【解決手段】パチンコ遊技機は、大当り抽選の契機となる始動口11に遊技球を誘導する第1経路61Wと、第1経路61Wよりも始動口11の入賞期待度が低い第2経路650Aと、第2経路650Aの遊技球の一部が流入する経路であって、第2経路650Aよりも始動口11に接近する第3経路650Bと、第1経路61W及び第2経路650Aのうちのいずれかに遊技球を振り分けるクルーン61と、第2経路650Aに設けられた可変入賞口66A・Bと、を備え、第2経路650Aに流入した遊技球の第3経路進入割合が可変入賞口66A・Bの入賞率の変化に応じて変動する。
前記第1役物に至る経路、及び該第1役物に遊技球が到達しない経路のうちのいずれかに遊技球を振り分ける第2役物を備えていることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
前記可変入賞口は複数設けられ、各可変入賞口の入賞率は、規定数の遊技球が入賞したとき、前記第3経路進入割合を高めるように変動することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の遊技機。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
本例は、可変入賞口の入賞率の変化に応じて特定入賞口に至る経路への進入割合が変動するという斬新な遊技性が実現されたパチンコ遊技機(遊技機)1の例である。このパチンコ遊技機1によれば、始動口11の入賞頻度の低下により遊技者が所謂スランプを感じるおそれを抑制でき、遊技の興趣を向上できる。この内容について、
図1〜
図5を用いて説明する。
【0011】
図1のパチンコ遊技機1は、特定入賞口の一例である始動口11の入賞に応じて大当り抽選が実行される遊技機である。このパチンコ遊技機1では、始動口11への入賞経路の構成に技術的特徴のひとつがある。入賞経路には、4つ孔のうちのひとつが当り孔であるクルーン(第1役物の一例)61、クルーン61に遊技球を振り分ける振分役物(第2役物の一例)5、クルーン61のハズレ球が流下する通路役物65が配置されている。以下、このパチンコ遊技機1について説明する。
【0012】
パチンコ遊技機1は、図示しない台枠に取り付けられた開閉扉13を有し、その内側の遊技盤の表面側に略円形状の遊技領域130が設けられた遊技機である。遊技領域130の下部両側にはスピーカ131が配置され、遊技領域130の下側には上皿135及び下皿137が遊技者側に張り出すように設けられている。上皿135は、入賞に応じて払い出された賞球や、貸玉等を受け入れて貯留する受け皿である。下皿137は、上皿135から溢れた遊技球等を受け入れる受け皿である。上皿135の右下には、上皿135の遊技球を遊技領域130に向けて発射するための操作ハンドル15が立設されている。
【0013】
開閉扉13は、パチンコ遊技機1に対面して左側に位置するヒンジ133を介して回動可能な状態で台枠に固定されている。開閉扉13には、遊技領域130に対応する略円形状の透明窓139と、透明窓139の上部両側に配置された装飾ランプ部136と、が設けられている。
【0014】
遊技領域130は、遊技媒体である遊技球が流下する領域である。遊技領域130の最下部には、入賞することなく流下した遊技球を回収するためのアウト孔138が開口している。遊技領域130の中央には、振分役物5、クルーン61、及び通路役物65が、上下方向に沿って配置されている。振分役物5は、開口側を下方に向けたコの字状の外枠50を含む役物であり、外枠50の上部中央に、天釘から流下した遊技球が流入可能な開口部51が設けられている。コの字状の外枠50の開口側に当たる振分役物5の下方には、クルーン61及び通路役物65が一体的に形成されている。この通路役物65の直下に、始動口11が配置されている。
【0015】
遊技者から向かって通路役物65の右側には、大当り状態で開放される大入賞部16が配置されている。また、振分役物5の背面側(奥行方向における遊技者から離れる奥側)には、液晶表示部19が配設されている。振分役物5における外枠50の内側の構成物は、透明樹脂により形成されており、遊技者側から液晶表示部19の表示画面を見込むことが可能になっている。
【0016】
以下、遊技領域130に設けられた各部の構成を
