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特開2020-125103車両及び車両を自律的に運転する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-125103(P2020-125103A)
(43)【公開日】2020年8月20日
(54)【発明の名称】車両及び車両を自律的に運転する方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/08 20120101AFI20200727BHJP
   B60W 40/02 20060101ALI20200727BHJP
   B60W 40/076 20120101ALI20200727BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20200727BHJP
【FI】
   B60W30/08
   B60W40/02
   B60W40/076
   G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2020-5900(P2020-5900)
(22)【出願日】2020年1月17日
(31)【優先権主張番号】19465507
(32)【優先日】2019年2月6日
(33)【優先権主張国】EP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】508097870
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100208258
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 友子
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・ブルカ
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BB16
3D241CD08
3D241CD11
3D241CE04
3D241CE05
3D241DB01Z
3D241DC25Z
3D241DC31Z
3D241DC33Z
3D241DC45Z
5H181AA01
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF05
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL09
5H181LL14
(57)【要約】      (修正有)
【課題】勾配又は坂を走行する状況での自律走行車両の安全性を向上する。
【解決手段】車両1を自律的に運転する方法は、フロントセンサ31によってフロント領域の環境データを捕捉すること、リアセンサ32によってリア領域の環境データを捕捉すること、位置センサ33によって車両の位置を捕捉すること、車両の位置を勾配情報を含む地形マップの中の場所に割り当て、車両の場所の前方及び後方の所定範囲について勾配情報を地形マップから引き出すこと、勾配情報、フロント及びリアセンサの位置、及びフロントセンサの視野の垂直開口角に基づき、特定の垂直高さを有する物体を検出するためのフロント及びリアセンサの最大検出距離を決定すること、車両の予定された運転操作又は現在の走行状態に必要なフロント及びリアセンサの最小検出距離を決定することを含み、必要な最小検出距離がフロント及びリアセンサの最大検出距離以下となるように車両を駆動する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路(2)を走行方向(D1)に走行している車両(1)を自律的に運転する方法であって、
フロントセンサ(31)であって、フロントセンサ搭載位置において、前記フロントセンサ(31)の視軸(A31)が事前に定義された配向となるように前記車両(1)に搭載されたフロントセンサ(31)によって、フロント領域であって、前記走行方向(D1)に対して前記車両(1)の前方にあるフロント領域の環境データを捕捉することと、
リアセンサ(32)であって、リアセンサ搭載位置において、前記リアセンサ(32)の視軸(A32)が事前に定義された配向となるように前記車両(1)に搭載されたリアセンサ(32)によって、リア領域であって、前記走行方向(D1)に対して前記車両(1)の後方にあるリア領域の環境データを捕捉することと、
位置センサ(33)によって前記車両(1)の位置を捕捉すること、
前記車両(1)の前記位置を、前記道路(2)の勾配情報を含む地形マップの中の場所に割り当てることと、
前記車両(1)の前記場所の前方及び後方の所定範囲について勾配情報を前記地形マップから引き出すことと、
