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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-12873(P2020-12873A)
(43)【公開日】2020年1月23日
(54)【発明の名称】定着装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20191220BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20191220BHJP
【FI】
   G03G15/20 555
   G03G15/20 510
   G03G21/00 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-133243(P2018-133243)
(22)【出願日】2018年7月13日
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】榮木 天
(72)【発明者】
【氏名】川崎 広貴
(72)【発明者】
【氏名】小濱 篤
(72)【発明者】
【氏名】酒井 雄大
【テーマコード(参考)】
2H033
2H270
【Fターム(参考)】
2H033AA24
2H033BA11
2H033BA12
2H033BA25
2H033BA27
2H033BA31
2H033BB03
2H033BB05
2H033BB06
2H033BB29
2H033BE03
2H033CA02
2H033CA04
2H033CA07
2H033CA30
2H033CA34
2H033CA43
2H270LA25
2H270LD08
2H270MA34
2H270MB25
2H270MB28
2H270NE04
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】長手方向に複数の発熱部を有する面状ヒーターに発熱部毎に安全装置を配置しなくても、いずれかの発熱部で異常昇温が発生した場合に給電を遮断できるようにすることを目的とする。
【解決手段】筒状の回転可能な定着ベルトと、複数の発熱部41乃至43を有する面状ヒーター23と、互いに隣接する2つの発熱部に跨るように配置され、温度が閾値に達した場合に複数の発熱部41乃至43への給電を遮断する安全装置71、72と、面状ヒーター23を定着ベルトの内周面に接触するように保持するヒーター保持部材と、面状ヒーター23との間に定着ベルトを挟持し、定着ベルトとの間に用紙が挟持搬送される加圧領域を形成する加圧ローラーと、を備える定着装置。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の回転可能な定着ベルトと、
複数の発熱部を有する面状ヒーターと、
互いに隣接する2つの前記発熱部に跨るように配置され、温度が閾値に達した場合に複数の前記発熱部への給電を遮断する安全装置と、
前記面状ヒーターを前記定着ベルトの内周面に接触するように保持するヒーター保持部材と、
前記面状ヒーターとの間に前記定着ベルトを挟持し、前記定着ベルトとの間に用紙が挟持搬送される加圧領域を形成する加圧ローラーと、を備えることを特徴とする定着装置。
【請求項2】
互いに隣接する2つの前記発熱部と前記安全装置との間に、前記発熱部から前記安全装置への熱伝導を促進するシート状の熱伝導部材を備えることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記熱伝導部材は、前記安全装置の前記発熱部に対向する面の面積よりも大きい面積を有することを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記用紙にトナー像を形成する画像形成部と、
前記トナー像を前記用紙に定着する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の定着装置と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙にトナー像を定着させる定着装置及びこの定着装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
定着装置の定着ベルトを加熱する方式の一つとして、面状ヒーター方式が知られている。面状ヒーターは、用紙の搬送方向と直交する方向を長手方向とする発熱部を有し、筒状の定着ベルトが、面状ヒーターと加圧ローラーとで挟持される。加圧ローラーが回転駆動されると、定着ベルトが従動回転し、トナーが転写された用紙が、定着ベルトと加圧ローラーとに挟持されて搬送され、トナーが用紙に定着される。
【0003】
