特開2020-123081(P2020-123081A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2020-123081来店客数、スタッフのシフト人数、売上、人件費の予測方法、プログラム及び来店客数、スタッフのシフト人数、売上、人件費の予測装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-123081(P2020-123081A)
(43)【公開日】2020年8月13日
(54)【発明の名称】来店客数、スタッフのシフト人数、売上、人件費の予測方法、プログラム及び来店客数、スタッフのシフト人数、売上、人件費の予測装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/12 20120101AFI20200717BHJP
   G06Q 10/04 20120101ALI20200717BHJP
   G06Q 10/06 20120101ALI20200717BHJP
【FI】
   G06Q50/12
   G06Q10/04
   G06Q10/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-13810(P2019-13810)
(22)【出願日】2019年1月30日
(71)【出願人】
【識別番号】515264676
【氏名又は名称】株式会社ROX
(74)【代理人】
【識別番号】100110560
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 恵三
(74)【代理人】
【識別番号】100182604
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 二美
(72)【発明者】
【氏名】中川 達生
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB72
5L049CC24
(57)【要約】      (修正有)
【課題】対象店舗の来店客数、スタッフのシフト人数、売上、人件費を予測する。
【解決手段】外部情報処理端末から対象店舗の過去の来店客数データをコンピュータで受信して、気温及び降水量等を取得する装置に送信する工程と、前記気温及び降水量等を取得する装置から対象店舗の日付、過去の来店客数、気温及び降水量等をコンピュータで受信する工程と、前記日付、過去の来店客数、気温及び降水量等に基づいて対象店舗の来店客数予測をコンピュータで計算する工程と、外部情報処理端末に計算した来店客数予測を送信する工程とを有する。来店客数予測を計算する工程においては、複数の対象店舗の来店客数データを対象として過去の来店客数データの代表値と、前記日付、過去の来店客数、気温及び降水量等とを説明変数として、過去の来店客数予測値を目的変数として、重回帰分析等により得られた計算式により、来店客数を予測する。
【選択図】図3−1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部情報処理端末から対象店舗の過去の来店客数データをコンピュータで受信する工程と、
前記対象店舗の過去の来店客数データを前記コンピュータから気温及び降水量等を取得する装置に送信する工程と、
前記気温及び降水量等を取得する装置から前記対象店舗の日付、過去の来店客数、気温及び降水量等を前記コンピュータで受信する工程と、
前記日付、過去の来店客数、気温及び降水量等に基づいて前記対象店舗の来店客数予測を前記コンピュータで計算する工程と、
前記外部情報処理端末に前記計算した来店客数予測を送信する工程とを有し、
前記来店客数予測を計算する工程においては、複数の対象店舗の来店客数データを対象として前記過去の来店客数データの代表値と、前記日付、過去の来店客数、気温及び降水量等とを説明変数、前記過去の来店客数予測値を目的変数として与えて重回帰分析等を適用して得られた計算式により、前記対象店舗の来店客数予測を計算することを特徴とする来店客数予測方法。
【請求項2】
前記外部情報処理端末に前記計算した来店客数予測とともに前記対象店舗の過去の来店客数データを送信することを特徴とする請求項1記載の来店客数予測方法。
【請求項3】
前記外部情報処理端末に前記計算した来店客数予測とともに前記対象店舗の過去の来店客数データを送信することを特徴とする請求項1記載の来店客数予測方法。
【請求項4】
外部情報処理端末から対象店舗の過去の来店客数データをコンピュータで受信する工程と、
