【解決手段】ポリアルキレンオキシド(A1)、エチレン性不飽和カルボン酸(塩)及び/又は(メタ)アクリロイルアミノアルカンスルホン酸(塩)を必須構成単量体としてなる重合体(A2)、下式で示されるウレタン化合物(A3)、ポリビニルアルコール(A4)及び多糖類(A5)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(A)を含有してなることを特徴とする印刷適性向上剤。
Rは水素原子又は炭素数1〜60の炭化水素基、Yはジイソシアネ−トからイソシアナト基を除いた反応残基、OAは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、a及びdはそれぞれ1〜600、bは40〜500、cは0〜5の整数を表す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<ポリアルキレンオキシド(A1)>
ポリアルキレンオキシド(A1)としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド又はこれらの混合モノマーから構成されるポリマーが含まれる。これらのうち、印刷適性の観点から、エチレンオキシドのホモポリマー(すなわち、ポリエチレンオキシド)及びエチレンオキシドとプロピレンオキシドとから構成されるコポリマーが好ましい。
【0012】
ポリアルキレンオキシドの数平均分子量(Mn)は、10万〜800万が好ましく、さらに好ましくは30万〜500万、特に好ましくは60万〜400万、最も好ましくは100万〜300万である。この範囲であると印刷適性がさらに良好となる。
【0013】
数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略す)によって測定される(たとえば、以下の条件で測定できる)。
<条件>
GPC装置:HLC−8320(東ソー株式会社)
カラム:TSKgel GMPWXL(東ソー株式会社)
検出器:GPC装置に内蔵の示差屈折計検出器
溶離液:0.2Mリン酸緩衝液
流量:0.8ml/分
カラム温度:40℃
試験試料:0.1重量%の溶離液溶液
注入量:200μl
標準物質:PEO−29、PEO−18、PEO−8(住友精化株式会社)及びTSK standard POLY(ETHYLENE OXIDE)SE−150、SE−30、SE−8(東ソー株式会社)
【0014】
ポリアルキレンオキシド(A1)は公知の方法(特開平5−17566号公報、特公昭45−7751号公報、特公昭53−27319号公報等)で製造できる。
【0015】
このようなポリアルキレンオキシド(A1)としては、市場より入手でき、PEO−27、PEO−18、PEO−15(住友精化株式会社)及びアルコックスEP−10(明成化学工業株式会社、「アルコックス」は同社の登録商標である。)等が挙げられる。
【0016】
<重合体(A2)>
エチレン性不飽和カルボン酸(塩)及び/又は(メタ)アクリロイルアミノアルカンスルホン酸(塩)を必須構成単量体としてなる重合体(A2)のうち、エチレン性不飽和カルボン酸(塩)としては、エチレン性不飽和モノカルボン酸(塩)及びエチレン性不飽和ジカルボン酸(塩)が含まれる。
【0017】
エチレン性不飽和モノカルボン酸(塩)としては、脂肪族エチレン性不飽和モノカルボン酸、脂環式エチレン性不飽和モノカルボン酸、芳香族エチレン性不飽和モノカルボン酸及びこれらの塩等が使用できる。
【0018】
脂肪族エチレン性不飽和モノカルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、3−ブテン酸、2−ペンテン酸、3−ペンテン酸、4−ペンテン酸、3−メチル−2−ブテン酸、3−メチル−3−ブテン酸、2−メチル−3−ブテン酸、2−メチル−2−ブテン酸、2−エチル−2−プロペン酸、2−ヘキセン酸、4−メチル−2−ペンテン酸、2−メチル−2−ペンテン酸、2−ヘプテン酸、4,4−ジメチル−2−ペンテン酸、2−オクテン酸、3−メチル−2−ヘプテン酸、2−ノネン酸、3−メチル−2−オクテン酸、2−ゲテン酸及び2−ヒドロキシプロペン酸等が挙げられる。
「(メタ)アクリ・・」とは、メタクリ・・、アクリ・・を意味する(以後も同様とする)。
【0019】
脂環式エチレン性不飽和モノカルボン酸としては、1−シクロペンテンカルボン酸、3−シクロペンテンカルボン酸、4−シクロペンテンカルボン酸、1−シクロヘキセンカルボン酸、3−シクロヘキセンカルボン酸、4−シクロヘキセンカルボン酸、1−シクロヘプテンカルボン酸、3−シクロヘプテンカルボン酸、4−シクロヘプテンカルボン酸、5−シクロヘプテンカルボン酸、1−シクロオクテンカルボン酸、3−シクロオクテンカルボン酸、4−シクロオクテンカルボン酸、5−シクロオクテンカルボン酸、1−シクロノネンカルボン酸、3−シクロノネンカルボン酸、4−シクロノネンカルボン酸、5−シクロノネンカルボン酸、1−シクロデセンカルボン酸、3−シクロデセンカルボン酸、4−シクロデセンカルボン酸及び5−シクロデセンカルボン酸等が挙げられる。
【0020】
芳香族エチレン性不飽和モノカルボン酸としては、2−カルボキシスチレン、4−カルボキシスチレン、桂皮酸(3−フェニル−2−プロペン酸)、アトロパ酸(2−フェニルアクリル酸)、5−ビニル−1−ナフタレンカルボン酸、4−ビニル−1−ナフタレンカルボン酸及び4−ビニル−1−アントラキノンカルボン酸等が挙げられる。
【0021】
エチレン性不飽和ジカルボン酸(塩)としては、脂肪族エチレン性不飽和ジカルボン酸、脂環式エチレン性不飽和ジカルボン酸、芳香族エチレン性不飽和ジカルボン酸及びこれらの塩が含まれる。
【0022】
脂肪族エチレン性不飽和ジカルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、ブテン二酸、2−ペンテン二酸(ペント−2−エン−1,5−二酸)、2−メチル−2−ブテン二酸、2−ヘキセン二酸、2−ヘプテン二酸、3−メチル−2−ヘプテン二酸、2−ノネン二酸、2−デセン二酸及び2−ヒドロキシブタン−1,4−二酸等が挙げられる。
【0023】
脂環式エチレン性不飽和ジカルボン酸としては、1,2−シクロペンテンジカルボン酸、1,3−シクロペンテンジカルボン酸、1,4−シクロペンテンジカルボン酸、1,2−シクロヘキセンジカルボン酸、1,3−シクロヘキセンジカルボン酸、1,4−シクロヘキセンジカルボン酸、1,2−シクロヘプテンジカルボン酸、1,3−シクロヘプテンジカルボン酸、1,4−シクロヘプテンジカルボン酸、1,5−シクロヘプテンジカルボン酸、1,2−シクロオクテンジカルボン酸、1,3−シクロオクテンジカルボン酸、1,4−シクロオクテンジカルボン酸、1,5−シクロオクテンジカルボン酸、1,2−シクロノネンジカルボン酸、1,3−シクロノネンジカルボン酸、1,4−シクロノネンジカルボン酸、1,5−シクロノネンジカルボン酸、1,2−シクロデセンジカルボン酸、1,3−シクロデセンジカルボン酸、1,4−シクロデセンジカルボン酸及び1,5−シクロデセンジカルボン酸等が挙げられる。
