【解決手段】体温解析装置1は、被検体の体温を第一時間間隔で測定した時系列データを取得するデータ取得部11と、前記第一時間間隔よりも長い第二時間間隔についての体温の変化の割合である体温勾配を算出する体温勾配算出部12と、前記時系列データに対して設定され、一定の長さを有する所定期間内に測定された体温についての前記体温勾配の分布の所定度数における勾配である分布勾配を複数の前記所定期間について算出し、前記分布勾配の時間的な変化を算出する分布勾配算出部13と、前記分布勾配の時間的な変化に基づいて前記被検体の生体周期を算出する生体周期算出部14と、前記生体周期算出部14により算出された前記生体周期を出力する生体周期出力部15と、を備える。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1から
図4を参照しながら、実施形態に係る体温解析装置の一例を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る体温解析装置の機能的な構成の一例を示す図である。
図1に示すように、体温解析装置1は、データ取得部11と、体温勾配算出部12と、分布勾配算出部13と、生体周期算出部14と、生体周期出力部15とを備える。
【0013】
データ取得部11は、被検体の体温を第一時間間隔で測定した時系列データを取得する。ここで言う被検体は、ヒト又は動物である。また、動物の一例としてはマウスが挙げられる。体温勾配算出部12は、第一時間間隔よりも長い第二時間間隔についての体温の変化の割合である体温勾配を算出する。
【0014】
図2は、本発明の実施形態に係る体温の時系列データ及び体温勾配の一例を示す図である。
図2は、第一時間間隔が一分であり、第二時間間隔が五分であり、第一時間間隔ごとに測定した被検体の体温の一例を示している。
【0015】
例えば、データ取得部11は、
図1に示した体温計20から
図2に示した点D1、点D2、点D3、点D4、点D5、点D6、点D7、点D8、点D9、点D10、点D11、点D12、点D13、…で表される被検体の体温の時系列データを取得する。これらの点は、それぞれ被検体の体温の測定が開始された時点から1分、2分、3分、4分、5分、6分、7分、8分、9分、10分、11分、12分、13分、…が経過した時点における被検体の体温の測定値又は当該測定値に種々の統計的な処理や補正を施した値である。また、体温計20は、第一時間間隔で一定期間の間、継続的に被検体の体温を測定することが可能な体温計であり、任意のハードウエア構成を採り得る。
【0016】
そして、体温勾配算出部12は、第二時間間隔の一例である5分間隔についての被検体の体温の変化の割合である体温勾配を算出する。例えば、体温勾配算出部12は、点D1と点D6とを結ぶ線分L1の勾配を五分間隔についての点D1で表されている体温の変化の体温勾配として算出する。ここで、点D6は、点D1の五分後に測定された体温を表している。また、体温勾配算出部12は、点D2と点D7とを結ぶ線分L2の勾配を五分間隔についての点D1で表されている体温の変化の体温勾配として算出する。同様に、体温勾配算出部12は、線分L3、線分L4、線分L5、線分L6、線分L7、線分L8、線分L9、線分L10、線分L11、線分L12、線分L13、…各々の勾配を五分間隔についての点D3、点D4、点D5、点D6、点D7、点D8、点D9、点D10、点D11、点D12、点D13、…で表されている体温の変化の体温勾配として算出する。
【0017】
分布勾配算出部13は、時系列データに対して設定され、一定の長さを有する所定期間内に測定された体温についての体温勾配の分布を複数の所定期間について算出する。そして、分布勾配算出部13は、当該体温勾配の分布各々の所定度数における勾配である分布勾配を複数の所定期間各々について算出し、分布勾配の時間的な変化を算出する。
【0018】
図3は、本発明の実施形態に係る体温勾配の分布の一例を示す図である。
図3は、横軸が体温勾配を表しており、縦軸が体温勾配の最大値を0%とし体温勾配の最小値を100%とする累積度数分布を表している。
【0019】
例えば、分布勾配算出部13は、
図2に示した時系列データに対して設定され、10分の長さを有する所定期間W内に測定された点D1、点D2、…、点D11で表される体温についての体温勾配の分布を算出する。当該体温勾配の分布は、例えば、
図3に曲線C1で表される分布となる。そして、分布勾配算出部13は、体温勾配が所定度数の一例である「0」である点における曲線C1の勾配を分布勾配として算出する。
【0020】
次に、分布勾配算出部13は、
図2に示した所定期間Wを1分右にずらし、点D2、点D3、…、点D12で表される体温についての体温勾配の分布を算出する。当該体温勾配の分布は、例えば、
