特開2020-11930(P2020-11930A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ナガセビューティケァの特許一覧

<>
  • 特開2020011930-小胞体ストレス改善剤 図000004
  • 特開2020011930-小胞体ストレス改善剤 図000005
  • 特開2020011930-小胞体ストレス改善剤 図000006
  • 特開2020011930-小胞体ストレス改善剤 図000007
  • 特開2020011930-小胞体ストレス改善剤 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-11930(P2020-11930A)
(43)【公開日】2020年1月23日
(54)【発明の名称】小胞体ストレス改善剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/49 20060101AFI20191220BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20191220BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20191220BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20191220BHJP
   A61P 19/00 20060101ALI20191220BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20191220BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20191220BHJP
   A61K 31/36 20060101ALI20191220BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20191220BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20191220BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20191220BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20191220BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20191220BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALI20191220BHJP
   A61Q 1/04 20060101ALI20191220BHJP
   A61Q 1/12 20060101ALI20191220BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20191220BHJP
   A61Q 1/08 20060101ALI20191220BHJP
   A61Q 1/10 20060101ALI20191220BHJP
   A61K 36/704 20060101ALI20191220BHJP
【FI】
   A61K8/49
   A61Q19/08
   A61P25/28
   A61P3/10
   A61P19/00
   A61P43/00 111
   A61P17/00
   A61K31/36
   A61Q19/10
   A61Q17/04
   A61Q11/00
   A61Q5/12
   A61Q5/02
   A61Q5/06
   A61Q1/04
   A61Q1/12
   A61Q1/02
   A61Q1/08
   A61Q1/10
   A61K36/704
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-136113(P2018-136113)
(22)【出願日】2018年7月19日
(71)【出願人】
【識別番号】517298378
【氏名又は名称】株式会社ナガセビューティケァ
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】下条 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】野渕 翠
(72)【発明者】
【氏名】位上 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 久富
【テーマコード(参考)】
4C083
4C086
4C088
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AA122
4C083AB032
4C083AC082
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC242
4C083AC302
4C083AC352
4C083AC422
4C083AC432
4C083AC442
4C083AC482
4C083AC712
4C083AC841
4C083AD092
4C083AD222
4C083CC03
4C083CC05
4C083CC07
4C083CC12
4C083CC13
4C083CC14
4C083CC17
4C083CC19
4C083CC22
4C083CC23
4C083CC25
4C083CC32
4C083CC33
4C083CC36
4C083CC37
4C083CC38
4C083CC39
4C083CC41
4C083DD08
4C083DD12
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD31
4C083EE12
4C083EE17
4C083EE18
4C083EE22
4C083EE26
4C083EE28
4C083EE31
4C083EE42
4C083FF01
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA13
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA17
4C086MA28
4C086MA34
4C086MA41
4C086MA43
4C086MA52
4C086MA63
4C086NA14
4C086ZA15
4C086ZA89
4C086ZA96
4C086ZC35
4C086ZC41
4C088AB43
4C088AC01
4C088AC03
4C088AC04
4C088AC05
4C088AC13
