【解決手段】マイクロプレートMのウェルWへ発光試薬を分注するノズル140と、発光試薬と、検体とが混合することによる、ウェルWにおける発光計測を行う発光計測部120と、ノズル140と、発光計測部120とを上下左右に一体として移動させるステージ101と、を有し、ノズル140は、ステージ101に固定されるように設置され、発光計測部120は、ステージ101に対して、ホルダ111及びバネ114を介して上下方向に移動可能に設置されることを特徴とする。
前記ノズルによる分注が行われるウェルと、前記発光計測部による発光計測が行われるウェルとの間に、少なくとも1つのウェルが存在するよう、前記ノズル及び前記発光計測部の間隔が調整されている
ことを特徴とする請求項1に記載の発光計測装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明を実施するための形態(「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図では、誇張や、変形等がされており、各図の間で各部の寸法が必ずしも一致していない。
【0015】
<第1実施形態>
[化学発光計測装置1]
図1は、第1実施形態に係る化学発光計測装置1の外観図である。また、
図2は、
図1のX軸方向からみた化学発光計測装置1の正面図であり、
図3は、
図1のY軸方向からみた化学発光計測装置1の側面図である。
図1及び
図3に示すように、化学発光計測装置1は、
図1のX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に稼働するステージ(移動部)101を有している。そして、このステージ101には、ホルダ111が固定されている。つまり、ホルダ111はステージ101と共にX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動可能である。
なお、以降では、
図1のZ軸の正方向を「上」、Z軸の負方向を「下」と称する。
【0016】
図1に示すように、ホルダ111内には発光計測部120が収納されている。発光計測部120は光電子増倍管(PMT)等である。
また、
図1に示すように、ホルダ111の天板116には孔112が設けられており(
図1の例では4つ)、この孔112のそれぞれに支持棒113がホルダ111の天板116を貫通するよう備えられている(挿通されている)。ただし、それぞれの支持棒113は天板116に対して固定されていない。また、それぞれの支持棒113は一端が発光計測部120に対して固定されている。また、ホルダ111の下部は開口しており、発光計測部120の一部がホルダ111の下面から延出可能となっている。
これにより、支持棒113及び孔112をガイドとして発光計測部120はホルダ111に対して上下に移動することができる。さらに、それぞれの支持棒113は、バネ114に挿通されている。このバネ114は、一端が発光計測部120に固定され、他端がホルダ111の天板116に固定されている。
【0017】
なお、
図2及び
図3に示すように、発光計測部20の底面には、混合液302が発する光を受ける受光部122が設けられている。
【0018】
さらに、ホルダ111の下面に設けられている開口部にはツメ部115が設けられている。また、発光計測部120の側面には第1凸部121が設けられている。発光計測部120の第1凸部121がホルダ111のツメ部115に係止することで、発光計測部120がホルダ111から落下することを防止する、あるいは、ホルダ111から必要以上に延出しないようにすることができる。
【0019】
ステージ101には、ノズル位置調整部130が固設されている。ノズル位置調整部130については後記する。そして、ノズル位置調整部130には、マイクロプレートMのウェルWに発光試薬(液体)等を分注するノズル140が設置されている。つまり、ステージ101には、ノズル位置調整部130を介してノズル140が設置されている。そして、ノズル位置調整部130がステージ101に対して固設されているため、ノズル140はステージ101の移動と共に移動する。ちなみに、ノズル140は必要であるが、ノズル位置調整部130は省略可能である。
【0020】
ノズル140には、図示しないシリンジが接続されている。このシリンジが制御されることにより、ノズル140からの発光試薬の吐出が制御される。
【0021】
また、
図2及び
