(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-123084(P2020-123084A)
(43)【公開日】2020年8月13日
(54)【発明の名称】生体情報の自己管理システムとその方法ならびにそれらに用いられる装置
(51)【国際特許分類】
G16H 10/65 20180101AFI20200717BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20200717BHJP
【FI】
G16H10/65
A61B5/00 102C
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2019-13834(P2019-13834)
(22)【出願日】2019年1月30日
(71)【出願人】
【識別番号】506132522
【氏名又は名称】株式会社NSD
(74)【代理人】
【識別番号】100141221
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 和明
(74)【代理人】
【識別番号】100091764
【弁理士】
【氏名又は名称】窪谷 剛至
(74)【代理人】
【識別番号】100103366
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 礼至
(72)【発明者】
【氏名】三田 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】土岐 秀之
(72)【発明者】
【氏名】野中 恵
(72)【発明者】
【氏名】高橋 英孝
【テーマコード(参考)】
4C117
5L099
【Fターム(参考)】
4C117XB04
4C117XB11
4C117XB15
4C117XB18
4C117XE26
4C117XE60
4C117XE64
4C117XH16
4C117XJ03
4C117XJ33
4C117XL10
4C117XL21
4C117XP12
4C117XR01
5L099AA22
(57)【要約】
【課題】心理的負担なしに生体情報の把握を簡素化し自律的なセルフマネージメントの継続化を図る。
【解決手段】生体情報の自己管理システム2は、利用者Uの身体に装着され血糖値の測定値と測定時間を生体情報として取得して経時的に記録する血糖値センサ3と、記録された生体情報を読み取るリーダー4と、リーダー4から記録された生体情報を受け取り、生体情報のデータをデータ処理するPC5と、PC5によりデータ処理された結果レポートRを外部に送信する送信部6と、利用者Uに持ち運びされ、PC5の送信部6から受け取った結果レポートRを所定時間または所定期間マスクした後、表示可能とする携帯端末7とを備えている。血糖値センサ3を通じて得られた血糖値の経時的データは、リーダー4を介してPC5でデータ処理され、結果レポートRとして携帯端末7に表示される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者自身の生体情報を把握して自己管理を行う自己管理システムであって、
利用者の身体から生体情報を取得して記録し、記録された生体情報を読み取り、読み取られた生体情報のデータをデータ処理し、データ処理された生体情報を利用者の端末に表示することを特徴とする生体情報の自己管理システム。
【請求項2】
利用者自身の生体情報を把握して自己管理を行う自己管理システムであって、
利用者の生体情報を取得して記録する生体情報取得手段と、
記録された生体情報を読み取り、読み取られた生体情報のデータをデータ処理する情報処理手段と、
情報処理手段によりデータ処理された情報を利用者の端末に表示する表示手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の生体情報の自己管理システム。
【請求項3】
利用者自身の生体情報を把握して自己管理を行う自己管理システムであって、
利用者の生体情報を取得して記録する生体情報取得手段と、
記録された生体情報を読み取る読み取り手段と、
読み取り手段から記録された生体情報を受け取り、生体情報のデータをデータ処理する情報処理手段と、
情報処理手段によりデータ処理された情報を利用者の端末に表示する表示手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の生体情報の自己管理システム。
【請求項4】
利用者の端末は、通信を通じて専門機関の端末と遣り取り可能に接続され、
この専門機関の端末は、利用者の端末からデータ処理された情報を受け取ると、前記専門機関の専門家が、受け取った利用者の生体情報に基づいて利用者に対するアドバイスを作成し、そのアドバイスを利用者の端末に返送することを特徴とする請求項2または3に記載の生体情報の自己管理システム。
【請求項5】
生体情報に対するアドバイスは、健康、生活習慣または医療のうち少なくともいずれか1についての専門的アドバスが含まれることを特徴とする請求項4に記載の生体情報の自己管理システム。
【請求項6】
ある利用者について異なる分野の専門機関の専門家の端末を連携させ、当該利用者に関する異なる分野の専門機関の専門家のアドバイスを、当該異なる専門家同士に閲覧可能に提供するプラットホーム手段を備えたことを特徴とする請求項4または5に記載の生体情報の自己管理システム。
【請求項7】
表示手段による表示を所定時間または所定期間阻止するマスク手段を備えたことを特徴とする請求項2ないし4のうちいずれか1に記載の生体情報の自己管理システム。
【請求項8】
生体情報取得手段は、利用者の身体に装着されることを特徴とする請求項2または3に記載の生体情報の自己管理システム。
【請求項9】
生体情報は、経時的に取得され、取得された経時的データに基づいて、図または表により表示されることを特徴とする請求項1ないし4のうちいずれか1に記載の生体情報の自己管理システム。
【請求項10】
生体情報は、所定時間経過後または所定期間経過後の情報が比較して表示されることを特徴とする請求項1ないし9のうちいずれか1に記載の生体情報の自己管理システム。
【請求項11】
生活情報を入力する生活情報入力手段を備え、
情報処理手段は、生活情報入力手段から受け取った生活情報を生体情報と関連付けしてデータ処理することを特徴とする請求項1ないし10のうちいずれか1に記載の生体情報の自己管理システム。
【請求項12】
生活情報には、食事の情報、運動の内容とその時間、起床と就寝との時刻、心理的ストレスの度合い、服薬情報および保健機能性食品の摂取情報のうち少なくともいずれか1の情報が含まれることを特徴とする請求項11に記載の生体情報の自己管理システム。
【請求項13】
表示手段は、情報処理手段によりデータ処理された情報を結果レポートとして出力する結果レポート出力手段を有することを特徴とする請求項1ないし12のうちいずれか1に記載の生体情報の自己管理システム。
【請求項14】