4C088BA09
4C088BA10
4C088BA14
4C088CA05
4C088CA06
4C088CA08
4C088MA17
4C088MA28
4C088MA34
4C088MA43
4C088MA52
4C088MA63
4C088NA14
4C088ZA15
4C088ZA89
4C088ZA96
4C088ZC35
4C088ZC41
(57)【要約】
【課題】小胞体ストレスを改善する作用を有する、新規な作用剤及びそれを含有する化粧料用組成物、ならびに該作用剤の製造方法を提供すること。
【解決手段】3,5,4’−トリヒドロキシ−6,7−メチレンジオキシ−フラボン及び/又はその配糖体を有効成分として含む小胞体ストレス改善剤あるいは細胞死抑制剤、藍エキス、好ましくは藍の水、アルコールもしくはその混合物の抽出物又はその処理物を有効成分として含む小胞体ストレス改善剤、細胞死抑制剤あるいはラミニン分泌改善剤、ならびに、これらの剤を含有する化粧料用組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3,5,4’−トリヒドロキシ−6,7−メチレンジオキシ−フラボン及び/又はその配糖体を有効成分として含む、小胞体ストレス改善剤。
【請求項2】
3,5,4’−トリヒドロキシ−6,7−メチレンジオキシ−フラボン及び/又はその配糖体を有効成分として含む、細胞死抑制剤。
【請求項3】
藍エキスを有効成分として含む、小胞体ストレス改善剤。
【請求項4】
藍エキスを有効成分として含む、細胞死抑制剤。
【請求項5】
藍エキスを有効成分として含む、ラミニン分泌改善剤。
【請求項6】
藍エキスが、藍草の水、アルコールもしくはその混合物の抽出物又はその処理物を含む、請求項3〜5のいずれかに記載の剤。
【請求項7】
アルコールがエタノールである、請求項6記載の剤。
【請求項8】
藍エキスが、3,5,4’−トリヒドロキシ−6,7−メチレンジオキシ−フラボンを0.00001〜10重量%含有する、請求項3〜7のいずれかに記載の剤。
【請求項9】
皮膚の老化の予防及び/又は改善のために用いられる、請求項1〜8のいずれかに記載の剤。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の剤を含有する化粧料用組成物。
【請求項11】
皮膚の老化の予防及び/又は改善のために用いられる、請求項10記載の組成物。
【請求項12】
3,5,4’−トリヒドロキシ−6,7−メチレンジオキシ−フラボンを0.00001〜5重量%含有する、請求項10又は11記載の組成物。
【請求項13】
藍の水抽出を経た不溶部に水とアルコールの混合物を加えて抽出を行う、請求項3〜8のいずれかに記載の藍エキスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラボノイド化合物及び藍エキスの新規用途に関する。より詳しくは、本発明は、3,5,4’−トリヒドロキシ−6,7−メチレンジオキシ−フラボン、その配糖体、及び藍エキスの新規用途、ならびに藍エキスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
藍は、我が国では藍染めの染料として従来用いられてきたが、近年、その葉や果実に有用な生理活性成分が含まれているとして注目されている。
【0003】
例えば、特許文献1及び2は、タデアイの葉から抽出して得られた特定のフラボノイド化合物に、抗炎症作用やHMG−CoA還元酵素阻害作用、抗酸化作用があることを報告している。また、生アイの酢酸エチル可溶成分に、抗菌作用、抗ウイルス作用、抗腫瘍作用、ラジカル捕捉作用、アポトーシス調整作用、サイトカイン産生の調整又は阻害作用、一酸化窒素合成酵素の発現抑制作用等の生理作用が見出されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017−149688号公報
【特許文献2】特許第5925870号公報
【特許文献3】特許第4817087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、藍エキスが小胞体ストレスを改善する作用を有することは知られていない。
【0006】
本発明は、小胞体ストレスを改善する作用を有する、新規な作用剤及びそれを含有する化粧料用組成物、ならびに該作用剤の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、藍エキスが、小胞体ストレスを改善する作用を有することを発見し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、下記〔1〕〜〔13〕に関する。
〔1〕 3,5,4’−トリヒドロキシ−6,7−メチレンジオキシ−フラボン及び/又はその配糖体を有効成分として含む、小胞体ストレス改善剤。
〔2〕 3,5,4’−トリヒドロキシ−6,7−メチレンジオキシ−フラボン及び/又はその配糖体を有効成分として含む、細胞死抑制剤。
〔3〕 藍エキスを有効成分として含む、小胞体ストレス改善剤。
〔4〕 藍エキスを有効成分として含む、細胞死抑制剤。
〔5〕 藍エキスを有効成分として含む、ラミニン分泌改善剤。
〔6〕 藍エキスが、藍草の水、アルコールもしくはその混合物の抽出物又はその処理物を含む、前記〔3〕〜〔5〕のいずれかに記載の剤。
〔7〕 アルコールがエタノールである、前記〔6〕記載の剤。
〔8〕 藍エキスが、3,5,4’−トリヒドロキシ−6,7−メチレンジオキシ−フラボンを0.00001〜10重量%含有する、前記〔3〕〜〔7〕のいずれかに記載の剤。
〔9〕 皮膚の老化の予防及び/又は改善のために用いられる、前記〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の剤。
〔10〕 前記〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の剤を含有する化粧料用組成物。
〔11〕 皮膚の老化の予防及び/又は改善のために用いられる、前記〔10〕記載の組成物。
〔12〕 3,5,4’−トリヒドロキシ−6,7−メチレンジオキシ−フラボンを0.00001〜5重量%含有する、前記〔10〕又は〔11〕記載の組成物。
〔13〕 藍の水抽出を経た不溶部に水とアルコールの混合物を加えて抽出を行う、前記〔3〕〜〔8〕のいずれかに記載の藍エキスの製造方法。
【0009】
また、本発明は、下記の態様も包含する。
〔14〕 前記〔1〕〜〔12〕のいずれかに記載の剤又は組成物を適用する工程を含む、皮膚の老化を予防及び/又は改善する方法。
〔15〕 皮膚の老化を予防及び/又は改善するための、前記〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の3,5,4’−トリヒドロキシ−6,7−メチレンジオキシ−フラボン、その配糖体及び/又は藍エキスの使用。