前記対象店舗の日付、過去の来店客数、気温及び降水量等を前記コンピュータで取得する工程と、
前記対象店舗の日付、過去の来店客数、気温及び降水量等の来店客数予測を前記コンピュータで計算する工程と、
前記外部情報処理端末に前記計算した来店客数予測を送信する工程とを有し、
前記来店客数予測を計算する工程においては、前記対象店舗の来店客数過去データの代表値と、前記日付、過去の来店客数、気温及び降水量等とを説明変数、前記過去の来店客数を目的変数として与えて重回帰分析等を適用して得られた計算式により、前記対象店舗の来店客数予測方法。
【請求項5】
対象店舗の日付、過去の来店客数、気温及び降水量等を説明変数とし、過去の来店客数を目的変数として重回帰分析等を適用して計算式を生成し、前記計算式に適用して前記対象店舗の来店客数予測を前記コンピュータで計算することを特徴とする来店客数予測方法。
【請求項6】
来店客数予測に伴って派生する売上予測、注文されるメニュー数の予測、必要な食材料の予測、商品の販売数量予測、必要なスタッフ人数予測、必要な人件費予測等の付随的情報の予測方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の来店客数予測方法をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項8】
対象店舗の日付、過去の来店客数、気温及び降水量等を説明変数とし、前記対象店舗の来店客数を目的変数として重回帰分析等を適用して計算式を生成する手段と、前記対象店舗の来店客数予測を計算する手段とを具備することを特徴とする来店客数予測装置。
【請求項9】
前記予測計算は重回帰分析以外にも、ランダムフォレスト、ニューラルネットワーク、一般化線形モデル、一般化加法モデル、アンサンブル学習モデル、SVCなどの手法を単独で、もしくは組み合わせて予測計算に適用することも本発明に含まれることを特徴とする請求項8に記載の来店客数予測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、来店客数、スタッフのシフト人数、売上、人件費の予測方法、プログラム及び来店客数、スタッフのシフト人数、売上、人件費の予測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、来店客数予測の方法は、本人又は専門家等による経験と勘による推定に委ねられており、恣意的であり、その定量的な予測方法が確立されていないのが現状である。そのため、来店客数予測を出来るほどの経験が無い人員、または予測計算を苦手とする人員は予測の業務を担当することができない。例えば、飲食店の店長は、来店客数を予測するために、数年の経験を必要とする場合がある。
【0003】
しかしながら、飲食店の店長によっては数年の経験をする前に離職をすることがあり、またそもそも予測の計算を習得できないことがある。そのため、店舗によっては来店客数の予測値が大幅に外れてしまう。また、一般的な店舗では来店客数を元に、スタッフのシフト人数、売上、人件費が計算されるが、来店客数予測が外れると、同様にスタッフのシフト人数、売上、人件費の予測も外れるという問題がある。なお、参考となる従来技術として特許文献1に記載ものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平04−000596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
目的は、来店客数、スタッフのシフト人数、売上、人件費の予測を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係る来店客数、スタッフのシフト人数、売上、人件費の予測装置は、外部情報処理端末から該当店舗の過去の来店客数のデータをコンピュータで受信する工程と、該当店舗の所在地の過去の気温及び降水量等のデータを取得する工程と、前記過去の来店客数データ、前記過去の気温及び降水量等に基づいて前記来店客数予測を前記コンピュータで計算する工程と、前記外部情報処理端末に前記計算した来店客数予測を送信する工程と、外部情報処理端末から該当店舗の過去のスタッフのシフトのデータをコンピュータで受信する工程と、前記過去のスタッフのシフトデータ、前記過去の気温及び降水量等に基づいてスタッフのシフト人数予測を前記コンピュータで計算する工程と、外部情報処理端末から該当店舗の過去の客単価のデータをコンピュータで受信する工程と、前記過去の客単価データ、前記過去の気温及び降水量等に基づいて売上予測を前記コンピュータで計算する工程と、外部情報処理端末から該当店舗のスタッフの時給などの労働単価をコンピュータで受信する工程と、前記スタッフの時給などの労働単価データ、前記過去の気温及び降水量等に基づいて人件費予測を前記コンピュータで計算する工程を有する。