生体情報は、血糖値、ヘモグロビンA1c、コレステロール値、中性脂肪値のうち少なくともいずれか1を含むことを特徴とする請求項1ないし13のうちいずれか1に記載の生体情報の自己管理システム。
【請求項15】
生体情報は、健康診断の検査項目のうち少なくともいずれか1を含むことを特徴とする請求項1ないし14のうちいずれか1に記載の生体情報の自己管理システム。
【請求項16】
情報処理部は、利用者の端末、センターサーバまたはクラウドコンピュータにより構成されることを特徴とする請求項2または3に記載の生体情報の自己管理システム。
【請求項17】
利用者自身の生体情報を把握して自己管理を行う自己管理方法であって、
利用者の身体から生体情報を取得して記録し、記録された生体情報を読み取り、読み取られた生体情報のデータをデータ処理し、データ処理された生体情報を利用者の端末に表示することを特徴とする生体情報の自己管理方法。
【請求項18】
利用者自身の生体情報を把握して自己管理を行う自己管理方法であって、
利用者の身体に装着された生体情報取得手段により、生体情報を取得して記録する第1のステップと、
情報処理手段により、記録された生体情報を読み取り、読み取られた生体情報のデータをデータ処理する第2のステップと、
表示手段により、データ処理された情報を利用者の端末に表示する第3のステップとを有することを特徴とする請求項17に記載の生体情報の自己管理方法。
【請求項19】
利用者自身の生体情報を把握して自己管理を行う自己管理方法であって、
利用者の身体に装着された生体情報取得手段により、生体情報を取得して記録する第1のステップと、
読み取り手段により、記録された生体情報を読み取る第2のステップと、
情報処理手段により、読み取り手段から記録された生体情報を受け取り、生体情報のデータをデータ処理する第3のステップと、
表示手段により、データ処理された情報を利用者の端末に表示する第4のステップとを有することを特徴とする請求項17に記載の生体情報の自己管理方法。
【請求項20】
利用者の端末は、通信を通じて専門機関の端末と遣り取り可能に接続され、
この専門機関の端末は、利用者の端末からデータ処理された情報を受け取ると、前記専門機関の専門家が、受け取った利用者の生体情報に基づいて利用者に対するアドバイスを作成し、そのアドバイスを利用者の端末に返送することを特徴とする請求項18または19に記載の生体情報の自己管理方法。
【請求項21】
利用者の身体に装着され生体情報を取得して記録する生体情報取得装置と、
生体情報取得装置から記録された生体情報を読み取り、生体情報のデータをデータ処理する情報処理部を備えた端末と、
端末に設けられ、情報処理部によりデータ処理された情報を利用者の端末に表示する表示部とを備えたことを特徴とする生体情報の自己管理に用いられる装置。
【請求項22】
利用者の身体に装着され生体情報を取得して記録する生体情報取得装置と、
記録された生体情報を読み取る読み取り装置と、
読み取り装置から記録された生体情報を受け取り、生体情報のデータをデータ処理する情報処理部を備えた端末と、
端末に設けられ、情報処理部によりデータ処理された情報を利用者の端末に表示する表示部とを備えたことを特徴とする生体情報の自己管理に用いられる装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血糖値等の生体情報を自己管理する生体情報の自己管理システムおよびその方法ならびにそれらに用いられる装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、測定された食事前後の血糖値情報とその情報が得られた測定時刻とに基づいて、食事前後の血糖値情報の変化を分析し、その分析結果に基づいて、食事に関するアドバイスを提供するアドバイス提供システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、電子機器のコンピュータに、生体情報を取得させ、取得した生体情報から予測される所定時間後の生体情報に基づいて提案を行う処理を実行させ、摂食情報を取得したり、行動に関する予定情報を取得すると、それら摂食情報や、行動に関する予定情報に基づいて、睡眠や運動や食事に関する提案を行うようにしたものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許6285086号公報
【特許文献2】特開2018−5512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のアドバイス提供システムでは、利用者は、自らの実際の生体情報を把握することなく、一方的に生体情報データがセンター側や管理側に送られ、アルゴリズムに基づいてアドバイスや提案を画一的に受けるようになっている。このため、利用者個人は、受けたアドバイスや提案から、利用者個人の摂食行動との因果関係や運動との因果関係を思い起こして、どのような摂食行動や運動が適切だったか、不適切だったかを判断しなければならない。また、摂食行動時や運動時にアドバイスや提案を受けると、心理的に依存性が高まり、自己管理による積極性を減じる虞がある。また、摂食行動中や運動中に絶えず画一的なアドバイスや提案などで頻繁に指図を受けると、心理的負担を感じ、慣れから無視するようになるという問題があり、好ましい摂食行動や適切な運動を自ら考えて行おうとする自律的な動機付けが低下しがちになるという問題がある。
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、第1には、簡素な構成で、外部からの画一的なアドバイスや提案に頼らず、利用者自らが摂食行動や運動との因果関係を簡便に把握し、自発的、自律的に好ましい摂食行動を取ったり、適切な運動を行うようにセルフマネージメントすることができるとともに、心理的負担が少なく、個人の自主性に委ねることで生体情報チェックの継続性を確保することができる生体情報の自己管理システムおよびその方法ならびにそれらに用いられる装置を提供することを目的としている。また、第2には、自己管理している生体情報に基づいて、画一的でない、利用者毎に利用者に応じたきめ細かい専門家のアドバイスを受けることができる生体情報の自己管理システムおよびその方法ならびにそれらに用いられる装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る請求項1に記載の生体情報の自己管理システムは、利用者自身の生体情報を把握して自己管理を行う自己管理システムであって、利用者の身体から生体情報を取得して記録し、記録された生体情報を読み取り、読み取られた生体情報のデータをデータ処理し、データ処理された生体情報を利用者の端末に表示すようにしたことを特徴とするものである。
【0008】
