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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-122936(P2020-122936A)
(43)【公開日】2020年8月13日
(54)【発明の名称】波長可変フィルタ及び光学システム
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/35 20060101AFI20200717BHJP
   G02B 26/08 20060101ALI20200717BHJP
【FI】
   G02B6/35
   G02B26/08 E
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-16107(P2019-16107)
(22)【出願日】2019年1月31日
(11)【特許番号】特許第6688442号(P6688442)
(45)【特許公報発行日】2020年4月28日
(71)【出願人】
【識別番号】591102693
【氏名又は名称】サンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】桜井 康樹
【テーマコード(参考)】
2H141
【Fターム(参考)】
2H141MA16
2H141MB24
2H141MD12
2H141MD20
2H141MD23
2H141ME01
2H141ME04
2H141ME06
2H141ME09
2H141ME13
2H141ME23
2H141ME24
2H141ME29
2H141MF14
2H141MF28
2H141MZ13
(57)【要約】
【課題】光通信機器の小型に好適な波長可変フィルタを提供する。
【解決手段】本開示の一側面に係る波長可変フィルタ100は、光検出器180を備える。この波長可変フィルタ100では、回折格子150により分散した入力光が可変ミラー160で反射される。波長可変フィルタ100は、可変ミラー160で反射された入力光のうち、正規光路を通る、可変ミラー160における反射面の角度に応じた特定波長帯の光を出力する。光検出器180は、入力光の伝播経路に設けられ、入力光の一部の光強度を検出する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力部と、
前記入力部からの入力光を分散させる回折格子と、
前記回折格子により分散した前記入力光を反射する、角度変更可能な反射面を有する可変ミラーと、
前記可変ミラーで反射された前記入力光のうち、正規光路を通る、前記反射面の角度に応じた中心波長を有する特定波長帯の光を出力する出力部と、
前記入力部から前記出力部までの前記入力光の伝播経路に設けられ、前記入力光の一部の光強度を検出する光検出器と、
を備える波長可変フィルタ。
【請求項2】
前記光検出器は、前記回折格子により分散した前記入力光における、前記特定波長帯とは別の前記中心波長から離れた波長帯の光を受光し、その光強度を検出するように配置される請求項1記載の波長可変フィルタ。
【請求項3】
前記正規光路上の前記特定波長帯の光が集光する焦点位置において、前記特定波長帯の光に近接する前記中心波長から離れた波長帯の光を、前記光検出器に導く分離要素を備える請求項2記載の波長可変フィルタ。
【請求項4】
前記正規光路上に、前記特定波長帯の光を通過させるためのアパーチャを有する反射ミラーを備え、
前記反射ミラーは、前記アパーチャの径方向外側を伝播する前記中心波長から離れた波長帯の光を前記光検出器に向けて反射するように構成される請求項2記載の波長可変フィルタ。
【請求項5】
前記可変ミラーで反射された前記入力光のうち、前記正規光路を通る前記特定波長帯の光を選択的に、前記出力部に向けて反射する波長選択要素を、前記正規光路上に備え、
前記光検出器は、前記波長選択要素に対する前記入力光の進行方向下流側で、前記波長選択要素により反射されない前記中心波長から離れた波長帯の光を受光するように構成される請求項2記載の波長可変フィルタ。
【請求項6】
