【解決手段】コイル部品100は、芯部11を有する磁性コア10と、磁性コア10を収容している絶縁枠体24と、絶縁枠体24に設けられている電極端子部材47と、絶縁被覆されている導線55により構成されているとともに電極端子部材47に対して電気的に接続されている少なくとも1つのコイル(例えば第1コイル56及び第2コイル57)とを有し、少なくとも1つのコイルは、絶縁枠体24の第2壁部28と第5壁部31とに亘って接触した状態となるように絶縁枠体24及び芯部11の周囲に巻き付けられている巻回部58を備えている。
前記側方張出部における前記第4壁部側の部分には、前記芯部の軸方向における外方に向けて前記基部よりも窪んだ凹部が形成されて、前記第4面は、前記基部における内方側の面よりも外方にオフセットされており、
前記凹部に前記第4壁部が入り込んでいる請求項3から10のいずれか一項に記載のコイル部品。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
【0010】
図1から
図8のいずれかに示すように、本実施形態に係るコイル部品100は、芯部11(
図3、
図6、
図7、
図8参照)を有する磁性コア10(
図3、
図6、
図7、
図8参照)と、磁性コア10を収容している絶縁枠体24と、絶縁枠体24に設けられている電極端子部材47と、絶縁被覆されている導線55により構成されているとともに電極端子部材47に対して電気的に接続されている少なくとも1つのコイル54(例えば、第1コイル56と第2コイル57との2つのコイル54)と、を有する。
少なくとも1つのコイル54は、絶縁枠体24の外面に接触した状態となるように絶縁枠体24及び芯部11の周囲に巻き付けられている巻回部58を有する。
【0011】
本実施形態によれば、コイル部品100は、磁性コア10を収容している絶縁枠体24に電極端子部材47が設けられた構造となっている。このため、電極端子部材47と磁性コア10との間の絶縁を容易に確保することができる。よって、コイル部品100の小型化も容易に実現することができる。
また、少なくとも1つのコイル54の巻回部58は、絶縁枠体24の外面に接触した状態となるように絶縁枠体24及び芯部11の周囲に巻き付けられているが、コイル54を構成する導線55は、絶縁被覆されている。これにより、コイル54の巻回部58が磁性コア10に接触していたとしても、磁性コア10とコイル54との間の絶縁、ひいては磁性コア10と電極端子部材47との間の絶縁を確保することができる。
【0012】
以下の説明では、上下方向をZ方向と称する。下(下方)は、後述する実装端子50が配置されている側、すなわちコイル部品100の実装面側である。ただし、コイル部品100の製造時や使用時における各部の位置関係(特に上下の位置関係)は、本明細書で説明する位置関係に限らない。
芯部11の軸方向は、Z方向に対して直交する方向に延在している。芯部11の軸方向をY方向と称し、Y方向における一方を前(前方)、他方を後(後方)と称する。
また、Y方向とZ方向との双方に対して直交する方向をX方向と称し、X方向における一方を左(左方)、他方を右(右方)と称する。
これらの方向については、各図に示している。
更に、Y方向において、芯部11の軸方向における中心位置がある側を内方(内方側)、内方とは反対側を外方(外方側)と称する。同様に、X方向において、芯部11の左右方向における中心位置がある側を内方(内方側)、内方とは反対側を外方(外方側)と称する。
また、Z方向に対して直交する向き(方向)を水平(水平方向)と称し、Z方向に沿う向き(方向)を鉛直(鉛直方向)と称する。
なお、芯部11の軸方向は、後述する一対の鍔部12どうしが対向する方向とも一致している。芯部11の軸方向は、必ずしも芯部11の長手方向とは一致しない。本実施形態の場合、芯部11の軸方向における当該芯部11の寸法よりも、芯部11の左右幅寸法の方が大きい。
【0013】
図3等に示すように、磁性コア10は、その全体がフェライトなどの磁性材料によって一体形成されている。
本実施形態の場合、磁性コア10は、例えば、Uコアである。磁性コア10は、芯部11の軸方向における芯部11の両側にそれぞれ配置されている一対(前後一対)の鍔部12を有する。
一対の鍔部12の各々は、芯部11の軸方向に対して直交する方向へ、芯部11から張り出している。本発明において、芯部11から鍔部12が張り出している方向は、芯部11の軸方向に対して直交する方向の成分を持つ方向であればよい。
本実施形態の場合、鍔部12は、芯部11から上方に張り出している。更に、鍔部12は、芯部11から左右のいずれか一方又は両方に張り出している。すなわち、一対の鍔部12の各々は、平面視において芯部11の延長上に配置されている基部16と、基部16から側方に張り出している側方張出部17と、を有する(
図7参照)。
より詳細には、一対の鍔部12の各々は、基部16から左右両側にそれぞれ張り出している一対(左右一対)の側方張出部17を有する。そして、磁性コア10は、平面視においてH字状に形成されている。すなわち、芯部11は、鍔部12よりも括れている(X方向における寸法が小さい)。
本実施形態の場合、
図5に示すように、芯部11の下面11bと鍔部12の下面(後述する第2面14)とは、互いに同じ高さ位置に配置されている。より詳細には、磁性コア10の下面10a(下面11bと一対の第2面14とを含む)の実質的に全体が、平坦に形成され、且つ、水平に配置されている。
ただし、本発明は、この例に限らず、鍔部12が芯部11から上方にのみ張り出していてもよいし、上方には張り出しておらず左右のいずれか一方又は両方に張り出していてもよい。更には、鍔部12が芯部11から下方に張り出していてもよい。
【0014】
芯部11は、例えば、上下寸法が小さい(扁平な)直方体形状に形成されており、芯部11の上面11a及び下面11bはそれぞれ水平に配置されている。芯部11は、左右一対の側面11cを有しており、これら側面11cの各々は、X方向に対して直交している。
ただし、芯部11の形状はこの例に限らず、芯部11は、一対の鍔部12どうしの間に位置していて、これら鍔部12どうしを相互に連結していればよい。
【0015】
一対の鍔部12の各々は、芯部11の軸方向における外方を向く第1面13と、当該鍔部12の下面である第2面14(
図5)と、当該鍔部12の側面である第3面15と、を有する。
前側の鍔部12の第1面13は、当該鍔部12における前面であるとともに磁性コア10の前面である。後側の鍔部12の第1面13は、当該鍔部12における背面であるとともに磁性コア10の背面である。
一対の鍔部12の各々は、左右一対の第3面15を有する。
側方張出部17の外面のうち、第1面13とは反対側を向く面を、第4面20と称する。一対の鍔部12の各々は、左右一対の第4面20を有する。
基部16において、芯部11よりも上方に突出している部分は、第1面13とは反対側を向く面を有する。この面を内方面16aと称する。
