【実施例】
【0054】
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0055】
なお、以降の実験において、使用したマイクロウェルチップの各ウェルは、行番号と列番号で特定した。具体的には、左からX行目の上からY番目のウェルをウェル
XY(XとYは自然数)と表記した。
【0056】
[製造例1]
マイクロウェルチップを作製し、ウェルの底部及び多孔質膜の光透過性を調べた。
まず、50mm四方の厚み3mmのアクリル板を加工して、直径13mmの貫通孔を2mm間隔で3列×3行の合計9個形成した基板を作製した。この基板の底面に、貫通孔を塞ぐようにポリテトラフルオロエチレン(PTFE)テープ(製品名:チューコーフローテープ、中興化成工業社製、厚み:80μm)をはって固定した。この基板をマイクロウェルチップとし、一方の開口部をPTFEテープで塞いだ貫通孔がウェルとし、PTFEテープがウェルの底部とした。作製されたマイクロウェルチップの上面図を
図5に示す。
【0057】
作製したマイクロウェルチップの底部及びウェル内に入れる多孔質膜の光透過性を調べた。多孔質膜としては、セルロースシート(製品名:定量濾紙No.5A、ADVANTEC社製、厚み220μm/細孔7μm)と、メンブランフィルター(ADVANTEC社製、厚み35μm/細孔1μm)を用いた。これらの多孔質膜を、ウェル(貫通孔)と同じ大きさに打ち抜き、ウェル内の底面に設置した。多孔質膜を内底面に敷いたウェルの断面図を
図6に示す。
【0058】
マイクロウェルチップのウェルのうち、1つは底部となるPTFEテープを外し、1つは多孔質膜なしとし、1つは1枚のセルロースシートを底部に敷き、1つは1枚のセルロースシートと1枚のメンブランフィルターを重ねて底部に敷いた。次いで、このマイクロウェルチップを、
図1に示す撮影補助具(ただし、箱体の高さ:7cm、面発光型光源:有機ELパネル、拡大レンズなし)の有機ELパネルに載せ置き、カメラ搭載の市販のスマートフォン(幅約7cm、長さ約13cm)を用いて撮影した。スマートフォンのカメラレンズとマイクロウェルチップの間の撮影距離は約5cmであった。
【0059】
撮像した画像中のウェル領域の輝度を、市販の画像解析ソフトウェア(製品名: Photoshop、Adobe Systems社製)を用いて測定した。測定結果を表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
画像の輝度は一般的に、0(暗)〜256(明)の範囲内で相対値として表示される。即ち、測定環境が同じ条件下であれば、ウェルが光透過性の低い材料で充填される程、撮像した画像中のウェル領域の輝度は0へ減少する。一方、光透過性の高い材料で充填される程、輝度は256へ増加していく。ウェルの底部及び多孔質膜の光透過性は、ウェル領域の輝度値で相対的に評価した。ウェル領域の輝度値が小さ過ぎる画像や白過ぎる画像では、ウェル領域の着色変化の解析が困難となる。PTFEテープを底部とし、多孔質膜としてセルロースシートとメンブランフィルターを使用したウェルは、撮像した画像の輝度値が60〜200であり、発色反応を行った場合に反応液の着色変化を画像解析で検出できることが確認された。
【0062】
[実施例1]
50mm四方のアクリル板に代えて40mm四方のアクリル板を用い、ウェルとする貫通孔の内径を13mmから10mmとし、PTFEテープで形成したウェルの内底部にウェルの内径と同じ大きさのセルロースシートを1枚置いた以外は製造例1と同様にして、3行×3列のウェルが形成されたマイクロウェルチップを作製した。このマイクロウェルチップを用いて、β−ガラクトシダーゼの酵素活性を測定した。β−ガラクトシダーゼは、pH7.3、37℃で1分間に1μmolのo−ニトロフェノールを生成する酵素量を1unitとする精製酵素を用いた。
【0063】
1.0×10
−2MのONPG溶液(ONPGを1.0×10