前記波長選択要素は、中央領域の反射率が前記中央領域の周囲に位置する周囲領域の反射率よりも高く、前記周囲領域が前記入力光に対して透過性を有する反射面を有し、前記特定波長帯の光を、前記中心波長に近い波長成分ほど高い反射率で反射するように構成される請求項5記載の波長可変フィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、波長可変フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、波長分割多重(WDM)光通信技術を用いた光通信ネットワークが知られている。この光通信ネットワークには、光ファイバの伝送損失を補償するために、光増幅器が配置される。光増幅器としては、例えばエルビウムドープ光ファイバ増幅器(EDFA)が用いられる。
【0003】
光増幅器では、光信号の増幅時に、光信号にASE(Amplified Spontaneous Emission)ノイズが付加される。ASEノイズは、光信号の伝送距離を制限する。このため、光通信ネットワークには、ASEノイズを除去するための波長可変フィルタが配置される。
【0004】
波長可変フィルタとしては、回折格子を備える波長可変フィルタが知られている(例えば特許文献1,2参照)。回折格子を備える波長可変フィルタは、入力光に含まれる特定波長成分のみが出力光ファイバに入力されるように、回折格子で分散した入力光をミラーで反射する。ミラーは、反射面の角度を変更可能に構成される。反射面の角度調整によって出力光ファイバに結合する波長帯が変化する。
【0005】
波長可変フィルタの通過帯域は、温度により変化する。更には、外的環境により緩やかに経時変化する。そのため、従来では、波長可変フィルタを通過した光の強度を光検出器で検出し、検出された光強度に基づき反射面の角度を調整している。例えば、波長可変フィルタにおける反射面の角度は、光検出器で検出される光信号の強度が最大となるように調整される。これにより、波長可変フィルタの中心波長は、光信号の波長に一致するように調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許公開2008/0085119号公報
【特許文献2】特開2008−203508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、光トランシーバ等の波長可変フィルタを内蔵する光通信機器の大きさは、CFP、CFP2、CFP4等の規格によって制限されており、小型化が要求されている。
【0008】
しかしながら、光検出器を波長可変フィルタとは別に機器内に配置する構成は、光通信機器の小型化を阻害する要因になる。更に言えば、光信号の一部を分岐して、その強度を検出する手法では、光通信機器全体の挿入損失が大きくなる。
【0009】
そこで、本開示の一側面によれば、光通信機器の小型に好適な波長可変フィルタを提供できることが望ましい。更には、挿入損失を抑制可能な波長可変フィルタを提供できることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一側面に係る波長可変フィルタは、入力部と、回折格子と、可変ミラーと、出力部と、光検出器と、を備える。回折格子は、入力部からの入力光を分散させる。可変ミラーは、回折格子により分散した入力光を反射する、角度変更可能な反射面を有する。
【0011】
出力部は、可変ミラーで反射された入力光のうち、正規光路を通る、反射面の角度に応じた中心波長を有する特定波長帯の光を出力する。光検出器は、入力部から出力部までの入力光の伝播経路に設けられ、入力光の一部の光強度を検出する。
【0012】
光検出器が内蔵された波長可変フィルタによれば、波長可変フィルタの通過帯域の調整のために、光検出器を波長可変フィルタとは別に光通信機器内に配置する必要がない。従って、この波長可変フィルタは、光通信機器の小型化に役立つ。
【0013】
本開示の一側面によれば、光検出器は、回折格子により分散した入力光における、特定波長帯とは別の上記中心波長から離れた波長帯の光を受光し、その光強度を検出するように配置されてもよい。
【0014】
波長可変フィルタからの出力対象の波長帯とは少なくとも部分的に波長範囲が異なる、出力対象の波長帯の中心波長から離れた別の波長帯を用いて、入力光の光強度を検出すれば、波長可変フィルタの挿入損失を抑制することができる。
【0015】
本開示の一側面によれば、正規光路上の特定波長帯の光が集光する焦点位置において、特定波長帯の光に近接する上記中心波長から離れた波長帯の光を、光検出器に導く分離要素を備えてもよい。
【0016】
焦点位置では、入力光に含まれる波長成分がよく空間的に分離する。従って、焦点位置での分離は、出力対象の波長帯とは別の波長帯を用いて、入力光の光強度を検出することを可能にする。
