【解決手段】 本発明のロータリーエンジン1は、内部にロータ11を収容し、作動気体を吸気及び圧縮する第1のハウジング10と、作動気体の圧縮側で第1のハウジング10に連通して接続される少なくとも1つの第2のハウジング20と、第2のハウジング20内に配置される出力軸21と、出力軸21に一体的に設けられる回転子22と、回転子22の外周面22aに形成される点火溝23とを備える。第2のハウジング20は、両端が閉塞された筒状をなしており、出力軸21、回転子22及び点火溝23は、第2のハウジング20の一端から他端にわたって第2のハウジング20の軸方向に沿って延びている。回転子22の外周面22aは、第1のハウジング10と第2のハウジング20との連通部30で、第2のハウジング20の内周面20aと接する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなロータリーエンジンは、作動室の気密性を高くすることが困難であり、それゆえ十分な圧縮比を得られないという問題があった。また、ロータが出力軸に対して遊星回転運動を行う構造であるため、ロータと出力軸とが接している部分以外は、ロータと出力軸との間は空間となっている。それゆえ、燃焼の行程で得られたエネルギーがロータと出力軸との間の空間に逃げてエネルギー損失が生じてしまい、エネルギー効率が低くなるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、よりエネルギー効率のよいロータリーエンジンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のロータリーエンジンは、内部にロータを収容し、作動気体を吸気及び圧縮する第1のハウジングと、作動気体の圧縮側で第1のハウジングに連通して接続される少なくとも1つの第2のハウジングと、第2のハウジング内に配置される出力軸と、出力軸に一体的に設けられる回転子と、回転子の外周面に形成される点火溝とを備える。第2のハウジングは、両端が閉塞された筒状をなしており、出力軸、回転子及び点火溝は、第2のハウジングの一端から他端にわたって第2のハウジングの軸方向に沿って延びている。回転子の外周面は、第1のハウジングと第2のハウジングとの連通部で、第2のハウジングの内周面と接する。
【0007】
本発明のロータリーエンジンは、第1のハウジングと連通する第2のハウジングを有し、その第2のハウジングに出力軸を設けている。そして、圧縮された作動気体が、出力軸に一体的に設けられている回転子の点火溝に流入した際に点火して燃焼させる。これにより、作動気体の燃焼及び膨張によって生じるエネルギーは、出力軸に一体的に設けられている回転子を介して、出力軸に直に伝達され、出力軸の回転として取り出される。その結果、作動気体の燃焼及び膨張によって生じるエネルギーの損失がほぼなくなり、エネルギー効率を向上させることができる。
【0008】
好ましい実施形態のロータリーエンジンでは、点火溝は、出力軸の進行方向側が深く形成されている。
【0009】
このような構成とすることで、作動気体の燃焼及び膨張によって生じるエネルギーが、より効率よく出力軸に伝達され、よりエネルギー効率を向上させることができる。
【0010】
好ましい実施形態のロータリーエンジンでは、ロータは、略三角形状をなしており、出力軸は、ロータが1回転する間に3回転できる径を有している。
【0011】
このような構成とすることで、ロータが1回転する間に出力軸が3回転でき、より多くの回転数を得ることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のロータリーエンジンによれば、従来のロータリーエンジンと比べて燃焼によって生じるエネルギーの損失を防ぎ、エネルギー効率を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明のロータリーエンジンの一実施形態の横断面図であり、
図2は、
図1のロータリーエンジンの第2のハウジングの斜視図、
図3は、
図1のロータリーエンジンの出力軸及び回転子の斜視図である。
図1はロータリーエンジンを正面から見た図であり、
図1において手前側(紙面の表側)を前側、
図1において奥側(紙面の裏側)を後側と呼ぶ。
図2は、第2のハウジングの前側(紙面の右手前側)の側壁および点火プラグを省略して示す。
【0015】
