【課題】調理から発生する油煙等を的確に捕集するというレンジフード本来の機能を維持しつつ、屋内が負圧になることによる玄関ドアの開け難さを改善する換気システムを提供する。
【解決手段】換気システム100は、建物HS内に設置されるレンジフード10と、建物に設けられる玄関ドアDRに対する人の接近および/または離隔を検知する人検知部30と、人検知部の検知情報に基づきレンジフードを制御する制御部20と、を備え、制御部は、レンジフードの運転中に人検知部が人の接近を検知した時、レンジフードの排気風量を減少させる。また、玄関ドアの開状態を検知するドア検知部40をさらに備え、制御部は、人の接近を検知した後にドア検知部が玄関ドアが開けられたことを検知した場合、レンジフードの排気風量を元の排気風量に復帰させる。
前記人検知部が人の接近を検知した時にまたは前記玄関ドアの開放準備動作を検知した時に、報知を行う報知部をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の換気システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術においては、玄関ドアの電気錠が施錠から解錠に変化した時にレンジフードの風量を少なくしたり運転を停止したりして屋内の空気の負圧を低減する制御を行う。しかし、レンジフードは大きな排気風量で運転しているので、排気風量を減少させ始めても実際に屋内の空気の負圧が低減するまでには時間がかかるため、玄関ドアを開錠してから玄関ドアを開ける動作を行うまでの時間では実際は負圧が低減しきらず、玄関ドアの開け難さは変わらない。また、排気風量を短い時間で急に減少させるためにレンジフードのファンの回転数を急激に減らすと、モータに負担がかかりモータの寿命が短くなったり、モータ軸のピンとファンのボスとの間に強い力がかかるため大きな音が発生したり、早く摩耗したりする。
【0005】
そこで、本発明は、かかる事情を鑑みて考案されたものであり、調理から発生する油煙等を的確に捕集するというレンジフード本来の機能を維持しつつ、屋内が負圧になることによる玄関ドアの開け難さを改善する換気システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、建物内に設置されるレンジフードと、建物に設けられる玄関ドアに対する人の接近および/または離隔を検知する人検知部と、人検知部の検知情報に基づき、レンジフードを制御する制御部と、を備え、制御部は、レンジフードの運転中に人検知部が人の接近を検知した時、レンジフードの排気風量を減少させる換気システムが提供される。
これによれば、人の接近を検知した時レンジフードの排気風量を減少させて、実際に玄関ドアを開けるまでの時間を確保することで、屋内が負圧になることによる玄関ドアの開け難さを改善する換気システムを提供することができる。
【0007】
さらに、制御部は、人検知部が人の離隔を検知した時、レンジフードの排気風量を元の排気風量に復帰させることを特徴としてもよい。
これによれば、人の離隔を検知した時元の排気風量に復帰させることで、調理から発生する油煙等を的確に捕集するというレンジフード本来の機能を維持することができる。
【0008】
さらに、玄関ドアの開状態を検知するドア検知部をさらに備え、制御部は、レンジフードの運転中に人検知部が人の接近を検知した後にドア検知部が玄関ドアが開けられたことを検知した場合、レンジフードの排気風量を元の排気風量に復帰させることを特徴としてもよい。
これによれば、人の接近を検知した後に玄関ドアが開けられたことを検知した場合レンジフードの排気風量を元の排気風量に復帰させることで、レンジフードの排気風量を減少させている時間を最小限にし、レンジフード本来の機能を維持することができる。
【0009】
さらに、建物に屋外と通ずるように設置され、制御部が開閉可能な給気口をさらに備え、制御部は、レンジフードの運転中に人検知部が人の接近を検知した時、給気口を開制御することを特徴としてもよい。
これによれば、人の接近を検知した時レンジフードの排気風量を減少させると共に給気口を開制御することで、排気風量の減少量を小さくし、レンジフード本来の機能を維持しながら屋内が負圧になることによる玄関ドアの開け難さをより改善することができる。
