【実施例】
【0037】
(実施形態1)
前記ヒートシンクの実施形態を、
図1〜
図7を参照しつつ説明する。本形態のヒートシンク1(
図1参照)は、熱交換器における発熱体を冷却する冷却壁部に取り付けられた状態で使用される。
図3に示すように、ヒートシンク1は、冷媒が流通する冷媒流路2を有している。冷媒流路2は、冷媒が導入される冷媒導入部21と、冷媒が導出される冷媒導出部22と、を有している。また、冷媒導入部21から冷媒導出部22に至る冷媒の経路上には、複数の冷媒接触部23と、冷媒中継部25と、接続部24と、が設けられている。
【0038】
冷媒接触部23は、冷媒導入部21から冷媒導出部22に至る冷媒の経路に沿って互いに間隔をおいて配置されており、冷却壁部と冷媒とを接触させることができるように構成されている。冷媒中継部25は、隣り合う冷媒接触部23の間に配置されており、冷媒の経路における上流側の冷媒接触部23から下流側の冷媒接触部23へ冷媒を中継することができるように構成されている。接続部24は、
図3及び
図5に示すように、冷媒中継部25と冷媒接触部23との間に介在しており、冷媒接触部23及び冷媒中継部25よりも小さい流路断面積を有している。
【0039】
本形態のヒートシンク1の具体的な構成について、より詳細に説明する。
図1及び
図2に示すように、本形態のヒートシンク1は、互いに積層された複数のフィンプレート3(3a、3b)を有しており、隣り合うフィンプレート3の間に冷媒流路2が形成されている。フィンプレート3の積層方向におけるヒートシンク1の外寸法は、54.4mmである。
【0040】
フィンプレート3の材質としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金等の、熱伝導率の高い金属を採用することができる。本形態のフィンプレート3は、具体的には、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる心材の両面に、Al−Si(アルミニウム−シリコン)系合金からなるろう材が積層された、いわゆる両面ブレージングシートから構成されている。
【0041】
図6及び
図7に示すように、フィンプレート3は長方形の板状を呈している。また、本形態のフィンプレート3は、縦方向X及び横方向Zの全体に亘って凹凸が付与されている。フィンプレート3の長さ及び幅は特に限定されることはない。例えば、本形態のフィンプレート3の長さは64mmであり、幅は8mmである。
【0042】
フィンプレート3の厚みは、0.6〜1.5mmであることが好ましい。この場合には、圧力損失の低減及び冷却性能の向上を両立するとともに、フィンプレート3に凹凸形状をより容易に付与することができる。本形態のフィンプレート3の厚みは、具体的には0.8mmである。
【0043】
なお、以下において、フィンプレート3の縦方向Xにおける冷媒導入部21側を「前方X1」といい、冷媒導出部22側を「後方X2」ということがある。また、フィンプレート3の横方向Zにおける、冷却壁部に対面する側を「上方Z1」といい、その反対側を「下方Z2」ということがある。なお、前述した方向に関する表現は便宜上のものであり、ヒートシンク1を実際に配置する際の向きとは何ら関係がない。
【0044】
本形態のヒートシンク1は、より具体的には、フィンプレート3としての第1フィンプレート3aと第2フィンプレート3bとを有している。
図1及び
図2に示すように、本形態のヒートシンク1においては、第1フィンプレート3aと第2フィンプレート3bとが交互に積層されている。
【0045】
図5及び
図6に示すように、第1フィンプレート3aは、平板状を呈する第1基準面部31aと、第1基準面部31aに対して積層方向Yにおける第1方向Y1に陥没した第1凹部32aと、第1基準面部31aに対して第1方向Y1とは反対方向である第2方向Y2に突出した第1凸部33aと、を有している。
