(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-125610(P2020-125610A)
(43)【公開日】2020年8月20日
(54)【発明の名称】チュービング装置
(51)【国際特許分類】
E21B 7/20 20060101AFI20200727BHJP
E02D 13/00 20060101ALI20200727BHJP
【FI】
E21B7/20
E02D13/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-17888(P2019-17888)
(22)【出願日】2019年2月4日
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(72)【発明者】
【氏名】高山 浩司
【テーマコード(参考)】
2D050
2D129
【Fターム(参考)】
2D050EE12
2D129AA00
2D129AB16
2D129BA14
2D129BB03
2D129DC52
2D129EB29
2D129EB39
(57)【要約】
【課題】墜落制止用器具の付替え回数を減らして作業デッキ上の移動を容易にするガイド部材を備えたチュービング装置を提供する。
【解決手段】チュービング装置は、作業デッキ20の外縁に沿って着脱可能に設けられた複数の手摺部材30を備え、複数の手摺部材のうちの隣接する一組の第1手摺部材31,31の上部に着脱可能に架け渡されるとともに、墜落制止用器具のフックを隣接する一組の第1手摺部材の幅方向に沿って摺動自在に係止させる第1ガイド部材38を備えている。第1手摺部材は、水平方向に延びる把持部31aと、該把持部の両端に設けられた左右一対の支柱部31c,31cとを有して形成され、第1ガイド部材は、水平方向に延びる係止部38aと、該係止部の両端に設けられるとともに、隣接する一組の第1手摺部材の互いに遠い方の支柱部に着脱可能な左右一対の取付脚部38c,38cとを有して形成されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上に据え付けられるベースフレームと、該ベースフレームの上方に昇降シリンダを介して昇降可能に設けられたドライブフレームと、該ドライブフレームの上方にチャックシリンダを介して昇降可能に設けられたチャックフレームと、前記ベースフレーム、ドライブフレーム及びチャックフレームの中央部を鉛直方向に貫通するケーシング挿通孔とを備え、前記チャックフレームの上に、前記ケーシング挿通孔の内径に対応した内径を有する開口部を備えた作業デッキと、該作業デッキの外縁に沿って着脱可能に設けられた複数の手摺部材とを備えたチュービング装置において、前記複数の手摺部材のうちの隣接する一組の手摺部材の上部に着脱可能に架け渡されるとともに、墜落制止用器具のフックを前記隣接する一組の手摺部材の幅方向に沿って摺動自在に係止させるガイド部材を備えていることを特徴とするチュービング装置。
【請求項2】
前記手摺部材は、水平方向に延びる把持部と、該把持部の両端に設けられた一対の支柱部とを有して形成され、前記ガイド部材は、水平方向に延びる係止部と、該係止部の両端に設けられるとともに、前記隣接する一組の手摺部材の互いに遠い方の支柱部に着脱可能な一対の取付脚部とを有して形成されていることを特徴とする請求項1記載のチュービング装置。
【請求項3】
前記ガイド部材は、前記一対の取付脚部を前記隣接する一組の手摺部材の対応する前記支柱部にそれぞれ取り付けた状態で、前記係止部の上下方向の位置が前記把持部よりも上方に位置され、前記取付脚部は、前記係止部に係止された前記墜落制止用器具のフックが前記取付脚部を通じて前記把持部よりも下方に移動することを規制する突出部が設けられていることを特徴とする請求項2記載のチュービング装置。
【請求項4】
前記ガイド部材は、前記一対の取付脚部間を連結する補強部を有し、該補強部は、前記突出部を兼ねるように形成されていることを特徴とする請求項3記載のチュービング装置。
【請求項5】
前記手摺部材は、前記一対の支柱部のそれぞれの側面に前記取付脚部を選択的に着脱可能に挿入する筒状のガイド取付部材が設けられていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項記載のチュービング装置。
【請求項6】