【0010】
さらに、レンジフードは、同時給排型であり、制御部は、レンジフードの運転中に人検知部が人の接近を検知した時、給気風量を増加させることを特徴としてもよい。
これによれば、人の接近を検知した時レンジフードの排気風量を減少させると共に積極的に給気風量を増加させることで、排気風量の減少量をより小さくし、レンジフード本来の機能を維持しながら屋内が負圧になることによる玄関ドアの開け難さをより改善することができる。
【0011】
上記課題を解決するために、建物内に設置される同時給排型レンジフードと、建物に設けられる玄関ドアの開放準備動作を検知する開放準備動作検知部と、開放準備動作検知部の検知情報に基づき、レンジフードを制御する制御部と、を備え、制御部は、玄関ドアの開放準備動作を検知した時、レンジフードの給気風量を増加させる換気システムが提供される。
これによれば、レンジフードが同時給排型である場合、玄関ドアの開放準備動作を検知した時にレンジフードの排気風量を維持したまま給気風量を増加させることで、屋内が負圧になることによる玄関ドアの開け難さを改善する換気システムを提供することができる。
【0012】
さらに、制御部は、玄関ドアの開放準備動作を検知した時、レンジフードの排気風量を減少させることを特徴としてもよい。
これによれば、玄関ドアの開放準備動作を検知した時にレンジフードの給気風量を増加させると共に排気風量を減少させることで、玄関ドアの開け難さをより改善することができる。
【0013】
さらに、人検知部が人の接近を検知した時にまたは玄関ドアの開放準備動作を検知した時に、報知を行う報知部をさらに備えることを特徴としてもよい。
これによれば、屋内が負圧になることによる玄関ドアの開け難さを改善したことを知らせることができる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明によれば、調理から発生する油煙等を的確に捕集するというレンジフード本来の機能を維持しつつ、屋内が負圧になることによる玄関ドアの開け難さを改善する換気システムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、図面を参照しながら、本発明に係る各実施例について説明する。
<第一実施例>
図1乃至
図3を参照し、本実施例における換気システム100を説明する。換気システム100は、建物HS(本実施例では住宅)に設置されるレンジフード10を建物HSの玄関ドアDRと連動させるように機能するものである。レンジフード10は、キッチンに設置されるコンロBNの上方に設けられ、コンロBNで調理される際に発生する油煙等を含む空気を大きな排気風量により吸引し屋外に排出することにより、油煙等が屋内に拡散することを防止する。レンジフード10を大きな排気風量で運転すると、建物HS内部の空気は負圧となり、気密性の良い昨今の建物HSでは負圧になることにより玄関ドアDRが開け難くなるという現象が生じる。しかし、レンジフード10が排気風量を小さくすると、油煙などを捕集できず、屋内に拡散してしまう。換気システム100は、以下に述べるように、調理から発生する油煙等を的確に捕集するというレンジフード10の本来の機能を維持しつつ、屋内が負圧になることによる玄関ドアDRの開け難さを改善する。なお、本実施例では住宅を例に説明するが、住宅だけでなく大量の排気を行う焼肉店等の店舗にも適用可能であることは言うまでもない。
【0017】
図2にも示すように、換気システム100は、建物HS内に設置されるレンジフード10と、建物HSに設けられる玄関ドアDRに対する人の接近および/または離隔を検知する人検知部30と、人検知部30の置き換えまたは併用される、玄関ドアDRの開放準備動作を検知する開放準備動作検知部50と、玄関ドアDRの開状態を検知するドア検知部40と、人検知部30が人の接近を検知した時にまたは開放準備動作検知部50が玄関ドアDRの開放準備動作を検知した時に報知を行う報知部60と、建物HSに屋外と通ずるように設置され開閉可能な給気口70と、人検知部30、ドア検知部40、開放準備動作検知部50のいずれかまたはこれらの組み合わせの検知情報に基づきレンジフード10を制御するコントローラ20(制御部20)と、を備える。