図6に示すように、第1凹部32aと第1凸部33aとは、第1フィンプレート3aの縦方向X及び横方向Zにおいて交互に配置されている。
【0046】
本形態の第1フィンプレート3aは、より具体的には、第1凹部32aと第1凸部33aとが横方向Zの上方Z1の辺に沿って交互に設けられた上段凹凸列34aと、下方Z2の辺に沿って設けられた下段凹凸列36aと、上段凹凸列34aと下段凹凸列36aとの間に設けられた中段凹凸列35aとの3列の凹凸列を有している。上段凹凸列34a及び下段凹凸列36aの最も前方X1には第1凹部32aが配置されており、中段凹凸列35aの最も前方X1には第1凸部33aが配置されている。
【0047】
第1基準面部31aは、積層方向Yから視た平面視において、第1凹部32aと第1凸部33aとによって囲まれた部分に配置されている。図には示さないが、第1基準面部31aは、積層方向Yから視た平面視において、縦方向Xに対して45°傾いた方向に延設された長方形状を呈している。
【0048】
図4に示す、積層方向Yにおける第1フィンプレート3aの外寸法H[mm]は、第1フィンプレート3aの厚みをt[mm]とした場合に、1.0≦H/t≦7.0であることが好ましい。この場合には、成形不良を抑制するとともに第1凹部32aの深さ及び第1凸部33aの高さを十分に高くし、伝熱面積をより拡大することができる。その結果、冷却性能をより向上させることができる。本形態の第1フィンプレート3aの積層方向Yにおける外寸法Hは、具体的には1.7mmである。
【0049】
第1凹部32aの底部321a、つまり、最も第1方向Y1側に陥没している部分は、
図5に示すように、第1基準面部31aと平行な平板状を呈している。また、
図6に示すように、複数の第1凹部32aのうち、第1フィンプレート3aの辺に沿って設けられた第1凹部32aの底部321aは、積層方向Yから視た平面視において八角形の一部をなす形状を呈しており、第1フィンプレート3aの辺よりも内部に設けられた第1凹部32aの底部321aは完全な八角形を呈している。
【0050】
図4に示すように、底部321aの周縁部322aは滑らかな曲面状を呈しており、第1凸部33aにおける頂部331aの周縁部332a(後述)に接続されている。
図4に示す、底部321aの周縁部322aにおける外側曲げ半径Rは、1.0〜3.0mmであることが好ましい。この場合には、成形不良を抑制するとともに、圧力損失の低減と冷却性能の向上を両立することができる。本形態の第1フィンプレート3aにおける底部321aの周縁部322aの外側曲げ半径Rは、具体的には1.3mmである。
【0051】
第1凸部33aは、第1凹部32aの凹形状を反転させた形状を有している。図には示さないが、第1凸部33aの頂部331a、つまり、最も第2方向Y2側に突出している部分は、第1凹部32aの底部321aと同様に、第1基準面部31aと平行な平板状を呈している。また、
図6に示すように、複数の第1凸部33aのうち、第1フィンプレート3aの辺に沿って設けられた第1凸部33aの頂部331aは、積層方向Yから視た平面視において八角形の一部をなす形状を呈しており、第1フィンプレート3aの辺よりも内部に設けられた第1凸部33aの頂部331aは完全な八角形を呈している。
【0052】
図4に示すように、頂部331aの周縁部332aは滑らかな曲面状を呈しており、第1凹部32aにおける底部321aの周縁部322aに接続されている。図には示さないが、頂部331aの周縁部332aにおける外側曲げ半径は、第1凹部32aの底部321aと同様に、1.0〜3.0mmであることが好ましい。本形態の第1フィンプレート3aにおける頂部331aの周縁部332aの外側曲げ半径は、具体的には1.3mmである。
【0053】
図4に示す第1フィンプレート3aの成形角度θは、30〜60°であることが好ましい。この場合には、成形不良を抑制するとともに、圧力損失の低減と冷却性能の向上を両立することができる。なお、前述した成形角度θは、具体的には
