特開2020-120636(P2020-120636A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2020-120636食品容器用アルコール含有静菌剤、容器入り食品の保存方法、及び容器入り食品の保存用システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-120636(P2020-120636A)
(43)【公開日】2020年8月13日
(54)【発明の名称】食品容器用アルコール含有静菌剤、容器入り食品の保存方法、及び容器入り食品の保存用システム
(51)【国際特許分類】
   A23L 3/349 20060101AFI20200717BHJP
   A01N 31/02 20060101ALI20200717BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20200717BHJP
   B65D 81/28 20060101ALI20200717BHJP
【FI】
   A23L3/349 501
   A01N31/02
   A01P3/00
   B65D81/28 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-15882(P2019-15882)
(22)【出願日】2019年1月31日
(71)【出願人】
【識別番号】000112912
【氏名又は名称】フロイント産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】武田 和久
(72)【発明者】
【氏名】菖蒲 智之
(72)【発明者】
【氏名】武内 利枝
(72)【発明者】
【氏名】小島 ゆかり
(72)【発明者】
【氏名】深澤 斗希也
【テーマコード(参考)】
3E067
4B021
4H011
【Fターム(参考)】
3E067AB01
3E067AB81
3E067BB01A
3E067BB11A
3E067BB13A
3E067BB14A
3E067EA32
3E067EB27
3E067EE21
3E067FA01
3E067FC01
3E067GC05
3E067GD01
4B021LA07
4B021MC01
4B021MK18
4B021MK28
4B021MP05
4H011AA01
4H011BC03
4H011CC01
4H011DA13
4H011DB01
(57)【要約】
【課題】食味に悪影響を及ぼさずに優れた静菌効果が得られる食品容器用アルコール含有静菌剤、前記食品容器用アルコール含有静菌剤を用いる容器入り食品の保存方法、容器入り食品の保存用システムを提供する。
【解決手段】蓋部と、食品を収容する食品収容部と、を備えた食品容器に用いられるアルコール含有静菌剤、前記アルコール含有静菌剤を用いる容器入り食品の保存方法、蓋部、及び食品を収容する食品収容部を備えた食品容器と、前記アルコール含有静菌剤と、を備えた容器入り食品の保存用システムである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋部と、食品を収容する食品収容部と、を備えた食品容器に用いられるアルコール含有静菌剤であって、
前記アルコール含有静菌剤が、前記食品容器内に食品との接触を防ぐように配置されることを特徴とするアルコール含有静菌剤。
【請求項2】
前記アルコール含有静菌剤が、前記蓋部の内側、前記食品収容部の底部、前記食品収容部と前記蓋部との嵌合部、及び前記食品収容部の仕切り部からなる群から選択される少なくとも1つに配置される請求項1に記載のアルコール含有静菌剤。
【請求項3】
ゲル又は液体である請求項1から2のいずれかに記載のアルコール含有静菌剤。
【請求項4】
弁当用、ケータリング食品用、又は惣菜用である請求項1から3のいずれかに記載のアルコール含有静菌剤。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載のアルコール含有静菌剤を用いることを特徴とする容器入り食品の保存方法。
【請求項6】
蓋部、及び食品を収容する食品収容部を備えた食品容器と、前記食品容器内に食品との接触を防ぐように配置される請求項1から4のいずれかに記載のアルコール含有静菌剤と、を備えたことを特徴とする容器入り食品の保存用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁当や惣菜等の食品容器の空間内に微生物の増殖を阻害するレベルのアルコールガスを存在させることができる食品容器用アルコール含有静菌剤、前記食品容器用アルコール含有静菌剤を用いる容器入り食品の保存方法、容器入り食品の保存用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
弁当や惣菜等用食品容器に入れられる食品は、缶詰等に入れられる食品と違い包装後に殺菌出来ないことから、賞味期限が短いものであった。このため、他の食品に比べて腐敗のリスクが高く、また賞味期限切れによる廃棄率の高さも問題になっている。
【0003】
このような食品の保存期間を延長する方法としては、食品添加物を調理時に加えること、製造から販売店舗までをコールドチェーンでつなぐことが一般的である。
