように、屋内の空気質を所定の空気質条件に近づけるようにレンジフード10の事前換気を行ってもよい。これによれば、空気質関連機器80’の始動を制御する際屋内空気質状態と屋外空気質状態とを比較し、屋内の空気質を所定の空気質条件に近づけるようにレンジフード10の事前換気を行うようにすることで、エネルギー効率の良い屋内の空気質の改善を図る換気システム100Aを提供することができる。
【0087】
空気質関連機器80’が空気清浄機86である場合、屋内検知部30は屋内の空気質として屋内の埃または臭いを検知し、情報取得部40は屋外の空気質情報として屋外の埃または臭いの情報を取得する。コントローラ20Aは、屋内検知部30が検知した屋内の埃または臭いの濃度と情報取得部40が取得した空気質情報における埃または臭いの濃度とを比較し、所定の埃または臭いの濃度に近づけるようにレンジフード10の事前換気を行う。このように、レンジフード10と空気清浄機86が連動し、空気清浄機86の始動を制御する際屋内の埃または臭いの濃度と屋外の埃または臭いの濃度とを比較し、屋外の埃などの濃度の方が望ましい所定の埃などの濃度に近づけた方がよい場合には、所定の埃または臭いの濃度に近づけるようにレンジフード10の事前換気を行うことで、エネルギー効率の良い屋内の埃または臭いの濃度を改善することができる。
【0088】
また、空気質関連機器80’が温度設定可能ではない暖房機(たとえば床暖房85)である場合、屋内検知部30は屋内の空気質として屋内の温度を検知し、情報取得部40は屋外の空気質情報として屋外の温度の情報を取得する。コントローラ20Aは、屋内検知部30が検知した屋内の温度と情報取得部40が取得した空気質情報における屋外の温度とを比較し、所定の温度に近づけるようにレンジフード10の事前換気を行う。このように、レンジフード10と温度設定可能ではない暖房機が連動し、当該暖房機の始動を制御する際屋内の温度と屋外の温度を比較し、屋外温度の方が望ましい所定の温度に近づけた方がよい場合には、屋内の温度を所定の温度に近づけるようにレンジフード10の事前換気を行うことで、エネルギー効率の良い屋内の温度を改善することができる。
【0089】
なお、本実施例における各空気質関連機器80/80’とレンジフード10との作動タイミングは、レンジフード10が先でも、レンジフード10と各空気質関連機器80/80’が同時であってもよい。なお、レンジフード10を先に作動させた後に空気質関連機器80/80’を作動させると、エネルギー効率が高くなる。一方、両者を同時に作動させるとレンジフード10のみを先に作動させるより設定条件により早く近づく。
【0090】
<レンジフードの設置位置による換気効果について>
レンジフード10は、調理油煙を排出することが主たる製品目的であるため設置位置はキッチンである。キッチンには調理廃棄物、生ごみ等、臭気発生源となるものが置かれることが多いが、熱籠りが発生する高温多湿環境ではこれらの廃棄物から臭いが発生し宅内の空気質を汚染してしまうことがある。換気システム100は、キッチンに設置されるレンジフード10を上記実施例のように利用することにより、臭気拡散を防ぐことができる。このように居室全体の空気質改善に先だって臭気拡散を防ぐことができるので、たとえば、夏の夜に帰宅するような場合に部屋が臭く暑いといった状態になることを防止することができる。
【0091】
また、レンジフード10は、フードの張り出し方向(レンジフード10の操作ボタンなどが設けられる、使用者にとっての手前方向)の空気排気の量が他方向の空気排気の量よりも多くなるように設計されている。すなわち、レンジフード10を作動させると張り出し方向の空気質は急速に改善される。臭い発生物は、他方向(リビング側)よりも張り出し方向(キッチン側)に置かれることが多いため、レンジフード10は他の空調機器、たとえば、エアコン、空気清浄機等に比してより効率的に空気質(臭気)改善を行うことができる。
【0092】
なお、本発明は、例示した実施例に限定するものではなく、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。