【0017】
本開示の一側面によれば、正規光路上に、特定波長帯の光を通過させるためのアパーチャを有する反射ミラーを備えてもよい。反射ミラーは、アパーチャの径方向外側を伝播する上記中心波長から離れた波長帯の光を光検出器に向けて反射するように構成されてもよい。
【0018】
本開示の一側面によれば、可変ミラーで反射された入力光のうち、正規光路を通る特定波長帯の光を選択的に、出力部に向けて反射する波長選択要素を、正規光路上に備えてもよい。光検出器は、波長選択要素に対する入力光の進行方向下流側で、波長選択要素により反射されない上記中心波長から離れた波長帯の光を受光するように構成されてもよい。
【0019】
本開示の一側面によれば、波長選択要素は、中央領域の反射率が中央領域の周囲に位置する周囲領域の反射率よりも高く、前記周囲領域が入力光に対して透過性を有する反射面を有し、特定波長帯の光を、中心波長に近い波長成分ほど高い反射率で反射するように構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】波長可変フィルタ及びコントローラを含む機器の構成を表すブロック図である。
図2】第一実施形態の波長可変フィルタの構成を表す図である。
図3】分離フィルタが焦点位置に配置されることを説明する図である。
図4図4Aは、分離フィルタの表面の構成を表す図であり、図4Bは、分離フィルタの断面構成を表す図である。
図5】第一実施形態の波長可変フィルタが取り扱う光の周波数スペクトルとフィルタ特性とを示すグラフである。
図6】検出される光強度と角度可変ミラーの駆動電圧との関係を説明した図である。
図7図7Aは、第一実施形態に対する変形例の出力光ファイバの断面図であり、図7Bは、出力光ファイバの端面の構成を表す平面図である。
図8】第二実施形態の波長可変フィルタの構成を表す図である。
図9】第二実施形態の波長可変フィルタが取り扱う光の周波数スペクトルとフィルタ特性とを示すグラフである。
図10】検出される光強度と角度可変ミラーの駆動電圧との関係を説明した図である。
図11】変形例の波長セレクタの構成を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本開示の例示的実施形態を、図面を参照しながら説明する。
(1)第一実施形態
図1に示す本実施形態の波長可変フィルタ100は、コントローラ10により制御され、波長の通過帯域を変更可能に構成される。波長可変フィルタ100及びコントローラ10は、光通信機器に内蔵される。
【0022】
図2に示すように、波長可変フィルタ100は、入出力ファイバ110と、コリメートレンズ120と、第一ビーム整形レンズ130と、第二ビーム整形レンズ140と、回折格子150と、角度可変ミラー160と、分離フィルタ170と、光検出器180と、を備える。
【0023】
入出力ファイバ110は、入力光ファイバ111と出力光ファイバ115とを備える。入力光ファイバ111及び出力光ファイバ115は、互いに隣接して並列配置される。図2の一点鎖線内に示される入力光ファイバ111及び出力光ファイバ115は、これらが図2紙面法線方向に並んでいることを示す。
【0024】
入力光ファイバ111は、上流から伝送されてくる光を波長可変フィルタ100の内部空間に入力するように構成される。出力光ファイバ115は、波長可変フィルタ100の内部空間を通過した光を下流に伝送するように構成される。
【0025】
コントローラ10により波長可変フィルタ100の通過帯域が調整されることで、波長可変フィルタ100は、入力光ファイバ111からの入力光に含まれる信号成分を通過させ、ノイズ成分の通過を遮断するように動作する。
【0026】
入力光ファイバ111からの入力光は、コリメートレンズ120、第一ビーム整形レンズ130、第二ビーム整形レンズ140、及び、回折格子150を順に通って、角度可変ミラー160に伝播する。
【0027】
コリメートレンズ120では、入力光ファイバ111からの入力光がコリメートされる。第一ビーム整形レンズ130及び第二ビーム整形レンズ140では、コリメートされた入力光のビーム形が調整される。
【0028】
ビーム形が調整された入力光は、回折格子150を通過し、その過程で分散する。すなわち、入力光は、入力光に含まれる異なる波長成分が空間的に分離した状態で角度可変ミラー160に伝播する。このように分散した入力光は、角度可変ミラー160で反射される。