【0018】
レンジフード10は、一般的には排気風量が強中弱といったように、風量の大きさを使用者が設定できるようになっており、その設定風量で屋内の空気を吸い込み、屋外へ排気するものである。本実施例では、レンジフード10は、コンロBNの上方に設けられているが、特に限定されず、コンロBNの側方に設けられるものであってもよい。レンジフード10は、排気を行うために回転する排気ファン11と、使用者が運転や排気風量の大きさの指示を行うための操作部15と、コントローラ20と通信を行うための通信部14と、これらの全体を制御するレンジフード制御部13とを備える。排気ファン11には、一般的に静圧の高いシロッコファンが使用される。
【0019】
人検知部30は、玄関ドアDR近傍の建物HSの外壁または内壁、玄関上方の屋根、玄関ドアなどに設けられ、玄関ドアDRの外側または内側から人が接近したり、離隔したりすることを検知する。人検知部30は、一般的には所謂人感センサである。人感センサは、赤外線、超音波、可視光など様々な方式により人の所在を検知するが、人検知部30は、いずれの方式であってもよい。また、人検知部30は、玄関ドアDRに人が接近/離隔したことを検知すればよいので、このような一般的な人感センサだけではなく、人の認識機能を有する監視カメラ、玄関ドアDR近傍の重量センサ、玄関ドアDRの外側の検知であれば、玄関ドアDRを施解錠する電子鍵の接近/離隔を検知する近接センサなどであってもよい。
【0020】
人検知部30は、人を検知しない状態から人を検知した状態になったときに人の接近と検知してもよいし、人と玄関ドアDRの間の距離が小さくなる状態を人の接近と検知してもよい。逆に、人検知部30は、人を検知している状態から人を検知しない状態になったときに人の離隔と検知してもよいし、人と玄関ドアDRの間の距離が大きくなる状態を人の離隔と検知してもよい。
【0021】
開放準備動作検知部50は、人検知部30が検知するものだけでなく、実際に玄関ドアDRの錠に鍵が差し込まれたことを検知したり、差し込まれた鍵から解錠動作(回転動作)を検知したり、実際に解錠されたことを検知することも含む。またさらに、開放準備動作検知部50は、人の接近を検知することのみならず、解除動作やドアノブに手をかける等の実際に玄関ドアの開放動作を含む準備動作を捉えるものである。たとえば、開放準備動作検知部50は、人の接近を検知するセンサ、玄関ドアDRより道路側にある建物HSの門の開閉を検知するセンサ、ガレージに車が帰ってきたことを検知するセンサ、マンションの住戸に住む住人がエントランスのオートロックを開錠したことを住戸毎に検知するセンサ、登録された住人が所持するスマートフォンからの位置情報を取得するセンサなども含むものである。
【0022】
ドア検知部40は、玄関ドアDRの開状態を検知するセンサであり、一般的にはドアの開閉センサである。玄関ドアDRの開状態とは、ハンドル(ノブ)が操作されてラッチがラッチ受けから外れた状態や、玄関ドアDRの枠部が戸当り(開き戸の枠にドアを止めるために付ける細木など)から離れた状態を言う。なお、玄関ドアDRは、通常建物HSの内側から外側へ開く開き戸であるが、引き戸であってもよい。
【0023】
コントローラ20は、人検知部30、ドア検知部40、開放準備動作検知部50のセンサからの入力信号や、報知部60と給気口70への出力信号、また、レンジフード10との入出力信号などをやり取りするための通信機能を有する制御通信部(図示せず)を備えると共に、これら全体を制御するための中央制御部(図示せず)を備える。コントローラ20は、中央制御部として様々な演算処理を行うマイクロプロセッサ、OS(Operating System)等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するためのメモリ、制御通信部を構成するネットワークインターフェースなどが内部バス等を介して互いに接続されたものである。コントローラ20を構成する機能は、これらのハードウェアと協働して実現される。制御通信部における通信機能は、特に限定されず、公知の通信技術により適宜実行される。
【0024】