前記開口部の周縁と前記作業デッキの外縁とが接近している部分には、前記作業デッキの外方に突出する拡幅デッキを備えることによって作業者が歩行可能な渡り通路が設けられ、前記隣接する一組の手摺部材は、前記拡幅デッキの外縁に沿って着脱可能に設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のチュービング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チュービング装置に関し、詳しくは、建築、土木の基礎工事で地中へのケーシングの圧入や引き抜きを行うチュービング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ケーシングチューブを回転させながら地中に圧入したり、引き抜いたりするチュービング装置では、ケーシングの挿入や着脱、コンクリートの注入などの作業をする際の転落事故を防止するため、複数の手摺部材をチュービング装置本体の上面に設けた作業デッキの外縁に沿って設けたり、ケーシングチューブ挿通孔の周囲にリング状に設けたりすることが行われている。これらの手摺部材には、製作が容易で、強度的にも優れているパイプ材が用いられていることから、フックを備える安全帯などの墜落制止用器具を取り付ける対象としても利用されている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−329775号公報
【特許文献2】特開2015−40434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の手摺部材は、チュービング装置を輸送する際の着脱性などを考慮して、幅狭な形状に形成されているため、作業デッキ上を移動するときには、墜落制止用器具のフックを隣接する手摺部材間で頻繁に付け替える必要があり、その作業が煩雑であった。また、手摺部材の両側曲げ部においてフックの取付位置が下がることから、安全性を低下させる要因にもなっていた。
【0005】
そこで本発明は、墜落制止用器具の付替え回数を減らして作業デッキ上の移動を容易にするガイド部材を備えたチュービング装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のチュービング装置は、地上に据え付けられるベースフレームと、該ベースフレームの上方に昇降シリンダを介して昇降可能に設けられたドライブフレームと、該ドライブフレームの上方にチャックシリンダを介して昇降可能に設けられたチャックフレームと、前記ベースフレーム、ドライブフレーム及びチャックフレームの中央部を鉛直方向に貫通するケーシング挿通孔とを備え、前記チャックフレームの上に、前記ケーシング挿通孔の内径に対応した内径を有する開口部を備えた作業デッキと、該作業デッキの外縁に沿って着脱可能に設けられた複数の手摺部材とを備えたチュービング装置において、前記複数の手摺部材のうちの隣接する一組の手摺部材の上部に着脱可能に架け渡されるとともに、墜落制止用器具のフックを前記隣接する一組の手摺部材の幅方向に沿って摺動自在に係止させるガイド部材を備えていることを特徴としている。
【0007】
また、前記手摺部材は、水平方向に延びる把持部と、該把持部の両端に設けられた一対の支柱部とを有して形成され、前記ガイド部材は、水平方向に延びる係止部と、該係止部の両端に設けられるとともに、前記隣接する一組の手摺部材の互いに遠い方の支柱部に着脱可能な一対の取付脚部とを有して形成されていることを特徴とし、さらに、前記ガイド部材は、前記一対の取付脚部を前記隣接する一組の手摺部材の対応する前記支柱部にそれぞれ取り付けた状態で、前記係止部の上下方向の位置が前記把持部よりも上方に位置され、前記取付脚部は、前記係止部に係止された前記墜落制止用器具のフックが前記取付脚部を通じて前記把持部よりも下方に移動することを規制する突出部が設けられていることを特徴としている。
【0008】
また、前記ガイド部材は、前記一対の取付脚部間を連結する補強部を有し、該補強部は、前記突出部を兼ねるように形成されていることを特徴とし、前記手摺部材は、前記一対の支柱部のそれぞれの側面に前記取付脚部を選択的に着脱可能に挿入する筒状のガイド取付部材が設けられていることを特徴としている。さらに、前記開口部の周縁と前記作業デッキの外縁とが接近している部分には、前記作業デッキの外方に突出する拡幅デッキを備えることによって作業者が歩行可能な渡り通路が設けられ、前記隣接する一組の手摺部材は、前記拡幅デッキの外縁に沿って着脱可能に設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明のチュービング装置によれば、墜落制止用器具のフックを摺動自在に係止させるガイド部材が、隣接する一組の手摺部材の上部に着脱可能に架け渡されているので、フックの付替え回数を減らして、デッキ上の移動を容易にすることができる。