〔16〕 皮膚老化の予防剤及び/又は改善剤を製造するための、前記〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の3,5,4’−トリヒドロキシ−6,7−メチレンジオキシ−フラボン、その配糖体及び/又は藍エキスの使用。
【発明の効果】
【0010】
本発明の小胞体ストレス改善剤は、小胞体ストレスを改善する作用を有する。また、本発明の小胞体ストレス改善剤を用いることにより、ひいては、皮膚の老化を予防及び/又は改善する作用を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、藍エキス(藍50%エタノール抽出物)によるラミニン分泌の回復結果を示す図である。
図2図2は、藍エキス(藍95%メタノール抽出物)によるラミニン分泌の回復結果を示す図である。
図3図3は、藍エキス(藍50%エタノール抽出物)による細胞生存率の回復結果を示す図である。
図4図4は、藍エキス(藍95%メタノール抽出物)による細胞生存率の回復結果を示す図である。
図5図5は、3,5,4’−トリヒドロキシ−6,7−メチレンジオキシ−フラボンによる細胞生存率の回復結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の小胞体ストレス改善剤は、3,5,4’−トリヒドロキシ−6,7−メチレンジオキシ−フラボン及び/又はその配糖体を有効成分として含むことを特徴とする。なお、本明細書において、「小胞体ストレス改善剤」とは、小胞体にかかるストレスが改善される効果を奏するものであればよく、小胞体に直接又は間接的に作用してストレスが改善されるものや、小胞体ストレスに起因して生じるストレスが改善されるものも含む。ここで、「改善」されるとは、良くない状態から良い状態にすることを意味し、例えば、ストレスがかかることにより、低下した状態を向上させることや過剰な状態から低減させること、ストレスがかからないようにすることなどをも包含する。前記効果としては、具体的には、例えば、小胞体ストレス改善作用の他、細胞死抑制作用、ラミニン分泌改善作用、神経変性疾患改善作用、糖尿病改善作用、骨形成不全症改善作用などが挙げられる。よって、本発明の有効成分は、小胞体ストレス改善作用、細胞死抑制作用、ラミニン分泌改善作用等を有する。以降、これらの作用を有する剤をまとめて、本発明の剤と記載することもある。
【0013】
3,5,4’−トリヒドロキシ−6,7−メチレンジオキシ−フラボンは下記構造を有し、その配糖体は該構造におけるヒドロキシ基に公知の糖が結合するものである。
【0014】
【化1】
【0015】
配糖体における糖の数は特に限定されない。また、配糖体の糖が単糖である場合、その種類は特に限定されず、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、フコース、ラムノース、アラビノース、キシロース又はジギトキソース等が挙げられる。本発明における配糖体としては、例えば、3,5,4’−トリヒドロキシ−6,7−メチレンジオキシ−フラボン−3−O−β−D−グルコピラノシド、3,5,4’−トリヒドロキシ−6,7−メチレンジオキシ−フラボン−3−O−α−L−ラムノピラノシル−(1→2)−β−D−キシロピラノシド、3,5,4’−トリヒドロキシ−6,7−メチレンジオキシ−フラボン−3−O−β−D−キシロピラノシド、3,5,4’−トリヒドロキシ−6,7−メチレンジオキシ−フラボン−3−O−α−L−ラムノピラノシル−(1→2)−β−D−グルコピラノシド等が挙げられ、特に限定されない。
【0016】
3,5,4’−トリヒドロキシ−6,7−メチレンジオキシ−フラボン及び/又はその配糖体は、公知の方法に従って合成したものであっても、市販品であっても、あるいは、藍から抽出したもの(藍エキス)であってもよい。よって、本発明の剤としては、藍エキスを有効成分として含む態様も挙げられる。
【0017】
藍エキスの原料である藍としては、タデアイ、インドアイ、リュウキュウアイ、ウォード、タイセイ、ヤマアイなどを用いることができる。産地は特に限定されない。
【0018】
使用される部位については、例えば、根茎、葉、果実、種子、花、又は植物全体を使用することができ、これらの裁断物や破砕物、乾燥物等の加工品としても使用することができる。
【0019】
藍エキスは、前記した藍を公知の方法に従って溶媒により抽出することにより得ることができる。
【0020】
抽出溶媒としては、例えば、低級アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブチルアルコール等)、多価アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン等)、エーテル(ジオキサン、メチルエチルエーテル、ジエチルエーテル等)、ハロゲン化炭化水素(クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン等)、極性溶媒(ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等)のほか、酢酸エチル、トルエン、n−ヘキサン、石油エーテル等の各種有機溶媒、或いは水等を、それぞれ単独で又は2種以上組み合わせて用いることが出来る。2種以上組み合わせて用いる場合は、混合して抽出する態様だけでなく、順次抽出する態様、及びそれらを組み合わせた態様も含む。本発明においては、水、アルコール(低級アルコール、多価アルコール)、それらの混合物を好適に用いることができる。水とアルコールの混合比(水/アルコール)としては、例えば、60/40〜1/99(質量比)が例示される。
【0021】
抽出温度は、用いる溶媒や植物の部位・形態などによって一概には設定することができないが、抽出効率の観点から、下限としては4℃、上限としては150℃を挙げることができる。本発明においては、前記した温度範囲内であれば上限値や下限値を適宜設定することができ、例えば、10℃、15℃、20℃、30℃、40℃、60℃、80℃、100℃、120℃、140℃等を上限値あるいは下限値として設定することができる。抽出時間は、抽出に供する原料の使用量や装置に応じて適宜設定することができる。
【0022】
以下に、藍エキスの抽出方法の一例を挙げる。例えば、原料の藍に、アルコール又は水とアルコールの混合物を添加して室温で抽出する方法が挙げられる。水とアルコールの混合物による抽出の前に、原料の藍を一旦水で抽出して得られた残渣(不溶部)を用いてもよい。水とアルコールの混合物には、前記したアルコールを用いることができ、含水エタノール(50%エタノール)、含水メタノール(95%メタノール)などが例示される。
