【解決手段】遊技機は、始動入賞を契機として遊技球が流入可能な開放状態となる役物19と、役物19に流入した遊技球の一部が入賞するV入賞口170と、V入賞口170への遊技球の入賞に応じて大当り状態を発生させる特典付与手段と、V入賞口170の入賞率を変更する可動蓋179と、始動入賞時点を基準とした役物19の開放状態への移行時点である役物開放時期を変更する開放時期変更手段と、を有し、可動蓋179は、始動入賞後の経過時間に応じてV入賞口170の入賞率を変更する。
前記入賞率変更手段は、前記特定入賞口に至る遊技球の流路に設けられた可動部材を有し、該可動部材の変位によって前記特定入賞口への遊技球の流入のし易さを変化させることで前記入賞率を変更するように構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の遊技機。
前記入賞率変更手段は、複数段階の入賞率のうちのいずれかの入賞率を設定し、前記開放時期変更手段は、複数段階の役物開放時期のうちのいずれかの役物開放時期を設定するように構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の遊技機。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
本例は、特定入賞口の一例であるV入賞口170に遊技球が入賞したときに大当りを発生させる、羽根モノと呼ばれるパチンコ遊技機(遊技機)1に関する例である。このパチンコ遊技機1の遊技上の特徴は、V入賞口170の入賞期待度が変動する点にある。この内容について
図1〜
図10を参照して説明する。
【0010】
図1のパチンコ遊技機1は、遊技媒体である遊技球を遊技領域130に向けて発射することにより遊技される遊技機である。パチンコ遊技機1の前面では、遊技者に対面するように遊技盤13が設けられ、その遊技盤13の表面側に遊技領域130が形成されている。遊技領域130の下側には、遊技球を発射装置(
図4中の符号242)に供給する上皿135、及び上皿135に収容しきれなくなった遊技球を蓄える下皿137が設けられている。上皿135の右下には、遊技球を発射するために遊技者が操作する操作ハンドル15が設けられている。
【0011】
遊技領域130(
図1)は、遊技媒体である遊技球が流下する領域である。遊技領域130は、遊技球が転動するステージ195を設けた役物19を中心として構成されている。役物19は、両外側に可動羽根199が取り付けられた樹脂製のロの字状の枠体191を含んで構成されている。
【0012】
役物19(
図2)の枠体191の両外側の側面には、遊技球を流入させるための切欠き孔であって、可動羽根199が開いたときに開放されるワープ孔192が穿設されている。枠体191の相互に対面する内側面には、遊技球の出口であるワープルート出口193が開口している。ワープルート出口193は、ワープ孔192に流入した後、図示しないワープルート(案内通路)を経由してきた遊技球であるワープ球がステージ195に転がり出る出口である。
【0013】
可動羽根199は、枠体191の外側面に沿う状態(
図2(a))と、枠体191の両外側に回動した状態(同図(b))と、に切替可能である。同図(a)のように可動羽根199が枠体191の外側面に沿うように位置すると、ワープ孔192が閉鎖され、ワープルートに遊技球が流入できない閉鎖状態となる。一方、同図(b)のように可動羽根199が両外側に回動するとワープ孔192が開放され、ワープルートを経由して役物19に遊技球が流入可能な開放状態となる。
【0014】
枠体191の内側の奥まった位置には、
図1〜
図3のごとく、液晶表示部190の表示画面が配置され、この表示画面の下側には、遊技者側に向けて垂れてワープ球が転がり落ちるスロープ状のステージ195が設けられている。ワープルートからこのステージ195に転がり出たワープ球の進行方向は、ほぼ水平に進むものからほぼ真下(手前側)に進むものまで様々である。さらに、このステージ195には、障害物195Bが立設されている。ステージ195に転がり出たワープ球は障害物195Bにぶつかって進行方向を変えながら手前側に転がり落ちる。