【0024】
芳香族エチレン性不飽和ジカルボン酸としては、2,4−ジカルボキシスチレン、4−ビニル−1,2−ナフタレンジカルボン酸及び4−ビニル1,3−アントラキノンジカルボン酸等が挙げられる。
【0025】
塩としては、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム及びカリウム等)塩、アンモニウ塩、炭素数2〜6のアルキルアミン(モノエチルアミン、モノブチルアミン及びトリエチルアミン等)塩及び炭素数2〜6のアルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミン等)塩等が挙げられる(以下、同じである。)。
これらのうち、印刷適性の観点から、アルカリ金属塩及びアンモニウム塩が好ましく、さらに好ましくはナトリウム塩、カリウム塩及びアンモニウム塩、特に好ましくはナトリウム塩である(以下、同じである。)。
【0026】
(メタ)アクリロイルアミノアルカンスルホン酸(塩)としては、(メタ)アクリロイルアミノメタンスルホン酸(塩)、2−(メタ)アクリロイルアミノエタンスルホン酸(塩)、3−(メタ)アクリロイルアミノプロパンスルホン酸(塩)、2−(メタ)アクリロイルアミノプロパンスルホン酸(塩)、4−(メタ)アクリロイルアミノブタンスルホン酸(塩)、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)、5−(メタ)アクリロイルアミノペンタンスルホン酸(塩)、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2−メチルブタンスルホン酸(塩)及び3−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルプロパンスルホン酸(塩)等が挙げられる。
【0027】
これらの必須構成単量体のうち、印刷適性の観点から、(メタ)アクリル酸(塩)が好ましく、さらに好ましくは(メタ)アクリル酸塩である。
【0028】
重合体(A2)は、エチレン性不飽和カルボン酸(塩)及び/又は(メタ)アクリロイルアミノアルカンスルホン酸(塩)を必須構成単量体としていれば、上記の必須構成単量体の単独重合体でもよく、上記の必須構成単量体同士の共重合体であってもよい。上記の必須構成単量体同士の共重合体の場合、単量体単位の割合に制限がない。さらに、本発明の効果を奏する限り、任意の構成単量体を含んでもよい(含有量割合も任意である)。任意の構成単量体として、たとえば、以下の(a)〜(c)の単量体が含まれる。
【0029】
(a)(メタ)アクリレート:メチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−シアノエチル(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレングリコール(分子量88〜1998)モノ(メタ)アクリレート及びメトキシポリオキシエチレングリコール(分子量76〜2012)(メタ)アクリレート等。
【0030】
(b)N−アルキル(メタ)アクリルアミド:N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド及びN、N−ビス2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等。
【0031】
(c)その他の単量体:ビニルスルホン酸(塩)、アリルスルホン酸(塩)、メタリルスルホン酸(塩)、(メタ)アクリロニトリル、N−ビニル−2−ピロリドン及びアクロレイン等。
【0032】
重合体(A2)の重量平均分子量(Mw)は、30万〜400万が好ましく、さらに好ましくは50万〜300万、特に好ましくは100万〜200万である。この範囲内であると印刷適性がさらに良好となる。
【0033】
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略す)によって測定される。たとえば、以下の条件1(0.2Mリン酸緩衝液に溶解する場合)又は条件2(0.2Mリン酸緩衝液に溶解しない場合)で測定できる。
【0034】
<条件1>
GPC装置:HLC−8320(東ソー株式会社)
カラム:TSKgel G6000 PWXL(東ソー株式会社)
検出器:GPC装置に内蔵の示差屈折計検出器
溶離液:0.2Mリン酸緩衝液
流量:0.8ml/分
カラム温度:40℃
試験試料:0.1重量%の溶離液溶液
注入量:200μl
標準物質:PEO−18、PEO−8(住友精化株式会社)及びTSK standard POLY(ETHYLENE OXIDE)SE−150、SE−30、SE−8(東ソー株式会社)
【0035】
<条件2>
GPC装置:HLC−8320(東ソー株式会社)
カラム:TSKgel SuperHZM−H(東ソー株式会社)
検出器:GPC装置に内蔵の示差屈折計検出器
溶離液:テトラハイドロフラン
流量:0.5ml/分
カラム温度:40℃
試験試料:0.1重量%の溶離液溶液
注入量:20μl
標準物質:標準ポリスチレン(F−550、F−128、F−20、F−1、A−1000(東ソー株式会社)
【0036】
重合体(A2)の合成は、公知の方法(特開2011−127235号公報等)で行われる。
【0037】
<ウレタン化合物(A3)>
水素原子又は炭素数1〜60の炭化水素基(R)のうち、炭素数1〜60の炭化水素基としては、アルキル、アルケニル、シクロアルキル及びアリールが含まれる。
【0038】
アルキルとしては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、ヘキシル、イソヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、デシル、ドデシル、2−ブチルオクチル、オクタデシル、イソオクタデシル、トリアコンチル及びヘキサコンチル等が挙げられる。
【0039】
アルケニルとしては、ビニル、アリル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、トリデセニル、イソトリデセニル、トリアコンテニル、イソトリアコンテニル及びヘキサコンテニル等が挙げられる。
【0040】
シクロアルキルとしては、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、メチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、デカヒドロナフチル及びコレステリル等が挙げられる。