【0007】
来店客数予測を計算する工程においては、前記過去の来店客数データの代表値と、前記過去の気温及び降水量、またこれらの変数を組み合わせた変数とを説明変数、前記過去の来店客数を目的変数として与えて重回帰分析等を適用して得られた計算式により、未来の来店客数の予測値を計算し、スタッフのシフト人数予測を計算する工程においては、前期来店客数予測の計算結果と、前記過去のスタッフのシフトデータの代表値と、前記過去の気温及び降水量、またこれらの変数を組み合わせた変数とを説明変数、前記過去のスタッフのシフト人数を目的変数として与えて重回帰分析等を適用して得られた計算式により、未来のスタッフのシフト人数の予測値を計算し、売上予測を計算する工程においては、前期来店客数予測の計算結果と、前記過去の売上データの代表値と、前記過去の気温及び降水量、またこれらの変数を組み合わせた変数とを説明変数、前記過去の売上を目的変数として与えて重回帰分析等を適用して得られた計算式により、未来の売上の予測値を計算し、人件費予測を計算する工程においては、前期来店客数予測の計算結果と、前記過去の人件費データの代表値と、前記過去の気温及び降水量、またこれらの変数を組み合わせた変数とを説明変数、前記過去の人件費を目的変数として与えて重回帰分析等を適用して得られた計算式により、未来の人件費の予測値を計算する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は本実施形態に係る来店客数予測サーバを含む全体システムの構成を示す図である。
図2図2は本実施形態に係る来店客数予測サーバの構成を示す図である。
図3図3は本実施形態に係る来店客数予測サーバの処理を示すフローチャートである。
図4図4図1のスマートフォンの表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係る来店客数予測サーバ20を説明する。図1は本実施形態に係る来店客数予測サーバ20を含む全体システムの構成を示す図である。来店客数予測サーバ20に対して気温及び降水量等取得サーバ30と複数のクライアント端末40とがインターネットを含むネットワーク10を介して相互にデータ等を送受信可能に接続される。クライアント端末40はスマートフォン40−1、タブレット端末40−2・・・・、パソコン40−nなどの情報処理装置をいう。
【0010】
(構成)
来店客数予測サーバ20は、クライアント端末40から送られた過去の来店客数データに基づいて、その店舗に対する来店客数予測値として計算するとともに、来店客数予測値をクライアント端末40に返信するサービス(以下、来店客数予測サービスと称する)を提供する。
来店客数予測サーバ20は、クライアント端末40から送られた過去のスタッフのシフトデータに基づいて、その店舗に対するスタッフのシフト人数予測値として計算するとともに、スタッフのシフト人数予測値をクライアント端末40に返信するサービス(以下、スタッフのシフト人数予測サービスと称する)を提供する。
【0011】
来店客数予測サーバ20は、クライアント端末40から送られた過去の客単価データに基づいて、その店舗に対する売上予測値として計算するとともに、売上予測値をクライアント端末40に返信するサービス(以下、売上予測サービスと称する)を提供する。
来店客数予測サーバ20は、クライアント端末40から送られた過去のスタッフの時給などの労働単価データに基づいて、その店舗に対する人件費予測値として計算するとともに、人件費予測値をクライアント端末40に返信するサービス(以下、人件費予測サービスと称する)を提供する。
【0012】
このサービスを利用する利用者は、時間ごとの来店客数予測値、スタッフのシフト予測値を参照することで、スタッフの労働時間の判断をより効率的に行うことができる。また、利用者は、日ごとの来店客数予測値、スタッフのシフト予測値を参照することにより、スタッフの勤務日の検討や、日ごとの必要となる食材の判断を効率的に行うことができる。更に、売上予測値、人件費予測値を参照することにより、経営計画の策定が容易になる。
【0013】
(来店客数予測サーバ20の構成)