前記勾配情報、前記フロント及びリアセンサの位置、並びに前記フロント及びリアセンサの視軸(A31、A32)に対する前記フロントセンサ(31)及び前記リアセンサ(32)の視野(V31、V32)の垂直開口角(α31、α32)に基づき、特定の垂直高さ(h3)を有する物体(3)を検出するための前記フロントセンサ(31)及び前記リアセンサ(32)の最大検出距離(D_max)を決定することと、
予定された運転操作又は前記車両(1)の現在の走行状態に必要な前記フロントセンサ(31)及び前記リアセンサ(32)の最小検出距離(D_min)を決定することと、
前記必要な最小検出距離(D_min)が前記フロント及びリアセンサ(31、32)の前記最大検出距離(D_max)以下となるように前記車両(1)を駆動すること
を含む、方法。
【請求項2】
前記車両(1)を駆動することが、前記必要な最小検出距離(D_min)が前記決定された最大検出距離(D_max)より小さい場合のみ前記予定された運転操作を遂行することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記予定された運転操作が、前記道路(2)上で車線(4、5)を変更することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記車両(1)を駆動することが、前記車両(1)の走行速度を低下又は上昇させることを含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記最大検出距離(D_max)を決定することが、物体(3)の複数の特定の垂直高さ(h3)について繰り返される、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記車両(1)の前記位置を捕捉することが、衛星システムから位置信号を受信することを含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記フロントセンサ搭載位置及び前記リアセンサ搭載位置がそれぞれ、前記それぞれのセンサ(31、32)から前記車両(1)が走行している前記道路(2)の表面までの距離(d31、d32)である、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
車両であって、
車体(10)と、
前記車両(1)を運転するための駆動システム(20)と、
フロントセンサ搭載位置において、視軸(A31)が事前に定義された配向となるように前記車体(10)のフロント側に搭載されたフロントセンサ(31)であって、前記車体(10)の前方にあるフロント領域の環境データを捕捉するように構成されたフロントセンサ(31)、
リアセンサ搭載位置において、視軸(A32)が事前に定義された配向となるように前記車体のリア側に搭載されたリアセンサ(32)であって、前記車体の後方にあるリア領域の環境データを捕捉するように構成されたリアセンサ(32)、及び
前記車両(1)の位置を捕捉するように構成された位置センサ(33)を含む
センサシステム(30)と、
前記センサシステム(30)及び前記駆動システム(20)とデータ通信するコントローラ(40)であって、
前記車両(1)の前記位置を道路の勾配情報を含む地形マップの中の場所に割り当て、
前記車両(1)の前記場所の前方及び後方の所定範囲について勾配情報を前記地形マップから引き出し、
前記勾配情報、前記フロント及びリアセンサの位置、ならびに前記フロント及びリアセンサの視軸(A31、A32)に対する前記フロントセンサ(31)及び前記リアセンサ(32)の視野の垂直開口角(α31、α32)に基づき、特定の垂直高さ(h3)を有する物体(3)を検出するための前記フロントセンサ(31)及び前記リアセンサ(32)の最大検出距離(D_max)を決定し、
前記車両(1)の予定された運転操作又は現在の走行状態に必要な前記フロントセンサ(31)及び前記リアセンサ(32)の最小検出距離(D_min)を決定し、
前記必要な最小検出距離(D_min)が前記フロント及びリアセンサ(31、32)の前記最大検出距離(D_max)以下となるように前記車両(1)を駆動するための前記駆動システムを制御するように構成されたコントローラ(30)を含む、
車両(1)。
【請求項9】
前記フロントセンサ(31)及び/又は前記リアセンサ(32)が、カメラ又はライダセンサなどのレーダーセンサ又は光学的センサである、請求項8に記載の車両(1)。
【請求項10】
前記コントローラが、前記地形マップを格納するデータメモリを含む、請求項8又は9に記載の車両(1)。
【請求項11】