図4に示すように、第1凹部32aの中央を通る横方向Zの断面において、第1凸部33aの頂部331aにおける第2方向Y2の表面333aと、第1フィンプレート3aの第1方向Y1の表面における、第1凹部32aの周縁部322aと第1凸部33aの周縁部332aとの境界を通る接線334aとのなす角度である。
【0054】
また、前述した表面333aと接線334aとのなす角度に替えて、第1凹部32aの中央を通る横方向Zの断面において、第1凹部32aの底部321aにおける第1方向Y1の表面と、第1フィンプレート3aの第2方向Y2の表面における、第1凹部32aの周縁部322aと第1凸部33aの周縁部332aとの境界を通る接線とのなす角度を成形角度θとすることもできる。本形態の第1フィンプレート3aにおける成形角度θは、具体的には60°である。
【0055】
図5及び
図7に示すように、第2フィンプレート3bは、平板状を呈する第2基準面部31bと、第2基準面部31bに対して第1方向Y1に陥没した第2凹部32bと、第2基準面部31bに対して第2方向Y2に突出した第2凸部33bと、を有している。
図7に示すように、第2凹部32bと第2凸部33bとは、第2フィンプレート3bの縦方向X及び横方向Zにおいて交互に配置されている。
【0056】
本形態の第2フィンプレート3bは、より具体的には、第1フィンプレート3aの凹凸を反転させた形状を有している。即ち、第2フィンプレート3bは、第2凹部32bと第2凸部33bとが横方向Zの上方Z1の辺に沿って交互に設けられた上段凹凸列34bと、下方Z2の辺に沿って設けられた下段凹凸列36bと、上段凹凸列34bと下段凹凸列36bとの間に設けられた中段凹凸列35bとの3列の凹凸列を有している。上段凹凸列34b及び下段凹凸列36bの最も前方X1には第2凸部33bが配置されており、中段凹凸列35bの最も前方X1には第2凹部32bが配置されている。
【0057】
第2基準面部31bは、積層方向Yから視た平面視において、第2凹部32bと第2凸部33bとによって囲まれた部分に配置されている。図には示さないが、第2基準面部31bは、積層方向Yから視た平面視において、縦方向Xに対して45°傾いた方向に延設された長方形状を呈している。
【0058】
図4に示す、積層方向Yにおける第2フィンプレート3bの外寸法H[mm]は、第1フィンプレート3aと同様に、第2フィンプレート3bの厚みをt[mm]とした場合に、1.0≦H/t≦7.0であることが好ましい。この場合には、成形不良を抑制するとともに第2凹部32bの深さ及び第2凸部33bの高さを十分に高くし、伝熱面積をより拡大することができる。その結果、冷却性能をより向上させることができる。本形態の第2フィンプレート3bの積層方向Yにおける外寸法Hは、具体的には1.7mmである。
【0059】
第2凹部32bの底部321b(
図4参照)、つまり、最も第1方向Y1側に陥没している部分は、図には示さないが、第2基準面部31bと平行な平板状を呈している。また、
図7に示すように、第2凹部32bの底部321bは、積層方向Yから視た平面視において、完全な八角形または八角形の一部をなす形状を呈している。第2凸部33bの頂部331b、つまり、最も第2方向Y2側に突出している部分は、第2凹部32bの底部321bと同様に、第2基準面部31bと平行な平板状を呈しており、積層方向Yから視た平面視において、完全な八角形または八角形の一部をなす形状を呈している。
【0060】
図4に示すように、第2凹部32bにおける底部321bの周縁部322b及び第2凸部33bにおける頂部331bの周縁部332bは、滑らかな曲面状を呈しており、底部321bの周縁部322bと、これに隣り合う頂部331bの周縁部332bとが接続されている。底部321bの周縁部322b及び頂部331bの周縁部332bにおける外側曲げ半径Rは、1.0〜3.0mmであることが好ましい。この場合には、成形不良を抑制するとともに、圧力損失の低減と冷却性能の向上を両立することができる。本形態の第2フィンプレート3bにおける、底部321bの周縁部322b及び頂部331bの周縁部332bの外側曲げ半径Rは、具体的には1.3mmである。