しかし、食品添加物の無添加が望まれる風潮があり、また、コールドチェーンの整備は膨大な費用がかかることに加え、消費者が購入した後の保存状態を予測できないリスクがあり、新たな技術の開発が望まれている。
【0004】
これまでに、弁当では、ワサビ中に含まれる抗菌物質であるアリルイソチオシアネートを用いた技術として、バランやシートにアリルイソチオシアネートを含有させて弁当中の細菌増殖を抑制する技術、爪楊枝などの部材にアリルイソチオシアネートを浸透させ、食品容器内でアリルイソチオシアネートを自然気化させ、その充満した気化アリルイソチオシアネートの殺菌力により、各種菌類を殺菌する技術(例えば、特許文献1参照)、弁当中に用いる漬物にアリルイソチオシアネートを含浸させ細菌増殖を抑制する技術(例えば、特許文献2参照)などが提案されている。
アリルイソチオシアネートは食品から抽出された成分のため、イメージは良いものの、食味に問題がない濃度での微生物の抑制効果ははっきりと示されておらず、また、近年の賞味期限延長の要望に十分に対応できるものとはいえないという問題がある。
【0005】
なお、冷蔵庫、食器棚、食品収納庫、靴箱、ロッカーなどの空間の殺菌を図るものとして、N−メトキシメチル化6−ナイロンの含水エタノール溶液をゲル化させてなる揮発殺菌性ゲルを用いる技術が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
しかしながら、前記提案の技術は、容器入り食品の保存に関するものではなく、また、容器入り食品の製造過程で配置されるような静菌剤とは使用目的が全く異なり、N−メトキシメチル化6−ナイロンは食品添加物として認められていない物質である。
【0006】
また、食品容器に関しては、内容物から発生した水分、油分、果汁等を内容物から分離したり、蒸器としたりするために、容器の底を二重底とする技術が提案されている(例えば、特許文献4及び5参照)。
しかしながら、前記提案は、容器入り食品の保存のためのものではない。
【0007】
したがって、食味に悪影響を及ぼさずに優れた静菌効果が得られる食品容器用静菌剤は未だ提供されておらず、その速やかな提供が強く求められているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−146775号公報
【特許文献2】特開2002−27910号公報
【特許文献3】特開平4−218162号公報
【特許文献4】特開2000−238848号公報
【特許文献5】特開2012−121581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、食味に悪影響を及ぼさずに優れた静菌効果が得られる食品容器用アルコール含有静菌剤、前記食品容器用アルコール含有静菌剤を用いる容器入り食品の保存方法、容器入り食品の保存用システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、蓋部と、食品を収容する食品収容部と、を備えた食品容器において、アルコール含有静菌剤を前記容器内に食品との接触を防ぐように配置することで、食味に悪影響を及ぼさずに優れた静菌効果が得られ、容器入り食品の保存期間延長が可能であることを知見した。
【0011】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 蓋部と、食品を収容する食品収容部と、を備えた食品容器に用いられるアルコール含有静菌剤であって、
前記アルコール含有静菌剤が、前記食品容器内に食品との接触を防ぐように配置されることを特徴とするアルコール含有静菌剤である。
<2> 前記アルコール含有静菌剤が、前記蓋部の内側、前記食品収容部の底部、前記食品収容部と前記蓋部との嵌合部、及び前記食品収容部の仕切り部からなる群から選択される少なくとも1つに配置される前記<1>に記載のアルコール含有静菌剤である。
<3> ゲル又は液体である前記<1>から<2>のいずれかに記載のアルコール含有静菌剤である。
<4> 弁当用、ケータリング食品用、又は惣菜用である前記<1>から<3>のいずれかに記載のアルコール含有静菌剤である。
<5> 前記<1>から<4>のいずれかに記載のアルコール含有静菌剤を用いることを特徴とする容器入り食品の保存方法である。
<6> 蓋部、及び食品を収容する食品収容部を備えた食品容器と、前記食品容器内に食品との接触を防ぐように配置される前記<1>から<4>のいずれかに記載のアルコール含有静菌剤と、を備えたことを特徴とする容器入り食品の保存用システムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、食味に悪影響を及ぼさずに優れた静菌効果が得られる食品容器用アルコール含有静菌剤、前記食品容器用アルコール含有静菌剤を用いる容器入り食品の保存方法、容器入り食品の保存用システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、食品容器中のアルコール含有静菌剤の配置の一例を説明するための図であって、食品容器を垂直方向に切断した場合の断面の模式図である。
図2図2は、食品容器中のアルコール含有静菌剤の配置の他の一例を説明するための図であって、食品容器を垂直方向に切断した場合の断面の模式図である。
図3図3は、食品容器中のアルコール含有静菌剤の配置の他の一例を説明するための図であって、食品容器を垂直方向に切断した場合の断面の模式図である。
