特開2020-124181(P2020-124181A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-124181(P2020-124181A)
(43)【公開日】2020年8月20日
(54)【発明の名称】冷凍食品の解凍装置
(51)【国際特許分類】
   A23L 3/365 20060101AFI20200727BHJP
   F25D 23/12 20060101ALI20200727BHJP
   F25D 25/00 20060101ALI20200727BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20200727BHJP
   F25D 17/08 20060101ALI20200727BHJP
   F25D 23/00 20060101ALI20200727BHJP
【FI】
   A23L3/365
   F25D23/12 U
   F25D23/12 M
   F25D25/00 M
   F25D11/00 101B
   F25D11/00 101Y
   F25D17/08 303
   F25D23/00 301B
   F25D23/00 307
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】書面
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-31016(P2019-31016)
(22)【出願日】2019年2月5日
(71)【出願人】
【識別番号】304024496
【氏名又は名称】共立プラント工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】516209784
【氏名又は名称】株式会社MILAI・E
(72)【発明者】
【氏名】中井 嘉樹
【テーマコード(参考)】
3L045
3L345
4B022
【Fターム(参考)】
3L045AA02
3L045AA05
3L045BA01
3L045BA05
3L045CA02
3L045CA06
3L045DA02
3L045EA01
3L045KA12
3L045LA02
3L045LA13
3L045MA02
3L045MA07
3L045NA00
3L045NA09
3L045NA21
3L045NA23
3L345AA02
3L345AA14
3L345AA16
3L345AA17
3L345AA26
3L345BB01
3L345BB04
3L345CC01
3L345DD13
3L345DD17
3L345DD18
3L345DD21
3L345DD61
3L345EE04
3L345EE33
3L345EE34
3L345EE53
3L345FF32
3L345FF33
3L345HH02
3L345HH03
3L345HH24
3L345HH32
3L345HH42
3L345KK02
3L345KK04
3L345KK05
4B022LB02
4B022LF02
4B022LF03
4B022LQ02
4B022LT07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】室温自然解凍、流水解凍に比べて菌の増殖を抑制する安全な環境における解凍が可能となり、冷蔵庫解凍に比べ解凍所要時間の短縮ができ、複数本の冷凍食品を解凍する場合でも、ばらつきを低減して均一解凍を実現できる、冷凍食品の解凍装置の提供。
【解決手段】冷蔵室1内の冷気を加温・加湿して冷凍食品パック2の下方から上方に吹き出して対流を発生させる冷気循環手段を設け、上面に多数の吹き出し孔4を有する吹き出しダクト5を冷蔵室1の底部に設け、吹き出しダクト5の上方に置かれた複数本の冷凍食品パック2の周面に略均一な上昇気流を接触させるようにした、冷凍食品の解凍装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の冷蔵温度に設定された冷蔵室内に、複数本の縦長直方体状の冷凍食品パックを載置して同時解凍可能にした冷凍食品の解凍装置において、冷蔵室内の冷気を加温・加湿して冷凍食品パックの下方から上方に吹き出して対流を発生させる冷気循環手段を設け、上面に多数の吹き出し孔を有する吹き出しダクトを冷蔵室の底部に設けることにより、吹き出しダクト上方に置かれた複数本の冷凍食品パック周面に略均一な上昇気流を接触させるようにしたことを特徴とする冷凍食品の解凍装置。
