特開2020-12893(P2020-12893A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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  • 特開2020012893-キャリア及び2成分現像剤 図000005
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-12893(P2020-12893A)
(43)【公開日】2020年1月23日
(54)【発明の名称】キャリア及び2成分現像剤
(51)【国際特許分類】
   G03G 9/107 20060101AFI20191220BHJP
   G03G 9/113 20060101ALI20191220BHJP
【FI】
   G03G9/107 331
   G03G9/113
   G03G9/113 361
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-133433(P2018-133433)
(22)【出願日】2018年7月13日
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】倉野 雄介
【テーマコード(参考)】
2H500
【Fターム(参考)】
2H500AB02
2H500AB04
2H500AB05
2H500CA16
2H500CA18
2H500CA34
2H500CB03
2H500CB05
2H500CB12
2H500EA42E
2H500EA52E
2H500FA04
(57)【要約】
【課題】高温高湿環境下におけるかぶりの発生、及び多数枚印刷後におけるかぶりの発生の双方を抑制できるキャリア及び2成分現像剤を提供する。
【解決手段】キャリアは、キャリア粒子10を含む。キャリア粒子10は、複合コア11と、複合コア11の表面を覆うコート層12とを備える。複合コア11は、キャリアコア13と、キャリアコア13の表面に付着した無機粒子14との複合体である。キャリアコア13は、結着樹脂15と、結着樹脂15中に分散した磁性粒子16とを含有する。キャリアコア13の表面に付着した無機粒子14の表面は、疎水化処理されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリア粒子を含むキャリアであって、
前記キャリア粒子は、複合コアと、前記複合コアの表面を覆うコート層とを備え、
前記複合コアは、キャリアコアと、前記キャリアコアの表面に付着した無機粒子との複合体であり、
前記キャリアコアは、結着樹脂と、前記結着樹脂中に分散した磁性粒子とを含有し、
前記無機粒子の表面は、疎水化処理されている、キャリア。
【請求項2】
前記無機粒子の個数平均一次粒子径は、0.10μm以上1.00μm以下である、請求項1に記載のキャリア。
【請求項3】
前記無機粒子の質量は、前記キャリアコア100質量部に対して0.5質量部以上5.0質量部以下である、請求項1又は2に記載のキャリア。
【請求項4】
前記コート層の質量は、前記キャリアコア100質量部に対して1.0質量部以上7.0質量部以下である、請求項1〜3の何れか一項に記載のキャリア。
【請求項5】
前記無機粒子は、無機酸化物を含む基体を備え、
前記基体の表面には、炭素原子数3以上8以下のアルキル基が付与されている、請求項1〜4の何れか一項に記載のキャリア。
【請求項6】
前記無機酸化物は、マグネタイト、酸化チタン及びシリカからなる群より選択される1種以上である、請求項5に記載のキャリア。
【請求項7】
トナー粒子を含むトナーと、請求項1〜6の何れか一項に記載のキャリアとを含有する、2成分現像剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリア及び2成分現像剤に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂被覆キャリアが知られている。樹脂被覆キャリアに含まれるキャリア粒子は、キャリアコアと、キャリアコアの表面を覆う樹脂層(コート層)とを備える(例えば、特許文献1参照)。また、キャリアとトナーとを含む2成分現像剤が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−193016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示される技術だけでは、高温高湿環境下で印刷した際のかぶりの発生を抑制し、かつ多数枚(例えば10万枚)の印刷後においてかぶりの発生を抑制することは困難である。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、高温高湿環境下におけるかぶりの発生、及び多数枚(例えば10万枚)の印刷後におけるかぶりの発生の双方を抑制できるキャリア及び2成分現像剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るキャリアは、キャリア粒子を含む。前記キャリア粒子は、複合コアと、前記複合コアの表面を覆うコート層とを備える。前記複合コアは、キャリアコアと、前記キャリアコアの表面に付着した無機粒子との複合体である。前記キャリアコアは、結着樹脂と、前記結着樹脂中に分散した磁性粒子とを含有する。前記無機粒子の表面は、疎水化処理されている。
【0007】
本発明に係る2成分現像剤は、トナー粒子を含むトナーと、本発明に係るキャリアとを含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高温高湿環境下におけるかぶりの発生、及び多数枚(例えば10万枚)の印刷後におけるかぶりの発生の双方を抑制できるキャリア及び2成分現像剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係るキャリアに含まれるキャリア粒子の断面構造の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、キャリアは、キャリア粒子の集合体(例えば粉体)である。トナーは、トナー粒子の集合体(例えば粉体)である。外添剤は、外添剤粒子の集合体(例えば粉体)である。粉体(より具体的には、無機粒子の粉体、キャリア粒子の粉体等)に関する評価結果(形状、物性等を示す値)は、何ら規定していなければ、粉体から粒子を相当数選び取って、それら粒子の各々について測定した値の個数平均である。
【0011】