【0029】
図2において破線で示される矢印は、角度可変ミラー160で反射する入力光のうち、出力光ファイバ115を通じて下流に伝播する通過帯域の波長成分以外の波長成分の伝播を概念的に示している。図2において実線で示される矢印は、入力光のうち、通過帯域の波長成分の伝播を概念的に示している。
【0030】
角度可変ミラー160で反射した入力光は、回折格子150、第二ビーム整形レンズ140、第一ビーム整形レンズ130、及びコリメートレンズ120を通って、その一部のみが、出力光ファイバ115に入力され、下流に伝播する。
【0031】
すなわち、角度可変ミラー160で反射された入力光は、角度可変ミラー160の反射面の角度に応じた中心波長を有する特定波長帯の波長成分のみが、出力光ファイバ115に至る正規光路を通って、出力光ファイバ115に入力され、下流に伝送される。特定波長帯は、波長可変フィルタ100の通過帯域に対応する。
【0032】
角度可変ミラー160は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーとして構成され、反射面の角度が、コントローラ10からの印加電圧に応じて変化するように構成される。
【0033】
コントローラ10は、角度可変ミラー160への印加電圧を調整することにより、信号成分の中心波長に一致するように、波長可変フィルタ100の通過帯域の中心波長を調整する。
【0034】
分離フィルタ170は、図3に示すように、第一ビーム整形レンズ130と、第二ビーム整形レンズ140との間の焦点位置、具体的には、正規光路を伝播する特定波長帯の波長成分が集光する焦点位置に設けられている。図3に示す破線は、特定波長帯の波長成分の伝播を概念的に示している。
【0035】
角度可変ミラー160で反射された入力光は、分散により空間的に幅を有した状態で伝播し、上記特定波長帯の中心波長から離れた波長成分ほど、正規光路から離れて伝播する。正規光路の周辺を伝播する特定波長帯以外の波長成分は、分離フィルタ170により、近接する特定波長帯の波長成分から更に空間的に離れるように分離され、光検出器180に誘導される。
【0036】
図4A及び図4Bに示すように、分離フィルタ170は、正規光路を伝播する特定波長帯の波長成分が、出力光ファイバ115側に通過可能なアパーチャ171を有した反射ミラーとして構成される。
【0037】
図4Aは、第二ビーム整形レンズ140側を向く分離フィルタ170の表面の構成を説明する図であり、図4Aにおいてハッチングされた分離フィルタ170の表面領域は、光の反射領域に対応する。
【0038】
アパーチャ171は、分離フィルタ170の中心に設けられる。アパーチャ171は、焦点位置での特定波長帯のビーム径(図4Aにおいて一点鎖線で示す)に対応する径を有する。アパーチャ171は、図4Bに示すように光が通過可能な孔、あるいは、透明な窓として構成される。
【0039】
上述した構成により、分離フィルタ170は、アパーチャ171の内側を通る特定波長帯の波長成分を出力光ファイバ115側に通過させ、アパーチャ171の径方向外側を伝播する特定波長帯の中心波長から離れた波長帯の光を反射するように機能する。
【0040】
図2と同様に、図4Bにおける実線矢印は、特定波長帯の波長成分の伝播を概念的に示し、図4Bにおける破線矢印は、光検出器180に誘導される特定波長帯以外の波長成分の伝播を概念的に示している。
【0041】
図5には、1波長400GbpsのWDMネットワークにおける光の周波数スペクトルを、横軸を周波数とするグラフ上に実線で示す。64Gboundで多値変調された400Gbps信号は、周波数軸上でほぼ同一の幅64GHzの帯域を占有する。この信号が光増幅器で増幅されて送信される場合、他のWDM信号にASEノイズが付与されるため、他のWDM信号のSN比が劣化する。
【0042】
ASEノイズが付加された入力光を波長可変フィルタ100で濾過する場合、回折格子150による分散を利用した濾過では、フィルタ特性が図5破線で示すようにガウシアン形状を採る。このガウシアン形状のフィルタ特性によれば、チャネル間隔100GHzで、隣接チャンネルに対応するノイズ成分を信号成分よりも40dB以上小さくすることができる。
【0043】
本実施形態では、分離フィルタ170が更に、入力光に含まれる信号成分以外のノイズ成分、具体的にはASEノイズを含む図5においてハッチング領域で示すノイズ成分を光検出器180に導く。コントローラ10は、この光検出器180により検出されるノイズ成分の光強度に基づき、波長可変フィルタ100の通過帯域と信号成分との波長合わせを行う。