図3に示すように、ノズル位置調整部130にノズル位置センサ(検知部)160が設けられている。ノズル位置センサ160は、ノズル140とマイクロプレートMとの距離を検出するためのセンサである。ここでは、ノズル位置センサ160として、レーザ距離センサ等が想定されているが、ノズル140自体を静電容量センサとすることで、ノズル140自体をノズル位置センサ160とすることもできる。ノズル140自体を静電容量センサとする場合、ノズル140は、2つの金属部材と、これらの金属部材を接続するゴム部材等から構成されるようにするとよい。このような構成の場合、2つの金属部材が、静電容量センサにおける2つの電極となる。ノズル140が検体301に接触するまでステージ101が下降される場合、ノズル140自体を静電容量センサとすることで、ノズル140自体をノズル位置センサ160とするとよい。
【0022】
[システム]
図4は、第1実施形態に係る化学発光計測システムZの構成を示す図である。
化学発光計測システムZは、
図1〜
図3で説明した化学発光計測装置1と、化学発光計測装置1に接続し、化学発光計測装置1を制御する制御装置2とを有する。
化学発光計測装置1と、制御装置2とは有線で接続されてもよいし、無線で接続されてもよい。また、化学発光計測装置1と、制御装置2とはLAN(Local Area Network)を介して接続されてもよい。あるいは、制御装置2は、WAN(Wide Area Network)等を介して、化学発光計測装置1を遠隔制御してもよい。
【0023】
[制御装置2]
図5は、第1実施形態で用いられる制御装置2の構成を示す図である。適宜、
図1を参照する。
制御装置(制御部)2は、PC(Personal Computer)や、PLC(Programmable Logic Controller)等であり、メモリ201、CPU202、及び、化学発光計測装置1との通信を行うための通信装置203を有している。
メモリ201には、図示しない記憶装置に格納されているプログラムがロードされる。そして、ロードされたプログラムがCPU202によって実行されることによって処理部210、処理部210を構成する移動制御部211、分注制御部212、計測制御部213が具現化する。
【0024】
移動制御部211は、ステージ101の移動を制御する。
分注制御部212は、ノズル140に接続されているシリンジ(不図示)を制御することによって、発光試薬等の分注を行う。
計測制御部213は、発光計測部120による発光計測の制御を行う。
【0025】
[化学発光計測装置1の動作]
次に、
図6〜
図9を参照して化学発光計測装置1の動作について説明する。適宜、
図5を参照する。
ここで、化学発光計測装置1はマイクロプレートMのウェルWに検体301が分注されており、この検体301にノズル140から発光試薬が分注されることにより混合液302が生成される。検体301は、人手等により分注されてもよいし、ノズル140によって分注されてもよい。検体301がノズル140によって分注される場合、検体301の分注後、ノズル140の交換が行われる。ここで、検体301に発光試薬が分注されると、検体301と発光試薬との化学反応により、混合液302が発光する。発光計測部120は、発光量を計測することにより、目的とする物質の量を計測する。
【0026】
図6では、マイクロプレートMのウェルWbでは、検体301のみが分注されており、これからノズル140による発光試薬の分注が行われる。また、ウェルWaでは、検体301に対する発光試薬の分注が完了しており、混合液302の発光が発光計測部120によって行われるところである。
【0027】
まず、
図6に示すように、ノズル140がウェルWbの直上に、発光計測部120がウェルWaの直上となるよう、移動制御部211はステージ101を移動させる。このとき、すなわち、ノズル140及び発光計測部120がマイクロプレートMにセットされる前において、ノズル140の下端は、発光計測部120の下端より所定距離Tだけ上方に位置している。このようにすることで、ノズル140より先に発光計測部120がマイクロプレートMに接触する。ノズル140は固定されているため、ノズル140より先に発光計測部120がマイクロプレートMに接触することで、ノズル140の先端が破損するのを防ぐことができる。
【0028】
次に、
図6の白抜き矢印に示すように、移動制御部211はステージ101を下降させる。
すると、
図7に示すように、発光計測部120がマイクロプレートMのデッキDに接触する。この後、移動制御部211は、
図7の白抜き矢印に示すように、さらにステージ101を下降させる。
【0029】
その結果、
図8に示すように、支持棒113が挿通されているバネ114が収縮する。そして、移動制御部211は、ノズル140が発光試薬の分注に適している(適切な)高さになるまで、ステージ101を下降させる。ノズル140の位置が発光試薬の分注に適している高さであるか否かは、ノズル位置センサ160によって検知される。ちなみに、「分注に適している高さ」は、ユーザによって予め設定されている。
