【実施例】
【0058】
(実施例1)
IFNαは、PD−L1およびTRAIL発現を誘導する。
【0059】
インターフェロン−アルファ(IFNa)は、臨床的に顕著に有効ではなかった。本発明者は、これが、ベクター媒介IFNa遺伝子療法の設定においてはより有効であり得ると仮定した。数年前、本発明者は、INSTILADRIN(商標)ブランドのアデノウイルスベクター媒介インターフェロンアルファ2bのフェーズIIヒト臨床試験を開始した。この実験では、本発明者は、インターフェロンへの曝露に応答したPD−L1、TRAIL、IRF1およびLamin Aの発現を測定した。
【0060】
材料および方法:RT112およびSW780細胞を培地中で培養し、その後インターフェロンアルファポリペプチドを含有する培地に曝露した。インターフェロン量は、0(対照)〜10
4国際単位/mLに及んだ。遺伝子発現を、市販されている抗体およびプライマーを使用して、ウェスタンブロットおよび定量的リアルタイムPCRにより評価した。MIRVANA(商標)キット(Thermo Fisher)で、培養物中の細胞からRNAを単離した。TAQMAN(商標)Array Cards(AおよびB)(Thermo Fisher)を使用して、RT112においてmIRをプロファイルした。Illumina HumanHT_12_v4 BEADCHIP(商標)アレイ(47323個のプローブ)で、RT112およびUC3において全ゲノムmRNA発現プロファイリングを行った。
【0061】
結果:結果を
図1〜4に示す。インターフェロンへの曝露に応答して、両方の細胞株は、PD−L1、TRAILおよびIRF1発現をアップレギュレートし、Lamin A発現に対しては測定可能な効果を有しなかった。PD−L1、TRAILおよびIRF1発現について、異なる細胞株では、効果は異なる大きさであった。
図1、2、3、4を参照のこと。
【0062】
結論:がん細胞株のパネルでは、インターフェロン曝露は、PD−L1免疫チェックポイント発現の顕著な増大をもたらす。本発明者は、この発見が、現在までの本分野で、有効ながん療法としてインターフェロンを使用することができなかった理由を示唆するので、それは驚くべきことであると見出した。インターフェロンは理論的には有効な抗がん剤であるはずであるが、インターフェロンはまた、PD−L1発現をアップレギュレートし、したがってインターフェロンの療法効果を妨げ得る。
【0063】
(実施例2)
IFNαは、用量依存的様式でPD−L1発現を誘導する。
【0064】
ここで、本発明者は、インターフェロンアルファでの処理後に免疫チェックポイントPD−L1の発現、マイクロ−RNA(miR)およびmRNA発現プロファイルを測定した。
【0065】
材料および方法:RT112、T24、UC3およびUC14細胞を培地中で培養し、その後、対照培地または1000IU/mlのインターフェロンアルファポリペプチドを含有する培地のいずれかに6時間曝露した。PD−L1発現を、市販されている抗体およびプライマーを使用して、ウェスタンブロットおよび定量的リアルタイムPCRにより評価した。MIRVANA(商標)キット(Thermo Fisher)で、培養物中の細胞からRNAを単離した。TAQMAN(商標)Array Cards(AおよびB)(Thermo Fisher)を使用して、RT112においてmIRをプロファイルした。Illumina HumanHT_12_v4 BEADCHIP(商標)アレイ(47323個のプローブ)で、RT112およびUC3において全ゲノムmRNA発現プロファイリングを行った。統計的信頼性を増大させるために、全ての実験を三重で行った。
【0066】
結果:全ての細胞株は、IFNaへの曝露に応答してPD−L1発現をアップレギュレートした。この効果は、UC3細胞(
図6)よりも、RT112細胞(
図5を参照のこと)で最も明白であった。対照的に、RT112:1233細胞(p=0.0036)、19b−1#(p=0.0157)および222#(p=0.0061)において、3つの可能性のあるoncomIR領域の発現は、IFNaへの曝露後に顕著にダウンレギュレートされた。IFNa曝露後にログ(発現)(偽陽性率<0.001)で少なくとも2倍の差を有する差次的に発現した遺伝子を分析すると、RT112およびUC3細胞株で、それぞれ、302個および181個の差次的に発現した遺伝子があった。両方の細胞株でトップランクのIFNa誘導遺伝子は、膀胱がんで以前に記載されていない数個を含み、IFIT2(転移の負のレギュレータ)およびIFI27(TRAILへの感受性と関連する)を含んだ。また、IFNa誘導PD−L1発現は、リアルタイムPCRデータに対応する倍変化で、mRNA遺伝子チップで実証可能であった。