本発明の請求項1に係る生体情報の自己管理システムでは、利用者自身の生体情報を把握して自己管理を行う自己管理システムであって、利用者の身体から生体情報を取得して記録し、記録された生体情報を読み取り、読み取られた生体情報のデータをデータ処理し、データ処理された生体情報を利用者の端末に表示するようにしたので、利用者の生体情報を取得して記録し、記録された生体情報を読み取り、読み取った生体情報をデータ処理すると、利用者の端末にデータ処理された生体情報を表示させることができる。従って、利用者は、いつでもどこでも自らの端末に自らの生体情報を表示することができ、生体情報を簡便に把握することができる。このため、利用者は、心理的負担なしに自発的、自律的に好ましい摂食行動を取ったり、適切な運動を行うように自己管理することができ、生体情報チェックの継続をはかることができる。
【0009】
また、上記本発明に係る生体情報の自己管理システムでは、利用者自身の生体情報を把握して自己管理を行う自己管理システムであって、利用者の生体情報を取得して記録する生体情報取得手段と、記録された生体情報を読み取り、読み取られた生体情報のデータをデータ処理する情報処理手段と、情報処理手段によりデータ処理された情報を利用者の端末に表示する表示手段とを備えるようにすることが好ましい。係る構成とすることにより、情報処理手段が生体情報取得手段から記録された生体情報を読み取り、読み取られた生体情報のデータをデータ処理するようにしているので、情報処理手段と表示手段とを端末で構成すれば、簡易に生体情報を表示することができる。さらに、利用者自身の生体情報を把握して自己管理を行う自己管理システムであって、利用者の生体情報を取得して記録する生体情報取得手段と、記録された生体情報を読み取る読み取り手段と、読み取り手段から記録された生体情報を受け取り、生体情報のデータをデータ処理する情報処理手段と、情報処理手段によりデータ処理された情報を利用者の端末に表示する表示手段とを備えるようにすることが好ましい。係る構成とすることにより、生体情報読み取り手段を通じて生体情報の記録を読み取り収集するので、生体情報法取得手段を簡素化小型化することができ、身体への負担感を減じることができる。また、利用者の端末は、通信を通じて専門機関の端末と遣り取り可能に接続され、この専門機関の端末は、利用者の端末からデータ処理された情報を受け取ると、前記専門機関の専門家が、受け取った利用者の生体情報に基づいて利用者に対するアドバイスを作成し、そのアドバイスを利用者の端末に返送するようにすることが好ましい。係る構成とすることにより、画一的でない、利用者に応じたきめ細かいアドバイスを行うことができる。さらに、生体情報に対するアドバイスは、健康、生活習慣または医療のうち少なくともいずれか1についての専門的アドバスが含まれるようにしてもよい。また、ある利用者について異なる分野の専門機関の専門家のアドバイスを連携させ、当該利用者に関わる異なる分野の専門機関の専門家のアドバイスを、当該異なる専門家同士に閲覧可能に提供するプラットホーム手段を備えることが好ましい。係る構成とすることにより、異なる分野の専門機関の専門家は、ある利用者について、他の専門家と連携し他の専門家のアドバイスを閲覧して参照し、利用者にアドバイスを行うことができるので、日常生活についてよりきめ細かく、具体的で正確なアドバイスを提供することができる。利用者は、専門家との面接または端末を通じて、異なる分野の専門機関の専門家からの多元的なアドバイスを一元的に受けることができる。表示手段による表示を所定時間または所定期間阻止するマスク手段を備えることが好ましい。係る構成とすることにより、利用者は所定時間または所定期間、結果を見ることができないので、リアルで素の生体情報を得ることができ、マスクされた期間を振り返り、日常生活についての問題点を把握して改善につながりやすくなり、利用者のモチベーションを良好に維持することができる。専門機関の専門家は、利用者のマスクされた期間について、リアルで素の生体情報が入手できるので、適切なアドバイスをすることができる。
【0010】
また、上記本発明に係る生体情報の自己管理システムでは、生体情報取得手段は、利用者の身体に装着されることが好ましい。係る構成とすることにより、着脱の必要がなく、煩わしさを避けることができるので、自己管理しやすくなる。さらに、生体情報は、経時的に取得され、取得された経時的データに基づいて、図または表により表示されるようにしてもよい。係る構成とすることにより、経時的変化を図または表で確認でき、生体情報の変化を把握しやすくなる。また、生体情報は、所定時間経過後または所定期間経過後の情報が比較して表示されることが好ましい。係る構成とすることにより、生体情報の変化を時間を置いて比較することができるので、好転すれば、生活のあり方に自信を持つことができ、悪化すれば、心当たりを探し出して、自律的に生活を変えるモチベーションを与えることができ、自己管理の継続性を向上させることができる。さらに、生活情報を入力する生活情報入力手段を備え、情報処理手段は、生活情報入力手段から受け取った生活情報を生体情報と関連付けしてデータ処理することが好ましい。係る構成とすることにより、生体情報と生活情報とをリンクさせることができ、より自発性、自律性を高めることができる。また、生活情報には、食事の情報、運動の内容とその時間、起床と就寝との時刻、心理的ストレスの度合い、服薬情報および保健機能性食品の摂取情報のうち少なくともいずれか1の情報が含まれるようにしてもよい。さらに、表示手段は、情報処理手段によりデータ処理された情報を結果レポートとして出力する結果レポート出力手段を有するようにしてもよい。係る構成とすることにより、結果レポートに基づいて専門家から適切なアドバイスを受けることができる。また、生体情報は、血糖値、ヘモグロビンA1c、コレステロール値、中性脂肪値のうち少なくともいずれか1を含むようにしてもよい。さらに、生体情報は、健康診断の検査項目のうち少なくともいずれか1を含むようにしてもよい。また、情報処理部は、利用者の端末、センターサーバまたはクラウドコンピュータにより構成されるようにしてもよい。
【0011】
本発明に係る請求項17に記載の生体情報の自己管理方法は、利用者自身の生体情報を把握して自己管理を行う自己管理方法であって、利用者の身体から生体情報を取得して記録し、記録された生体情報を読み取り、読み取られた生体情報のデータをデータ処理し、データ処理された生体情報を利用者の端末に表示することを特徴とするものである。
【0012】
本発明の請求項17に係る生体情報の自己管理方法では、利用者自身の生体情報を把握して自己管理を行う自己管理方法であって、利用者の身体から生体情報を取得して記録し、記録された生体情報を読み取り、読み取られた生体情報のデータをデータ処理し、データ処理された生体情報を利用者の端末に表示するようにしたので、利用者の生体情報を取得して記録し、記録された生体情報を読み取り、読み取った生体情報をデータ処理すると、利用者の端末にデータ処理された生体情報を表示させることができる。従って、利用者は、いつでもどこでも自らの端末に自らの生体情報を表示することができ、生体情報を簡便に把握することができる。このため、利用者は、心理的負担なしに自発的、自律的に好ましい摂食行動を取ったり、適切な運動を行うように自己管理することができ、生体情報チェックの継続をはかることができる。