粉体の体積中位径(D50)の測定値は、何ら規定していなければ、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製「LA−950」)を用いて測定されたメディアン径である。粉体の個数平均一次粒子径は、何ら規定していなければ、走査型電子顕微鏡を用いて測定した、100個の一次粒子の円相当径(ヘイウッド径:一次粒子の投影面積と同じ面積を有する円の直径)の個数平均値である。なお、粒子の個数平均一次粒子径は、特に断りがない限り、粉体中の粒子の個数平均一次粒子径を指す。
【0012】
疎水性の強さ(又は親水性の強さ)は、例えば水滴の接触角(水の濡れ易さ)で表すことができる。水滴の接触角が大きいほど疎水性が強い。疎水化処理とは、疎水性を強める処理を指す。
【0013】
「炭素原子数3以上8以下のアルキル基」は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数3以上8以下のアルキル基としては、例えば、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、及びn−オクチル基が挙げられる。
【0014】
<第1実施形態:キャリア>
本発明の第1実施形態に係るキャリアは、静電潜像の現像に好適に用いることができる。第1実施形態に係るキャリアは、現像装置内においてトナーと摩擦することで、トナーを例えば正に帯電させる。
【0015】
第1実施形態に係るキャリアは、キャリア粒子を含む。キャリア粒子は、複合コアと、複合コアの表面を覆うコート層とを備える。複合コアは、キャリアコアと、キャリアコアの表面に付着した無機粒子との複合体である。キャリアコアは、結着樹脂と、結着樹脂中に分散した磁性粒子とを含有する。以下、結着樹脂と、結着樹脂中に分散した磁性粒子とを含有するキャリアコアを、「磁性粒子分散樹脂コア」と記載することがある。
【0016】
また、キャリアコア(磁性粒子分散樹脂コア)の表面に付着した無機粒子の表面は、疎水化処理されている。以下、表面が疎水化処理された無機粒子を、「疎水性無機粒子」と記載することがある。
【0017】
第1実施形態に係るキャリアは、上述の構成を備えることにより、高温高湿環境下におけるかぶりの発生、及び多数枚(例えば10万枚)の印刷後におけるかぶりの発生の双方を抑制できる。その理由は、以下のように推測される。
【0018】
第1実施形態で使用される磁性粒子分散樹脂コアは、磁性材料からなるキャリアコア(より具体的には、フェライトから構成されるフェライトコア等)に比べ、高温高湿環境下において、水分を吸収しやすい傾向がある。そのため、通常、磁性粒子分散樹脂コアを含むキャリアは、高温高湿環境下において帯電付与能が低下しやすくなる。なお、磁性粒子分散樹脂コアがコート層で覆われていても、高温高湿環境下では、水分は、コート層を通じて磁性粒子分散樹脂コアに吸収される。
【0019】
これに対し、第1実施形態に係るキャリアでは、キャリアコア(磁性粒子分散樹脂コア)の表面に疎水性無機粒子が付着しているため、磁性粒子分散樹脂コアの水分吸収が抑制される。よって、第1実施形態に係るキャリアによれば、水分に起因するキャリアの帯電付与能の低下を抑制できるため、高温高湿環境下におけるかぶりの発生を抑制できる。
【0020】
また、磁性粒子分散樹脂コアは比較的真比重が小さいため、第1実施形態に係るキャリアでは、現像装置内においてキャリアの耐ストレス性が高くなる傾向がある。更に、第1実施形態に係るキャリアでは、キャリアコアと、キャリアコアの表面に付着した疎水性無機粒子との複合体である複合コアの表面が、コート層で覆われている。よって、第1実施形態に係るキャリアでは、複合コアの表面が疎水性無機粒子を凸部とする凹凸構造を有しているため、アンカー効果により、コート層の剥がれが抑制される。従って、第1実施形態に係るキャリアは、多数枚(例えば10万枚)の印刷中においても、コート層の剥がれが抑制されるため、多数枚印刷中の帯電付与能の低下が抑制される。その結果、多数枚印刷中にトナーの帯電量が所望の範囲外となることが抑制されるため、第1実施形態に係るキャリアによれば、多数枚印刷後においてかぶりの発生を抑制できる。
【0021】
高温高湿環境下におけるかぶりの発生、及び多数枚(例えば10万枚)の印刷後におけるかぶりの発生(以下、これらをまとめて、単に「かぶりの発生」と記載することがある。)の双方をより抑制するためには、無機粒子(疎水性無機粒子)の個数平均一次粒子径は、0.10μm以上5.00μm以下であることが好ましく、0.10μm以上1.00μm以下であることがより好ましい。
【0022】
かぶりの発生をより抑制するためには、無機粒子(疎水性無機粒子)の質量は、キャリアコア100質量部に対して0.1質量部以上5.0質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上5.0質量部以下であることがより好ましく、1.0質量部以上3.0質量部以下であることが更に好ましい。
【0023】
かぶりの発生をより抑制するためには、コート層の質量は、キャリアコア100質量部に対して、0.5質量部以上10.0質量部以下であることが好ましく、1.0質量部以上7.0質量部以下であることがより好ましい。
【0024】
キャリアの磁力を維持しつつ、現像装置内においてキャリアの耐ストレス性を高めるためには、キャリア粒子の真比重が3.0g/cm3以上4.0g/cm3以下であることが好ましい。キャリア粒子の真比重は、例えば、乾式自動密度計(マイクロメリティックス社製「アキュピックII 1340シリーズ」、付属品:マルチボリウムキット)を用いて測定できる。キャリア粒子の真比重は、例えば磁性粒子の種類、及び結着樹脂中に分散させる磁性粒子の量の少なくとも一方を変更することにより調整できる。
【0025】
以下、第1実施形態に係るキャリアの詳細について、適宜図面を参照しながら説明する。
【0026】
[キャリア粒子の構成]
第1実施形態に係るキャリアは、キャリア粒子を含む。図1に、第1実施形態に係るキャリアに含まれるキャリア粒子の断面構造の一例を示す。なお、図1は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の大きさ、個数等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合がある。
【0027】
図1に示すように、キャリア粒子10は、複合コア11と、複合コア11の表面を覆うコート層12とを備える。複合コア11は、キャリアコア13と、キャリアコア13の表面に付着した無機粒子14(複数個の無機粒子14)との複合体である。キャリアコア13は、結着樹脂15と、結着樹脂15中に分散した磁性粒子16(複数個の磁性粒子16)とを含有する。また、キャリアコア13の表面に付着した無機粒子14の表面は、疎水化処理されている。
【0028】