そして、分注制御部212は、ノズル140から発光試薬をウェルWbに分注させる。この結果、ウェルWbには混合液302が形成される。また、ノズル140による発光試薬の分注と同時に、ウェルWaにおける混合液302の発光が発光計測部120によって計測される。
【0030】
分注及び計測が終了すると、移動制御部211は、
図8の白抜き矢印に示すように、ステージ101を上方へ移動させる。これによって、収縮しているバネ114が回復しつつノズル140及び発光計測部120が上方へ移動する。
【0031】
ノズル140及び発光計測部120が、ウェルWへのセット前の位置まで上昇すると、
図9の白抜き矢印に示すように移動制御部211はステージ101を水平移動させる。
すなわち、ノズル140によって発光試薬が分注されたウェルWbの直上に発光計測部120が位置し、かつ、ウェルWbの隣のウェルWであり、次に発光試薬が分注されるウェルWcの直上にノズル140が位置するよう、移動制御部211はステージ101を水平移動させる。
また、マイクロプレートMは、図示しないマイクロプレート移動部によって
図9の塗りつぶし矢印の方(ステージ101の移動方向とは逆方向)へ水平移動する。マイクロプレートMの水平移動は、ステージ101の水平移動と同時に行われる。このようにすることで、ステージ101の移動時間を短縮することができ、スループットを向上させることができる。このように、マイクロプレートMは水平方向のみへ移動する。そして、ステージ101の水平移動とともに、マイクロプレートMはステージ101の水平移動方向とは逆方向に水平移動するが、煩雑になるのを防ぐため、以下の図面ではマイクロプレートMの移動方向についての記載を省略する。
【0032】
以降、
図6〜
図8で示す動作が繰り返されることでウェルWcに発光試薬が分注されると共に、
図8に示されるようにウェルWbの混合液302の発光が計測される。
なお、ノズル140と、発光計測部120との間隔は、マイクロプレートMにおけるウェルWの間隔となるよう、ノズル位置調整部130によって予め調整されている。
【0033】
[フローチャート]
図10は、第1実施形態における制御装置2が行う処理手順を示すフローチャートである。
まず、ユーザによって、検体301が分注されているマイクロプレートMの設置が行われ(S101)る。また、ユーザによって、発光試薬がノズル140に接続されているシリンダ(不図示)等に注入される(S102)。また、必要に応じて、ユーザによるノズル位置調整部130によるノズル140の水平位置調整が行われる。
【0034】
次に、移動制御部211は、最初に発光試薬が分注されるウェルWの直上にノズル140が位置するようステージ101を移動させる(S111)。
そして、移動制御部211は、ステージ101を分注に適正な位置まで下降させる(S112)。適正な位置であるか否かは、ノズル位置センサ160によって検知される。なお、適正な位置は、計測条件により異なる。このように、適正な位置であるか否かをノズル位置センサ160によって検知することにより、ユーザによる調整が不要となり、スループットを向上させることができる。
続いて、分注制御部212は、ノズル140から発光試薬を分注する(S113)。なお、ステップS113の段階では発光計測できるウェルWが存在しないため、発光計測は行われない。
分注が終了すると、移動制御部211はステージ101を移動させる(S121)。ここでは、移動制御部211が、ステージ101を上昇させた後、次に発光試薬を分注するウェルWの直上にノズル140が位置し、かつ、発光試薬が分注されたウェルWの直上に発光計測部120が位置するよう、ステージ101を水平移動させる。
【0035】
次に、移動制御部211は、ステージ101を下降させる(S122;
図6及び
図7)。
やがて、発光試薬の分注に適正な位置までノズル140が下降すると、分注制御部212はノズル140から発光試薬を分注するとともに、計測制御部213が、発光計測部120による発光計測を行う(S123;
図8)。なお、ここでは、ノズル140による発光試薬の分注と、発光計測部120による発光計測が同時に始まっているが、これに限らない。例えば、
図7のようにノズル140が分注に適した位置まで下降していないが、発光計測部120が発光測定対象のウェルWを密閉するとともに発光計測が開始されてもよい。要するに、発光計測部120による発光計測は、
図7や、
図8に示すように発光計測部120が発光測定対象のウェルWを密閉している間に行われればよい。
【0036】
分注及び発光計測が終了すると、移動制御部211は、ノズル140及び発光計測部120がウェルWへのセット前の位置に到達するまで、ステージ101を上昇させる(
図8参照)。
その後、分注制御部212は、すべてのウェルWについて分注が完了したか否かを判定する(S131)。