図1に示すように、本発明のロータリーエンジン1は、内部にロータ11を収容した第1のハウジング10と、第1のハウジング10に連通して接続される第2のハウジング20と、第2のハウジング20内に配置される出力軸21及び回転子22とを備えている。
【0016】
第1のハウジング10は、前側及び後側の両端が閉塞された筒状をなしており、第1のハウジング10の内周面10aの横断面はトロコイド曲線からなる略楕円形状(繭型)をなしている。ロータ11は、第1のハウジング10の前側端から後側端にわたって第1のハウジング10の軸方向に沿って延びている。ロータ11の横断面は、略三角形状(おむすび型)、すなわち、3個の側周面11aが外方に湾曲した形状をなしている。ロータ11の頂部11b(側周面11aの両端)は、第1のハウジング10の内周面10aに内接している。ロータ11の側周面11aと第1ハウジング10の内周面10aとの間は作動室15となっており、第1のハウジング10の内周面10aによって囲まれる空間は、3個の作動室15,15,15に区分けされている。
【0017】
ロータ11は、中央部に、横断面が円形でロータ11の前側から後側にわたって延びる空間11cを有しており、その空間11cに回転軸12が配置されている。ロータ11は、回転軸12に対して、
図1において時計回り方向に遊星回転運動、すなわち自転及び公転を行うように支持されている。より具体的には、ロータ11は、頂部11bに設けられたシール部(図示せず)のそれぞれを第1のハウジング10の内周面10aに当接させた状態で回転軸12の偏心輪の周りを自転しながら、回転軸12の周りを公転する。ロータ11の内周面(空間11cを形成する面)には内歯歯車が形成され、回転軸12の外周面には外歯歯車が形成さており、ロータ12の遊星回転運動は、内歯歯車と外歯歯車との噛み合わせを介して回転軸12に伝達されている。
【0018】
第1のハウジング10には、トロコイドの長軸LAで区切られる一方の側(
図1において左側)において、トロコイドの短軸SAよりもロータ11の進行方向側(
図1において上側)に、作動気体を吸気するための吸気ポート13aが形成されている。また、第1のハウジング10には、トロコイドの短軸SAよりもロータ11の戻り方向側(
図1において下側)に、作動気体を排気するための排気ポート14aが形成されている。吸気ポート13aには吸気管13の先端部が連通して接続されるとともに、排気ポート14aには排気管14の先端部が連通して接続されている。
【0019】
また、第1のハウジング10には、トロコイドの長軸LAで区切られる他方の側(
図1において右側)、つまり、トロコイドの長軸LAを挟んで吸気ポート13aの反対側で作動気体の圧縮側に、前側から後側へと軸方向に延びる連通孔10bが形成されている。
【0020】
ロータ11の遊星回転運動にともなって、3個の作動室15,15,15のそれぞれが第1のハウジング10の内周面10aに沿って、
図1において時計回り方向に移動する。このロータ11の動作により、第1のハウジング10では、作動気体が吸気ポート13aから吸気されて圧縮される。
【0021】
図1〜
図3に示すように、第2のハウジング20は、前側及び後側の両端が閉塞された筒状をなしており、第2のハウジング20の内周面20aの横断面は略円形状をなしている。より具体的には、第2のハウジング20は、前側及び後側の両端が閉塞された円筒状の本体部201と、本体部201の一部分を囲う包囲部202とで構成されている。
【0022】
本体部201は、第1のハウジング10と連通される部分に、前側から後側へと軸方向に延びる連通孔20bが形成されている。連通孔20の幅(第2のハウジング20の軸方向に直交する方向の長さ)は、第1のハウジング10の連通孔10bの幅(第1のハウジング10の軸方向に直交する方向の長さ)と略同等に形成されている。包囲部202は、連通孔20bから周方向両側に所定距離だけ離れた位置に端部202aが立設され、連通孔20b側を除く本体部201を囲むように構成されている。包囲部202の前側及び後側の両端は閉塞されている。この包囲部202は、本体部201との間に、作動気体をスムーズに流すことができる空間(容積)を形成できる大きさをなしている。
【0023】
本体部201は、包囲部202に囲まれる部分において、軸方向中央部分に周方向に延びる開口201bが形成されている。これにより、本体部201と包囲部202とが開口201bにより連通され、連通孔20bから流入した作動気体が本体部201から包囲部202へと流れるようになっている。