側方張出部17の第4面20は、基部16の内方面16aよりも、Y方向において外方にオフセットされている。すなわち、前側の鍔部12の側方張出部17の第4面20は、前側の鍔部12の基部16の内方面16aよりも前方に位置しており、後側の鍔部12の側方張出部17の第4面20は、後側の鍔部12の基部16の内方面16aよりも後方に位置している。内方面16aと各第4面20との境界には、側方を向く段差面18がそれぞれ形成されている。左側の段差面18は左側を向いており、右側の段差面18は右側を向いている。
換言すれば、前側の鍔部12の左右両端部における後端部には、前側に向けて窪んだ凹部21がそれぞれ形成されており、後側の鍔部12の左右両端部における前端部には、後側に向けて窪んだ凹部21がそれぞれ形成されている。各凹部21は、鍔部12の上端から下端に亘って連続的に形成されており、第4面20と段差面18とにより画定されている。従って、前側の鍔部12における左側の凹部21は上方、下方、左方及び後方に向けて開放しており、前側の鍔部12における右側の凹部21は上方、下方、右方及び後方に向けて開放しており、後側の鍔部12における左側の凹部21は上方、下方、左方及び前方に向けて開放しており、後側の鍔部12における右側の凹部21は上方、下方、右方及び前方に向けて開放している。
更に、一対の鍔部12の各々は、上面12aを有する。
一対の鍔部12の各々は、例えば、直方体形状に形成されている。また、一対の鍔部12の各々は、例えば、左右に長尺に形成されている。
【0016】
磁性コア10は、例えば、左右対称な形状に形成されている。すなわち、磁性コア10は、X方向に対して直交する仮想平面であって且つ芯部11の軸中心を含む仮想平面(以下、第1仮想平面)を基準として、対称な形状となっている。従って、一対の鍔部12の各々が左右対称に形成されているとともに、各鍔部12における左右一対の側方張出部17が互いに左右対称に形成されている。
更に、磁性コア10は、例えば、前後対称な形状に形成されている。すなわち、磁性コア10は、Y方向に対して直交する仮想平面であって且つ芯部11の軸方向における中心に位置する仮想平面(以下、第2仮想平面)を基準として、対称な形状となっている。従って、一対の鍔部12は互いに前後対称に形成されている。
【0017】
例えば、第1面13はY方向に対して直交する平面状に形成されており、第2面14はZ方向に対して直交する(つまり水平な)平面状に形成されており、第3面15はX方向に対して直交する平面状に形成されており、第4面20及び内方面16aの各々はY方向に対して直交する平面状に形成されており、段差面18はX方向に対して直交する平面状に形成されており、上面12aはZ軸に対して直交する(つまり水平な)平面状に形成されている。
【0018】
例えば、第1面13に対して、上面12a、第2面14、及び、左右一対の第3面15の各々が連続的に配置されている(連接されている)。
左側の第3面15に対して、上面12a、第2面14、及び、左側の第4面20の各々が連続的に配置されている(連接されている)。右側の第3面15に対して、上面12a、第2面14、及び、右側の第4面20の各々が連続的に配置されている(連接されている)。
左側の第4面20に対して、上面12a、第2面14、及び、左側の段差面18の各々が連続的に配置されている(連接されている)。右側の第4面20に対して、上面12a、第2面14、及び、右側の段差面18の各々が連続的に配置されている(連接されている)。
左側の段差面18に対して、上面12a、第2面14、内方面16a、及び、芯部11の左側の側面11cの各々が連続的に配置されている(連接されている)。右側の段差面18に対して、上面12a、第2面14、内方面16a、及び、芯部11の右側の側面11cの各々が連続的に配置されている(連接されている)。
内方面16aに対して、上面12a及び芯部11の上面11aの各々が連続的に配置されている(連接されている)。
【0019】
なお、第1面13と各第3面15との境界部、各第3面15と対応する第4面20との境界部、及び、各段差面18と内方面16aとの境界部は、面取り形状となっていることが好ましい。また、各第4面20と、当該第4面20と対応する段差面18と、の境界部も、面取り形状となっていることが好ましい。
本実施形態の場合、上面12aは、その周縁を含む全面が平面形状に形成されているとともに、水平に配置されている。そして、上面12aの周縁から、第1面13、左右一対の第3面15、左右一対の第4面20、左右一対の段差面18、及び、内方面16aが垂下している。このため、上面12aと第1面13との境界部、上面12aと左右一対の第3面15の各々との境界部、上面12aと左右一対の第4面20の各々との境界部、上面12aと左右一対の段差面18の各々との境界部、及び、上面12aと内方面16aとの境界部は、それぞれ面取り形状とはなっておらず、急峻に折れ曲がった角部となっている。
【0020】
本実施形態に係るコイル部品100は、磁性コア10とともに閉磁路を構成する第2磁性コア23を更に備えている。
第2磁性コア23は、例えば、磁性コア10と同様の材料(フェライトなど)により、その全体が一体形成されている。
第2磁性コア23は、例えば、板コアであり、平板状に形成されている。例えば、第2磁性コア23は、上下寸法が小さい(扁平な)直方体形状に形成されている。例えば、第2磁性コア23の上面23a及び下面23bは、それぞれ平坦に形成されているとともに水平に配置されている。
第2磁性コア23の側周面23cは、例えば、上面23a及び下面23bの各々に対して直交している鉛直面であり、平面視において矩形環状に形成されている。
上面23aの周縁部と側周面23cの上縁との環状の境界部は、全周に亘り面取り形状となっていることが好ましい。
本実施形態の場合、下面23bは、その周縁を含む全面が平面形状に形成されているとともに、水平に配置されている。そして、側周面23cは、下面23bの周縁から鉛直に起立している。このため、側周面23cの周縁部と側周面23cの下縁との境界部は、面取り形状とはなっておらず、急峻に折れ曲がった角部となっている。
第2磁性コア23の平面形状は、例えば、角丸の矩形状となっている。つまり、例えば、側周面23cの四隅の角部は、それぞれ面取り形状部とされている。
【0021】
上述のように、絶縁枠体24は、磁性コア10を収容している。換言すれば、第2磁性コア23は、磁性コア10の外面の少なくとも一部分を覆っている。
絶縁枠体24は、磁性コア10の下面10aの少なくとも一部分を覆っていることが好ましく、下面10aの全面を覆っていることがより好ましい。
絶縁枠体24は、例えば、上方に向けて開放した箱型形状に形成されており、当該絶縁枠体24の上側から磁性コア10を絶縁枠体24内に収容させることが可能となっている。
【0022】
より詳細には、絶縁枠体24は、芯部11を収容している中間部26と、一対の鍔部12の各々を収容している一対(前後一対)の鍔部収容部25と、を有する。すなわち、前側の鍔部収容部25が前側の鍔部12を収容しており、後側の鍔部収容部25が後側の鍔部12を収容している。