【0061】
また、第2フィンプレート3bにおける凹凸形状の成形角度θは、第1フィンプレート3aと同様に、30〜60°であることが好ましい。この場合には、成形不良を抑制するとともに、圧力損失の低減と冷却性能の向上を両立することができる。なお、前述した成形角度θは、具体的には
図4に示すように、第2凹部32bの中央を通る横方向Zの断面において、第2凹部32bの底部321bにおける第1方向Y1の表面323bと、第2フィンプレート3bの第2方向Y2の表面における、第2凹部32bの周縁部322bと第2凸部33bの周縁部332bとの境界を通る接線324bとのなす角度である。
【0062】
また、前述した表面323bと接線324bとのなす角度に替えて、第2凹部32bの中央を通る横方向Zの断面において、第2凸部33bの頂部331bにおける第2方向Y2の表面と、第2フィンプレート3bの第1方向Y1の表面における、第2凹部32bの周縁部322bと第2凸部33bの周縁部332bとの境界を通る接線とのなす角度を成形角度θとすることもできる。本形態の第2フィンプレート3bにおける成形角度θは、具体的には60°である。
【0063】
本形態のヒートシンク1では、
図4に示すように、第1フィンプレート3aの第1凹部32aと、第1フィンプレート3aに隣り合う第2フィンプレート3bの第2凸部33bとが対向しており、第2フィンプレート3bの第2凹部32bと、第2フィンプレート3bに隣り合う第1フィンプレート3aの第1凸部33aとが対向している。また、
図4に示すように、第1凹部32aの底部321aと、第1方向Y1において底部321aに隣り合う第2凸部33bの頂部331bとがろう付接合37を介して接合されており、第1凸部33aの頂部331aと、第2方向Y2において頂部331aに隣り合う第2凹部32bの底部321bとがろう付接合38を介して接合されている。
【0064】
これにより、第1フィンプレート3aと、第2方向Y2において第1フィンプレート3aに隣り合う第2フィンプレート3bとの間に、
図3及び
図5に示すように、第1凹部32aと第2凸部33bとの間の空間、及び、第1基準面部31aと第2基準面部31bとの間の空間を含む冷媒流路2が形成される。また、図には示さないが、第1フィンプレート3aと、第1方向Y1において第1フィンプレート3aに隣り合う第2フィンプレート3bとの間に、第2凹部32bと第1凸部33aとの間の空間、及び、第1基準面部31aと第2基準面部31bとの間の空間を含む冷媒流路2が形成される。
【0065】
本形態の冷媒流路2は、前述した通り、隣り合うフィンプレート3同士の間に形成される。本形態の冷媒流路2における冷媒導入部21は、具体的には、
図3に示すように、第1フィンプレート3aの前方X1の辺に沿って設けられた第1凹部32aと、第2方向Y2において第1凹部32aに隣り合う第2凸部33bとの間の空間、及び、第1フィンプレート3aの前方X1の辺に沿って設けられた第1凸部33aと、第1方向Y1において第1凸部33aに隣り合う第2凹部32bとの間の空間から構成されている。
【0066】
本形態の冷媒導出部22は、具体的には、第1フィンプレート3aの後方X2の辺に沿って設けられた第1凹部32aと、第2方向Y2において第1凹部32aに隣り合う第2凸部33bとの間の空間、及び、第1フィンプレート3aの後方X2の辺に沿って設けられた第1凸部33aと、第1方向Y1において第1凸部33aに隣り合う第2凹部32bとの間の空間から構成されている。
【0067】
本形態の冷媒接触部23は、具体的には、第1フィンプレート3aの上段凹凸列34aと、第2フィンプレート3bの上段凹凸列34bとの間の空間から構成されている。また、冷媒接触部23は、ヒートシンク1の上方Z1の端面に配置されており、冷却壁部に冷媒を直接供給することができるように構成されている。
【0068】