前記位置センサ(33)が、GPS、GLONASS、又は同様のセンサである、請求項8〜10のいずれか1項に記載の車両(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両及び車両を自律的に運転する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のための自律又は自動走行方法は、典型的には、センサデータを使用して道路上で車両を誘導し、他の車両又は交通参加者などの物体を検出する。物体検出のために環境データを捕捉するセンサは通常、水平開口角と垂直開口角によって定義される視野を含み、そのため、特定の距離範囲について環境データを捕捉することができる。ハイウェイを走行するシナリオ及び道路の基本的に平坦な地形を含むシナリオについては、このアプローチに基づく自律走行においてめざましい進歩がなされてきた。
【0003】
US2017/0356751A1(特許文献1)は、自律車両のためのルート選定方法を記載し、ここで、道路の区間の勾配及び曲率に関する情報を道路ネットワーク情報から受信する。引き出された情報は、調査した道路区間において車両から「坂の向こうが見通せる」か否かを判定するために、車両のセンサシステムの検出特性に関する知識に照らして分析される。この判定が否定的である場合、自律車両は、前記道路区間を回避するように誘導される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2017/0356751号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の考え方の一つは、勾配又は坂を走行する状況での自律走行車両の安全性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために、本発明は、請求項1に記載の方法、及び請求項8に記載の車両を提案する。
【0007】
本発明の第1の態様によると、道路を走行方向に走行している車両を自律的に運転する方法が提供される。方法は、フロントセンサによりフロント領域の環境データを捕捉することを含み、フロント領域は、走行方向に対して車両の前方にある。フロントセンサは、フロントセンサ搭載位置に、例えば、地面から所定高さ上方において車両に搭載されている。更に、フロントセンサは、フロントセンサの視軸が事前に定義された配向となるように、即ち、事前に定義された空間的配向となるように搭載されている。
【0008】
方法は、リアセンサによりリア領域の環境データを捕捉することを更に含み、リア領域は、走行方向に対して車両の後方にある。リアセンサは、リアセンサ搭載位置に、例えば、地面から所定高さ上方において車両に搭載されている。更に、リアセンサは、リアセンサの視軸が事前に定義された配向となるように搭載されており、即ち、リアセンサは、事前に定義された空間的配向を含む。フロント及びリアセンサによって捕捉される環境データは、例えば、画像データを含んでもよい。一般に、リアセンサによって捕捉される環境データは、車両の環境中にある物体に関する距離データ及び/又は速度データを含む。
【0009】
車両の位置が位置センサによって捕捉され、車両の捕捉位置は、道路の勾配情報を含む地形マップの中の位置に割り当てられる。例えば、車両の地理的な場所を表す座標が決定され、マップにおいて対応する場所が決定される。
【0010】
更なるステップにおいて、車両の場所の前方及び後方の所定の距離範囲について勾配情報が地形マップから引き出される。このステップにおいて、車両が走行している道路について、道路のある区間の傾斜角度又は勾配を記述する同様の情報などの地形情報がマップから引き出される。特に、この情報は、車両の前方にある道路の特定の第1の区間、即ち、車両が接近しつつある区間、及び車両の後方にある第2の区間、即ち、車両が既に通過した区間について、マップから引き出される。
【0011】
次に、特定の垂直高さを有する物体を検出するためのフロントセンサの最大検出距離及びリアセンサの最大検出距離が決定される。これは、マップから引き出された勾配情報、フロント及びリアセンサの位置、並びにフロントセンサ及びリアセンサの視軸に対するフロントセンサ及びリアセンサの視野の垂直開口角に基づき行われる。従って、視野を決定するフロント及びリアセンサの空間的配向に基づき、かつセンサの垂直高さに基づき、物体を検出できる最大距離が幾何学的に決定され、ここで、前方又は後方の道路の勾配が考慮される。即ち、物体が車両の前方又は後方の「坂の頂上の陰」になっている場合、物体は、その高さのために、「坂の上方に」突出してセンサの視野に入らなければ検出できない。
【0012】
更に、予定された運転操作又は車両の現在の走行状態に必要なフロント及びリアセンサの最小検出距離が決定される。例えば、高速で走行している場合、フロント及びリアセンサは、低速で走行しているときよりも早期に物体を検出できることが求められる。
【0013】
最後に、方法は、特に予定された運転操作に必要な最小検出距離がフロント及びリアセンサの最大検出距離以下となるように車両を駆動することを含む。
【0014】