【0023】
なお、抽出により得られた抽出物に対しては、ろ過、遠心分離、濃縮、限外ろ過、凍結乾燥、粉末化、及び分画からなる群より選ばれる1種又は2種以上の処理を、公知の方法に従って行ってもよい。また、必要により、常圧下又は減圧下で前記処理を行うことができる。本発明において、藍エキスの一態様として前記処理物が含まれる。
【0024】
かくして得られた藍エキスには、例えば、3,5,4’−トリヒドロキシ−6,7−メチレンジオキシ−フラボン及び/又はその配糖体が含まれていてもよい。
【0025】
本発明の剤における、3,5,4’−トリヒドロキシ−6,7−メチレンジオキシ−フラボン及び/又はその配糖体の含有量は、本発明の効果が損なわれない範囲内であれば特に設定されず、例えば、10重量%以上、20重量%以上、30重量%以上、40重量%以上、50重量%以上、60重量%以上、70重量%以上、80重量%以上、90重量%以上、95重量%以上、98重量%以上、99重量%以上等が例示される。また、有効成分として藍エキスを含む場合は、藍エキスにおける3,5,4’−トリヒドロキシ−6,7−メチレンジオキシ−フラボン及び/又はその配糖体の含有量は、抽出条件によって一概には設定されず、例えば、下限値としては、0.00001重量%、0.0001重量%、0.001重量%、0.01重量%、0.1重量%などが例示され、上限値としては、10重量%、1重量%、0.1重量%などが例示される。範囲としては、例えば、0.00001〜10重量%が例示される。なお、本発明において含有量とは、例えば、対象物が液体である場合、液体をエバポレーター等で乾燥させた場合に得られる乾燥物全体の重量に占める、目的成分の重量を百分率で示した乾固物換算値のことであり、乾燥重量又は単に含有量と記載することもある。また、3,5,4’−トリヒドロキシ−6,7−メチレンジオキシ−フラボン及び/又はその配糖体の含有量とは、3,5,4’−トリヒドロキシ−6,7−メチレンジオキシ−フラボンに換算した量のことである。
【0026】
本発明の剤の形態としては、3,5,4’−トリヒドロキシ−6,7−メチレンジオキシ−フラボン及び/又はその配糖体、ならびに藍エキスを生体表面に塗布或いは体内に摂取することができる形態であれば特に限定はなく、そのまま製剤化したり、化粧品等の原材料に用いることが可能な形態に調製してもよい。
【0027】
藍エキスの形状としては、例えば、粉状、固形状、液状のいずれの形状であっても良い。得られた抽出物を公知の方法で造粒して得た粒状の固形物を、本発明の藍エキスとして使用することもできる。造粒方法としては、特に限定はないが、転動造粒、攪拌造粒、流動層造粒、気流造粒、押出し造粒、圧縮成型造粒、解砕造粒、噴射造粒又は噴霧造粒等が例示される。また、液状の藍エキスとしては、前記抽出物の製造方法により得られた液体そのもの、その濃縮物や希釈物の他、前記の粉状の藍エキスを液体、例えば水やアルコール等に溶解して液状としたものが例示される。
【0028】
また、本発明の剤としては、前記藍エキスに、公知の方法に従って得られた3,5,4’−トリヒドロキシ−6,7−メチレンジオキシ−フラボン及び/又はその配糖体を、更に組み合わせたものであってもよい。
【0029】
本発明の剤は、小胞体ストレスを改善する作用、細胞死を抑制する作用、及び/又はラミニン分泌低下を改善する作用を有することから、例えば、皮膚の老化を予防及び/又は改善するために用いることができる。本明細書において、皮膚の老化とは、シワ、たるみの形成やシミ、ソバカス、クスミ、肝斑等の皮膚への色素沈着などを意味する。
【0030】
本発明はまた、本発明の有効成分である、3,5,4’−トリヒドロキシ−6,7−メチレンジオキシ−フラボン、その配糖体、及び/又は藍エキスを含有する組成物を提供する。本発明の組成物は、前記有効成分を含有するため、小胞体ストレスを改善する作用、細胞死を抑制する作用、及び/又はラミニン分泌低下を改善する作用を奏することができる。本発明の組成物としては、前記有効成分を生体表面に塗布或いは体内に摂取することができる形態であれば特に限定はなく、例えば、医薬用組成物、飲食品用組成物、又は化粧料用組成物として好適に使用される。
【0031】
以下に、本発明の組成物の一態様として、化粧料用組成物について説明する。なお、本発明における化粧料用組成物としては、特に限定なく、薬用化粧品等の薬事法における定義では医薬部外品に分類されるものも含む。
【0032】
本発明の化粧料用組成物の形状は、特に限定されず、例えば、液体状、流動状、半固形状等が挙げられる。また、本発明の化粧料用組成物の形態は、特に限定されず、例えば、液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、リニメント剤、ローション剤、エアゾール剤、不織布に薬液を含浸させたシート剤等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤等であり、より好ましくは、液剤、乳剤、クリーム剤等である。
【0033】
本発明の化粧料用組成物の具体的な用途は、特に限定されないが、例えば、化粧水、化粧用乳液、化粧用オイル、ジェル、クリーム、美容液、日焼け止め用化粧料、パック、マスク、ハンドクリーム、ボディローション、ボディークリーム等の基礎化粧品;洗顔料、メイク落とし、ボディーシャンプー、シャンプー、リンス、トリートメント等の洗浄用化粧品;化粧下地、ファウンデーション、フェイスパウダー、水おしろい、おしろい、ドーラン、アイシャドーベース、アイシャドー、ノーズシャドー、リップペンシル、口紅、リップグロス、頬紅、各種カラー等のメイクアップ化粧料;シャンプー、ドライシャンプー、コンディショナー、リンス、リンスインシャンプー、トリートメント、ヘアトニック、整髪料、髪油、ポマード、ヘアカラーリング剤などのヘアケア用品;歯磨剤、リップクリーム、石鹸、ボディソープ等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、化粧水、化粧用乳液、化粧用オイル、ジェル、クリーム、美容液、日焼け止め用化粧料等であり、より好ましくは、化粧水、化粧用乳液、クリーム、美容液等である。
【0034】
本発明の化粧料用組成物が医薬部外品である場合の具体的な用途は、特に限定されないが、例えば、薬用化粧品、薬用石鹸、薬用歯磨剤、制汗剤、薬用クリーム、育毛剤、染毛剤、うがい薬、ドリンク剤、口中清涼剤、コンタクトレンズ装着薬、殺菌消毒薬、しもやけ用薬、消化薬、生薬含有保健薬、ビタミン含有保健薬、入浴剤等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、薬用化粧品、薬用クリーム、育毛剤等である。
【0035】