【0013】
また、上記本発明に係る生体情報の自己管理方法では、利用者自身の生体情報を把握して自己管理を行う自己管理方法であって、利用者の身体に装着された生体情報取得手段により、生体情報を取得して記録する第1のステップと、情報処理手段により、記録された生体情報を読み取り、読み取られた生体情報のデータをデータ処理する第2のステップと、表示手段により、データ処理された情報を利用者の端末に表示する第3のステップとを有することが好ましい。係る構成とすることにより、情報処理手段と表示手段とを端末で構成すれば、簡易に生体情報を表示することができる。さらに、利用者自身の生体情報を把握して自己管理を行う自己管理方法であって、利用者の身体に装着された生体情報取得手段により、生体情報を取得して記録する第1のステップと、読み取り手段により、記録された生体情報を読み取る第2のステップと、情報処理手段により、読み取り手段から記録された生体情報を受け取り、生体情報のデータをデータ処理する第3のステップと、表示手段により、データ処理された情報を利用者の端末に表示する第4のステップとを有することが好ましい。係る構成とすることにより、生体情報読み取り手段を通じて生体情報の記録を読み取り収集するので、生体情報法取得手段を簡素化小型化することができ、身体への負担感を減じることができる。また、利用者の端末は、通信を通じて専門機関の端末と遣り取り可能に接続され、この専門機関の端末は、利用者の端末からデータ処理された情報を受け取ると、前記専門機関の専門家が、受け取った利用者の生体情報に基づいて利用者に対するアドバイスを作成し、そのアドバイスを利用者の端末に返送することが好ましい。係る構成とすることにより、画一的でない、利用者に応じたきめ細かいアドバイスを行うことができる。
【0014】
本発明の請求項21に係る生体情報の自己管理に用いられる装置は、利用者の身体に装着され生体情報を取得して記録する生体情報取得装置と、生体情報取得装置から記録された生体情報を読み取り、生体情報のデータをデータ処理する情報処理部を備えた端末と、端末に設けられ、情報処理部によりデータ処理された情報を利用者の端末に表示する表示部とを備えたことを特徴としている。
【0015】
本発明の請求項21に係る生体情報の自己管理に用いられる装置では、利用者の身体に装着され生体情報を取得して記録する生体情報取得装置と、生体情報取得装置から記録された生体情報を読み取り、生体情報のデータをデータ処理する情報処理部を備えた端末と、端末に設けられ、情報処理部によりデータ処理された情報を利用者の端末に表示する表示部とを備えるようにしているので、生体情報取得装置により、利用者の生体情報を取得して記録し、端末の情報処理部より、記録された生体情報を読み取り、読み取った生体情報をデータ処理すると、端末の表示部により、利用者の端末にデータ処理された生体情報を表示させることができる。従って、利用者は、いつでもどこでも自らの端末に自らの生体情報を表示することができ、生体情報を簡便に把握することができる。このため、利用者は、心理的負担なしに自発的、自律的に好ましい摂食行動を取ったり、適切な運動を行うように自己管理することができ、生体情報チェックの継続をはかることができる。
【0016】
本発明の請求項22に係る生体情報の自己管理に用いられる装置は、利用者の身体に装着され生体情報を取得して記録する生体情報取得装置と、記録された生体情報を読み取る読み取り装置と、読み取り装置から記録された生体情報を受け取り、生体情報のデータをデータ処理する情報処理部を備えた端末と、端末に設けられ、情報処理部によりデータ処理された情報を利用者の端末に表示する表示部とを備えたことを特徴としている。
【0017】
本発明の請求項22に係る生体情報の自己管理に用いられる装置では、利用者の身体に装着され生体情報を取得して記録する生体情報取得装置と、記録された生体情報を読み取る読み取り装置と、読み取り装置から記録された生体情報を受け取り、生体情報のデータをデータ処理する情報処理部を備えた端末と、端末に設けられ、情報処理部によりデータ処理された情報を利用者の端末に表示する表示部とを備えるようにしているので、生体情報取得装置により、利用者の生体情報を取得して記録し、読み取り装置により、記録された生体情報を読み取り、端末の情報処理部により、読み取った生体情報をデータ処理すると、端末の表示部により、利用者の端末にデータ処理された生体情報を表示させることができる。従って、利用者は、いつでもどこでも自らの端末に自らの生体情報を表示することができ、生体情報を簡便に把握することができる。このため、利用者は、心理的負担なしに自発的、自律的に好ましい摂食行動を取ったり、適切な運動を行うように自己管理することができ、生体情報チェックの継続をはかることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の請求項1に係る生体情報の自己管理システムでは、利用者自身の生体情報を把握して自己管理を行う自己管理システムであって、利用者の身体から生体情報を取得して記録し、記録された生体情報を読み取り、読み取られた生体情報のデータをデータ処理し、データ処理された生体情報を利用者の端末に表示すようにしたので、利用者自らが摂食行動や運動との因果関係を簡便に把握し、自発的、自律的に好ましい摂食行動を取ったり、適切な運動を行うようにセルフマネージメントすることができるとともに、心理的負担が少なく、個人の自主性に委ねることで生体情報チェックの継続性を確保することができる。
【0019】
また、本発明の請求項17に係る生体情報の自己管理方法では、利用者自身の生体情報を把握して自己管理を行う自己管理方法であって、利用者の身体から生体情報を取得して記録し、記録された生体情報を読み取り、読み取られた生体情報のデータをデータ処理し、データ処理された生体情報を利用者の端末に表示するようにしたので、利用者自らが摂食行動や運動との因果関係を簡便に把握し、自発的、自律的に好ましい摂食行動を取ったり、適切な運動を行うようにセルフマネージメントすることができるとともに、心理的負担が少なく、個人の自主性に委ねることで生体情報チェックの継続性を確保することができる。
【0020】
さらに、本発明の請求項21に係る生体情報の自己管理に用いられる装置では、利用者の身体に装着され生体情報を取得して記録する生体情報取得装置と、生体情報取得装置から記録された生体情報を読み取り、生体情報のデータをデータ処理する情報処理部を備えた端末と、端末に設けられ、情報処理部によりデータ処理された情報を利用者の端末に表示する表示部とを備えているので、利用者は、いつでもどこでも自らの端末に自らの生体情報を表示することができ、生体情報を簡便に把握することができる。
【0021】