ステップS131の結果、すべてのウェルWについて分注が完了していない場合(S131→No)、処理部210はステップS121へ処理を戻す。
【0037】
ステップS131の結果、すべてのウェルWについて分注が完了している場合(S131→Yes)、移動制御部211は、最後に発光試薬が分注されたウェルWの直上に発光計測部120が位置するようステージ101を移動させる(S132)。
そして、移動制御部211はステージ101を下降させる(S133)。
ステージ101の下降が終了すると、計測制御部213は発光計測部120による発光計測を行う(S134)。ここで、ステージ101の下降終了は、ノズル位置センサ160によって検知されるノズル140の位置によって判定される。また、ステップS134では、分注されるウェルWが存在しないため、発光計測のみが行われる。
なお、ここでは、1列のウェルWに対して分注・発光計測が行われることを想定しているが、マイクロプレートMにおけるすべての列のウェルWに対してステップS111〜S134が繰り返される。
【0038】
そして、移動制御部211はステージ101を移動させる(S141)。ここで、移動制御部211は、ノズル140が図示しないノズル洗浄部に到達するよう、ステージ101を移動させる。
その後、図示しないノズル洗浄部によるノズル140の洗浄が行われる(S142)。
【0039】
[ノズル位置調整部130]
図11は、ノズル位置調整部130の拡大図である。
ノズル位置調整部130は、ステージ101に固設される第1支持部131及び第2支持部132を有する。第1支持部131及び第2支持部132は、送りねじ133及び棒状のガイド134によって接続されている。また、
図11に示すように第1ノズル支持部135に対して、送りねじ133及びガイド134が挿通されている。なお、ガイド134に対して、第1ノズル支持部135は固定されていない。すなわち、ガイド134に対して、第1ノズル支持部135は可動である。
【0040】
さらに、第1ノズル支持部135の先端には第2ノズル支持部136が固設されている。そして、第2ノズル支持部136に対してノズル140が挿通されることによって、ノズル140がノズル位置調整部130に設置される。
また、第1支持部131における第2支持部132とは逆側には、つまみ137が設けられている。つまみ137は、送りねじ133に接続されている。
【0041】
ユーザがつまみ137を回転させると、送りねじ133が回転する。送りねじ133の回転に伴い、第1ノズル支持部135が水平方向(Y軸方向)に可動する。第1ノズル支持部135の稼働に伴って、第2ノズル支持部136が可動することで、ノズル140が水平方向(Y軸方向)に可動する。つまり、ノズル位置調整部130は、手動によって動作する。
【0042】
なお、
図11に示すノズル位置調整部130の構成は一例であり、手動でノズル140の水平位置(Y軸方向位置)を調整可能であれば、どのような構成であってもよい。
また、ノズル位置調整部130をY軸方向に直動可能な直動アクチュエータとしてもよい。この場合、制御装置2の図示しない入力装置から入力された指令に基づいて、直動アクチュエータが可動することによって、ノズル140の水平方向位置が調整される。
【0043】
図12は、ノズル位置調整部130によるノズル140の位置調整を示す図である。
図12に示すように、ノズル位置調整部130によって、発光計測部120に対するノズル140の水平位置(
図1のY軸方向の位置)を変化させることができる。
【0044】
前記したように、マイクロプレートMにおけるウェルWのピッチは、規格や、メーカ等によって異なる。ノズル位置調整部130が設けられることにより、ノズル140の水平位置を調整することができるため、発光計測部120と、ノズル140との間隔をウェルWのピッチに合わせることができる。つまり、ウェルWのピッチの規格変更に対して容易に対応することができる。
【0045】
このように、ノズル位置調整部130が設けられることで、ノズル140と発光計測部120との位置関係を、容易にマイクロプレートMのウェルWの間隔にすることができる。このようにすることで、発光計測部120による測定を行いながら、次のウェルWの分注作業を、容易に行うことができる。その結果、スループットが向上する。
【0046】
第1実施形態によれば、
図1のように、発光計測部120と、ホルダ111(ステージ101)との間が上下方向に移動可能に設置されることにより、発光計測部120をマイクロプレートMの表面に押し付けることが可能となる。このようにすることで、隣接のウェルWにおける発光に由来するクロストークを軽減することができる。また、バネ114がクッションとなることで、マイクロプレートMとの接触事故による発光計測部120の破壊を防ぐことができる。