【0067】
結論:がん細胞株のパネルでは、IFNa曝露は、PD−L1免疫チェックポイント発現の顕著な増大をもたらす。アレイベースのマイクロRNAおよびmRNAプロファイリングは、膀胱がんにおけるIFNa応答の新しい可能性のあるメディエータを明らかにした。この膀胱IFNaプロファイルは、アデノウイルスIFNa遺伝子療法への応答を測定するための中間エンドポイントとして有用であり得る。IFNa療法でのPD−L1発現の将来予測は、免疫チェックポイント阻害剤を利用する合理的な組合せ処置をもたらし得る。
【0068】
(実施例3)
マウスインターフェロンは、PD−L1発現を誘導する
材料および方法:BBN972およびMB49#1(MB49−luc)細胞を培養し、その後、0(零)〜1×10
4国際単位のマウスインターフェロンを含有する培地に曝露した。続くPD−L1および(対照としての)アクチンの発現を測定した。
【0069】
結果:マウスインターフェロンは、いずれの細胞株でもアクチン発現に対して効果がなかった。
図11、12を参照のこと。対照的に、マウスインターフェロンは、PD−L1発現に対して顕著な用量依存的効果を有した。
図9、10を参照のこと。
【0070】
結論:これらのデータは、PD−L1発現に対するインターフェロンの効果が、ヒトインターフェロンアルファ2aに限定されず、実際にはヒトインターフェロンに限定されないことを示す。むしろ、PD−L1発現に対するインターフェロンの効果は、概してインターフェロンに一般的であるように見える。
【0071】
(実施例4)
ポリイノシン酸:ポリシチジル酸(ポリI:C)は、PD−L1を誘導する
材料および方法:上記データは、インターフェロンがPD−L1発現を誘導し、用量依存的様式でそれを行い、迅速にそれを行い、かつ異なる種からのインターフェロンに応答して明らかにそれを行うことを示す。インターフェロンを採取した動物種にかかわらず、効果があるので、本発明者は、この効果はインターフェロンに限定されず、他の種類の免疫刺激剤により、より一般的に引き起こされ得ると仮定した。この概念を試験するために、本発明者は、ポリイノシン酸:ポリシチジル酸(多くの場合、「ポリI:C」と略される)を評価した。ポリI:Cは、免疫刺激剤である。それはウイルス感染をシミュレートするために、そのナトリウム塩形態で使用される。ポリI:Cは、構造的に二本鎖RNAに類似している。dsRNAは、一部のウイルスに存在する。本発明者は、ポリI:Cを、移植したplcまたはulc腫瘍を有する研究用マウスに腹腔内注射により投与した。
【0072】
結果。
図13は、対照マウス(n=3)が、血清インターフェロンaの僅少のベースライン測定を示したことを示す。対照的に、ポリI:Cの腹腔内注射は、血清インターフェロンaの時間依存的増加を生成する。
図14は、6時間でのポリI:Cの腫瘍内注射の結果を示す。データ(各組についてn=1)は、腫瘍内インターフェロンaは、plc腫瘍で顕著に増加し、ulc腫瘍でいくらか増加し、対照腫瘍では測定可能なほど増加しないことを示す。
図15は、また、ポリI:C(500μg)が腫瘍内でPD−L1発現を(24時間で)誘導することを示す(マン・ホイットニー p=0.0495)。
【0073】
結論:これらのデータは、PD−L1発現が、インターフェロンによってのみではなく、dsRNAを模倣し、インターフェロン発現を誘導する化合物であるポリI:Cによっても誘導されることを示す。
【0074】
(実施例5)
インターフェロンウイルス遺伝子療法は、ヒトにおいてPD−L1を誘導する
材料および方法:これらのデータは、BCG療法に非応答性であるか、またはBCG療法後に難治性である患者における、ヒトインターフェロンアルファ2b導入遺伝子を有するINSTILADRIN(商標)複製欠損アデノウイルス遺伝子療法ベクターについてのヒトフェーズIIヒト臨床試験から取られる。その研究計画は、公開されており、参照により本明細書に組み込む。
【0075】
結果:
図16は、ヒトインターフェロンアルファ2B導入遺伝子を有するINSTILADRIN(商標)組換え複製欠損アデノウイルス遺伝子療法ベクターで処置したヒトにおける8処置サイクルのRNA発現を示す。奇数(白色に色分けした)カラムは、処置前のRNA転写を測定し、偶数(水色に色分けした)カラムは、後を測定する。RNA量は定量的に示され、薄緑色は最も少ないもの、桃色は最も多いものを示す。カラム1および2は、−2処置前から+2後に増大するPD−L1 RNAを示す。カラム3および4は同様に、−2処置前から+3後に増大するPD−L1 RNAを示す。全てにおいて、処置ペアの3分の1は、処置後にPD−L1発現の顕著な増大を示す。また、処置は、他の免疫チェックポイントマーカーをアップレギュレートした。
【0076】
結論:これらのデータは、患者の3分の1は、インターフェロン遺伝子療法での処置後にT細胞および免疫チェックポイントマーカー(PD−L1を含む)の誘導を示すことを示す。
【0077】
(実施例6)
組合せ療法は、生存を増大させる
材料および方法:研究用雌ラットに腫瘍細胞を植え付け、細胞を測定可能な腫瘍に発達させた。その後、ラットを、生理食塩水(対照)、IgG(対照として)、抗PD1モノクローナル抗体(単独療法)、ポリI:C(インターフェロン発現を誘導する単独療法)およびポリI:Cと抗PD1モノクローナル抗体との組合せ(組合せ療法)で処置した。
【0078】
結果:
図17は、皮下C57BL6/J腫瘍についての、時間に対するMB49腫瘍サイズを示す(1群当たりn=5匹の雌マウス)。処置は、腫瘍移植後10日目に開始する200μg q3((1日1回、3日間))デある。エラーバーは、SEMを表す。最も高い(黄色)線は、40日目で最も大きな腫瘍体積を示しており、対照群である(全ての群はn=5、雌のみ)。次に低い(青色)線は、IgG対照である。次に低い(赤色)線は、ポリI:Cである。次に低い(緑色)線は、抗PD1モノクローナル抗体である。最も低い(黒色)線は、X軸それ自体の上にかかっており、組合せ療法である。
【0079】
図18は、腫瘍を植え付け、生理食塩水(最低部の線)、IgG(次に高い線)、抗PD1モノクローナル抗体(次に高い線)、ポリI:C(次に高い線)およびポリI:Cと抗PD1モノクローナル抗体との組合せ(最も高い線)で処置した雌マウスのカプラン・マイヤー生存曲線を示す。これらのデータは、インターフェロン誘導剤(ポリI:C)とPD1阻害剤(抗PD1モノクローナル抗体)とを組み合わせることは、顕著に生存を増大させることを示す。50日目で、対照動物の約20%が生存し、ポリI:C動物の50%が生存し、組合せ処置動物の100%が生存する。
【0080】
図19は、雄マウスにおける:経時的に正規化(平均値+/−SD)放射を比較する。ログ・ランク検定を使用して、これらのデータは、組合せ療法がIgG対照よりも優れており(p=0.06)、ポリI:C単独療法よりも優れており(p=0.32)、かつ抗PD1モノクローナル抗体よりも優れている(p=0.14)ことを示す。
【0081】
図20は、「生存部分」、すなわち、:経時的に生存する傾向の生存を示すデータを示す。
【0082】
結論:これらのデータは、組合せ療法は、単なる相加的効果より多くのものを与え、相乗的に有効であることを示す。
【0083】
(実施例7)
表在拡大型黒色腫
材料および方法:表在拡大型黒色腫と診断されたヒト患者を、広範囲局所切除術およびセンチネルリンパ節生検により処置して、リンパ系または遠位器官への疾患の広がりがないことを確認する。その後、患者をINSTILADRIN(商標)とKEYTRUDA(商標)との組合せで処置する。処置は、外科的切除後実施可能な限りすぐに開始する。
【0084】
INSTILADRIN(商標)ブランドのアデノウイルスは、インターフェロンアルファ2b導入遺伝子を有する複製欠損組換えアデノウイルス遺伝子療法ベクターである。かかる遺伝子療法ベクターの製造は、例えばMuralidhara Ramachandraら、Selectively Replicating Viral Vector、米国特許証第7691370号で説明されている。インターフェロン導入遺伝子の単離は、例えばCharles Weissmann、DNA Sequences, Recombinant DNA Molecules and Processes for Producing Human Interferon-Like Polypeptides、米国特許証第6835557号で説明されている。
【0085】
KEYTRUDA(商標)ブランドのペンブロリズマブは、ヒト化モノクローナル抗プログラム細胞死−1(PD−1)抗体(Fc領域に安定化配列改変を有するIgG4/カッパアイソタイプ)である。
【0086】