図2を参照して説明する。
振分役物5は、外枠50の開口部51から流入した遊技球をクルーン61あるいは役物外に振り分ける第2役物の一例である。振分役物5は、上記のようにコの字状の外枠50を有し、その内側に流下パイプ58が敷設されている。外枠50の開口部51を起点とした流下パイプ58aは下方に下って分岐57に至り、クルーン61に至る螺旋状の流下パイプ58bと、外枠50の左側部に設けられた排出口519に至る流下パイプ58cと、に枝分かれしている。排出口519は、振分役物5の外部に遊技球を排出する開口部である。
【0017】
分岐57には、振分モータ324(
図3)によって回動駆動される振分片571が設けられている。振分片571の回動位置に応じて、上流側の流下パイプ58aの遊技球が、第1役物の一例をなすクルーン61に至る螺旋状の流下パイプ58bに進入するか、排出口519に至る流下パイプ58cに進入するか、が切り替わる。クルーン61に至る螺旋状の流下パイプ58bの出口は、円形すり鉢状のクルーン61の外周に位置している。流下パイプ58bの出口方向は、クルーン61がなす円形状の接線方向に沿っている。流下パイプ58bからクルーン61に供給された遊技球は、まず、円形すり鉢状の外周を周回する。
【0018】
クルーン61は、当りの遊技球を選別する第1役物の一例である。クルーン61は、円形すり鉢状の底面に4つ孔を設けた役物である。4つ孔のうちのひとつが当り孔610であり、残りがハズレ孔611である。当り孔610は、遊技盤の裏側に形成された遊技球の経路であって、始動口11の真上に開口するワープルート(第1経路の一例)61Wに連通している。ハズレ孔611は、通路役物65の上流側の入り口であるハズレ領域63に連通している。クルーン61に供給された遊技球は、当り孔610を含む4つ孔のいずれかに流入する。したがって、クルーン61による当りの確率は1/4である。
【0019】
通路役物65は、クルーン61の下方に延設された役物であり、上記のごとくクルーン61と一体的に形成されている。通路役物65は、上下方向に長い矩形状をなし、外部との遊技球の出入りを防止するための左右一対の側壁652が設けられている。通路役物65では、左右一対の側壁652の間隙のスペースが遊技球の流下エリア650となっている。流下エリア650は、上下方向に長く形成され、下端の開口部が始動口11の真上に位置している。この流下エリア650の中央には、上下方向に沿って可変入賞口66A・Bが2個配置されている。
【0020】
可変入賞口66A・Bは、外側に回動する左右一対の回動片661を備える電動チューリップタイプの入賞口である。この可変入賞口66A・Bは、左右一対の回動片661が外側に回動して開いた開放状態(
図2中の実線で示す状態)と、閉じている閉鎖状態(同図中の破線で示す状態)と、の切替に応じて入賞率が変化する入賞口である。上下の可変入賞口66A・Bは、いずれも、始動口11に遊技球が入賞すると入賞率が高い開放状態に切り替わる。可変入賞口66A・Bは、開放状態下の累計の入賞個数が2個になると、閉鎖状態に切り替わって入賞率が低くなる。
【0021】
通路役物65では、各可変入賞口66A・Bの回動片661が外側に回動する位置に対応して、側壁652から内側に向かって張り出す張出部652Tが設けられている。張出部652Tは、流下エリア650の中央に遊技球を集め、可変入賞口66A・Bの入賞率を高めるように作用する。なお、同様の張出部652Tは、通路役物65の下端近くにも設けられている。最下段の張出部652Tは、流下エリア650を流下し下段の可変入賞口66A・Bを通過した遊技球を中央に集め、始動口11への入賞確率を高めるように作用する。
【0022】
なお、通路役物65がなす遊技球の経路のうち、入口のハズレ領域63から下段の可変入賞口66Bに至る経路が第2経路650Aであり、下段の可変入賞口66Bよりも下流の経路が第3経路650Bである。第2経路650Aでは、可変入賞口66A・Bが開放状態にある場合、可変入賞口66A・Bへ入賞する可能性が高いので、可変入賞口66A・Bが閉鎖状態にある場合と比較して第3経路650Bに到達する可能性が低く、第3経路650Bに至れば