本発明の第2の態様によると、車両が提供される。車両は、車体と、パワートレイン及びモータなどの車両を運転するための駆動システムと、センサシステムと、コントローラを含む。センサシステムは、フロントセンサ搭載位置において、視軸が事前に定義された配向となるように車体のフロント側に搭載されたフロントセンサであって、車体の前方にあるフロント領域の環境データを捕捉するように構成されたフロントセンサ、リアセンサ搭載位置において、視軸が事前に定義された配向となるように車体のリア側に搭載されたリアセンサであって、車体の後方又はフロント領域とは反対側にあるリア領域の環境データを捕捉するように構成されたリアセンサ、及び車両の位置、特に車両の地理的位置を捕捉するように構成された位置センサを含む。
【0015】
コントローラは、センサシステム及び駆動システムと、例えば、無線又は有線接続を介してデータ通信する。コントローラは、
−車両の位置を道路の勾配情報を含む地形マップの中の場所に割り当て、
−車両の場所の前方及び後方の所定範囲について勾配情報を地形マップから引き出し、
−勾配情報、フロント及びリアセンサの位置、ならびにフロント及びリアセンサの視軸に対するフロントセンサ及びリアセンサの視野の垂直開口角に基づき、特定の垂直高さを有する物体を検出するためのフロントセンサ及びリアセンサの最大検出距離を決定し、
−車両の予定された運転操作又は現在の走行状態に必要なフロントセンサ及びリアセンサの最小検出距離を決定し、
−必要な最小検出距離がフロント及びリアセンサの最大検出距離以下となるように車両を駆動する駆動システムを制御するように構成されている。
【0016】
第2の態様による車両は特に、本発明の第1の態様の方法を遂行することができる。したがって、方法について開示される特徴及び利点は、車両についても開示され、逆も同様である。
【0017】
本発明が基づく考えの一つは、センサの位置と配向に基づき、更に車両の前方及び後方の道路の勾配に関する情報に基づき、フロント及びリアセンサが検知できる範囲を幾何学的に決定することであり、ここで、勾配情報は、車両の場所についてマップから引き出される。この考え方の一つの利点は、車両の操作を車両の周囲に適合させることができる点である。即ち、センサの最大検出距離が道路の起伏の多い区間のために影響を受けると判定された場合、車両をより慎重に操作することができる。特に、必要な最小検出距離が最大の実際の検出距離以下となるような方法で車両を駆動することにより、最大の実際の検出距離の外側の領域は、自律走行にとってもはや重要ではなくなる。これにより、起伏の多い道路での自動走行の安全性が著しく向上する。
【0018】
本発明の有利な変形例及び実施形態は、従属請求項及び下記の説明に従う。
【0019】
方法の一実施形態によると、車両を駆動することは、必要な最小検出距離が決定された最大検出距離より小さい場合のみ予定された運転操作を遂行することを含む。予定された運転操作は、例えば、道路上で別の車両を追い越すために道路上で車線を変更することを含んでもよい。従って、例えば、リアセンサが車両後方の坂の頂上の向こう側を検知できない場合、追い越しは許可されない。従って、安全性が更に向上する。
【0020】
更なる実施形態によると、車両を駆動することは、車両の走行速度を低下又は上昇させることを含む。例えば、車両が上り坂を坂の頂上に向かって特定の速度で走行している場合、フロントセンサは、その位置及び配向によっては、坂の頂上の陰になっている物体を検出することができない。車両の速度が高い場合、フロントセンサの最小検出距離を長くすることが必要になり得る。しかし、実際の速度で必要な最小の検出距離がセンサの実際の検出距離より大きい場合、車両の速度は低下される。従って、坂を走行する状況において、衝突をより確実に回避することができる。
【0021】
更なる実施形態によると、最大検出距離を決定することが、物体の複数の特定の垂直高さについて繰り返される。例えば、トラックは、乗用車又は歩行者よりも大きな高さを含む。従って、フロント及びリアセンサは、実際には、坂の頂上の向こう側のトラックを検出することはできても、歩行者を検出することはできない。したがって、検出すべき物体の高さについての異なる入力を用いて最大検出距離を決定するステップを複数回繰り返すことにより、検出の信頼性が更に向上する。更に、状況によっては、又は道路によっては、様々な物体が存在したりしなかったりする。例えば、1車線道路は、トラックの交通に開放されていないことが多い。従って、方法の柔軟性及び効率が更に向上する。任意選択で、少なくとも最小の特定高さは、車両が乗り越えて走行することが許容される物体の最大高さであると定義される。例えば、車両が高さ0.5メートル未満、好ましくは0.15メートル未満の物体を乗り越えて走行させることが認められることがあり得る。この最小高さを乗用車の絶対速度に応じて動的に適合させてもよく、ここで、最小高さは、速度の上昇と共に低下する。
【0022】