INSTILADRIN(商標)は、単回用量バイアルで提供される。INSTILADRIN(商標)の1用量を、注射用滅菌生理食塩水中に再構成し、切除部位に局所的に皮下投与する。投与は、4週毎に1回繰り返す。1バイアルのKEYTRUDA(商標)粉末は、50mgのペンブロリズマブを含有する。KEYTRUDA(商標)を、30分間にわたる静脈内点滴として投与し、3週毎に繰り返し、疾患進行または許容できない毒性があるまで患者を処置する。非定型応答(すなわち、最初の数ヶ月以内の腫瘍サイズの最初の一過的な増大または新しい小病変、続く腫瘍縮小)が観察され得る。疾患進行の初期の証拠を有する臨床的に安定な患者については、疾患進行が確認されるまで処置を続けることが好ましい。
【0087】
試験対象を登録し、その後処置群:切除後KEYTRUDA(商標)のみ、切除後INSTILADRIN(商標)のみ、切除後KEYTRUDA(商標)およびINSTILADRIN(商標)を同時、切除後INSTILADRIN(商標)およびNSAID(COX−2阻害剤)、ならびに切除後KEYTRUDA(商標)およびINSTILADRIN(商標)およびNSAIDを同時:に割り当てる。
【0088】
結果:主要有効性評価項目は、進行を伴わない生存(例えばIntegrated Radiology and Oncology Assessment review using Response Evaluation Criteria in Solid Tumours([RECIST(固形がんの処置効果判定基準)]を使用した放射線学および腫瘍学総合査定概要)により査定される)、全体的な生存、およびセンチネルリンパ節生検である。他の有効性評価項目は、全体的な応答速度および応答持続期間であり得る。続くセンチネルリンパ節生検は、疾患の広がりがないことを示すことが予測される。
【0089】
本発明者は、COX−2阻害剤を伴うINSTILADRIN(商標)の投与は、INSTILADRIN(商標)のみに優る有効性を示すと予測する。本発明者は、KEYTRUDA(商標)およびINSTILADRIN(商標)の同時投与は、いずれかの剤単独の投与と比較して優れた有効性評価項目を示すと予測し、この利点は単なる相加的なものより大きいと予測する。本発明者は、KEYTRUDA(商標)およびINSTILADRIN(商標)およびNSAIDの同時投与は、KEYTRUDA(商標)単独またはINSTILADRIN(商標)およびNSAID単独の投与と比較して優れた有効性評価項目を示すと予測し、この利点は単なる相加的なものより大きいと予測する。
【0090】
(実施例8)
表在拡大型黒色腫
材料および方法:上記の実施例のKEYTRUDA(商標)。
【0091】
インターフェロン源として、SYLATRON(商標)ペグ化インターフェロンアルファ2bを、6μg/kgで毎週1回8用量(誘導)、続いて3μg/kgで毎週1回最大5年間(維持)皮下投与する。有害反応のために処置の1〜8週(誘導)中にSYLATRON(商標)投与量調節が必要な場合、元の投与量(毎週1回6μg/kg)からの3ステップ減少が好ましい(すなわち、投与量を毎週1回3μg/kgに減少し;必要に応じて、毎週1回2μg/kgに減少し;その後必要に応じて、さらに毎週1回1μg/kgに減少する)。有害反応のために処置の9〜260週(維持)中に投与量調節が必要な場合、元の投与量(毎週1回3μg/kg)からの2ステップ減少が推奨される(すなわち、投与量を毎週1回2μg/kgに減少し;必要に応じて、毎週1回1μg/kgに減少する)。
【0092】
試験対象を登録し、その後処置群:切除後KEYTRUDA(商標)のみ、切除後SYLATRON(商標)のみ、切除後KEYTRUDA(商標)およびSYLATRON(商標)を同時的、切除後SYLATRON(商標)およびNSAID(COX−2阻害剤)、ならびに切除後KEYTRUDA(商標)およびSYLATRON(商標)およびNSAIDを同時的:に割り当てる。
【0093】
結果:主要有効性評価項目は、進行を伴わない生存(例えばIntegrated Radiology and Oncology Assessment review using Response Evaluation Criteria in Solid Tumours([RECIST(固形がんの処置効果判定基準)]を使用した放射線学および腫瘍学総合査定概要)により査定される)、全体的な生存、およびセンチネルリンパ節生検である。他の有効性評価項目は、全体的な応答速度および応答持続期間であり得る。続くセンチネルリンパ節生検は、疾患の広がりがないことを示すことが予測される。
【0094】