図4に示される第3経路650Bの下方部分のような始動口11が設けられる水平ラインまでは到達でき、第3経路650Bに遊技球が進入した場合、始動口11への入賞期待度が高くなる。また、始動口11に入賞した場合、可変入賞口66A・Bは共に開放状態となり、閉鎖状態となるための入賞個数のカウントもリセットされる。
【0023】
液晶表示部19は、遊技を演出するための画像を表示する演出手段としての機能に加えて、始動口11の入賞に応じて実行される大当り抽選の抽選結果を報知する報知手段としての機能を備えている。上記のごとく、液晶表示部19は、振分役物5の外枠50の内側に表示画面が位置するように設けられている。報知手段としての液晶表示部19は、2桁の演出用の数字図柄(1〜9)を変動表示させた後、各桁の数字図柄を停止させることで抽選結果を報知する。「33」、「77」などの同じ数字図柄の組合せが大当りを報知する当選図柄となっている。
【0024】
液晶表示部19と外枠50との上側の隙間には、保留表示部190をなす4つのランプ190Lが配設されている。保留表示部190は、4つのランプ190Lの点灯個数によって、始動入賞に伴う大当り抽選結果を保留する。保留された大当り抽選結果は、先行する大当り抽選結果の報知演出の終了に応じて順次、読み出されて消去される。なお、保留上限数は4つであり、保留上限数に達した状態での始動入賞は無効として取り扱われる。
【0025】
始動口11は、遊技領域130を流下する遊技球が入賞可能な入賞部であって、抽選手段による大当り抽選の契機となる入賞口である。なお、始動口11への遊技球の入賞に応じた賞球は4個となっている。
大入賞部16は、大当り状態下で開放状態となるアタッカーとも呼ばれる可変入賞装置である。横長の大入賞部16には、開閉可能な蓋部材が設けられている。大入賞部16は、遊技領域130をなす盤面と略面一をなすように蓋部材が位置したとき閉鎖状態となり、蓋部材が手前側に回動すると開放状態となる。大入賞部16が開放されると、遊技球を導くための受け皿のように蓋部材が作用し、高い入賞率が実現される。なお、大入賞部16に入賞したときの賞球は15個となっている。
【0026】
次に、パチンコ遊技機1の電気的な構成について、
図3を用いて説明する。パチンコ遊技機1は、主回路20を中心として構成されている。主回路20に対しては、遊技球の払出を制御する払出制御回路33、遊技球の打込を制御する発射制御回路34、演出制御のための表示制御回路35、入賞球を検出する入賞球センサ311〜313、可変入賞口66A・Bの状態を切り替える電チューソレノイド321A・B、大入賞口16を開放させる大入賞ソレノイド322、振分片571を駆動する振分モータ324、及び電力供給のための電源回路部328等が電気的に接続されている。
【0027】
払出制御回路33は、入賞が発生した旨の主回路20からの指示に応じて払出装置331を制御し、所定数の遊技球の払出を実行させる。
発射制御回路34は、遊技者の発射操作に応じて発射装置341を制御する回路である。発射制御回路34は、操作ハンドル15の操作角度に応じて、発射装置341による遊技球の打ち出し強さを調節する。
【0028】
入賞球センサとしては、始動口11の入賞球を検出する始動入賞センサ311、可変入賞口66A・Bの入賞球を検出する可変入賞口センサ312A・B、大入賞口16への入賞球を検出する大入賞口センサ313等がある。
【0029】
主回路20は、
図3に示すごとく、CPU(Central Processing Unit)28、記憶素子であるROM(Read Only Memory)29・RAM(Random Access Memory)24、及び入出力インタフェースをなすI/O(Input/Output)25等を備えている。RAM24は、CPU28のワークエリアや一時書き込みに利用される読み書き可能な記憶素子である。ROM29は、CPU28に実行させる各種の処理プログラムを記憶している。
【0030】
表示制御回路35は、アンプ/スピーカ131や装飾ランプ部136による音や光の演出を制御する機能のほか、液晶表示部19の表示制御を実行する機能などを備えている。この表示制御回路35は、CPU351、記憶素子であるROM352・RAM353、及び入出力インタフェースをなすI/O354等により構成されている。
【0031】