【0047】
[第2実施形態]
図13〜
図15は、第2実施形態におけるプレートマスク400及び発光計測部120aを示す図である。
図13は、第2実施形態における発光計測部120aを受光部122側からみた図である。
図14は、マイクロプレートMにプレートマスク400が装着され、さらに発光計測部120aがセットされた状態における断面図である。そして、
図15は、第2実施形態におけるプレートマスク400を下方から見た図である。
【0048】
図13及び
図14に示すように、発光計測部120aにおいて、受光部122が露出している部分である受光面122aの周囲に金属部123及びラバーゴム部(クッション部)124が設けられている。ここで、
図14に示すように金属部123及びラバーゴム部124は、発光計測部120a側から順に金属部123、ラバーゴム部124の順に設けられている。しかし、マイクロプレートMに接触する側がラバーゴム部124で構成されていれば、発光計測部120aと、ラバーゴム部124との間の構成は、どのような部材で構成されてもよい。例えば、金属部123が省略され、発光計測部120aにラバーゴム部124が直接設けられてもよい。
【0049】
このような構成とすることで、第1実施形態よりも発光計測部120aをマイクロプレートMに押し付けることができる。このようにすることで、マイクロプレートMと、発光計測部120aとの密着性を向上させることができ、隣のウェルWからの光によるクロストークを防止することができる。
【0050】
さらに、化学発光計測装置1には、
図15に示すようなプレートマスク400が備えられている。
図15に示すように、プレートマスク400は、板状の金属部402及びラバーゴム部(クッション部)403を有し、金属部402及びラバーゴム部403を貫通し、ノズル140が挿通されるための孔401が設けられている。また、プレートマスク400は、マイクロプレートMの上に載置されることによって使用されるが、
図14及び
図15に示すようにプレートマスク400は、マイクロプレートM側から順にラバーゴム部403、金属部402が設けられている。ここで、マイクロプレートMに接触する部分がラバーゴム部403で構成していればよい。また、金属部402において、ラバーゴム部403が設けられていない面は平坦となっている。なお、ラバーゴム部403における(マイクロプレートM側の)表面は、必ずしも平坦でなくてもよいが、平坦であることが望ましい。
【0051】
マイクロプレートMは規格やメーカによって微妙な凹凸の違いが存在する。そのため、マイクロプレートMによって、波形部の受光面をマイクロプレートMに押し付ける際に密着性がでにくいという課題がある。密着性が低下すると、発光計測対象の隣のウェルWからの光によるクロストークが生じてしまうという課題がある。
【0052】
このような課題に対し、第2実施形態では、マイクロプレートM側にラバーゴム部403を有するプレートマスク400をマイクロプレートMに載置する。このようにすることで、マイクロプレートM側のラバーゴム部403がマイクロプレートMの凹凸の違いを吸収する。さらに金属部402において、ラバーゴム部403が設けられていない面(発光計測部120側の面)は平坦となっている。このようなプレートマスク400をマイクロプレートMに載置することで、発光計測部120aが接する面を平坦にすることができる。さらに、柔らかいラバーゴム部403によって、発光計測部120aが押しつけられた際の密着性を向上させることができる。そして、密着性が向上することにより、発光計測対象の隣のウェルWからの光によるクロストークを防止することができる。
【0053】
さらに、受光部122の周辺にラバーゴム部124を設けた発光計測部120aを、プレートマスク400と共に使用することでクロストークを防ぐことができる。
【0054】
なお、プレートマスク400を使用せず、受光部122の周辺にラバーゴム部124を設けた発光計測部120aのみを使用しても、クロストークを防止することができる。
【0055】
<第3実施形態>
決まった量の発光試薬を連続、かつ、高速で分注する際において、ノズル140の先端からの液だれが課題となる。液だれが生じると、正確な液量の分注ができないという課題が生じる。また、液だれにより生じた試料や発光試薬がマイクロプレートMのデッキD(
図7参照)上等に残ると、発光計測部120が汚染されるという課題もある。このような課題を解決するため、第3実施形態では、以下に示すような液だれ防止方法を提案する。
【0056】
図16は、第3実施形態における液だれ防止方法の手順を示すフローチャートである。
図17A〜
図17Dは液だれ防止方法の手順を示す図である。
以下では、
図16を参照しつつ、適宜