なお、図1では、無機粒子14がキャリアコア13に食い込んだ状態で付着しているが、無機粒子14は、キャリアコア13に食い込んだ状態で付着していなくてもよい。ただし、コート層12の剥がれを抑制するためには、無機粒子14がキャリアコア13に食い込んだ状態で付着していることが好ましい。
【0029】
コート層12の厚さは、キャリアコア13と無機粒子14とを覆うことができる限り、特に限定されないが、かぶりの発生をより抑制するためには、0.10μm以上5.00μm以下であることが好ましく、0.10μm以上1.00μm以下であることがより好ましい。
【0030】
コート層12の厚さは、市販の画像解析ソフトウェア(例えば、三谷商事株式会社製「WinROOF」)を用いてキャリア粒子10の断面のTEM(透過電子顕微鏡)撮影像を解析することによって計測できる。キャリア粒子10の断面は、例えば、断面試料作製装置(日本電子株式会社製「クロスセクションポリッシャ(登録商標)」)を用いて作製できる。キャリア粒子10の断面は染色されていてもよい。1つのキャリア粒子10においてコート層12の厚さが均一でない場合には、均等に離間した4箇所(詳しくは、キャリア粒子10の断面の略中心で直交する2本の直線を引き、それら2本の直線がコート層12と交差する4箇所)の各々でコート層12の厚さを測定し、得られた4つの測定値の算術平均を、そのキャリア粒子10の評価値(コート層12の厚さ)とする。
【0031】
かぶりの発生をより抑制するためには、コート層12が複合コア11の表面領域のうち90%以上100%以下の面積を覆っていることが好ましい。
【0032】
コート層12の存在は、電子顕微鏡によって確認できる。また、複合コア11の表面領域のうちコート層12で覆われた領域が占める面積割合(被覆率)は、キャリア粒子10(例えば、予め染色されたキャリア粒子10)の断面を電子顕微鏡で撮影し、得られた撮影像を、市販の画像解析ソフトウェア(例えば、三谷商事株式会社製「WinROOF」)を用いて解析することで測定できる。
【0033】
良好な現像性を得るためには、キャリアコア13の体積中位径(D50)は、15μm以上150μm以下であることが好ましく、20μm以上100μm以下であることがより好ましい。
【0034】
良好な現像性を得るためには、キャリアコア13の3000(103/4π・A/m)の印加磁場での飽和磁化は、30A・m2/kg以上90A・m2/kg以下であることが好ましく、40A・m2/kg以上80A・m2/kg以下であることがより好ましい。キャリアコア13の飽和磁化は、例えば磁性粒子16の種類、及び結着樹脂15中に分散させる磁性粒子16の量の少なくとも一方を変更することにより調整できる。
【0035】
以上、図1を参照しながら、第1実施形態に係るキャリアに含まれるキャリア粒子の構成の一例について説明した。
【0036】
[キャリア粒子の要素]
以下、第1実施形態に係るキャリアに含まれるキャリア粒子の要素について説明する。
【0037】
(キャリアコア)
キャリアコアは、結着樹脂と、結着樹脂中に分散した磁性粒子とを含有する。結着樹脂としては、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂及びフェノール樹脂からなる群より選択される1種以上の樹脂が好ましく、フェノール樹脂が特に好ましい。フェノール樹脂の吸水性は比較的高いが、第1実施形態に係るキャリアは、キャリアコアの表面に疎水性無機粒子が付着しているため、キャリアコアの結着樹脂としてフェノール樹脂を用いても、キャリアコアの水分吸収を抑制できる。
【0038】
磁性粒子を構成する磁性材料としては、例えば、マグネタイト、バリウムフェライト、マグヘマイト、Mn−Znフェライト、Ni−Znフェライト、Mn−Mgフェライト、Ca−Mgフェライト、Liフェライト、及びCu−Znフェライトが挙げられ、マグネタイトが特に好ましい。1つのキャリアコア中に、1種類の磁性粒子を分散させてもよいし、2種以上の磁性粒子を分散させてもよい。良好な現像性を得るためには、磁性粒子の個数平均一次粒子径は、0.10μm以上0.50μm以下であることが好ましい。
【0039】
(無機粒子)
キャリアコアの表面に付着する無機粒子は、疎水性無機粒子である。このような無機粒子としては、例えば無機酸化物を含む基体を疎水化処理した無機粒子が挙げられる。
【0040】
無機酸化物を含む基体としては、例えば、バリウムフェライト、マグネタイト、酸化チタン、シリカ、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム及び酸化亜鉛からなる群より選択される1種以上の無機酸化物を含む基体(酸化物粒子)が挙げられる。
【0041】
かぶりの発生をより抑制するためには、無機酸化物を含む基体としては、マグネタイト、酸化チタン及びシリカからなる群より選択される1種以上の無機酸化物を含む基体が好ましい。かぶりの発生を更に抑制するためには、無機酸化物を含む基体としては、基体全量に対して、マグネタイト、酸化チタン及びシリカからなる群より選択される1種以上の無機酸化物を90質量%以上100質量%以下の割合で含む基体が好ましい。
【0042】
疎水性無機粒子として、無機酸化物を含む基体を疎水化処理した無機粒子を用いる場合、基体を疎水化処理するための疎水化剤としては、シリコーンオイル、シラザン化合物、及びシラン化合物が好ましく、シラン化合物がより好ましく、アルコキシ基と炭素原子数3以上8以下のアルキル基とを有するシラン化合物(より具体的には、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン等)が更に好ましい。
【0043】
アルコキシ基と炭素原子数3以上8以下のアルキル基とを有するシラン化合物を用いて基体の表面を処理する場合、水分によりシラン化合物のアルコキシ基が加水分解されて生成したヒドロキシル基が、基体の表面に存在するヒドロキシル基と脱水縮合反応する。こうした反応により、基体の表面に炭素原子数3以上8以下のアルキル基(疎水性基)が付与される。
【0044】
基体の表面に炭素原子数3以上8以下のアルキル基が付与された疎水性無機粒子は、疎水性が比較的高くなるため、かぶりの発生をより抑制することができる。
【0045】
なお、無機酸化物を含む基体は、疎水化処理以外の表面処理(例えば、導電化処理)が施されていてもよい。
【0046】
(コート層)
複合コアの表面を覆うコート層は、例えば樹脂から構成される。コート層を構成する樹脂としては、熱可塑性樹脂を使用してもよいし、熱硬化性樹脂を使用してもよい。また、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とを組み合わせて使用してもよい。
【0047】