上記の発熱部は、搬送方向と直交する方向のサイズが最大の用紙に対応する長さを有するが、それよりも小さなサイズの用紙を使用する場合には、用紙が通過しない長手方向の両端部における熱の消費量が少なくなる。そこで、発熱部を長手方向に複数に分割し、用紙のサイズに応じた発熱部を発熱させる構成が発案された。ところが、異常昇温時に発熱部への給電を遮断する安全装置(例えば、サーモスタット)を設ける場合、発熱部毎に安全装置を設けると、コストが高くなる。また、配線が多くなるため、コンパクトな設計が困難となる。
【0004】
そこで、従来、安全装置の数を少なくすることが検討されている。例えば、特許文献1には、長手方向中央の加熱領域にのみサーモスタットが設けられ、中央の加熱領域と電源を結ぶ配線間に第1のトライアックを有し、他の加熱領域と電源を結ぶ配線間に第1のトライアックと第2のトライアックを有し、他の加熱領域は中央の加熱領域が通電されているときのみ通電される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−129789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載された構成では、長手方向中央の加熱領域にのみサーモスタットが設けられるため、他の加熱領域で異常昇温が発生した場合に給電を遮断することができない。
【0007】
本発明は、上記事情を考慮し、長手方向に複数の発熱部を有する面状ヒーターに発熱部毎に安全装置を配置しなくても、いずれかの発熱部で異常昇温が発生した場合に給電を遮断することのできる定着装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係る定着装置は、筒状の回転可能な定着ベルトと、複数の発熱部を有する面状ヒーターと、互いに隣接する2つの前記発熱部に跨るように配置され、温度が閾値に達した場合に複数の前記発熱部への給電を遮断する安全装置と、前記面状ヒーターを前記定着ベルトの内周面に接触するように保持するヒーター保持部材と、前記面状ヒーターとの間に前記定着ベルトを挟持し、前記定着ベルトとの間に用紙が挟持搬送される加圧領域を形成する加圧ローラーと、備えることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る定着装置において、互いに隣接する2つの前記発熱部と前記安全装置との間に、前記発熱部から前記安全装置への熱伝導を促進するシート状の熱伝導部材を備えていてもよい。
【0010】
本発明に係る定着装置において、前記熱伝導部材は、前記安全装置の前記発熱部に対向する面の面積よりも大きい面積を有していてもよい。
【0011】
また、本発明に係る画像形成装置は、前記用紙にトナー像を形成する画像形成部と、前記トナー像を前記用紙に定着する上記のいずれかに記載の定着装置と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、長手方向に複数の発熱部を有する面状ヒーターに発熱部毎に安全装置を配置しなくても、いずれかの発熱部で異常昇温が発生した場合に給電を遮断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るプリンターの内部構成を模式的に示す正面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る定着装置の断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る面状ヒーターの下面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る面状ヒーターの上面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る面状ヒーターの断面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る面状ヒーターの回路図である。
図7】本発明の一実施形態に係る試験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明の画像形成装置及び定着装置について説明する。
【0015】
まず、図1を参照して、画像形成装置としてのプリンター1の全体の構成について説明する。図1はプリンター1の内部構成を模式的に示す正面図である。以下、図1における紙面手前側をプリンター1の正面側(前側)とし、左右の向きはプリンター1を正面から見た方向を基準として説明する。各図において、U、Lo、L、R、Fr、Rrは、それぞれ上、下、左、右、前、後を示す。
【0016】
プリンター1の装置本体2には、用紙Sが収容される給紙カセット3と、給紙カセット3から用紙Sを送り出す給紙装置5と、用紙Sにトナー像を形成する画像形成部7と、トナー像を用紙Sに定着する定着装置9と、用紙Sを排紙する排紙装置11と、排紙された用紙Sが受け止められる排紙トレイ13と、が備えられている。さらに、装置本体2には、給紙装置5から、画像形成部7、定着装置9を経て排紙装置11に向かう用紙Sの搬送経路15が形成されている。
【0017】