方法の更なる実施形態によると、車両の位置を捕捉することは、衛星システムから位置信号を受信することを含む。例えば、位置センサは、GPS又はGLONASS受信機である。
【0023】
更なる実施形態によると、フロントセンサ搭載位置及びリアセンサ搭載位置はそれぞれ、それぞれのセンサから車両が走行している道路の表面までの距離である。即ち、センサ搭載位置は、車両の垂直軸をZ軸に対応させて車両を直交座標系に配置したと仮定した場合のセンサの「Z位置」に関する。
【0024】
更なる実施形態によると、フロントセンサ及び/又はリアセンサは、カメラ、ライダセンサなどの光学的なセンサ又はレーダーセンサである。一般に、フロント及びリアセンサは、交通参加者の情報を、特に距離及び速度データの形式で提供するように構成されている。
【0025】
車両の実施形態によると、コントローラは、地形マップを格納するデータメモリを含む。本実施形態の一つの利点は、マップから勾配情報を引き出すための処理時間が非常に短く、そのため、最大検出距離の効率的な決定を行うことができる点である。
【0026】
車両の更なる実施形態によると、位置センサは、GPS、GLONASS、又は同様のセンサである。
【0027】
添付図面に図示する例示的実施形態を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【0028】
添付図面は、本発明の更なる理解を提供するために含まれており、本明細書の一部に組み込まれ、その一部を構成する。図面は、本発明の実施形態を例示し、記載と共に本発明の原理を説明する助けとなるものである。本発明の他の実施形態及び本発明の意図する利点の多くは、下記の詳細な説明を参照することによってより深く理解されると、容易に理解される。図面の要素は、必ずしも互いに同じ縮尺で描かれているとは限らない。同様の参照番号は、対応する類似の部品を指す。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、本発明の実施形態による車両を概略的に示す。
図2図2は、上り勾配に物体が位置している状態で上り勾配に向かって走行している車両を概略的に示す。
図3図3は、下り勾配に物体が位置している状態で下り勾配に向かって走行している車両を概略的に示す。
図4図4は、車両が数台道路を走行している3車線道路の平面図を概略的に示し、ここで、車両のうちの1台が本発明の実施形態による車両である。
図5図5は、図4の状況を側面図に概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、道路2上に位置する車両1を例示的に示す。車両1は、車体10と、駆動システム20と、センサシステム30と、コントローラ40を含む。
【0031】
車体10は、車両1の外観を画定する。例えば、車体10は、図1に例示的に図示するように、フロントバンパー11、リアバンパー12、モータトランク13、及びキャビン14を含んでもよい。
【0032】
駆動システム20は、図1にブロックとしてシンボリックに示されているに過ぎない。駆動システム20は、車両1の推進及び操舵用に構成されている。例えば、駆動システム20は、例えば燃焼エンジン又は電気モータなどの原動機(不図示)、パワートレイン(不図示)、ステアリングコラム(不図示)、及びパワートレインが発生させた回転運動を車両1の並進運動に変換する車輪21を含んでもよい。
【0033】
センサシステム30は、フロントセンサ31、リアセンサ32、及び位置センサ33を含む。センサ31、32、33は、図1に機能ブロックとしてシンボリックに図示されているに過ぎない。フロントセンサ31及びリアセンサ32は、好ましくはカメラなどの光学センサによって実現される。
【0034】
図1に概略的に示すように、フロントセンサ31は、フロントバンパー11に搭載されてもよい。当然ながら、フロントセンサ31は、車両1のフロント側S1の異なる場所に搭載することもできる。図1に示すように、フロントセンサ31は、フロントセンサ搭載位置、即ち、地面から特定の垂直距離d31だけ上方に搭載されている。フロントセンサ31は、フロントセンサ31の光軸によって定義され得る視軸A31を更に含む。フロントセンサ搭載位置は特に、視軸A31から車両1が走行している道路2の表面までの距離d31として定義されてもよい。より正確には、道路2の表面に対して垂直に測定される距離である。
【0035】
図1に更に示すように、フロントセンサ31は、視軸A31に対し、垂直開口角α31を含む垂直視野V31を含む。フロントセンサ31は、車両1のフロント側に向けられている。即ち、車両1が前方走行方向D1に走行している場合、フロントセンサ31は、車両1の前方、特に車体10の前方にあるフロント領域の環境データを捕捉するように構成されている。
【0036】