図2は本実施形態に係る来店客数予測サーバ20の構成を示す図である。本実施形態に係る来店客数予測サーバ20は、通信装置24、記憶装置23、メモリ22及びCPU21を備える。通信装置24はクライアント端末40及び気温及び降水量等取得サーバ30に対して各種データ等の通信を実行する。記憶装置23は、「来店客数予測アプリケーション」等のサーバプログラムやOS(Operation System)のデータを記憶する。メモリ22は、プログラム、対象店舗の過去の来店客数データ、スタッフのシフトデータ、客単価データ、スタッフの労働単価データを一時的に格納するワークエリア等として機能する。CPU21は、記憶装置23に記憶された各種プログラムを実行することにより、各種の制御を行う。
【0014】
(来店客数予測サーバ20の処理)
(来店客数予測)
図3は本実施形態に係る来店客数予測サーバ20の処理を示すフローチャートである。来店客数予測サーバ20は、当該サービスを利用する利用者のクライアント端末40から過去の来店客数データを受信する(S11)。来店客数予測サーバ20は、受信した過去の来店客数データを気温及び降水量等取得サーバ30に転送する(S12)。気温及び降水量等取得サーバ30は、過去の来店客数データに基づいて、同日の気温及び降水量等取得処理を実行し、過去の気温及び降水量等のデータ、及び未来の気温及び降水量等のデータを天気予報媒体から取得する。来店客数予測サーバ20は、気温及び降水量等取得サーバ30から日付、過去の来店客数、過去の気温及び降水量、未来の気温及び降水量等を受信し(S13)、受信した日付、過去の来店客数、過去の気温及び降水量等に基づいて対象店舗の来店客数予測を計算する(S14)。この計算方法についての詳細は後述する。
【0015】
来店客数予測サーバ20は、計算した来店客数予測値をクライアント端末40に送信する(S15)。なお、気温及び降水量等のデータ取得処理は、外部の気温及び降水量等取得サーバ30で実行することに限定されることはなく、来店客数予測サーバ20で実行するものであってもよい。また気温及び降水量等のデータ取得処理は、複数の外部の気温及び降水量等取得サーバ30で実行し、様々な処理結果を収集し、いずれかの処理結果としての日付、来店客数、気温及び降水量等を択一的に採用しても良いし、平均値や中央値としての日付、来店客数、気温及び降水量等を採用してもよい。
【0016】
(スタッフのシフト人数数予測)
来店客数予測サーバ20は、当該サービスを利用する利用者のクライアント端末40から過去のスタッフのシフトデータを受信する(S21)。来店客数予測サーバ20は、受信した過去のスタッフのシフトデータを気温及び降水量等取得サーバ30に転送する(S22)。気温及び降水量等取得サーバ30は、過去のスタッフのシフトデータに基づいて、同日の気温及び降水量等取得処理を実行し、過去の気温及び降水量等のデータ、及び未来の気温及び降水量等のデータを天気予報媒体から取得する。来店客数予測サーバ20は、気温及び降水量等取得サーバ30から日付、過去のスタッフのシフト数、過去の気温及び降水量、未来の気温及び降水量等を受信し(S23)、S14にて計算した来店客数予測値、受信した日付、過去のスタッフのシフト数、過去の気温及び降水量等に基づいて対象店舗のスタッフのシフト人数予測を計算する(S24)。この計算方法についての詳細は後述する。来店客数予測サーバ20は、計算したスタッフのシフト人数予測値をクライアント端末40に送信する(S25)。
【0017】
なお、気温及び降水量等のデータ取得処理は、外部の気温及び降水量等取得サーバ30で実行することに限定されることはなく、来店客数予測サーバ20で実行するものであってもよい。また気温及び降水量等のデータ取得処理は、複数の外部の気温及び降水量等取得サーバ30で実行し、様々な処理結果を収集し、いずれかの処理結果としての日付、来店客数、気温及び降水量等を択一的に採用しても良いし、平均値や中央値としての日付、来店客数、気温及び降水量等を採用してもよい。
【0018】
(売上予測)
来店客数予測サーバ20は、当該サービスを利用する利用者のクライアント端末40から過去の客単価データを受信する(S31)。来店客数予測サーバ20は、受信した過去の客単価データを、S14にて計算した来店客数予測値に乗じて売上予測値を計算する(S34)。この計算方法についての詳細は後述する。来店客数予測サーバ20は、計算した売上予測値をクライアント端末40に送信する(S35)。
【0019】
(人件費予測)
来店客数予測サーバ20は、当該サービスを利用する利用者のクライアント端末40から過去のスタッフの時給などの労働単価データを受信する(S41)。来店客数予測サーバ20は、受信した過去の労働単価データを、S24にて計算したスタッフのシフト人数予測値に乗じて人件費予測値を計算する(S44)。この計算方法についての詳細は後述する。来店客数予測サーバ20は、計算した人件費予測値をクライアント端末40に送信する(S45)。