給紙装置5によって給紙カセット3から給紙された用紙Sは、搬送経路15に沿って画像形成部7に搬送され、用紙Sにトナー像が形成される。用紙Sは搬送経路15に沿って定着装置9に送られ、トナー像が用紙Sに定着される。トナー像が定着された用紙Sは、排紙装置11から排紙トレイ13に排出される。
【0018】
次に、図2を参照して、定着装置9の構成について説明する。図2は定着装置9の断面図である。定着装置9は、筒状の回転可能な定着ベルト21と、複数の発熱部41乃至43を有する面状ヒーター23と、互いに隣接する2つの発熱部に跨るように配置され、温度が閾値に達した場合に発熱部41乃至43への給電を遮断するサーモスタット71、72(安全装置の一例)と、面状ヒーター23を定着ベルト21の内周面に接触するように保持するヒーター保持部材25と、面状ヒーター23との間に定着ベルト21を挟持し、定着ベルト21を従動回転させる加圧ローラー27と、を備える。以下の説明において、軸方向Xとは、加圧ローラー27の軸方向(前後方向)を指す。本実施形態では、定着ベルト21の下側に加圧ローラー27が位置する姿勢で定着装置9が配置された例を示すが、定着装置9はいかなる姿勢で配置されてもよい。
【0019】
定着ベルト21は、軸方向Xを長手方向とする筒状のベルトであり、所定の内径を有し、長手方向の長さは用紙Sの幅よりも長い。定着ベルト21は、可撓性を有する材料で形成され、基材層と、基材層の外周面に設けられる弾性層と、弾性層の外周面に設けられる離型層と、を有する。基材層は、ステンレス鋼やニッケル合金等の金属で形成される。弾性層は、シリコンゴム等で形成される。離型層は、PFAチューブ等で形成される。基材層の内周面に摺動層が形成される場合もある。摺動層は、ポリイミドアミドやPTFE等で形成される。
【0020】
定着ベルト21の中空部には、軸方向Xを長手方向とする押圧部材24が貫通しており、押圧部材24の両端は定着装置9の筐体(図示省略)に固定されている。押圧部材24は、ステンレス鋼やアルミニウム合金等の金属で形成されている。定着ベルト21は、押圧部材24に支持された円弧状のベルトガイド(図示省略)に支持され、ベルトガイドに沿って回転可能である。
【0021】
次に、図3乃至6を参照して、面状ヒーター23の構成について説明する。図3は、面状ヒーター23の下面図である。図4は、面状ヒーター23の上面図である。図5は、図3、4のI−I断面図である。図6は、面状ヒーター23の回路図である。
【0022】
面状ヒーター23は、軸方向Xを長手方向とする概ね矩形の板状に形成されている。面状ヒーター23は、基材30と、断熱層31と、コート層32と、を有する。なお、図示の都合上、図3ではコート層32が省略されており、図4では基材30が省略されている。
【0023】
基材30は、例えば、セラミックス等の電気絶縁性を有する材料により、軸方向Xを長手方向とする概ね矩形の板状に形成されている。
【0024】
断熱層31は、例えば、セラミックス、ガラス等の、電気絶縁性を有すると共に熱伝導率の低い材料により、基材30の下面に積層されている。断熱層31は、発熱部41乃至43が発生した熱が基材30側に伝達することを抑制する。
【0025】
発熱部41乃至43は、給電線61乃至64よりも抵抗値の高い金属等の導電性を有する材料により、断熱層31の下面に形成されている。発熱部41乃至43は、軸方向Xに一列に配置されている。発熱部41乃至43の各々は、軸方向Xに一列に配置された複数の抵抗発熱体40を有する。
【0026】
発熱部41は、小サイズ(例えばJIS A5サイズ)の用紙Sの長辺の長さに対応する範囲に配置されている。発熱部42、43は、大サイズ(例えばJIS A4サイズ)の用紙Sの長辺の長さに対応する範囲のうち、発熱部41が設けられていない範囲に配置されている。発熱部42、43は、それぞれ、発熱部41よりも前側、後側に配置されている。
【0027】
給電線61乃至64は、抵抗発熱体40よりも抵抗値の低い金属等の導電性を有する材料により、断熱層31の下面に形成されている。給電線61は、発熱部41に含まれる複数の抵抗発熱体40の右端部(搬送方向Y上流側の端部)に接続されている。給電線62は、発熱部42に含まれる複数の抵抗発熱体40の右端部に接続されている。給電線63は、発熱部43に含まれる複数の抵抗発熱体40の右端部に接続されている。一方、給電線64は、発熱部41乃至43に含まれる複数の抵抗発熱体40の左端部(搬送方向Y下流側の端部)に接続されている。電極51乃至54は、断熱層31の下面における発熱部42よりも前側の部分に、前から電極部53、51、52、54の順に配置されている。給電線61、62、63は、それぞれ電極51、52、53に接続されている。なお、弾性層31の下面のうち、発熱部41乃至43、給電線61乃至64及び電極部51乃至54が形成されない部分には、発熱部41乃至43、給電線61乃至64及び電極部51乃至54とともに平滑な面をなすように断熱層31が積層されている。
