【解決手段】脳活動状態モニタリング装置は、被検体の脳の活動状態を示しており、第一期間に収集された第一データ及び前記被検体の脳の活動状態を示しており、前記第一期間の後に続く第二期間に収集された第二データを取得するデータ取得部と、マハラノビス距離が定義されている位相平面上における前記第一データの重心を算出する重心算出部と、前記第二データについて前記重心からのマハラノビス距離を算出し、前記第二データのマハラノビス距離の経時的な変化を算出する距離算出部と、前記第二データのマハラノビス距離が所定の閾値を所定の回数以上超えているか否かを判定する判定部と、前記第二データのマハラノビス距離が所定の閾値を所定の回数以上超えていると判定された場合、前記被検体の脳の活動状態を示す情報を出力する出力部と、を備える。
被検体の脳の活動状態を示しており、第一期間に収集された第一データ及び前記被検体の脳の活動状態を示しており、前記第一期間の後に続く第二期間に収集された第二データを取得するデータ取得部と、
マハラノビス距離が定義されている位相平面上における前記第一データの重心を算出する重心算出部と、
前記第二データについて前記重心からのマハラノビス距離を算出し、前記第二データのマハラノビス距離の経時的な変化を算出する距離算出部と、
前記第二データのマハラノビス距離が所定の閾値を所定の回数以上超えているか否かを判定する判定部と、
前記第二データのマハラノビス距離が所定の閾値を所定の回数以上超えていると判定された場合、前記被検体の脳の活動状態を示す情報を出力する出力部と、
を備える脳活動状態モニタリング装置。
被検体の脳の活動状態を示しており、第一期間に収集された第一データ及び前記被検体の脳の活動状態を示しており、前記第一期間の後に続く第二期間に収集された第二データを取得するデータ取得ステップと、
マハラノビス距離が定義されている位相平面上における前記第一データの重心を算出する重心算出ステップと、
前記第二データについて前記重心からのマハラノビス距離を算出し、前記第二データのマハラノビス距離の経時的な変化を算出する距離算出ステップと、
前記第二データのマハラノビス距離が所定の閾値を所定の回数以上超えているか否かを判定する判定ステップと、
前記第二データのマハラノビス距離が所定の閾値を所定の回数以上超えていると判定された場合、前記被検体の脳の活動状態を示す情報を出力する出力ステップと、
を含む脳活動状態モニタリング方法。
前記距離算出ステップにおいて、前記第一データについて前記重心からのマハラノビス距離が更に算出され、前記第一データのマハラノビス距離の経時的な変化が更に算出され、
前記判定ステップにおいて、前記第一データのマハラノビス距離が前記所定の閾値を前記所定の回数以上超えているか否かが更に判定され、
前記出力ステップにおいて、前記第一データのマハラノビス距離が前記所定の閾値を前記所定の回数以上超えていると判定された場合、前記被検体の脳の活動状態を示す情報が更に出力される、
請求項5に記載の脳活動状態モニタリング方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1から
図8を参照しながら、実施形態に係る脳活動状態モニタリング装置の一例を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る脳活動状態モニタリング装置の機能的な構成の一例を示す図である。
図1に示すように、脳活動状態モニタリング装置1は、データ取得部11と、重心算出部12と、距離算出部13と、判定部14と、出力部15とを備える。
【0012】
データ取得部11は、被検体の脳の活動状態を示す第一データ及び第二データを
図1に示したセンサ20から取得する。第一データは、センサ20により第一期間に収集される。第二データは、センサ20により第一期間の後に続く第二期間に収集される。
【0013】
図2は、本発明の実施形態に係るセンサが近赤外光を使用して被検体の血流の酸素濃度から被検体の脳の活動状態を示すデータを収集する原理を説明するための図である。
図2は、横軸が時間、右側の縦軸が酸素飽和度、左側の縦軸がヘモグロビン濃度を表しており、酸素飽和度、酸素化ヘモグロビン濃度及び脱酸素化ヘモグロビン濃度各々の経時的な変化を一点鎖線C1、実線C2及び点線C3で示している。
【0014】
図2のうち点線Bで囲まれた部分に示されているように、被検体の脳は、活発に活動している場合、脳神経が酸素及びグルコースを活発に消費するため、脳の血中の酸素飽和度及び酸素化ヘモグロビン濃度が増加する。
【0015】