また、ガイド部材が、係止部の両端に設けた一対の取付脚部を、隣接する一組の手摺部材の互いに遠い方の支柱部にそれぞれ着脱可能に形成されているので、係止部の長さを最大限に利用して、フックの付替えを要することなく手摺幅方向に移動可能な範囲を拡大することができる。さらに、取付脚部に設けた突出部によってフックを手摺部材の把持部よりも下方に移動させないように規制するので、ガイド部材の両端部においてフックの取付位置が作業者の腰の位置よりも低くなる不都合がなくなり、しかも、一対の取付脚部間を連結する補強部が前記突出部を兼ねるように形成されているので、墜落制止用器具の安全機能を得るために必要な強度を確保しつつ、安価にガイド部材を製作することができる。
【0010】
また、手摺部材には、一対の支柱部のそれぞれの側面に筒状のガイド取付部材を設けており、該ガイド取付部材に対してガイド部材の取付脚部を選択的に着脱可能になっているので、手摺部材の部品共通化が図れるとともに、組立時には手摺部材の装着位置を迷うことなく従来と同様に取り扱うことができる。特に、手摺部材にガイド取付部材を追加するだけの簡単な構成であることから、既存の手摺部材にも改造などで容易に適用できる。さらには、輸送時、保管時に手摺部材を纏めて収納しても嵩張らず、作業デッキに手摺部材を上げ下ろしする作業を妨げることもない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一形態例を示すチュービング装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1乃至
図5は、本発明のチュービング装置の一形態例を示している。本形態例に示すチュービング装置11は、
図1乃至
図3に示すように、地上に据え付けられるベースフレーム12と、該ベースフレーム12の上方に昇降シリンダ13を介して昇降可能に設けられたドライブフレーム14と、該ドライブフレーム14の上方にチャックシリンダ15を介して昇降可能に設けられたチャックフレーム16とを備えており、前記ベースフレーム12、ドライブフレーム14及びチャックフレーム16の中央部には、鉛直方向に貫通して同軸上に配置されたケーシング挿通孔17が設けられている。
【0013】
チャックフレーム16の内周には、ケーシングチューブ(図示せず)を把持するための複数のチャック18が周方向に等間隔で設けられている。また、チャックフレーム16の上面には、ケーシング挿通孔17の内径に対応した内径を有する開口部19を備えた作業デッキ20が設けられている。さらに、チャックフレーム16の側面には、作業デッキ20に昇降するための梯子21が設けられている。
【0014】
作業デッキ20は、作業者が歩行可能な足場22が設けられており、この足場22には、4枚に分割された足場板23,24,25,26を組み合わせて配置することによって中央部に前記開口部19が形成されている。また、チャックフレーム16の一方の長辺16a側に配置される足場板23,24は、該長辺16a側の側辺23a,24aを長辺16aから外方に突出する形状に形成され、他方の長辺16b側に配置される足場板25,26は、該長辺16b側の側辺25a,26aを長辺16bから突出しない形状に形成されている。足場板25,26の側辺25a,26a部分には、踏み板27を備えた拡幅デッキ28,28が着脱可能に設けられている。この踏み板27,27は、足場板23,24が長辺16aから外方に突出する幅と略同幅に形成されている。これにより、開口部19の周縁と作業デッキ20の外縁とが接近している両側部分の足場領域は、渡り通路29,29となって足場板23,24間又は足場板25,26間の行き来を可能にしている。
【0015】
作業デッキ20及び拡幅デッキ28の外縁部には、転落防止用の複数の手摺部材30が着脱可能に設けられている。手摺部材30は、パイプ材などを組み合わせて形成されることによって安全基準に対応するもので、高さ寸法を共通にして幅寸法が異なる3種類の第1手摺部材31、第2手摺部材32及び第3手摺部材33が用いられている。開口部19を囲む四方の位置には幅寸法が最大の第1手摺部材31が6本、四隅部の位置には第1手摺部材31に対して半分の幅寸法の第2手摺部材32が4本、渡り通路29が設けられていない作業デッキ20の両側部分であって梯子21と並ぶ位置には、第2手摺部材32よりも僅かに幅狭の第3手摺部材33が2本、合計で12本の手摺部材30が設けられている。
【0016】