【0041】
アリールとしては、フェニル、ベンジル、トリル及びナフチル等が挙げられる。
【0042】
これらのRのうち、印刷適性の観点から、アルキルが好ましく、さらに好ましくはデシル及びドデシルである。
【0043】
ジイソシアネートからイソシアナト基を除いた反応残基(Y)を構成するジイソシアネ−トとしては、脂肪族ジイソシアネ−ト、脂環式ジイソシアネ− ト及び芳香族ジイソシアネ−トが含まれる。
【0044】
脂肪族ジイソシアネ−トとしては、炭素数3〜15の脂肪族ジイソシアネート等が使用でき、メチレンジイソシアネ−ト、ジメチレンジイソシアネ− ト、トリメチレンジイソシアネ−ト、テトラメチレンジイソシアネ−ト、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、2,2,4−トリメチルペンタン−1,5−ジイソシアネ−ト、3−ブトキシ−1,6−ヘキサンジイソシアネ−ト及び1,4−ビス(イソシアナトプロピルオキシ)ブタン等が挙げられる。
【0045】
脂環式ジイソシアネ−トとしては、炭素数8〜20の脂環式ジイソシアネ−ト等が使用でき、1,3−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1−イソシアナト−3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン及び4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン等が挙げられる。
【0046】
芳香族ジイソシアネ−トとしては、炭素数8〜20の芳香族ジイソシアネ−ト等が使用でき、メタフェニレンジイソシアネ−ト、パラフェニレンジイソシアネ−ト、2,4−トリレンジイソシアネ−ト、2,6−トリレンジイソシアネ−ト、ジメチルベンゼンジイソシアネ−ト、エチルベンゼンジイソシアネ−ト、4,4’−ジイソシアナト−2,2’−ジメチルビフェニル、1,5−ジイソシアナトナフタレン、3,3’−ジイソシアナト−4,4’−ジエトキシジフェニルメタン、メタキシリレンジイソシアネ−ト及びパラキシリレンジイソシアネ−ト等が挙げられる。
【0047】
これらのジイソシアネ−トのうち、印刷適性の観点から、脂肪族ジイソシアネート及び芳香族ジイソシアネートが好ましく、さらに好ましくはヘキサメチレンジイソシアネ−ト及びメタキシリレンジイソシアネ−トである。
【0048】
炭素数2〜4のオキシアルキレン基(OA及びAO)としては、オキシエチレン、オキシプロピレン、オキシブチレン及びこれらの混合が含まれる。複数の混合の場合、その結合様式はブロック、ランダム及びこれらの混合のいずれでもよいが、ブロック及びブロックとランダムとの混合が好ましく、さらに好ましくはブロックである。
【0049】
炭素数2〜4のオキシアルキレン基(OA及びAO)のうち、印刷適性の観点から、オキシエチレン及びオキシエチレンとオキシプロピレン又はオキシブチレンとの混合が好ましく、さらに好ましくはオキシエチレン及びオキシエチレンとオキシプロピレンとの混合であり、特に好ましくはオキシエチレンである。
【0050】
a及びdは、それぞれ、1〜600の整数であり、好ましくは2〜300、さらに好ましくは3〜160である。この範囲であると、印刷適性がさらに良好となる。
【0051】
bは、40〜500の整数であり、好ましくは55〜400、さらに好ましくは70〜300である。この範囲であると、印刷適性がさらに良好となる。
【0052】
cは、0〜5の整数であり、好ましくは1〜4、さらに好ましくは1〜3 である。この範囲であると、印刷適正がさらに良好となる。
【0053】
a個の(−OA)、b個の(−OA)、c個の[OC(O)−NH−Y−NH−C(O)(−OA)b−]及びd個の(−OA)は、それぞれ、同じでも異なっていてもよい。
【0054】
式(1)で示されるウレタン化合物(A3)は、公知のウレタン化反応を用いて合成することができる(たとえば、特開2000−303006公報)。反応により一部副生成物ができる場合があるが、副生成物との混合物のままで使用できる。
【0055】
<ポリビニルアルコール(A4)>
ポリビニルアルコール(A4)としては、重合度500〜2500の完全ケン化ポリビニルアルコール(けん化価98〜99;けん化価はJIS K0070−1992に準拠して測定される。)、重合度500〜2500の部分ケン化ポリビニルアルコール(けん化価87〜89)及びポリビニルアルコールをカルボン酸やカルボン酸ハライドによりエステル化した変性ポリビニルアルコール、並びに公知{高分子実験学、第6巻、高分子反応、54〜71頁、共立出版株式会社、昭和53年9月発行}のエーテル化ポリビニルアルコール及びアセタール化ポリビニルアルコール等が挙げられる。
【0056】
これらのポリビニルアルコール(A4)のうち、完全ケン化ポリビニルアルコール及び部分ケン化ポリビニルアルコールが好ましく、さらに好ましくは完全ケン化ポリビニルアルコールである。
【0057】
ポリビニルアルコール(A4)は市場からも容易に入手でき、完全ケン化ポリビニルアルコールとしては、PVA−117{株式会社クラレ}及びPVA−124{株式会社クラレ}等が挙げられ、部分ケン化ポリビニルアルコールとしては、PVA−210{株式会社クラレ}及びPVA−235{株式会社クラレ}等が挙げられ、変性ポリビニルアルコールとしては、KL−118{株式会社クラレ}及びR−1130{株式会社クラレ}等が挙げられる。
【0058】
<多糖類(A5)>
多糖類(A5)としては、セルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、酸化セルロース、アセチルセルロース、アミノアセチルセルロース、アリルセルロース、酢酸セルロース、酢酸エステルセルロース、デンプン、カルボキシメチルデンプン、カルボキシエチルデンプン、メチルデンプン、エチルデンプン、ヒドロキシエチルデンプン、酸化デンプン、アセチルデンプン、アミノアセチルデンプン、アリルデンプン、酢酸デンプン、酢酸エステルデンプン、リン酸デンプン、両性デンプン、カチオン化デンプン、グァーガム、ローカストビーンガム、アラビアガム、ペクチン、カラギナン、寒天、アルギン酸、キサンタンガム及びジェランガム等が挙げられる。
【0059】
これらの多糖類(A5)のうち、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロース及びデンプンが好ましく、さらに好ましくはメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースである。
【0060】