コントローラ20は、人検知部30、ドア検知部40、開放準備動作検知部50のいずれかまたはこれらの組み合わせの検知情報に基づきレンジフード10を制御する。たとえば、コントローラ20は、レンジフード10の運転中に人検知部30が人の接近を検知した時、レンジフード10の排気風量を徐々に減少させる。なお、排気風量を減少させるとは、排気風量をゼロにする、すなわちレンジフード10の運転を停止することを含むものとする。人検知部30が玄関ドアDRへの人の接近を検知するということは、その人が暫くすると玄関ドアDRに到達して開けようとする可能性が非常に高いことを示す。レンジフード10が運転中には屋内が負圧になり、玄関ドアDRを屋外側へ開ける場合には開け難くなるが、コントローラ20がレンジフード10の排気風量を減少させ、負圧の程度を緩和するまたは負圧状態を解消することで玄関ドアDRを開け易くなる。
【0025】
ただ、レンジフード10の排気風量を減少させた瞬間に屋内の負圧が解消するわけではなく、玄関ドアDR付近で負圧が解消するには暫く時間がかかることになる。そこで、人検知部30が人を検知してから実際に玄関ドアDRを開状態にするまでには数秒程度の時間があるが、この時間の間に玄関ドアDR付近でも負圧が解消するため玄関ドアDRを開け易くなることになる。このように、人検知部30が人の接近を検知した時レンジフード10の排気風量を減少させて、実際に玄関ドアDRを開けるまでの時間を確保することで、屋内が負圧になることによる玄関ドアDRの開け難さを改善する換気システム100を提供することができる。
【0026】
なお、人検知部30は、玄関ドアDRの外側と内側の両方を検知し得るが、内側から玄関ドアDRを開状態にする場合には、開けようとする人はレンジフード10が運転中であることを知っており、また内側からは玄関ドアDRを押し開くことになるので力も入れやすい。したがって、たとえ屋内が負圧になっていても問題が小さいので、換気システム100の人検知部30は、玄関ドアDRの外側のみで人を検知するようにしてもよい。
【0027】
また、開放準備動作検知部50が玄関ドアDRの開放準備動作を検知してから実際に玄関ドアDRが開状態になるまでの時間が人検知部30が人を検知してから実際に玄関ドアDRが開状態になるまでの時間より長い場合(ガレージに車が帰ってきたことを検知した場合など)、レンジフード10の運転中に開放準備動作検知部50が開放準備動作を検知した時には、排気風量を減少させる速度を遅くしてもよい。逆に、開放準備動作検知部50が玄関ドアDRの開放準備動作を検知してから実際に玄関ドアDRが開状態になるまでの時間が人検知部30が人を検知してから実際に玄関ドアDRが開状態になるまでの時間より短い場合(解錠動作を検知した場合など)、レンジフード10の運転中に開放準備動作検知部50が開放準備動作を検知した時には、排気風量を減少させる速度を速くしてもよい。また、人検知部30と開放準備動作検知部50を併用し組み合わせることで、開放準備動作検知部50が検知した時に排気風量を少し減少させておき、人検知部30が検知した時にさらに減少させて負圧状態を解消等してもよい。このように、レンジフード10の排気風量の減少を2段階にすることで、人検知部30が検知してから玄関ドアDR付近で負圧が解消するまでの時間を短くすることができる。
【0028】
また、コントローラ20は、人検知部30が人の離隔を検知した時、レンジフード10の排気風量を人の接近を検知する前の風量である元の排気風量に復帰させることが好ましい。離隔の検知は、たとえば玄関ドアDRの屋外側で接近を検知した後、屋内側で離隔を検知する場合と、屋外側で離隔を検知する場合がある。前者の場合は、屋外側から玄関ドアDRを開けて屋内に入った場合であり、後者の場合は、屋外側から玄関ドアDRに近づいたが開けずに玄関ドアDRから離れて行ったような場合である。このように、人の離隔を検知した時元の排気風量に復帰させることで、調理から発生する油煙等を的確に捕集し屋内に油煙等を拡散することを防止するというレンジフード10本来の機能を維持することができる。なお、元の排気風量に復帰させるとは、たとえば、人の接近を検知する前の風量が最も排気風量の大きい「強」であった場合、人の接近を検知してレンジフード10の運転を停止して、次いで離隔を検知したので「強」の排気風量に戻すことを言う。