図4図4は、食品容器中のアルコール含有静菌剤の配置の他の一例を説明するための図であって、食品容器を垂直方向に切断した場合の断面の模式図である。
図5図5は、食品容器中のアルコール含有静菌剤の配置の他の一例を説明するための図であって、食品容器を垂直方向に切断した場合の断面の模式図である。
図6図6は、食品容器中のアルコール含有静菌剤の配置の他の一例を説明するための図であって、食品収容部を垂直方向に切断した場合の断面の模式図である。
図7A図7Aは、食品容器中のアルコール含有静菌剤の配置の他の一例を説明するための図であって、食品容器を垂直方向に切断した場合の断面の模式図である。
図7B図7Bは、図7Aにおける符号Aで囲んだ部分を拡大した模式図である。
図8図8は、食品容器中のアルコール含有静菌剤の配置の他の一例を説明するための模式図であって、食品収容部における仕切り部を垂直方向に切断した場合の断面の模式図である。
図9図9は、試験例1で使用した弁当容器を垂直方向に切断した場合の断面の模式図である。
図10A図10Aは、試験例1−1で使用した弁当容器の上面図である。
図10B図10Bは、試験例1−1で使用した弁当容器を垂直方向に切断した場合の断面の図であって、アルコール含有静菌剤の配置を説明する模式図である。
図11A図11Aは、試験例1−2で使用した弁当容器の上面図である。
図11B図11Bは、試験例1−2で使用した弁当容器を垂直方向に切断した場合の断面の図であって、アルコール含有静菌剤の配置を説明する模式図である。
図12A図12Aは、試験例1−3で使用した弁当容器の上面図である。
図12B図12Bは、試験例1−3で使用した弁当容器を垂直方向に切断した場合の断面の図であって、アルコール含有静菌剤の配置を説明する模式図である。
図13図13は、試験例1で測定した経時的なエタノールガス濃度(Vol.%)の変化を示すグラフである。
図14A図14Aは、試験例3において、黄色ブドウ球菌を炊飯米に接種し、25℃で24時間静置した後の一般生菌数を測定した結果を示す図である。
図14B図14Bは、試験例3において、大腸菌を炊飯米に接種し、25℃で24時間静置した後の一般生菌数を測定した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(食品容器用アルコール含有静菌剤)
本発明の食品容器用アルコール含有静菌剤は、蓋部と、食品を収容する食品収容部と、を備えた食品容器に用いられるアルコール含有静菌剤である。
【0015】
<アルコール含有静菌剤>
前記アルコール含有静菌剤は、アルコールを少なくとも含み、更に必要に応じて、ゲル化剤、アルコール以外の静菌効果を示す揮発性物質等のその他の成分を含む。
なお、本発明において、静菌効果とは、微生物の発育や増殖を抑制することをいう。
【0016】
−形態−
前記アルコール含有静菌剤の形態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ゲル、液体などが挙げられる。
【0017】
−アルコール−
前記アルコールとしては、食品の分野で使用されるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エタノールなどが挙げられる。前記アルコールは、含水アルコールであってもよい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記含水アルコールにおけるアルコールの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、5体積%〜99.9体積%が挙げられる。
前記アルコールは、市販品を使用することができる。
また、前記含水アルコールは、さらに水を加えて使用してもよいし、水とアルコールを別々に使用してもよい。
【0018】
前記アルコール含有静菌剤におけるアルコールの含有量としては、特に制限はなく、例えば、ゲル化剤の種類などに応じて適宜選択することができる。例えば、他の揮発性物質を使用せずアルコールのみとした場合は5体積%〜99.9体積%、好ましくは20体積%〜90.0体積%が挙げられる。アルコール以外の揮発性物質を併用した場合は1体積%〜99.9体積%、好ましくは1体積%〜90.0体積%が挙げられる。
【0019】
−その他の成分−
前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ゲル化剤、アルコール以外の静菌効果を示す揮発性物質などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記その他の成分は、市販品を使用することができる。
前記アルコール含有静菌剤におけるその他の成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0020】
−ゲル化剤−
前記ゲル化剤としては、食品の分野で使用されるものであれば、特に制限はなく、公知のゲル化剤を目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウェランガム、キサンタンガム、タマリンドシードガム等の増粘多糖類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ゲル化剤は、市販品を使用することができる。