各冷媒流路2における冷媒接触部23は、例えば、以下の式(1)を満足するように配置することができる。但し、下記式(1)におけるλ
lは縦方向Xにおける冷媒接触部23のピッチ(
図3参照)であり、Lはヒートシンク1の縦方向Xにおける寸法であり、nは自然数である。
nλ
l/2=L ・・・(1)
【0069】
本形態の冷媒接触部23のピッチλ
lは、具体的には8.0mmである。本形態の冷媒接触部23は、nの値が16の場合の前記式(1)を満たすように配置されている。
【0070】
本形態の冷媒中継部25は、冷媒接触部23よりも冷却壁部から下方Z2に離隔するように配置されている。冷媒中継部25は、具体的には
図5に示すように、第1フィンプレート3aの中段凹凸列35aと、第2フィンプレート3bの中段凹凸列35bとの間の空間である。
【0071】
本形態の接続部24は、具体的には
図5に示すように、第1フィンプレート3aにおける上段凹凸列34aと中段凹凸列35aとの間に存在する第1基準面部31aと、第2フィンプレート3bにおける上段凹凸列34bと中段凹凸列35bとの間に存在する第2基準面部31bとの間の空間を含んでいる。本形態の接続部24は、冷媒接触部23と冷媒中継部25との間を直線状、つまり、最短距離で接続している。
【0072】
接続部24は、フィンプレート3の縦方向Xに対して傾いた方向に延設されていることが好ましい。この場合には、冷却性能を維持しつつ、冷媒を流す際の圧力損失をより低減することができる。高い冷却性能と、低い圧力損失とを両立させる観点からは、縦方向Xに対する接続部24の延設方向の傾きが20〜70°であることが好ましく、30〜60°であることがより好ましく、40〜50°であることがさらに好ましい。本形態の接続部24は、具体的には、フィンプレート3の縦方向Xに対して45°傾いた方向に延設されている。
【0073】
また、本形態の冷媒流路2は、更に、隣り合う冷媒中継部25の間に配置され、冷媒の経路における上流側の冷媒中継部25から下流側の冷媒中継部25へ冷媒を中継する第2冷媒中継部27と、第2冷媒中継部27と冷媒中継部25との間に介在し、冷媒中継部25及び第2冷媒中継部27よりも流路断面積の小さい第2接続部26と、を有している。
【0074】
本形態の第2冷媒中継部27は、具体的には
図5に示すように、第1フィンプレート3aの下段凹凸列36aと、第2フィンプレート3bの下段凹凸列36bとの間の空間である。
【0075】
本形態の第2接続部26は、具体的には、第1フィンプレート3aにおける中段凹凸列35aと下段凹凸列36aとの間に存在する第1基準面部31aと、第2フィンプレート3bにおける上段凹凸列34bと中段凹凸列35bとの間に存在する第2基準面部31bとの間の空間を含んでいる。本形態の第2接続部26は、冷媒中継部25と第2冷媒中継部27との間を直線状、つまり、最短距離で接続している。
【0076】
第2接続部26は、接続部24と同様に、フィンプレート3の縦方向Xに対して傾いた方向に延設されていることが好ましい。この場合には、冷却性能を維持しつつ、冷媒を流す際の圧力損失をより低減することができる。高い冷却性能と、低い圧力損失とを両立させる観点からは、縦方向Xに対する第2接続部26の延設方向の傾きは、20〜70°であることが好ましく、30〜60°であることがより好ましく、40〜50°であることがさらに好ましい。本形態の第2接続部26は、具体的には、フィンプレート3の縦方向Xに対して45°傾いた方向に延設されている。
【0077】
本形態のヒートシンク1は、冷媒導入部21と冷媒導出部22との間に配置された複数の冷媒接触部23と、冷媒の経路における上流側の冷媒接触部23から下流側の冷媒接触部23へ冷媒を中継する冷媒中継部25と、冷媒中継部25と冷媒接触部23との間に介在する接続部24と、を備えた冷媒流路2を有している。また、接続部24は、冷媒接触部23及び冷媒中継部25よりも小さい流路断面積を有している。
【0078】
