(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-12832(P2020-12832A)
(43)【公開日】2020年1月23日
(54)【発明の名称】独立単位あたりの平均回転数を計算する方法
(51)【国際特許分類】
G01M 15/05 20060101AFI20191220BHJP
F02D 29/02 20060101ALI20191220BHJP
【FI】
G01M15/05
F02D29/02 L
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2019-151788(P2019-151788)
(22)【出願日】2019年8月22日
(62)【分割の表示】特願2017-537889(P2017-537889)の分割
【原出願日】2015年6月30日
(31)【優先権主張番号】14/507,221
(32)【優先日】2014年10月6日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】EP14191399.6
(32)【優先日】2014年11月3日
(33)【優先権主張国】EP
(71)【出願人】
【識別番号】517113864
【氏名又は名称】ケニス・カールステファン・ビニスキ
(74)【代理人】
【識別番号】100139778
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 潔
(72)【発明者】
【氏名】ケニス・カールステファン・ビニスキ
【テーマコード(参考)】
2G087
3G093
【Fターム(参考)】
2G087BB02
2G087BB40
2G087CC01
2G087CC40
2G087EE21
2G087FF07
3G093AA01
3G093BA10
3G093BA24
3G093DA01
3G093DB01
3G093FA02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】独立単位あたりの平均回転数を取得する方法を提供する。
【解決手段】エンジン制御ユニット(ECU)、エンジン回転の総数とECUのオドメーターの現在値を含み、指定された期間のエンジン回転の総数をオドメーターの現在値で除算することで最終値が得られる。オドメータの現在値は距離単位でも時間単位でもよく、独立単位あたりの平均回転数である最終値が制御パネルに表示される。最終値は、エンジンの走行距離や走行時間に加えて、エンジンの現在の正確な状態を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサーとエンジン制御ユニットを備えるエンジンを備える車両において所定距離単位あたりの平均回転数を算出する方法であって、
前記センサーが、所定期間における前記エンジンの回転情報を検出するステップと、
前記エンジン制御ユニットが、前記回転情報にタイムスタンプを付与し、記録するステップと、
前記エンジン制御ユニットが、複数の前記回転情報をカウントするステップと、
前記エンジン制御ユニットが、前記所定期間中のオドメーター値を取得するステップと、
前記エンジン制御ユニットが、前記エンジン回転の総数を前記現在のオドメーター値で除算することにより、前記所定距離単位あたりの平均回転数の最終値を計算するステップと、
前記エンジン制御ユニットが、前記車両の制御パネルに前記最終値を送信し、表示するステップと、
前記エンジン制御ユニットが、前記最終値が所定の異常値以上であった場合に、前記制御パネルにオドメーターの改竄の警告通知を表示するステップと、
前記エンジン制御ユニットが、複数の前記回転情報をタイムライン・グラフとして表示するために、外部のコンピューティング装置に通信手段を介して送信するステップとを
含む方法。
【請求項2】
前記所定期間が前記エンジンの全走行時間であり、
さらに、前記エンジン制御ユニットが、前記エンジンの全走行時間の最終値を永続的に記録するステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記所定期間が区間時間であり、
さらに、
前記エンジン制御ユニットが、前記制御パネルから前記所定期間のユーザー開始時間を受信するステップと、
前記区間時間の最終値を前記エンジン制御ユニットに一次的に保存するステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の分野に関連し、より具体的には、エンジンの総回転数を独立単位で除算し、距離単位または時間単位に関連したエンジンの状態を正確に獲得できるようにする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
中古車の評価は様々な変数に基づいて行なわれる。これらの変数は、内装の状態、外装の状態、モデル、生産年度、および、走行距離を含むが、これらに限定されない。中古車の金銭的価値を算定する上では多様な変数が活用されるものの、走行距離が最も重要視される。これは走行距離がエンジンの機械的状態に直接的に関連しているからである。しかし、走行距離とエンジンの状態とが直接関連しない場合もある。たとえば、高走行距離車が適切に保守され、エンジンの回転数を低く保たれていた一方で、低走行距離車が高回転数でエンジンを酷使されていることがあり得る。通常、買い手は、高走行距離車よりも低走行距離車の方がエンジンの状態が良いという前提の元に低走行距離車を購入するが、低走行距離車のエンジンの方が高走行距離車のエンジンよりも状態が悪いこともある。中古車の買い手は特定の中古車のエンジンが以前の所有者によってどのように扱われていたかを知り得ず、この点が、中古車の買い手にとって真の課題になっている。