これにより、磁性コア10の芯部11及び鍔部12をそれぞれ絶縁枠体24の中間部26及び鍔部収容部25によって電極端子部材47から絶縁することができるので、より確実に、電極端子部材47と磁性コア10との間の絶縁を確保することができる。
なお、コイル54の巻回部58は、芯部11及び中間部26の周囲に巻き付けられているとともに、中間部26の外面に接触している。
本実施形態の場合、巻回部58は第2磁性コア23の下面23bよりも下方に位置している。
【0023】
一対の鍔部収容部25の各々は、鍔部12の基部16を収容する基部収容部40と、鍔部12の左右一対の側方張出部17の各々を収容する左右一対の側方張出部収容部37と、を有する。
【0024】
絶縁枠体24は、例えば、左右対称な形状に形成されている。すなわち、絶縁枠体24は、上記の第1仮想平面を基準として、対称な形状となっている。従って、一対の鍔部収容部25の各々が左右対称に形成されているとともに、各鍔部収容部25における左右一対の側方張出部収容部37が互いに左右対称に形成されている。
更に、絶縁枠体24は、例えば、前後対称な形状に形成されている。すなわち、絶縁枠体24は、上記の第2仮想平面を基準として、概ね対称な形状となっている。従って、一対の鍔部収容部25は互いに概ね前後対称に形成されている。
【0025】
一対の鍔部収容部25の各々は、第1面13を覆う第1壁部27と、第2面14を覆う第2壁部28と、左右一対の第3面15の各々を覆う左右一対の第3壁部29と、左右一対の第4面20の各々を覆う左右一対の第4壁部30と、を有する。つまり、第4壁部30は、側方張出部17の外面のうち、第1面13とは反対側を向く面である第4面20を覆っている。
絶縁枠体24が第4壁部30を有するので、鍔部12の側方張出部17を絶縁枠体24によって電極端子部材47から絶縁することができ、電極端子部材47と磁性コア10との間の絶縁をより確実に確保することができる。
【0026】
第1壁部27は、第1面13に対して略平行となって、第1面13と対向していることが好ましい。第2壁部28は、第2面14に対して略平行となって、第2面14と対向していることが好ましく、第2面14に対して面接触していることがより好ましい。第3壁部29は、第3面15に対して略平行となって、第3面15と対向していることが好ましい。第4壁部30は、第4面20に対して略平行となって、第4面20と対向していることが好ましい。
より詳細には、例えば、第1壁部27は第1面13の全面を覆っており、第2壁部28は第2面14の全面を覆っており、第3壁部29は第3面15の全面を覆っている。
また、第4壁部30は少なくとも第4面20の下部を覆っている。第4壁部30は、段差面18の少なくとも下部も覆っている。
【0027】
ここで、前側の鍔部収容部25について説明する。なお、後側の鍔部収容部25は、前側の鍔部収容部25と概ね前後対称に形成されているため、重複する説明は適宜省略する。
前側の鍔部収容部25の概略の平面形状は、前側の鍔部12の平面形状と対応しており、例えば、当該鍔部12を一回り大きくした形状となっている。
第2壁部28は、鍔部収容部25の下端部を構成している。第2壁部28の上面は、例えば、その全体が平坦に形成されており、水平に配置されている。
第1壁部27は、第2壁部28の前縁から上方に向けて起立している。第1壁部27の厚み方向はY方向であり、例えば、X方向並びにZ方向における第1壁部27の寸法は、当該第1壁部27の厚み寸法よりも大きい。
左側の第3壁部29は、第2壁部28の左縁から上方に向けて起立している。左側の第3壁部29の前縁部と第1壁部27の左縁部とが相互に接続されている。
右側の第3壁部29は、第2壁部28の右縁から上方に向けて起立している。右側の第3壁部29の前縁部と第1壁部27の右縁部とが相互に接続されている。
左右の第3壁部29は、互いに対向して配置されている。
各第3壁部29の厚み方向はX方向であり、例えば、Y方向並びにZ方向における第3壁部29の寸法は、当該第3壁部29の厚み寸法よりも大きい。
左側の第4壁部30は、第2壁部28において左側の側方張出部17と対応する部位における後縁から、上方に向けて起立している。左側の第4壁部30の左縁部と左側の第3壁部29の後縁部とが相互に接続されている。左側の第4壁部30は、第1壁部27の左端部に対して対向して配置されている。つまり、第4壁部30は、第3壁部29に隣接しているとともに第1壁部27と対向している。
右側の第4壁部30は、第2壁部28において右側の側方張出部17と対応する部位における後縁から、上方に向けて起立している。右側の第4壁部30の右縁部と右側の第3壁部29の後縁部とが相互に接続されている。右側の第4壁部30は、第1壁部27の右端部に対して対向して配置されている。
前側の鍔部収容部25は、上方に向けて開放している。
【0028】
前側の鍔部収容部25は、当該鍔部収容部25における外方側(つまり前側)の外面である外方面25aと、左右一対の側面25bと、を有する。外方面25aは前方を向く鉛直面であり、左側の側面25bは左方を向く鉛直面であり、右側の側面25bは右方を向く鉛直面である。
同様に、後側の鍔部収容部25は、当該鍔部収容部25における外方側(つまり後側)の外面である外方面25aと、左右一対の側面25bと、を有する。
例えば、鍔部収容部25の外面において、外方面25aと左側の側面25bとの境界部、並びに、外方面25aと右側の側面25bとの境界部は、それぞれ面取形状部33となっている。面取形状部33は、外方面25aと側面25bとの双方に対して傾斜した鉛直面である。
平面視における面取形状部33の位置は、第1壁部27と各第3壁部29との境界部とも対応している。このため、第1壁部27と第3壁部29との境界部における厚み寸法は、第1壁部27における他部の厚み寸法並びに第3壁部29における他部の厚み寸法と比べて、小さくなっている。
【0029】
第1壁部27の上端面は、例えば、平坦に形成されており、左右に水平に延在している。なお、前側の第1壁部27の上端面と後側の第1壁部27の上端面には、それぞれ後述する凹部35、36がそれぞれ形成されている。
第3壁部29の上端面は、例えば、平坦に形成されており、前後に水平に延在している。
第4壁部30の上縁は、例えば、左右に水平に延在している。
【0030】
ここで、鍔部収容部25において、第1壁部27と一対の第3壁部29とを含む部分の上端面を、鍔部収容部25の上端面25cと称する。
例えば、前側の鍔部収容部25の上端面25cには、下向きに窪んだ凹部35が形成されている。前側の鍔部収容部25の上端面25cは、凹部35の形成箇所を除き、平坦に形成されており、水平に配置されている。
同様に、後側の鍔部収容部25の上端面25cには、下向きに窪んだ凹部36が形成されている。後側の鍔部収容部25の上端面25cは、凹部36の形成箇所を除き、平坦に形成されており、水平に配置されている。