さらに、本発明の請求項22に係る生体情報の自己管理に用いられる装置では、利用者の身体に装着され生体情報を取得して記録する生体情報取得装置と、記録された生体情報を読み取る読み取り装置と、読み取り装置から記録された生体情報を受け取り、生体情報のデータをデータ処理する情報処理部を備えた端末と、端末に設けられ、情報処理部によりデータ処理された情報を利用者の端末に表示する表示部とを備えているので、読み取り装置を介して端末に表示することができ、いつでもどこでも自らの端末に自らの生体情報を表示することができ、生体情報を簡便に把握することができるとともに、生体情報取得装置や端末の簡素化、小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本発明の第1および第2の実施形態に係る生体情報の自己管理システムの全体構成を模式的に示す全体構成図である。
【
図2】
図2の(A)ないし(C)はそれぞれ、
図1の生体情報の自己管理システムに用いられる血糖値センサと、このセンサを身体に貼り付けるアプリケータと、血糖値センサに記録された血糖値情報を読み取るリーダーをそれぞれ示す斜視図である。
【
図3】
図3の(A)ないし(C)はそれぞれ、センサの装着を示す説明図、リーダによる読み取りを示す説明図、リーダーからデータを受け取るPCを示す説明図である。
【
図4】
図4は、
図1の生体情報の自己管理システムにより得られた結果レポートの一例を示す説明図である。
【
図5】
図5の(A)、(B)はそれぞれ、食後高血糖の人について、1日の血糖値の遷移を示すグラフおよび食後の血糖値上昇パターンを示すグラフである。
【
図6】
図6は、
図1の生体情報の自己管理システムを用いてセンサの装着から結果レポートを利用者の端末に表示させるまでの工程を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、本発明の第2の実施形態に係る生体情報の自己管理システムを示すもので、生体情報に生活情報のデータを反映させてデータ処理して利用者の端末に表示させるまでの工程を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、糖尿病予防を目的とした血糖トレンドの「見える化」を説明する説明図である。
【
図9】
図9は、
図7の第2の実施形態に係る生体情報の自己管理システムにおいて、利用者の携帯端末で入力する生活情報の例を示す説明図である。
【
図10】
図10の(A)ないし(C)はそれぞれ、食後血糖値と食後経過時間との関係を示すグラフで、(A)は食事内容と食後経過時間との関係を、(B)は運動と食後経過時間との関係を、(C)は保健機能性食品の摂取と食後経過時間との関係をそれぞれ示している。
【
図12】
図12は、結果レポートにおいて、生活習慣と血糖トレンドとの関係を示す説明図である。
【
図13】
図13は、結果レポートにおいて、食事ごとのグルコース値変動を示す説明図である。
【
図14】
図14は、結果レポートに基づいて、気をつけるべき食事をランキングして示す説明図である。
【
図15】
図15は、結果レポートでセルフチェックしている利用者を示す説明図である。
【
図16】
図16は、本発明の第3の実施形態に係る生体情報の自己管理システムの全体構成を模式的に示す全体構成図である。
【
図17】
図17は、
図18生体情報の自己管理システムを用いてセンサの装着から利用者の端末を用いて生体情報のデータを専門機関に送信し、アドバイスを受けるまでのまでの工程を示すフローチャートである。
【
図18】
図18は、専門機関(保健師・管理栄養士・医師)からのアドバイスを活用する例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面に示す第1の実施形態により本発明を説明する。本発明の第1の実施形態に係る生体情報の自己管理システム2は、例えば、
図1に示すように、利用者Uの身体に装着され、利用者の血糖値情報(生体情報)を測定して記録する血糖値センサ(生体情報取得装置、生体情報取得手段)3(
図2の(A)参照)と、この血糖値センサに記録された血糖値情報を読み取るリーダー(読み取り装置、読み取り手段)4(
図2の(C)参照)と、リーダー4に記録された血糖値情報を受け取ってデータ処理し、経時的な血糖値データを図または表のデータとして出力するPC(パーソナルコンピュータ、情報処理部、情報処理手段、プラットホーム手段、マスク手段)5と、PC5に内蔵され、PC5によりデータ処理された情報(結果レポート)Rを外部に送信する送信部(送信手段)6と、利用者Uに携帯され、PC5の通信部6から送られてきた結果レポートRを表示する表示する表示部(表示手段)10を有する利用者Uの携帯端末(モバイルフォン、タブレット端末、ノートPC)7と、PC5に電気的に接続され、結果レポートRを印刷可能なプリンタ8とを備えて構成される。
【0024】
利用者Uの血糖値情報は、経皮センサとしての血糖値センサ3により経時的に測定される。血糖値センサ3は、測定された血糖値と測定時間とを所定時間ごとに取得して、生体情報として記録されるようになっている。本実施形態では、例えば、血糖値センサ3は直径35mm、厚さは5mmの小型の円盤状に形成され、1分毎にグルコース値を測定しては自動的に記録するようになっている。そして、最長14日間連続使用が可能となっている。血糖値センサ3は、
図3の(A)に示すように、アプリケータ9により利用者Uの腕に装着される。装着時、採血は不要で、測定時にも痛みを感じることがないようになっている。装着された血糖値センサ3を図示しないサポータで覆うようにしてもよい。リーダー4は、利用者が帰宅した際などに、センサ3に記録された血糖値情報の経時的データ(測定された血糖値の測定値とその測定時間)を読み取るようになっている。リーダー4により読み取られた血糖値情報の経時的データは無線または有線によりPC5に送信される。PC5には、リーダー4から受け取った経時的データが蓄積される。PC5は、蓄積された生体情報の経時的データをデータ処理し、
図4および
図5に示すように、計測された時間をx軸、計測された血糖値の値をy軸とするグラフを作成する。ここでいう血糖値は、グルコース値(ブドウ糖)をいう。PC5でデータ処理された結果レポートRは、通信部6により利用者Uに持ち運びされる携帯端末7に送信されて、画面に表示されるようになっている。また、この結果レポートRは、PC5によりプリンタ8で紙に印刷することもできるようになっている。
【0025】
例えば、
図4に示す結果レポートRのグラフでは、血糖値の値は40から250mg/dLの範囲で、時間は午前0時から24時間の間の15分毎のデータが反映されるようになっている。この自己管理システム2では、最長14日間、持続的に測定と記録が行われ、リーダー4により読み取られるようになっている。また、
図5の(A)は、利用者Uが食後高血糖の人の場合の、1日の血糖値の遷移を示すグラフからなる結果レポートを示し、