前記アルコール含有静菌剤におけるゲル化剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1質量%〜5質量%が好ましい。前記好ましい範囲内であると、アルコール含有静菌剤を食品容器に付着させたときにその形状を維持しやすい粘性を持たせ易い点で、有利である。
【0021】
−−アルコール以外の静菌効果を示す揮発性物質−−
前記アルコール以外の静菌効果を示す揮発性物質としては、食品の分野で使用されるもの、もしくはその抽出物等の加工品であれば、特に制限はなく、公知の物質を目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アリルイソチオシアネート、香辛料抽出物、酢酸などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、これらの含有量は前記アルコール含有量を上回ってもよい。
前記アルコール以外の静菌効果を示す揮発性物質は、市販品を使用することができる。
前記アルコール含有静菌剤におけるアルコール以外の静菌効果を示す揮発性物質の含有量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0022】
前記アルコール含有静菌剤に用いる原料としては、万が一の誤食に対応することができる点で、可食性の原料とすることが好ましい。
【0023】
前記アルコール含有静菌剤がゲルの場合の粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,000mPa・s〜50,000mPa・sが挙げられる。前記粘度が前記範囲内であると、アルコール含有静菌剤を食品容器に付着させ易い点で、有利である。
前記粘度は、例えば、B型粘度計(東京計器株式会社製、BM)を用いて測定することができる。
【0024】
前記アルコール含有静菌剤の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水に、必要に応じてゲル化剤を溶解させた後、エタノールを添加する方法などが挙げられる。
【0025】
前記アルコール含有静菌剤は、食品容器への投入器具を備えたあるいは接続できる保管用容器に入れられたものであることが好ましい。
前記保管用容器は、アルコールが揮散しないような密封系のアルコール含有静菌剤保持部を有していることが好ましく、ハンドソープディスペンサーのように1回の適用で規定量押し出すことができる定量吐出手段、また食品容器容量、もしくは食品容量に合わせ、アルコール含有静菌剤の適用量を調整できる冶具が備えられていてもよい。
【0026】
例えば、弁当や惣菜等の容器入り食品の製造工場では、大量の食品がベルトコンベアなどで次々と運ばれ、流れ作業で製造される。前記保管用容器に入れられたアルコール含有静菌剤とすることで、用時調製が可能となり、使用されるまでアルコールの揮発を防ぎ、静菌効果に必要なアルコール量を維持することができ、また、作業者の負担も軽減することができる点で、有利である。
【0027】
<食品容器>
前記食品容器は、蓋部と、食品を収容する食品収容部と、を備え、必要に応じて更に中皿、シート、フィルム等のその他の構成を含む。
【0028】
−蓋部−
前記蓋部は、前記食品収容部を覆い、容器をふさぐ部材である。
前記蓋部の態様としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0029】
−食品収容部−
前記食品収容部は、食品を収容する部材である。
前記食品収容部の態様としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1つ又は2つ以上の複数の底を備える食品収容部、食品トレイや中皿等の食品配置部と食品配置部を収容する本体部とを備える食品収容部、食品を区分けして収容できる仕切り部を備える食品収容部などが挙げられる。
前記食品収容部若しくは食品配置部は、直接食品を配置してもよいし、他の部材を介して食品を配置してもよい。
【0030】
−その他の構成−
前記その他の構成としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シート、フィルム、食品収容部若しくは食品配置部に配置するカップや小型トレイ等の中皿などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0031】
前記容器の各部材の形状、構造、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記容器の各部材の材質としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プラスティック、金属、木、紙(パルプ)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0032】
前記容器の気密性のレベルとしては、必ずしも高い気密性を要求されないが、前記容器内において静菌効果を示すレベルのアルコールの濃度、ならびに前記アルコール以外の静菌効果を示す揮発性物質が含まれる場合はその物質濃度が、期待される時間維持できるレベルが好ましい。
【0033】
<配置>