本発明の化粧料用組成物の製造方法は、本発明の剤を成分として使用する方法であれば特に限定されず、従来公知の方法を使用することができる。例えば、該剤を、常法により、化粧料用組成物の製造時にそのまま、あるいは乳化、可溶化、分散化して配合することにより製造することができる。
【0036】
本発明の化粧料用組成物に含まれる本発明の剤の配合量は、化粧料用組成物の種類や配合成分等により適宜選択でき、特に限定されないが、例えば、3,5,4’−トリヒドロキシ−6,7−メチレンジオキシ−フラボンの重量(換算重量)として、好ましくは約0.00001〜5重量%、より好ましくは約0.0002〜0.1重量%、さらに好ましくは約0.0005〜0.04重量%、さらに好ましくは約0.0005〜0.01重量%である。この配合量は、液剤、乳剤、クリーム剤等の形態又は基礎化粧品、洗浄用化粧品等の用途に限定されない。これらの範囲であれば、適量の使用によって十分な、小胞体ストレス改善効果、細胞死抑制効果、及び/又はラミニン分泌低下効果を得ることができる。
【0037】
本発明の化粧料用組成物は、本発明の効果を奏することになる限り、本発明の剤と共に、化粧品に一般的に使用され得る基剤又は担体、及び必要に応じて添加剤やその他の有効成分を配合することができる。これらの成分の配合量は、公知技術に従って、適宜設定することができる。
【0038】
前記基剤又は担体としては、特に限定されないが、例えば、パラフィン、流動パラフィン、スクワラン、白ロウ、ゲル化炭化水素(プラスチベース等)、オゾケライト、セレシン、ワセリン、ハードファット、マイクロクリスタリンワックス、α−オレフィンオリゴマー、軽質流動パラフィン等の炭化水素;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸等の脂肪酸;トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル(トリオクタノイン)、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル等のトリ脂肪酸グリセリド;セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール;メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン・メチル(ポリオキシプロピレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシプロピレン)シロキサン共重合体、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・メチルポリシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチルセチルオキシシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチルステアロキシシロキサン共重合体、アクリル酸アルキル共重合体メチルポリシロキサンエステル、架橋型メチルポリシロキサン、架橋型メチルフェニルポリシロキサン、架橋型ポリエーテル変性シリコーン、架橋型アルキルポリエーテル変性シリコーン、架橋型アルキル変性シリコーン、デカメチルシクロペンタシロキサン、エチルトリシロキサン、メチルトリメチコン、メチルシロキサン網状重合体、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、メチルハイドロジェンポリシロキサン、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン、ジメチルポリシロキサン等のシリコーン油;エチレングリコールモノアセタート、エチレングリコールジアセタート、トリエチレングリコールジアセタート、ヘキシレングリコールジアセタート、及び2−メチル−2−プロペン−1,1−ジオールジアセタート等のグリコールアセタート;トリエチレングリコールジバレラート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチラート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチラート等のグリコールエステル;エチレングリコールジアクリラート、ジエチレングリコールジアクリラート、プロピレングリコールモノアクリラート、2,2−ジメチル−トリメチレングリコールジアクリラート、及び1,3−ブチレングリコールジアクリラート等のグリコールアクリラート;エチレングリコールジニトラート、ジエチレングリコールジニトラート、トリエチレングリコールジニトラート、及びプロピレングリコールジニトラート等のグリコールジニトラート;2,2’−[1,4−フェニレンジオキシ]ジエタノール;エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリビニルピロリドン;カラギーナン;ポリビニルブチラート;ポリエチレングリコール;ジオキサン;ブチレングリコールアジピン酸ポリエステル;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスエリット等のエステル類;デキストリン、マルトデキストリン等の多糖類;エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等のグリコールエーテル;水等の水系基剤等が挙げられる。これらの基剤又は担体は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0039】
前記添加剤としては、特に限定されないが、例えば、酸化防止剤、界面活性剤、増粘剤、保存剤、pH調整剤、安定化剤、防腐剤、着色剤、及び香料等が挙げられる。これらの添加剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0040】
酸化防止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ソルビン酸、亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体(アスコルビン酸リン酸エステル等)、トコフェロール、トコフェロール誘導体、エリソルビン酸、L−システイン塩酸塩等が挙げられる。
【0041】
界面活性剤としては、例えば、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ペンタ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類;モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル類;グリセリンアルキルエーテル;アルキルグルコシド;ステアリルアミン、オレイルアミン等のアミン類;ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ラウリルPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン等のシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。