【0028】
コート層は、断熱層31の長手方向における発熱部41乃至43が形成されている範囲を被覆している。コート層は、例えば、セラミックス等の電気絶縁性を有すると共に定着ベルト21に対する滑り摩擦力の小さな材料で形成されている。コート層の下面が、定着ベルト21の内面に接触する。
【0029】
図4及び5に示されるように、サーモスタット71は、発熱部41の上面と発熱部42の上面とに跨るように配置されている。サーモスタット72は、発熱部41の上面と発熱部43の上面とに跨るように配置されている。サーモスタット71、72は、例えば、バイメタルを用いたスイッチを有し、外部からの熱伝導によって昇温したバイメタルの温度が閾値に達した場合に、バイメタルが変形して給電を遮断する。サーモスタット71、72は、給電線65によって直列に接続されている。
【0030】
図3及び4に示されるように、断熱層31の後端には貫通孔34が形成されており、断熱層31の電極部54の近傍には貫通孔35が形成されている。給電線64は、貫通孔34を介して、給電線65の一端に接続されており、給電線65の他端は、貫通孔35を介して電極54に接続されている。
【0031】
熱伝導部材73は、サーモスタット71と発熱部41、42との間に配置されている。熱伝導部材74は、サーモスタット72と発熱部41、43との間に配置されている。熱伝導部材73、74は、サーモスタット71、72の発熱部41乃至43に対向する面の面積よりも大きい面積を有する。熱伝導部材73、74は、例えば、銅、アルミニウム、グラファイト等の熱伝導性の高いシート状の部材であり、発熱部41乃至43から安全装置71、72への熱伝導を促進する。サーモスタット71、72と熱伝導部材81、82との間には、熱伝導を促進するためのフッ素グリースが塗布されている。
【0032】
図6に示されるように、電極51にはトライアック81が接続され、電極52、53にはトライアック82が接続されている。トライアック81及び82は、リレー83を介して交流電源85の一方の端子と接続されている。電極54は、リレー84を介して交流電源85の他方の端子と接続されている。
【0033】
トライアック81、82は、用紙のサイズに応じて、交流電源から発熱部41乃至43への給電を制御する。小サイズの用紙の場合には、トライアック81が発熱部41に給電し、発熱部41が発熱する。大サイズの用紙の場合には、トライアック81が発熱部41に給電するとともに、トライアック82が発熱部42、43に給電し、発熱部41乃至43が発熱する。
【0034】
図2に示されるように、ヒーター保持部材25は、面状ヒーター23を定着ベルト21の内周面に接触するように保持する。ヒーター保持部材25は、定着ベルト21の軸方向Xの幅と同等の長さを有する部材である。ヒーター保持部材25は、例えば、液晶ポリマー等の耐熱性の樹脂で形成されている。ヒーター保持部材25は、押圧部材24によって支持される。ヒーター保持部材25の下部には、軸方向Xを長手方向とする凹部251が形成されている。面状ヒーター23は、コート層32が下側に位置する姿勢で、凹部251に嵌め込まれている。ヒーター保持部材25は、定着ベルト21の曲率よりもやや大きい曲率の湾曲部253を有し、湾曲部253と面状ヒーター23とにより、定着ベルト21の内周面に沿う滑らかな面が形成される。
【0035】
加圧ローラー27は、芯金と、芯金の外周面に設けられる弾性層と、弾性層の外周面に設けられる離型層と、を有している。弾性層は、シリコンゴム等で形成される。離型層は、PFAチューブ等で形成される。加圧ローラー27は、面状ヒーター23との間に定着ベルト21を挟持し、定着ベルト21との間に加圧領域Nを形成する。加圧ローラー27は、モーター28により駆動され、定着ベルト21を従動回転させ、用紙Sを挟持搬送する。
【0036】
上記構成を有する定着装置9の定着動作を説明する。加圧ローラー27が駆動されて所定の回転方向Zに回転すると、定着ベルト21が加圧ローラー27の回転方向と反対の回転方向Yに従動回転し、定着ベルト21の内周面が面状ヒーター23に対して摺動する。面状ヒーター23の発熱部41乃至43に電力が供給されると、発熱部41乃至43が発熱して定着ベルト21が加熱される。定着ベルト21が所定の温度に達した後、トナーが転写された用紙Sが加圧領域Nに搬送される。加圧領域Nにおいて、用紙Sは定着ベルト21と加圧ローラー27とに挟持されて搬送される。このとき、定着ベルト21によってトナーが加熱及び加圧され、トナーが用紙Sに定着される。トナーが定着された用紙Sは、定着ベルト21から分離されて、搬送経路15に沿って搬送される。
【0037】