前記アルコール含有静菌剤は、前記容器内に食品との接触を防ぐように配置され、好ましくは食品と接触しない位置に配置されるが、可食性の原料を用いることで万が一アルコール含有静菌剤と食品が接触したり、誤食したりしても問題ない。
前記アルコール含有静菌剤を配置する位置としては、アルコール、ならびに前記アルコール以外の静菌効果を示す揮発性物質が含まれる場合はその物質を容器内に存在させ、食品における微生物の増殖を抑制することができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記蓋部の内側、前記食品収容部の底部、前記食品収容部と前記蓋部との嵌合部、及び前記食品収容部の仕切り部からなる群から選択される少なくとも1つなどが挙げられる。
【0034】
前記アルコール含有静菌剤の配置においては、食品と、アルコール含有静菌剤と、の間に不織布、シート、フィルム等を設置したり、食品を中皿に配置したりしてもよい。前記中皿、シート、又はフィルムは、揮散口を設けたり、ガス透過性の高い素材を用い、通気性を持たせたりすることにより、揮発性物質を容器内に充満させ、内容食品の微生物増殖を阻害するようにすることもできる。
【0035】
以下、前記アルコール含有静菌剤の配置例を説明する。
図1は、蓋部の内側にアルコール含有静菌剤を配置した一例であって、蓋部(符号1)の内面(食品収容部(符号2)側)にアルコール含有静菌剤(符号5)を配置させた例であり、アルコール含有静菌剤(符号5)が粘度の高いゲルの場合はこの状態で食品と接触を防ぐことができる。これに加え、アルコール含有静菌剤(符号5)の表面をシート(符号7)で覆うことで、食品との接触の機会を減らすよう配置することもできる。なお、前記アルコール含有静菌剤は、蓋部全体に配置してもよいし、一部に配置してもよい。
前記シートには、アルコール等揮発性静菌物質の透過量が高いものを用いることで、塗布面全体からアルコール等揮発性静菌物質をより蒸散させ易くすることができる。
【0036】
図11Bは、食品収容部の底部にアルコール含有静菌剤を配置した一例であって、蓋部(符号1)と、食品配置部(符号3)及び本体部(符号2)からなる二重底の態様の食品収容部と、からなる食品容器において、食品配置部(符号3)の底部と本体部(符号2)の底部との間(二重底の間)にアルコール含有静菌剤(符号5)を配置することで、食品との接触を防ぐように配置した例である。この例では、食品配置部における仕切り部(符号4)に孔を設けることで、この孔からアルコール等揮発性静菌物質を蒸散させることができる。
前記仕切り部における孔の形状、構造、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記孔は、前記仕切り部全体に均一に設けてもよいし、特定の箇所に設けてもよい。
前記孔は、容器の製造段階で型を用いて作製してもよいし、製造後に孔を作製してもよい。
前記アルコール含有静菌剤は、二重底の底面全体に配置してもよいし、一部に配置してもよい。
【0037】
図2は、食品収容部の底部にアルコール含有静菌剤を配置した他の一例であって、中皿(符号6)と、本体部(符号2)と、の間にアルコール含有静菌剤(符号5)を配置することで、食品との接触を防ぐように配置した例である。この例では、中皿(符号6)と、本体部(符号2)と、の隙間から、アルコール等揮発性静菌物質を蒸散させることができる。
前記アルコール含有静菌剤は、中皿と、本体部と、の間全体に配置してもよいし、一部に配置してもよい。
また、前記中皿に、揮散口を設けたり、アルコール透過量が高い素材を使用したりすることで、アルコール等揮発性静菌物質を蒸散させることもできる。
【0038】
図3は、食品収容部の底部にアルコール含有静菌剤を配置した他の一例であって、中皿(食品配置部:符号6)の底面の形状を凹凸形状に加工し、この底面の凸部内にアルコール含有静菌剤(符号5)を配置することで、食品との接触を防ぐように配置した例である。この例では、中皿(符号6)と、本体部(符号2)と、の隙間から、アルコール等揮発性静菌物質を蒸散させることができる。
前記アルコール含有静菌剤は、前記底面の凸部のすべてに配置してもよいし、一部に配置してもよい。
また、前記中皿に、アルコール等揮発性静菌物質の透過量が高いものを用いることで、中皿からもアルコール等揮発性静菌物質を蒸散させることができる。
【0039】
図4は、食品収容部の底部にアルコール含有静菌剤を配置した他の一例であって、食品収容部の本体部(符号2)の底面の形状を凹凸形状に加工し、この底面の凹部内にアルコール含有静菌剤(符号5)を配置することで、食品との接触を防ぐように配置した例である。この例では、前記凹部から、アルコール等揮発性静菌物質を蒸散させることができる。
前記凹部の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、箸等の食器が凹部に入らない程度の大きさとするなどが挙げられる。
前記凹部の表面は、食品と分離するため、前記図3の中皿(図3の符号6)とは異なり底が平らな中皿を置くこと、また不織布、シート、フィルム等で覆うこともできる。
前記アルコール含有静菌剤は、前記底面の凹部のすべてに配置してもよいし、一部に配置してもよい。
【0040】