【0024】
また、第2のハウジング20は、連通孔20bから周方向に所定距離離れた場所、好ましくは、連通孔20bよりも出力軸21の戻り方向側(
図1において下側)に、作動気体を排気するための排気ポート25aが形成されている。排気ポート25aには排気管25の先端部が連通して接続されている。
【0025】
第2のハウジング20は、連通孔20bを第1のハウジング10の連通孔10bと接続させることで、第1のハウジング10に取り付けられている。この第1のハウジング10の連通孔10bと第2のハウジング20の連通孔20bが、第1のハウジング10と第2のハウジング20との連通部30となっている。
【0026】
出力軸21は、円柱状に形成されており、第2のハウジング20の前側(一端)から後側(他端)にわたって、さらに、後側から第2のハウジング20の後方へと突出して、出力軸21の軸方向が第2ハウジング20の軸方向に沿うように延びている。本実施形態では、出力軸21は、ロータ11が1回転する間に3回転できる径を有している。
【0027】
回転子22は、出力軸21の径方向外方において、出力軸21に一体的に設けられている。回転子22は、第2のハウジング20の内部において、第2のハウジング20の前側(一端)から後側(他端)にわたって、第2のハウジング20の軸方向に沿って延びている。本実施形態では、回転子22は、円筒状をなしている回転子本体221と、板状をなしている接続体222とから構成されている。回転子22は、内部に出力軸21を配置できる大きさを有している。接続体222は、出力軸21と回転子本体221との間に配置されて、出力軸21と回転子本体221とを一体的に接続している。本実施形態では、4個の接続体222によって、出力軸21と回転子本体221とが一体になっている。回転子22の外周面22a(回転子本体221の外周面)は、連通部30において第2のハウジング20の内周面20a、すなわち、本体部201の内周面201aと接するようになっている。これにより、点火溝23以外の部分では、作動気体は第2のハウジング20に流入しないようになっている。
【0028】
なお、「一体的」とは、出力軸21と回転子22とが一部材で一体不可分に形成されている場合、及び、出力軸21と回転子22とが二部材で形成されており、出力軸21に対して回転子22が動かないように固定されている場合を共に含むものである。回転子本体221と接続体222、および、接続体222と出力軸21についても、出力軸21と回転子22との関係と同様に、一部材で一体不可分に形成される場合も、二部材で形成され互いに動作不能に固定される場合も含む。
【0029】
回転子22の外周面22a、具体的には回転子22の回転子本体221の外周面22aには、点火溝23が形成されている。点火溝23は、第2のハウジング20の前側(一端)から後側(他端)にわたって、第2のハウジング20の軸方向に沿って延びている。点火溝23の幅(第2のハウジング20の軸方向に直交する方向の長さ)は、第2のハウジング20の連通孔20b、すなわち、連通部30の幅(第2のハウジング20の軸方向に直交する方向の長さ)と略同等に形成されている。また、点火溝23は、出力軸21の進行方向側(
図1において上側)が深く形成されている。
【0030】
また、回転子22の点火溝23を除く外周面22aには、第2のハウジング20の前側(一端)から後側(他端)にわたって、第2のハウジング20の軸方向に沿って延びる棒状のアペックスシール24(
図1及び
図4〜
図11では図示省略)が設けられている。また、回転子22の両側面22b(前側及び後側の軸に直交する端面)には、サイドシール26が設けられている。回転子22の外周面22aが、アペックスシール24及びサイドシール26を介して第2のハウジング20の内周面20a(本体部201の内周面201a)と接することで、第2のハウジング29と回転子22との間を密閉しながらも、回転子22と第2のハウジング20との摩擦抵抗が減少し、回転子22及び出力軸21はスムーズに回転することができる。なお、本実施形態では、アペックスシール24は、回転子本体221の外周面22aに8本設けられているが、アペックスシール24の本数は、1本以上であれば任意の本数とすることができる。また、本実施形態では、サイドシール26は、正面視円形状の1本サイドシールで構成されているが、サイドシール26は、正面視C字状で構成されてもよいし、周方向に所定間隔ごとに複数本設けられてもよい。また、サイドシール26は、径方向に複数本設けられてもよい。