−2Mとなるように、pH7.0〜7.5のPBSに溶解させた溶液)を、1ウェル当たり50μLずつウェル内のセルロースシートに滴下し、70℃で加熱して水分を蒸散させて、ONPGを当該セルロースシートに担持させた。次いで、β−ガラクトシダーゼ溶液(所定の濃度となるようにβ−ガラクトシダーゼをPBSに溶解させた溶液)を、1ウェル当たり200μLずつ注入した。ウェル
11及びウェル
12には1unit/mLのβ−ガラクトシダーゼ溶液を、ウェル
13及びウェル
21には0.5unit/mLのβ−ガラクトシダーゼ溶液を、ウェル
22及びウェル
23には0.1unit/mLのβ−ガラクトシダーゼ溶液を、ウェル
31及びウェル
32には0.01unit/mLのβ−ガラクトシダーゼ溶液を、ウェル
33にはブランクとして等量のPBSを、それぞれ注入した。β−ガラクトシダーゼ溶液注入後、室温で10分間反応させた。反応終了後、当該マイクロウェルチップを、製造例1で使用した撮影補助具を用いて製造例1と同じ撮影条件で撮影した。
【0064】
撮像した画像を、画像解析ソフトウェア(製品名:イメージングセンシング2019、アーズ社製)を用いて解析し、それぞれのウェル領域のR成分の強度値(R値)を測定した。測定結果を表2に示す。
【0065】
【表2】
【0066】
表2の測定結果について、β−ガラクトシダーゼ濃度とR値の関係を
図7に示す。
図7(A)は表2中のセットAのサンプルの結果を、
図7(B)は表2中のセットBのサンプルの結果を、
図7(C)は表2中のセットAとセットBのサンプルの平均の結果を、それぞれ示す。
図7に示すように、セットAとセットB(いずれもn=1)のβ−ガラクトシダーゼ濃度とR値は、寄与率r
2が0.95以上と高い相関があった。当該結果から、本実験で撮像した画像中のウェル領域のR値は、n=1であっても、ウェル中のβ−ガラクトシダーゼ濃度と高い相関があり、R値に基づいてβ−ガラクトシダーゼ濃度を測定できることが確認された。また、セットAとセットBにおいて、β−ガラクトシダーゼ濃度が同じウェル同士はR値も同程度であり、ウェルのチップ中の位置の影響もあまりないことも確認された。さらに、セットAとセットBの平均値(n=2)は、r
2がほぼ1であり、n=1のセットA及びセットBよりも寄与率が大きかったことから、n数が大きいほど相関も高くなることが確認された。
【0067】
[比較例1]
実施例1で作製したマイクロウェルチップと同様にして作製されたマイクロウェルチップを用いて、実施例1で使用したβ−ガラクトシダーゼの酵素活性を測定した。具体的には、ウェルにセルロースシートをひかず、ONPGをウェルの内底面に直接滴下し、水分を蒸散させてONPGを内底面に直接固定した以外は、実施例1と同様にして発色反応を行い、反応終了後、当該マイクロウェルチップを、実施例1で使用した撮影補助具を用いて実施例1と同じ撮影条件で撮影した。撮像した画像を実施例1と同様にして解析し、それぞれのウェル領域のR成分の強度値(R値)を測定した。測定結果を表3に示す。
【0068】
【表3】
【0069】
表3の測定結果について、β−ガラクトシダーゼ濃度(y)とR値(x)の関係を調べたところ、回帰直線と寄与率は表4に示す通りとなった。このように、多孔質膜を使用せず、ウェル底面に直接発光性基質を固定した条件では、画像解析により得られるR値と発光反応の反応液中の酵素活性との相関性が低く、当該方法では酵素活性を精度よく測定することは困難であった。
【0070】
【表4】
【0071】
[比較例2]
実施例1で作製したマイクロウェルチップと同様にして作製されたマイクロウェルチップを用いて、実施例1で使用したβ−ガラクトシダーゼの酵素活性を測定した。具体的には、ウェルにセルロースシートをひかず、ONPGをウェルの内底面に直接滴下し、加熱蒸散させずにβ−ガラクトシダーゼ溶液を注入した以外は、実施例1と同様にして発色反応を行い、反応終了後、当該マイクロウェルチップを、実施例1で使用した撮影補助具を用いて実施例1と同じ撮影条件で撮影した。撮像した画像を実施例1と同様にして解析し、それぞれのウェル領域のR成分の強度値(R値)を測定した。測定結果を表5に示す。