【0044】
光検出器180により検出される光強度は、波長可変フィルタ100の通過帯域の中心波長と信号成分の中心波長とが正確に一致しており、それにより入力光の信号成分が正しくアパーチャ171内に収まっているとき最小値を採る。そして、光検出器180により検出される光強度は、波長のずれ量が大きくなるにつれて、大きくなる。
【0045】
コントローラ10は、波長可変フィルタ100の調整モードにおいて、波長可変フィルタ100に対する印加電圧を変更しながら、各電圧での光強度を光検出器180からの検出信号に基づき特定する。そして、図6に示すように、最小の光強度が検出された電圧V1を波長可変フィルタ100の駆動電圧Vdに決定する。
【0046】
コントローラ10は、波長可変フィルタ100の駆動モードでは、調整モードで決定された駆動電圧Vdを波長可変フィルタ100に印加することにより、波長可変フィルタ100の通過帯域を、入力光の信号成分に対応させる。
【0047】
別例として、コントローラ10は、上記検出された電圧毎の光強度から特定される同一の光強度を示す電圧V11,V12の中点を、波長可変フィルタ100の駆動電圧Vdに決定してもよい。この場合にも、コントローラ10は、波長可変フィルタ100の通過帯域の中心波長が信号成分の中心波長に一致する、波長可変フィルタ100の駆動電圧Vdを特定することができる。
【0048】
上述したように本実施形態の波長可変フィルタ100は、光検出器180を内蔵しており、波長可変フィルタ100の外部に光検出器を設けなくても、入力光の光強度から、波長可変フィルタ100の通過帯域を信号成分の波長に合わせることができる。
【0049】
従って、本実施形態の波長可変フィルタ100を用いれば、波長可変フィルタ100の通信帯域の調整のために、光検出器を波長可変フィルタ100の外部に備える光通信機器と比較して、光通信機器を小型にすることができる。
【0050】
更に、本実施形態によれば、入力光に含まれる信号成分以外のノイズ成分を利用して光強度を検出し、検出した光強度に基づいて、波長可変フィルタ100の通過帯域を調整するので、波長可変フィルタ100における信号成分の挿入損失を抑制することができる。
【0051】
従って、本実施形態によれば、挿入損失の抑制及び光通信機器の小型化に役立つ波長可変フィルタ100を提供することができる。
【0052】
(1.1)変形例
上述した第一実施形態では、第一ビーム整形レンズ130と第二ビーム整形レンズ140との間の焦点位置に、分離フィルタ170を配置し、分離フィルタ170の機能により、特定波長帯以外の波長成分を、光検出器180に誘導した。しかしながら、特定波長帯以外の波長成分は、出力光ファイバ115の端面に反射膜115Cを設けることにより、光検出器181に誘導されてもよい。
【0053】
すなわち、第一実施形態の波長可変フィルタ100は、分離フィルタ170及び光検出器180を備えない構成に変形されてもよい。代わりに、この変形例の波長可変フィルタ100は、出力光ファイバ115の傾斜した端面に反射膜115Cを備えることができる。
【0054】
図7A及び図7Bに示す変形例の波長可変フィルタ100では、出力光ファイバ115が、コア115A周囲のクラッド115Bの端面に反射膜115Cを備える。変形例の波長可変フィルタ100は更に、反射膜115Cから到来する特定波長帯以外の波長成分を受光し、その光強度を検出する光検出器181を備える。
【0055】
変形例の波長可変フィルタ100は、分離フィルタ170及び光検出器180に代えて、反射膜115C及び光検出器181を備え、第一実施形態とは別の出力光ファイバ115の端面に合わせられた焦点位置で、特定波長帯以外の波長成分を分離する点を除いて、第一実施形態と同様である。
【0056】
コントローラ10は、光検出器181からの検出信号に基づき、上述した実施形態と同様に、最小の光強度が検出された電圧V1を、波長可変フィルタ100の駆動電圧Vdに決定し、これにより、波長可変フィルタ100の通過帯域を、入力光の信号成分に対応させることができる。
【0057】
(2)第二実施形態
続いて第二実施形態の波長可変フィルタ200の構成を説明する。図8に示す波長可変フィルタ200は、入出力ファイバ210と、ビーム整形レンズ230と、回折格子250と、角度可変ミラー260と、波長セレクタ270と、光検出器280と、を備える。