【発明の概要】
【0003】
本願発明は、購入者が走行距離と独立単位あたりの平均回転数の両方から中古車を評価することができるように、独立単位あたりの平均回転数を所得する方法を提供することを目的とする。本願発明は、エンジンの総回転数、および、車両の総走行距離またはエンジンの総稼働時間を考慮し、独立単位あたりの平均回転数を計算可能にする。本願発明により得られたデータは、車両の制御パネルに表示することができ、購入者だけではなく、自動車ディーラー、レンタカー会社、保険会社などの多様な自動車関連企業に貴重な情報を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】本願発明の全体的方法を示す基本フローチャートである。
【
図2】本願発明のエンジンの全稼働時間に関連する全体的方法を示す基本フローチャートである。
【
図3】本願発明のエンジンの区間時間に関連する全体的方法を示す基本フローチャートである。
【
図4】現在のオドメーターの値が距離単位である、本願発明の全体的方法を示す基本フローチャートである。
【
図5】現在のオドメーターの値が時間単位である、本願発明の全体的方法を示す基本フローチャートである。
【
図6】本願発明の全体方法内で警告通知を生成する方法を示す基本フローチャートである。
【
図7】本願発明に関連して、タイムライングラフを作成する方法を示す基本フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0005】
全ての図は、本願発明の特定の態様を説明するためのものであり、本願発明の範囲を限定することを意図したものではない。
【0006】
図1に示すように、本願発明は、車両の独立単位あたりの平均回転数を算出する方法である。独立単位あたりの平均回転数の数値は、車両の制御パネルを介して表示される。 ここで、本願発明における独立単位とは、距離単位または時間単位のいずれかであってよい。本願発明は、車両のエンジンの状態に関する追加の変数を提供し、車両の以前の使用者の運転スタイルによるエンジンの状態を本発明の使用者が知ることができるようにする。以前の使用者によってエンジンがどのように回転されたかを知ることで、エンジンの走行距離、または、エンジンの稼働時間に加えて、エンジンの状態を正確に知る手段が提供される。本願発明が機能するためには、エンジンがセンサーおよびエンジン制御ユニット(ECU)と電気的に接続されている必要がある。
【0007】
センサーは所定の期間のエンジンの回転を検出する。ここで、所定の期間はエンジンの全稼働時間でもよく、区間(トリップ)時間であってもよい。ECUとセンサーは電気的に相互接続されているため、センサーはECUにエンジンの回転を送信できる。ここで、本願発明に係るセンサーはクランクシャフト・センサーであってもよく、カムシャフト・スピード・センサーであってもよい。ECUが複数のエンジン回転を受信すると、各エンジン回転情報にタイムスタンプを付加する。すなわち、ECU内の各タイムスタンプは、複数のエンジン回転数情報のうちのひとつのエンジン回転情報を表わし、ECUは、各エンジン回転情報の期間と正確な時刻を知ることができる。次に、ECUは複数のエンジン回転数情報をカウントし、本願発明に関するエンジン回転数情報の総数を決定する。具体的には、まだエンジンが始動されていない時には、エンジン回転数情報の総数はゼロであるが、エンジンが始動されると複数のエンジン回転数情報のそれぞれがカウントされ、エンジン回転数情報の総数に追加される。エンジンがひとつのエンジン回転数情報を生成する度に、そのエンジン回転数情報がエンジン回転数情報の総数に追加される。その結果、本願発明においては、エンジン回転数情報の総数は常に増加する。
【0008】
また、ECUは、所定の期間内の独立単位あたりの平均回転数を算定するために、現在のオドメーターの値(通常は、制御パネル上に表示されている)も取得する。次に、ECUは、現在のオドメーターの値で、エンジン回転数の総数を割ることで、独立単位あたり平均回転数の最終値を算定する。そして、この最終値が制御パネルに送られ、表示される。
【0009】
図1と
図2に示すように、車両のオドメーターの現在の値が距離単位である場合には、オドメーターの現在の値は車両がその時点まで走行してきた距離を表わす。ECUは、エンジン回転数の総数を現在のオドメーター値で除算することにより、距離単位あたりの平均回転数の最終値を算出する。次に、その最終値が制御パネルに送信され、表示される。本願発明を通じて取得されたこの最終値とオドメーターの現在の値(車両の総走行距離)は、距離単位に関連したエンジンの状態を正確に判断する手段を提供する。
【0010】
図1と
図5に示すように、車両のオドメーターの現在の値が時間単位である場合には、オドメーターの現在の値は車両がその時点まで走行してきた時間を表わす。次に、ECUは、エンジン回転数の総数を現在のオドメーター値で割ることにより、時間単位あたりの平均回転数の最終値を算出する。次に、その最終値が制御パネルに送信され、表示される。本発明を通じて取得されたこの最終値とオドメーターの現在の値(車両の総走行時間)は、時間単位に関連してエンジンの状態を正確に判断する手段を提供する。