【0029】
また、コントローラ20は、レンジフード10の運転中に人検知部30が人の接近を検知した後にドア検知部40が玄関ドアDRが開状態となり開けられたことを検知した場合、レンジフード10の排気風量を元の排気風量に復帰させることが好ましい。玄関ドアDRを閉じている状態から開ける瞬間に負圧が小さくなっていれば開け難くなる現象は生じず、玄関ドアDRが少し開き始めた時に元の排気風量に復帰させても、玄関ドアDRが開け難くなる現象は生じない。また、玄関ドアDRが開状態となったことを検知しレンジフード10の排気風量を元の排気風量に復帰させても、玄関ドアDR付近で負圧が大きくなるまでには暫く時間がかかることもあり、玄関ドアDRが開け難くなる現象は生じない。
【0030】
このように、人の接近を検知した後に玄関ドアDRが開けられたことを検知した場合レンジフード10の排気風量を元の排気風量に復帰させることで、レンジフード10の排気風量を減少させている時間を最小限にし、レンジフード10本来の機能を維持することができる。人検知部30が人を検知してから実際に玄関ドアDRを開状態にするまで数秒程度であるとすると、その数秒程度のみレンジフード10の排気風量を減少させるだけなので、屋内に油煙等が拡散することを抑えることができる。
【0031】
給気口70は、建物HSに屋外と通ずるように設置され、コントローラ20が開閉可能なように構成されることが好ましい。このように、人の接近を検知した時レンジフード10の排気風量を減少させると共に給気口70を開制御することで、排気風量の減少量を小さくし、レンジフード10本来の機能を維持しながら屋内が負圧になることによる玄関ドアDRの開け難さをより改善することができる。給気口70の設けられる位置は、特に限定されないが、玄関ドアDRでの負圧を解消するためなので玄関ドアDR近傍が好ましい。
【0032】
報知部60は、人検知部30が人の接近を検知した時にまたは開放準備動作検知部50が玄関ドアDRの開放準備動作を検知した時に報知を行う。報知は、屋内の人に対する視覚的刺激(ランプ等の点滅など)や聴覚的刺激(ブザー等の鳴動など)の一方または両方の方法により行う。これによれば、屋内が負圧になることによる玄関ドアDRの開け難さを改善したことを知らせることができる。
【0033】
図3を参照し、換気システム100におけるコントローラ20の処理フローについて説明する。なお、フローチャートにおけるSTはステップを意味する。コントローラ20は、ST001において、通信部14を介してレンジフード制御部13と通信を行い、レンジフード10が運転中か否か検査している。レンジフード10が運転中か否かは、コンロBNでの調理の有無にかかわらず、レンジフード10が操作部15で指示された所定の排気風量で屋内の空気を排気する排気運転しているか否かにより判断する。
【0034】
レンジフード10が運転中である場合、コントローラ20は、ST002において、人検知部30から人が接近している旨の信号を受信するか否かを検査している。人が接近している旨の信号(人接近信号)を受信した場合、コントローラ20は、ST003において、レンジフード制御部13から通信部14を介して人接近信号を受信した時の排気風量を取得し記憶すると共に、その排気風量を減少させるように通信部14を介してレンジフード制御部13へ伝達する。たとえば、コントローラ20は、人接近信号を受信した時の排気風量が「強」であった場合には排気風量の小さい「弱」としてもよいし、人接近信号を受信した時の排気風量が「中」であった場合には排気ファン11を停止させてもよい。
【0035】
また、人接近信号を受信した場合、コントローラ20は、ST005において、給気口70を開放するように制御する。なお、本図フローチャートでは、ST003で排気風量減少制御を行った後ST005で給気口70の開放制御を行うこととなっているが、コントローラ20は、ST003とST005の制御を同時に行ってもよい。排気風量減少制御および給気口70の開放制御を行うと、コントローラ20は、ST006において、人検知部30から人が離隔している旨の信号(人離隔信号)を受信するか否かを検査する。
【0036】