このような多糖類(A5)は市場より入手でき、メチルセルロースとしては、MCEー400{信越化学株式会社}等が挙げられ、エチルセルロースとしては、エトセル300{日進化成株式会社、「エトセル」はザ・ダウ・ケミカル・カンパニーの登録商標である。}等が挙げられ、ヒドロキシエチルセルロースとしてはSP500{ダイセルファインケム株式会社}等が挙げられ、ヒドロキシプロピルセルロースとしては、NISSO HPC M{日本槽達株式会社}等が挙げられ、デンプンとしては、コーンスターチ{日本コーンスターチ株式会社}等が挙げられる。
【0061】
<ポリオキシアルキレン化合物(B)>
本発明の印刷適性向上剤は、式(2)で示されるポリオキシアルキレン化合物(B)を含有することが好ましい。
【0062】
R1[(−OA)n−O−R2]m (2)
【0063】
R1は水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数2〜30のアシル基、2〜6価のアルコールからm個の水酸基を除いた反応残基又は非還元性の二糖類若しくは三糖類からm個の水酸基を除いた反応残基、R2は水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基又は炭素数2〜30のアシル基を表し、OAは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、Oは酸素原子、nは1〜500の整数、mは1〜6の整数を表す。
【0064】
水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数2〜30のアシル基、2〜6価のアルコールからm個の水酸基を除いた反応残基又は非還元性の二糖類若しくは三糖類からm個の水酸基を除いた反応残基(R1)のうち、炭素数1〜30のアルキル基としては、直鎖アルキル基及び分岐鎖アルキル基等が使用できる。
【0065】
直鎖アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、へキシル、へプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル、ヘンイコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ヘプタコシル、ヘキサコシル、ヘプタコシル、オクタコシル、ノナコシル及びトリアコンシル等が挙げられる。
【0066】
分岐鎖アルキル基としては、イソプロピル、イソブチル、t−ブチル、イソペンチル、ネオペンチル、イソヘキシル、2−エチルヘキシル、イソトリデシル、イソテトラデシル、イソオクタデシル、イソトリアコンシル、2−プロピルへプチル、2−ブチルオクチル、2−ヘキシルデシル、2−オクチルドデシル、2−デシルテトラデシル、2−ドデシルへキシル、2−ドデシルヘキサデシル、3,5,5−トリメチルへキシル及び3,7,11−トリメチルドデシル等が挙げられる。
【0067】
また、R1のうち、炭素数2〜30のアルケニル基としては、直鎖アルケニル基及び分岐アルケニル基等が使用できる。
【0068】
直鎖アルケニル基としては、ビニル、アリル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、トリデゼニル、テトラデセニル、ペンタデセニル、ヘキサデセニル、ヘプタデセニル、オクタデセニル、ノナデセニル、イコセニル、ヘンイコセニル、ドコセニル、トリコセニル、テトラコセニル、ペンタコセニル、ヘキサコセニル、ヘプタコセニル、オクタコセニル及びトリアコンテニル等が挙げられる。
【0069】
分岐鎖アルケニル基としては、イソブテニル、イソペンテニル、ネオペンテニル、イソヘキセニル、イソトリデセニル、イソオクタデセニル及びイソトリアコンテニル等が挙げられる。
【0070】
また、R1のうち、炭素数2〜30のアシル基としては、飽和脂肪族アシル基、不飽和脂肪族アシル基、脂環式アシル基及び芳香族アシル基等が使用できる。
【0071】
飽和脂肪族アシル基としては、エタノイル、プロパノイル、ブタノイル、イソブタノイル、ペンタノイル、イソペンタノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、2−エチルヘキサノイル、ノナノイル、デカノイル、ウンデカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、イソトリデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル及びオクタデカノイル等が挙げられる。
【0072】
不飽和脂肪族アシル基としては、アクリロイル、メタクリロイル、クロトノイル、2−メチル−クロトノイル、ブテノイル、ブタジエノイル、ペンテノイル、ヘキセノイル、ヘプテノイル、オクテノイル、ノネノイル、デセノイル、ウンデセノイル、ドデセノイル、テトラデセノイル、オレオイル及びエライジノイル等が挙げられる。
【0073】
脂環式アシル基としては、シクロペンタノイル、シクロヘキサノイル、シクロヘプタノイル、メチルシクロペンタノイル、メチルシクロヘキサノイル、メチルシクロヘプタノイル、シクロペンテノイル、2,4−シクロペンタジエノイル、シクロヘキセノイル、2,4−シクロヘキサジエノイル、シクロヘプテノイル、メチルシクロペンテノイル、メチルシクロヘキセノイル及びメチルシクロヘプテノイル等が挙げられる。
【0074】
芳香族アシル基としては、ベンゾイル、トルオイル、シンナモイル及びナフトイル等が挙げられる。
【0075】
また、R1のうち、2〜6価アルコールからm個の水酸基を除いた反応残基を構成できる2〜6価のアルコールとしては、2価アルコール(脂肪族ジオール、脂環式ジオール及び芳香族ジオール)、3価アルコール(脂肪族トリオール、脂環式トリオール及び芳香族トリオール)、4価アルコール(脂肪族テトラオール、脂環式テトラオール及び芳香族テトラオール)、5価アルコール(脂肪族ペンタオール、脂環式ペンタオール及び芳香族ペンタオール)及び6価アルコール(脂肪族ヘキサオール、脂環式ヘキサオール及び芳香族ヘキサオール)が含まれる。
【0076】
脂肪族ジオールとしては、炭素数2〜18の脂肪族ジオールが含まれ、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチルプロパンジオール、ヒドロキシオクタデセニルアルコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチルペンタンジオール及びジ(ヒドロキシエチル)チオエーテル等が挙げられる。
【0077】
脂環式ジオールとしては、炭素数8〜15の脂環式ジオールが含まれ、1,4−シクロヘキサンジメタノール、4,4’−ジヒドロキシジシクロヘキサン及びジヒドロキシジシクロへキシルジメチルメタン等が挙げられる。
【0078】
芳香族ジオールとしては、炭素数6〜15の芳香族ジオールが含まれ、カテコール、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS及び1,4−ジヒドロキシナフタレン等が挙げられる。