コート層を形成するための熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリスチレン、アクリル樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリフッ化ビニリデン樹脂、フルオロカーボン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ノボラック樹脂、低分子量ポリエチレン、脂肪族ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、芳香族ポリエステル樹脂(より具体的には、ポリアリレート等)、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、及びポリエーテルケトン樹脂が挙げられる。
【0048】
コート層を形成するための熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、尿素樹脂、メラミン樹脂、尿素−メラミン樹脂、グアナミン樹脂、アセトグアナミン樹脂、フラン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、熱硬化性ポリアミドイミド樹脂、及びポリエーテルイミド樹脂が挙げられる。
【0049】
かぶりの発生をより抑制するためには、コート層を構成する樹脂(構成樹脂)としては、シリコーン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、及び熱硬化性ポリアミドイミド樹脂からなる群より選択される1種以上の樹脂が好ましい。かぶりの発生を更に抑制するためには、コート層が、構成樹脂として、シリコーン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂及び熱硬化性ポリアミドイミド樹脂からなる群より選択される1種以上の樹脂のみを含むことが好ましい。
【0050】
(材料の組合せ)
かぶりの発生を特に抑制するためには、キャリアコアが、フェノール樹脂と、フェノール樹脂中に分散したマグネタイト粒子とを含有し、キャリアコアの表面に付着する無機粒子が、マグネタイト、酸化チタン及びシリカからなる群より選択される1種以上の無機酸化物を含む基体を疎水化処理した疎水性無機粒子であり、コート層が、構成樹脂として、シリコーン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂及び熱硬化性ポリアミドイミド樹脂からなる群より選択される1種以上の樹脂のみを含むことが好ましい。
【0051】
[キャリアの製造方法]
次に、第1実施形態に係るキャリアの好適な製造方法について説明する。
【0052】
(キャリアコアの調製工程)
キャリアコアを調製する方法としては、例えば、塩基性触媒を含む水性媒体中で、重合性モノマー(詳しくは、結着樹脂を合成するためのモノマー)と磁性粒子(粉末)とを混合して、造粒した後、重合性モノマーの重合反応を促進する方法が挙げられる。こうした方法により、磁性粒子を内包するキャリアコアの粉体が得られる。造粒の条件(例えば、温度及び時間)により、キャリアコアの粒子径を調整できる。
【0053】
(疎水性無機粒子の調製工程)
疎水性無機粒子を調製する方法としては、例えば、無機酸化物を含む基体と、疎水化剤と、溶剤とを混合した混合物を加熱することにより、基体の表面と疎水化剤とを反応させた後、溶剤を除去し、得られた固形物を解砕する方法が挙げられる。こうした方法により、無機酸化物を含む基体の表面に疎水性基が付与され、疎水性無機粒子の粉体が得られる。
【0054】
(複合コアの調製工程)
複合コアを調製する方法としては、例えば、混合機(例えば、日本コークス工業株式会社製のFMミキサー)を用いて、キャリアコアと、疎水性無機粒子とを混合して、キャリアコアの表面に疎水性無機粒子を付着させる方法が挙げられる。こうした方法により、複合コアの粉体が得られる。混合の際、キャリアコアの質量に対する疎水性無機粒子の質量を変更することにより、得られる複合コア中のキャリアコア100質量部に対する疎水性無機粒子の質量を調整できる。
【0055】
(コート層の形成工程)
コート層を形成する方法としては、例えば、コート層の原料を含む液(コーティング液)を流動層中の複合コアに噴霧した後、流動層を熱処理する方法が挙げられる。こうした方法により、複合コアと、複合コアの表面を覆うコート層とを備えたキャリア粒子の粉体(キャリア)が得られる。コーティング液を複合コアに噴霧する際、噴霧量を変更することにより、得られるキャリア粒子中のキャリアコア100質量部に対するコート層の質量を調整できる。
【0056】
<第2実施形態:2成分現像剤>
次に、本発明の第2実施形態に係る2成分現像剤について説明する。第2実施形態に係る2成分現像剤は、トナーと、上述した第1実施形態に係るキャリアとを含む。以下、上述した第1実施形態と重複する構成要素については、説明を省略する。
【0057】
2成分現像剤に含まれるトナーは、トナー粒子を含む。2成分現像剤に含まれるトナーは、例えば正帯電性トナーとして用いることができる。正帯電性トナーは、キャリアとの摩擦により正に帯電する。
【0058】
トナーに含まれるトナー粒子は、外添剤を備えてもよい。トナー粒子が外添剤を備える場合、トナー粒子は、トナー母粒子と、外添剤とを含む。外添剤はトナー母粒子の表面に付着する。トナー母粒子の構成は、特に限定されない。なお、必要がなければ外添剤を割愛してもよい。外添剤を割愛する場合には、トナー母粒子がトナー粒子に相当する。
【0059】
トナー粒子が外添剤を備える場合、流動性に優れるトナーを得るためには、外添剤粒子として、個数平均一次粒子径5nm以上30nm以下の無機粒子を使用することが好ましい。外添剤をトナー粒子間でスペーサーとして機能させて耐熱保存性に優れるトナーを得るためには、外添剤粒子として、個数平均一次粒子径50nm以上200nm以下の樹脂粒子を使用することが好ましい。トナー母粒子からの外添剤の脱離を抑制しながら外添剤の機能を十分に発揮させるためには、外添剤の量が、トナー母粒子100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
【0060】
トナー粒子は、シェル層を備えないトナー粒子(非カプセルトナー粒子)であってもよいし、シェル層を備えるトナー粒子(カプセルトナー粒子)であってもよい。カプセルトナー粒子は、トナーコアと、トナーコアの表面を覆うシェル層とを備えるトナー母粒子を含む。トナーコアの構成は、特に限定されない。シェル層は、実質的に熱硬化性樹脂のみからなってもよいし、実質的に熱可塑性樹脂のみからなってもよいし、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との両方を含有してもよい。