主回路20は、ROM29から読み出した処理プログラムをCPU28が実行することにより、以下の各手段としての機能を実現する。
(1)抽選手段:始動口11の入賞(始動入賞)に応じて大当り抽選を実行する手段。大当り抽選は、ソフトウェア処理による抽選であり、当選確率である大当り確率が1/10となっている。
(2)特別状態発生手段:大当りの発生を契機として大当り状態を発生させる手段。大当り状態は、大入賞部16が開放されるラウンドが16回繰り返される遊技者に有利な特別状態である。
(3)振分制御手段:振分役物5の振分片571を制御する手段。なお、主回路20は、振分片571の回動位置、すなわちクルーン61及び排出口519のいずれに遊技球が振り分けられるかを制御している。振分制御手段は、クルーン61への振分確率が1/5となるように振分片571を制御する。
(4)可変入賞口制御手段:通路役物65の可変入賞口66A・Bの状態を制御し、入賞率を変化させる手段。可変入賞口制御手段は、電源投入時及び始動入賞時に可変入賞口66A・Bを開放状態に切り替える。可変入賞口制御手段は、可変入賞口66A・Bについて、開放状態への切替後の累計の入賞個数を管理し、累計の入賞個数が規定数(例えば2個)に達したときに閉鎖状態に切り替える。
【0032】
また、表示制御回路35は、ROM352から読み出した処理プログラムをCPU351が実行することにより、液晶表示部19等を制御する。表示制御回路35は、(5)報知演出制御手段としての機能を実現する。報知演出制御手段は、大当り抽選の抽選結果を報知する報知演出を液晶表示部19に実行させる手段である。
【0033】
次に、以上のように構成された本例のパチンコ遊技機1の動作について説明する。
このパチンコ遊技機1では、操作ハンドル15の操作による遊技球の発射により遊技が行われる。発射された遊技球は遊技領域130に打ち込まれて、振分役物5やクルーン61や通路役物65などが設けられた遊技領域130を流下する。
【0034】
振分役物5の開口部51に遊技球が流入すれば、始動口11の入賞可能性が発生する。開口部51に流入した遊技球は、流下パイプ58aを通って分岐57に至る。上記のように分岐57には、振分片571が取り付けられている。振分片571が流下パイプ58aと流下パイプ58bとを連通させる第1の回動位置(
図2中実線で示す位置)にあれば、遊技球は流下パイプ58bを通ってクルーン61に供給される。一方、振分片571が流下パイプ58aと流下パイプ58cとを連通させる第2の回動位置(
図2中破線で示す位置)にある場合には、遊技球は流下パイプ58cから排出口519を経て外部に排出される。なお、上記のごとく、遊技球がクルーン61に振り分けられる確率は1/5となっている。本例では、上記の第1の回動位置に振分片571が位置する時間の遊技時間に対する占有割合を1/5に設定することで、クルーン61への振分確率を1/5にしている。
【0035】
クルーン61に振り分けられた遊技球は、さらに、当り孔610に流入する遊技球と、ハズレ孔611に流入する遊技球と、に振り分けられる。上記のようにクルーン61は、4つ孔のクルーンであって、そのうちのひとつが当り孔610である。したがって、当り孔610の流入確率は1/4である。当り孔610に流入した遊技球は、遊技盤の裏側に形成されたワープルート61Wに流入する。このワープルート61Wは、第3経路650B(
図2参照。)の途中に開口しており、ワープルート61Wを通過した遊技球は、始動口11の真上で遊技領域130に戻って高確率で始動口11に入賞(始動入賞)する。このワープルート61Wは、可変入賞口66A・Bを迂回できる点で、可変入賞口66A・Bに入賞する確率が高い第2経路650Aよりも始動口11の入賞期待度が高くなっている。
【0036】
一方、ハズレ孔611に流入した遊技球は、まず、通路役物65の上流に設けられたハズレ領域63に供給され、ハズレ領域63を経て流下エリア650に流入する。流下エリア650の上流側の第2経路650Aには、可変入賞口66A・Bが上下2段で配置されている。可変入賞口66A・Bのいずれかに入賞した遊技球は、第2経路650Aから流出できず、始動口11に至る第3経路650Bに流入できなくなる。
【0037】
