【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために、本発明は、請求項1に記載の方法、及び請求項8に記載の車両を提案する。
【0007】
本発明の第1の態様によると、道路を走行方向に走行している車両を自律的に運転する方法が提供される。方法は、フロントセンサによりフロント領域の環境データを捕捉することを含み、フロント領域は、走行方向に対して車両の前方にある。フロントセンサは、フロントセンサ搭載位置に、例えば、地面から所定高さ上方において車両に搭載されている。更に、フロントセンサは、フロントセンサの視軸が事前に定義された配向となるように、即ち、事前に定義された空間的配向となるように搭載されている。
【0008】
方法は、リアセンサによりリア領域の環境データを捕捉することを更に含み、リア領域は、走行方向に対して車両の後方にある。リアセンサは、リアセンサ搭載位置に、例えば、地面から所定高さ上方において車両に搭載されている。更に、リアセンサは、リアセンサの視軸が事前に定義された配向となるように搭載されており、即ち、リアセンサは、事前に定義された空間的配向を含む。フロント及びリアセンサによって捕捉される環境データは、例えば、画像データを含んでもよい。一般に、リアセンサによって捕捉される環境データは、車両の環境中にある物体に関する距離データ及び/又は速度データを含む。
【0009】
車両の位置が位置センサによって捕捉され、車両の捕捉位置は、道路の勾配情報を含む地形マップの中の位置に割り当てられる。例えば、車両の地理的な場所を表す座標が決定され、マップにおいて対応する場所が決定される。
【0010】
更なるステップにおいて、車両の場所の前方及び後方の所定の距離範囲について勾配情報が地形マップから引き出される。このステップにおいて、車両が走行している道路について、道路のある区間の傾斜角度又は勾配を記述する同様の情報などの地形情報がマップから引き出される。特に、この情報は、車両の前方にある道路の特定の第1の区間、即ち、車両が接近しつつある区間、及び車両の後方にある第2の区間、即ち、車両が既に通過した区間について、マップから引き出される。
【0011】
次に、特定の垂直高さを有する物体を検出するためのフロントセンサの最大検出距離及びリアセンサの最大検出距離が決定される。これは、マップから引き出された勾配情報、フロント及びリアセンサの位置、並びにフロントセンサ及びリアセンサの視軸に対するフロントセンサ及びリアセンサの視野の垂直開口角に基づき行われる。従って、視野を決定するフロント及びリアセンサの空間的配向に基づき、かつセンサの垂直高さに基づき、物体を検出できる最大距離が幾何学的に決定され、ここで、前方又は後方の道路の勾配が考慮される。即ち、物体が車両の前方又は後方の「坂の頂上の陰」になっている場合、物体は、その高さのために、「坂の上方に」突出してセンサの視野に入らなければ検出できない。
【0012】
更に、予定された運転操作又は車両の現在の走行状態に必要なフロント及びリアセンサの最小検出距離が決定される。例えば、高速で走行している場合、フロント及びリアセンサは、低速で走行しているときよりも早期に物体を検出できることが求められる。
【0013】
最後に、方法は、特に予定された運転操作に必要な最小検出距離がフロント及びリアセンサの最大検出距離以下となるように車両を駆動することを含む。
【0014】
本発明の第2の態様によると、車両が提供される。車両は、車体と、パワートレイン及びモータなどの車両を運転するための駆動システムと、センサシステムと、コントローラを含む。センサシステムは、フロントセンサ搭載位置において、視軸が事前に定義された配向となるように車体のフロント側に搭載されたフロントセンサであって、車体の前方にあるフロント領域の環境データを捕捉するように構成されたフロントセンサ、リアセンサ搭載位置において、視軸が事前に定義された配向となるように車体のリア側に搭載されたリアセンサであって、車体の後方又はフロント領域とは反対側にあるリア領域の環境データを捕捉するように構成されたリアセンサ、及び車両の位置、特に車両の地理的位置を捕捉するように構成された位置センサを含む。
【0015】
コントローラは、センサシステム及び駆動システムと、例えば、無線又は有線接続を介してデータ通信する。コントローラは、
−車両の位置を道路の勾配情報を含む地形マップの中の場所に割り当て、
−車両の場所の前方及び後方の所定範囲について勾配情報を地形マップから引き出し、
−勾配情報、フロント及びリアセンサの位置、ならびにフロント及びリアセンサの視軸に対するフロントセンサ及びリアセンサの視野の垂直開口角に基づき、特定の垂直高さを有する物体を検出するためのフロントセンサ及びリアセンサの最大検出距離を決定し、
−車両の予定された運転操作又は現在の走行状態に必要なフロントセンサ及びリアセンサの最小検出距離を決定し、
−必要な最小検出距離がフロント及びリアセンサの最大検出距離以下となるように車両を駆動する駆動システムを制御するように構成されている。
【0016】