【0031】
ロータリーエンジン1には、第2のハウジング20に点火プラグ31が設けられている。具体的には、第2のハウジング20には、出力軸21の進行方向側(
図1の上
側)で、かつ、連通孔20bと包囲部202の端部202aとの間に、内周面20aまで貫通する、すなわち、本体部201を貫通する開口20c(
図2参照)が形成されている。その開口20cに、第2のハウジング20の内部の密閉性を保つようにして点火プラグ31が取り付けられている。
【0032】
次に、ロータリーエンジン1の動作について
図4〜
図10を参照して説明する。
図5〜
図10は、
図4に示す位置からロータ11、出力軸21及び回転子22を少しずつ回転方向(図面において時計回り)に回転させた状態をそれぞれ示している。なお、
図4〜
図10においては、説明の便宜上、3個の作動室15,15,15のそれぞれを作動室15a,15b,15cと区別して称し、作動室15aを中心にロータリーエンジン1の動作について説明する。
【0033】
まず、
図4の状態では、ロータ11の回転運動にともなって、作動室15aに吸気管13から吸気ポート13aを介して作動気体が吸入されて吸気が行われる。なお、この状態では、作動室15bは、圧縮行程から燃焼行程への移行過程である。また、作動室15cは、作動室15cの内部に残っている作動気体を、排気ポート14aを介して排気管14へ排出する排気行程である。
【0034】
ロータ11が少し回転して
図5の状態に移行すると、作動室15aにおいては、ロータ11の頂部11bが吸気ポート13aを超えて密閉空間が形成される。この状態からロータ11がさらに回転することで、作動室15aの密閉空間の体積が小さくなり、作動室15aの内部の作動気体の圧縮が行われる。これにより、作動室15aはロータ11に作動気体の圧縮にともなう回転力を与える。
【0035】
ロータ11がさらに回転して
図6の状態に移行すると、作動室15aは連通部30と連通する。このとき、回転子22は、点火溝23が連通孔20bに対向する位置にある。この状態では、作動室15aの内部の作動気体は圧縮されており、圧縮された作動気体が連通部30を介して点火溝23に流入する。ここから回転子22が少し回転して点火溝23が連通部30と連通しなくなる
図7の状態に移行すると、点火溝23の内部の作動気体はさらに圧縮される。この状態で、点火溝23で、点火プラグ31により点火され、作動気体の燃焼、膨張が行われる。この作動気体の膨張の圧力によって回転子22及び回転子22と一体の出力軸21に回転力が与えられる。
【0036】
出力軸21が少し回転して
図8の状態に移行すると、膨張した作動気体が開口201bを介して包囲部202で囲われる空間に流入し、本体部201と包囲部202との間の空間を流れ、排気ポート25aを介して排気管25から排気される。一方、回転力が与えられた出力軸21は、引き続き回転し、
図9の状態を経て、回転子22の点火溝23が連通孔20bに対向する位置まで回転する。同時に、次の作動室15cが作動室15aと同様に作用してロータ11が回転し、作動室15cが連通部30に対向する位置に移動する。この状態が
図10の状態であり、これは、
図4の作動室15a,15b,15cがそれぞれ作動室15b,15c,15aの位置に置き換わった状態である。
【0037】
このとき、作動室15aに残っていた作動気体は、排気ポート14aを介して排気管14から排気される。また、点火溝23に残っていた作動気体は、連通部30を通って作動室15cに流入し、さらにロータ11が回転して作動室15cが排気ポート14aのある位置に移動した際に、排気ポート14aを介して排気管14から排気される。この一連の動作を繰り返すことにより、ロータ11及び出力軸21が回転を続けることとなる。
【0038】
以上のように、上記実施形態のロータリーエンジン1では、第1のハウジング10と連通する第2のハウジング20を有して、第2のハウジング20に出力軸21を設けている。そして、圧縮された作動気体が、出力軸21に一体的に設けられている回転子22の点火溝23に流入した際に点火して燃焼させる。これにより、作動気体の燃焼及び膨張によって生じるエネルギーは、出力軸21に一体的に設けられている回転子22を介して、出力軸21に直に伝達され、出力軸21の回転として取り出される。その結果、作動気体の燃焼及び膨張によって生じるエネルギーの損失がほぼなくなり、エネルギー効率を向上させ、結果、燃費を良くすることができる。また、出力軸21の回転は、完全な円運動であるため、振動が少なくなり、ロータリーエンジンの寿命を延ばすことができる。