【0061】
画像形成に適したトナーを得るためには、トナー母粒子の体積中位径(D50)は、4μm以上9μm以下であることが好ましい。
【0062】
2成分現像剤は、例えば混合機(より具体的には、ボールミル、ロッキングミキサー(登録商標)等)を用いて、第1実施形態に係るキャリアと、トナーとを攪拌しながら混合することで得られる。キャリア粒子100質量部に対するトナー粒子の配合量は、好ましくは1質量部以上20質量部以下であり、より好ましくは3質量部以上15質量部以下である。
【0063】
以上説明した第2実施形態に係る2成分現像剤は、第1実施形態に係るキャリアを含むため、高温高湿環境下におけるかぶりの発生、及び多数枚(例えば10万枚)の印刷後におけるかぶりの発生の双方を抑制できる。
【実施例】
【0064】
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は実施例の範囲に何ら限定されるものではない。
【0065】
<トナーTAの作製>
混合機(日本コークス工業株式会社製「FMミキサー」)を用いて、結着樹脂100質量部と、離型剤5質量部と、着色剤5質量部と、電荷制御剤1質量部とを混合した。結着樹脂としては、ポリエステル樹脂(三井化学株式会社製「XPE258」)を用いた。離型剤としては、ポリプロピレンワックス(三洋化成工業株式会社製「ビスコール(登録商標)660P」)を用いた。着色剤としては、カーボンブラック(キャボット社製「REGAL(登録商標)330R」)を用いた。電荷制御剤としては、4級アンモニウム塩(オリヱント化学工業株式会社製「BONTRON(登録商標)P−51」)を用いた。
【0066】
続けて、得られた混合物を、2軸押出機(株式会社池貝製「PCM−30」)を用いて混練し、得られた混練物を冷却した。続けて、冷却された混練物を、機械式粉砕機(フロイント・ターボ株式会社製「ターボミル」)を用いて粉砕した。続けて、得られた粉砕物を、分級機(日鉄鉱業株式会社製「エルボージェットEJ−LABO型」)を用いて分級した。その結果、体積中位径(D50)7μmのトナー母粒子が得られた。
【0067】
次いで、得られたトナー母粒子100質量部と、導電性酸化チタン粒子(チタン工業株式会社製「EC−100」、基体:TiO2粒子、被覆層:SbドープSnO2層)1.0質量部と、疎水性シリカ粒子(日本アエロジル株式会社製「AEROSIL(登録商標)RA−200H」、内容:トリメチルシリル基とアミノ基とで表面修飾された乾式シリカ粒子、個数平均一次粒子径:12nm)0.7質量部とを、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM−10B」)を用いて混合し、トナー母粒子の表面に外添剤(導電性酸化チタン粒子及び疎水性シリカ粒子)を付着させた。混合条件については、回転速度を3500rpmとし、混合時間を5分間とした。その後、得られた粉体を、200メッシュ(目開き75μm)の篩を用いて篩別した。これにより、正帯電性のトナーTAが得られた。
【0068】
<キャリアの作製>
以下、キャリアCA−1〜CA−9及びCB−1〜CB−4の作製方法について説明する。
【0069】
[キャリアCA−1の作製]
(キャリアコアの調製工程)
温度計及び攪拌羽根を備えた3つ口フラスコをウォーターバスにセットし、フラスコ内に、磁性粒子としてのマグネタイト粒子(三井金属株式会社製「MG−7300」、個数平均一次粒子径:0.25μm)100質量部と、モノマーとしてのフェノール13質量部と、濃度37質量%のホルムアルデヒド水溶液15質量部と、濃度25質量%のアンモニア水溶液4質量部と、イオン交換水16質量部とを入れた。
【0070】
続けて、フラスコ内容物を、攪拌しながら45分間かけて90℃まで昇温させた後、フラスコ内容物の温度を90℃に160分間保った。フラスコ内容物を90℃に保っている間にフェノールが重合反応して、キャリアコアが得られた。得られたキャリアコアは、フェノール樹脂(熱硬化性フェノール樹脂)と、その樹脂中に分散したマグネタイト粒子とを含有していた。つまり、得られたキャリアコアは、磁性粒子分散樹脂コアであった。また、得られたキャリアコアは、体積中位径(D50)が36μmであり、3000(103/4π・A/m)の印加磁場での飽和磁化が65A・m2/kgであった。
【0071】
(疎水性無機粒子の調製工程)
温度計及び攪拌羽根を備えた3つ口フラスコに、マグネタイト粒子(関東電化工業株式会社製「KBC−100」、個数平均一次粒子径:0.50μm)100質量部と、トルエン(東京化成工業株式会社製)1000質量部と、疎水化剤としてのn−プロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製「KBM−3033」)20質量部とを入れた後、フラスコ内温を80℃に保持しながら、フラスコ内容物を2時間反応させた。これにより、マグネタイト粒子(基体)の表面にn−プロピル基(疎水性基)が付与された。次いで、フラスコ内温を100℃で2時間保持することによってトルエンを除去し、得られた固形物を解砕し、疎水性無機粒子(詳しくは、n−プロピル基が付与されたマグネタイト粒子)の粉体を得た。
【0072】
なお、疎水性無機粒子の個数平均一次粒子径は、疎水化剤による処理前のマグネタイト粒子の個数平均一次粒子径と同じであった。また、疎水性無機粒子の個数平均一次粒子径は、キャリアCA−1を作製した後、キャリア粒子から分離させた疎水性無機粒子の粉体を測定対象として測定した場合も同じ結果が得られた。以下で説明するキャリアCA−2〜CA−9、CB−3及びCB−4でそれぞれ使用された、疎水性無機粒子の個数平均一次粒子径についても同様であった。
【0073】
(複合コアの調製工程)
前述の手順で得られたキャリアコア100質量部と、前述の手順で得られた疎水性無機粒子3.0質量部とを、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM−10B」)を用いて混合し、キャリアコアの表面に疎水性無機粒子を付着させて、複合コアを得た。混合条件については、回転速度を3500rpmとし、混合時間を10分間とした。得られた複合コアでは、疎水性無機粒子の質量は、キャリアコア100質量部に対して3.0質量部であった。
【0074】
(コート層の形成工程)
転動流動層コーティング装置(岡田精工株式会社製「スピラコータ(登録商標)SP−25」)に、前述の手順で得られた複合コア100質量部を投入し、複合コアを流動させながら、複合コアに向けて、シリコーン樹脂コーティング液を噴霧した。シリコーン樹脂コーティング液としては、シリコーン樹脂溶液(東レ・ダウコーニング株式会社製「SR2400」、固形分濃度:50質量%)を使用した。シリコーン樹脂コーティング液の噴霧量は、以下で説明する熱処理によって形成されるコート層の質量がキャリアコア100質量部に対して4.0質量部となるように調整した。