【0015】
ステージ195のワープ球は、最終的に手前側の入賞口17に入賞する。この入賞口17は、ステージ195の左右方向に沿う溝状に形成されている。溝状の入賞口17(
図3)は、仕切り171によって区切られた中央のV入賞口170と、V入賞口170の両側に形成されたハズレ入賞口173と、に区画されている。V入賞口170は、大当りの契機となる特定入賞口の一例である。なお、ハズレ入賞口173に入賞したときの特典は、5個の遊技球の払出のみとなっているが、例えばワープ孔192に流入したことを検知して遊技玉の払出を行う等すれば、何ら特典を与えない構成も想定できる。
【0016】
左右一対の仕切り171の上面の高さは、
図3のごとく、ステージ195と面一ではなく、ステージ195よりも一段低くなっている。仕切り171の上面は、入賞口17よりも浅底の溝171Mの底面をなしている。仕切り171の上面側には、可動部材の一例をなす可動蓋179が取り付けられている。この可動蓋179は、後述する駆動モータ(
図4中のV入賞口モータ225)の駆動力によって、入賞口17の溝方向に沿って進退可能である。左右一対の可動蓋179は、外側に向けて低くなる滑り台のような断面三角形状をなしている。可動蓋179は内側が最大高さとなっており、その高さは、上記の浅底の溝171Mの溝深さと略一致している。可動蓋179に載った遊技球は、滑り台のような斜面に沿って外側のハズレ入賞口173に誘導される可能性が高くなっている。可動蓋179は、左右一対が対称動作を実行し、3段階の位置に変位する。可動蓋179の位置によって、V入賞口170の開口幅が変化し、V入賞口170の入賞率が変動する。なお、可動蓋179の3段階の位置等については、
図8を参照して後で説明する。
【0017】
役物19の下側には、第1始動口11及び第2始動口12が配置されている。第1始動口11は、役物19の真下に1つ配置され、第2始動口12は、第1始動口11の左右両側に配置されている。遊技領域130の最下部には、入賞することなく流下した遊技球を回収するためのアウト孔138が開口している。さらに、アウト孔138の上側、第1始動口11との間隙に当たるスペースには、大当り中のラウンド処理により開放される大入賞口16が配置されている。
【0018】
第1始動口11及び第2始動口12は、役物19が備える可動羽根199の開放動作の契機となる入賞口である。第1始動口11に遊技球が入賞(始動入賞)すると可動羽根199が1回、第2始動口12に遊技球が入賞(始動入賞)すると可動羽根199が2回動作し、ワープ孔192が開放される。なお、始動入賞が発生した後、可動羽根199の回動に応じて役物19が開放状態に移行する時点である役物開放時期は、後述する開放時期抽選により決定される。
【0019】
次に、パチンコ遊技機1の電気的な構成について、
図4を参照して説明する。パチンコ遊技機1は、主制御部20を中心として構成されている。主制御部20に対しては、遊技球を払い出す払出機構部231を制御する払出制御部23、遊技球の発射装置242を制御する発射制御部241、表示や効果音による遊技演出を制御する演出制御部25、始動入賞を検出する第1及び第2始動センサ211・212、V入賞口170への入賞球を検出するV入賞センサ213、大入賞口16への入賞球を検出する大入賞センサ214、役物の可動羽根199を駆動する羽根ソレノイド221、大入賞口16を開放させる大入賞口ソレノイド224、V入賞口170の可動蓋179を駆動するV入賞口モータ225、電力供給のための電源回路部228等が電気的に接続されている。なお、演出制御部25には、スピーカー131を駆動するアンプ251や装飾ランプ部136が電気的に接続されているほか、液晶表示部190を制御する表示制御部26が通信可能に接続されている。
【0020】