第2の態様による車両は特に、本発明の第1の態様の方法を遂行することができる。したがって、方法について開示される特徴及び利点は、車両についても開示され、逆も同様である。
【0017】
本発明が基づく考えの一つは、センサの位置と配向に基づき、更に車両の前方及び後方の道路の勾配に関する情報に基づき、フロント及びリアセンサが検知できる範囲を幾何学的に決定することであり、ここで、勾配情報は、車両の場所についてマップから引き出される。この考え方の一つの利点は、車両の操作を車両の周囲に適合させることができる点である。即ち、センサの最大検出距離が道路の起伏の多い区間のために影響を受けると判定された場合、車両をより慎重に操作することができる。特に、必要な最小検出距離が最大の実際の検出距離以下となるような方法で車両を駆動することにより、最大の実際の検出距離の外側の領域は、自律走行にとってもはや重要ではなくなる。これにより、起伏の多い道路での自動走行の安全性が著しく向上する。
【0018】
本発明の有利な変形例及び実施形態は、従属請求項及び下記の説明に従う。
【0019】
方法の一実施形態によると、車両を駆動することは、必要な最小検出距離が決定された最大検出距離より小さい場合のみ予定された運転操作を遂行することを含む。予定された運転操作は、例えば、道路上で別の車両を追い越すために道路上で車線を変更することを含んでもよい。従って、例えば、リアセンサが車両後方の坂の頂上の向こう側を検知できない場合、追い越しは許可されない。従って、安全性が更に向上する。
【0020】
更なる実施形態によると、車両を駆動することは、車両の走行速度を低下又は上昇させることを含む。例えば、車両が上り坂を坂の頂上に向かって特定の速度で走行している場合、フロントセンサは、その位置及び配向によっては、坂の頂上の陰になっている物体を検出することができない。車両の速度が高い場合、フロントセンサの最小検出距離を長くすることが必要になり得る。しかし、実際の速度で必要な最小の検出距離がセンサの実際の検出距離より大きい場合、車両の速度は低下される。従って、坂を走行する状況において、衝突をより確実に回避することができる。
【0021】
更なる実施形態によると、最大検出距離を決定することが、物体の複数の特定の垂直高さについて繰り返される。例えば、トラックは、乗用車又は歩行者よりも大きな高さを含む。従って、フロント及びリアセンサは、実際には、坂の頂上の向こう側のトラックを検出することはできても、歩行者を検出することはできない。したがって、検出すべき物体の高さについての異なる入力を用いて最大検出距離を決定するステップを複数回繰り返すことにより、検出の信頼性が更に向上する。更に、状況によっては、又は道路によっては、様々な物体が存在したりしなかったりする。例えば、1車線道路は、トラックの交通に開放されていないことが多い。従って、方法の柔軟性及び効率が更に向上する。任意選択で、少なくとも最小の特定高さは、車両が乗り越えて走行することが許容される物体の最大高さであると定義される。例えば、車両が高さ0.5メートル未満、好ましくは0.15メートル未満の物体を乗り越えて走行させることが認められることがあり得る。この最小高さを乗用車の絶対速度に応じて動的に適合させてもよく、ここで、最小高さは、速度の上昇と共に低下する。
【0022】
方法の更なる実施形態によると、車両の位置を捕捉することは、衛星システムから位置信号を受信することを含む。例えば、位置センサは、GPS又はGLONASS受信機である。
【0023】
更なる実施形態によると、フロントセンサ搭載位置及びリアセンサ搭載位置はそれぞれ、それぞれのセンサから車両が走行している道路の表面までの距離である。即ち、センサ搭載位置は、車両の垂直軸をZ軸に対応させて車両を直交座標系に配置したと仮定した場合のセンサの「Z位置」に関する。
【0024】
更なる実施形態によると、フロントセンサ及び/又はリアセンサは、カメラ、ライダセンサなどの光学的なセンサ又はレーダーセンサである。一般に、フロント及びリアセンサは、交通参加者の情報を、特に距離及び速度データの形式で提供するように構成されている。
【0025】
車両の実施形態によると、コントローラは、地形マップを格納するデータメモリを含む。本実施形態の一つの利点は、マップから勾配情報を引き出すための処理時間が非常に短く、そのため、最大検出距離の効率的な決定を行うことができる点である。
【0026】
車両の更なる実施形態によると、位置センサは、GPS、GLONASS、又は同様のセンサである。
【0027】
添付図面に図示する例示的実施形態を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【0028】
添付図面は、本発明の更なる理解を提供するために含まれており、本明細書の一部に組み込まれ、その一部を構成する。図面は、本発明の実施形態を例示し、記載と共に本発明の原理を説明する助けとなるものである。本発明の他の実施形態及び本発明の意図する利点の多くは、下記の詳細な説明を参照することによってより深く理解されると、容易に理解される。図面の要素は、必ずしも互いに同じ縮尺で描かれているとは限らない。同様の参照番号は、対応する類似の部品を指す。