図3に曲線C2で表される分布となる。そして、分布勾配算出部13は、体温勾配が所定度数の一例である「0」である点における曲線C2の勾配を算出する。
【0021】
同様に、分布勾配算出部13は、
図2に示した所定期間Wを順次1分ずつ右にずらし、
図1に示した時系列データに含まれる連続する十個の点で表される体温についての体温勾配の分布を算出する。そして、分布勾配算出部13は、体温勾配が所定度数の一例である「0」である点における当該体温分布の勾配を示す曲線の勾配を分布勾配として算出する。
【0022】
図4は、本発明の実施形態に係る分布勾配の時間的な変化の一例を示す図である。
図4に示した点F1は、体温勾配が所定度数の一例である「0」である点における曲線C1の勾配を表している。また、
図4に示した点F2は、体温勾配が所定度数の一例である「0」である点における曲線C2の勾配を表している。同様に、点F3、点F4、点F5、点F6、点F7、点F8、点F9、点F10、点F11、点F12、点F13、…は、
図2に示した所定期間Wを順次1分ずつ右にずらしてから算出した体温分布の勾配を示す曲線の体温勾配が「0」である点における勾配を表している。
【0023】
生体周期算出部14は、分布勾配の時間的な変化に基づいて被検体の生体周期を算出する。ここで言う生体周期は、例えば、被検体の月経周期である。例えば、生体周期算出部14は、
図4に示した点F1、点F2、点F3、点F4、点F5、点F6、点F7、点F8、点F9、点F10、点F11、点F12、点F13、…のうち最大の分布勾配を示す点F7と、二番目に大きな分布勾配を示す点F12との時間差Tを月経周期として算出する。
図4に示した時間差Tは、例えば、被検体がマウスである場合、マウスの月経周期である4日から6日となる。
【0024】
或いは、生体周期算出部14は、
図4に示した分布勾配の時間的な変化の包絡線Eを算出し、包絡線Eに基づいて被検体の生体周期を算出してもよい。この場合、例えば、生体周期算出部14は、包絡線Eが最大の分布勾配を示す点と、二番目に大きな分布勾配を示す点との時間差を月経周期として算出する。
【0025】
生体周期出力部15は、生体周期算出部14により算出された生体周期を出力する。また、生体周期出力部15は、分布勾配算出部13により算出された分布勾配の時間的な変化を被検体の生体周期以上の長さ出力してもよい。生体周期出力部15から出力された生体周期及び分布勾配の時間的な変化は、例えば、
図1に示したディスプレイ30に表示される。ただし、生体周期出力部15から出力された生体周期及び分布勾配の時間的な変化が出力される態様は、特に限定されない。
【0026】
次に、
図5を参照しながら実施形態に係る車載制御装置の動作の一例を説明する。
図5は、本発明の実施形態に係る体温解析装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0027】
ステップS10において、データ取得部11は、被検体の体温を第一時間間隔で測定した時系列データを取得する。
【0028】
ステップS20において、体温勾配算出部12は、第一時間間隔よりも長い第二時間間隔についての体温の変化の割合である体温勾配を算出する。
【0029】
ステップS30において、分布勾配算出部13は、時系列データに対して設定され、一定の長さを有する所定期間内に測定された体温についての体温勾配の分布の所定度数における勾配である分布勾配を複数の所定期間について算出し、分布勾配の時間的な変化を算出する。
【0030】
ステップS40において、生体周期算出部14は、分布勾配の時間的な変化に基づいて被検体の生体周期を算出する。
【0031】
ステップS50において、生体周期出力部15は、ステップS40で算出された生体周期を出力する。
【0032】
以上、実施形態に係る体温解析装置1について説明した。体温解析装置1は、被検体の体温を第一時間間隔で測定した時系列データを取得するデータ取得部11と、第一時間間隔よりも長い第二時間間隔についての体温の変化の割合である体温勾配を算出する体温勾配算出部12と、時系列データに対して設定され、一定の長さを有する所定期間内に測定された体温についての体温勾配の分布の所定度数における勾配である分布勾配を複数の所定期間について算出し、分布勾配の時間的な変化を算出する分布勾配算出部13と、分布勾配の時間的な変化に基づいて被検体の生体周期を算出する生体周期算出部14と、生体周期算出部により算出された生体周期を出力する生体周期出力部15と、を備える。
【0033】
したがって、体温解析装置1は、
図1に示した時系列データに含まれる点が示す体温が十分な精度で測定されていない場合であっても、分布勾配の時間的な変化から