【0058】
光検出器280による光強度の検出信号は、波長可変フィルタ200に接続されたコントローラ20に入力される。コントローラ20は、光検出器280からの検出信号に基づき、MEMSミラーとして構成される角度可変ミラー260の駆動電圧Vdを調整するように構成される。
【0059】
波長可変フィルタ200において、入出力ファイバ210は、第一実施形態と同様に、入力光ファイバ211及び出力光ファイバ215を備える。入力光ファイバ211及び出力光ファイバ215は、互いに隣接して並列配置される。図8の一点鎖線内に示される入力光ファイバ211及び出力光ファイバ215は、これらが図8紙面法線方向に並んでいることを示す。
【0060】
入力光ファイバ211は、上流から伝送されてくる光を波長可変フィルタ200の内部空間に入力するように構成される。出力光ファイバ215は、波長可変フィルタ200の内部空間を通過した光を下流に伝送するように構成される。
【0061】
入力光ファイバ211からの入力光は、ビーム整形レンズ230、及び、回折格子250を順に通って、角度可変ミラー260に伝播する。ビーム整形レンズ230によりビーム形が調整された入力光は、回折格子250を通過し、その過程で分散する。このように分散した入力光が、角度可変ミラー260で反射される。
【0062】
図2と同様、図8において破線で示される矢印は、角度可変ミラー260で反射する入力光のうち、出力光ファイバ215を通じて下流に伝播する通過帯域の波長成分以外の波長成分の伝播を概念的に示している。図8において実線で示される矢印は、入力光のうち、通過帯域の波長成分の伝播を概念的に示している。
【0063】
角度可変ミラー260で反射した入力光は、回折格子250及びビーム整形レンズ230を通って、波長セレクタ270及び光検出器280が配置された領域に伝播する。光検出器280は、波長セレクタ270よりも入力光の進行方向下流側に位置する。
【0064】
波長セレクタ270は、波長可変フィルタ200の通過帯域に対応する特定波長帯の波長成分が伝播する正規光路上に配置され、正規光路を伝播する特定波長帯の波長成分を選択的に反射するように機能する。
【0065】
角度可変ミラー260で反射された入力光は、分散により空間的に幅を有した状態で伝播し、上記特定波長帯の中心波長から離れた波長成分ほど、正規光路から離れて伝播する。正規光路の周辺を伝播する上記特定波長帯の中心波長から離れた波長成分は、波長セレクタ270には衝突せず、波長セレクタ270の周囲を通り抜けて、光検出器280で受光される。
【0066】
波長セレクタ270で反射した特定波長帯の波長成分は、再び、ビーム整形レンズ230及び回折格子250を通って、角度可変ミラー260に伝播する。更に、この特定波長帯の波長成分は、角度可変ミラー260で反射し、ビーム整形レンズ230を通って、出力光ファイバ215に入力され、下流に伝送される。
【0067】
図9には、図5と同様のWDMネットワークにおける光の周波数スペクトルを、波長可変フィルタ200のフィルタ特性と共に、横軸を周波数とするグラフで示す。
【0068】
入力光に含まれるASEノイズを、波長セレクタ270を用いて取り除く波長可変フィルタ200は、波長セレクタ270のサイズに対応した通過帯域幅を有するトップハット形状のフィルタ特性を示す。図9において破線で示されるトップハット形状のフィルタ特性によれば、チャネル間隔50GHzで、隣接チャンネルに対応するノイズ成分を信号成分よりも40dB以上、小さくすることができる。
【0069】
入力光に含まれる信号成分以外のノイズ成分は、上述したように、波長セレクタ270で反射されずに、光検出器280に伝播する。コントローラ20は、光検出器280により検出される光強度に基づき、波長可変フィルタ200の通過帯域と信号成分との波長合わせを行う。
【0070】
光検出器280により検出される光強度は、第一実施形態と同様、波長可変フィルタ200の通過帯域の中心波長と信号成分の中心波長とが正確に一致しており、それにより入力光の信号成分が正しく波長セレクタ270の反射面に収まっているとき最小値を採る。そして、光検出器280により検出される光強度は、波長ずれが大きくなるにつれて、大きくなる。
【0071】