【0072】
【表5】
【0073】
表5の測定結果について、β−ガラクトシダーゼ濃度(y)とR値(x)の関係を調べたところ、回帰直線と寄与率は表6に示す通りとなった。このように、多孔質膜を使用せず、発光性基質を固定せず、溶液中で発光性基質と酵素を接触させた条件では、画像解析により得られるR値と発光反応の反応液中の酵素活性との相関性が低く、当該方法では酵素活性を精度よく測定することは困難であった。
【0074】
【表6】
【0075】
[実施例2]
実施例1で作製したマイクロウェルチップと同様にして作製されたマイクロウェルチップを用いて、実施例1で使用したβ−ガラクトシダーゼの酵素活性を測定した。具体的には、マイクロウェルチップの撮像時に、
図4に示す撮影補助具(ただし、脚部の高さ:4cm、光源:チップ上方からの自然光)を用い、かつスマートフォンのカメラレンズに拡大レンズを装着した以外は実施例1と同様にして、発色反応を行い、反応終了後、当該マイクロウェルチップを実施例1と同じ撮影条件で撮影した。拡大レンズとマイクロウェルチップの間の撮影距離は約2cmであった。撮像した画像を実施例1と同様にして解析し、それぞれのウェル領域のR成分の強度値(R値)を測定した。測定結果を表7に示す。
【0076】
【表7】
【0077】
表7の測定結果について、β−ガラクトシダーゼ濃度(y)とR値(x)の関係を調べたところ、回帰直線と寄与率は表8に示す通りとなった。セットAはr
2が0.8未満であったが、セットBは0.9弱であり、かつセットAとセットBの平均値(n=2)もr
2が0.9弱と高く、ウェル中のβ−ガラクトシダーゼ濃度と高い相関があった。これらの結果から、マイクロウェルチップの上面からの自然光の照射環境下で撮像された画像に基づいても、R値に基づいてβ−ガラクトシダーゼ濃度を測定できることが確認された。
【0078】
【表8】
【0079】
[実施例3]
実施例1で作製したマイクロウェルチップと同様にして作製されたマイクロウェルチップを用いて、β−グルクロニダーゼの酵素活性を測定した。β−グルクロニダーゼは、pH5.0、37℃で60分間に1μgのフェノールフタレインを生成する酵素量を1unitとする精製酵素を用いた。
【0080】
1.0×10
−4MのX−Gluc溶液(X−Glucを1.0×10
−4Mとなるように、pH7.0〜7.5のPBSに溶解させた溶液)を、1ウェル当たり200μLずつウェル内のセルロースシートに滴下し、70℃で加熱して水分を蒸散させて、X−Glucを当該セルロースシートに担持させた。次いで、β−グルクロニダーゼ溶液(所定の濃度となるようにβ−グルクロニダーゼをPBSに溶解させた溶液)を、1ウェル当たり200μLずつ注入した。ウェル
11及びウェル
22には1000unit/mLのβ−グルクロニダーゼ溶液を、ウェル
12及びウェル
31には750unit/mLのβ−グルクロニダーゼ溶液を、ウェル
13及びウェル
23には500unit/mLのβ−グルクロニダーゼ溶液を、ウェル
21及びウェル
32には100unit/mLのβ−グルクロニダーゼ溶液を、ウェル
33にはブランクとして等量のPBSを、それぞれ注入した。β−グルクロニダーゼ溶液注入後、37℃で60分間反応させた。反応開始から15分後、30分後、及び60分後に、当該マイクロウェルチップを、製造例1で使用した撮影補助具を用いて製造例1と同じ撮影条件で撮影した。
【0081】
撮像した画像を、画像解析ソフトウェア(製品名:イメージングセンシング2019、アーズ社製)を用いて、色相を増大させた後に階調反転を行い、画像を補正した。補正後の画像を解析してそれぞれのウェル領域のR成分の強度値(R値)を測定した。測定結果を表9に示す。
【0082】
【表9】
【0083】
表9の測定結果について、β−グルクロニダーゼ濃度と補正後の画像のR値の関係を
図8に示す。
