【解決手段】衣服100は、開口部161、162と、スペーサー収容部210とを有する。開口部161、162は、衣服100の背面側裾近傍に設けられる。また、開口部161、162は、衣服100の内部に空気を送り込むための冷却ファン(送風機)310、320を取り付け可能である。スペーサー収容部210は、衣服100の内部において、背面側襟近傍における左右方向の略中央部に設けられる。また、スペーサー収容部210は、衣服100の内部の空気を抜くための通風路を確保するためのスペーサー(空間確保部材)300を収容する。
前記収容部は、前記衣服の背面側襟近傍における左右方向の略中央部に設けられ、前記空間確保部材の長手方向を上下方向として前記空間確保部材を収容することを特徴とする請求項1または2に記載の衣服。
前記収容部は、前記空間確保部材を挿入するための開口部を上部に備え、前記空間確保部材の下端部の左右方向の長さよりも小さいサイズの開放部を下部に備えることにより前記収容部において前記通風路が形成されることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の衣服。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の従来技術では、所望の冷却風排出路を開状態とすることで、風発生装置から送出された冷却風を、開状態の冷却風排出路から優先的に排出することができるため、冷却を望む部分を集中的に冷却することができる。
【0006】
しかし、作業中に作業者が背中を丸めた姿勢になると、作業者の背中部分に衣服が部分的に密着し、衣服内部の空気の流れが遮断される虞がある。
【0007】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、作業者の姿勢にかかわらず内部の空気を適切に流通させることができる衣服を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様は、衣服の背面下部に設けられ、前記衣服の内部に空気を送り込むための送風機を取り付け可能な開口部と、前記衣服の内部において背面上部に設けられ、前記衣服の内部の空気を抜くための通風路を確保するための空間確保部材を収容する収容部と、を有することを特徴とする衣服である。
【0009】
また、この第1の態様において、前記空間確保部材は、その長手方向からの断面視において略アーチ状の形状であり、可撓性を有する素材により構成されるようにしてもよい。
【0010】
また、この第1の態様において、前記収容部は、前記衣服の背面側襟近傍における左右方向の略中央部に設けられ、前記空間確保部材の長手方向を上下方向として前記空間確保部材を収容するようにしてもよい。
【0011】
また、この第1の態様において、前記空間確保部材が収容される前記収容部の左右両側に前記通風路が形成されるようにしてもよい。
【0012】
また、この第1の態様において、前記収容部は、左右外側面が下方に向けて漸次幅狭となるように構成されるようにしてもよい。
【0013】
また、この第1の態様において、前記収容部は、前記左右外側面にマチを形成するとともに、前記左右外側面の前後方向の略中央部に折曲線を形成するようにしてもよい。
【0014】
また、この第1の態様において、前記収容部は、前記空間確保部材を挿入するための開口部を上部に備え、前記空間確保部材の下端部の左右方向の長さよりも小さいサイズの開放部を下部に備えることにより前記収容部において前記通風路が形成されるようにしてもよい。
【0015】
また、この第1の態様において、前記収容部と前記衣服の生地との間に上下開放の空間を形成するようにしてもよい。
【0016】
また、この第1の態様において、前記開口部は、前記衣服の背面側裾近傍に設けられ、正面視において略八角形状とするようにしてもよい。
【0017】
このような態様を採ることにより、衣服の内部における背面上部に設けられる収容部に空間確保部材を収容することにより、収容部の近傍において通風路が形成されるという作用をもたらす。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、作業者の姿勢にかかわらず衣服内部の空気を適切に流通させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態と称する)を説明する。
【0021】
[衣服の構成例]
図1は、本発明の実施の形態における衣服100の外観構成例を示す正面図である。また、
図2は、本発明の実施の形態における衣服100の外観構成例を示す背面図である。また、
図3は、本発明の実施の形態における衣服100の裏地の構成例を示す図である。なお、本発明の実施の形態では、説明を容易にするため、衣服100における縫製部分、ポケット等については、簡略化して示す。
【0022】
また、
図4は、本発明の実施の形態における衣服100に冷却ファン310、320を取り付けた場合の外観構成例を示す正面図である。また、
図5は、本発明の実施の形態における衣服100に冷却ファン310、320を取り付けた場合の裏地の構成例を示す図である。
【0023】