【0079】
脂肪族トリオールとしては、炭素数3〜11の脂肪族トリオールが含まれ、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールペンタン、トリメチロールオクタン及びヘキサントリオール等が挙げられる。
【0080】
脂環式トリオールとしては、炭素数6〜15の脂環式トリオールが含まれ、トリヒドロキシシクロヘキサン、トリヒドロキシジシクロヘキサン及びトリヒドロキシジシクロへキシルジメチルメタン等が挙げられる。
【0081】
芳香族トリオールとしては、炭素数6〜15の芳香族トリオールが含まれ、トリヒドロキシベンゼン、トリヒドロキシビフェニル及びトリヒドロキシジフェニルジメチルメタン等が挙げられる。
【0082】
脂肪族テトラオールとしては、炭素数5〜12の脂肪族テトラオールが含まれ、ジグリセリン、ペンタエリスリトール及びジトリメチロールプロパン等が挙げられる。
【0083】
脂環式テトラオールとしては、炭素数6〜15の脂環式テトラオールが含まれ、テトラヒドロキシシクロヘキサン、テトラヒドロキシジシクロヘキサン、ソルビタン及びテトラヒドロキシジシクロへキシルジメチルメタン等が挙げられる。
【0084】
芳香族テトラオールとしては、炭素数6〜15の芳香族テトラオールが含まれ、テトラヒドロキシベンゼン、テトラヒドロキシビフェニル及びテトラヒドロキシジフェニルジメチルメタン等が挙げられる。
【0085】
脂肪族ペンタオールとしては、炭素数9〜12の脂肪族ペンタオールが含まれ、トリグリセリン及びキシリトール等が挙げられる。
【0086】
脂環式ペンタオールとしては、炭素数6〜12の脂環式ペンタオールが含まれ、ペンタヒドロキシシクロヘキサン、ペンタヒドロキシジシクロへキサン、ペンタヒドロキシジシクロへキシルジメチルメタン及びヒドロキノン−β−D−グルコシド等が挙げられる。
【0087】
芳香族ペンタオールとしては、炭素数6〜15の芳香族ペンタオールが含まれ、ペンタヒドロキシベンゼン、ペンタヒドロキシビフェニル及びペンタヒドロキシジフェニルジメチルメタン等が挙げられる。
【0088】
脂肪族ヘキサオールとしては、炭素数6〜12の脂肪族ヘキサオールが含まれ、ソルビトール、テトラグリセリン及びジペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0089】
脂環式ヘキサオールとしては、炭素数6〜15の脂環式ヘキサオールが含まれ、ヘキサヒドロキシシクロヘキサン、ヘキサヒドロキシジシクロヘキサン及びヘキサヒドロキシジシクロへキシルジメチルメタン等が挙げられる。
【0090】
芳香族ヘキサオールとしては、炭素数6〜15の芳香族ヘキサオールが含まれ、ヘキサヒドロキシベンゼン、ヘキサヒドロキシビフェニル及びヘキサヒドロキシジフェニルジメチルメタン等が挙げられる。
【0091】
また、R1のうち、非還元性の二糖類若しくは三糖類からm個の水酸基を除いた反応残基を構成できる非還元性の二糖類若しくは三糖類としては、蔗糖、トレハロース、ラフィノース及びゲンチアノース等が挙げられる。
【0092】
これらのm個の水酸基を除いた反応残基は、2〜6価のアルコール又は非還元性の二糖類若しくは三糖類の全ての水酸基が必ずしも除かれた反応残基を意味するものではなく、一部の水酸基が反応残基中の残っている場合も含まれる。したがって、2〜6価のアルコール又は非還元性の二糖類若しくは三糖類の水酸基の数とmの値とは必ずしも一致しない。
【0093】
R1のうち、印刷適性の観点から、水素原子、炭素数2〜22のアルキル基、炭素数2〜22のアルケニル基、炭素数2〜22のアシル基、2〜4価のアルコールからm個の水酸基を除いた反応残基及び非還元性の二糖類若しくは三糖類からm個の水酸基を除いた反応残基が好ましく、さらに好ましくは水素原子、炭素数3〜18のアルキル基、炭素数3〜18のアルケニル基、炭素数12〜18のアシル基、グリセリン又はソルビタンからm個の水酸基を除いた反応残基及び蔗糖又はトレハロースからm個の水酸基を除いた反応残基、特に好ましくは水素原子、オレオイル、2−エチルヘキシル、グリセリンからm個の水酸基を除いた反応残基及び蔗糖からm個の水酸基を除いた反応残基、最も好ましくはグリセリンからm個の水酸基を除いた反応残基及び蔗糖からm個の水酸基を除いた反応残基である。
【0094】
水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数2〜30のアシル基(R2)は、R1のそれらと同じである。R2のうち、印刷適性の観点から、水素原子、炭素数2〜22のアルキル基、炭素数2〜22のアルケニル基及び炭素数2〜22のアシル基が好ましく、さらに好ましくは水素原子、炭素数3〜18のアルキル基、炭素数3〜18のアルケニル基及び炭素数3〜18のアシル基、特に好ましくは水素原子、オレオイル及び2−エチルヘキシル、最も好ましくは水素原子である。
【0095】
炭素数2〜4のオキシアルキレン基(OA)としては、オキシエチレン、オキシプロピレン、オキシブチレン及びこれらの混合が含まれる。複数の混合の場合、その結合様式はブロック、ランダム及びこれらの混合のいずれでもよいが、ブロック、及びブロックとランダムとの混合が好ましく、さらに好ましくはブロックである。オキシアルキレン基のうち、印刷適性の観点から、オキシエチレン、オキシプロピレン及びエチレンオキシド又はブチレンオキシドとプロピレンオキシドとの混合が好ましく、さらに好ましくはオキシプロピレン及びオキシエチレン又はブチレンオキシドとオキシプロピレンとの混合である。
【0096】
n個の(−OA)は、同じでも異なっていてもよく、m個の[(−OA)n−O−R
2]は同じでも異なっていてもよい。
【0097】
nは、1〜500の整数が好ましく、さらに好ましくは2〜100の整数、特に好ましくは3〜90の整数、最も好ましくは4〜80の整数である。この範囲であると印刷適性がさらに良好となる。
【0098】
mは、1〜6の整数が好ましく、さらに好ましくは1〜3の整数である。この範囲であると印刷適性がさらに良好となる。
【0099】
ポリオキシアルキレン化合物(B)は公知の方法(特開2003−268291号公報、特開平9−117607号公報等)で製造できる。
【0100】
ポリオキシアルキレン化合物(B)としては、ポリオキシエチレングリコールモノセチルエーテル、ポリオキシエチレングリコールモノステアレート、ポリオキシエチレングリコールジオレート、プロピレンオキシド/エチレンオキシド重合体、グリセリンのプロピレンオキシド/エチレンオキシド付加物、ジグリセリンのプロピレンオキシド付加物、ソルビトールのプロピレンオキシド/エチレンオキシド付加物、ソルビトールのプロピレンオキシド付加物、蔗糖のプロピレンオキシド付加物、蔗糖のプロピレンオキシド/ブチレンオキシド付加物、ラフィノースのプロピレンオキシド/ブチレンオキシド付加物、トリメチロールプロパンのプロピレンオキシド付加物、ペンタエリスリトールのプロピレンオキシド付加物、テトラヒドロキシシクロヘキサンのエチレンオキシド/プロピレンオキシド付加物、トリグリセリンのプロピレンオキシド付加物及びテトラグリセリンのプロピレンオキシド付加物等が挙げられる。