本発明者は、COX−2阻害剤を伴うSYLATRON(商標)の投与は、SYLATRON(商標)のみに優る有効性を示すと予測する。本発明者は、KEYTRUDA(商標)およびSYLATRON(商標)の同時投与は、いずれかの剤単独の投与と比較して優れた有効性評価項目を示すと予測し、この利点は単なる相加的なものより大きいと予測する。本発明者は、KEYTRUDA(商標)およびSYLATRON(商標)およびNSAIDの同時投与は、KEYTRUDA(商標)単独またはSYLATRON(商標)およびNSAID単独の投与と比較して優れた有効性評価項目を示すと予測し、この利点は単なる相加的なものより大きいと予測する。
【0095】
(実施例9)
非小細胞肺がん
材料および方法:上記実施例7による医薬剤。ヒト試験対象は、非小細胞肺癌腫を有すると診断されている。患者をGreene, Frederick L.、Cancer Staging Manual(American Joint Committee on Cancer、出版、第6版)に従ってスクリーニングして、同等の試験対象が同等の疾患を有することを保証する。試験対象を、検証された試験により確認される発現である腫瘍PD−L1発現に基づいて、処置についてスクリーニングする。
【0096】
KEYTRUDAの推奨される用量は、以前に化学療法で処置されていないNSCLCについて200mg、および以前に化学療法で処置されたNSCLCまたは黒色腫について2mg/kgである。
【0097】
INSTILADRIN(商標)を、胸膜内注入により投与する。この方法は、
図2で米国特許公開公報2014/17202号にて示される。
【0098】
試験対象を登録し、その後処置群:KEYTRUDA(商標)のみ、INSTILADRIN(商標)のみ、KEYTRUDA(商標)およびINSTILADRIN(商標)を同時的、INSTILADRIN(商標)およびNSAID(COX−2阻害剤)、ならびにKEYTRUDA(商標)およびINSTILADRIN(商標)およびNSAIDを同時的:に割り当てる。
【0099】
結果:主要有効性評価項目は、進行を伴わない生存、全体的な生存、およびセンチネルリンパ節生検である。他の有効性評価項目は、全体的な応答速度および応答持続期間であり得る。続くセンチネルリンパ節生検は、疾患の広がりがないことを示すことが予測される。
【0100】
本発明者は、COX−2阻害剤を伴うINSTILADRIN(商標)の投与は、INSTILADRIN(商標)のみに優る有効性を示すと予測する。本発明者は、KEYTRUDA(商標)およびINSTILADRIN(商標)の同時投与は、いずれかの剤単独の投与と比較して優れた有効性評価項目を示すと予測し、この利点は単なる相加的なものより大きいと予測する。本発明者は、KEYTRUDA(商標)およびINSTILADRIN(商標)およびNSAIDの同時投与は、KEYTRUDA(商標)単独またはINSTILADRIN(商標)およびNSAID単独の投与と比較して優れた有効性評価項目を示すと予測し、この利点は単なる相加的なものより大きいと予測する。
【0101】
要約
上記実施例は、ある特定のがんの処置を論じている。しかしながら、本発明者らの発見はより一般的に、インターフェロンシグナル伝達から利益を得、かつCD279の過剰発現を患う任意の状態を処置するために使用することができる。
【0102】
添付した特許請求の範囲では、完全な治癒を必要とせず、緩和を必要とする「処置する」という用語を使用する。例えば、がんを「処置すること」は、がんを完全に消失させることによって、また例えば、かかる処置を有しない患者と比較して、腫瘍増殖を遅延させること、死亡のリスクを低減することまたは疾患進行を遅延させることによって達成され得る。
【0103】
本明細書中の本発明者らの開示から、当業者は、特定の適用またはその変形を容易に理解し得る。例えば、上記論述は、特定の種類のヒトインターフェロンについて言及しているが、同様に機能する他の種類およびインターフェロン誘導体またはアナログは、同じ利益を提供する。したがって、本発明者は、本発明者らの特許の法律上の範囲が、本発明者が論じている実施例ではなく、添付した法律上の特許請求の範囲およびその許容される均等物によって決定されることを意図する。
【0104】
添付した法律上の特許請求の範囲が、およそ「同時」に処置することを言及する場合(例えば元の請求項3を参照のこと)、これは、2つの化合物が同時に患者において働くことを必要とする。それは、同時期の投与を必要としない。したがって、第2の剤の効果が少なくとも1週間持続する場合、第1の剤を、第2の剤の投与1週間後に投与してもよい。