衣服100は、身体の上半身を覆う形状の服であり、外部から衣服内部に空気を流入するための冷却ファン310、320を取り付け可能な衣服である。例えば、夏場の高温環境下で作業する作業者が、冷却ファン310、320を取り付けた衣服100を着衣することにより体温上昇を抑制することができる。このように、冷却ファン310、320が取り付けられた衣服100は、ファン付き衣料品として把握することができる。
【0024】
なお、本発明の実施の形態では、袖がなく、胸、腹、背中を覆う生地(シート状素材)により生成されるベスト(チョッキ)を衣服100として示す。また、衣服100の生地として、例えば、通気性の小さいシート状素材や、通気性のないシート状素材を用いることができる。例えば、衣服100の生地として、一枚のシート状素材(例えば、ポリ系の樹脂)を採用し、裏地には所定のコーティング(例えば、アルミニウム加工、チタン加工等の気密加工)を施すことにより衣服100の気密性を高めることができる。
【0025】
また、衣服100の前部には、作業者が衣服100を着衣する際に前部を開閉するためのファスナー140が設けられる。また、衣服100の前部における下部分には、ポケット151、152が設けられるとともに、衣服100の前部における上部分には、ファスナー付胸ポケット153が設けられる。
【0026】
また、衣服100の左右の袖ぐり121、122と、衣服100の下部の裾部130とには、伸縮性のある部材(例えば、ゴム)が縫い込まれている。例えば、袖ぐり121、122と裾部130とには、ギャザーが施されている。このように、袖ぐり121、122にギャザーが施されることにより、右腕が通る袖ぐり121が右腕に密着するようになるとともに、左腕が通る袖ぐり122が左腕に密着するようになる。このため、衣服100の内部の空気が袖ぐり121、122から外部に漏れることを防止することができる。同様に、裾部130にギャザーが施されることにより、裾部130が身体の腰に密着するようになるため、衣服100の内部の空気が裾部130から外部に漏れることを防止することができる。
【0027】
また、
図3に示すように、衣服100の背中部分には、冷却ファン310、320(
図4、
図5に示す)を取り付けるための開口部161、162が設けられる。開口部161、162は、正面視で略八角形状の貫通孔である。また、開口部161、162は、冷却ファン310、320が衣服100の内部に空気を取り込むための空気取込口として機能する。このように、衣服100は背面側裾近傍において正面視で略八角形状の開口部161、162を備える。
【0028】
なお、開口部161、162に冷却ファン310、320を取り付けた場合には、冷却ファン310、320の重さで開口部161、162の周囲の生地が折り曲がってしまうおそれがある。そこで、開口部161、162の周囲については、補強処理を施すことが好ましい。例えば、開口部161、162の周囲の生地には、所定のシート状素材(例えば、生地と同一の素材、他の樹脂、ワッペン)を重ねることにより、開口部161、162の周囲を補強することができる。
【0029】
図5に示すように、冷却ファン310、320は、冷却ファン310、320を駆動するためのバッテリー330と、冷却ファン310、320とバッテリー330とを電気的に接続するケーブル311、321、331とを備える。例えば、バッテリー330には、冷却ファン310、320をオンオフするためのスイッチや、冷却ファン310、320の風量調整(例えば、四段階)のための操作部を備えることができる。
【0030】
また、
図3、
図5に示すように、衣服100の背中に該当する部分の裏地には、冷却ファン310、320のバッテリー330を収容するバッテリー収容部180と、冷却ファン310のケーブル311を保持するケーブル保持部171と、冷却ファン310、320のケーブル331を保持するケーブル保持部174とを設けている。
【0031】
バッテリー収容部180は、開口部162の近傍に設けられる内ポケットであり、冷却ファン310、320のバッテリー330を収容することが可能なサイズに構成している。また、バッテリー収容部180の上部には内ポケットの開口部を閉じるための面ファスナー181を配設しており、この面ファスナー181で開口部を閉塞することで収納したバッテリー330の飛び出しを防止している。
【0032】
図3に示すように、ケーブル保持部171には、冷却ファン310、320のケーブルを固定するための面ファスナー172、173が設けられる。そして、
図5に示すように、冷却ファン310を衣服100に取り付ける場合に、冷却ファン310のケーブル311を面ファスナー172、173の間に配置し、面ファスナー173が配設された布体を折曲して面ファスナー172に固定することで冷却ファン310のケーブル311をケーブル保持部171に固定できる。
【0033】
また、ケーブル保持部174には、冷却ファン310、320のケーブル331を固定するための面ファスナー175、176を設けている。冷却ファン310、320を衣服100に取り付ける場合、