本実施形態の場合、凹部35は前側の第1壁部27の上端面に形成されており、凹部36は後側の第1壁部27の上端面に形成されている。より詳細には、例えば、凹部35及び凹部36の各々は、対応する第1壁部27の上端面の左右方向における中央部に配置されており、当該第1壁部27の厚み方向における全域(前後方向における全域)に亘って形成されている。
凹部35と凹部36とでは互いに左右幅寸法が異なっており、コイル部品100の前後の向きの識別が可能となっている。
【0031】
基部収容部40は、例えば、第1壁部27における左右両端部を除く部位と、第2壁部28における左右両端部を除く部位と、により構成されている。
左右の側方張出部収容部37は、基部収容部40の左右両側にそれぞれ隣接して配置されている。
左側の側方張出部収容部37は、例えば、第1壁部27における左端部と、第2壁部28における左端部と、左側の第3壁部29と、左側の第4壁部30と、を含んで構成されている。左側の側方張出部収容部37は、左側の面取形状部33と左側の側面25bとを含んでいる。
右側の側方張出部収容部37は、例えば、第1壁部27における右端部と、第2壁部28における右端部と、右側の第3壁部29と、右側の第4壁部30と、を含んで構成されている。右側の側方張出部収容部37は、右側の面取形状部33と右側の側面25bとを含んでいる。
【0032】
鍔部収容部25の左側の側面25bは左側の側方張出部収容部37の側面であり、鍔部収容部25の右側の側面25bは右側の側方張出部収容部37の側面であり、鍔部収容部25の外方面25aは基部収容部40の外方面である。
左右の側方張出部収容部37の各々は、例えば、内方側を向く鉛直面である内方面37cを有する。内方面37cは、例えば、Y方向に対して直交している。左側の内方面37cは、左側の第4壁部30における内方面と左側の第3壁部29における内方面とを含む。右側の内方面37cは、右側の第4壁部30における内方面と右側の第3壁部29における内方面とを含む。
左右の側方張出部収容部37の各々は、下面37bを含む。各下面37bは、例えば、平坦に形成されており、且つ、水平に配置されている。
内方面37cと下面37bとの境界部には、内方面37cと下面37bとの双方に対して傾斜した面取形状部38が形成されている。
【0033】
基部収容部40は、下面40aと内方面40bとを有する。
内方面40bは、例えば、内方側を向く鉛直面である。内方面40bは、例えば、Y方向に対して直交している。
なお、Y方向において、前側の内方面37cの位置と前側の内方面40bの位置とは互いに略等しく、後側の内方面37cの位置と後側の内方面40bの位置とは互いに略等しい。
左右の側方張出部収容部37の下面37bの高さ位置は、基部収容部40の下面40aの高さ位置よりも高い(
図2、
図5、
図8参照)。このため、下面40aと左右の側方張出部収容部37の下面37bとの境界には、それぞれ段差が形成されている。
下面40aは、例えば、絶縁枠体24の最下面である。
下面40aは、例えば、平坦に形成されており、且つ、水平に配置されている。なお、
図2に示すように、下面40aには、例えば、下向きに開放している端子突出穴45と、チャッキング用の凹部44と、が形成されている。
前側の基部収容部40の前端部における左端部と右端部とにそれぞれ端子突出穴45が形成されており、後側の基部収容部40の後端部における左端部と右端部とにそれぞれ端子突出穴45が形成されている。
前側の基部収容部40の凹部44は、当該基部収容部40の後部の左右方向における中央部に形成されており、下方及び後方に向けて開放している。後側の基部収容部40の凹部44は、当該基部収容部40の前部の左右方向における中央部に形成されており、下方及び前方に向けて開放している。すなわち、凹部44は、内方面40bにおいて開口している。
【0034】
中間部26の概略の平面形状は、芯部11の平面形状と対応しており、例えば、芯部11を左右方向に一回り大きくした形状となっている。
中間部26は、芯部11の左右一対の側面11cの各々を覆う一対(左右一対)の第5壁部31と、芯部11の下面11bを覆う第6壁部32と、を有する。一対の第5壁部31は、互いに対向して配置されている。
第5壁部31は、側面11cに対して略平行となって、側面11cと対向していることが好ましい。第6壁部32は、下面11bに対して略平行となって、下面11bと対向していることが好ましく、下面11bに対して面接触していることがより好ましい。
より詳細には、例えば、第6壁部32は下面11bの全面を覆っており、各第5壁部31は各側面11cの少なくとも下部を覆っている。
第6壁部32の前縁部は、前側の鍔部収容部25の第2壁部28において前側の鍔部12の基部16と対応する部位に、接続されている。第6壁部32の後縁部は、後側の鍔部収容部25の第2壁部28において後側の鍔部12の基部16と対応する部位に、接続されている。
左側の第5壁部31は、第6壁部32の左縁部から上方に向けて起立している。左側の第5壁部31の前縁部は、前側の鍔部収容部25における左側の第4壁部30の右縁部に接続されている。左側の第5壁部31の後縁部は、後側の鍔部収容部25における左側の第4壁部30の右縁部に接続されている。
同様に、右側の第5壁部31は、第6壁部32の右縁部から上方に向けて起立している。右側の第5壁部31の前縁部は、前側の鍔部収容部25における右側の第4壁部30の左縁部に接続されており、右側の第5壁部31の後縁部は、後側の鍔部収容部25における右側の第4壁部30の左縁部に接続されている。
中間部26は、上方に向けて開放している。
【0035】
第5壁部31の厚み方向はX方向であり、例えば、Y方向並びにZ方向における第5壁部31の寸法は、第5壁部31の厚み寸法よりも大きい。
第6壁部32の厚み方向はZ方向であり、例えば、Y方向並びにX方向における第6壁部32の寸法は、第6壁部32の厚み寸法よりも大きい。
中間部26は、左右一対の側面26aと、下面26bと、を有する。側面26aは、第5壁部31の外面である。側面26aは、例えば、平坦な鉛直面となっており、X方向に対して直交している。下面26bは、第6壁部32の下面である。下面26bは、例えば、平坦な水平面となっている。
第5壁部31の上縁は、前後に水平に延在している。
なお、下面26bと各側面26aとの境界部、並びに、第5壁部31の上縁と側面26aとの境界部は、それぞれ面取り形状となっていることが好ましい。
図5及び
図8に示すように、下面26bの高さ位置は、基部収容部40の下面40aの高さ位置よりも高いことが好ましい。
【0036】
平面視において、絶縁枠体24の概略形状は、磁性コア10の形状と対応している。すなわち、
図7に示すように、絶縁枠体24は、平面視においてH字状に形成されており、中間部26は、鍔部収容部25よりも括れている(X方向における寸法が小さい)。
【0037】
ここで、前後一対の第2壁部28の上面と第6壁部32の上面とを含む面を、内部底面24bと称する。内部底面24bは、その全体が平坦に形成されており、水平に配置されている。