【請求項2】
複数の冷凍食品パックを適切な間隔で林立して載置可能にする位置決めガイドを設けたことを特徴とする請求項1記載の冷凍食品の解凍装置。
【請求項3】
温度センサーおよび湿度センサーを吹き出しダクト部に設けるとともに、両センサー出力に基づいて解凍用冷気の温度および湿度が所定値になるように加温手段および加湿手段を制御する解凍制御回路を設けたことを特徴とする請求項1および請求項2記載の冷凍食品の解凍装置。
【請求項4】
冷蔵室内冷気の異常温度上昇を検知して警報を発する温度異常警報装置を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項3記載の冷凍食品の解凍装置。
【請求項5】
冷凍食品パックの出し入れ時の一時的な扉開放による温度上昇に起因した温度異常警報装置の発報を防止する誤動作防止手段を設けたことを特徴とする請求項4記載の冷凍食品の解凍装置。
【請求項6】
下面に多数の吸い込み孔を有する吸い込みダクトを冷蔵室の天井部に設けたことを特徴とした請求項1乃至請求項5記載の冷凍食品の解凍装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凍結液卵パックのように、縦長直方体状パックに入った冷凍食品の解凍装置であり、菌の増殖を抑えた安全な冷蔵環境で冷凍食品パックを速やかに解凍するとともに、多量の冷凍食品パックを均一に同時解凍できるようにした冷凍食品の解凍装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、凍結液卵パックのようなパック入り冷凍食品を解凍する場合、凍結液卵メーカーは、流水で解凍するか、あるいは冷蔵庫で解凍する方法を推奨しているが、実際には、冷凍食品を室内に放置して解凍する室湿自然解凍が行われていることもある。
【0003】
凍結液卵のようなパック入り冷凍食品における菌の増殖は、5℃を超える保存環境では増殖スピードが増して食中毒のリスクが高まるため、気温が高い夏場の室温自然解凍はリスクが高くなるという問題があった。
【0004】
一方、ボールに数本の凍結液卵パックを入れて水道水の掛け流しで解凍する流水解凍では、水道水の温度と解凍時間の適切な管理を必要とする上、解凍品質にムラが生じ易いという問題があった。
【0005】
特に、夏場の水道水温度が5℃を大幅に超えるため、解凍後も流水で温められている状態が続けば、食中毒リスクが高くなるので、水道水の温度および解凍時間の適正な管理が面倒であるという問題があった。
【0006】
また、凍結液卵パックの解凍時間の目安は、20℃の水道水による流水解凍で6時間とされているが、多忙な調理場における解凍時間の適正管理は難しく、解凍時間が長すぎると食中毒リスクが発生するという問題があった。
【0007】
次に、5℃以内の安全な環境で解凍する冷蔵庫解凍では、1本の紙パック入り凍結液卵(1リットル:−20℃)を、業務用冷蔵庫内で解凍する場合、5℃の低温冷気による解凍になるので、解凍所要時間が25時間以上になってしまい、流水解凍に比べて大幅に解凍所要時間が長くなるという問題があった。
【0008】
また、複数本の凍結液卵パックを冷蔵庫解凍する場合の問題として、庫内の冷気が自然対流になっており、解凍所要時間が1本の場合に比べて大幅に長くなってしまう上、庫内の載置場所によって解凍所要時間にばらつきが生じて均一解凍が難しくなるという問題があった。
【0009】
そこで、従来、庫内に加温・加湿空気を導入して解凍所要時間を短縮するようにした冷凍食品の解凍装置が考えられており、加温・加湿空気を解凍用低温室の天井中央から導入して対流させて解凍するようにした従来例1(特開平5−79742)や、加温・加湿空気を解凍庫の底面中央から導入して対流させて解凍するようにした従来例2(特開昭63−12271)が考えられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平5−79742
【特許文献2】特開昭63−12271
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来例1、2では、解凍用低温室あるいは解凍庫内に、ヒーターで加温した加湿空気を対流させて解凍しているため、解凍所要時間が短くなるという利点があるが、天井中央あるいは底面中央の一所から加温・加湿空気を導入しているので、縦長直方体状パックに入った複数本の冷凍食品パックを同時解凍する場合、林立する冷凍食品パックによって対流が阻害されることによって解凍所要時間のばらつきが大きくなるという問題があった。