図5は、食品収容部の底部にアルコール含有静菌剤を配置した他の一例であって、2段構造の食品容器の例である。この例は、本体部(符号2)に炊飯米(符号8)を配置し、その上に、アルコール含有静菌剤(符号5)を配置したシート(符号7)、前記シートの上に具材(符号9)を配置した中皿(符号6)を配置することで、食品との接触を防ぐように配置した例である。この例では、前記中皿(符号6)と前記シート(符号7)との隙間や、前記シート(符号7)通じて炊飯米(符号8)側、前記中皿(符号6)を通じて具材(符号9)側にアルコール等揮発性静菌物質を蒸散させることができる。なお、炊飯米(符号8)に替えて、うどんやそば等の麺類にしてもよい。
前記アルコール含有静菌剤は、前記シートの全体に配置されていてもよいし、一部に配置されていてもよい。前記シート(符号7)部には、中皿やフィルム等を配置してもよい。
【0041】
図6は、食品収容部の底部にアルコール含有静菌剤を配置した他の一例であって、本体部(符号2)の底部における横部分にアルコール含有静菌剤(符号5)を配置するための空間を設け、アルコール含有静菌剤を配置することで、食品との接触を防ぐように配置した例である。この例では、前記本体部(符号2)と、食品配置部(符号3)と、の隙間から、アルコール等揮発性静菌物質を蒸散させることができる。
【0042】
図7A及び図7Bは、食品収容部と蓋部との嵌合部にアルコール含有静菌剤を配置した一例であって、蓋部(符号1)と、本体部(符号2)と、の嵌合部(符号A)にアルコール含有静菌剤(符号5)を配置することで、食品との接触を防ぐように配置した例である。この例では、嵌合部内の隙間から、アルコール等揮発性静菌物質を蒸散させることができる。
前記アルコール含有静菌剤は、前記嵌合部の全体に配置してもよいし、一部に配置してもよい。
また、前記アルコール含有静菌剤に粘着性をもたせることで、食品収容部と蓋部の乖離を防ぐことができる。
【0043】
図8は、食品収容部の仕切り部にアルコール含有静菌剤を配置した一例であって、食品収容部の仕切り部(符号4)にアルコール含有静菌剤(符号5)を配置することで、食品との接触を防ぐように配置した例である。この例では、前記仕切り部(符号4)が凹構造となっており、この凹部にアルコール含有静菌剤(符号5)を配置する。
前記凹部の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、箸等の食器が凹部に入らない程度の大きさとするなどが挙げられる。
前記アルコール含有静菌剤は、前記仕切り部の全体に配置してもよいし、一部に配置してもよい。
【0044】
前記アルコール含有静菌剤を前記容器内に配置する方法としては、特に制限はなく、適用するアルコール含有静菌剤の形態と、容器形態と、に応じて適宜選択することができる。
【0045】
例えば、前記アルコール含有静菌剤がゲルの場合は、前記アルコール含有静菌剤の配置例に示したような配置部位に塗布するなどが挙げられる。
【0046】
また、前記アルコール含有静菌剤が液体の場合は、前記アルコール含有静菌剤の任意の配置部位に不織布等の液体保持部材を配し、前記液体保持部材に前記アルコール含有静菌剤を保持させることで、配置する方法などが挙げられる。
前記液体保持部材に前記アルコール含有静菌剤を保持させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記アルコール含有静菌剤を前記液体保持部材に噴霧又は塗布したり、前記液体保持部材を前記アルコール含有静菌剤に浸漬したりする方法などが挙げられる。
【0047】
前記アルコール含有静菌剤を容器に配置する時期としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、食品を容器に収容する前であってもよいし、収容した後であってもよい。
【0048】
前記アルコール含有静菌剤を配置する量としては、特に制限はなく、容器の形状、大きさ、構造、材質や、食品の種類及び量などに応じて適宜選択することができ、例えば、前記アルコール含有静菌剤を配置する量としては、食品質量に対してアルコール濃度0.1%以上などを目安に選択することができる。前記アルコール含有静菌剤を配置する量の上限としては、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、食品質量に対してアルコール濃度4%未満とすることができる。
【0049】
<食品>
前記食品容器に収容された食品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、調理済み食品が収容された容器入り食品が挙げられ、より具体的には、弁当、ケータリング食品、惣菜などが好適に挙げられる。
【0050】
本発明の食品容器用アルコール含有静菌剤によれば、アルコール含有静菌剤に含まれる揮発性であり静菌効果を示すアルコールと、必要に応じて、更にその他の静菌効果を示す揮発性物質と、が食品容器内に存在する(充填する)ことにより、食味に悪影響を及ぼさずに微生物の増殖を阻害することができ、容器入り食品の保存期間を延長することができる。これにより、食品の廃棄ロスを低減することができる。
また、消費者等が容器入り食品を比較的高温状態に放置した場合であっても、微生物の増殖による食中毒のリスクを低減することができる。
【0051】
(容器入り食品の保存方法)
本発明の容器入り食品の保存方法は、上記した本発明の食品容器用アルコール含有静菌剤を用いる。