また、絶縁枠体24の内周面のうち、内部底面24bを除く部分を、内周壁面24aと称する。平面視において、内周壁面24aの形状は、磁性コア10の形状と対応している。内周壁面24aの各部は、平坦な鉛直面となっている。
中間部26の内部空間と前後一対の鍔部収容部25の内部空間とを合わせた領域を、収容領域46(
図3、
図5)と称する。
【0038】
絶縁枠体24は、例えば、樹脂などの絶縁材料により、その全体が一体成形されている。
絶縁枠体24は、以上のように構成されている。
【0039】
磁性コア10は、当該磁性コア10の下面10aが内部底面24bに当接する状態で、収容領域46に収容されている。例えば、磁性コア10の下面10aは、内部底面24bに対して接着固定されている。
本実施形態の場合、第2磁性コア23の少なくとも下端部が、収容領域46に収容されている。なお、Y方向における第2磁性コア23の寸法は、前後の鍔部12の内方面16aどうしの対向間隔よりも大きく、前後の第1壁部27どうしの対向間隔よりも小さい。X方向における第2磁性コア23の寸法は、左右の第3壁部29どうしの対向間隔よりも小さく、好ましくは、左右の段差面18どうしの距離よりも大きい。
内周壁面24aは、磁性コア10の周囲(側周囲)を囲んでいるとともに、第2磁性コア23の周囲(側周囲)を囲んでいる。
ここで、一対の鍔部12の上面12aどうしは、互いに同一平面上に配置されている。
図5に示すように、第2磁性コア23は、一対の鍔部12の上面12a間に亘って水平に架設されている。より詳細には、例えば、一対の鍔部12の各々の上面12aの実質的に全体が、第2磁性コア23の下面23bに対して面接触している。
一方、第2磁性コア23の下面23bの高さ位置は、芯部11の上面11a並びに第5壁部31の上端31aの高さ位置よりも高く、側面視において、第2磁性コア23の下面23bと、芯部11の上面11a並びに第5壁部31の上端31aとの間には、間隙が存在している。この間隙を通して、コイル54が巻回されている。
【0040】
本実施形態の場合、第2磁性コア23は、接着剤71によって、絶縁枠体24に固定されている。
より詳細には、例えば、
図4に示すように、平面視における第2磁性コア23の四隅がそれぞれ接着剤71によって鍔部収容部25に固定されている。
【0041】
ここで、磁性コア10並びに第2磁性コア23の製造工程は、例えば焼成工程を含むため、磁性コア10並びに第2磁性コア23の製造バラツキによる寸法公差を無視できない可能性がある。
このような事情に対し、
図7に示すように、内周壁面24aの全域と磁性コア10の外周面との間には、空隙が存在している。これにより、磁性コア10の製造バラツキが生じても、磁性コア10を収容領域46に収容できるようになっている。
同様に、内周壁面24aと第2磁性コア23の側周面23cとの間には、(接着剤71の形成箇所を除き)空隙が存在しており、第2磁性コア23の製造バラツキが生じても、第2磁性コア23を収容領域46に収容できるようになっている。
【0042】
電極端子部材47は、金属材料などの導電材料により構成されている。
電極端子部材47は、例えば、インサート成形によって絶縁枠体24に埋設されている。
より詳細には、電極端子部材47は、例えば、鍔部収容部25において、内部底面24bよりも下の部分(以下、端子埋設部42と称する)に埋設されている。従って、電極端子部材47は、絶縁枠体24の内面(内部底面24b及び内周壁面24a)には露出していない。電極端子部材47は、少なくともその上面側が、絶縁枠体24を構成する絶縁材料によって覆われている。
このため、絶縁枠体24によって、磁性コア10と電極端子部材47との間の絶縁、並びに、第2磁性コア23と電極端子部材47との間の絶縁を、より確実に得ることができる。
【0043】
本実施形態の場合、コイル部品100は、4つの電極端子部材47を備えている。電極端子部材47は、例えば、平面視における絶縁枠体24の4隅にそれぞれ設けられている。
各電極端子部材47は、例えば、金属片を折り曲げ形成することにより構成されており、実装端子50と絡げ端子52とを一体的に有する。実装端子50は外部接続用の端子であり、絡げ端子52にはコイル54の先端部が接続されている。
図7に示すように、電極端子部材47の平面形状は、例えば、U字形状となっている。
このU字形状における一方の半部の先端部が実装端子50を構成しており、他方の半部の先端部が絡げ端子52を構成している。
電極端子部材47における上記他方の半部は、その全体が水平に配置されている。そして、絡げ端子52の全体が、基部収容部40の下面40aよりも上方に位置している(
図5参照)。
電極端子部材47における上記一方の半部は、側面視においてクランク状に屈曲している(
図5参照)。当該屈曲した部分は、上段において水平に延在する第1水平部分と、下段において水平に延在する第2水平部分(第2水平部分が実装端子50である)と、第1水平部分と第2水平部分とを相互に連結しているとともに上下に延在している上下延在部分と、を有する。
第1水平部分は、端子埋設部42に埋設されている。
上下延在部分の上部は、端子埋設部42に埋設されており、上下延在部分の下部は、端子埋設部42から下方に突出し、更に、端子突出穴45から下方に突出している。
第2水平部分(実装端子50)は、絡げ端子52よりも低段に配置されている(
図5参照)。そして、実装端子50の少なくとも一部分(少なくとも下縁部)は、絶縁枠体24の最下面である下面40aよりも下方に配置されている。
【0044】
例えば、前側の2つの電極端子部材47の実装端子50及び絡げ端子52は、平面視において、それぞれ絶縁枠体24から前方に突出している。一方、後側の2つの電極端子部材47の実装端子50及び絡げ端子52は、平面視において、それぞれ絶縁枠体24から後方に突出している。
各電極端子部材47の実装端子50と絡げ端子52とのうち、実装端子50が左右方向における中央寄りに配置されており、絡げ端子52が左右方向における外側に配置されている。実装端子50は、例えば、X方向において、側方張出部収容部37よりも中心寄りに配置されている。
絡げ端子52は、側方張出部収容部37の下端部において、下面37bよりも上方の部位から、前方又は後方に突出している。
より詳細には、絡げ端子52は、面取形状部33の下端部から、前方又は後方に突出している。このため、
図4に示すように、面取形状部33からの絡げ端子52の突出長は十分に確保しても、外方面25aよりも前方又は後方への絡げ端子52の突出長は短く設定できるため、コイル部品100の平面寸法をコンパクトにすることができる。
例えば、Y方向において、実装端子50の先端位置は、絡げ端子52の先端位置よりも、外方に位置している。
【0045】
上述のように、コイル部品100は、例えば、第1コイル56と第2コイル57との2つのコイルを有する。
各コイル(第1コイル56、第2コイル57)の巻回部58は、絶縁枠体24の中間部26の周囲に巻回されている。中間部26には磁性コア10の芯部11が収容されているので、巻回部58は、芯部11及び中間部26の周囲に巻回されている。