図5の(B)は、同じく利用者Uが食後高血糖の人の場合の、食後の血糖値の上昇パターンを示すグラフからなる結果レポートをそれぞれ示し、食後高血糖の利用者Uの場合の食後の血糖値の上昇パターン(丸囲み文字番号2)を、健康な人の場合(丸囲み文字番号1)と糖尿病の人の場合(丸囲み文字番号3)と比較している。これら結果レポートRは、利用者Uの携帯端末7に表示されるようになっている。この24時間のデータは、PC5に時間を設定すると、その間はデータ処理された結果レポートRの表示が阻止されてマスクされるようになっている。つまり、24時間後に結果レポートRが表示されるようになっている。なお、本実施形態では、マスクする期間を24時間としているが、これに限られるものではなく所定期間(数日から数週間のうち適切な期間)としてもよい。また、
図4に示す結果レポートにおける血糖値の範囲については、40から250mg/dLとしているが、血糖値センサ3自体の取得範囲が40〜500mg/dLであることに基づいている。結果レポートにおける血糖値の範囲については、40から250mg/dLに限られるものではなく、センサの性能に応じて上限値や下限値を適宜変更してもよいことは言うまでもない。
【0026】
なお、上記第1の実施形態では、情報処理部(情報処理手段)として利用者UのPC5を例示しているがこれに限られるものではなく、
図1に示すように、クラウドコンピュータであってもよいし、専門機関や専門の会社のサーバであってもよいし、後述するように利用者Uの携帯端末7がその機能を果たすように構成してもよいことは言うまでもない。さらに、本実施形態では、リーダー4を独立に設けているが、アダプタを介して利用者Uの携帯端末7に接続して使用するようにしてもよい。
【0027】
また、上記第1の実施形態では、生体情報として血糖値(グルコース値)を例示しているが、これに限られるものではなく、ヘモグロビンA1c、コレステロール値、中性脂肪値のうちいずれかを含めて測定するようにしてもよい。また、糖尿病に関連する生体情報だけでなく、塩分、pH、クレアチニン値、血中酸素濃度、心理的ストレスの度合い等、生体情報に関わるものであれば、これら被測定情報のうち少なくともいずれか1を含むようにしてもよい。さらに、健康診断の検査項目に応じた生体情報を取得するようにしてもよい。例えば、血圧、心拍数、ALT(GPT)、γ−GT(γ−GTP)等を含めてもよい。
【0028】
次に、上記第1の実施形態に係る生体情報の自己管理システム2を用いた生体情報の自己管理方法について、生体情報の自己管理システム2の作用に基づいて説明する。上記第1の実施形態に係る生体情報の自己管理システム2を用いた自己管理方法は、
図6に示すように、まず、利用者Uの腕にアプリケータ9を用いて血糖値センサ3を装着する(
図3の(A)参照)。次に、血糖値センサ3により利用者Uの血糖値を測定し、血糖値の測定値と測定時間(測定日を含む)を取得して記録する。測定は所定時間(本実施形態では、1分)毎に経時的に行われる(第1のステップS1)。次に、所定時間(例えば24時間)経過後、リーダー4により血糖値センサ3に記録された経時的データ(測定値データと測定時間データ)を非接触で読み取る(第2のステップS2)。そして、リーダー4により経時的データが読み取られると、次に、リーダー4からPC5に経時的データを送信する。PC5はリーダー4から経時的データを受け取ると、データ処理して図または表の形で結果レポートRを作成する(第3のステップS3)。データ処理時、利用者Uの要求に基づいて、例えば、
図4に示すような1日、24時間の血糖値の遷移を単純に示すグラフとしたり、
図5の(A)、(B)に示すような食後高血糖タイプの人に適用されるような食後血糖値の測定値とするグラフとすることができるようになっている。第3のステップS3で結果レポートRが作成されると、PC5は、予め設定された所定時間(24時間)、利用者Uの携帯端末7に表示させるのを阻止し、利用者Uが結果レポートRを閲覧できないようにしている(第4のステップS4)。第4のステップで、所定時間が経過すると、PC5は送信部6を通じて結果レポートRを利用者Uの携帯端末7に送信して表示させる(第5のステップS5)。
【0029】
こうして、利用者Uは、所定時間経過後(
図4および
図5参照)の血糖値の遷移を自在に見ることができる。このように、利用者Uは、自分の意思に基づいて、いつでもどこでも自らの携帯端末7に自らの血糖値情報(生体情報)を表示することができ、自らの生体状況を簡便に把握することができる。言い換えれば、従来のように外部からの画一的なアドバイスや提案に頼ることがないので、自発的、自律的に好ましい摂食行動を取ったり、適切な運動を行うようにセルフマネージメントすることができる。また、心理的負担が少ないので、個人の自主性に委ねることで生体情報チェックの継続性を確保することができる。また、利用者Uは所定時間結果を見ることができないので、リアルで素の生体情報を得ることができる。
【0030】
次に、本発明の第2の実施形態に係る生体情報の自己管理システム22について説明する。本発明の第2の実施形態に係る生体情報の自己管理システム22は、上記第1の実施形態に係る生体情報の自己管理システム2が、血糖値センサ3の経時的データに基づいてデータ処理し結果レポートRを作成するようにしていたのに対し、利用者Uの携帯端末7を通じて生活情報を入力し、この入力された生活情報を経時的データと関連付けしてデータ処理に反映させるようにした点が異なる外は、上記第1の実施形態に係る生体情報の自己管理システム2とほぼ同一の構成を備えている。すなわち、本発明の第2の実施形態に係る生体情報の自己管理システム22は、携帯端末7が生活情報を入力する生活情報入力部(生活情報入力手段)23を備え、PC5は、携帯端末7の生活情報入力部23から受け取った生活情報を生体情報(血糖値の測定値と測定時間)と関連付けしてデータ処理し、結果レポートR1に反映させるようになっている。
【0031】
第2の実施形態に係る生体情報の自己管理システム22は、
図7に示すように、まず、利用者Uにアプリケータ9を用いて血糖値センサ3を装着し、血糖値センサ3により利用者Uの血糖値の測定値と測定時間を取得して経時的に記録し(第1のステップS11)、次に、所定時間または所定時間経過後、リーダー4により血糖値センサ3に記録された経時的データが読み取られると(第2のステップS12)、リーダー4からPC5に経時的データを送信し、PC5はリーダー4から受け取った経時的データをデータ処理するようになっている(第3のステップS13)。
【0032】
ところで、第2の実施形態に係る生体情報の自己管理システム22では、
図8および