図1に更に示すように、リアセンサ32は、リアバンパー12に搭載されてもよい。当然ながら、リアセンサ32は、車両1のリア側S2の異なる場所に搭載することもできる。図1に示すように、リアセンサ32は、リアセンサ搭載位置、即ち、地面から特定の垂直距離d32だけ上方に搭載されている。リアセンサ32は、リアセンサ32の光軸によって定義され得る視軸A32を含む。フロントセンサ搭載位置は特に、視軸A32から車両1が走行している道路2の表面までの距離d32としてとして定義されてもよい。より正確には、道路2の表面に対して垂直に測定される距離である。
【0037】
図1に更に示すように、リアセンサ32は、視軸A32に対し、垂直開口角α32を含む垂直視野V32を含む。リアセンサ32は、車両1のリア側S2に向けられている。一般に、リアセンサ32とフロントセンサ31は、互いに反対向けられている。即ち、車両1が前方走行方向D1に走行している場合、リアセンサ32は、車両1の後方、特に車体10の前方にあるリア領域の環境データを捕捉するように構成されている。フロント及びリアセンサ31、32によって捕捉される環境データは、車両1と、他の車両又は歩行者などの更なる物体との間の距離、及び/又は車両1とそれぞれの他の物体との相対速度に関する情報を含み得る。例えば、センサ31、32は、画像データを捕捉してもよい。
【0038】
位置センサ33は、例えばGPSセンサ又はGLONASSセンサであってもよい。位置センサ33は、車両1の位置を捕捉するように構成されている。特に、位置センサ33は、衛星システム(不図示)から車両の地理的位置の位置信号を受信するように構成されてもよい。
【0039】
図1において、コントローラ40は、ブロックとしてシンボリックに示されているに過ぎない。コントローラ40は、例えば、CPUなどの処理ユニット(不図示)、及び特にフラッシュドライブ又はハードドライブなどの持続性データメモリとしてのデータメモリを含んでもよい。コントローラ40は、例えば、マイクロコントローラであってもよい。一般に、コントローラ40は、ソフトウェアを実行し、車両1の駆動システムを制御するための制御コマンドを生成するように構成されている。
【0040】
図1に概略的に図示するように、コントローラ40は、センサシステム30及び駆動システム20とデータ通信する。例えば、コントローラ40は、センサ31、32、33が接続されるCANバスインターフェースなどの第1のインターフェース(不図示)を含んでもよい。更に、コントローラは、駆動システム20のアクチュエータが接続されるCANバスインターフェースなどの第2のインターフェース(不図示)を含んでもよい。当然ながら、インターフェースは、WIFI又はBluetoothインターフェースとして実現される場合、無線データ伝送用に構成されてもよい。
【0041】
車両1は、自律又は自動走行用に構成されている。車両を自律的に運転する方法を、図1に示す車両1を参照して以下により詳細に説明する。
【0042】
車両1が道路2を走行方向1に走行しているとき、フロントセンサ31はフロント領域の環境データを捕捉し、リアセンサ32はリア領域の環境データを捕捉する。位置センサ33は、車両1の実際の地理的位置を表す位置データを更に捕捉する。捕捉されたデータは、コントローラ40に伝送され、該コントローラは、車両1の実際の位置を、車両1が走行している道路2の勾配情報を含む地形マップ中の場所に割り当てる。マップは、例えばコントローラ40のデータメモリに格納されていてもよい。次に、コントローラ40は、車両1の実際の場所の前方及び後方の所定距離範囲について、勾配情報を地形マップから引き出す。
【0043】
図2に例示的に示すように、車両1は、車両1の前又は前方に上り勾配2Aを含む道路2を走行することがある。図3において、車両1は、車両1の前又は前方に下り勾配2Bを含む道路2を走行することがある。地形マップはこの情報を含んでおり、コントローラ40は、車両1の前方及び後方の所定の範囲R1内に位置する勾配に関する情報をマップから引き出すことができる。図2において、例えば、コントローラ40は、勾配2Aが車両1の前方d2の距離にあり、正の傾斜角度βを含むということをマップから引き出すことができる。図3において、例えば、コントローラ40は、勾配2Bが車両1の前方d2の距離にあり、負の傾斜角度βを含むということをマップから引き出すことができる。同じプロセスを車両1の後方にあるリア領域について行ってもよい。
【0044】