センサ20は、例えば、被検体の頭部に取り付けられ、近赤外分光分析法(NIRS:Near-infrared spectroscopy)を使用して第一データ及び第二データを収集する。具体的には、センサ20は、波長が約700nmから約900nmの近赤外光を出射する光源及び受光センサを被検体の頭部に密着させ、近赤外光を出射し、受光センサにより受光する。センサ20は、ヘモグロビンが近赤外光を吸収する性質を有するため、被検体の脳が活発に活動している程、受光する近赤外光の強度が小さくなり、被検体の脳が活発に活動していない程、受光する近赤外光の強度が大きくなる。したがって、この場合、第一データ及び第二データは、例えば、センサ20が一定の周期で受光した近赤外光の強度各々に基づいて算出されたヘモグロビン濃度又はこのような方法で算出されたヘモグロビン濃度の統計値となる。この一定の周期は、例えば、1分である。なお、
図2に示した酸素飽和度も、センサ20が一定の周期で受光した近赤外光の強度各々に基づいて算出される。
【0016】
図3は、本発明の実施形態に係る被検体が模擬運転装置を使用した手動運転を行っている場合及びその前後の時間における酸素飽和度、酸素化ヘモグロビン濃度及び脱酸素化ヘモグロビン濃度の経時的な変化の一例を示す図である。
図3は、横軸が時間、右側の縦軸が酸素飽和度、左側の縦軸がヘモグロビン濃度を表しており、酸素飽和度、酸素化ヘモグロビン濃度及び脱酸素化ヘモグロビン濃度各々の経時的な変化を一点鎖線M1、実線M2及び点線M3で示している。
【0017】
ここで言う模擬運転装置を使用した手動運転は、例えば、被検体が模擬運転装置を使用しており、ハンドル、アクセル、ブレーキ等を操作することにより仮想的な自車を運転し、8の字コースの80m前方を時速100kmで走行する仮想的な車両を追跡し続けることをいう。また、この模擬運転装置を使用した手動運転は、
図3に示した期間TDの間に行われる。期間TDの長さは、例えば、30分である。期間TDの最初の10分間は、上述した第一期間の一例である。また、期間TDの次の20分間は、上述した第二期間の一例である。
【0018】
さらに、期間TDの直前には、被検体が安静にする期間TR1が設けられており、期間TDの直後には、被検体が安静にする期間TR2が設けられている。期間TR1の長さ及び期間TR2の長さは、例えば、3分である。
【0019】
図4は、本発明の実施形態に係る被検体が模擬運転装置を使用した自動運転が実行されている車両に搭乗している場合及びその前後の時間における酸素飽和度、酸素化ヘモグロビン濃度及び脱酸素化ヘモグロビン濃度の経時的な変化の一例を示す図である。
図4は、横軸が時間、右側の縦軸が酸素飽和度、左側の縦軸がヘモグロビン濃度を表しており、酸素飽和度、酸素化ヘモグロビン濃度及び脱酸素化ヘモグロビン濃度各々の経時的な変化を一点鎖線A1、実線A2及び点線A3で示している。
【0020】
ここで言う模擬運転装置を使用した自動運転は、模擬運転装置により仮想的に自動運転が実行されており、前方を時速100kmで走行する仮想的な車両を追跡し続けている車両に被検体がハンドルに手を添えているだけの状態で搭乗していることをいう。また、この模擬運転装置を使用した自動運転は、
図4に示した期間TDの間に行われる。期間TDの長さは、例えば、30分である。期間TDの最初の10分間は、上述した第一期間の一例である。また、期間TDの次の20分間は、上述した第二期間の一例である。
【0021】
さらに、期間TDの直前には、被検体が安静にする期間TR1が設けられており、期間TDの直後には、被検体が安静にする期間TR2が設けられている。期間TR1の長さ及び期間TR2の長さは、例えば、3分である。なお、
図3に示したデータが収集された被検体と
図4に示したデータが収集された被検体とは、同一の被検体である。
【0022】
図3と
図4とを比較すると、酸素飽和度及び酸素化ヘモグロビン濃度は、被検体が手動運転を行っている場合よりも被検体が自動運転を行っている場合の方が時間が経過するに従って大きく低下していることが分かる。また、
図3と
図4とを比較すると、脱酸素化ヘモグロビン濃度は、被検体が手動運転を行っている場合よりも被検体が自動運転を行っている場合の方が大きくなる傾向にあることが分かる。このような差が現れる理由としては、被検体が手動運転を行っている場合の方が自動運転が実行されている車両に搭乗しているだけの場合よりも被検体の脳が活発に活動しているからであると考えられる。
【0023】
図5は、本発明の実施形態に係る被検体が模擬運転装置を使用した手動運転を行っている時に収集された第一データ及び第二データを位相空間上に示した場合の一例を示す図である。
図6は、本発明の実施形態に係る被検体が模擬運転装置を使用した自動運転が実行されている車両に搭乗している時に収集された第一データ及び第二データを位相空間上に示した場合の一例を示す図である。
図5及び
図6は、横軸が酸素化ヘモグロビン濃度を表しており、縦軸が酸素化ヘモグロビン濃度の時間微分を表している。また、
図5及び