すなわち、中央部に載置した冷凍食品パックの周辺には、加温・加湿空気が集中的に流れて解凍所要時間が大幅に短縮されるものの、周辺部に載置した冷凍食品パックの周面には、加温・加湿空気の流れが悪くなって解凍所要時間があまり短縮されないので、解凍所要時間のばらつきが大きくなって均一解凍ができないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記従来例の問題点に鑑みて為されたものであり、縦長直方体状の冷凍食品パックを複数本載置して解凍する冷凍食品の解凍装置において、解凍所要時間の短縮化が図れるとともに、複数本の冷凍食品パックを解凍する場合における解凍所要時間のばらつきを低減して均一解凍を実現できる冷凍食品の解凍装置を提供することを目的としている。
【0013】
請求項1記載の本発明は、所定の冷蔵温度に設定された冷蔵室内に、複数本の縦長直方体状の冷凍食品パックを載置して同時解凍可能にした解凍装置において、冷蔵室内の冷気を加温・加湿した解凍用空氣を冷凍食品パックの下方から上方に吹き出して対流を発生させる冷気循環手段を設け、上面に多数の吹き出し孔を有する吹き出しダクトを冷蔵室の底部に設けることにより、吹き出しダクト上方に置かれた複数本の冷凍食品パック周面に略均一な上昇気流を接触させるようにした冷凍食品の解凍装置である。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1記載の冷凍食品の解凍装置において、複数の縦長直方体状の冷凍食品パックを適切な間隔で林立して載置可能にする位置決めガイドを設けたものである。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1および請求項2記載の冷凍食品の解凍装置において、温度センサーおよび湿度センサーを吹き出しダクト部に設けるとともに、両センサー出力に基づいて解凍用冷気の温度および湿度が所定値になるように加温手段および加湿手段を制御する解凍制御回路を設けたものである。
【0016】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3に記載の冷凍食品の解凍装置において、冷蔵室内冷気の異常温度上昇を検知して警報を発する温度異常警報装置を設けたものである。
【0017】
請求項5の発明は、請求項4記載の冷凍食品の解凍装置において、冷凍食品パックの出し入れ時の一時的な扉開放による温度上昇に起因した温度異常警報装置の発報を防止する誤動作防止手段を設けたものである。
【0018】
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5記載の冷凍食品の解凍装置において、下面に多数の吸い込み孔を有する吸い込みダクトを冷蔵室の天井部に設けたものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る冷凍食品の解凍装置によれば、所定の冷蔵温度に設定された冷蔵室で解凍されるので、室温自然解凍、流水解凍に比べて菌の増殖を抑制する安全な環境における解凍が可能となり、冷蔵室内の冷気を加温・加湿した解凍用空氣を冷凍食品パックの下方から上方に吹き出して対流を発生させる冷気循環手段を設けているので、冷蔵庫解凍に比べ解凍所要時間の短縮が図れるという効果がある。
【0020】
また、上面に多数の吹き出し孔を有する吹き出しダクトを冷蔵室の底部に設けることにより、吹き出しダクト上方に置かれた複数本の冷凍食品パック周面に上昇気流を均一に接触させるようにしているので、複数本の冷凍食品を解凍する場合における解凍所要時間のばらつきを低減して均一解凍を実現できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明一実施例の一部破断正面図
図2】同上の一部破断上面図
図3】同上の要部正面図(a)、要部上面図(b)
図4】同上のブロック回路図
図5】他の実施例の要部正面図(a)、要部上面図(b)
図6】さらに他の実施例の一部破断正面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1および図2は、本発明一実施例を示すものであり、所定の冷蔵温度(5℃)に設定された冷蔵室1内に、縦長直方体状の冷凍食品パック(牛乳パックと略同一形状の紙パック)2を複数本載置して同時解凍するようにした冷蔵解凍装置であり、冷蔵室1内の冷気を加温・加湿した解凍用空氣を冷凍食品パック2の下方から上方に吹き出して対流を発生させる冷気循環手段3が設けられている。