次に、コントローラ40は、フロントセンサ31の最大検出距離D_maxとリアセンサ32の最大検出距離D_maxを決定する。最大検出距離D_maxは、車両と物体3を検出することができる特定の垂直高さh3を持つ物体3の位置との間の距離に相当する。例えば、図2において、車両1の前方の勾配2A上の物体3は、車両1までフロントセンサ31の最大検出距離D_maxを超える距離があり、従って、フロントセンサ31の視野V31の外側に位置しているため、フロントセンサ31によって検出することができない。同様に、図3において、車両1の前方の勾配2B上の物体3は、車両1までフロントセンサ31の最大検出距離D_maxを超える距離があり、従って、フロントセンサ31の視野V31の外側に位置しているため、フロントセンサ31によって検出することができない。図3に最もよく例示するように、勾配2Bの下向き傾斜は、フロントセンサ31の視野V31を部分的にカバーしている。物体3の高さh3がフロントセンサ31の垂直視野V31内に突出するほど大きくないため、図示した状況では、フロントセンサ31は、物体3を検出することができない。任意選択で、最大検出距離D_maxを決定することを、物体3の複数の特定の垂直高さh3について繰り返してもよい。
【0045】
コントローラ40は、勾配情報、フロントセンサの位置、即ち、フロントセンサ31が位置する地面の上方の垂直距離d31、及びフロントセンサ31の視野V31の垂直開口角α31に基づき、特定の垂直高さh3を有する物体3を検出するためのフロントセンサ31の最大検出距離D_maxを決定することができる。換言すると、センサの垂直位置d31と垂直開口角α31によって定義されるビームに基づき、車両1の前方及び後方の既知の勾配2A、2B、及び検出すべき物体3の所与の高さh3について最大検出距離D_maxを決定することができる。同様の方法で、これをリアセンサ32について行ってもよい。即ち、特定の垂直高さh3を有する物体3を検出するためのリアセンサ32の最大検出距離D_maxを、コントローラ40を用いて、マップから引き出した勾配情報、リアセンサの位置d32、及びリアセンサの視軸A32に対するリアセンサ32の垂直視野V32の垂直開口角α32に基づき決定してもよい。
【0046】
次に、コントローラ40は、予定された運転操作又は車両1の現在の走行状態に必要なフロントセンサ31及びリアセンサ32の最小検出距離D_minを決定することができる。例えば、車両1がある特定の速度で走行している場合、例えば、物体3が検出されたときに指定された制動距離以内で車両1にブレーキをかけることができるよう、ある特定の最小検出距離D_minが必要となることがある。最小検出距離D_minが予定された操作に必要となる一例を図4に示す。車両1は、道路2の右車線4を走行方向D1に走行しており、同じく右車線4を走行している第2の車両1Aの後方にいる。第3の車両1Bが車両1の後方、道路2の左車線5を高速度で走行しており、車両1に接近している。車両1が第2の車両1Aの追い越しを計画している場合、最初に更なる交通参加者と衝突せずに車線変更が可能か否か判定すべきである。即ち、リアセンサ32が、最小距離範囲内に他の物体3が存在するか否か判定する必要がある。この機能を果たすことができるように、リアセンサ32は、最小検出距離D_minを含む必要がある。
【0047】
コントローラ40は、必要な最小検出距離D_minがフロント及びリアセンサ31、32の最大検出距離D_max以下となるように車両1を駆動するための駆動システムを制御することができる。例えば、図4に例示する状況は、図5に示すような起伏の多い地形を持つ道路2上で起こり得る。図5に示すように、車両1は、下り勾配2Bを走行しており、第3の車両1Bは、車両1の後方にある上り勾配2Aを走行している。この勾配状況において、図5に概略的に示すように、リアセンサ32は、その搭載位置d32と垂直開口角α32のために、距離D_max以内で第3の車両1Bの高さに相当する高さh3を有する物体しか検出できない。再度図4を参照すると、D_maxがD_minより小さいことは明らかである。こうした状況では、必要な最小検出距離D_minが最大検出距離D_max以下となるようにように車両1を駆動する駆動システムを制御することは、予定された追い越し操作の遂行を許可しないことを含んでもよい。一般に、車両1を駆動することは、必要な最小検出距離D_minが決定された最大検出距離D_maxよりも小さい場合のみ予定された運転操作を遂行することを含んでもよい。更に、車両1を駆動することは、車両1の走行速度を低下又は上昇させることを更に含んでもよい。特に、必要な最小検出距離D_minが実際の決定された最大検出距離D_maxより大きい場合、必要な最小検出距離D_minが実際の決定された最大検出距離D_max以下となるまで車両1の速度を低下させてもよい。
【0048】
本明細書において、特定の実施形態を例示し、説明したが、当業者には当然のことであるが、本発明の範囲から逸脱することなく様々な代替及び/又は同等の実施で例示し説明した特定の実施形態を置き換えることができる。一般に、本願は、本明細書において検討したいずれの特定の実施形態の適用例又は変形例も包括することを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】
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