前記アルコール含有静菌剤は、上記した(食品容器用アルコール含有静菌剤)の<アルコール含有静菌剤>の項目に記載したものと同様である。
前記アルコール含有静菌剤を用いる(容器に配置する)方法は、上記した(食品容器用アルコール含有静菌剤)の<配置>の項目に記載したものと同様である。
【0052】
本発明の容器入り食品の保存方法によれば、上記した本発明の食品容器用アルコール含有静菌剤と、容器内での前記アルコール含有静菌剤と食品との接触を防ぐように工夫された形態の食品容器と、を組み合わせるので、食味に悪影響を及ぼさずに優れた静菌効果を奏し、容器入り食品の保存期間を延長することができる。
【0053】
(容器入り食品の保存用システム)
本発明の容器入り食品の保存用システムは、蓋部、及び食品を収容する食品収容部を備えた食品容器と、前記食品容器内に食品との接触を防ぐように配置される上記した本発明のアルコール含有静菌剤と、を備え、必要に応じて更にその他の構成を含む。
前記食品容器は、上記した(食品容器用アルコール含有静菌剤)の<食品容器>の項目に記載したものと同様である。
前記アルコール含有静菌剤は、上記した(食品容器用アルコール含有静菌剤)の<アルコール含有静菌剤>の項目に記載したものと同様である。
前記アルコール含有静菌剤の食品容器への配置は、上記した(食品容器用アルコール含有静菌剤)の<配置>の項目に記載したものと同様である。
【0054】
本発明の容器入り食品の保存用システムによれば、上記した本発明の食品容器用アルコール含有静菌剤と、容器内での前記アルコール含有静菌剤と食品との接触を防ぐように工夫された形態の食品容器と、を組み合わせるので、食味に悪影響を及ぼさずに優れた静菌効果を奏し、容器入り食品の保存期間を延長することができる。
【実施例】
【0055】
以下、製造例及び試験例を示して本発明を説明するが、本発明は、これらの製造例及び試験例に何ら限定されるものではない。
【0056】
(製造例1:アルコール含有静菌剤1の製造)
下記組成となるように、撹拌機にて撹拌した水に、ゲル化剤としてウェランガム(ビストップ(登録商標)W、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社)を徐々に加え溶解させた後、99.5度エタノールを添加し、アルコール含有静菌剤1を作製した。
前記アルコール含有静菌剤1の粘度を、B型粘度計(東京計器株式会社製、BM)を用いて測定した(測定条件:(ローターNo.4、20℃、30rpm)結果、9,700mPa・sであった。
<アルコール含有静菌剤1の組成>
・ ゲル化剤(ウェランガム) ・・・ 2重量%
・ 水 ・・・ 38重量%
・ 99.5度エタノール ・・・ 60重量%
【0057】
(試験例1:アルコール含有静菌剤の配置とアルコールの蒸散速度)
以下の弁当容器(饗膳70、リスパック株式会社製、想定充填重量300g)に、製造例1で得たアルコール含有静菌剤1を9g(想定充填重量に対して3%)塗布し、25℃で保管し、エタノールガス濃度(エタノールの蒸散速度)を、株式会社島津製作所製のGC−9Aを用いて測定した(測定時間:保管開始0.5時間後、1時間後、1.5時間後、2時間後、3時間後、4時間後、6時間後)。
【0058】
<弁当容器>
図9に、使用した弁当容器の垂直方向に切断した場合の断面の模式図を示す。前記弁当容器は、蓋部(符号1)と、仕切り部(符号4)を有する食品トレイ(符号3)及び本体部(符号2)の二重底構造の食品収容部と、からなる。なお、下記試験例1−3では、前記食品トレイの上に、中皿(図12A及び12Bの符号6)を配置した。
・ 想定充填重量 ・・・ 300g
・ 弁当容器の容積 : 食品充填部(図9のX) ・・・ 1,050mL
二重底空間(図9のY) ・・・ 260mL
【0059】
<アルコール含有静菌剤1の配置>
<<試験例1−1>>
蓋部の内側(図10A及び10B参照)。塗布面積は、200cm
<<試験例1−2>>
食品収容部の本体部の底部(二重底の下側の底部)(図11A及び11B参照)。塗布面積は、200cm。なお、試験例1−2の弁当容器は、食品トレイの仕切り部に有孔加工が施されたものである(孔径:直径3mm、食品トレイ上の孔の総面積(459mm)。
<<試験例1−3>>
食品収容部の本体部の食品トレイの底部(二重底の上側の底部)(図12A及び12B参照)。塗布面積は、40cm
【0060】
各経過時間におけるエタノールガス濃度を測定した結果を図13に示す。図13に示したように、試験例1−1〜1−3の全ての例において、エタノールガス濃度が上昇しており、いずれの態様でも、静菌効果を得るために必要なエタノールガスの蒸散が可能であることが確認された。
なお、エタノールガス濃度の上昇は、アルコール含有静菌剤を上蓋内面に塗布した試験例1−1が最も速く、0.5時間までには平衡状態となった。アルコール含有静菌剤を本体底に塗布した試験例1−2の場合は、二重底部分も含むため蒸散容積が試験例1−1よりも大きかった。食品トレイ底にアルコール含有静菌剤を塗布した試験例1−3は蒸散面積が小さいため、エタノールガス濃度の上昇速度がやや遅くなった。
【0061】
(試験例2:アルコール含有静菌剤等の塗布量の検討)
後述の食品を用いた試験例3を行うにあたり、食味(香り、味)に問題のないアルコール含有静菌剤の塗布量を確認するために、以下のようにして官能評価を行った。