人離隔信号を受信しない場合、コントローラ20は、ST007において、ドア検知部40から玄関ドアDRが開けられた旨の信号(ドア開信号)を受信するか否かを検査する。コントローラ20は、人接近信号を受信し、人離隔信号を受信せず、ドア開信号を受信しない場合、玄関ドアDRに接近してきた人は玄関ドアDR付近に留まっていると判断し、人離隔信号かドア開信号を受信するまで待つ。
【0037】
ST006で人離隔信号を受信した場合、コントローラ20は、ST008において、玄関ドアDR付近に留まっていた人は玄関ドアDRを開けずに離隔したと判断し、ST003で記憶した排気風量に戻して復帰させるように通信部14を介してレンジフード制御部13に対して指示する。また、コントローラ20は、ST009において給気口70を閉鎖するように制御する。
【0038】
ST007でドア開信号を受信した場合、コントローラ20は、ST008において、玄関ドアDR付近に留まっていた人は玄関ドアDRを開けて屋外から屋内に入る(または屋内から屋外に出る)と判断し、ST003で記憶した排気風量に戻して復帰させるように通信部14を介してレンジフード制御部13に対して指示する。また、コントローラ20は、ST009において給気口70を閉鎖するように制御する。
【0039】
このように制御することで、人の接近を検知した時レンジフード10の排気風量を減少させて、実際に玄関ドアDRを開けるまでの時間を確保することで、屋内が負圧になることによる玄関ドアDRの開け難さを改善すると共に、人の離隔や玄関ドアDRの開状態を検知すると元の排気風量に復帰させることで、レンジフード10の排気風量を減少させている時間を最小限にし、レンジフード10本来の機能を維持することができる換気システム100を提供することができる。
【0040】
<第二実施例>
図1、
図4および
図5を参照し、本実施例における換気システム100Aを説明する。なお、重複記載を避けるために同じ要素には同じ符号を付し説明を省略し、上記実施例と異なる点を中心に説明する。換気システム100Aは、建物HSに設置されるレンジフード10Aを建物HSの玄関ドアDRと連動させるように機能するものである。レンジフード10Aは、コンロBNで調理される際に発生する油煙等を含む空気を大きな排気風量により吸引し屋外に排出すると共に同時に屋外から給気を行うことにより、油煙等が屋内に拡散することを防止し屋内の負圧を生じ難くする同時給排型のレンジフードである。
【0041】
図4にも示すように、換気システム100Aは、建物HS内に設置されるレンジフード10Aと、建物HSに設けられる玄関ドアDRに対する人の接近および/または離隔を検知する人検知部30と、人検知部30の置き換えまたは併用される、玄関ドアDRの開放準備動作を検知する開放準備動作検知部50と、玄関ドアDRの開状態を検知するドア検知部40と、人検知部30が人の接近を検知した時にまたは開放準備動作検知部50が玄関ドアDRの開放準備動作を検知した時に報知を行う報知部60と、建物HSに屋外と通ずるように設置され開閉可能な給気口70と、人検知部30、ドア検知部40、開放準備動作検知部50のいずれかまたはこれらの組み合わせの検知情報に基づきレンジフード10を制御するコントローラ20A(制御部20A)と、を備える。
【0042】
レンジフード10Aは、一般的には排気風量が強中弱といったように、風量の大きさを使用者が設定できるようになっており、その設定風量で屋内の空気を吸い込み、屋外へ排気するものである。また、レンジフード10Aは、屋外に通ずる排気ダクトだけでなく給気ダクトも備える同時給排型であり、屋内の空気を吸い込み屋外へ排気すると共に排気風量と同程度の、または、それを下回るまたは上回る給気風量で屋外の空気を屋内へ給気する。レンジフード10Aは、排気を行うために回転する排気ファン11と、給気を行うために回転する給気ファン12と、使用者が運転や排気風量の大きさの指示を行うための操作部15と、コントローラ20Aと通信を行うための通信部14と、これらの全体を制御するレンジフード制御部13とを備える。レンジフード制御部13は、給気と排気のバランスから、給気ファン12と排気ファン11の回転数を制御する。
【0043】