【0042】
増粘剤としては、例えば、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、キサンタンガム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、ポリエチレングリコール、ベントナイト、アルギン酸、マクロゴール、並びにセルロース系増粘剤(メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及びカルボキシエチルセルロース等)及びこれらの塩等が挙げられる。
【0043】
保存剤、防腐剤としては、例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ベンジル、パラオキシ安息香酸メチル、フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、クロロブタノール、ソルビン酸及びその塩、グルコン酸クロルヘキシジン、アルカンジオール、及びグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0044】
pH調整剤としては、例えば、無機酸(塩酸、硫酸等)、有機酸(乳酸、乳酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸ナトリウム等)、無機塩基(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等)、有機塩基(トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)等が挙げられる。
【0045】
安定化剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、エデト酸塩等が挙げられる。
【0046】
前記その他の有効成分としては、特に限定されないが、例えば、保湿成分、抗炎症成分、抗菌又は殺菌成分、ビタミン類、ペプチド又はその誘導体(エステル、アミド等)、細胞賦活化成分、老化防止成分、血行促進成分、角質軟化成分、美白成分、収斂成分等が挙げられる。これらの有効成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0047】
保湿成分としては、例えば、コラーゲン、エラスチン、ケラチン、キチン、キトサン等の高分子化合物;乳酸ナトリウム、尿素、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等の天然保湿因子;セラミド、コレステロール、リン脂質等の脂質;カミツレエキス、ハマメリスエキス、チャエキス、シソエキス等の植物抽出エキス等が挙げられる。
【0048】
抗炎症成分としては、例えば、植物(例えば、コンフリー)に由来する成分、アラントイン、グリチルリチン酸又はその誘導体、酸化亜鉛、塩酸ピリドキシン、酢酸トコフェロール、サリチル酸又はその誘導体、ε-アミノカプロン酸等が挙げられる。
【0049】
抗菌又は殺菌成分としては、例えば、エタノール、クロルヘキシジン、サリチル酸、塩化ベンザルコニウム、アクリノール、イオウ、レゾルシン、塩化ベンゼトニウム、アダパレン、過酸化ベンゾイル、クリンダマイシン、クレゾール、グルコン酸及びその誘導体、ポピドンヨード、ヨウ化カリウム、ヨウ素、イソプロピルメチルフェノール、トリクロカルバン、トリクロサン、感光素101号、感光素201号、パラベン、フェノキシエタノール、1,2−ペンタンジオール、塩酸アルキルジアミノグリシン、グルコン酸クロルヘキシジン、パラフェノールスルホン酸亜鉛等が挙げられる。
【0050】
ビタミン類としては、例えば、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール等のレチノール誘導体、レチナール、レチノイン酸、レチノイン酸メチル、レチノイン酸エチル、レチノイン酸レチノール、d−δ−トコフェリルレチノエート、α−トコフェリルレチノエート、β−トコフェリルレチノエート等のビタミンA類;dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロールカルシウム等のビタミンE類;リボフラビン、フラビンモノヌクレオチド、フラビンアデニンジヌクレオチド、リボフラビン酪酸エステル、リボフラビンテトラ酪酸エステル、リボフラビン5’−リン酸エステルナトリウム、リボフラビンテトラニコチン酸エステル等のビタミンB2類;ニコチン酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸メチル、ニコチン酸β−ブトキシエチル、ニコチン酸1−(4−メチルフェニル)エチル等のニコチン酸類;アスコルビゲン−A、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、アスコルビン酸パルミチン酸エステル、ジパルミチン酸L−アスコルビル等のビタミンC類;メチルヘスペリジン、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール等のビタミンD類;フィロキノン、ファルノキノン等のビタミンK類、γ−オリザノール、ジベンゾイルチアミン、ジベンゾイルチアミン塩酸塩;チアミン塩酸塩、チアミンセチル塩酸塩、チアミンチオシアン酸塩、チアミンラウリル塩酸塩、チアミン硝酸塩、チアミンモノリン酸塩、チアミンリジン塩、チアミントリリン酸塩、チアミンモノリン酸エステルリン酸塩、チアミンモノリン酸エステル、チアミンジリン酸エステル、チアミンジリン酸エステル塩酸塩、チアミントリリン酸エステル、チアミントリリン酸エステルモノリン酸塩等のビタミンB1類;塩酸ピリドキシン、酢酸ピリドキシン、塩酸ピリドキサール、5’−リン酸ピリドキサール、塩酸ピリドキサミン等のビタミンB6類;シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン、デオキシアデノシルコバラミン等のビタミンB12類;葉酸、プテロイルグルタミン酸等の葉酸類;ニコチン酸、ニコチン酸アミド等のニコチン酸類;パントテン酸、パントテン酸カルシウム、パントテニルアルコール(パンテノール)、D−パンテサイン、D−パンテチン、補酵素A、パントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類;ビオチン、ビオチシン等のビオチン類;アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、デヒドロアスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム等のアスコルビン酸誘導体であるビタミンC類;カルニチン、フェルラ酸、α−リポ酸、オロット酸等のビタミン様作用因子等が挙げられる。