図5に示すように、冷却ファン310、320に接続されるケーブル331を面ファスナー175、176の間に配置し、面ファスナー176が配設された布体を折曲して面ファスナー175と面ファスナー176とを貼着することでケーブル331を固定できる。
【0034】
また、衣服100の背中部分の裏地には、衣服100の背面上部に空気を抜くための通風路を200およびスペーサー収容部210を設けている。なお、通風路200およびスペーサー収容部210については、
図6乃至
図8を参照して詳細に説明する。
【0035】
[流通路の構成例]
図6は、本発明の実施の形態における通風路200およびスペーサー収容部210の構成例を示す断面図および斜視図である。
図6(1)には、衣服100の左右側面視における通風路200およびスペーサー収容部210の断面図を示す。また、
図6(2)には、衣服100の上側から見た場合の通風路200およびスペーサー収容部210の斜視図を示す。
【0036】
通風路200は、衣服100の背面上部に設けられる空気流通路である。この通風路200は、衣服100の背面側から正面側に向かって衣服100とは別体に構成された布体201を衣服100に縫製することで衣服100を構成する生地101と布体201との間に形成されている。なお、布体201は、略長方形状の空気を通さない布(1枚または複数枚)で構成している。
【0037】
布体201の左右端部には縫製部215、217を構成しており、この縫製部215、217が衣服100に縫製される。布体201は縫製部215、217を衣服100に縫製することで衣服100の生地101の前方側に位置する。このように布体201を衣服100に縫製することで、布体201と生地101と縫製部215、217とで囲まれた上下開放の空気流通路230が形成される。
【0038】
また、布体201の前方側には、スペーサー300を収容するスペーサー収容部210を縫製している。スペーサー収容部210は、衣服100を着衣した状態で作業者の背中上部と、衣服100の背面側上部との間に設けられる空間確保手段である。また、スペーサー収容部210は、略長方形状の空気を通さない布体218で構成される。なお、布体201及び布体218は同一の素材でも異なる素材で構成されていてもよい。また、スペーサー収容部210の上下方向(
図6(1)における左右方向)の長さL1は、例えば、20cm程度とすることができる。
【0039】
また、スペーサー収容部210の左右両端部の縫製部215、217が衣服100に縫製される。すなわち、布体201の左右端部と布体218の左右端部とが衣服100に一体に縫製されることで、布体201の前方側にスペーサー収容部210が配置される。また、スペーサー収容部210の開口部221の開口形状は略方形状である。
【0040】
また、布体218の下端部は布体201に縫製されて縫製部216を構成している。この縫製部216は一部を無縫製とすることで開放部222を設けている。このように開放部222を形成することでスペーサ収容部210に上下開放の空間を形成している。この空間は、空気流通路として機能する。なお、
図6(2)では、縫製部216の開放部222に相当する部分を円形の点線で示している。また、スペーサー収容部210の下端部に位置する開放部222の幅員は、
図7に示すように、スペーサー300の下端部301の径よりも小さい値となるように構成している。すなわち、スペーサー収容部210は、スペーサー300の下端部301の左右方向の長さよりも小さいサイズの開放部222を下部に備える。
【0041】
また、スペーサー収容部210の左右外側面は、下方に向けて漸次幅狭となるように縫製している。このようにスペーサー収容部210の両端部を衣服100に縫製することでスペーサー収容部210内の収容空間を漸次幅狭となるように構成できる。すなわち、スペーサー収容部210内の空間をスペーサー300と略同一の形状となるように構成している。
【0042】
また、スペーサー収容部210の左右外側面には、前後方向の略中央部に折曲部213、214を構成している。この折曲部213、214を構成することでスペーサー収容部210の左右外側面にマチが形成される。このようにスペーサー収容部210の左右外側面にマチを構成することで、作業者が衣服100を着用した際に他の空気流通路が閉塞されるような場合でも、マチおよび折曲部213、214が空気流通路となり、衣服100内部の空気を確実に排気できる。
【0043】
スペーサー収容部210は、衣服100の背面側襟近傍における左右方向の略中央部に設けられる。スペーサー収容部210は、スペーサー300を収容するポケットとして機能しつつポケットの外側側面に流路を形成することができる。また、スペーサー収容部210は、衣服100の内部を流れる空気の仕切りとしても機能する。すなわち、スペーサー収容部210の左右外側面の折曲部213、214に沿って衣服100の内部を流通する空気流通路が形成される。
【0044】
また、スペーサー収容部210の上端部には開口部221及び開放部222を構成している。このように、スペーサー収容部210の外側側に流路を構成するとともに、スペーサー収容部210の内部に別の流路を形成することで衣服100内部から空気を確実に排出できる。
【0045】