コントローラ20Aは、人検知部30、ドア検知部40、開放準備動作検知部50のいずれかまたはこれらの組み合わせの検知情報に基づきレンジフード10Aを制御する。たとえば、コントローラ20Aは、レンジフード10Aの運転中に人検知部30が人の接近を検知した時、レンジフード10Aの排気風量を徐々に減少させたり、給気風量を徐々に増加させたりする。なお、給気風量を増加させるとは、給気風量をゼロから増加させたり、所定の風量から排気風量を上回る給気風量まで増加させたりするようにレンジフード10Aの運転を制御することを含むものとする。
【0044】
人検知部30が玄関ドアDRへの人の接近を検知するということは、その人が暫くすると玄関ドアDRに到達して開けようとする可能性が非常に高いことを示す。レンジフード10が運転中には屋内が負圧になり、玄関ドアDRを屋外側へ開ける場合には開け難くなるが、レンジフード10Aが同時給排型である場合、コントローラ20Aがレンジフード10Aの排気風量を減少させるだけでなく、給気風量を増加させ、負圧の程度を緩和するまたは負圧状態を解消することで玄関ドアDRを開け易くなる。
【0045】
図5を参照し、換気システム100Aにおけるコントローラ20Aの処理フローについて説明する。コントローラ20Aは、上記実施例における処理フローと比較し、ST004とST008Aのみで異なっているので、この点を中心に説明する。コントローラ20Aは、ST002で人が接近している旨の信号(人接近信号)を受信した場合、ST003において、レンジフード制御部13から通信部14を介して人接近信号を受信した時の排気風量を取得し記憶すると共に、その排気風量を減少させるように通信部14を介してレンジフード制御部13へ伝達する。
【0046】
また、人接近信号を受信した場合、コントローラ20Aは、ST004において、レンジフード制御部13から通信部14を介して人接近信号を受信した時の給気風量を取得し記憶すると共に、その給気風量を増加させるように通信部14を介してレンジフード制御部13へ伝達する。
【0047】
ST006で人離隔信号を受信した場合またはST007でドア開信号を受信した場合、コントローラ20Aは、ST008Aにおいて、玄関ドアDR付近に留まっていた人は玄関ドアDRを開けずに離隔したとまたは玄関ドアDRを開けて屋外から屋内に入るなどと判断し、ST003で記憶した排気風量とST004で記憶した給気風量に戻して復帰させるように通信部14を介してレンジフード制御部13に対して指示する。
【0048】
このように制御することで、人の接近を検知(開放準備動作の検知を含む)した時レンジフード10Aの給気風量を増加また排気風量を減少させて、実際に玄関ドアDRを開けるまでの時間を確保することで、屋内が負圧になることによる玄関ドアDRの開け難さを改善すると共に、人の離隔や玄関ドアDRの開状態を検知すると元の排気風量に復帰させることで、レンジフード10の排気風量を減少させている時間を最小限にし、レンジフード10A本来の機能を維持することができる換気システム100Aを提供することができる。また、急激な風量制御ではなく、所定の猶予期間をもって風量制御が行われるのでモータにかかる負担を抑えつつ、またモータ軸とファンボスとの接触をおさえながらドアの開け難さを解消することができる。
【0049】
また、同時給排型レンジフード10Aを使用することで、人の接近を検知した時レンジフード10Aの排気風量を減少させると共に積極的に給気風量を増加させることで、排気風量の減少量をより小さくすることができる。これにより、調理から発生する油煙等を的確に捕集し屋内に油煙等を拡散することを防止するというレンジフード10A本来の機能を維持しながら屋内が負圧になることによる玄関ドアDRの開け難さをより改善することができる。また、レンジフードが同時給排型である場合は、給気風量を増加させることでモータにかかる負担を抑えつつ、また、モータ軸とファンボスとの接触をおさえながらドアの開け難さを解消することができる。このため、モータの寿命が短くなったり、モータ軸とファンボスとの接触不良により異音が発生したりすることがない。
【0050】
なお、本発明は、例示した実施例に限定するものではなく、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。