より詳細には、巻回部58における各ターン(1回周回する部分の各々)は、芯部11の上面11a、中間部26の一方の側面26a、中間部26の下面26b、及び、中間部26の他方の側面26aに沿って巻き付けられている。
そして、巻回部58におけるいずれか1つ以上のターンは、例えば、芯部11の上面11a、中間部26の一方の側面26a、中間部26の下面26b、及び、中間部26の他方の側面26aに接触する状態で巻き付けられている。
ここで、側方張出部収容部37の内方面37c、並びに、基部収容部40の内方面40bは、Y方向における巻回部58の端部の位置を画定する鍔として機能する(
図1、
図2等参照)。すなわち、巻回部58の前端部の位置は、前側の鍔部収容部25の内方面40bと左右の内方面37cとにより画定(位置決め)されている。また、巻回部58の後端部の位置は、後側の鍔部収容部25の内方面40bと左右の内方面37cとにより画定(位置決め)されている。
【0046】
図2に示すように、各コイル(第1コイル56、第2コイル57)の両端部(一端部59及び他端部60)は、Y方向における巻回部58の端部における左端部又は右端部から下方に引き出され、側方張出部収容部37の面取形状部38及び下面37bに沿って、絡げ端子52側に導かれている。
例えば、第1コイル56の一端部59は、第1コイル56の巻回部58の前端部における左端部から引き出され、左前の側方張出部収容部37の面取形状部38及び下面37bに沿って、左前の電極端子部材47の絡げ端子52側に導かれている。
同様に、第1コイル56の他端部60は、例えば、第1コイル56の巻回部58の前端部における右端部から引き出され、右前の側方張出部収容部37の面取形状部38及び下面37bに沿って、右前の電極端子部材47の絡げ端子52側に導かれている。
また、第2コイル57の一端部59は、例えば、第2コイル57の巻回部58の後端部における左端部から引き出され、左後の側方張出部収容部37の面取形状部38及び下面37bに沿って、左後の電極端子部材47の絡げ端子52側に導かれている。
同様に、第2コイル57の他端部60は、例えば、第2コイル57の巻回部58の前端部における右端部から引き出され、右後の側方張出部収容部37の面取形状部38及び下面37bに沿って、右後の電極端子部材47の絡げ端子52側に導かれている。
このように、各コイルの両端部は、面取形状部38に沿って、対応する絡げ端子52側に導かれているため、導線55の絶縁被膜へのダメージを抑制することができる。
なお、各コイルの両端部は、基部収容部40の下面40aよりも上方に位置している(
図5参照)。このため、コイル部品100を面実装した際に、各コイルの両端部と基板との干渉を抑制することができる。
【0047】
各コイル(第1コイル56、第2コイル57)の両端部は、各電極端子部材47の絡げ端子52に対して絡げられ且つ溶接されることによって、対応する絡げ端子52に対して電気的及び機械的に接続されている。
すなわち、第1コイル56の一端部59は左前の電極端子部材47の絡げ端子52に、第1コイル56の他端部60は右前の電極端子部材47の絡げ端子52に、第2コイル57の一端部59は左後の電極端子部材47の絡げ端子52に、第2コイル57の他端部60は右後の電極端子部材47の絡げ端子52に、それぞれ接続されている。
【0048】
ここで、
図5及び
図8に示すように、第3壁部29の上端29aの高さ位置よりも第5壁部31の上端31aの高さ位置が低い。このため、芯部11の厚み寸法が鍔部12の高さ寸法よりも小さい場合などのように、上面11aの高さ位置が上面12aの高さ位置よりも低い場合において、芯部11の上面11aとコイル54の巻回部58との上下方向における距離を抑制できる。
【0049】
本実施形態の場合、
図8等に示すように、第5壁部31の上端31aの高さ位置よりも芯部11の上面11aの高さ位置が高く、巻回部58は、芯部11の上面11aに接触する状態で巻き付けられている。このため、巻回部58において導線55が空中配線とならないようにできる。
より詳細には、芯部11の厚み寸法(上下寸法)は、第5壁部31の高さ寸法(第6壁部32の上面から上方への第5壁部31の起立高さ)よりも大きい。このため、芯部11の下面11bが第6壁部32の上面に当接しているが、芯部11の上面11aの高さ位置が第5壁部31の上端31aの高さ位置よりも高い。
ここで、芯部11の側面11cと上面11aとの境界部は、面取り形状とされている。このため、巻回部58を構成する導線55と芯部11との接触に起因した導線55の絶縁被覆へのダメージを抑制することができ、絶縁被覆の絶縁性能を維持することができる。
【0050】
また、
図8等に示すように、第5壁部31の上端31aの高さ位置は、第4壁部30の上端30aの高さ位置と同じであるか又はそれよりも低い。
換言すれば、上端30aの高さ位置が上端31aの高さ位置と同等以上である。このため、第4壁部30によって第4面20をより広範囲に覆うことができるため、磁性コア10(特に側方張出部17)と電極端子部材47との間の絶縁をより確実に確保することができる。
より詳細には、第5壁部31の上端31aの高さ位置は、第4壁部30の上端30aの高さ位置よりも低い。換言すれば、上端30aの高さ位置が上端31aの高さ位置よりも高い。このため、第4壁部30によって第4面20を更に広範囲に覆うことができ、磁性コア10(特に側方張出部17)と電極端子部材47との間の絶縁を更に確実に確保することができる。
【0051】
また、第2磁性コア23の下面23bの高さ位置は、第3壁部29の上端29aの高さ位置よりも低い。つまり、第2磁性コア23の少なくとも下端部を第3壁部29によって覆うことができる。
これにより、第2磁性コア23と電極端子部材47との間の絶縁を確保することができる。
【0052】
本実施形態の場合、第2磁性コア23の少なくとも下端部が、第1壁部27によっても覆われている。
より詳細には、本実施形態の場合、例えば、
図5及び
図8に示すように、第2磁性コア23の上端部は、第1壁部27の上端27a並びに第3壁部29の上端29aよりも上方に突出している。
【0053】
また、第4壁部30の上端30aの高さ位置は、第2磁性コア23の下面23bの高さ位置と同じであるか又はそれよりも低い。
これにより、平面視において第2磁性コア23が第4壁部30と重なる程度に、第2磁性コア23の平面積が大きい場合にも(
図7参照)、第4壁部30と第2磁性コア23との干渉を抑制することができる。
より好ましくは、
図8等に示すように、第4壁部30の上端30aの高さ位置は、第2磁性コア23の下面23bの高さ位置よりも低い。
更に好ましくは、第4壁部30の上端30aの高さ位置は、鍔部12の上面12aの高さ位置よりも低い。
【0054】
また、第4壁部30の上端30aの高さ位置は、第3壁部29の上端29aの高さ位置よりも低い。これにより、平面視において第2磁性コア23が第4壁部30と重なる程度に、第2磁性コア23の平面積が大きい場合にも(