さらに、スペーサー収容部210の背面側、すなわち、生地101と布体201の間に空気流通路230が形成される。このように、スペーサー収容部210の外側側に流路を形成するとともに、スペーサー収容部210の背面側にも別の流路(空気流通路230)を形成することができる。
【0046】
[スペーサーの構成例]
図7は、本発明の実施の形態におけるスペーサー300の外観構成例を示す斜視図および上面図である。
図7(1)には、スペーサー300の斜視図を示す。また、
図7(2)には、スペーサー300の上面図を示す。
【0047】
スペーサー300は、衣服100の内部において空気が通る空間を確保するための空間確保部材である。本発明の実施の形態では、長手方向の下端部301から上端部302を結ぶ方向からの断面視において略アーチ状の部材をスペーサー300として用いる例を示す。また、本発明の実施の形態では、可撓性を有する素材(例えば、弾性素材)によりスペーサー300を構成する例を示す。なお、可撓性を有する素材として、例えば、ゴム、樹脂(例えば、EVA(Ethylene Vinyl Acetate Copolymer)樹脂)、シリコンを用いることができる。
【0048】
また、スペーサー300は、スペーサー収容部210に挿脱自在に配置される。このため、スペーサー300の形状は、スペーサー収容部210に収納できるようにスペーサー収容部210の収納形態と略同一形状とすることが好ましい。例えば、スペーサー300は、上方から下方にかけて漸次幅狭となるように構成することができる。すなわち、
図7(2)に示すように、スペーサー300の上端部302よりもスペーサー300の下端部301の方が幅狭となる。
【0049】
また、スペーサー300の上側部303が、衣服100を着衣した作業者の背中に当たる部分となる。
【0050】
また、スペーサー300の厚みTH1は、3乃至4mm程度とすることができる。すなわち、スペーサー300の上側部303(アーチ状の上側部分)から力が加わったような場合には、スペーサー300が上下方向(アーチ状の上下方向)に潰れるような構成としている。この構成により、衣服100を着衣した作業者の背中にスペーサー300の上側部303が接触したとしても、スペーサー300が前後方向に潰れて作業者に与える反力を軽減できる。
【0051】
なお、
図7に示すスペーサー300は、空間確保部材の一例であり、他の形状のスペーサーを空間確保部材として採用するようにしてもよい。
【0052】
[スペーサーの配置例]
図8は、本発明の実施の形態におけるスペーサー300をスペーサー収容部210に収納する場合の構成例を示す断面図である。
図8(1)には、スペーサー300をスペーサー収容部210に収納する前の状態を示す。また、
図8(2)には、スペーサー300をスペーサー収容部210に収納した状態を示す。
【0053】
スペーサー300をスペーサー収容部210に収容する場合には、
図8(1)に示すように、幅狭の下端部301を下側(
図8(1)では左側)にして開口部221からスペーサー収容部210に挿入する(矢印10方向に挿入する)。
【0054】
そして、スペーサー300をスペーサー収容部210に収容した後には、
図8(2)に示すように、面ファスナー211、212を貼り付けることにより、スペーサー収容部210の開口部221を閉じることができる。これにより、スペーサー300がスペーサー収容部210から飛び出すことを防止することができる。このように、スペーサー300をスペーサー収容部210に収容することで、正面視においてスペーサー300は逆三角形状に固定される。
【0055】
さらに、スペーサー300をスペーサー収容部210に収容することにより、衣服100と身体との間において、少なくともスペーサー収容部210の左右方向の両側に空気流通路を構成できる。
【0056】
また、スペーサー300をスペーサー収容部210に収容することにより、衣服100と身体との間において、少なくともスペーサー収容部210の内部(または、スペーサー300の内部)に空気流通路を確保することができる。なお、面ファスナー211、212により開口部221の一部が閉じられるが一部は開放状態のため面ファスナー211、212が空気流通を阻害する虞はない。
【0057】
また、スペーサー300がスペーサー収容部210に収容された状態では、衣服100を着衣した作業者の背中に当たる部分は、スペーサー300の上側部303となる。ここでスペーサ300は可撓性の弾性材料で構成しており、外部から荷重がかかるとスペーサー300が潰れるような構成であり、作業者の背中上部に位置するスペーサー300に対して作業者が違和感を持つことを防止することができる。
【0058】
[衣服の内部における空気の流れ例]
図9は、本発明の実施の形態におけるスペーサー300をスペーサー収容部210に収納した場合の衣服100の内部における空気の流れの一例を示す図である。
図9には、衣服100を着衣した作業者の後ろ姿を簡略化して示す。また、
図9には、衣服100の開口部161、162に冷却ファン310、320を取り付けた場合の例を示す。
【0059】