【0051】
ペプチド又はその誘導体としては、例えば、ケラチン分解ペプチド、加水分解ケラチン、コラーゲン、魚由来コラーゲン、アテロコラーゲン、ゼラチン、エラスチン、エラスチン分解ペプチド、コラーゲン分解ペプチド、加水分解コラーゲン、塩化ヒドロキシプロピルアンモニウム加水分解コラーゲン、エラスチン分解ペプチド、コンキオリン分解ペプチド、加水分解コンキオリン、シルク蛋白分解ペプチド、加水分解シルク、ラウロイル加水分解シルクナトリウム、大豆蛋白分解ペプチド、加水分解大豆蛋白、小麦蛋白、小麦蛋白分解ペプチド、加水分解小麦蛋白、カゼイン分解ペプチド、アシル化ペプチド(パルミトイルオリゴペプチド、パルミトイルペンタペプチド、パルミトイルテトラペプチド等)等が挙げられる。
【0052】
細胞賦活化成分としては、例えば、レチノール、チアミン、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、パントテン酸類等のビタミン類;グリコール酸、乳酸等のα−ヒドロキシ酸類;タンニン、フラボノイド、サポニン、アラントイン、感光素301号等が挙げられる。
【0053】
老化防止成分としては、パンガミン酸、カイネチン、ウルソール酸、ウコンエキス、スフィンゴシン誘導体、ケイ素、ケイ酸、N−メチル−L−セリン、メバロノラクトン等が挙げられる。
【0054】
血行促進成分としては、例えば、植物(例えば、オタネニンジン、アシタバ、アルニカ、イチョウ、ウイキョウ、エンメイソウ、オランダカシ、カミツレ、ローマカミツレ、カロット、ゲンチアナ、ゴボウ、コメ、サンザシ、シイタケ、セイヨウサンザシ、セイヨウネズ、センキュウ、センブリ、タイム、チョウジ、チンピ、トウキ、トウニン、トウヒ、ニンジン、ニンニク、ブッチャーブルーム、ブドウ、ボタン、マロニエ、メリッサ、ユズ、ヨクイニン、ローズマリー、ローズヒップ、モモ、アンズ、クルミ、トウモロコシ)に由来する成分;グルコシルヘスペリジン等が挙げられる。
【0055】
美白成分、収斂成分
角質軟化成分としては、例えば、サリチル酸、グリコール酸、フルーツ酸、フィチン酸、イオウ等が挙げられる。
【0056】
収斂成分
美白成分としては、例えば、アスコルビン酸とその誘導体(リン酸エステル等)、アルブチン、トコフェロール等が挙げられる。
【0057】
収斂成分としては、例えば、パラフェノールスルホン酸亜鉛、酸化亜鉛、メントール、エタノール等が挙げられる。
【0058】
本発明の化粧料用組成物の使用方法は、特に限定されず、使用対象の皮膚の状態、年齢、性別等によって適宜選択することができるが、例えば、1日数回(例えば、1日1〜5回、好ましくは1日1〜3回)、適量(例えば、約0.005〜0.5g)を皮膚に適用(塗布、噴霧、貼付等)すれば良い。また、顔、首、手、足、指、胴、頭皮等のどのような皮膚にでも適用することができる。
【0059】
本発明の化粧料用組成物の適用量は、特に限定されず、化粧料用組成物の種類や成分等により適宜変更され得るが、本発明の剤による、小胞体ストレス改善効果、細胞死抑制効果、及び/又はラミニン分泌低下効果を効果的に得られる点で、3,5,4’−トリヒドロキシ−6,7−メチレンジオキシ−フラボンの重量(換算重量)にして、例えば、成人1日当たり、好ましくは約0.001〜10mg/cm(皮膚面積)であり、より好ましくは、約0.01〜1mg/cm(皮膚面積)である。
【0060】
本発明の化粧料用組成物は、小胞体ストレスを改善する作用、細胞死を抑制する作用、及び/又はラミニン分泌低下を改善する作用を有することから、例えば、皮膚の老化を予防及び/又は改善するために用いることができ、シワやたるみの形成を予防及び/又は改善したり、シミ、ソバカス、クスミ、肝斑等の皮膚への色素沈着を予防及び/又は改善することができる。
【実施例】
【0061】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例において、室温とは20〜25℃を意味する。
【0062】
〔3,5,4’−トリヒドロキシ−6,7−メチレンジオキシ−フラボンの定量〕
公知の高速液体クロマトグラフィー(HPLC法)に従って試料を分析し、ピーク面積より算出した。
【0063】
実施例1(藍50%エタノール抽出物)
藍乾燥葉(株式会社林原)20gに50%エタノール水溶液を200mL添加し、撹拌しながら一晩、室温で抽出した。抽出物を濾紙で濾過した後、濾液を採取し、エバポレーターでエタノールを除去した。少量の水を添加した後に凍結乾燥し、50%エタノール可溶成分を含む抽出物2.2gを得た(収率11%、3,5,4’−トリヒドロキシ−6,7−メチレンジオキシ−フラボン含有量0.4重量%)。
【0064】
実施例2(藍95%メタノール抽出物)
藍乾燥葉(株式会社林原)20gに95%メタノール水溶液を200mL添加し、撹拌しながら一晩、室温で抽出した。抽出物を濾紙で濾過した後、濾液を採取し、エバポレーターでメタノールを除去した。少量の水を添加した後に凍結乾燥し、95%メタノール可溶成分を含む抽出物3.2gを得た(収率16%、3,5,4’−トリヒドロキシ−6,7−メチレンジオキシ−フラボン含有量1.0重量%)。
【0065】
実施例3(3,5,4’−トリヒドロキシ−6,7−メチレンジオキシ−フラボン)
藍乾燥葉(株式会社林原)を粉砕したのち、メタノールを用いて室温で4時間抽出した。抽出物を濾紙で濾過したのち、濾液を採取し、不溶部に再びメタノールを加えて室温で2時間抽出した。同様に濾過を行い、濾液を合算し、エバポレーターでメタノールを留去した。ヘキサン、水を加えて分液を3回繰り返し、ヘキサン可溶部を採取し、エバポレーターを用いて溶媒留去した。酢酸エチル、水を加えて分液を3回繰り返し、酢酸エチル可溶部を採取した。酢酸エチル可溶部をシリカカラムに負荷し、酢酸エチル:メタノール:水=14:5:4を通液し、第6番目から第15番目の溶出液を採取し、溶媒留去した。さらに、本溶出液をシリカカラムに負荷し、ヘキサン:酢酸エチル=6:4を通液したのち、酢酸エチル:メタノール:水=14:5:4を通液した。第4番目から第6番目の画分を合算し、溶媒をエバポレーターで留去した。エタノールを加えて室温で放置し、得られた結晶を濾紙で濾過して採取した。
【0066】
実施例4(藍乾燥葉抽出エキス)
藍乾燥葉(株式会社林原)10gに50%エタノール水溶液を100mL添加し、撹拌しながら一時間室温で抽出後、濾紙で濾過して得られた濾液を藍乾燥葉抽出エキスとした。