図7参照)、第4壁部30が第2磁性コア23と干渉することなく、第2磁性コア23の少なくとも下端部を第3壁部29によって覆うことができる。これにより、第2磁性コア23と電極端子部材47との間の絶縁を確保することができる。
【0055】
本実施形態の場合、一対の鍔部収容部25の各々は、第2磁性コア23の少なくとも下端部を収容している。
これにより、第2磁性コア23と電極端子部材47との間の絶縁を確保することができる。
【0056】
本実施形態の場合、鍔部12の上面12aの高さ位置は、第3壁部29の上端29aの高さ位置よりも低く、第1壁部27の上端27aの高さ位置よりも低く、第1壁部27の凹部35又は凹部36の底面の高さ位置よりも低く、第4壁部30の上端30aの高さ位置よりも高い。
【0057】
また、鍔部12の側方張出部17における第4壁部30側の部分には、芯部11の軸方向における外方に向けて基部16よりも窪んだ凹部21が形成されて、第4面20は、基部16における内方側の面(内方面16a)よりも外方にオフセットされている(
図7参照)。そして、凹部21に第4壁部30が入り込んでいる。
これにより、一対の鍔部収容部25の第4壁部30どうしの対向間隔を十分に確保することができるため、芯部11の軸方向における巻回部58の形成範囲をより十分に確保することができる。このため、巻回部58における導線55の巻数(ターン数)を十分に確保したり、外径が十分に大きな導線55を用いたりすることができる。
なお、鍔部12の側方張出部17における第4壁部30側の部分、すなわち側方張出部17における内方側の端部においては、磁束密度が小さく、当該部分の形状は、実効磁路に与える影響が少ない。つまり、コイル部品100の特性への影響が小さい部分に凹部21を形成し、この凹部21に第4壁部30を配置することによって、コイル部品100の特性を好適に向上させることができる。
【0058】
また、
図7に示すように、第3壁部29の一部分34は、鍔部12よりも、芯部11の軸方向における内方側に配置されている。同様に、第4壁部30の一部分39は、鍔部12よりも、芯部11の軸方向における内方側に配置されている。
ここで、
図7に示す直線L1は、前側の鍔部12における後端位置(内方面16aの位置)を示している。前側の第3壁部29の一部分34、並びに、前側の第4壁部30の一部分39は、直線L1よりも後側に位置している。すなわち、一部分34及び一部分39は、鍔部12よりも、芯部11の軸方向における内方側に配置されている。
従って、
図7に示すように、内方面37cは、内方面16aよりも内方側に配置されている。
また、
図5に示すように、内方面40bも、内方面16aよりも内方側に配置されている。
ここで、上述のように、側方張出部収容部37の内方面37c、並びに、基部収容部40の内方面40bは、Y方向における巻回部58の端部の位置を画定する鍔として機能する。
内方面37c並びに内方面40bが内方面16aよりも内方側に配置されているので、導線55において巻回部58を構成する部分と鍔部12との干渉を抑制することができる。よって、鍔部12と導線55との接触に起因した導線55の絶縁被覆へのダメージを抑制することができ、絶縁被覆の絶縁性能を維持することができる。
なお、上述のように、磁性コア10の製造バラツキによる寸法公差を無視できない可能性があるが、磁性コア10の製造バラツキが生じても、内方面37cが内方面16aよりも内方側に配置されるように、内方面37cの設計上の位置が設定されている。
本実施形態の場合、絶縁枠体24が備える前後左右の4つの第3壁部29の一部分34の各々、並びに、絶縁枠体24が備える前後左右の4つの第4壁部30の一部分39の各々が、鍔部12よりも、芯部11の軸方向における内方側に配置されている。
【0059】
上述のように、鍔部12の上面12aに対して隣接する各面(第1面13、第3面15、第4面20、段差面18及び内方面16a)は、上面12aに対して直交している。また、上述のように、鍔部12の上面12aと、上面12aに対して隣接する各面と、の境界部は、面取り形状とはなっていない。
このため、鍔部12の上面12aの面積は、鍔部12の平断面積の最大値に等しい。よって、鍔部12の上面12aと第2磁性コア23の下面23bとの接触面積を十分に確保できることから、コイル部品100の良好な特性が得られる。
【0060】
図7に示すように、平面視において、第2磁性コア23(板コア)が磁性コア10よりも一回り大きく形成されている。そして、
図7に示すように、平面視において、板コア(第2磁性コア23)の外形線(
図7において二点鎖線で示されている)の内側に磁性コア10が収まっている。
このため、水平方向において磁性コア10に対する第2磁性コア23の位置ずれが生じても、鍔部12の上面12aと第2磁性コア23の下面23bとの接触面積の変動を抑制できる。よって、コイル部品100の特性を安定的に得ることができる。ここで言う位置ずれは、製造バラツキや、温度変化等の環境要因に基づくものなどを指す。
【0061】
なお、本実施形態の場合、第1壁部27の上端27aの高さ位置と第3壁部29の上端29aの高さ位置とは互いに等しい。ただし、本発明は、この例に限らず、上端27aの高さ位置は、上端29aの高さ位置よりも高くてもよいし、上端29aの高さ位置よりも低くてもよい。
【0062】
コイル部品100の組み立ては、例えば、以下のようにして行うことができる。
先ず、予め各電極端子部材47が埋設された絶縁枠体24を準備する。
次に、絶縁枠体24の上方から、磁性コア10を収容領域46に挿入する。すなわち、一対の鍔部12の各々は一対の鍔部収容部25の各々の内部に配置するとともに、芯部11は中間部26の内部に配置する。この際に、例えば、磁性コア10の下面10aを絶縁枠体24の内部底面24bに対して接着固定する。
次に、第1コイル56及び第2コイル57を芯部11及び中間部26の周囲に巻き付けてそれぞれ巻回部58を形成する。そして、第1コイル56及び第2コイル57の両端部(一端部59、他端部60)を、それぞれ対応する絡げ端子52に絡げて、例えばレーザを用いた溶接により絡げ端子52に固定する。なお、
図3に示す絡げ端子52の形状は、溶接前の形状であり、その他の図に示す絡げ端子52は、溶接後の形状である。
次に、絶縁枠体24の上方から第2磁性コア23を収容領域46に挿入する。すなわち、前後方向における第2磁性コア23の両端部を、それぞれ前後の鍔部収容部25の上端部の内部に配置する。ここで、第2磁性コア23を一対の鍔部12の上面12a間に亘って架設する。
次に、第2磁性コア23を鍔部収容部25の内周面に対して接着剤71により固定する。
こうして、コイル部品100が得られる。
【0063】
一例として、コイル部品100は、高耐圧のパルストランスとして用いることができるが、コイル部品100の用途はこの例に限らない。
【0064】