【0101】
ポリオキシアルキレン化合物(B)は、1種のみ使用してもよく、2種以上を使用してもよい。
【0102】
本発明の印刷適性向上剤にポリオキシアルキレン化合物(B)を含む場合、この含有量(重量部)は、化合物(A)100重量部に対して、1〜500が好ましく、さらに好ましくは、5〜300、特に好ましくは10〜200である。この範囲であると、印刷適性がさらに良好となる。
【0103】
<水>
取り扱い性の観点(印刷適性には影響はない)から、本発明の印刷適性向上剤にはさらに水を含有させることができる。水を含有する場合、この含有量(重量部)は、化合物(A)100重量部に対して、50〜99900重量部が好ましく、さらに好ましくは100〜49900、特に好ましくは300〜4900である。この範囲であると、印刷適性がさらに良好となる。
【0104】
<他の添加剤>
本発明の印刷適性向上剤には、化合物(A)、ポリオキシアルキレン化合物(B)及び水以外に、他の公知の添加剤{消泡剤、分散剤、防黴剤、防腐剤及び酸化防止剤等;たとえば、特開2000−327946号公報及び特開2004−305882号公報に記載されたもの等}を含有してもよい。
【0105】
他の添加剤を含有する場合、この含有量(重量部)は、化合物(A)100重量部に対して、0.001〜100が好ましく、さらに好ましくは0.01〜50、特に好ましくは0.02〜10である。
【0106】
<水性インキ組成物>
水性インキ材としては、公知の顔料及び樹脂等{たとえば、色材協会誌、70巻7号、p476〜484;印刷インキ基礎講座(第VII講)、東中冨佐男著、1997年}を含有してなるインキ材等が使用できる。
【0107】
本発明にの水性インキ組成物おいて、上記の印刷適性向上剤の含有量(重量部)は、水性インキ材100重量部に対して、化合物(A)の量が5×10
−3〜5重量部となる量が好ましく、さらに好ましくは同量が1×10
−2〜1重量部となる量、特に好ましくは同量が0.01〜0.25重量部となる量である。この範囲であると、印刷適性がさらに良好となる。
【0108】
本発明の印刷適性向上剤を含有した水性インキ組成物を被印刷体に印刷するには、通常の方法を用いることができ、凸版印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷及びシルクスクリーン印刷等が適用できる。これらのうち、フレキソ印刷が適している。
【0109】
本発明の印刷適性向上剤を含有した水性インキ組成物が印刷される被印刷体としては、段ボールのライナー、包装紙、カートン紙、コートボール紙、ラベルシール、紙ナプキン、食品包装フィルム及びレジ袋等が挙げられる。これらのうち段ボールのライナー及び包装紙が適している。
【実施例】
【0110】
以下、部又は%は、特記しない限り、重量部又は重量%を意味する。
<実施例1>
ポリアルキレンオキシド(a1−1){PEO−3、住友精化株式会社、ポリエチレンオキシド(数平均分子量100万)}100部を水4900部に溶解させ、本発明の印刷適性向上剤(J1)を得た。
【0111】
<実施例2>
耐圧反応容器内で、プロピレングリコール{試薬特級、富士フィルム和光純薬工業株式会社}1モル部(76部)及び水酸化カリウム{試薬特級、富士フィルム和光純薬株式会社}2.3部を均一混合した後、加圧窒素置換しながら100℃に昇温した。その後、減圧下(耐圧反応容器内の圧力を0.013MPa以下にする;以下同じである。)で1時間脱水し、同温度にてプロピレンオキシド(PO)16モル部(930部)を耐圧反応容器内の圧力を0.4MPa以下に保ちつつ滴下させた後、5時間同温度で撹拌してポリプロピレンオキシド(重合度17モル)を得た。
【0112】
引き続き同容器に、水酸化カリウム30.2部を加えて均一混合し、加圧窒素置換しながら120℃に昇温した。その後、減圧下で1時間脱水し、150℃に昇温し、この温度でエチレンオキシド(EO)2モル部(88部)を同圧力を0.2MPa以下に保ちつつ滴下させた後、5時間同温度で撹拌した。次いで90℃に冷却して反応物を得た後、水28.2部(イオン交換水、以下同じ。:以下、得られた反応物の2.5%とする。)を加えてから、アルカリ吸着剤{キョーワード600、協和化学工業株式会社、「キョーワード」は同社の登録商標である。}56.3部(以下、得られた反応物の5.0%とする。)を加え、同温度にて1時間撹拌して、水酸化カリウムをアルカリ吸着剤に吸着させた。次いで、同温度で、ヌッチェ、吸引瓶及びNo.2濾紙{東洋濾紙株式会社}を用いてアルカリ吸着剤をろ別した{以下、イオン交換水、アルカリ吸着剤を加え、撹拌した後、アルカリ吸着剤をろ別した操作を「アルカリ吸着処理」と略する。}。得られたろ液を減圧下120℃にて脱水処理して、ポリオキシアルキレン化合物(b1)[PO17モル/EO2モルブロック重合体]を得た。
【0113】
ポリアルキレンオキシド(a1−1)100部、ポリオキシアルキレン化合物(b1)10部及び水4890部を均一混合して、本発明の印刷適性向上剤(J2)を得た。
【0114】
<実施例3>
耐圧反応容器にグラニュー糖1モル部(342部)、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略記する。)1000部を仕込み、加圧窒素置換した。次いで100℃にて攪拌しながら、プロピレンオキシド(PO)15モル部(872部)を耐圧反応容器内の圧力を0.4MPa以下に保ちつつ滴下させた後、10時間同温度で攪拌した。次いで減圧下同温度にてDMFを留去させ、ポリオキシアルキレン化合物(b2)[蔗糖/PO15モル付加体、DMF含有量1.6ppm]を得た。
【0115】
なお、DMF含有量は、ガスクロマトグラフィー(内部標準/検量線方式)を用いて定量した(以下、同様である。)
【0116】
ポリアルキレンオキシド(a1−2){アルコックスE−100、明成化学工業株式会社、ポリエチレンオキシド、数平均分子量300万}100部、ポリオキシアルキレン化合物(b2)200部及び水9700部を均一混合して、本発明の印刷適性向上剤(J3)を得た。
【0117】
<実施例4>
耐圧反応容器にポリオキシアルキレン化合物(b2)[蔗糖/PO15モル重合物]1モル部(1214部)及び水酸化カリウム36.4部を仕込み、100℃にて減圧脱水してから同温度にてプロピレンオキシド(PO)65モル部(3777部)を耐圧反応容器内の圧力を0.4MPa以下に保ちつつ滴下させた後、14時間同温度で攪拌した。次いでアルカリ吸着処理し、ポリオキシアルキレン化合物(b3)[蔗糖/PO80モル付加体、DMF含有量0.4ppm]を得た。