本形態のヒートシンク1の冷媒流路2内における冷媒の流れは、例えば以下のようになる。冷媒導入部21から流路内に流入した冷媒は、冷媒導入部21から冷媒接触部23へ導かれる。そして、冷媒接触部23において熱交換器の冷却壁部等と熱交換した冷媒は、接続部24内を介して冷媒中継部25へ流入する。接続部24の流路断面積は冷媒接触部23及び冷媒中継部25よりも小さいため、冷媒中継部25内へ流入した冷媒は、流路の拡縮によって攪拌される。また、冷媒中継部25から接続部24を介して冷媒接触部23に流入する冷媒も、前記と同様に、接続部24と冷媒接触部23及び冷媒中継部25との流路断面積の違いによって攪拌される。
【0079】
従って、ヒートシンク1は、冷媒接触部23と冷媒中継部25との間に接続部24を設けることにより、冷媒流路2内を流れる冷媒を効率よく攪拌し、冷媒流路2内の冷媒の温度の偏りを低減することができる。これにより、ヒートシンク1に接触する冷媒とヒートシンク1との温度差をより大きくすることができる。その結果、熱交換器の冷却性能を向上させることができる。
【0080】
また、冷媒流路2は、隣り合う冷媒中継部25の間に配置され、冷媒の経路における上流側の冷媒中継部25から下流側の冷媒中継部25へ冷媒を中継する第2冷媒中継部27と、第2冷媒中継部27と冷媒中継部25との間に介在し、冷媒中継部25及び第2冷媒中継部27よりも流路断面積の小さい第2接続部26と、を有している。そのため、第2冷媒中継部27において、冷媒接触部23と同様に冷媒を攪拌することができる。更に、冷媒中継部25において、冷媒接触部23から接続部24を介して流入する冷媒の流れと、第2冷媒中継部27から第2接続部26を介して流入する冷媒の流れとを合流させ、冷媒をより効果的に攪拌することができる。これらの結果、熱交換器の冷却性能をより向上させることができる。
【0081】
また、本形態における第1凹部32aの周縁部322a、第1凸部33aの周縁部332a、第2凹部32bの周縁部322b及び第2凸部33bの332bは、いずれも滑らかな曲面より構成されている。これにより、冷媒流路2のいずれの位置においても、ヒートシンク1の内表面が冷媒の流れ方向に直交する面に対して傾斜している。即ち、本形態のヒートシンク1の内表面は、冷媒の流れ方向に直交する面を有さない。
【0082】
このように、ヒートシンク1を、その内表面が冷媒の流れ方向に直交する面を有さないように構成することにより、冷媒の流通抵抗をより低減することができる。その結果、圧力損失をより低減することができる。
【0083】
(実施形態2)
本形態では、凹凸形状を付与する範囲を変更したフィンプレート302を説明する。なお、本形態以降の形態において使用する符号のうち、既出の形態と同一の符号は、特に説明のない限り、既出の形態における構成要素等と同様の構成要素等を示す。
【0084】
実施形態1においては、縦方向X及び横方向Zの全体に凹部32(第1凹部32a、第2凹部32b)及び凸部33(第1凸部33a、第2凸部33b)を設けた第1フィンプレート3a及び第2フィンプレート3bを示したが、凹部32及び凸部33は、フィンプレート3の一部に設けられていてもよい。
【0085】
例えば、
図8に示すように、凹部32及び凸部33は、フィンプレート302の縦方向Xにおける一部に設けられていてもよい。例えば、発熱体の搭載予定位置の直下に凹部32及び凸部33を設けることにより、十分な冷却性能を確保しつつ、凹凸形状による圧力損失の増大を抑制することができる。
【0086】
(実施形態3)
本形態では、凹凸形状を付与する範囲を変更したフィンプレート303のさらに他の態様を説明する。例えば
図9に示すように、凹部32及び凸部33は、フィンプレート303の横方向Zにおける一部に設けられていてもよい。この場合にも、凹凸形状によって冷却性能を高めるとともに、凹凸形状による圧力損失の増大を抑制することができる。
【0087】
(実施形態4)
本形態では、ヒートシンク1を備えた熱交換器4を説明する。