図6は、位相平面の右上に点が位置している程、被検体の脳の活動が活発であることを表しており、位相平面の左下に点が位置している程、被検体の脳の活動が活発でないことを表している。
【0024】
図5に示した黒丸は、
図3に示した期間TDの最初の10分間においてセンサ20により1分ごとに受光された近赤外光に基づいて算出されたヘモグロビン濃度各々から算出された点の位置を示している。同様に、
図5に示した白い三角は、
図3に示した期間TDの次の10分間においてセンサ20により1分ごとに受光された近赤外光に基づいて算出されたヘモグロビン濃度各々から算出された点の位置を示している。また、
図5に示した白い正方形は、
図3に示した期間TDの最後の10分間においてセンサ20により1分ごとに受光された近赤外光に基づいて算出されたヘモグロビン濃度各々から算出された点の位置を示している。
【0025】
図6に示した黒丸は、
図4に示した期間TDの最初の10分間においてセンサ20により1分ごとに受光された近赤外光に基づいて算出されたヘモグロビン濃度各々から算出された点の位置を示している。同様に、
図6に示した白い三角は、
図4に示した期間TDの次の10分間においてセンサ20により1分ごとに受光された近赤外光に基づいて算出されたヘモグロビン濃度各々から算出された点の位置を示している。また、
図6に示した白い正方形は、
図4に示した期間TDの最後の10分間においてセンサ20により1分ごとに受光された近赤外光に基づいて算出されたヘモグロビン濃度各々から算出された点の位置を示している。
【0026】
重心算出部12は、マハラノビス距離が定義されている位相平面上における第一データの重心を算出する。例えば、重心算出部12は、
図5に示されている10個全ての黒丸が表している点各々の位相平面上における位置に基づいて、第一データの重心GMを算出する。同様に、重心算出部12は、
図6に示されている10個全ての黒丸が表している点各々の位相平面上における位置に基づいて、第一データの重心GAを算出する。なお、重心算出部12は、データ取得部11による第一データの取得が完了したら出来る限り早く重心GM又は重心GAを算出することが好ましい。或いは、重心算出部12は、データ取得部11が新しい第一データを取得する度に重心GM又は重心GAを算出し直すことが好ましい。なぜなら、重心GM又は重心GAが早期に算出されている場合、距離算出部13、判定部14及び出力部15が実行する処理を早期に実行することが可能になるからである。
【0027】
距離算出部13は、第一データ及び第二データについて重心からのマハラノビス距離を算出する。例えば、距離算出部13は、
図5に示されている黒丸が表している点、白い三角が表している点及び白い正方形が表している点各々について重心GMからのマハラノビス距離を算出する。同様に、距離算出部13は、
図6に示されている黒丸が表している点、白い三角が表している点及び白い正方形が表している点各々について重心GAからのマハラノビス距離を算出する。これらのマハラノビス距離は、被検体の脳の覚醒の度合いを示す指標である。なお、距離算出部13は、第一データ及び第二データについて重心からのマハラノビス距離を算出を出来る限り早く実行することが好ましい。なぜなら、マハラノビス距離が早期に算出されている場合、判定部14及び出力部15が実行する処理を早期に実行することが可能になるからである。
【0028】
図5と
図6とを比較すると、ヘモグロビン濃度から算出された点の位置は、被検体が手動運転を行っている場合よりも被検体が自動運転を行っている場合の方が時間が経過するに従って重心から離れていく傾向が大きいことが分かる。
【0029】
図7は、本発明の実施形態に係る被検体が模擬運転装置を使用した手動運転を行っている時に収集された第一データのマハラノビス距離及び第二データのマハラノビス距離の経時的な変化の一例を示す図である。
図8は、本発明の実施形態に係る被検体が模擬運転装置を使用した自動運転が実行されている車両に搭乗している時に収集された第一データのマハラノビス距離及び第二データのマハラノビス距離の経時的な変化の一例を示す図である。
図7及び
図8は、横軸が時間を表しており、縦軸がマハラノビス距離を表している。
【0030】
図7に示した黒丸は、それぞれ
図5に黒丸で示された点のマハラノビス距離を表している。同様に、
図7に示した白い三角は、それぞれ
図5に白い三角で示された点のマハラノビス距離を表している。また、
図7に示した白い正方形は、それぞれ
図5に白い正方形で示された点のマハラノビス距離を表している。
【0031】
図8に示した黒丸は、それぞれ
図6に黒丸で示された点のマハラノビス距離を表している。同様に、
図8に示した白い三角は、それぞれ
図6に白い三角で示された点のマハラノビス距離を表している。また、
図8に示した白い正方形は、それぞれ
図6に白い正方形で示された点のマハラノビス距離を表している。