【0039】
また、上記実施形態のロータリーエンジン1では、点火溝23は、出力軸21の進行方向側が深く形成されている。これにより、作動気体の燃焼及び膨張によって生じるエネルギーが、より効率よく出力軸21に伝達され、よりエネルギー効率を向上させることができる。
【0040】
さらに、上記実施形態のロータリーエンジン1では、ロータ11が1回転する間に出力軸21が3回転できるようになっている。これにより、出力軸21はより多くの回転数を得ることができる。このように、非常に高速回転が得られることから、自動車のみでなく、航空機、ドローン、発電機等の高速回転が要求されるものにも有益に利用することができる。
【0041】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。
【0042】
例えば、上記実施形態では、点火溝23は、出力軸21の進行方向側が深く形成されているが、作動気体の膨張により出力軸21がスムーズに回転できれば、点火溝23は、単純な円弧状としてもよい。また、点火溝23の横断面形状は、滑らかな湾曲形状に限られず、凹状をなしていれば角を有する等の任意の形状とすることができる。
【0043】
また、上記実施形態では、出力軸21は、ロータ11が1回転する間に3回転できる径を有しているが、出力軸21及びロータ11の径は任意に設定することができる。
【0044】
また、上記実施形態では、ロータ11は略三角形状をなしているが、ロータ11ひいては第1のハウジング10は、既知の任意のロータおよびロータリーエンジンのハウジングの形態を採用することができる。
【0045】
また、上記実施形態では、回転子本体221は4本の接続体222によって出力軸21に一体的に接続されているが、接続体222の本数は4本に限られず、1本以上の任意の本数とすることができる。また、上記実施形態では、回転子22は、回転子本体221と接続体222とからなり、回転子本体221は出力軸21から径方向に所定距離離間しているが、回転子22は回転子本体221のみからなり、回転子本体221が出力軸21と一体となるように構成されてもよい。回転子本体221が出力軸21から径方向に所定距離離間していると、回転子22の重量が軽くなり、ロータリーエンジン1の全体重力を抑えることができるとともに、少ないエネルギーでも出力軸21がスムーズに回転できる。一方、回転子22の重量が問題にならない場合は、出力軸21と一体となるように回転子本体221を形成することで、回転子22を容易に製造することができる。
【0046】
また、上記実施形態では、第1のハウジング10は、排気ポート14aを有し、排気ポート14aには排気管14が設けられている。しかしながら、作動気体の排気が、第2のハウジング20の排気ポート25aを介して排気管25から排気されことで十分な場合には、第1のハウジング10に設けられる排気管14及び排気ポート14aはなくてもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、第2のハウジング20は、連通孔20bよりも出力軸21の戻り方向側に排気ポート25a及び排気管25が設けられているが、排気ポート25a及び排気管25は、第2のハウジング20の連通孔20bから周方向に所定距離離れた場所であれば、任意の場所に設けることができる。また、排気ポート25a及び排気管25の個数も1個に限らず2個以上でもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、第2のハウジング20に点火プラグ31を設けているが、点火プラグ31は、連通部30に設けられてもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、ロータリーエンジン1は1個の第2のハウジング20を備えているが、第2のハウジング20の個数は1個に限られない。例えば、
図11に示すように、ロータリーエンジン1は2個の第2のハウジング20を備えてもよいし、3個以上の第2のハウジング20を備えてもよい。このとき、第1のハウジング10は、第2のハウジング20の個数に適応した吸気管13及び吸気ポート13aを備える。このような構成とすることで、1個のロータリーエンジン1で2以上の出力(回転力)を得ることができる。