図10〜
図12に示すように、熱交換器4は、ヒートシンク1と、冷却ジャケット5とを有している。
図10及び
図12に示すように、冷却ジャケット5は、発熱体を冷却する冷却壁部51を含む外壁部52と、外壁部52によって囲まれた内部空間53と、外壁部52を貫通し、熱交換器4の外部から内部空間53へ冷媒を供給する冷媒入口54と、内部空間53から熱交換器4の外部へ冷媒を排出する冷媒出口55と、を有している。ヒートシンク1は、冷却ジャケット5の内部空間53に収容されている。
【0088】
冷却ジャケット5の外壁部52は、
図10及び
図11に示すように、略長方形状を呈する蓋部56と、蓋部56上に載置されるカップ部57とを有している。
図10及び
図12に示すように、カップ部57は、蓋部56に対面して配置され、略長方形状を呈する冷却壁部51と、冷却壁部51の外周端縁から蓋部56側に延出した側壁部571と、側壁部571の先端に形成され、蓋部56に接合されるフランジ部572とを有している。なお、蓋部56とフランジ部572との接合は、例えば、ろう付、溶接及び摩擦撹拌接合等の方法により行うことができる。
【0089】
冷媒入口54及び冷媒出口55は、冷却壁部51の外周縁部における、一対の短辺の中央部に設けられている。
【0090】
図12に示すように、蓋部56とカップ部57とによって囲まれた冷却壁部51の内部空間53には、ヒートシンク1が配置されている。ヒートシンク1は、冷媒流路2の冷媒導入部21を冷却ジャケット5の冷媒入口54側、冷媒導出部22を冷媒出口55側に向けて配置されている。
【0091】
図12に示すように、本形態においては、フィンプレート3の横方向Zにおける両端面34(341、342)が、冷却壁部51の内表面または蓋部56の内表面にろう付接合を介して接合されている。
【0092】
本形態のように複数のフィンプレート3を備えたヒートシンク1を冷却ジャケット5にろう付する場合には、冷媒接触部23を有する側のヒートシンク1の端面の平面度及び冷媒接触部23を有しない側のヒートシンク1の端面の平面度を0.2mm以下とすることが好ましい。この場合には、冷却ジャケット5とヒートシンク1とをろう付する際に、冷却ジャケット5とヒートシンク1との間により容易にろうを進入させ、ボイド等の接合欠陥の発生をより効果的に抑制することができる。
【0093】
なお、冷媒接触部23を有しない側のヒートシンク1の端面の平面度は、前述した、冷媒接触部23を有する側のヒートシンク1の端面の平面度と同様の方法により測定することができる。即ち、ヒートシンク1を定盤上に載置して、フィンプレート3の横方向Zにおける一対の端面34のうち、冷媒接触部23を有する側の端面341を定盤に当接させる。次いで、ハイトゲージを用いて、フィンプレートにおける冷媒接触部23を有しない側の端面342の高さを種々の位置において測定する。そして、測定結果のうち最大の高さと最小の高さとの差を、冷媒接触部23を有しない側のヒートシンク1の端面の平面度とする。
【0094】
本形態の熱交換器4は、上記の構成を有しているため、冷媒入口54から内部空間53に流入した冷媒を、ヒートシンク1の冷媒導入部21を介して冷媒流路2内に導くことができる。また、冷媒流路2内の冷媒は、前述したように、冷媒中継部25、接続部24、第2冷媒中継部27及び第2接続部26により攪拌されながら、冷媒接触部23において冷却壁部51と熱交換することができる。そして、冷媒導出部22に到達した冷媒は、冷媒出口55から排出される。これにより、冷却壁部51の外表面に搭載した発熱体を効率よく冷却することができる。
【0095】
(比較形態1)
本形態では、縦方向に延設された複数の縦リブ911(911a、911b)と、縦リブ911に直交する複数の横リブ912(912a、912b)と、縦リブ911及び横リブ912によって区画された複数のスリット913を有する格子状のプレート91(91a、91b)を複数枚積層してなるヒートシンク9を説明する。本形態のヒートシンク9は、