図4に示す主制御部20は、CPU201、記憶素子であるROM202・RAM203、入出力インタフェースをなすI/O部204、乱数を発生する乱数発生部206、抽選用乱数を抽出する乱数抽出部205等を備えている。
ROM202は、CPU201に実行させる各種の処理プログラムを記憶しているほか、前記開放時期抽選に用いられる抽選テーブル等を記憶している。開放時期抽選用の抽選テーブルでは、乱数発生部206が発生し乱数抽出部205によって抽出された抽選用乱数を照合可能である。
【0021】
開放時期抽選用の抽選テーブルは、始動入賞を契機として役物19が開放状態に移行する時点である役物開放時期を決定するための抽選テーブルである。開放時期抽選テーブルでは、第1〜第3のパターンの役物開放時期に対応する当選乱数がハズレなしで規定されている。第1のパターンは、役物開放時期が始動入賞の2秒後のパターンである。第2のパターンは同4秒後のパターンであり、第3のパターンは同9秒後のパターンである。開放時期抽選による各パターンの振分確率は、第1のパターンが60%、第2のパターンが30%、第3のパターンが10%となっている。詳しくは後述するが、役物開放時期が遅くなる第3のパターンが最も有利なパターンである。
【0022】
パチンコ遊技機1は、以下の各手段としての機能を備えている。
(1)特典付与手段:V入賞口170への遊技球の入賞(V入賞)に応じて遊技者に特典を与える手段であり、主制御部20により実現される。本例では、特典として、特別状態である大当りの発生を例示する。
(2)入賞率変更手段:V入賞口170への遊技球の入賞率を変更する手段であり、可動蓋179とV入賞口モータ225との組合せにより実現される。
(3)開放時期変更手段:所定の条件が満たされた時点を基準とした役物19の開放状態への移行時点である役物開放時期を変更する手段であり、主制御部20により実現される。所定の条件として、第1始動口11及び第2始動口12への入賞(始動入賞)が設定されている。
(4)開放時期抽選手段:役物開放時期を抽選により決定するための手段であり、主制御部20により実現される。
(5)演出手段:決定された役物開放時期に対応する演出を実行する手段であり、液晶表示部190により実現される。
【0023】
以上のような構成のパチンコ遊技機1の基本的な遊技の流れについて説明する。
パチンコ遊技機1は、操作ハンドル15を操作し、遊技領域130に遊技球を打ち込むことで遊技が行われる。遊技領域130を流下する遊技球が第1始動口11あるいは第2始動口12に流入すると始動入賞が発生し、その後、役物開放時期に到達したときに可動羽根199(役物19)の開放動作が行われる。可動羽根199が開放動作を行うと枠体191の側面に設けられたワープ孔192が開口し、役物19に遊技球が流入可能な開放状態となる。なお、上記の通り、役物開放時期は、始動入賞を契機として実行される開放時期抽選により決定される。
【0024】
ワープ孔192を介して役物19に流入した遊技球は、ワープ球となって枠体191の内部に形成された図示しないワープルートを経由し、枠体191の内側面のワープルート出口193からステージ195に転がり出る。前下がりに傾斜するステージ195に転がり出たワープ球は、障害物195Bにぶつかりながら手前側の入賞口17に入賞する。上記のごとく、この入賞口17は、大当りの契機となるV入賞口170と、ハズレ入賞口173と、に区画されている。ワープ球は、V入賞口170、及びハズレ入賞口173のいずれかに入賞する。なお、V入賞口170の入賞率は、可動蓋179の位置によって変動する。可動蓋179は、始動入賞後の経過時間に応じて入賞率が高くなるように3段階の位置に変位する(
図8を参照して後述する。)。
【0025】
V入賞口170への入賞が発生した場合に、遊技者側に有利な特別状態である大当りが発生する。この大当りは、大入賞口16が開放されるラウンド処理が繰り返される遊技状態である。大当りでは、大入賞口16が開放されるラウンド処理が10回繰り返して実行される。1回のラウンド処理は、30秒経過するか、入賞個数が10個に到達すると終了する。