惣菜容器(FカップC−10W、福助工業株式会社製;容量:幅93mm×長さ93mm×深さ19mm)に炊飯米30gを入れ、製造例1で得たアルコール含有静菌剤1を表1に記載の量となるように、上蓋内面に塗布した。また、弁当・惣菜の品質保持に用いられているアリルイソチオシアネートを調製したゲル(以下、「アリルカラシ油ゲル」と称することがある。)1gを上蓋内面に塗布した。
1時間静置後、試験者(2名)により、エタノールと、炊飯米のそれぞれについて、香りと味を確認し、以下の5段階の評価基準で評価した。結果を表1〜2に示す。
<アリルカラシ油ゲルの組成>
・ ゲル化剤(ウェランガム) ・・・ 2重量%
・ 水 ・・・ 98重量%
・ アリルイソチオシアネート ・・・ 5ppm、12ppm、又は25ppm(外添加)
<評価基準>
5点 : 香り又は味が良い。
4点 : 香り又は味がほぼ良い。
3点 : 香り又は味がやや良くない。
2点 : 香り又は味が良くない。
1点 : 香り又は味が、異臭又は異味がある。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
官能評価の結果、アルコール含有静菌剤1は食品に対して3.3質量%以下塗布した場合、アリルカラシ油ゲルでは12ppm以下のアリルイソチオシアネートを含有するゲルを1g塗布した場合であれば、食味の大きな低下はみられなかった。
【0065】
(試験例3:食品を用いたアルコール含有静菌剤等の静菌効果の確認)
食品(炊飯米)に試験菌を接種し、アルコール含有静菌剤等の添付による静菌効果を以下のようにして確認した。なお、試験菌には、黄色ブドウ球菌又は大腸菌を用いた。
試験菌は、10〜10cfu/20μLになるよう調製した。
事前に滅菌した炊飯米30gを容器(惣菜容器(FカップC−10W、福助工業株式会社製;容量:幅93mm×長さ93mm×深さ19mm))に充填し、調製した菌液(20μL)を食品の中心に接種した。上蓋内側(塗布面積:4cm×4cm)に、製造例1で得たアルコール含有静菌剤1を0.9g(食品に対し3質量%)又は、12ppmのアリルイソチオシアネートを含有するアリルカラシ油ゲル(試験例2と同様にして調製したもの)1gを塗布し、上蓋をセットした。なお、前記塗布量は、試験例2で示されたように、いずれも食味に影響を及ぼさない量である。
25℃恒温器内で24時間静置した後、一般生菌数の測定を行った。
【0066】
試験菌として黄色ブドウ球菌を接種した場合の結果を図14A、大腸菌を接種した場合の結果を図14Bに示す。
図14A及び図14Bの結果から、アルコール含有静菌剤を塗布することで、静菌剤なし(無添付)と比べて微生物の増殖を抑制できることが確認された。一方、アリルカラシ油ゲルを塗布した場合の菌数は無添付の場合と同等であり、微生物の増殖抑制効果はみられなかった。
【0067】
(製造例2:アルコール含有静菌剤2の製造)
製造例1におけるウェランガムをキサンタンガム(エコーガム(登録商標)、DSP五協フード&ケミカル株式会社)に代え、下記組成となるようにした以外は製造例1と同様にして、アルコール含有静菌剤2を作製した。
<アルコール含有静菌剤2の組成>
・ ゲル化剤(キサンタンガム) ・・・ 1重量%
・ 水 ・・・ 59重量%
・ 99.5度エタノール ・・・ 40重量%
【0068】
製造例2で得たアルコール含有静菌剤2について、試験例3と同様にして静菌効果を調べたところ、微生物の増殖を抑制できることが確認された。
【0069】
(製造例3:アルコール含有静菌剤3の製造)
製造例1におけるウェランガムをタマリンドシードガム(グリロイド3S、DSP五協フード&ケミカル株式会社)に代え、下記組成となるようにした以外は製造例1と同様にして、アルコール含有静菌剤3を作製した。
<アルコール含有静菌剤2の組成>
・ ゲル化剤(タマリンドシードガム) ・・・ 0.5重量%
・ 水 ・・・ 79.5重量%
・ 99.5度エタノール ・・・ 20重量%
【0070】
製造例3で得たアルコール含有静菌剤3について、試験例3と同様にして静菌効果を調べたところ、微生物の増殖を抑制できることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の食品容器用アルコール含有静菌剤によれば、アルコール含有静菌剤に含まれる揮発性であり静菌効果を示すアルコールと、必要に応じて、更にその他の静菌効果を示す揮発性物質と、が食品容器内に存在する(充填する)ことにより、食味に悪影響を及ぼさずに微生物の増殖を阻害することができ、容器入り食品の保存期間を延長することができるので、調理済みの食品を配置した容器入り食品用の静菌剤として、好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0072】
1 ・・・ 蓋部
2 ・・・ 食品収容部(本体部)
3 ・・・ 食品トレイ(食品配置部)
4 ・・・ 仕切り部
5 ・・・ アルコール含有静菌剤
6 ・・・ 中皿(食品配置部)
7 ・・・ シート
8 ・・・ 炊飯米
9 ・・・ 具材
A ・・・ 嵌合部
X ・・・ 食品充填部
Y ・・・ 二重底空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13
図14A
図14B