【0020】
(来店客数予測の計算式)
(計算式の説明)
来店客数予測サーバ20は、気温及び降水量等取得サーバ30から受信した対象店舗の過去の来店客数データから取得した対象店舗の日付、過去の来店客数、気温及び降水量等に基づいて、対象となった店舗の来店客数予測値を計算するための計算式のデータを記憶する。この計算式は、重回帰分析を適用した重回帰式(1)で与えられる。(1)式において、yは目的変数、xは説明変数、bは回帰係数、aは回帰定数である。重回帰式(1)は、目的変数yを複数の説明変数x(x1、x2・・・、xn)で推定する式である。
y=a+(x1×b1+x2×b2+・・・・+xn×bn) ・・・(1)
【0021】
(説明変数の設定)
本実施形態において、目的変数yは来店客数予測値である。説明変数xは、来店客数予測値を変動させる因子である。適切に説明変数xを設定した重回帰式(1)を用いることで、信頼性の高い来店客数予測値を得られる。本実施形態に係る来店客数予測サーバ20は、来店客数予測値を推定するための重回帰式(1)に特徴がある。
一般的に、来店客数予測などの需要予測には気温や降水量といった天候に関する因子を用いる。しかし、店舗においては同一店舗でも時期によっては降水量が来店客数に影響を及ぼすが、別の時期では気温が影響を及ぼす等、日々状況が異なる。そこで発明者は、過去の来店客数を日々学習することによって、常に最新の来店客数予測の数式を作成するシステムを開発した。
【0022】
重回帰式(1)に上記の考え方を反映することにより、次式(2)が得られる。
[来店客数予測値]=a+b1×気温+b2×降水量+b3×その他因子3+・・・・+bn×その他因子n
・・・・(2)
来店客数予測サーバ20は、気温及び降水量等取得サーバ30により取得された対象店舗の日付、過去の来店客数、気温及び降水量等に基づいて決定した各変数を(2)式に代入し、対象店舗の来店客数予測値を計算することができる。この操作を日々行うことにより、常に最新で最適の来店客数予測の数式を得ることが出来る。
【0023】
(回帰係数と回帰定数の取得)
来店客数予測サーバ20は、複数の過去の来店客数データを教師データ(訓練データ)として、重回帰分析することにより(1)式の回帰定数a、回帰係数b1、b2を計算する。説明変数x1、x2等は、気温及び降水量等取得サーバ30から得られる対象店舗の日付、過去の来店客数、気温及び降水量等に基づいて計算される。
【0024】
(スタッフのシフト人数予測の計算式)
(計算式の説明)
来店客数予測サーバ20は、気温及び降水量等取得サーバ30から受信した対象店舗の過去のスタッフのシフトデータから取得した対象店舗の日付、過去のスタッフのシフト数、気温及び降水量等、予測対象の来店客数予測値に基づいて、対象となった店舗のスタッフのシフト人数予測値を計算するための計算式のデータを記憶する。この計算式は、重回帰分析を適用した重回帰式(1)で与えられる。(1)式において、yは目的変数、xは説明変数、bは回帰係数、aは回帰定数である。重回帰式(1)は、目的変数yを複数の説明変数x(x1、x2・・・、xn)で推定する式である。
y=a+(x1×b1+x2×b2+・・・・+xn×bn) ・・・(1)
【0025】
(説明変数の設定)
本実施形態において、目的変数yはスタッフのシフト人数予測値である。説明変数xは、スタッフのシフト人数予測値を変動させる因子である。適切に説明変数xを設定した重回帰式(1)を用いることで、信頼性の高いスタッフのシフト人数予測値を得られる。本実施形態に係る来店客数予測サーバ20は、スタッフのシフト人数予測値を推定するための重回帰式(1)に特徴がある。
【0026】
一般的に、来店客数予測などの需要予測には気温や降水量といった天候に関する因子を用いる。しかし、店舗においては同一店舗でも時期によっては降水量が来店客数に影響を及ぼすが、別の時期では気温が影響を及ぼす等、日々状況が異なる。そこで発明者は、過去の来店客数を日々学習することによって、常に最新の来店客数予測の数式を作成するシステムを開発した。
重回帰式(1)に上記の考え方を反映することにより、次式(2)が得られる。
[スタッフのシフト人数予測値]=a+b1×気温+b2×降水量+b3×その他因子3+・・・・+bn×その他因子n
・・・・(3)
来店客数予測サーバ20は、気温及び降水量等取得サーバ30により取得された対象店舗の日付、過去のスタッフのシフト人数数、気温及び降水量等、及び予測対象の日付の来店客数予測値に基づいて決定した各変数を(2)式に代入し、対象店舗のスタッフのシフト人数予測値を計算することができる。この操作を日々行うことにより、常に最新で最適のスタッフのシフト人数予測の数式を得ることが出来る。