【0032】
距離算出部13は、第一データ及び第二データのマハラノビス距離の経時的な変化を算出する。例えば、距離算出部13は、被検体が模擬運転装置を使用した手動運転を行っている時に収集された第一データのマハラノビス距離及び第二データのマハラノビス距離を時系列に並べて
図7に示したグラフを作成する。同様に、距離算出部13は、被検体が模擬運転装置を使用した自動運転が実行されている車両に搭乗している時に収集された第一データのマハラノビス距離及び第二データのマハラノビス距離を時系列に並べて
図8に示したグラフを作成する。
【0033】
図5に示すように、被検体が手動運転を行っている場合、第二データのマハラノビス距離は、第一データのマハラノビス距離と同程度であり、時間が経過しても大きく変化していない。一方、
図6に示すように、被検体が自動運転が実行されている車両に搭乗している場合、第二データのマハラノビス距離は、第一データのマハラノビス距離よりも長く、時間が経過すると共に増加する傾向がある。
【0034】
判定部14は、第一データのマハラノビス距離及び第二データのマハラノビス距離が所定の閾値を所定の回数以上超えているか否かを判定する。具体的には、判定部14は、
図7又は
図8に示されているマハラノビス距離が所定の閾値を所定の回数以上超えているか否かを判定する。所定の閾値は、例えば、
図7及び
図8に一点鎖線Thで示されている「40」である。また、所定の回数は、例えば、「3回」である。
図7に示した場合では、当該閾値を超えているマハラノビス距離が無いが、
図8に示した場合では、当該閾値を超えているマハラノビス距離が三つあることが分かる。なお、所定の回数は、二回以上であることが好ましい。なぜなら、マハラノビス距離が偶然に長くなってしまい、判定部14が誤判定してしまう可能性を低減させることができるからである。
【0035】
出力部15は、第一データのマハラノビス距離及び第二データのマハラノビス距離が所定の閾値を所定の回数以上超えていると判定された場合、被検体の脳の活動状態を示す情報を出力する。例えば、出力部15は、被検体の脳の活動状態に応じた音声の元となる音声データを
図1に示したスピーカ30に送信する。そして、スピーカ30は、当該音声データを受信し、当該音声を出力する。或いは、出力部15は、被検体の脳の活動状態に応じた静止画又は動画の元となる静止画データ又は動画データを
図1に示したスピーカ30に送信する。当該静止画データ又は当該動画データを受信し、当該静止画又は当該動画を出力する。
【0036】
次に、
図9を参照しながら実施形態に係る脳活動状態モニタリング装置が実行する処理の一例を説明する。
図9は、本発明の実施形態に係る脳活動状態モニタリング装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。なお、脳活動状態モニタリング装置は、
図9に示した処理を第一データ又は第二データが取得される度に実行してもよいし、
図9に示した処理を第一データや第二データが一定数取得された後に実行してもよい。
【0037】
ステップS10において、データ取得部11は、被検体の脳の活動状態を示しており、第一期間に収集された第一データ及び被検体の脳の活動状態を示しており、第一期間の後に続く第二期間に収集された第二データを取得する。
【0038】
ステップS20において、重心算出部12は、マハラノビス距離が定義されている位相平面上における第一データの重心を算出する。
【0039】
ステップS30において、距離算出部13は、第一データ及び第二データについてステップS20で算出された重心からのマハラノビス距離を算出し、第一データ及び第二データのマハラノビス距離の経時的な変化を算出する。
【0040】
ステップS40において、判定部14は、ステップS30で算出されたマハラノビス距離が所定の閾値を所定の回数以上超えているか否かを判定する。判定部14は、ステップS30で算出されたマハラノビス距離が所定の閾値を所定の回数以上超えていると判定した場合(ステップS40:YES)、処理をステップS50に進める。一方、判定部14は、ステップS30で算出されたマハラノビス距離が所定の閾値を所定の回数以上超えていないと判定した場合(ステップS40:NO)、処理を終了させる。
【0041】
ステップS50において、出力部15は、被検体の脳の活動状態を示す情報を出力する。
【0042】
以上、実施形態に係る脳活動状態モニタリング装置1について説明した。脳活動状態モニタリング装置1は、位相平面上における第一データの重心を算出し、第一データ及び第二データのマハラノビス距離の経時的な変化を算出する。そして、脳活動状態モニタリング装置1は、マハラノビス距離が所定の閾値を所定の回数以上超えていると判定した場合、被検体の脳の活動状態を示す情報を出力する。したがって、脳活動状態モニタリング装置1は、被検体個々人に合わせた基準となる第一データの重心に基づいて第一データ及び第二データのマハラノビス距離を算出しているため、被検体個々人の脳の活動状態を的確に判定し、判定した結果を報知することができる。