図17A〜
図17Dを参照する。
まず、ウェルWへの分注前において、分注制御部212は、ノズル140から発光試薬303を射出させる(S201;
図17A参照)。
次に、発光試薬303の射出完了後、分注制御部212は、液量qだけノズル140から空気を吸引するようシリンダ(不図示)を制御する(S202)。これにより、
図17Bに示すようにノズル140先端から液量qだけ空気で満たされるようになる。このような状態となることにより、ノズル140の先端からの液だれを防止することができる。
【0057】
そして、移動制御部211によるステージ101の移動・下降(S211)が行われ、最初に発光試薬303が分注されるウェルWの直上にノズル140が位置する。この処理は、
図10のステップS111,S112や、ステップS121,S122の処理に相当する処理である。
次に、分注制御部212は、ウェルWへの発光試薬303の分注を行う(S212)。この処理は、
図10のステップS113や、ステップS123に相当する処理である。このとき、
図17Cに示すように、液量Qの発光試薬303をウェルWに分注したい場合、分注制御部212は、液量Q+qを分注するようシリンダ(不図示)を制御する。前記したように、ノズル140の先端から液量qだけ空気で満たされた状態となっているため、液量Q+qを分注するようシリンダを制御する。このようにすることにより、希望する液量Qの発光試薬303が分注される。
【0058】
分注が終了すると、分注制御部212は、液量qだけノズル140から空気を吸引するようシリンダ(不図示)を制御する(S213)。これにより、
図17Dに示すようにノズル140先端から液量qだけ空気で満たされるようになる。このような状態となることにより、ノズル140の先端からの液だれを防止することができる。
以降、分注が終了するまで、処理部210は、ステップS211〜S213の処理を繰り返す。
【0059】
第3実施形態では、予め液量q分の吸引しておき、分注の際には分注したい液量Q+余白分の液量qを分注する。分注後は液だれが起きないように、再び液量q分の空気が吸引される。このようにすることで、液だれを防止することができ、正確な液量の分注が可能となる。
【0060】
<第4実施形態>
次に、
図18A〜
図18Hを参照して、第4実施形態での発光試薬303の分注及び発光計測の手順を説明する。
(B1)まず、
図18Aに示すように、ウェルWaにノズル140による発光試薬303の分注が行われる。このとき、発光計測部120による発光計測は行われない。
(B2)次に、移動制御部211によるステージ101の移動が行われる。このとき、(B1)で分注が行われたウェルWaの隣のウェルWbをとばし、ウェルWcで分注が行われるようステージ101の移動が行われる。すなわち、
図18Bに示すように、ウェルWcにノズル140による発光試薬303の分注が行われ、同時に、(B1)で分注が行われたウェルWaにおける混合液302の発光計測が行われる。
【0061】
(B3)そして、移動制御部211によるステージ101の移動が行われる。このとき、(B2)で分注が行われたウェルWdの隣のウェルWdをとばし、ウェルWeで分注が行われるようステージ101の移動が行われる。すなわち、
図18Cに示すように、ウェルWeにノズル140による発光試薬303の分注が行われ、同時に、(B2)で分注が行われたウェルWcにおける混合液302の発光計測が行われる。
【0062】
(B4)そして、
図18Dに示すように、マイクロプレートMの終端側にあるウェルWiでノズル140による分注が行われ、ウェルWiより1つ前に分注が行われたウェルWgにおいて、発光計測部120による発光計測が行われる。
(B5)その後、(B4)で分注が行われたウェルWiにおける混合液302の発光計測が行われる。このとき、ノズル140による分注は行われない。
【0063】
(B6)次に、移動制御部211は、ノズル140及び発光計測部120をマイクロプレートMの始端側に戻す。このとき、
図18Eに示すように、マイクロプレートMの始端側に位置し、かつ、分注が行われていないウェルWbに分注が行われるようステージ101の移動が行われる。すなわち、
図18Eに示すように、ウェルWbにノズル140による発光試薬303の分注が行われる。このとき、発光計測部120による発光計測は行われない。
【0064】
(B7)次に、移動制御部211によるステージ101の移動が行われる。このとき、(B6)で分注が行われたウェルWbの隣のウェルWcをとばし、ウェルWdで分注が行われるようステージ101の移動が行われる。ちなみに、ウェルWcは、(B2)において発光試薬303を分注済みである。すなわち、