図9に示すように、第1のステップS11で、利用者Uが血糖値センサ3を装着している間、利用者Uの携帯端末7を通じて、生活情報を入力してPC5に送信するようになっている(第4のステップS14)。生活情報は、例えば、摂取する食事の写真を撮影した食事内容、食事時間(食事開始時刻、食事終了時刻)、運動した内容、運動した時間(運動開始時刻と運動終了時刻)、起床時刻と就寝時刻などが含まれる。また、生活情報には、心理的ストレスの度合い、服薬情報、保健機能性食品の摂取情報などが含まれる。利用者Uの携帯端末7の生活情報入力部23を通じてこれら生活情報がPC5に送信されると、PC5は、携帯端末7から受け取った生活情報を、生体情報(血糖値の測定値と測定時間)と関連付けしてデータ処理し、結果レポートR1に反映させるようになっている(第5のステップS15)。第5のステップS15で生活情報が反映された結果レポートR1が作成されると、PC5は、予め設定された所定期間(例えば数日から数週間のうち適切な期間、本実施形態では、2週間)、利用者Uの携帯端末7に表示させるのを阻止し、利用者Uが結果レポートR1を閲覧できないようにしている(第6のステップS16)。第6のステップで、所定期間(2週間)が経過すると、PC5は送信部6を通じて結果レポートR1を利用者Uの携帯端末7に送信して表示させるようになっている(第7のステップS17)。
【0033】
図10の(A)ないし(C)はそれぞれ、生活情報を反映させた食後血糖値と食後経過時間との関係を示すグラフで、(A)は食事内容と食後経過時間との関係を、(B)は運動と食後経過時間との関係を、(C)は保健機能性食品の摂取と食後経過時間との関係をそれぞれ示しており、利用者Uは、利用者自らが摂食行動や運動との因果関係を簡便に把握し、自発的、自律的に好ましい摂食行動を取ったり、適切な運動を行うよう自己管理を行うことができる。必要な場合には、このような結果レポートR1に基づいて専門家から利用者に対応した適切なアドバイスを受けることも可能である。
【0034】
図11は、結果レポートR1のイメージを示す説明図で、食前と食後のグルコース値を比較し、上昇幅が大きい順に表示したり、1日ごとの血糖トレンドとイベントを1週間分表示したり、各食事開始から3時間の血糖トレンドを切り出して表示することができるようになっている。
図11は、結果レポートR1の一例を示す説明図で、2週間合計の最大値、最小値、平均値を表示している。このため、継続的な実施により成果が直ちにわかるようになっている。
図12は、結果レポートR1において、生活習慣と血糖トレンドとの関係を示す説明図で、1日ごとの最大値、最小値、平均値を表示するだけでなく、食事記録、活動記録の表示、起床時間、就寝時間の表示をするようにしている。
図13は、結果レポートR1において、食事ごとのグルコース値変動を示す説明図で、食事の上昇値、面積値の表示をするようになっている。
図14は、結果レポートR1に基づいて、気をつけるべき食事をランキングして示す説明図で、食事開始時点から3時間を切り取り、上昇値の差が大きかった順にランキング表示するようにしている。
図15は、結果レポートR1を活用する例を示す説明図で、利用者Uが結果レポートR1を見てセルフチェックしている様子を示している。
【0035】
このように、本発明の第2の実施形態に係る生体情報の自己管理システム22では、利用者Uは、取得した生体情報と生活情報を関連付けして結果レポートR1に反映させているので、利用者自らが摂食行動や運動との因果関係を簡便に把握し、自発的、自律的に好ましい摂食行動を取ったり、適切な運動を行うよう自己管理を行うことができる。また、従来のように外部からの画一的なアドバイスや提案を受けて行動するような心理的負担が少ないので、個人の自主性に委ねることで生体情報チェックの継続性を確保することができる。さらに、利用者Uは所定期間、結果を見ることができないので、リアルで素の生体情報を得ることができ、マスクされた期間を振り返り、日常生活についての問題点を把握して改善につながりやすくなり、利用者のモチベーションを良好に維持することができる。
【0036】
なお、上記各実施形態では、血糖値センサ(生体情報取得装置)3を身体に装着するようにしているが、これに限られるものではなく、身体と分離した状態で利用者に持ち運びされたり、自宅などで夜間のみ使用するようにしてもよい。また、リーダー(生体情報読み取り装置)4は、携帯して用いるようにしてもよいし、自宅等で帰宅時に用いるようにしてもよい。さらに、
図5の(B)に示すように、自己の生体情報と標準的な健全なモデル情報とを比較して自己の生体情報に基づいてセルフマネージメントするようにしているが、自己の生体情報と標準的な健全なモデル情報とを、生活情報と関連付けして比較し表示するようにしてもよい。
【0037】
次に、本発明の第3の実施形態に係る生体情報の自己管理システム102について説明する。本発明の第3の実施形態に係る生体情報の自己管理システム102は、上記第1第2の実施形態に係る生体情報の自己管理システム2、22が、(1)血糖値センサ3からリーダー4を介してPC5に生体情報を送信してデータ処理し結果レポートRを作成して利用者Uの携帯端末7に送信し、表示したり、(2)利用者Uの携帯端末7に生活情報を入力し、生体情報と生活情報とを関連付けしてデータ処理し、結果レポートR1を作成して利用者Uの携帯端末Uに送信して表示し、セルフチェックによる自己管理を行うようにしているのに対し、
図16に示すように、(1)利用者U1の携帯端末107を、血糖値センサ3に記録された経時的生体情報を読み取り可能に構成するととともに、この携帯端末107自体またはインターネットを介して遣り取り可能に接続されたクラウドコンピュータ、専門機関のサーバによりデータ処理して結果レポートR2を利用者U1の携帯端末107に表示するようにした点、(2)利用者U1は、作成された自己管理用の結果レポートR2を、予め決められた専門機関Sの端末105A、105Bに送信すると、この結果レポートR2に基づいて、専門機関Sに属する医師、保健師、管理栄養士等の専門家から、あるいは専門機関Sのサーバ205(またはクラウドコンピュータ)のAIから、利用者U1に応じたアドバイスが受けられるようになっている点が異なっている外は、ほぼ前記各実施形態に係る生体情報の自己管理システム2、22と同一の構成を備えている。
【0038】
すなわち、第3の実施形態に係る生体情報の自己管理システム102は、利用者U1の血糖値情報(生体情報)を取得して経時的に記録する血糖値センサ(生体情報取得手段)3と、この血糖値センサ3から経時的に記録された血糖値情報を読み取り、読み取られた血糖値の経時的データをデータ処理するCPU(情報処理部、情報処理手段)106およびデータ処理された結果レポートR2を端末の画面に表示する表示部(表示手段)110を備えた携帯端末(モバイルフォン、タブレット端末、ノートPC)107とを備えて構成される。
【0039】