【0026】
V入賞口170への入賞の発生時には、
図5のごとく、「V入賞!!」のメッセージと共に、大当り中のラウンド処理の実行回数(同図では10ラウンド)を報知する演出画面が液晶表示部190の表示画面に表示される。また、大当りの発生中では、
図6のごとく「大当り」のメッセージと共に、大当りに関する情報を報知する演出画面が液晶表示部190の表示画面に表示される。同図中に例示する大当りに関する情報は、左側から、終了ラウンド数、現在のラウンド数、そのときのラウンドでの入賞個数である。その後、大当り中のラウンド処理の実行回数が終了ラウンド数に到達すると、大当りが終了する。
【0027】
本例のパチンコ遊技機1の遊技は、始動入賞の後、V入賞が発生するまでの動作に特徴がある。パチンコ遊技機1の遊技では、上記の役物開放時期を決定する開放時期抽選と、始動入賞後の経過時間に応じてV入賞口170の入賞率が高まる制御と、の組合せにより、V入賞口170の入賞期待度に差が生み出されて遊技の興趣が高められている。この内容について、
図7のタイミングチャートを参照して説明する。
【0028】
図7は、丸囲み1で示す始動入賞の時点を起点としたタイミングチャートである。同図(a)〜(c)は、第1〜第3のパターンの役物開放時期に対応している。同図(a)は、役物開放時期が始動入賞の2秒後という第1のパターンに対応し、同図(b)は、役物開放時期が始動入賞の4秒後という第2のパターンに対応し、同図(c)は、役物開放時期が始動入賞の9秒後という第3のパターンに対応している。
【0029】
図7(a)〜(c)は、始動入賞のタイミング、V入賞口170の入賞率の経時変化(同図中のV入賞口)、可動羽根199の開放動作のタイミング(同図中の羽根開放)を表している。同図中、始動入賞の「ON」は、始動入賞の発生に対応し、羽根開放の「開放」は開放動作の実行中に対応している。V入賞口の「通常」、「向上1」、「向上2」は、V入賞口170の入賞率の度合いを表し、「通常」→「向上1」→「向上2」の順番で入賞率が高くなっている。
【0030】
図7中のV入賞口の「通常」、「向上1」、「向上2」は、
図8に示す可動蓋179の位置に対応している。「通常」は、左右一対の可動蓋179が遊技球1個分に近い隙間を空けて対向する
図8(a)の状態に対応し、通常の入賞率を表している。「向上1」は、左右一対の可動蓋179が外側に変位して、V入賞口170の開口幅が広くなった同図(b)の状態に対応し、高くなった入賞率を表している。「向上2」は、左右一対の可動蓋179が外側限度まで変位して、V入賞口170の開口幅が最大になった同図(c)の状態に対応し、最大になった入賞率を表している。
【0031】
図7(a)〜(c)における丸囲み数字1〜5は、イベントの発生時点を示している。丸囲み数字1は、始動入賞の時点を示している。丸囲み数字2は、可動羽根199の開放動作の実行時点を示している。丸囲み数字3は、V入賞口170の入賞率が「通常」から「向上1」に移行する時点を示している。丸囲み数字4は、V入賞口170の入賞率が「向上1」から「向上2」に移行する時点を示している。丸囲み数字5は、V入賞口170の入賞率が「向上2」から「通常」に復帰する時点を示している。同図の通り、本例では、始動入賞から5秒までが「通常」、5秒から10秒までが「向上1」、10秒から15秒までが「向上2」である。なお、V入賞口170が「通常」→「向上1」→「向上2」までの一連の動作を完了するのに15秒を要するが、動作完了前の始動入賞は可動羽根199やV入賞口170の制御等の契機にはならない。入賞に応じた払出しが行われる一方、可動羽根199の回動動作等の契機としての始動入賞はキャンセルされる。
【0032】
役物開放時期として第1のパターン(2秒後)が決定された場合、
図7(a)のごとく、始動入賞の2秒後に可動羽根199による開放動作が実行されて、役物19が開放状態となる。この時点では、V入賞口170が「通常」の状態にある(