冷却ファン310、320は、駆動部(例えば、モータ)と、その駆動部により回転させる羽体とを備える送風機である。そして、冷却ファン310、320の羽体が回転することにより、衣服100の外部の空気が開口部161、162を介して衣服100の内部に送り込まれる。
【0060】
例えば、冷却ファン310、320により衣服100の内部に送り込まれた空気は、作業者の身体(または、衣服100の内側に身に着けている衣服)に当たり拡散される。また、冷却ファン310、320により衣服100の内部に空気が順次送り込まれるため、衣服100の内部に空気が溜まる。このため、衣服100の内部に溜められた空気が、衣服100の外部に順次排出されることになる。
【0061】
本発明の実施の形態では、衣服100の背中部分の上部(襟部110の下側)に設けられるスペーサー収容部210にスペーサー300が配置される。このため、少なくともスペーサー収容部210の左右方向の両側に空気流通路が確保される。これにより、冷却ファン310、320の作動で衣服100の内部に送り込まれた空気は、例えば、矢印21乃至24に示すように、スペーサー収容部210の左側の空気流通路を経由して襟部110から外部に排出される。また、冷却ファン310、320により衣服100の内部に送り込まれた空気は、例えば、矢印25乃至28に示すように、スペーサー収容部210の右側の空気流通路を経由して襟部110から外部に排出される。
【0062】
また、本発明の実施の形態では、スペーサー収容部210の下端部に位置する縫製部216が開放部222(
図8(2)に示す)により一部開放される。なお、面ファスナー211、212によりスペーサー収容部210の開口部221の一部が閉じられるが一部は開放される。このため、スペーサー収容部210の内部(または、スペーサー300の内部)においても空気流通路が形成される。これにより、冷却ファン310、320の作動で衣服100の内部に送り込まれた空気は、例えば、矢印31乃至34に示すように、スペーサー収容部210の内部の空気流通路を経由して襟部110から外部に排出される。
【0063】
また、本発明の実施の形態では、スペーサー収容部210の背面側にも通風路200が形成される。このため、スペーサー収容部210の背面側においても空気流通路が形成される。これにより、冷却ファン310、320の作動で衣服100の内部に送り込まれた空気は、例えば、矢印31乃至34に示すように、スペーサー収容部210の背面側の空気流通路を経由して襟部110から外部に排出される。
【0064】
このように、本発明の実施の形態によれば、衣服100の内部において通風路を確実に確保することができ、衣服100を着衣した作業者の姿勢により通風路が遮断されることを防止することができる。これにより、通風路により空気を効率的に排出できるとともに、身体を効率的に冷却できる。すなわち、衣服100を着衣した作業者を適切に冷却できる。
【0065】
なお、本発明の実施の形態では、正面視で略円形状の冷却ファン310、320を用いる例を示した。ただし、衣服100の開口部161、162が正面視で略八角形状であるため、冷却ファン310、320の形状も正面視で略八角形状とするようにしてもよい。このように、衣服100の開口部161、162の形状と、冷却ファンの形状とを、正面視で略八角形状とすることにより、冷却ファンを衣服100に取り付ける際には、各頂点が対応する頂点に合うように冷却ファンを開口部161、162に取り付けることができる。このように、衣服100の開口部161、162の形状と、冷却ファンの形状とを、正面視で略八角形状とすることにより、これらの双方が正面視で円形状の場合と比較して取り付けやすくすることができる。また、冷却ファンの形状を多角形状とすることにより、冷却ファンを固定するための固定部材(例えば、ねじ)が緩むことを防止することができる。また、冷却ファンの形状を多角形状とすることにより、冷却ファン自体が回転することを防止することができる。
【0066】
また、本発明の実施の形態では、衣服100の開口部161、162の形状を正面視で略八角形状とする例を示した。ただし、本発明は、これに限定されない。例えば、衣服100の開口部161、162の形状を、八角形状以外の他の多角形状(例えば、四角形状、六角形状)とするようにしてもよく、他の形状(例えば、円形状、楕円形状)とするようにしてもよい。
【0067】
また、本発明の実施の形態では、衣服100の2つの開口部161、162に、2つの冷却ファン310、320を取り付ける例を示した。ただし、本発明は、これに限定されない。例えば、衣服100に1または3以上の開口部を設け、これらの開口部に応じた数の冷却ファンを衣服100に取り付けるようにしてもよい。
【0068】
また、本発明の実施の形態では、袖がないベスト(チョッキ)を衣服100の一例として示した。ただし、本発明はこれに限定されない。例えば、袖がある衣服についても本発明の実施の形態を適用することができる。
【0069】
最後に、上述した各実施の形態の説明は本発明の一例であり、本発明は上述の実施の形態に限定されることはない。このため、上述した各実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。