【0075】
続いて、上記転動流動層コーティング装置内の流動層を、温度280℃の条件で1時間熱処理した。これにより、複合コアと、複合コアの表面全域を覆うコート層(詳しくは、シリコーン樹脂から構成されたコート層)とを備えたキャリア粒子を含むキャリアCA−1が得られた。
【0076】
[キャリアCA−2の作製]
熱処理によって形成されるコート層の質量がキャリアコア100質量部に対して1.0質量部となるように、シリコーン樹脂コーティング液の噴霧量を調整したこと以外は、キャリアCA−1の作製と同じ方法でキャリアCA−2を作製した。キャリアCA−2は、複合コアと、複合コアの表面全域を覆うコート層(詳しくは、シリコーン樹脂から構成されたコート層)とを備えたキャリア粒子を含んでいた。
【0077】
[キャリアCA−3の作製]
熱処理によって形成されるコート層の質量がキャリアコア100質量部に対して7.0質量部となるように、シリコーン樹脂コーティング液の噴霧量を調整したこと以外は、キャリアCA−1の作製と同じ方法でキャリアCA−3を作製した。キャリアCA−3は、複合コアと、複合コアの表面全域を覆うコート層(詳しくは、シリコーン樹脂から構成されたコート層)とを備えたキャリア粒子を含んでいた。
【0078】
[キャリアCA−4の作製]
以下の点を変更したこと以外は、キャリアCA−1の作製と同じ方法で、キャリアCA−4を作製した。キャリアCA−4の作製では、コート層の形成工程において、シリコーン樹脂コーティング液の代わりに、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(三井・ケマーズフロロプロダクツ株式会社製「TLP 10F−1」、以下、PTFEと記載することがある。)と、熱硬化性ポリアミドイミド樹脂(荒川化学工業株式会社製「コンポセラン(登録商標)H901−2」、以下、PAIと記載することがある。)とをメチルエチルケトンに溶解させて、固形分濃度を50質量%としたコーティング液を使用した。コーティング液中のPTFEとPAIとの質量比(PTFE:PAI)は、1:1であった。コーティング液の噴霧量は、形成されるコート層の質量がキャリアコア100質量部に対して4.0質量部となるように調整した。キャリアCA−4の作製では、コート層の形成工程において、流動層の熱処理温度を200℃とした。
【0079】
キャリアCA−4は、複合コアと、複合コアの表面全域を覆うコート層(詳しくは、PTFE及びPAIから構成されたコート層)とを備えたキャリア粒子を含んでいた。
【0080】
[キャリアCA−5の作製]
疎水性無機粒子の調製工程において、マグネタイト粒子100質量部の代わりに、導電性酸化チタン粒子(チタン工業株式会社製「EC−100」、個数平均一次粒子径:0.35μm)100質量部を用いたこと以外は、キャリアCA−1の作製と同じ方法で、キャリアCA−5を作製した。キャリアCA−5は、複合コアと、複合コアの表面全域を覆うコート層(詳しくは、シリコーン樹脂から構成されたコート層)とを備えたキャリア粒子を含んでいた。
【0081】
[キャリアCA−6の作製]
以下の点を変更したこと以外は、キャリアCA−1の作製と同じ方法で、キャリアCA−6を作製した。キャリアCA−6の作製では、疎水性無機粒子の調製工程において、マグネタイト粒子100質量部の代わりに、導電性酸化チタン粒子(チタン工業株式会社製「EC−100」、個数平均一次粒子径:0.35μm)100質量部を用いた。キャリアCA−6の作製では、コート層の形成工程において、シリコーン樹脂コーティング液の代わりに、PTFE(三井・ケマーズフロロプロダクツ株式会社製「TLP 10F−1」)と、PAI(荒川化学工業株式会社製「コンポセラン(登録商標)H901−2」)とをメチルエチルケトンで希釈して、固形分濃度を50質量%としたコーティング液を使用した。コーティング液中のPTFEとPAIとの質量比(PTFE:PAI)は、1:1であった。コーティング液の噴霧量は、形成されるコート層の質量がキャリアコア100質量部に対して4.0質量部となるように調整した。キャリアCA−6の作製では、コート層の形成工程において、流動層の熱処理温度を200℃とした。
【0082】
キャリアCA−6は、複合コアと、複合コアの表面全域を覆うコート層(詳しくは、PTFE及びPAIから構成されたコート層)とを備えたキャリア粒子を含んでいた。
【0083】
[キャリアCA−7の作製]
疎水性無機粒子の調製工程において、マグネタイト粒子100質量部の代わりに、導電性シリカ粒子(チタン工業株式会社製「ES−650E」、個数平均一次粒子径:0.35μm)100質量部を用いたこと以外は、キャリアCA−1の作製と同じ方法で、キャリアCA−7を作製した。キャリアCA−7は、複合コアと、複合コアの表面全域を覆うコート層(詳しくは、シリコーン樹脂から構成されたコート層)とを備えたキャリア粒子を含んでいた。
【0084】
[キャリアCA−8の作製]
以下の点を変更したこと以外は、キャリアCA−1の作製と同じ方法で、キャリアCA−8を作製した。キャリアCA−8の作製では、疎水性無機粒子の調製工程において、マグネタイト粒子100質量部の代わりに、導電性シリカ粒子(チタン工業株式会社製「ES−650E」、個数平均一次粒子径:0.35μm)100質量部を用いた。キャリアCA−8の作製では、コート層の形成工程において、シリコーン樹脂コーティング液の代わりに、PTFE(三井・ケマーズフロロプロダクツ株式会社製「TLP 10F−1」)と、PAI(荒川化学工業株式会社製「コンポセラン(登録商標)H901−2」)とをメチルエチルケトンで希釈して、固形分濃度を50質量%としたコーティング液を使用した。コーティング液中のPTFEとPAIとの質量比(PTFE:PAI)は、1:1であった。コーティング液の噴霧量は、形成されるコート層の質量がキャリアコア100質量部に対して4.0質量部となるように調整した。キャリアCA−8の作製では、コート層の形成工程において、流動層の熱処理温度を200℃とした。
【0085】
キャリアCA−8は、複合コアと、複合コアの表面全域を覆うコート層(詳しくは、PTFE及びPAIから構成されたコート層)とを備えたキャリア粒子を含んでいた。
【0086】
[キャリアCA−9の作製]
複合コアの調製工程において、キャリアコア100質量部に対する疎水性無機粒子の使用量を、1.0質量部に変更したこと以外は、キャリアCA−1の作製と同じ方法で、キャリアCA−9を作製した。キャリアCA−9は、複合コアと、複合コアの表面全域を覆うコート層(詳しくは、シリコーン樹脂から構成されたコート層)とを備えたキャリア粒子を含んでいた。キャリアCA−9では、疎水性無機粒子の質量は、キャリアコア100質量部に対して1.0質量部であった。