図8(a)の状態)。そのため、役物19に流入したワープ球がV入賞口170に入賞する可能性は低くなっている。このように役物開放時期が2秒後である第1のパターンは、V入賞の期待度が低いパターンになっている。
【0033】
図7(a)の第1のパターンの場合、始動入賞後、可動羽根199が開放動作を実行するまでの経過時間は2秒と短い。そのため、第1のパターンの場合には、液晶表示部190を利用する特別な演出は実行されない。勿論、第1のパターンであっても障害物195Bに衝突すること等により遊技玉がステージ上に長期間滞ることでV入賞口170の入賞率が高まる可能性もある。
【0034】
役物開放時期として第2のパターン(4秒後)が決定された場合、
図7(b)のごとく、始動入賞の4秒後に可動羽根199による開放動作が実行されて、役物19が開放状態となる。そして、この開放動作の1秒後には、V入賞口170が「通常」から「向上1」の状態に移行する(
図8(b)の状態。)。第2のパターンでは、ワープルートを経由してワープルート出口193に転がり出た遊技球がステージ195上を転動している間に、V入賞口170が「向上1」の状態に移行することを期待できる。そのため、
図7(a)の第1のパターンの場合よりも、V入賞口170の入賞期待度が高くなる。
【0035】
図7(b)の第2のパターンの場合、始動入賞後、可動羽根199が開放動作を実行するまでの経過時間が4秒である。第2のパターンの場合には、この4秒間の間に、液晶表示部190の表示画面に例えば
図9の演出画面が表示される。この演出画面は、例えば「V入賞ガンバレ!」のテキスト表示により、V入賞口170の入賞期待度が中程度である旨を表す演出画面の一例である。
【0036】
役物開放時期として第3のパターン(9秒後)が決定された場合、
図7(c)のごとく、始動入賞の9秒後に可動羽根199による開放動作が実行されて、役物19が開放状態となる。この開放動作の時点では、すでにV入賞口170が「向上1」の状態となって入賞率が向上している(
図8(b)の状態。)。さらに、開放動作の1秒後には、V入賞口170が「向上1」から「向上2」の状態に移行し(
図8(c)の状態。)、V入賞口170の入賞率が最大となる。ワープルートを経由してワープルート出口193に転がり出た遊技球がステージ195上を転動している間に、V入賞口170が「向上2」の状態に移行する可能性が高く、V入賞の期待度が最も高くなる。
【0037】
図7(c)の第3のパターンの場合、始動入賞後、可動羽根199が開放動作を実行するまでの経過時間が9秒である。第3のパターンの場合には、この9秒間の間に、液晶表示部190の表示画面に例えば
図10の演出画面が表示される。この演出画面は、例えば「激熱」のテキスト表示により、V入賞の期待度が最高である旨を表す演出画面の一例である。
【0038】
以上のように、本例のパチンコ遊技機1では、役物19に遊技球が流入可能になる所定の条件(本例では始動入賞)が満たされた後の経過時間に応じて、V入賞口170の入賞率が変化する。さらに、このパチンコ遊技機1では、所定の条件が満たされた時点(本例では始動入賞時)を基準とした役物19の開放状態への移行時点である役物開放時期が変化する。本例のパチンコ遊技機1では、役物19が開放状態になる役物開放時期と、V入賞口170の入賞率の経時変化と、の組合せに応じて、V入賞口170への入賞率が大きく変化する。この組合せによれば、例えばV入賞口170などの特定入賞口の入賞率を始動入賞後の時間経過に応じて変更可能である一方、特定入賞口の入賞率を自由に変化させることが規制される規則の下であっても、始動入賞を契機としたV入賞の期待度を大きく変更でき、遊技の興趣を効果的に向上できる。
【0039】
このように本例のパチンコ遊技機1は、始動入賞によって所定の条件が満たされた後の時間経過に応じてV入賞口170の入賞率が大きく変化する役物19によって遊技の興趣が高められた優れた特性の遊技機である。
【0040】