(項目1)
インターフェロンでヒト患者を処置する方法であって、
a.ヒト患者において、インターフェロンで処置され得る状態を診断するステップと、その後、
b.第1の剤を投与するステップであって、前記第1の剤が、ヒト免疫系チェックポイントの機能に影響するのに十分な量で前記ヒト患者のインターフェロンレベルを増大させることができ、これにより前記チェックポイントが免疫機能を減少させる、ステップと、
c.前記ヒトに、同じヒト免疫系チェックポイントの機能に影響する第2の剤を投与するステップであって、前記第2の剤が、前記第1の剤が前記チェックポイントに対して有する免疫機能の減少を実質的に改善するのに有効な量で投与される、ステップと
を含み、これにより第2の化合物が、前記第1の剤により引き起こされる前記免疫機能の減少を実質的に改善する、方法。
(項目2)
本質的に項目1に記載の方法からなる方法。
(項目3)
前記患者が、前記第1の剤および前記第2の剤でほぼ同時に処置される、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記第1の剤が、外因的に生成されたインターフェロンポリペプチドを含む、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記第1の剤が、前記患者がインターフェロンを内因的に発現することを誘導する剤を含む、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記第1の剤が、発現可能なインターフェロン導入遺伝子を有するベクターである、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記第1の剤が、微生物抗原、ウイルス抗原および微生物またはウイルス抗原アナログからなる群から選択される、項目5に記載の方法。
(項目8)
前記第1の剤が、ポリI:Cを含むウイルス抗原アナログを含む、項目7に記載の方法。
(項目9)
前記第1の剤が、細菌抗原を含む、項目7に記載の方法。
(項目10)
前記第1の剤が、ウイルス抗原を含む、項目7に記載の方法。
(項目11)
前記第1の剤が、抗原性ウイルスを含む、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記ヒト患者のインターフェロンレベルが、阻害性ヒト免疫系チェックポイントの機能を増大させるのに十分な量で増大される、項目1に記載の方法。
(項目13)
前記阻害性チェックポイントが、プログラム細胞死タンパク質1および細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4からなる群から選択される、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記阻害性チェックポイントが、プログラム細胞死タンパク質1を含み、前記第2の剤が、プログラム細胞死タンパク質1またはプログラム細胞死タンパク質1リガンドに結合する、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記状態が、がんを含む、項目1に記載の方法。
(項目16)
ヒト免疫系チェックポイントの機能に影響し、これにより前記チェックポイントがヒト免疫機能を抑制しない剤であって、ヒト患者に対するインターフェロンの免疫抑制効果を消失させることにおける使用のためであり、インターフェロンの前記免疫抑制効果を低減させるのに有効な量で提供される、剤。
(項目17)
ヒト療法剤としてのインターフェロンの有効性を改善するための方法であって、
a.ヒト患者において、インターフェロンで処置され得る状態を診断するステップと、その後、
b.前記ヒトに、阻害性ヒト免疫系チェックポイントを阻害する第2の剤を投与するステップであって、前記剤が、免疫活性を減少させることに対する前記チェックポイントの活性を低減させるのに十分な量で投与される、ステップと、
c.前記ヒトに、前記状態を処置するのに有効な量で前記ヒト患者のインターフェロンレベルを増大させる第1の剤を投与するステップと
を含む、方法。
(項目18)
本質的に、
a.ヒトに、阻害性ヒト免疫系チェックポイントを阻害する第2の剤を投与するステップと、
b.前記ヒトに、前記ヒト患者のインターフェロンレベルを増大させる第1の剤を投与するステップと
からなる方法。
(項目19)
前記第2の剤が、前記チェックポイントの活性を低減させるのに十分な量で投与される、項目18に記載の方法。