図18Fに示すように、ウェルWdにノズル140による発光試薬303の分注が行われ、同時に、(B6)で分注が行われたウェルWbにおける混合液302の発光計測が行われる。
【0065】
(B8)そして、移動制御部211によるステージ101の移動が行われる。このとき、(B7)で分注が行われたウェルWdの隣のウェルWeをとばし、ウェルWfで分注が行われるようステージ101の移動が行われる。ちなみに、ウェルWeは、(B3)において発光試薬303を分注済みである。すなわち、
図18Gに示すように、ウェルWfにノズル140による発光試薬303の分注が行われ、同時に、(B7)で分注が行われたウェルWdにおける混合液302の発光計測が行われる。
【0066】
(B9)そして、
図18Hに示すように、マイクロプレートMの終端側にあるウェルWjでノズル140による分注が行われ、ウェルjより1つ前に分注が行われたウェルWhにおいて、発光計測部120による発光計測が行われる。
(B10)その後、(B9)で分注が行われたウェルWiにおける混合液302の発光計測が行われる。このとき、ノズル140による分注は行われない。
【0067】
図18A〜
図18Hに示すように、第4実施形態では、1つおきに分注と発光計測とが行われる。このように、1つおきに分注と発光計測とが行われることで、発光計測において、分注が行われているウェルWからのクロストークを防ぐことができる。これにより、精度の高い発光計測を行うことが可能となる。
【0068】
なお、
図18A〜
図18Hでは、1つおきに分注と発光計測とが行われているが、これに限らない。2つおき、3つおき等、分注が行われるウェルWと、発光計測が行われるウェルWとの間に複数のウェルWが存在するように分注及び発光計測が行われればよい。
【0069】
<第5実施形態>
図19は、第5実施形態に係る化学発光計測装置1aの外観図である。また、
図20は、
図19のZ軸方向からみた化学発光計測装置1aの上面図であり、
図21は、
図19のY軸方向からみた化学発光計測装置1aの側面図である。
図19〜
図21において、
図1〜
図3と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
図19〜
図21に示す化学発光計測装置1aでは、
図1〜
図3に示す支持棒113が省略され、発光計測部120bの側面に第2凸部(摺動部)125が設けられている。さらに、ホルダ111において、第2凸部125に対応する位置に溝(摺動部)151が設けられている。そして、第2凸部125が溝151に沿って摺動することより、発光計測部120bにおける上下移動がガイドされる。このようにすることにより、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0070】
化学発光計測装置1にノズル140が複数備えられていてもよい。
また、化学発光計測装置1は、図示しないカバーなどで覆われている。このようにすることで、室内光によるクロストークを防ぐことができる。
【0071】
なお、第1実施形態でも、第2実施形態でもバネ114は省略可能である。
また、ノズル140及び発光計測部120が複数備えられていてもよい。この場合、ノズル140の数と、発光計測部120の数は同数であるのが望ましい。このようにすることにより、複数列のウェルWに対し、波光試薬の分注及び発光計測を同時に行うことができる。
【0072】
本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を有するものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0073】
また、前記した各構成、機能、各部210〜213等は、それらの一部またはすべてを、例えば集積回路で設計すること等によりハードウェアで実現してもよい。また、
図5に示すように、前記した各構成、機能等は、CPU202等のプロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、HD(Hard Disk)に格納すること以外に、メモリや、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、IC(Integrated Circuit)カードや、SD(Secure Digital)カード、DVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体に格納することができる。
また、各実施形態において、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしもすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんどすべての構成が相互に接続されていると考えてよい。