また、パチンコ遊技機1は、役物開放時期を抽選により決定するための開放時期抽選手段と、決定された役物開放時期に対応する演出を実行する演出手段と、を有している。パチンコ遊技機1では、
図9や
図10で例示した演出画面の通り、役物開放時期に対応する演出が実行される。例えば、役物開放時期が始動入賞の4秒後の場合には、(
図7(b)の第2のパターン)、
図9の演出画面によりV入賞の期待度が中程度である旨が示唆される。また例えば、役物開放時期が始動入賞の9秒後の場合には(
図7(c)の第3のパターン)、
図10の演出画面によりV入賞の期待度が最高である旨が示唆される。
図9や
図10などの演出画面によれば、役物開放時期に応じてV入賞口170の入賞率が変動することを遊技者にアピールできる。また、時間経過に応じてV入賞口170の入賞率が高くなる本例の構成では、役物19を開放状態に切り替えるまでの期間が長いほど、V入賞の期待度が高くなる。この場合には、V入賞の期待度が高い旨を示唆する演出の実行期間を長く確保できる。
【0041】
本例のパチンコ遊技機1は、V入賞口170の入賞率を変更するための入賞率変更手段の一例として、V入賞口170に至る遊技球の流路に設けられた可動部材である可動蓋179を有している。そしてこの可動蓋179によってV入賞口170への遊技球の流入のし易さを変化させることで、V入賞口170の入賞率を変更する。可動蓋179などの可動部材によれば、物理的な作用によりV入賞口170の入賞率を確実性高く変更できる。可動部材によれば、入賞率が変更する様子を遊技者が視認できるので、視覚的に興趣を向上できる。
【0042】
また、パチンコ遊技機1では、V入賞口170の入賞率として複数段階の入賞率が設けられ、いずれかの入賞率が設定される。また、役物開放時期として複数段階の役物開放時期が設けられ、いずれかの役物開放時期が設定される。V入賞口170の入賞率あるいは役物開放時期を段階的に設定すれば、遊技者側から入賞率や役物開放時期の変更がわかり易くなる。また段階的な入賞率と段階的な役物開放時期によれば、その組合せによりV入賞の期待度について多様な変化を実現できる。
【0043】
なお、パチンコ遊技機1では、予め設けられる複数の役物開放時期の内、いずれかを選択することで役物開放時期が変更される(前記開放時期変更手段)。そして、第1役物開放時期と、第1役物開放時期よりも後の時点である第2役物開放時期と、のいずれが選択されるに関わらず、所定の経時変化のパターンでV入賞口(特定入賞口)170の入賞率が変更される。入賞率の時間的な変動パターンを一定にすれば、役物開放時期に対するV入賞の期待度を遊技者が把握し易くなる。この場合には、役物開放時期の設定に応じて遊技者の期待感を効果的に高揚できる。なお、本例では、役物開放時期として、第1〜第3のパターンを例示している(
図7(a)〜(c))。例えば、役物開放時期が一番早い第1のパターンを第1役物開放時期の一例とすれば、第2及び第3のパターンが第2役物開放時期の一例となる。また、役物開放時期が中間の第2のパターンを第1役物開放時期の一例とすれば、第3のパターンが第2役物開放時期の一例となる。
【0044】
なお、本例のパチンコ遊技機1の構成に代えて、あるいは加えて以下のような構成を採用することもできる。さらに、以下の各構成を適宜組み合わせて採用することも良い。
本例では、可動部材の一例をなす可動蓋179を用いてV入賞口170の入賞率を変更する構成を採用している。V入賞口170などの特定入賞口の入賞率を変更する構成は本例の構成に限定されず、始動入賞からの時間経過に応じてV入賞が容易になる構成であれば良い。例えば所謂チューリップのような入賞口をV入賞口として、その開放度合いによって入賞率を制御することも良い。例えば、ステージ195上の障害物195Bについて、遊技球に影響を与え易い作用状態と、与え難いキャンセル状態と、に制御可能としても良い。例えば、V入賞し易くなる障害物(誘導障害物という。)と、V入賞を阻害する障害物(阻害障害物という。)と、の区別があれば、誘導障害物を作用状態に設定すると共に、阻害障害物をキャンセル状態に設定することでV入賞し易い状態を設定したり、誘導障害物をキャンセル状態に設定すると共に、阻害障害物を作用状態に設定することでV入賞し難い状態とすることも良い。さらに例えば、ワープ球が転動してV入賞口170に向かうステージ195の表面の形状を制御可能としても良い。例えば、ステージ中央のV入賞口170に向けてワープ球を誘導するようにステージの表面を中低の谷状にしたり、同様のV入賞口170へのワープ球の流入を阻害するようにステージの表面を中高の山状にすることで、V入賞口170の入賞率を変更できる。