第1手摺部材31、第2手摺部材32及び第3手摺部材33は、基本的に同一の形状を有しており、水平方向の把持部31a,32a,33aと、各把持部31a,32a,33aの両端に曲げ部31b,32b,33bを介して設けられた左右一対の支柱部31c,32c,33cと、各支柱部31c,32c,33cの下部に設けられた鍔部31d,32d,33dと、各支柱部31c,32c,33c間を連結する上下一対の横桟31e,32e,33eとで形成され、幅広の第1手摺部材31には、把持部31aの中央部と上下の横桟31e,31eとを連結する縦桟31fが設けられている。また、左右一対の支柱部31c,32c,33cのそれぞれの上部側面には、後述するガイド部材34が着脱可能な筒状のガイド取付部材35が設けられている。
【0017】
一方、作業デッキ20及び拡幅デッキ28の外縁部には、各手摺部材31,32,33の支柱部31c,32c,33cに対応した位置に、筒状の手摺取付部材36がそれぞれ設けられており、各手摺取付部材36に対応した手摺部材31,32,33の支柱部31c,32c,33cの下部を手摺取付部材36の内部に挿入し、鍔部31d,32d,33dが手摺取付部材36の上端に当接した状態で固定部材37を取り付けることにより、各手摺部材31,32,33が所定の位置にそれぞれ固定される。このとき、第1手摺部材31及び第3手摺部材33は、作業デッキ20及び拡幅デッキ28の外縁部において、ガイド取付部材35を外側面に配置する向きで固定されることにより、ガイド取付部材35を設けていない内側面同士が開口部19を挟んで対向するようにそれぞれ配置される(
図3)。
【0018】
ガイド部材34は、墜落制止用器具のフック(図示せず)を手摺部材30の幅方向に沿って摺動自在に係止させるもので、複数の手摺部材30のうちの隣接する一組の手摺部材31,33の上部に着脱可能に架け渡されている。このガイド部材34は、パイプ材などを組み合わせて形成されており、高さ寸法を共通にして幅寸法が異なる2種類の第1ガイド部材38及び第2ガイド部材39が用いられている。第1手摺部材31同士が隣接する位置には幅広の第1ガイド部材38が2本、第1手摺部材31と第3手摺部材33とが隣接する位置には幅狭の第2ガイド部材39が2本、合計で4本のガイド部材34が設けられている。
【0019】
第1ガイド部材38及び第2ガイド部材39は、
図4及び
図5に示すように、基本的に同一の形状を有しており、墜落制止用器具のフックが係止される水平方向の係止部38a,39aと、各係止部38a,39aの両端に曲げ部38b,39bを介して設けられるとともに、隣接する一組の手摺部材31,33の互いに遠い方の支柱部31c,33cの上部に着脱可能な左右一対の取付脚部38c,39cと、各取付脚部38c,39cの下部に設けられた鍔部38d,39dと、各取付脚部38c,39cの上部間を連結する水平方向の補強部38e,39eとで形成されている。そして、隣接する一組の手摺部材31,33に対応したガイド部材38,39の取付脚部38c,39cの下部をガイド取付部材35の内部に挿入し、鍔部38d,39dがガイド取付部材35の上端に当接した状態で固定部材40を取り付けることにより、ガイド部材38,39が所定の位置にそれぞれ固定される。すなわち、ガイド部材38,39は、作業デッキ20及び拡幅デッキ28の外縁部の上方において、手摺部材31,33の外側面にそれぞれ配置される。
【0020】
また、取付脚部38c,39cにおける鍔部38d,39dの高さ位置は、ガイド部材38,39の装着状態で、補強部38e,39eが手摺部材31,33の把持部31a,33aと略同一の高さになるように設定されている。ここで、補強部38e,39eの両端部が、取付脚部38c,39cの上部に設けられた突出部38f,39fを兼ねるようにそれぞれ形成されていることから、墜落制止用器具のフックが曲げ部38b,39bから滑り落ちた場合であっても、該フックが突出部38f,39f、つまり補強部38e,39eに係止されて、取付脚部38c,39cを通じて把持部31a,33aよりも下方に移動することが規制される。
【0021】
このように形成されたガイド部材34を備えたチュービング装置11は、ケーシングチューブの圧入などの作業を行う際には、作業デッキ20及び拡幅デッキ28の外縁部に、対応した幅寸法の複数の手摺部材30をそれぞれ装着するとともに、隣接する一組の手摺部材31,33に、対応した幅寸法のガイド部材38,39をそれぞれ装着することにより、デッキからの転落事故を防止する。ここで、第1手摺部材31及び第3手摺部材33について、デッキ上に対向配置された手摺部材同士を反転させて付け替えることで、隣接する一組の手摺部材の互いに近い方の支柱部31c,33cは遠い方の支柱部31c,33cとして扱われ、また、その逆としても扱われる。すなわち、支柱部31c,33cに設けられた左右一対のガイド取付部材35,35は、ガイド部材38,39の取付脚部38c,39cの下部を選択的に着脱可能に挿入する。