図1に示した時系列データの傾向を抽出して被検体の生体周期を正確に推定することができる。
【0034】
体温解析装置1は、
図4に示した分布勾配の時間的な変化の包絡線Eを算出し、包絡線Eに基づいて被検体の生体周期を算出する。これにより、体温解析装置1は、時系列データに含まれているノイズの影響が
図4に示した分布勾配の時間的な変化に影響を及ぼしている場合であっても
図4に示した分布勾配の時間的の傾向を把握し、被検体の生体周期を正確に推定することができる。
【0035】
体温解析装置1は、分布勾配算出部13により算出された分布勾配の時間的な変化を被検体の生体周期以上の長さ出力する。これにより、体温解析装置1は、被検体の生体周期を推定した根拠をユーザに通知し、ユーザに安心感を与えることができる。
【0036】
なお、上述した実施形態では、特に、時系列データに処理が施されていない場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。時系列データは、フーリエ近似等の処理が施されていてもよい。
【0037】
また、上述した実施形態では、第一時間間隔が一定である場合を例に挙げたが、これに限定されない。例えば、第一時間間隔は、第二時間間隔よりも短いという条件を満たしている限り、変動してもよい。
【0038】
また、上述した実施形態では、第二時間間隔が5分間隔である場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、第二時間間隔は、5分間隔から30間隔の間の時間間隔であってもよい。また、第二時間間隔は、10分間隔又は15分間隔であることが好ましい。
【0039】
また、上述した実施形態では、
図2に示した所定期間Wの長さが10分である場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。
図2に示した所定期間Wの長さは、任意の長さ、例えば、240分であってもよい。
【0040】
また、上述した実施形態では、
図3に示した通り、体温勾配の分布として累積度数分布が採用されている場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、体温勾配の分布としては、累積ではない通常の分布、標準偏差が採用されてもよい。
【0041】
なお、上述した体温解析装置1の各機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録させ、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませて実行することにより、上述した処理の少なくとも一部を実行してもよい。
【0042】
ここで言うコンピュータシステムとは、オペレーティング・システム(OS:Operating System)及び周辺機器等のハードウエアの少なくとも一つを含む。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えば、フロッピーディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置、ネットワーク又は通信回線を介してプログラムが送信される場合におけるサーバ又はクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように一定時間プログラムを保持しているものも含む。
【0043】
また、上述したプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、又は、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する伝送媒体とは、インターネット等のネットワーク又は電話回線等の通信回線のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
【0044】
また、上述したプログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、上述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるプログラム、いわゆる差分プログラムであってもよい。上述したプログラムは、例えば、コンピュータが備えるCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサにより読み出されて実行される。
【0045】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、置換及び設計変更の少なくとも一つを加えることができる。上述した各実施形態に記載の構成を組み合わせてもよい。