【0087】
[キャリアCB−1の作製]
コート層の形成工程において、100質量部の複合コアの代わりに、100質量部のキャリアコア(詳しくは、キャリアCA−1の作製におけるキャリアコアの調製工程と同じ手順で得られたキャリアコア)を用いたこと以外は、キャリアCA−1の作製と同じ方法で、キャリアCB−1を作製した。キャリアCB−1は、キャリアコアと、キャリアコアの表面全域を覆うコート層(詳しくは、シリコーン樹脂から構成されたコート層)とを備えたキャリア粒子を含んでいた。
【0088】
[キャリアCB−2の作製]
複合コアの調製工程において、疎水性無機粒子3.0質量部の代わりに、マグネタイト粒子(関東電化工業株式会社製「KBC−100」、個数平均一次粒子径:0.50μm)3.0質量部を用いたこと以外は、キャリアCA−1の作製と同じ方法で、キャリアCB−2を作製した。キャリアCB−2は、複合コアと、複合コアの表面全域を覆うコート層(詳しくは、シリコーン樹脂から構成されたコート層)とを備えたキャリア粒子を含んでいた。キャリアCB−2では、キャリアコアの表面に付着したマグネタイト粒子の表面が疎水化処理されていなかった。
【0089】
[キャリアCB−3の作製]
以下の点を変更したこと以外は、キャリアCA−1の作製と同じ方法で、キャリアCB−3を作製した。キャリアCB−3の作製では、コート層の形成工程において、100質量部の複合コアの代わりに、100質量部のキャリアコア(詳しくは、キャリアCA−1の作製におけるキャリアコアの調製工程と同じ手順で得られたキャリアコア)を用いた。キャリアCB−3の作製では、コート層の形成工程において、キャリアコアに噴霧するコーティング液として、シリコーン樹脂コーティング液(詳しくは、キャリアCA−1の作製におけるコート層の形成工程で使用したシリコーン樹脂コーティング液と同じ組成のコーティング液)と、疎水性無機粒子(詳しくは、キャリアCA−1の作製における疎水性無機粒子の調製工程と同じ手順で得られた疎水性無機粒子)とを含むコーティング液を用いた。コーティング液の噴霧量は、形成されるコート層中のシリコーン樹脂の質量がキャリアコア100質量部に対して4.0質量部となるように調整した。また、疎水性無機粒子の使用量は、形成されるコート層中の疎水性無機粒子の質量がキャリアコア100質量部に対して3.0質量部となるように調整した。
【0090】
キャリアCB−3は、キャリアコアと、キャリアコアの表面全域を覆うコート層(詳しくは、シリコーン樹脂及び疎水性無機粒子から構成されたコート層)とを備えたキャリア粒子を含んでいた。キャリアCB−3では、キャリアコア100質量部に対するコート層の質量(シリコーン樹脂及び疎水性無機粒子の合計質量)が7.0質量部であった。
【0091】
[キャリアCB−4の作製]
複合コアの調製工程において、フェノール樹脂及びマグネタイト粒子を含有するキャリアコア100質量部の代わりに、フェライトコア(パウダーテック株式会社製「EF−35B」、体積中位径(D50):35μm、3000(103/4π・A/m)の印加磁場での飽和磁化:68A・m2/kg)100質量部を用いたこと以外は、キャリアCA−1の作製と同じ方法で、キャリアCB−4を作製した。キャリアCB−4は、複合コアと、複合コアの表面全域を覆うコート層(詳しくは、シリコーン樹脂から構成されたコート層)とを備えたキャリア粒子を含んでいた。キャリアCB−4では、キャリアコアがフェライトコアであった。
【0092】
キャリアCA−1〜CA−9及びCB−1〜CB−4のそれぞれについて、キャリアコア、キャリアコアの表面に付着した無機粒子、及びコート層の詳細を表1に示す。表1において、キャリアコアの表面に付着した無機粒子の欄の「質量」は、キャリアコア100質量部に対する無機粒子の質量である。コート層の欄の「質量」は、キャリアコア100質量部に対するコート層の質量である。
【0093】
【表1】
【0094】
<評価方法>
各試料(キャリアCA−1〜CA−9及びCB−1〜CB−4)の評価方法は、以下の通りである。
【0095】
[2成分現像剤の調製]
100質量部のキャリア(評価対象:キャリアCA−1〜CA−9及びCB−1〜CB−4の何れか)と、8質量部のトナーTA(上述の方法で得られた正帯電性トナー)とを、ボールミルを用いて30分間混合して、2成分現像剤を調製した。
【0096】
[常温常湿環境下における評価]
(初期、及び印字率1%の画像を5000枚印刷した後の現像性評価)
評価機としては、複合機(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「TASKalfa 500ci」)を用いた。評価対象を含む2成分現像剤(前述の方法で調製した2成分現像剤)を評価機のブラック用現像装置に投入し、補給用トナー(トナーTA)を評価機のブラック用トナーコンテナに投入した。次いで、温度23℃かつ湿度50%RHの常温常湿環境下、上記評価機を用いて、印字率1%の画像を印刷用紙(A4サイズ)に5000枚連続で印刷した。この際、印字率1%の画像を印刷する前(以下、「初期」と記載する。)と、印字率1%の画像を5000枚印刷した後の各々のタイミングにおいて、温度23℃かつ湿度50%RHの常温常湿環境下、上記評価機を用いて、ソリッド部と空白部とを含むサンプル画像を、1枚の印刷用紙(A4サイズ)に形成した。次いで、印刷用紙に形成されたサンプル画像のソリッド部の画像濃度(ID)を、反射濃度計(X−Rite社製「RD914」)を用いて測定した。得られた画像濃度(ID)が1.30以上であれば、「画像品質が特に良い」と評価した。得られた画像濃度(ID)が1.00以上1.30未満であれば、「画像品質が良い」と評価した。得られた画像濃度(ID)が1.00未満であれば、「画像品質が良くない」と評価した。
【0097】
また、上述した画像濃度(ID)の評価に用いたサンプル画像の空白部の画像濃度(ID)を、カラー反射濃度計(伊原電子工業株式会社製「R710」)を用いて測定し、かぶり濃度(FD)を算出した。なお、かぶり濃度(FD)は、印刷後の印刷用紙の空白部の画像濃度(ID)からベースペーパー(未印刷紙)の画像濃度(ID)を引いた値に相当する。
【0098】
得られたかぶり濃度(FD)が0.005以下であれば、「かぶりの発生を特に抑制できている」と評価した。得られたかぶり濃度(FD)が0.005を超えて0.010以下であれば、「かぶりの発生を抑制できている」と評価した。得られたかぶり濃度(FD)が0.010を超える場合は、「かぶりの発生を抑制できていない」と評価した。
【0099】