実施例では、上面に多数の吹き出し孔4を有する吹き出しダクト5を冷蔵室1の底部に設けることにより、吹き出しダクト5上面に置かれた複数本(4×5本)の冷凍食品パック2の周面に上昇気流を均一に接触させるようにしている。
【0023】
図3は、他の実施例の位置決めガイドを示すものであり、複数の縦長直方体状の冷凍食品パック2を適切な間隔で林立して載置可能にするワイヤーを格子状に張設した位置決め用ワイヤーガイド6を吹き出しダクト5の上面に設けたものである。
【0024】
冷蔵室1の温度を5℃ に維持する冷却手段は、機械室9に設置されている冷凍機10aと、冷蔵室1内に設置されている冷却器10bとで構成されており、冷気吹き出し側に設けられたヒーター11と超音波加湿器12にて解凍用の加温・加湿空氣が形成され、送風ファン13によって冷蔵室1内を循環させるようになっている。図中、1aは、冷蔵室用の扉、9aは、機械室用の扉である。
【0025】
図4は、本発明実施例の冷気循環手段3のブロック回路図であり、温度センサー21および湿度センサー22を吹き出しダクト5の要所に設けるとともに、両センサー21、22出力に基づいて解凍用空氣の温度および湿度が所定値になるようにヒーター11および超音波加湿器12を制御する解凍制御回路23を設けたものであり、操作盤24では、解凍用の加温・加湿空気の温度および湿度に加えてファン13の吹き出し風量も調整可能にしている。
【0026】
また、操作盤24には、冷蔵室1内の異常温度上昇を検知して警報を発する温度異常警報装置25が一体化されており、この温度異常警報装置25は、冷凍食品パックの出し入れ時の一時的な扉開放による温度上昇に起因した温度異常警報装置25の発報を防止する誤動作防止手段を有している。
【0027】
本発明に係る解凍装置の動作については、所定の温度(4.8〜5.2℃)で所定の湿度(90〜95%)に調整された解凍用の加温・加湿空気は、吹き出しダクト5上面の吹き出し孔4を介して冷凍食品パック2の周面に沿った略均一な上昇気流となって効率的な熱交換が行われ、解凍所要時間の短縮化が図れるとともに、解凍所要時間のばらつきを軽減できるようになっている。
【0028】
ここに、冷蔵庫内に20本の冷凍食品パック(−20℃)を載置し、解凍用冷気の温度を5℃、湿度を90%とし、吹き出し風量を5.2m/minとした場合、解凍所要時間は20時間となり、室温自然解凍した場合の解凍所要時間30時間や、業務用冷蔵庫内で解凍した場合の解凍所要時間65時間に比べて大幅に短縮できた。
【0029】
一方、吹き出しダクト5を取り外して底面中央部から解凍用空気を吹き出した従来例1、2と同様の解凍装置で比較実験をしたところ、従来例装置で解凍した場合の解凍所要時間のばらつきは、15時間(中央部)〜30時間(周辺部)となるが、本発明に係る解凍装置の場合、載置位置に起因する解凍所要時間のばらつきは殆どなくなり、解凍所要時間は20時間程度となり、全ての冷凍食品パックを解凍するのに要する実質的な解凍所要時間を大幅に短縮(30時間(従来例のMAX)→20時間)できることが確認できた。
【0030】
図5は、他の実施例を示すものであり、吹き出しダクトの上方に冷凍食品パック2載置用の網棚7を設け、複数本(4×5本)の冷凍食品パック2を一括して出し入れ可能にする取手8aを有する網籠8を設けるとともに、網籠8の上方開口に位置決め用ワイヤーガイド6を設けることにより、複数本の冷凍食品パック2を効率よくスムーズに出し入れできるようになっている。なお、冷凍食品パック2の底面に対応して吹き出しダクトの吹き出し孔(径3cmの丸孔)4を設けているが、隣接する冷凍食品パック2の間隙に対応して吹き出し孔4を設けても良い。
【0031】
図6は、さらに他の実施例を示す一部破断正面図であり、下面に多数の吸い込み孔26を有する吸い込みダクト27を冷蔵室1の天井部に設けたものであり、下面板はパンチングメタルで形成されており、吹き出しダクト5上面の吹き出し孔4と、吸い込みダクト27の吸い込み孔26との対向孔の間で略垂直方向の対流を実現できるので、解凍所要時間のばらつきをより少なくできるという効果がある。
【符号の説明】
【0032】
1 冷蔵室
2 冷凍食品パック
3 冷気循環手段
4 吹き出し孔
5 吹き出しダクト
6 位置決め用ワイヤーガイド
9 機械室
11 ヒーター
12 加湿器
13 送風ファン
25 温度異常警報装置
26 吸い込み孔
27 吸い込みダクト
図1
図2
図3
図4
図5
図6