【0118】
ポリアルキレンオキシド(a1−3){アルコックス EP−20、明成化学工業株式会社、エチレンオキサシド/プロピレンオキシドランダム共重合体、数平均分子量100万}100部、ポリオキシアルキレン化合物(b3)100部及び水9800部を均一混合して、本発明の印刷適性向上剤(J4)を得た。
【0119】
<実施例5>
耐圧反応容器にイオン交換水600部及び過硫酸ナトリウム0.37部を入れ、撹拌下95℃で、アクリル酸300部(4.2モル部)を滴下ラインから1時間かけて一定速度で滴下しながら密閉下で反応させた。さらに、1時間攪拌下95℃に保った後、30℃まで冷却してから、撹拌下、40℃以下に保ちながら、徐々に50%水酸化ナトリウム水溶液333部(NaOH4.2モル部)を分割投入し、重合体(a2−1){ポリアクリル酸ナトリウム塩}を32%含む水溶液を得た。なお、重合体(a2−1)の重量平均分子量は100万であった。
【0120】
耐圧反応容器にグリセリン{試薬特級、富士フィルム和光純薬株式会社}1モル部(92部)及び水酸化カリウム2.8部を仕込み、100℃にて減圧脱水してから150℃にてエチレンオキシド(EO)3モル部(132部)を耐圧反応容器内の圧力を0.2MPa以下に保ちつつ滴下させた後、10時間同温度で攪拌しグリセリン/EO3モル付加体を得た。引き続き同容器に、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル{試薬1級、東京化成工業株式会社}186部(1モル部)を加えて、窒素雰囲気下で160℃にて8時間攪拌した。次いでアルカリ吸着処理し、ポリオキシアルキレン化合物(b4)[グリセリン/EO3モル/2−エチルヘキサノール1モルブロック付加体]を得た。
【0121】
重合体(a2−1)を32%含む水溶液313部、ポリオキシアルキレン化合物(b4)10部及び水677部を均一混合して、本発明の印刷適性向上剤(J5)を得た。
【0122】
<実施例6>
「過硫酸ナトリウム0.37部」を「過硫酸ナトリウム0.09部」に変更したこと以外、実施例5と同様にして、重合体(a2−2){ポリアクリル酸ナトリウム塩}を32%含む水溶液を得た。なお、重合体(a2−2)の重量平均分子量は200万であった。
【0123】
重合体(a2−2)を32%含む水溶液313部、ポリオキシアルキレン化合物(b2)200部及び水387部を均一混合して、本発明の印刷適性向上剤(J6)を得た。
【0124】
<実施例7>
耐圧反応容器にイオン交換水2013部及び50%水酸化ナトリウム水溶液80部を入れて均一混合した後、40℃以下、攪拌下で、2−アクリロイルアミノ−2−メチルプロパンスルホン酸{2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、東京化成工業株式会社}1モル部(207部)を徐々に加えて均一混合した。次いで、50℃に温調した後、2−2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン2塩酸塩){東京化成工業株式会社}0.2部をイオン交換水5部に溶解させた水溶液を滴下し、同温度にて3時間撹拌し、重合体(a2−3){ポリ(2−アクリロイルアミノ−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩)}を10%含む水溶液を得た。なお、重合体(a2−3)の重量平均分子量は100万であった。
【0125】
重合体(a2−3)を10%含む水溶液1000部及びポリオキシアルキレン化合物(b4)10部を均一混合し、本発明の印刷適性向上剤(J7)を得た。
【0126】
<実施例8>
耐圧反応容器に、エチレングリコール{試薬特級、富士フィルム和光純薬工業株式会社}1モル部(62部)及び水酸化カリウム1.3部を加えて均一混合した後、100℃にて1時間減圧脱水してから150℃にてエチレンオキシド(EO)69モル部(3036部)を耐圧反応容器内の圧力を0.2MPa以下に保ちつつ滴下させた。その後、10時間同温度で攪拌し、次いでアルカリ吸着処理し、ポリエチレンオキシド(重合度70モル)を得た。
【0127】
耐圧反応容器に、デシルアルコール{試薬1級、東京化成工業株式会社}0.5モル部(79部)及び水酸化カリウム2.4部を加えて均一混合した後、100℃にて1時間減圧脱水してから150℃にてエチレンオキシド(EO)80モル部(3520部)を耐圧反応容器内の圧力を0.2MPa以下に保ちつつ滴下させた。その後、10時間同温度で攪拌し、次いでアルカリ吸着処理し、デシルアルコール/EO160モル付加物を得た。
【0128】
耐圧反応容器に、デシルアルコール/EO160モル付加物0.1モル部(720部)を入れ、100℃にて3時間減圧脱水してから、60℃に冷却し、ヘキサメチレンジイソシアネート{試薬1級、東京化成工業株式会社}0.1モル部(17部)及びジブチルスズラウレート{試薬1級、東京化成工業株式会社}0.2部を加えて、窒素気流下、80〜100℃にて10時間反応させた。次いで、ポリエチレンオキシド(重合度70モル)0.05モル(155部)を加えて、窒素気流下、80〜100℃にて10時間反応させ、ウレタン化合物(a3−1){デシルアルコール/EO160モル/ヘキサメチレンジイソシアネート/EO70モル/ヘキサメチレンジイソシアネート/EO160モル/デシルアルコール付加体}を得た。なお、イソシアナト基含有量測定法(JIS K1603−1:2007、A法)にてイソシアナト基の消失を確認した(以下、同じ)。
【0129】
ウレタン化合物(a3−1)100部、ポリオキシアルキレン化合物(b2)200部及び水200部を均一混合して、本発明の印刷適性向上剤(J8)を得た。
【0130】
<実施例9>
「エチレングリコール1モル部(62部)、水酸化カリウム1.3部、エチレンオキシド(EO)69モル部(3036部)」を、「エチレングリコール0.25モル部(15.5部)、水酸化カリウム0.3部、エチレンオキシド(EO)75モル部(3300部)」に変更したこと以外、実施例8と同様にして、ポリエチレンオキシド(重合度300モル)を調製した。
【0131】
「デシルアルコール0.5モル部(79部)、水酸化カリウム2.4部、エチレンオキシド(EO)80モル部(3520部)」を「ラウリルアルコール{試薬1級、東京化成工業株式会社}1モル部(186部)、水酸化カリウム5.6部、エチレンオキシド(EO)3モル部(132部)」に変更したこと以外、実施例8と同様にして、ラウリルアルコール/EO3モル付加物を調製した。
【0132】