図13〜
図15に示すように、縦方向に延在する多数のスリット913aを有する第1のプレート91aと、縦方向におけるスリット913bの位置が、第1のプレート91aのスリット913aに対してスリット913のピッチの半分ずれている第2のプレート91bとを有しており、第1のプレート91aと第2のプレート91bとが交互に積層されている。
図15に示すように、本形態のヒートシンク9の冷媒流路は、第1のプレート91aのスリット913aと、第2のプレート91bのスリット913bとによって構成されている。
【0096】
具体的には、本形態のヒートシンク9は、縦64mm、横54.2mm、厚み8mmの外寸法を有している。プレート91の厚みは1.0mmである。また、プレート91の縦リブ911の幅は1.0mmであり、縦リブ911同士の間隔(つまり、スリット913の幅)は0.90mmである。また、プレート91の横リブ912の幅は2.0mmであり、横リブ912同士の間隔(つまり、スリット913の長さ)は5.75mmである。
【0097】
実施形態1のヒートシンクと比較形態1のヒートシンク9との冷却性能及び圧力損失は、例えば、以下の熱流体シミュレーションにより比較することができる。
【0098】
まず、ヒートシンク1、9に冷却壁部51としてのアルミニウム板を載置した構造モデルを準備する。この冷却壁部51上に、発熱量1650Wの発熱体を配置する。そして、ヒートシンク1、9の冷媒流路に、冷媒としてのロングライフクーラントを種々の流量で供給し、発熱体の温度が定常状態に達した時点での発熱体と冷媒との間の熱抵抗及び圧力損失(つまり、冷媒流路の入口における冷媒の圧力と、出口における冷媒の圧力との差)を算出する。
【0099】
図16に、実施形態1のヒートシンク1及び比較形態1のヒートシンク9における、熱抵抗と圧力損失との関係をプロットしたグラフを示す。なお、
図16の縦軸は、比較形態1のヒートシンク9において冷媒流量が6L/分であるときの熱抵抗の値を基準とした場合の熱抵抗の比率であり、横軸は、比較形態1のヒートシンク9において冷媒流量が6L/分であるときの圧力損失の値を基準とした場合の圧力損失の比率である。
【0100】
図16に示したように、実施形態1のヒートシンク1は、比較形態1のヒートシンク9と同程度の熱抵抗を、比較形態のヒートシンク9よりも低い圧力損失で達成することができる。これらの結果から、実施形態1のヒートシンク1によれば、冷却性能を高めるとともに、圧力損失を低減できることが理解できる。
【0101】
本発明に係るヒートシンクの具体的な態様は、実施形態1〜3に示した態様に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜構成を変更することができる。例えば、第1凹部及び第2凹部の底部、第1凸部及び第2凸部の頂部は、円や楕円、四角形、六角形及びこれらの一部をなす形状を呈していてもよい。
【0102】
また、実施形態1〜3においては、第1凹部及び第2凹部の底部、第1凸部及び第2凸部の頂部が平板状を呈する構成を示したが、第1凹部、第2凹部、第1凸部及び第2凸部は、例えば半球状などの、平板状の底部や頂部を有しない形状であってもよい。
【0103】
第1フィンプレート3aと第2フィンプレート3bとは、実施形態1〜3に示したようにろう付接合によって互いに接合されていてもよいし、例えば、複数のフィンプレートに交差し、複数のフィンプレートを連結する連結部材によって保持されていてもよい。
【0104】
更に、実施形態1〜3においては、各フィンプレートが上段凹凸列、中段凹凸列、下段凹凸列の3列の凹凸列を有する構成を示したが、各フィンプレートは、4列以上の凹凸列を有していてもよい。凹凸列は、例えば、以下の式(2)を満足するように配置することができる。但し、下記式(2)におけるλ
hは横方向Zにおける凹凸列のピッチであり、hはヒートシンクの横方向Zにおける寸法であり、mは自然数である。
mλ
h/2=h ・・・(1)