【0045】
本例では、可動羽根199の開放動作の実行タイミングである役物開放時期を抽選(開放時期抽選)により決定する構成を例示している。例えば大当りの後、一定期間が経過した場合や、ハズレとなった始動入賞の回数が所定回数に達した場合など、の有利な条件が成立した場合の開放時期抽選では、有利な第3のパターン(
図8(c))の確率を100%に設定したり、上記に例示した有利な条件が成立すれば第3のパターン、成立しなければ第1のパターンのように抽選を行うことなく入賞率を変更しても良い。さらに、本例では、役物開放時期として第1〜第3のパターンを設けたが、10パターン等、パターンの数を増やしたり、2パターンのように減らしても良い。
【0046】
本例では、可動羽根199の開放動作により役物19が開放状態になるための所定の条件として、始動口11、12の入賞である始動入賞を例示している。所定の条件は、始動入賞に限定されない。始動入賞を契機として実行される抽選での当選や上記同様に一定期間の経過や始動入賞の回数が所定回数に達する等を、所定の条件に設定しても良いが、この場合、例えば一定期間が経過した際にその旨を報知し、その報知を起点として可動羽根199が開放するまでの期間やV入賞口170の入賞率を変動させれば良い。
【0047】
また、本例では、始動入賞後の時間経過に応じてV入賞口170の入賞率が高くなっていく構成を例示している。入賞率の経時変化のパターンは本例には限定されない。例えば
図8(c)を初期状態として、時間経過に応じて、同図(b)の状態→同図(a)の状態に近づいていく等、時間経過に応じて遊技者側に不利になるように制御しても良い。
【0048】
更に本例では、V入賞口170の入賞率を変動させる動作完了前の始動入賞については可動羽根199等の制御の契機にならないことを例示したが、役物動作完了前の始動入賞に応じて、可動羽根199は回動するがV入賞口170の入賞率の変化には影響させない、或いは作動完了前であるか否かに関わらず可動羽根199を回動させたりV入賞口170の入賞率を変化させたりしても良い。
【0049】
本例の構成では、役物開放時期が第3のパターンのとき(
図7(c))、V入賞の期待度が高い旨を報知する例えば
図10の演出が実行され、役物開放時期が第2のパターンのとき(
図7(b))、V入賞の期待度が中程度である旨を報知する例えば
図9の演出が実行される。そして、役物開放時期が第1のパターンのときには(
図7(a))、V入賞の期待度を示唆する演出は実行されない。このように本例の構成では、役物開放時期のパターンに対して、実行される演出が固定されている。これに代えて、始動入賞に応じて実行する演出を決定するための演出抽選を実行しても良い。
【0050】
本例では、特典の一例として大当り発生を例示している。特典は大当り発生に限定されない。例えば、大当りを発生させるための抽選(大当り抽選)を行うことや、始動口入賞等に応じて別途行われる大当り抽選を有利な確率とすることや、遊技球の付与や、その後の可動羽根199の開放時間や開放回数を有利にするといった開放条件の変更など、遊技者にとって有利な特典であれば良く、大当り発生以外の他の特典を設定可能である。
【0051】
以上、実施例のごとく本発明の具体例を詳細に説明したが、これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して前記具体例を多様に変形、変更、あるいは適宜組み合わせた技術を包含している。