【0067】
実施例5(藍水抽出乾燥葉抽出エキス)
藍乾燥葉(株式会社林原)の水抽出残渣を乾燥させた藍水抽出乾燥葉10gに、50%エタノール水溶液を100mL添加し、撹拌しながら一時間室温で抽出後、濾紙で濾過して得られた濾液を藍水抽出乾燥葉抽出エキスとした。
【0068】
試験例1
正常ヒト表皮角化細胞(東洋紡社製)(以下、NHEK)を、Epilife培地(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)にヒト角化細胞増殖因子(HKGS)を添加した増殖用培地にて37℃、5%CO下で培養し、試験に使用した。24ウェルプレートにNHEKを播種し、100%コンフルエントとなった時点で、小胞体ストレスを誘導する薬剤であるツニカマイシン10ng/mL(SIGMA社製)と同時に、藍50%エタノール抽出物(実施例1)又は藍95%メタノール抽出物(実施例2)を所定の濃度添加し、24時間後に培養上清を回収した。培養上清を遠心分離し、その上清を用いてヒトLaminin Elisa Kit(アブカム社製)によるLaminin量を測定した。また、培養上清を除いた後の細胞はPBSで2回洗浄し、RIPAバッファー0.15mLを添加して全細胞タンパクを抽出した。この全細胞タンパク質濃度をBCA法にて測定し、ELISAで測定したLaminin分泌量を全細胞タンパク量で除して標準化したものをラミニン分泌量(%)として表した。
【0069】
図1及び2より、ツニカマイシンのみを添加した群に比べて、藍50%エタノール抽出物又は藍95%メタノール抽出物を添加した群では、添加濃度に応じてラミニン分泌量が向上することが分かる。
【0070】
試験例2
NHEKを96ウェルプレートに播種し、100%コンフルエントに達した時点でツニカマイシン10ng/mL(SIGMA社製)と同時に、藍50%エタノール抽出物(実施例1)を所定の濃度添加し、72時間後にWST-8アッセイ(同仁化学研究所社製)にて細胞生存率を評価した。同様に、ツニカマイシン10ng/mLと同時に藍95%メタノール抽出物(実施例2)を所定の濃度添加し、24時間後にWST-8アッセイ(同仁化学研究所社製)にて細胞生存率を評価した。結果は無処理群の細胞生存率を100%として表した。
【0071】
図3及び4より、ツニカマイシンのみを添加した群に比べて、藍50%エタノール抽出物又は藍95%メタノール抽出物を添加した群では、細胞生存率が向上することが分かる。
【0072】
上記より、藍エキスには、ラミニン分泌改善作用や細胞死抑制作用があり、小胞体ストレス改善に有効であることが示唆される。
【0073】
試験例3
NHEKを96ウェルプレートに播種し、100%コンフルエントに達した時点でツニカマイシン10ng/mL(SIGMA社製)と同時に、3,5,4’−トリヒドロキシ−6,7−メチレンジオキシ−フラボン(実施例3)を所定の濃度添加し、72時間後にWST-8アッセイ(同仁化学研究所社製)にて細胞生存率を評価した。結果は無処理群の細胞生存率を100%として表した。
【0074】
図5より、ツニカマイシンのみを添加した群に比べて、3,5,4’−トリヒドロキシ−6,7−メチレンジオキシ−フラボンを添加した群では、添加濃度に応じて細胞生存率が向上することが分かる。
【0075】
上記より、藍の一成分である、3,5,4’−トリヒドロキシ−6,7−メチレンジオキシ−フラボンに、小胞体ストレス改善作用が有ることが示唆される。
【0076】
試験例4
実施例4又は実施例5のエキスを50%エタノール水溶液にて10倍希釈し、高速液体クロマトグラフィーにより3,5,4’−トリヒドロキシ−6,7−メチレンジオキシ−フラボン量(μg/mL)を定量して、比較した。
【0077】
【表1】
【0078】
表1より、藍乾燥葉抽出エキスと比べて、藍水抽出乾燥葉抽出エキスの3,5,4’−トリヒドロキシ−6,7−メチレンジオキシ−フラボン含量が高いことがわかる。
【0079】
以下、本発明の剤を配合した化粧料用組成物の具体的処方を例示する。
【0080】
処方例1:化粧水
下記組成の化粧水を、以下の調製法に従って製造する。
合計が100重量%となるように以下の成分を処方する。全ての成分を室温にて混合及び撹拌して均一な溶液とし、pHを5.5に調整して、化粧水を得る。
成分 重量%
濃グリセリン 4.0
ソルビット 4.0
クエン酸ナトリウム 0.3
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.5
藍エキス(実施例1、2) 0.2
エタノール 15.0
香料 0.005
クエン酸 適量
精製水 残部
【0081】
処方例2:洗顔クリーム
下記組成の洗顔クリームを、以下の調製法に従って製造する。
成分A、成分B及び成分Cの合計が100重量%となるように、各成分A〜Cを以下の割合で処方する。まず、成分Aの混合物を加熱溶解して80℃に保持する。次いで、別途80℃で加熱溶解した成分Bの混合物を成分Aの混合物に添加して充分撹拌する。その後、撹拌しながら冷却を行い、50℃にて成分Cの混合物を加え、洗顔クリームを得る。
「成分A」
成分 重量%
ミリスチン酸 14.0
ステアリン酸 12.0
ラウリン酸 3.5
オレイルアルコール 1.5
ヤシ油脂脂肪酸アミドプロピルベタイン 10.5
「成分B」
成分 重量%
濃グリセリン 18.0
水酸化カリウム 7.0
パラオキシ安息香酸エステル 適量
精製水 残部
「成分C」
成分 重量%
藍エキス(実施例1、2) 0.5
香料 適量
【0082】
処方例3:乳液
下記組成の乳液を、以下の調製法に従って製造する。
成分D、成分E及び成分Fの合計が100重量%となるように、各成分D〜Fを以下の割合で処方する。まず、成分Dの混合物を加熱溶解して80℃に保持する。次いで、別途80℃で加熱溶解した成分Eの混合物を成分Dの混合物に添加して充分撹拌する。その後、撹拌しながら冷却を行い、50℃にて成分Fの混合物を加え、乳液を得る。
「成分D」
成分 重量%
ショ糖脂肪酸エステル 1.0
カルボキシビニルポリマー 0.06
水酸化カリウム 0.028
パラオキシ安息香酸エステル 適量
精製水 残部
「成分E」
成分 重量%
オリーブ油 4.0
ホホバ油 4.0
乳酸ミリスチル 2.0
自己乳化型モノステアリン酸グリセリン 1.5
親油型モノステアリン酸グリセリン 1.5
「成分F」
成分 重量%
藍エキス(実施例1、2) 0.5
香料 0.2
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明の剤、化粧料用組成物は、小胞体ストレス改善作用、細胞死抑制作用、及び/又はラミニン分泌低下改善作用を有するため、例えば、皮膚のシワ、しみ、たるみ等の皮膚の老化の予防、改善に好適に用いることができる。
図1
図2
図3
図4
図5