【0027】
(回帰係数と回帰定数の取得)
来店客数予測サーバ20は、複数の過去のスタッフのシフト人数データを教師データ(訓練データ)として、重回帰分析することにより(1)式の回帰定数a、回帰係数b1、b2を計算する。説明変数x1、x2等は、気温及び降水量等取得サーバ30から得られる対象店舗の日付、過去のスタッフのシフト人数、来店客数、気温及び降水量等に基づいて計算される。
【0028】
(売上予測の計算式)
(計算式の説明)
来店客数予測サーバ20は、売上予測値を計算するための計算式のデータを記憶する。この計算式は、予測された来店客数予測値に、クライアント端末40から入力された客単価を乗じて計算される。
[売上予測値]=客単価×来店客数予測値・・・・(4)
来店客数予測サーバ20は、売上予測値を計算することができる。
【0029】
(人件費の計算式)
(計算式の説明)
来店客数予測サーバ20は、人件費予測値を計算するための計算式のデータを記憶する。この計算式は、予測されたスタッフのシフト人数予測値に、クライアント端末40から入力された時給などの労働単価データを乗じて計算される。キッチンスタッフを例に数式を示す。
[キッチンスタッフの人件費予測値]=キッチンスタッフの時給×キッチンスタッフのシフト人数予測値・・・・(5)
来店客数予測サーバ20は、人件費予測値を計算することができる。
【0030】
(全体システムの処理)
図4図1のスマートフォン40−1の表示例を示す図である。本実施形態に係る来店客数予測サービスを利用する利用者は、スマートフォン40−1で図示しないアプリケーションサーバから来店客数予測用のアプリケーションソフト(以下、来店客数予測アプリと省略する)をダウンロードし、新規ユーザ登録をする。新規ユーザ登録では、氏名、電話番号、ユーザID等のユーザ情報と、パスワード情報とが登録され、これらの情報は来店客数予測サーバ20のデータベースに登録される。
【0031】
スマートフォン40−1の画面に表示されている来店客数予測アプリのアイコンが利用者によりタップされたのを契機に来店客数予測アプリが起動し、ログイン画面が表示される。利用者は、ログイン画面上にユーザID、パスワードを入力し、ログインボタンをタップする。それによりユーザID、パスワードがスマートフォン40−1から来店客数予測サーバ20に送信される。来店客数予測サーバ20は、受信したユーザID及びパスワードを認証処理する。来店客数予測サーバ20は、受信したユーザID及びパスワードがデータベースに登録されているとき、認証コードをスマートフォン40−1に送信する。認証コードを受信したスマートフォン40−1の画面には、対象店舗の選択画面が表示される。
【0032】
この選択画面上の利用者の操作により対象店舗が選択され、選択された過去の来店客数データがスマートフォン40−1から来店客数予測サーバ20に送信される。来店客数予測サーバ20は、受信した過去の来店客数データを気温及び降水量等取得サーバ30に転送するとともに、メモリ22に記憶する。気温及び降水量等取得サーバ30は、受信した過去の来店客数データに基づいて、気温及び降水量等のデータ取得処理を実行する。気温及び降水量等取得サーバ30は、計算した日付、気温及び降水量等のデータを来店客数予測サーバ20に送信する。
【0033】
来店客数予測サーバ20は、受信した日付、過去の来店客数、気温及び降水量等に基づいて説明変数x1、x2、x3等を計算し、(2)式に代入することにより対象店舗の来店客数予測値を計算する。来店客数予測サーバ20は、受信した日付、過去のスタッフのシフト人数、気温及び降水量等に基づいて説明変数x1、x2、x3等を計算し、(3)式に代入することにより対象店舗のスタッフのシフト人数予測値を計算する。来店客数予測サーバ20は、受信した客単価データを(4)式に代入することにより対象店舗の売上予測値を計算する。
【0034】
来店客数予測サーバ20は、受信した労働単価データを(5)式に代入することにより対象店舗の人件費予測値を計算する。来店客数予測サーバ20は、計算した来店客数予測値、スタッフのシフト人数予測値、売上予測値、人件費予測値を、計算した対象の過去の来店客数データとユーザIDとに関連付けて記憶装置23に記憶する。これにより、記憶装置23には、ユーザID毎の過去の来店客数データと来店客数予測、スタッフのシフト人数予測値、売上予測値、人件費予測値の履歴データとが蓄積される。来店客数予測サーバ20は、現在の対象店舗の来店客数予測値、スタッフのシフト人数予測値、売上予測値、人件費予測値をスマートフォン40−1に送信する。