(印字率5%の画像を10万枚印刷した後の現像性評価)
評価機としては、複合機(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「TASKalfa 500ci」)を用いた。評価対象を含む2成分現像剤(前述の方法で調製した2成分現像剤)を評価機のブラック用現像装置に投入し、補給用トナー(トナーTA)を評価機のブラック用トナーコンテナに投入した。次いで、温度23℃かつ湿度50%RHの常温常湿環境下、上記評価機を用いて、印字率5%の画像を印刷用紙(A4サイズ)に10万枚連続で印刷した。次いで、温度23℃かつ湿度50%RHの常温常湿環境下、上記評価機を用いて、ソリッド部と空白部とを含むサンプル画像を、1枚の印刷用紙(A4サイズ)に形成した。次いで、印刷用紙に形成されたサンプル画像について、上記「初期、及び印字率1%の画像を5000枚印刷した後の現像性評価」と同じ方法で画像濃度(ID)及びかぶり濃度(FD)を得た。
【0100】
得られた画像濃度(ID)が1.30以上であれば、「画像品質が特に良い」と評価した。得られた画像濃度(ID)が1.00以上1.30未満であれば、「画像品質が良い」と評価した。得られた画像濃度(ID)が1.00未満であれば、「画像品質が良くない」と評価した。
【0101】
また、得られたかぶり濃度(FD)が0.005以下であれば、「多数枚印刷後におけるかぶりの発生を特に抑制できている」と評価した。得られたかぶり濃度(FD)が0.005を超えて0.010以下であれば、「多数枚印刷後におけるかぶりの発生を抑制できている」と評価した。得られたかぶり濃度(FD)が0.010を超える場合は、「多数枚印刷後におけるかぶりの発生を抑制できていない」と評価した。
【0102】
[高温高湿環境下における評価]
評価機としては、複合機(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「TASKalfa 500ci」)を用いた。評価対象を含む2成分現像剤(前述の方法で調製した2成分現像剤)を評価機のブラック用現像装置に投入し、補給用トナー(トナーTA)を評価機のブラック用トナーコンテナに投入した。次いで、上記評価機を温度32.5℃かつ湿度80%RHの高温高湿環境下に24時間放置した。次いで、上記高温高湿環境下、上記評価機を用いて、印字率20%の画像を印刷用紙(A4サイズ)に1万枚連続で印刷した。次いで、上記高温高湿環境下、上記評価機を用いて、ソリッド部と空白部とを含むサンプル画像を、1枚の印刷用紙(A4サイズ)に形成した。次いで、印刷用紙に形成されたサンプル画像について、上記「初期、及び印字率1%の画像を5000枚印刷した後の現像性評価」と同じ方法で画像濃度(ID)及びかぶり濃度(FD)を得た。
【0103】
得られた画像濃度(ID)が1.30以上であれば、「画像品質が特に良い」と評価した。得られた画像濃度(ID)が1.00以上1.30未満であれば、「画像品質が良い」と評価した。得られた画像濃度(ID)が1.00未満であれば、「画像品質が良くない」と評価した。
【0104】
また、得られたかぶり濃度(FD)が0.005以下であれば、「高温高湿環境下におけるかぶりの発生を特に抑制できている」と評価した。得られたかぶり濃度(FD)が0.005を超えて0.010以下であれば、「高温高湿環境下におけるかぶりの発生を抑制できている」と評価した。得られたかぶり濃度(FD)が0.010を超える場合は、「高温高湿環境下におけるかぶりの発生を抑制できていない」と評価した。
【0105】
キャリアCA−1〜CA−9及びCB−1〜CB−4のそれぞれについて、各環境下において得られた画像濃度(ID)と、各環境下において得られたかぶり濃度(FD)とを表2に示す。
【0106】
【表2】
【0107】
キャリアCA−1〜CA−9では、キャリア粒子が、複合コアと、複合コアの表面を覆うコート層とを備えていた。キャリアCA−1〜CA−9では、複合コアが、キャリアコアと、キャリアコアの表面に付着した疎水性無機粒子との複合体であった。キャリアCA−1〜CA−9では、キャリアコアが、結着樹脂(フェノール樹脂)と、結着樹脂中に分散した磁性粒子(マグネタイト粒子)とを含有していた。
【0108】
表2に示すように、キャリアCA−1〜CA−9では、常温常湿環境下、印字率5%の画像を10万枚印刷した後のかぶり濃度(FD)が、0.005以下であった。よって、キャリアCA−1〜CA−9は、多数枚印刷後におけるかぶりの発生を特に抑制できていた。
【0109】
表2に示すように、キャリアCA−4及びCA−8では、高温高湿環境下、印字率20%の画像を1万枚印刷した後のかぶり濃度(FD)が、0.005以下であった。よって、キャリアCA−4及びCA−8は、高温高湿環境下におけるかぶりの発生を特に抑制できていた。キャリアCA−1〜CA−3、CA−5〜CA−7及びCA−9では、高温高湿環境下、印字率20%の画像を1万枚印刷した後のかぶり濃度(FD)が、0.005を超えて0.010以下であった。よって、キャリアCA−1〜CA−3、CA−5〜CA−7及びCA−9は、高温高湿環境下におけるかぶりの発生を抑制できていた。
【0110】
キャリアCB−1では、キャリアコアの表面に無機粒子が付着していなかった。キャリアCB−2では、キャリアコアの表面に無機粒子が付着していたが、その無機粒子は疎水化処理されていなかった。キャリアCB−3では、疎水性無機粒子がコート層に含有されていたが、キャリアコアの表面には無機粒子が付着していなかった。キャリアCB−4では、キャリアコアがフェライトコアであった。
【0111】
表2に示すように、キャリアCB−1及びCB−4では、常温常湿環境下、印字率5%の画像を10万枚印刷した後のかぶり濃度(FD)が、0.010を超えていた。よって、キャリアCB−1及びCB−4は、多数枚印刷後におけるかぶりの発生を抑制できていなかった。
【0112】
表2に示すように、キャリアCB−1〜CB−3では、高温高湿環境下、印字率20%の画像を1万枚印刷した後のかぶり濃度(FD)が、0.010を超えていた。よって、キャリアCB−1〜CB−3は、高温高湿環境下におけるかぶりの発生を抑制できていなかった。
【0113】
以上の結果から、本発明によれば、高温高湿環境下におけるかぶりの発生、及び多数枚印刷後におけるかぶりの発生の双方を抑制できることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明に係るキャリア及び2成分現像剤は、例えば複写機、プリンター又は複合機において画像を形成するために用いることができる。
【符号の説明】
【0115】
10 キャリア粒子
11 複合コア
12 コート層
13 キャリアコア
14 無機粒子
15 結着樹脂
16 磁性粒子
図1