【0022】
このように、墜落制止用器具のフックを摺動自在に係止させるガイド部材34が、隣接する一組の手摺部材31,33の上部に着脱可能に架け渡されているので、フックの付替え回数を減らして、デッキ上の移動を容易にすることができる。また、ガイド部材38,39が、係止部38a,39aの両端に設けた左右一対の取付脚部38c,39cを、隣接する一組の手摺部材31,33の互いに遠い方の支柱部31c,33cにそれぞれ着脱可能に形成されているので、係止部38a,39aの長さを最大限に利用して、フックの付替えを要することなく手摺幅方向に移動可能な範囲を拡大することができる。さらに、取付脚部38c,39cに設けた突出部38f,39fによってフックを手摺部材31,33の把持部31a,33aよりも下方に移動させないように規制するので、各ガイド部材38,39の両端部においてフックの取付位置が作業者の腰の位置よりも低くなる不都合がなくなり、しかも、左右一対の取付脚部38c,39c間を連結する補強部38e,39eが突出部38f,39fを兼ねるように形成されているので、墜落制止用器具の安全機能を得るために必要な強度を確保しつつ、安価にガイド部材38,39を製作することができる。
【0023】
また、手摺部材31,33には、左右一対の支柱部31c,33cのそれぞれの側面に筒状のガイド取付部材35を設けており、該ガイド取付部材35に対してガイド部材38,39の取付脚部38c,39cの下部を選択的に着脱可能になっているので、手摺部材31,33の部品共通化が図れるとともに、組立時には手摺部材31,33の装着位置を迷うことなく従来と同様に取り扱うことができる。特に、手摺部材31,33にガイド取付部材35を追加するだけの簡単な構成であることから、既存の手摺部材にも改造などで容易に適用できる。さらには、輸送時、保管時に手摺部材31,33を纏めて収納しても嵩張らず、デッキに手摺部材31,33を上げ下ろしする作業を妨げることもない。
【0024】
また、開口部19の周縁と作業デッキ20の外縁とが接近している部分には、拡幅デッキ28を備えることによって作業者が歩行可能な渡り通路29を設けるとともに、隣接する一組の手摺部材31,31を拡幅デッキ28の外縁に沿って設けているので、渡り通路29による足場板25,26間の行き来を可能にしつつ、比較的に幅狭な渡り通路29においてフックの付替え操作を回避することが可能となり、デッキ上での安全な移動を確実なものとすることができる。
【0025】
なお、本発明は、前記形態例に限るものではなく、デッキの構造や手摺部材の寸法などの条件に応じてガイド部材やガイド取付部材の構造、配置を適宜に変更することができる。また、手摺部材の組み合わせは任意であり、第1手摺部材や第3手摺部材を用いた組み合わせに第2手摺部材を含めてもよい。さらに、ガイド取付部材は、ガイド部材の取付脚部を抜き差し可能な内径を有していれば、板材やパイプ材などから形成することができる。加えて、ガイド部材に補強部を有しない構成では、例えば、リング状の部材で突出部を形成してフックの下方移動を防止することができる。
【符号の説明】
【0026】
11…チュービング装置、12…ベースフレーム、13…昇降シリンダ、14…ドライブフレーム、15…チャックシリンダ、16…チャックフレーム、16a,16b…長辺、17…ケーシング挿通孔、18…チャック、19…開口部、20…作業デッキ、21…梯子、22…足場、23…足場板、23a…側辺、24…足場板、24a…側辺、25…足場板、25a…側辺、26…足場板、26a…側辺、27…踏み板、28…拡幅デッキ、29…渡り通路、30…手摺部材、31…第1手摺部材、31a…把持部、31b…曲げ部、31c…支柱部、31d…鍔部、31e…横桟、31f…縦桟、32…第2手摺部材、32a…把持部、32b…曲げ部、32c…支柱部、32d…鍔部、32e…横桟、33…第3手摺部材、33a…把持部、33b…曲げ部、33c…支柱部、33d…鍔部、33e…横桟、34…ガイド部材、35…ガイド取付部材、36…手摺取付部材、37…固定部材、38…第1ガイド部材、38a…係止部、38b…曲げ部、38c…取付脚部、38d…鍔部、38e…補強部、38f…突出部、39…第2ガイド部材、39a…係止部、39b…曲げ部、39c…取付脚部、39d…鍔部、39e…補強部、39f…突出部、40…固定部材