以上、図面を参照して実施形態を説明したが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0065】
例えば、上記においては、コイル部品100が2つのコイル(第1コイル56と第2コイル57)を備える例を説明したが、コイル部品100が備えるコイルは1つであってもよい。
また、上記においては、磁性コア10が一対の鍔部12を有する例を説明したが、一対の鍔部12のうち一方の鍔部12を磁性コア10が有しているとともに、他方を第2磁性コア23が有していてもよい。すなわち、コイル部品100は、それぞれL字状の2つのコアを備えていてもよい。
また、上記においては、磁性コア10が有する鍔部の数が2つの例を説明したが、磁性コア10は、上述の一対の鍔部12の間に、更に1つの鍔部(第3鍔部)を有していてもよい。この場合、一対の鍔部12のうちの一方の鍔部12と第3鍔部との間、並びに、第3鍔部と他方の鍔部12との間において、それぞれコイルが巻回される。
また、上記においては、コイル部品100が2つの磁性コア(磁性コア10と第2磁性コア23)を備える例を説明したが、コイル部品100は環状の単一の磁性コアを備えていてもよい。
【0066】
また、上記においては、第2磁性コア23の少なくとも下端部が鍔部収容部25によって覆われている例を説明したが、第2磁性コア23の全体が鍔部収容部25よりも上方に配置されていてもよい。すなわち、第2磁性コア23の下面23bの下面の高さ位置は、鍔部収容部25の上端の高さ位置よりも高くてもよい。
【0067】
また、上記においては、第2磁性コア23が複数箇所に点在する接着剤71によって絶縁枠体24に対して接着固定されている例を説明したが、第2磁性コア23の側周面23cと絶縁枠体24の内周壁面24aとの間隙の全域に接着剤を充填することによって、第2磁性コア23を絶縁枠体24に接着固定してもよい。この場合、第4壁部30の上端30aは第2磁性コア23の下面23bに近接していることが好ましい。
また、第2磁性コア23を絶縁枠体24に対して固定せず、第2磁性コア23の下面23bを鍔部12の上面12aに対して接着固定してもよい。
【0068】
また、上記においては、電極端子部材47が実装端子50と絡げ端子52とを別個に有する例を説明したが、本発明は、この例に限らず、絡げ端子52が実装端子50を兼ねていてもよい。
また、実装端子50は、ピン状に形成されたピン端子であってもよい。
【0069】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)芯部を有する磁性コアと、
前記磁性コアを収容している絶縁枠体と、
前記絶縁枠体に設けられている電極端子部材と、
絶縁被覆されている導線により構成されているとともに、前記電極端子部材に対して電気的に接続されている、少なくとも1つのコイルと、
を有し、
前記少なくとも1つのコイルは、前記絶縁枠体の外面に接触した状態となるように前記絶縁枠体及び前記芯部の周囲に巻き付けられている巻回部を有するコイル部品。
(2)前記磁性コアは、前記芯部の軸方向における前記芯部の両側にそれぞれ配置されている一対の鍔部を有し、
前記一対の鍔部の各々は、前記芯部の軸方向に対して直交する方向へ前記芯部から張り出しており、
前記絶縁枠体は、前記芯部を収容している中間部と、前記一対の鍔部の各々を収容している一対の鍔部収容部と、を有し、
前記巻回部は、前記芯部及び前記中間部の周囲に巻き付けられているとともに、前記中間部の外面に接触している(1)に記載のコイル部品。
(3)前記一対の鍔部の各々は、前記芯部の軸方向における外方を向く第1面と、当該鍔部の下面である第2面と、当該鍔部の側面である第3面と、を有し、
前記絶縁枠体の前記一対の鍔部収容部の各々は、前記第1面を覆う第1壁部と、前記第2面を覆う第2壁部と、前記第3面を覆う第3壁部と、前記第3壁部に隣接しているとともに前記第1壁部と対向している第4壁部と、を有し、
前記一対の鍔部の各々は、平面視において前記芯部の延長上に配置されている基部と、前記基部から側方に張り出している側方張出部と、を有し、
前記第4壁部は、前記側方張出部の外面のうち、前記第1面とは反対側を向く面である第4面を覆っている(2)に記載のコイル部品。
(4)前記中間部は、前記芯部の側面を覆う第5壁部を有し、
前記第3壁部の上端の高さ位置よりも前記第5壁部の上端の高さ位置が低い(3)に記載のコイル部品。
(5)前記第5壁部の上端の高さ位置よりも前記芯部の上面の高さ位置が高く、
前記巻回部は、前記芯部の上面に接触する状態で巻き付けられている(4)に記載のコイル部品。
(6)前記第5壁部の上端の高さ位置は、前記第4壁部の上端の高さ位置と同じであるか又はそれよりも低い(4)又は(5)に記載のコイル部品。
(7)前記第5壁部の上端の高さ位置は、前記第4壁部の上端の高さ位置よりも低い(5)又は(6)に記載のコイル部品。
(8)前記第4壁部の上端の高さ位置は、前記第3壁部の上端の高さ位置よりも低い(3)から(7)のいずれか一項に記載のコイル部品。
(9)前記磁性コアとともに閉磁路を構成する第2磁性コアを更に備え、
前記第2磁性コアの下面の高さ位置は、前記第3壁部の上端の高さ位置よりも低い(3)から(8)のいずれか一項に記載のコイル部品。
(10)前記磁性コアとともに閉磁路を構成する第2磁性コアを更に備え、
前記第4壁部の上端の高さ位置は、前記第2磁性コアの下面の高さ位置と同じであるか又はそれよりも低い(3)から(9)のいずれか一項に記載のコイル部品。
(11)前記側方張出部における前記第4壁部側の部分には、前記芯部の軸方向における外方に向けて前記基部よりも窪んだ凹部が形成されて、前記第4面は、前記基部における内方側の面よりも外方にオフセットされており、
前記凹部に前記第4壁部が入り込んでいる(3)から(10)のいずれか一項に記載のコイル部品。
(12)前記第3壁部の一部分は、前記鍔部よりも、前記芯部の軸方向における内方側に配置されている(3)から(11)のいずれか一項に記載のコイル部品。
(13)前記磁性コアとともに閉磁路を構成する第2磁性コアを更に備え、
前記第2磁性コアは、前記一対の鍔部の上面間に亘って架設されている板コアであり、
前記鍔部の前記上面の面積は、前記鍔部の平断面積の最大値に等しい(2)から(12)のいずれか一項に記載のコイル部品。
(14)前記磁性コアとともに閉磁路を構成する第2磁性コアを更に備え、
前記第2磁性コアは板コアであり、
前記一対の鍔部収容部の各々は、前記第2磁性コアの少なくとも下端部を収容している(2)から(13)のいずれか一項に記載のコイル部品。
(15)前記磁性コアとともに閉磁路を構成する第2磁性コアを更に備え、
前記第2磁性コアは板コアであり、
平面視において、前記板コアの外形線の内側に前記磁性コアが収まっている(1)から(14)のいずれか一項に記載のコイル部品。
(16)前記磁性コアとともに閉磁路を構成する第2磁性コアを更に備え、
前記第2磁性コアは、接着剤によって、前記絶縁枠体に固定されている(1)から(15)のいずれか一項に記載のコイル部品。