コントローラ20は、波長可変フィルタ200の調整モードでは、波長可変フィルタ200に対する印加電圧を変更しながら、各電圧での光強度を光検出器280からの検出信号に基づき特定する。そして、図10に示すように、上記検出された電圧毎の光強度から特定される同一の光強度を示す電圧V21,V22の中点V2を、波長可変フィルタ200の駆動電圧Vdに決定する。
【0072】
コントローラ20は、波長可変フィルタ200の駆動モードでは、調整モードで決定された駆動電圧Vdを波長可変フィルタ200に印加することにより、波長可変フィルタ200の通過帯域を、入力光の信号成分に対応させる。
【0073】
このように本実施形態の波長可変フィルタ200は、トップハット形状のフィルタで、入力光ファイバ211からの入力光に含まれるノイズ成分を適切に除去して、出力光ファイバ215に伝送することができる。
【0074】
更に、波長可変フィルタ200は、光検出器280を内蔵しており、波長可変フィルタ200の外部に光検出器を設けなくても、入力光の光強度から、波長可変フィルタ200の通過帯域を光信号に合わせることができる。従って、本実施形態の波長可変フィルタ200を用いれば、第一実施形態と同様に、光通信機器を小型にすることができる。
【0075】
更に、本実施形態によれば、第一実施形態と同様に、入力光に含まれる信号成分以外のノイズ成分を利用して光強度を検出し、検出した光強度に基づいて、波長可変フィルタ200の通過帯域を適切に調整するので、信号成分の挿入損失を抑制することができる。従って、本実施形態によれば、挿入損失の抑制及び光通信機器の小型化に役立つ波長可変フィルタ200を提供することができる。
【0076】
(2.1)変形例
第二実施形態では、波長可変フィルタ200がトップハット形状のフィルタ特性を有することから、光検出器280において検出される光強度の変化は、図10に示すように、最小値付近で、印加電圧の変化に対して緩やかである。そのため、上述した手法で、角度可変ミラー260の駆動電圧Vdを決定しても、波長可変フィルタ200の通過帯域と信号成分との波長合わせを、高精度に行うことができない可能性がある。
【0077】
従って、波長合わせの精度を向上させるために、第二実施形態の波長可変フィルタ200は、波長セレクタ270に代えて、図11に示す波長セレクタ271を備えるように変形されてもよい。
【0078】
変形例の波長セレクタ271では、光検出器280とは反対側を向く表面が、中心に近い領域ほど高い反射率を有する、反射率が一様ではない反射面として構成される。図11において一点鎖線で示される円であって最小半径を有する円で示される波長セレクタ271の中央領域R1は、信号成分の全体を反射するように高い反射率を有する領域として構成される。
【0079】
中央領域R1の周囲を囲む円で示される中央領域R1に隣接する第一の周辺領域R2は、中央領域R1よりも低い反射率を有し、第一の周辺領域R2に入射する光の一部を光検出器280に向けて透過させる領域として構成される。
【0080】
第一の周辺領域R2の周囲を囲む円で示される第二の周辺領域R3は、第一の周辺領域R2よりも低い反射率及び高い透過率を有する領域として構成される。第二の周辺領域R3を囲む残りの周辺領域R4は、第二の周辺領域R3よりも低い反射率及び高い透過率を有する領域として構成される。
【0081】
このように、通過帯域の中心波長から離れた波長成分ほど、当該波長成分が波長セレクタ271を部分的に透過して光検出器280で受光される変形例の波長可変フィルタ200によれば、光検出器280における光強度の分布において、最小点が明瞭に表れる。図10において破線で示される光強度の分布が、波長セレクタ271を用いた場合の光強度の分布に対応する。
【0082】
したがって、変形例によれば、コントローラ20は、第一実施形態と同様に、波長可変フィルタ200に対する印加電圧を走査して得られる、印加電圧対光強度の分布(図10破線で示される分布)において、最小の光強度が検出された電圧を、波長可変フィルタ100の駆動電圧Vdに決定することができる。
【0083】
変形例によれば、トップハット型のフィルタ特性を有する波長可変フィルタ200において、より高精度に、通過帯域の中心波長を、入力光に含まれる信号成分の中心波長に合わせることができて、入力光からノイズ成分を適切に除去することができる。
【0084】
(3)その他
以上では、変形例を含む第一実施形態及び第二実施形態の波長可変フィルタ100,200の構成を説明したが、本開示は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の態様をとることができる。