ここで、トライアック81、82のいずれかが故障して給電の制御が不能となった場合、故障したトライアックに接続されている発熱部が異常昇温する。異常昇温した発熱部からの熱伝導によって昇温したサーモスタットの温度が閾値に達した場合、そのサーモスタットが発熱部41乃至43への給電を遮断する。例えば、トライアック81が故障した場合、発熱部41が異常昇温し、サーモスタット71又は72の温度が閾値に達した場合、閾値に達したサーモスタットが発熱部41乃至43への給電を遮断する。一方、トライアック82が故障した場合、発熱部42、43が異常昇温し、サーモスタット71又は72の温度が閾値に達した場合、閾値に達したサーモスタットが発熱部41乃至43への給電を遮断する。
【0038】
次に、図7を参照して、本実施形態の効果を説明する。図7は、面状ヒーター23の昇温試験の結果を示す図である。横軸のヒーター温度は、面状ヒーター23の温度であり、縦軸のサーモスタット温度は、サーモスタット71の温度である。〇のケースは、両側故障時、すなわち、トライアック81、82の両方の故障により発熱部41、42が異常昇温した場合を模擬したケースである。発熱部41、42への給電を段階的に増加させながら、発熱部41、42の温度と、サーモスタット71の温度を測定し、発熱部41、42の温度が200℃、250℃、300℃、350℃のときのサーモスタット71の温度をプロットした。ただし、このケースでは、熱伝導部材73は配置されていない。▲のケースは、片側故障時、すなわち、トライアック81の故障により発熱部41が異常昇温した場合を模擬したケースである。このケースも、熱伝導部材73が配置されていない。●のケースは、熱伝導部材73が配置されている場合の片側故障時を模擬したケースである。
【0039】
まず、両側故障時(熱伝導部材なし)と片側故障時(熱伝導部材なし)とを比較すると、両側故障時のサーモスタット温度が比較的ヒーター温度と近い値であるのに対して、片側故障時のサーモスタット温度はヒーター温度よりも20乃至25℃程度低くなっている。これは、両側故障時のケースでは発熱部41、42の両方を昇温させたのに対し、片側故障時のケースでは発熱部41だけを昇温させたため、片側故障時のケースは両側故障時のケースと比べてサーモスタット71に伝達される熱量が少ないからである。両側故障時のケースのサーモスタット温度は、発熱部毎にサーモスタットを配置した場合の故障時のサーモスタット温度に近い値であると考えられる。従って、本実施形態では、発熱部毎にサーモスタットを配置した場合と比べてサーモスタット温度が若干低くなるが、実用上は十分な精度を有すると考えられる。
【0040】
一方、片側故障時(熱伝導部材あり)のサーモスタット温度とヒーター温度との差は10℃程度に留まっており、熱伝導部材なしのケースと比べてサーモスタット温度とヒーター温度との差が小さい。この結果は、熱伝導部材73により発熱部41、42からサーモスタット71への熱伝導が促進されるためであると考えられる。
【0041】
以上、説明したとおり、本実施形態によれば、長手方向に複数の発熱部を有する面状ヒーターに発熱部毎にサーモスタットを配置しなくても、いずれかの発熱部で異常昇温が発生した場合に給電を遮断することができる。
【0042】
また、本実施形態によれば、熱伝導部材が発熱部からサーモスタットへの熱伝導を促進するから、サーモスタットの温度の精度を向上させることができる。また、本実施形態によれば、熱伝導部材がサーモスタットの発熱部に対向する面の面積と等しい面積を有する場合と比べて、発熱部からより多くの熱がサーモスタットに伝達されるから、サーモスタットの温度の精度をさらに向上させることができる。
【0043】
<変形例>
バイメタルを用いたサーモスタットに代わる安全装置として、形状記憶合金を用いたサーモスタットが用いられてもよい。また、サーモスタットに代わる安全装置として、ヒューズが用いられてもよい。
【0044】
上記実施形態では、面状ヒーターが3つの発熱部を有する例を示したが、面状ヒーターが2つの発熱部又は4つ以上の発熱部を有する場合にも、本発明は適用され得る。
【0045】
上記した本発明の実施形態の説明は、本発明に係る定着装置及び画像形成装置における好適な実施の形態を説明しているため、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。すなわち、上記した本発明の実施の形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、かつ、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能であり、上記した本発明の実施の形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【符号の説明】
【0046】
1 プリンター(画像形成装置)
7 画像形成部
9 定着装置
21 定着ベルト
23 面状ヒーター
25 ヒーター保持部材
27 加圧ローラー
41 発熱部
42 発熱部
43 発熱部
71 サーモスタット(安全装置)
72 サーモスタット(安全装置)
73 熱伝導部材
74 熱伝導部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7