【0011】
以下に、距離単位における中古車のエンジンの状態を決定する際に本願発明が適用される例を示す。
【0012】
走行距離のみを表示する場合:
-買い手は、いずれも走行距離がちょうど2,500マイルのよく似た中古車Aと中古車Bを検討している。
-中古車Aは、中古車Bよりも1,000ドル安い。
- 買い手は、中古車Aの売価が中古車Bより安いので、中古車Aを購入する。
【0013】
走行距離と最終値を表示する場合:
- 買い手は、いずれも走行距離がちょうど2,500マイルのよく似た中古車Aと中古車Bを検討している。
-中古車Aは、中古車Bよりも1,000ドル安い。
-中古車Aは、エンジンの全走行期間中の最終値3,850およびエンジン回転数965万回を表示し、一方、中古車Bは、エンジンの全走行期間中の最終値1,900およびエンジン回転数475万回を表示する。
-買い手は、中古車Bが中古車Aと比較してより低い最終値を有するので、中古車Bを購入する。
【0014】
結論:
- 買い手が中古車Aを購入した場合、最初に1,000ドルを節約する。しかし買い手は近い将来に中古車Aのエンジンを修理または交換することになり、1,000ドル以上の修理費を費やす。
- 買い手が中古車Bを購入した場合、購入者は当初1,000ドルを余分に消費する。しかし、追加の修理費用を要しない信頼性が高い車を所有できる。
【0015】
図2と
図3に示すように、ECUは2つの異なる指定期間、すなわち、エンジンの全稼働時間とトリップ(区間)時間の最終値を示してよい。より具体的に言えば、車両の使用者は、エンジンの総回転数とオドメーターの現在値のそれぞれを参照した後に、エンジンの全走行時間とトリップ時間の両方に対する最終値を参照できる。指定期間がエンジンの総稼働時間である場合には、ECUは、最初のエンジン回転から最後のエンジン回転に至るまでの総回転数の最終値を計算して、表示する。次に、エンジンの全稼働時間の最終値がECUにより永続的に記録される。所定の期間が区間時間である場合には、ECUはユーザーの開始時点のエンジン回転から最後のエンジン回転に至るまでの総回転数の最終値を計算して、表示する。一般に、車両の使用者はユーザーの開始時点を制御パネルから入力し、ECUにより区間時間の最終値が計算できるようにする。車両の使用者が、制御パネルを通じて、開始時点を入力しない場合には、ECUは自動的に最初のエンジン回転をユーザーの開始時点として設定する。さらに、区間時間に対する最終値はECUに一時的に保存され、最も直近の区間時間の最終値が本願発明の使用者に対して表示される。しかし、区間時間が車両の使用者によりリセットされるたびに、それぞれの区間時間の最終値がECUに保存され、本願発明が、区間時間が始動された回数を記録できるようにする。
【0016】
図6に示すように、本願発明に係る異常値をECUに保存してもよい。ここで、異常値とは本願発明に係る最終値の最大値よりわずかに大きい値である。異常値は、車両のオドメーターが改竄されていないかを検知するための閾値として機能する。より具体的には、本願発明に係る最終値が所定の期間の異常値以上である場合には、ECUは、オドメーターが不正に操作されたと判断する。ECUが最終値の計算のための所定の期間を容易に取得できるよう、所定の期間をECU内に設定してもよい。オドメーターの不正操作の警告通知は制御パネルに表示され、車両の使用者に視覚的な通知を提供する。たとえば、本願発明が、所定期間内に複数のエンジン回転が生じて、オドメーターの現在値が異常値に関連して変化していないことを検知した場合には、制御パネルに警告通知が表示される。本願発明では、ECUは、オドメーターの機能を検証するために同じプロセスを適用する。より具体的には、本願発明に係る最終値が異常値未満である場合には、ECUはオドメーターの正常機能を検証する。制御パネルを通じて警告通知が表示されると、本願発明に関して表示された警告通知の総数を管理するために警告通知が記録される。たとえば、エンジンが20回の警告通知を表示した場合には、本願発明は、ECUにより各警告通知の20件の異なる記録を記録する。
【0017】
図7に示すように、また、ECUは通信手段を通じて、複数のエンジン回転を通信手段を介して外部のコンピューティング装置に送信してもよい。ここで、通信手段とは、車載診断システム(OBD)のコネクタ−、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)、無線LANテクノロジー、携帯電話ネットワーク、近距離無線通信標準技術等を含むがこれに限定されない。より具体的には、複数のエンジン回転をコンピューティング装置にエクスポートし、タイムライン(時系列)グラフ上にグラフィカルに表示することができる。その結果、車両の所有者や各ユーザーは、車両の運転車によりエンジンがどのように回されたかに関するデータにアクセスすることができる。このデータは、自動車メーカー、自動車リース会社、陸運局、レンタカー会社、中古車購入者、および、他の関連する消費者が、エンジンの状態とドライバーの運転スタイルを適切に診断するために使用できる。
【0018】
本発明をその好ましい実施形態に関連して説明してきたが、請求の範囲における本発明の精神および範囲から逸脱することなく、他の多くの修正および変形が可能であることを理解されたい。