【0035】
スマートフォン40−1の来店客数予測アプリは、受信したデータに基づいて、対象店舗の来店客数予測値、スタッフのシフト人数予測値、売上予測値、人件費予測値を取得する。これにより、図4に示すように、来店客数予測アプリにより、現在の来店客数予測値、スタッフのシフト人数予測値、売上予測値、人件費予測値をスマートフォン40−1に表示される。
【0036】
(効果説明)
利用者は、図4に示す来店客数予測、スタッフのシフト人数予測値、売上予測値、人件費予測値結果を視認することで、今後の日ごと及び時間ごとの来店客数予測、スタッフのシフト人数予測値、売上予測値、人件費予測値を数値で確認することができる。
【0037】
(変形例の説明)
なお、本実施形態では、気温及び降水量等のデータ取得処理は外部の気温及び降水量等取得サーバ30により実行されたが、気温及び降水量等のデータ取得処理を来店客数予測サーバ20で実行できるよう、記憶装置23に気温及び降水量等のデータ取得処理に関するプログラムを記憶させてもよい。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。例えば、来店客数を予測することで派生する売上予測、注文されるメニュー数の予測、必要な食材料の予測、商品の販売数量予測、必要なスタッフ人数予測、必要な人件費予測等も、実施形態の変形例に含まれる。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0039】
また、予測計算は重回帰分析以外にも、ランダムフォレスト、ニューラルネットワーク、一般化線形モデル、一般化加法モデル、アンサンブル学習モデル、SVCなどの手法を単独で、もしくは組み合わせて適用することも本発明に含まれる。
【0040】
(要約)
来店客数予測装置は、クライアント端末40から対象店舗の過去の来店客数データをコンピュータで受信する工程S11と、対象店舗の過去の来店客数データをコンピュータから気温及び降水量等取得サーバ30に送信する工程S12と、気温及び降水量等取得サーバから対象店舗の日付、過去の来店客数、気温及び降水量等を受信する工程S13と、対象店舗の日付、過去の来店客数、気温及び降水量等に基づいて対象店舗の来店客数予測をコンピュータで計算する工程S14と、クライアント端末に来店客数予測を送信する工程S15と、クライアント端末40から対象店舗の過去のスタッフのシフト数データをコンピュータで受信する工程S21と、対象店舗の過去の来店客数データ及びスタッフのシフト数データをコンピュータから気温及び降水量等取得サーバ30に送信する工程S22と、気温及び降水量等取得サーバから対象店舗の日付、過去の来店客数、スタッフのシフト数データ、気温及び降水量等を受信する工程S23と、対象店舗の日付、過去の来店客数、スタッフのシフト数、気温及び降水量等及び予測対象の来店客数予測値に基づいて対象店舗のスタッフのシフト数予測をコンピュータで計算する工程S24と、クライアント端末にスタッフのシフト数予測を送信する工程S25と、クライアント端末40から対象店舗の過去の客単価データをコンピュータで受信する工程S31と、工程S14で計算された来店客数予測値に客単価を乗じて売上予測を計算する工程S34と、クライアント端末に売上予測を送信する工程S35と、クライアント端末40から対象店舗のスタッフの時給などの労働単価データをコンピュータで受信する工程S41と、工程S24で計算されたスタッフのシフト数予測値に労働単価を乗じて人件費予測を計算する工程S44と、クライアント端末に売上予測を送信する工程S45と、を有する。
【0041】
工程S14において、対象店舗の過去の来店客数の代表値と日付、過去の来店客数、気温及び降水量等とを説明変数、対象店舗の過去の来店客数予測値を目的変数として与えて重回帰分析等を適用して得られた計算式により、対象店舗の来店客数予測を計算し、工程S14において、対象店舗の過去のスタッフのシフト人数の代表値と日付、過去の来店客数、気温及び降水量等とを説明変数、対象店舗の過去のスタッフのシフト人数予測値を目的変数として与えて重回帰分析等を適用して得られた計算式により、対象店舗のスタッフのシフト人数予測を計算する。
【符号の説明】
【0042】
10…ネットワーク(インターネット)、20…来店客数予測サーバ、30…気温及び降水量等取得サーバ、40…クライアント端末
図1
図2
図3-1】
図3-2】
図3-3】
図3-4】
図4