【0043】
また、脳活動状態モニタリング装置1は、第二データだけではなく、第一データについてもマハラノビス距離の経時的な変化を算出し、所定の閾値を所定の回数以上超えているか否かを判定する。このため、脳活動状態モニタリング装置1は、センサ20が収集したデータを無駄無く活用し、被検体個々人の脳の活動状態を的確に判定して報知するという目的に結び付けることができる。
【0044】
なお、上述した実施形態では、脳活動状態モニタリング装置1が被検体が自動運転が実行されている車両に搭乗している場面等を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、脳活動状態モニタリング装置1は、被検体が講義を聴講している場面、被検体が睡眠に関する生物学的な実験に参加している場面等に適用されてもよい。これらの場面でも、脳活動状態モニタリング装置1は、上述した効果を奏することができる。
【0045】
また、上述した実施形態では、センサ20が近赤外分光分析法を使用して第一データ及び第二データを収集する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、センサ20は、被検体の脳の血中のヘモグロビン濃度ではなく、被検体の脳波を測定してもよい。ただし、センサ20は、被検体が特に意識的に動作しなくても測定することが可能なデータを収集することが好ましい。なぜなら、上述した場面では、自動運転、講義、実験等に意識を向けていることが多く、被検体に意識的な動作を要求すると、被検体の負担が大きくなってしまうからである。
【0046】
また、上述した実施形態では、脳活動状態モニタリング装置1が第二データだけではなく、第一データについてもマハラノビス距離の経時的な変化を算出し、所定の閾値を所定の回数以上超えているか否かを判定する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。脳活動状態モニタリング装置1は、第二データについてのみマハラノビス距離の経時的な変化を算出し、所定の閾値を所定の回数以上超えているか否かを判定してもよい。
【0047】
なお、上述した脳活動状態モニタリング装置1の各機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録させ、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませて実行することにより、上述した処理の少なくとも一部を実行してもよい。
【0048】
ここで言うコンピュータシステムとは、オペレーティング・システム(OS:Operating System)及び周辺機器等のハードウエアの少なくとも一つを含む。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えば、フロッピーディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置、ネットワーク又は通信回線を介してプログラムが送信される場合におけるサーバ又はクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように一定時間プログラムを保持しているものも含む。
【0049】
また、上述したプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、又は、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する伝送媒体とは、インターネット等のネットワーク又は電話回線等の通信回線のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
【0050】
また、上述したプログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、上述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるプログラム、いわゆる差分プログラムであってもよい。上述したプログラムは、例えば、コンピュータが備えるCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサにより読み出されて実行される。
【0051】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、置換及び設計変更の少なくとも一つを加えることができる。上述した各実施形態に記載の構成を組み合わせてもよい。