可変入賞口66A・Bが開放状態にある場合には、可変入賞口66A・Bの入賞率が格段に高いため、第2経路650Aから第3経路650Bに流入する割合である第3経路進入割合が低くなる。特に、可変入賞口66A・Bの両方が開放状態にあるとき、第3経路進入割合が最も低くなる。
【0038】
その後の遊技の継続により、可変入賞口66の累計の入賞個数が2個になれば、対応する可変入賞口66が閉じて入賞率が低くなる。可変入賞口66A・Bのいずれか一方が閉じて入賞率が低くなれば(例えば
図4参照。)、両方が開放状態にあるときと比べて第3経路進入割合が高くなる。可変入賞口66A・Bが両方とも閉鎖状態になって入賞率が低くなったとき(例えば
図5参照。)、第3経路進入割合が最も高くなる。
【0039】
第2経路650Aを流下する遊技球は、開放状態の可変入賞口66に入賞する可能性が非常に高い。上下の可変入賞口66A・Bが開放状態という初期状態の場合、第2経路650Aに流入した遊技球は、上側の可変入賞口66Aに高確率で入賞する。その後、上側の可変入賞口66Aに遊技球が2個入賞すれば、上側の可変入賞口66Aが閉鎖状態に切り替わって
図4に例示する状態となる。
【0040】
図4の状態のとき、第2経路650Aに流入した遊技球は、下側の可変入賞口66Bに高確率で入賞する。同図の状態で、第2経路650Aに遊技球が流入し、下側の可変入賞口66Bの入賞が2回発生すると、下側の可変入賞口66Bが閉鎖状態に切り替わって
図5に例示する状態となる。この状態で第2経路650Aに流入した遊技球は、可変入賞口66A・Bが設けられた第2経路650Aを高確率で通過でき、第3経路650Bに流入する。
【0041】
第3経路650Bは、入賞するか否かに関わらず始動口11が設けられる水平ラインまで遊技球が到達できる経路である。この第3経路650Bに遊技球が進入した場合、始動口11が設けられる水平ラインに遊技球が到達するので、始動口11への入賞に対する遊技者の期待感が高揚される。また、この第3経路650Bにおいて通路役物65の側壁652に設けられた張出部652Tは、第3経路650Bをなす流下エリア650の中央に遊技球を集め、始動口11の入賞確率を高めるように作用する。
【0042】
始動口11に遊技球が入賞すると、大当り抽選が実行される。当選確率1/10の大当り抽選に当選すれば、大当りとなる。大当りは、液晶表示部19によるゾロ目の数字図柄の表示によって報知される。大当りが発生すれば、その後、大入賞口16が開放状態となるラウンドが16回繰り返される大当り状態が開始される。大当り状態中の1回のラウンドは、大入賞口16の入賞回数が10回に達するか、30秒経過に応じて終了する。なお、大入賞口16は、通路役物65の右側に配置されているため、大当り状態の発生中では、遊技領域130の右側領域に遊技球を打ち込む、所謂右打ちが有利となる。
【0043】
以上のように、パチンコ遊技機1では、特定入賞口の一例をなす始動口11に至る経路として、可変入賞口66A・Bを設けた第2経路650Aと、第2経路650Aを流下する遊技球のうち可変入賞口66A・Bに入賞しなかった遊技球が流入する第3経路650Bと、が設けられている。第2経路650Aよりも第3経路650Bの方が始動口11の入賞期待度が高くなっており、第2経路650Aから第3経路650Bへの遊技球の流入によって遊技者の期待感を高揚できる。
【0044】
パチンコ遊技機1では、第2経路650Aに流入した遊技球のうち、第3経路650Bに流入する遊技球の割合である第3経路進入割合が一定ではなく、可変である。この第3経路進入割合は、第2経路650Aに設けられた可変入賞口66A・Bの入賞率の変化に応じて変動する。
【0045】
このように本例のパチンコ遊技機1では、可変入賞口66A・Bの入賞率の変化に応じて第3経路進入割合が変動するという従来にない斬新な遊技性が実現されている。このパチンコ遊技機1によれば、始動口11の入賞頻度の低下により遊技者が感じ得る所謂スランプを解消でき、遊技の興趣を向上できる。
【0046】
パチンコ遊技機1は、第1役物の一例をなすクルーン61に至る経路、及びクルーン61に遊技球が到達しない経路のうちのいずれかに遊技球を振り分ける振分役物5(第2役物の一例)を備えている。振分役物5に流入した全ての遊技球がクルーン61に流入する訳ではなく、一部の遊技球がクルーン61に流入するように構成すれば、遊技者が感じるドキドキ感を強くでき、遊技の興趣を向上できる。