携帯端末107は、通信を通じて専門機関Sの端末105A、105Bと遣り取り可能に接続される。ここでいう専門機関Sは、医師、保健師、管理栄養士等の専門家が属する機関、会社、組織をいう。専門機関Sには、医師、保健師、管理栄養士等の専門家が利用するAIも含まれる。専門機関Sの端末105A、105Bは、利用者U1の依頼を受けて、利用者U1の端末107からデータ処理された情報である結果レポートR2を受け取ると、専門機関Sの専門家、例えば、医師Dcが、端末(PC)105Aを通じて受け取った結果レポートR2に基づいて、利用者U1に対する医療的なアドバイスを作成し、そのアドバイスを利用者U1の携帯端末107に返送するようになっている。例えば、専門機関Sの専門家が保健師であれば、利用者U1の結果レポートR2に基づいて健康や生活習慣について利用者に応じたアドバイスを、管理栄養士であれば、食事の面でのアドバイスを送るようになっている。また、医師、保健師、管理栄養士等の専門家がAIを用いてアドバイスを作成する際には、利用者U1について、例えば、家族の病歴や生活習慣の状態を把握して、将来、糖尿病を発症するリスクの確率(○○%)を判定したり、現在、糖尿病のどの段階にあるか判定したりすることができる。つまり、例えば、医師や保健師が利用者U1から直接症状や生活習慣の情報を限られた時間で聞き出すには限界があるのに対し、長期間にわたり蓄積された生体情報や生活習慣の情報をAIで分析して、専門家のアドバイスに役立てることができるようになっている。
【0040】
また、第3の実施形態に係る生体情報の自己管理システム102では、利用者U1の携帯端末107、専門機関のサーバ105A、105B、クラウドコンピュータのいずれかに、ある利用者について異なる分野の専門機関の専門家の端末を連携させ、当該利用者に関する異なる分野の専門機関の専門家のアドバイスを、当該異なる専門家同士に閲覧可能に提供するプラットホーム手段を備えて構成される。
【0041】
この第3の実施形態に係る生体情報の自己管理システム102では、
図17に示すように、まず、利用者U1の腕にアプリケータ9を用いて血糖値センサ3を装着する(
図3の(A)参照)。次に、血糖値センサ3により利用者U1の血糖値を測定し、血糖値の測定値と測定時間(測定日を含む)を取得して経時的に記録する。(第1のステップS101)。次に、所定時間(例えば24時間)経過後、または所定期間(例えば数日)経過後、利用者U1の携帯端末107により血糖値センサ3に記録された経時的データ(測定値データと測定時間データ)を非接触で読み取る(第2のステップS102)。携帯端末107は血糖値センサ3から経時的データを受け取ると、データ処理して図または表の形で結果レポートR2を作成して表示する(第3のステップS103)。データ処理時、上記第1第2の実施形態と同様に、利用者U1の要求に基づいて、例えば、
図4に示すような1日、24時間の血糖値の遷移を単純に示すグラフとしたり、
図5の(A)、(B)に示すような食後高血糖タイプの人に適用されるような食後血糖値の測定値とするグラフとすることができるようになっている。このように、第3の実施形態に係る生体情報の自己管理システム102では、血糖値センサ3と利用者U1の携帯端末107とだけで、セルフチェックによる自己管理が行えるようになっている。
【0042】
また、第3の実施形態に係る生体情報の自己管理システム102では、上記第2の実施形態のように、利用者U1が携帯端末107に生活情報を入力し、血糖値情報(生体情報)と生活情報を関連付けして結果レポートR2に反映させるようにしている(第4のステップS104)。第4のステップS104で生活情報が反映された結果レポートR2が作成されると、携帯端末107は、予め設定された所定期間(本実施形態では、例えば2週間)、利用者U1の携帯端末107に表示させるのを阻止し、利用者U1が結果レポートR2を閲覧できないようにしている(第5のステップS105)。第5のステップS105で、所定期間(2週間)が経過すると、利用者U1の携帯端末107に結果レポートR2を表示するようになっている(第6のステップS106)。
【0043】
さらに、第3の実施形態に係る生体情報の自己管理システム102では、第6のステップS106で、結果レポートR2を作成して表示すると、利用者U1は、この結果レポートR2を、利用者U1が依頼した専門機関Sの端末105A、105Bに送信できるようになっている(第7のステップ107)。専門機関Sの専門家、例えば、医師Dcは、依頼を受けた利用者U1から、端末105Aを通じて結果レポートR2を受け取ると、結果レポートR2に基づいて、利用者U1に対する医療的なアドバイスを作成し、そのアドバイスを利用者U1の携帯端末107に返送するようになっている(第8のステップS108)。この第8のステップS108では、専門的なアドバイスを、利用者U1の携帯端末107に返送するのに代えて、
図18に示すように、医療専門家や保健師あるいは栄養管理師と面接してアドバイスを受けるようにしてもよい。こうして利用者U1は、セルフチェック用の自己管理システムで用いられる結果レポートR2を利用して、専門家から利用者に応じたきめ細かいアドバイスを受けることができるようになっている。また、医師、保健師、管理栄養士等の専門家がAIを用いてアドバイスを作成する際には、利用者U1について、長期間にわたる蓄積された生体情報や生活習慣の情報、あるいは家族の病歴情報等をAIで分析して、専門家のアドバイスに役立てることができる。つまり、現在、ある病気(例えば、糖尿病や肝臓病)のどの段階にあるか判定したり、その病気の将来の発症リスクを判定したりすることができるので、専門家は精度の向上したきめ細かいアドバイスを提供することができる。
【0044】
また、本実施形態に係る生体情報の自己管理システム102では、プラットホーム手段により、ある利用者について異なる分野の専門機関の専門家の端末、例えば、医療機関(医者)の端末、保健所(保健師)の端末や各種施設(医療機関や保健所の管理栄養士)の端末を連携させ、当該利用者に関する異なる分野の専門機関の専門家のアドバイスを、当該異なる専門家同士に閲覧可能に提供するようにしているので、第8のステップS108で、結果レポートR2に基づいて提供されるアドバイスについて、特定の分野の専門機関の専門家だけでなく、利用者に関わる専門家間で連携して情報を共有することができるようになっている(第9のステップS109)。このように、異なる分野の専門機関の専門家が、ある利用者について、他の専門家と連携し他の専門家のアドバイスを閲覧して参照し、利用者にアドバイスを行うことができるので、日常生活についてよりきめ細かく、具体的で正確なアドバイスを提供することができる。利用者は、専門家との面接または端末を通じて、異なる分野の専門機関の専門家からの多元的なアドバイスを一元的にまとめて受け取ることができる。専門機関の専門家は、利用者のマスクされた期間について、リアルで素の生体情報が入手できるので、適切なアドバイスをすることができる。
【0045】
なお、上記各実施形態では、マスク手段により所定時間または所定期間、結果レポートR、R1、R2の表示を阻止するようにしているが、これに限られるものではなく、短時間毎に表示させて、常に結果が気になる利用者のモチベーション維持をはかるようにしてもよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0046】
2 生体情報の自己管理システム
3 血糖値センサ(生体情報取得手段)
4 リーダー(読み取り手段)
5 PC(情報処理手段)
6 送信部(送信手段)
7 携帯端末(端末)
U 利用者