図8(A)は反応開始から15分後のサンプルの結果を、
図8(B)は30分後のサンプルの結果を、
図8(C)は60分後のサンプルの平均の結果を、それぞれ示す。
図8に示すように、反応開始から15〜60分後のいずれにおいても、撮像した画像中のウェル領域のR値は、ウェル中のβ−グルクロニダーゼ濃度と高い相関があり、R値に基づいてβ−グルクロニダーゼ濃度を測定できることが確認された。
【0084】
[実施例4]
実施例1で作製したマイクロウェルチップと同様にして作製されたマイクロウェルチップ8枚を用いて、実施例3で使用したβ−グルクロニダーゼの酵素活性を測定した。撮影補助具としては、実施例1で用いた撮影補助具(箱体の高さ:7cm、面発光型光源:有機ELパネル、拡大レンズなし)、又は
図2に記載の撮影補助具(ただし、箱体の高さ:7cm、面発光型光源:白色LEDパネル、拡大レンズなし)を用いた。いずれも、スマートフォンのカメラレンズとマイクロウェルチップの間の撮影距離は約5cmであった。
【0085】
1.0×10
−4MのX−Gluc溶液(X−Glucを1.0×10
−4Mとなるように、pH7.0〜7.5のPBSに溶解させた溶液)を、1ウェル当たり200μLずつウェル内のセルロースシートに滴下し、70℃で加熱して水分を蒸散させて、X−Glucを当該セルロースシートに担持させた。次いで、ウェル
11、ウェル
13、ウェル
31、及びウェル
33にはβ−グルクロニダーゼ溶液(所定の濃度となるようにβ−グルクロニダーゼをPBSに溶解させた溶液)を、ウェル
12、ウェル
21、ウェル
23、及びウェル
32にはPBSを、それぞれ1ウェル当たり200μLずつ注入した(n=4)。マイクロウェルチップ8枚のうち、2枚には1000unit/mLのβ−グルクロニダーゼ溶液を、2枚には750unit/mLのβ−グルクロニダーゼ溶液を、2枚には500unit/mLのβ−グルクロニダーゼ溶液を、残る2枚には100unit/mLのβ−グルクロニダーゼ溶液を、それぞれ注入した。β−グルクロニダーゼ溶液注入後、37℃で60分間反応させた。反応開始から15分後、30分後、及び60分後に、当該マイクロウェルチップを、製造例1で使用した撮影補助具又は
図2に記載の撮影補助具を用いて、Auto(自動補正)モード又は曇りモードで撮影した。
【0086】
撮像した画像を実施例3と同様にして補正し、補正後の画像を解析してそれぞれのウェル領域のR成分の強度値(R値)を測定した。マイクロウェルチップごとに、β−グルクロニダーゼを含む反応液を注入した4ウェルのR値の平均値と、ブランクの4ウェルのR値の平均値とを求め、ブランクのR値を1とした相対R値を求めた。
図9には、有機ELパネルを備えた撮影補助具を用いてAutoモードで撮影した補正後の画像の相対R値を、
図10には、有機ELパネルを備えた撮影補助具を用いて曇りモードで撮影した補正後の画像の相対R値を、
図11には、白色LEDパネルを備えた撮影補助具を用いてAutoモードで撮影した補正後の画像の相対R値を、
図12には、白色LEDパネルを備えた撮影補助具を用いて曇りモードで撮影した補正後の画像の相対R値を、それぞれ示す。
図9〜12中、(A)は反応開始から15分後のサンプルの結果を、(B)は30分後のサンプルの結果を、(C)は60分後のサンプルの平均の結果を、それぞれ示す。
図9〜12に示すように、いずれの撮影条件であっても、反応開始から15〜60分後のいずれにおいても、反応開始から15〜60分後のいずれにおいても、撮像した画像中のウェル領域の相対R値は、ウェル中のβ−グルクロニダーゼ濃度と高い相関があり(r
2が0.8以上)、R値に基づいてβ−グルクロニダーゼ濃度を測定できることが確認された。
【0087】
[実施例5]
実施例1で作製したマイクロウェルチップと同様にして作製されたマイクロウェルチップ2枚を用い、実施例4で使用した2種類の撮影補助具を用いて、大腸菌を含む試料の酵素活性を測定した。
【0088】