【0047】
始動口11への遊技球の入賞を阻害する可変入賞口66A・Bの入賞率は、始動口11に遊技球が入賞したとき、第3経路進入割合が低めるように変動する。始動口11に入賞すれば、遊技者のスランプ感が和らぐと期待できるため、始動口11への入賞に応じて第3経路進入割合を低下させれば、遊技者のスランプ感を抑制しながら始動口11の入賞率を適度に抑制できる。
【0048】
第1経路の一例をなすワープルート61Wは、可変入賞口66A・Bが設置された第2経路650Aを迂回して第3経路650Bに至る経路である。このような経路構成の場合、ワープルート61Wから入賞する特定入賞口と、第3経路650Bから入賞する特定入賞口と、を共用できる。本例では、始動口11を特定入賞口として共用している。
【0049】
可変入賞口は複数設けられ、各可変入賞口66A・Bの入賞率は、規定数(本例では2個)の遊技球が入賞したとき、第3経路進入割合が高くなるように変動する。この場合には、第1経路をなすワープルート61Wに遊技球が流入できなくても、可変入賞口66A・Bに遊技球が複数入賞すれば第3経路進入割合が向上する。このような設定であれば、可変入賞口66A・Bの入賞状況により、遊技者のスランプ感を紛らわすことが可能である。
【0050】
本実施形態の構成に代えて、あるいは加えて以下のような構成を採用することも良い。また、以下の各構成を適宜組み合わせて採用することも良い。
本例では、遊技領域130に発射した遊技球が入賞したときに遊技価値である遊技球を払い出す遊技機1を例示したが、その他の遊技機に本例の構成を適用しても良い。例えば、遊技球が封入してあり、得点を消費して遊技球を発射する封入式パチンコ遊技機や、スタートレバーの操作に応じて抽選を実行し、遊技球の動きによる演出を実行するスロットマシンに本願発明の構成を適用することも可能である。
【0051】
本例では、遊技球を振り分けるための役物として、振分役物5とクルーン61とを例示している。遊技球を振り分ける機構は、例示の構成には限定されず、様々な機構に置き換えることができる。
また本例では、特定入賞口として、大当り抽選の契機となる始動口11を例示している。入賞に応じて大当り状態が発生するV入賞口を特定入賞口としても良い。特定入賞口の一例である始動口11は、入賞率が可変の可変入賞口であっても良い。
【0052】
本例では、可変入賞口66A・Bが開放状態のときには、第2経路650Aの遊技球が可変入賞口66A・Bに入賞する確率が高く、閉鎖状態のときは同確率が低い構成を例示しているが、例えば張出部652Tの張出量を更に大きくした構成として可変入賞口66A・Bが開放状態のときの入賞率を100%に設定しても良い。
【0053】
振分役物5の開口部51やクルーン61の当り孔610やハズレ領域63などに通過球センサを設けることも良い。通過球センサを設ければ、振分役物5の開口部51から始動口11に至る経路中の遊技球の所在を検知できる。遊技球の所在に応じて、液晶表示部19等を利用する演出を実行することも良い。パチンコ遊技機1では、遊技球が所在する位置や経路に応じて入賞期待度が異なるため、入賞期待度を示唆する演出を実行することも良い。
【0054】
また、可変入賞口66を開放状態とする条件として始動口11へ入賞することを例示したが、例えば、大当り発生、或いは上記したように開口部51や排出口519等の特定の箇所にセンサを設け、そのセンサの検知、即ち特定の箇所への遊技玉の通過を条件としても良く、更に始動口や特定の箇所への通過を条件とした場合に、複数個の通過を条件に加えても良い。
更に可変入賞口66Aと可変入賞口66Bとで同数(2個)の入賞に応じて閉鎖状態とすることを例示したが、一方は1個、他方は3個といったように異なる入賞数に応じて閉鎖状態としても良い。また、この場合も含め、可変入賞口66を閉鎖状態とする累計の入賞数は2個以外としても勿論良い。
【0055】
以上、実施例のごとく本発明の具体例を詳細に説明したが、これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して前記具体例を多様に変形、変更あるいは適宜組み合わせた技術を包含している。