【0085】
例えば、上述の例示的実施形態は、入力光に含まれる信号成分以外のノイズ成分を利用して、角度可変ミラー160,260の駆動電圧Vdを調整する思想を含むが、この調整は、信号成分の光強度を検出することにより実現されてもよい。
【0086】
すなわち、波長可変フィルタ100,200は、信号成分の一部を分岐させて光検出器180,280に誘導し、この分岐光の光強度に基づいて、角度可変ミラー160,260の駆動電圧Vdを調整するように構成されてもよい。
【0087】
上記実施形態における1つの構成要素が有する機能は、複数の構成要素に分散して設けられてもよい。複数の構成要素が有する機能は、1つの構成要素に統合されてもよい。上記実施形態の構成の一部は、省略されてもよい。上記実施形態の構成の少なくとも一部は、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換されてもよい。特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0088】
10,20…コントローラ、100,200…波長可変フィルタ、110,210…入出力ファイバ、111,211…入力光ファイバ、115,215…出力光ファイバ、115A…コア、115B…クラッド、115C…反射膜、120…コリメートレンズ、130,140,230…ビーム整形レンズ、150,250…回折格子、160,260…角度可変ミラー、170…分離フィルタ、171…アパーチャ、180,181,280…光検出器、270,271…波長セレクタ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2019年9月17日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長可変フィルタと、
コントローラと、
を備える光学システムであって、
前記波長可変フィルタが、
入力部と、
前記入力部からの入力光を分散させる回折格子と、
前記回折格子により分散した前記入力光を反射する、角度変更可能な反射面を有する可変ミラーと、
前記可変ミラーで反射された前記入力光のうち、正規光路を通る、前記反射面の角度に応じた中心波長を有する特定波長帯の光を出力する出力部と、
前記特定波長帯の光を通過させるためのアパーチャを有する前記正規光路上に設けられた反射ミラーであって、前記特定波長帯とは別の、前記アパーチャの径方向外側を伝播する前記中心波長から離れた波長帯の光を反射するように構成された反射ミラーと、
前記反射ミラーにより反射された前記中心波長から離れた波長帯の光を受光し、その光強度を検出する光検出器と、
を備え
前記コントローラが、前記光検出器により検出される光強度を最小化するように前記可変ミラーの前記反射面の角度を制御する光学システム
【請求項2】
前記アパーチャが、前記正規光路上の前記特定波長帯の光が集光する焦点位置に配置された請求項記載の光学システム
【請求項3】
波長可変フィルタであって、
入力部と、
前記入力部からの入力光を分散させる回折格子と、
前記回折格子により分散した前記入力光を反射する、角度変更可能な反射面を有する可変ミラーと、
前記可変ミラーで反射された前記入力光のうち、正規光路を通る前記反射面の角度に応じた中心波長を有する特定波長帯の光を選択的反射する、前記正規光路上に設けられた波長選択要素と、
前記可変ミラーで反射された前記入力光のうち、前記波長選択要素によって反射された前記特定波長帯の光を出力する出力部と、
前記可変ミラーで反射された前記入力光の前記波長選択要素に対する行方向下流側で、前記特定波長帯とは別の、前記波長選択要素により反射されない前記中心波長から離れた波長帯の光を受光し、その光強度を検出する光検出器と、
を備える波長可変フィルタ。
【請求項4】
前記波長選択要素は、中央領域の反射率が前記中央領域の周囲に位置する周囲領域の反射率よりも高く、前記周囲領域が前記入力光に対して透過性を有する反射面を有し、前記特定波長帯の光を、前記中心波長に近い波長成分ほど高い反射率で反射するように構成される請求項3記載の波長可変フィルタ。
【請求項5】
請求項3又は請求項4記載の波長可変フィルタと、
前記光検出器により検出される光強度を最小化するように、前記波長可変フィルタが備える前記可変ミラーの前記反射面の角度を制御するコントローラと、
を備える光学システム。