マスタープレートから帯状に生育した大腸菌をスパーテルで採取し、5mL容チューブ(2mLのPBS入り)に入れて撹拌したものを、大腸菌試料原液とした。
表10に示すように、1質量%塩化バリウム水溶液と1質量%硫酸水溶液とを適宜混合してマクファーランド濁度標準液(No 0.5、1、2、3)を調製した。各濁度標準液の濁度を分光光度計で測定し、検量線を作成した。この検量線に基づいて、大腸菌試料原液をPBSで適宜希釈して、推定生菌数9.0×10
8CFU/mLの大腸菌試料を作製した。
【0089】
【表10】
【0090】
1.0×10
−4MのX−Gluc溶液(X−Glucを1.0×10
−4Mとなるように、pH7.0〜7.5のPBSに溶解させた溶液)を、1ウェル当たり200μLずつウェル内のセルロースシートに滴下し、70℃で加熱して水分を蒸散させて、X−Glucを当該セルロースシートに担持させた。次いで、ウェル
11、ウェル
13、ウェル
31、及びウェル
33には大腸菌試料を、ウェル
12、ウェル
21、ウェル
23、及びウェル
32にはPBSを、それぞれ1ウェル当たり350μLずつ注入した(n=4)。β−グルクロニダーゼ溶液注入後、37℃で8時間反応させた。反応開始から0.5時間後、2時間後、4時間後、6時間後、及び8時間後に、当該マイクロウェルチップを、実施例4で使用した2種類の撮影補助具を用いて、Auto(自動補正)モード又は曇りモードで撮影した。
【0091】
有機ELパネルを用いた撮影補助具を用いた測定では、発色反応開始2時間では僅かに目視で確認できる程度の着色であったが、反応開始4時間以降では鮮明に青色の呈色が確認できた。白色LEDパネルを用いた撮影補助具を用いた測定では、発色反応開始2時間でも目視で青色の呈色が確認できた。すなわち、目視による定性的な検査であれば、白色LEDパネルを用いた撮影補助具のほうがより短時間で大腸菌を検出できた。
【0092】
撮像した画像を実施例3と同様にして補正し、補正後の画像を解析してそれぞれのウェル領域のR成分の強度値(R値)を測定した。マイクロウェルチップごとに、β−グルクロニダーゼを含む反応液を注入した4ウェルのR値の平均値と、ブランクの4ウェルのR値の平均値とを求めた。
図13に各反応液のR値の経時的変化を示す。この結果、有機ELパネルを用いた撮影補助具を用いた測定は、白色LEDパネルを用いた撮影補助具を用いた測定よりも、ブランクとのR値の差が大きく、色相変化の検出感度が高かった。特に、有機ELパネルを用いた撮影補助具を用いた測定では、発色反応開始0.5時間では、目視では大腸菌試料とブランクのウェル間の発色の差が区別できなかったが、画像解析により得られたR値では差が明確に検出できた。
【0093】
また、発色反応開始4時間後には、いずれの測定条件であっても、大腸菌試料とブランクのR値は充分な差があり、大腸菌試料中の酵素活性が測定できた。すなわち、これらの測定方法により、9.0×10
8CFU/mLの大腸菌を検出できることが確認された。この菌濃度は、飲食品工場や給食設備における一般生菌検査で検出が要求されている濃度とほぼ同じオーダーである。つまり、本実施例の測定方法は、飲食品工場等で実用に足る測定感度であることが確認できた。
【0094】
なお、X−Glucを担持させたセルロースシートに代えて、大腸菌を捕捉させたセルロースシートをウェルの内底面にしき、1.0×10
−4MのX−Gluc溶液(X−Glucを1.0×10
−4Mとなるように、pH7.0〜7.5のPBSに溶解させた溶液)を、1ウェル当たり200μLずつ注入した後、37℃で発色反応を開始させることもできる。また、X−Glucを担持させたセルロースシートに、大腸菌を捕捉させたセルロースシートを重ねて置き、PBSを1ウェル当たり200μLずつ注入した後、37℃で発色反応を開始させることもできる。なお、セルロースシートを濾過膜として、9.0×10
8CFU/mLの大腸菌試料350μLを加圧濾過することにより、当該セルロースシートに大腸菌を捕捉させることができる。