「デシルアルコール/EO160モル付加物0.1モル部(720部)、ヘキサメチレンジイソシアネート0.1モル部(17部)、ポリエチレンオキシド(重合度70モル)0.05モル(155部)」を、「ラウリルアルコール/EO3モル付加物0.2モル部(63.6部)、メタキシリレンジイソシアネ−ト{東京化成工業株式会社}0.2モル部(38部)、ポリエチレンオキシド(重合度300モル)0.1モル(1322部)」に変更したこと以外、実施例8と同様にして、ウレタン化合物(a3−2){ラウリルアルコール/EO3モル/メタキシリレンジイソシアネ−ト/EO300モル/メタキシリレンジイソシアネ−ト/EO3モル/ラウリルアルコール付加体}を得た。
【0133】
耐圧反応容器で2−エチル−1−ヘキサノール{試薬1級、東京化成工業株式会社}1モル(130部)及び水酸化カリウム3.9部を均一混合した後、100℃にて1時間減圧脱水してから150℃にてエチレンオキシド(EO)4モル部(176部)を耐圧反応容器内の圧力を0.2MPa以下に保ちつつ滴下させた。その後、10時間同温度で攪拌し、次いでアルカリ吸着処理し、ポリオキシアルキレン化合物(b5)[2−エチル−1−ヘキサノール/EO4モル付加体]を得た。
【0134】
ウレタン化合物(a3−2)100部、ポリオキシアルキレン化合物(b5)10部及び水300部を均一混合して、本発明の印刷適性向上剤(J9)を得た。
【0135】
<実施例10>
ポリビニルアルコール(a4−1){ポリビニルアルコール、PVAー124、平均重合度2400、けん化度99モル%、株式会社クラレ}100部、ポリオキシアルキレン化合物(b3)10部及び水870部を均一混合して、本発明の印刷適性向上剤(J10)を得た。
【0136】
<実施例11>
多糖類(a5−1){ヒドロキシエチルセルロース、HEC AH−15、住友精化株式会社}100部、ポリオキシアルキレン化合物(b3)10部及び水4700部を均一混合して、本発明の印刷適性向上剤(J11)を得た。
【0137】
<実施例12>
ポリアルキレンオキシド(a1−2)100部を水9900部に溶解させ、本発明の印刷適性向上剤(J12)を得た。
【0138】
<実施例13>
ポリアルキレンオキシド(a1−3)100部を水4900部に溶解させ、本発明の印刷適性向上剤(J13)を得た。
【0139】
<実施例14>
重合体(a2−1)を32%含む水溶液313部及び水900部を均一混合して、本発明の印刷適性向上剤(J14)を得た。
【0140】
<実施例15>
耐圧反応容器にイオン交換水600部及び過硫酸ナトリウム0.37部を入れ、撹拌下95℃で、アクリル酸288部(4モル部)及びスチレン21部(0.2モル部)を滴下ラインから1時間かけて一定速度で滴下しながら密閉下で反応させた。さらに、1時間攪拌下95℃に保った後、30℃まで冷却してから、撹拌下、40℃以下に保ちながら、徐々に50%水酸化ナトリウム水溶液320部(NaOH4モル部)を分割投入し、重合体(a2−4){アクリル酸ナトリウム塩/スチレン共重合体}を32%含む水溶液を得た。なお、重合体(a2−4)の重量平均分子量は100万であった。
【0141】
重合体(a2−4)を32%含む水溶液313部及び水787部を均一混合して、本発明の印刷適性向上剤(J15)を得た。
【0142】
<実施例16>
耐圧反応容器にイオン交換水600部及び過硫酸ナトリウム0.37部を入れ、撹拌下95℃で、アクリル酸288部(4モル部)及び無水マレイン酸20部(0.2モル部)を滴下ラインから1時間かけて一定速度で滴下しながら密閉下で反応させた。さらに、1時間攪拌下95℃に保った後、30℃まで冷却してから、撹拌下、40℃以下に保ちながら、徐々に50%水酸化ナトリウム水溶液352部(NaOH4.4モル部)を分割投入し、重合体(a2−5){アクリル酸ナトリウム塩/マレイン酸ナトリウム塩共重合体}を32%含む水溶液を得た。なお、重合体(a2−5)の重量平均分子量は100万であった。
【0143】
重合体(a2−5)を32%含む水溶液313部及び水787部を均一混合して、本発明の印刷適性向上剤(J16)を得た。
【0144】
<実施例17>
ポリビニルアルコール(a4−1)100部、ポリオキシアルキレン化合物(b2)200部及び水700部を均一混合して、本発明の印刷適性向上剤(J17)を得た。
【0145】
<実施例18>
多糖類(a5−1)100部、ポリオキシアルキレン化合物(b2)200部及び水4700部を均一混合して、本発明の印刷適性向上剤(J18)を得た。
【0146】
<実施例19>
ポリビニルアルコール(a4−2){ポリビニルアルコール、PVAー117、平均重合度1700、けん化度99モル%、株式会社クラレ}100部、ポリオキシアルキレン化合物(b2)200部及び水700部を均一混合して、本発明の印刷適性向上剤(J19)を得た。
【0147】
<実施例20>
多糖類(a5−2){メチルセルロース2%水溶液、東京化成工業株式会社}5000部及びポリオキシアルキレン化合物(b2)200部を均一混合して、本発明の印刷適性向上剤(J20)を得た。
【0148】
<比較例1>
カチオン樹脂{ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)の27%水溶液、ユニセンスFPA100L、センカ株式会社}を比較用の印刷適性向上剤(h1)とした。
【0149】
実施例で得た印刷適性向上剤(J1〜J20)及び比較例の印刷適正向上剤(h1)を用いて、水性フレキソインキ組成物を調製し、以下の方法で紙に水性フレキソインキ組成物を塗工し、印刷適性を評価した。これらの結果を表1に示した。
【0150】
<水性フレキソインキ組成物の調製>
水性インキ材{水性フレキソインキ、オーデFSB 639藍、DICグラフィックス株式会社、「オーデ」は日本ペイントホールディングス株式会社の登録商標である。}100部と印刷適性向上剤(J1〜J20、h1)1部とを均一混合させて、評価用水性フレキソインキ組成物(1〜12)をそれぞれ得た。
【0151】
<印刷適性の評価>
Cライナー{ジュートライナー、坪量150g/m
2、王子マテリア株式会社}に、アニロックスローラー{イージープルーフ、RK Print Coat Instruments}を使用して評価用水性フレキソインキ組成物を印刷した。印刷した塗工面について、分光白色度計・色差計{PF7000、日本電色工業株式会社}を用いて、印刷適性向上剤を添加していない水性フレキソインキ(ブランク)の塗工面を比較対象として色差測定を行った。
また、目視にて印刷かすれの有無も評価した。
【0152】
【表1】
【0153】
本発明の印刷適性向上剤(J1)〜(J20)を用いて得た水性フレキソインキ組成物を塗工した印刷面は、比較用の印刷適性向上剤を用いたものと比較して、色差(ΔE)が大きく(発色性に優れ)、印刷かすれもなく、印刷適性に優れていることを確認できた。