(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-130959(P2020-130959A)
(43)【公開日】2020年8月31日
(54)【発明の名称】マットレスへの枕の装着具
(51)【国際特許分類】
A47G 9/10 20060101AFI20200803BHJP
【FI】
A47G9/10 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-32856(P2019-32856)
(22)【出願日】2019年2月26日
(71)【出願人】
【識別番号】501052476
【氏名又は名称】株式会社ライフジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】増本 龍男
【テーマコード(参考)】
3B102
【Fターム(参考)】
3B102AA01
(57)【要約】
【課題】枕の取付けと取外しが容易なマットレスへの枕の装着具を提供することである。
【解決手段】マットレス1の一部又は全部を収容する第1空間5と、枕4を収容する第2空間6を有する。第1空間5は、マットレス1を出し入れする第1開口5aを有し、第2空間6は、枕4を出し入れする第2開口6aを有する。第1空間5と第2空間6の相対位置は固定されている。すなわち、第2空間6は枕4を収容する収容部として機能し、第1空間5は、この第2空間6をマットレス1に取り付ける取付部として機能する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マットレスの一部又は全部を収容する第1空間と、枕を収容する第2空間を有し、
前記第1空間と第2空間の相対位置は固定されており、
前記第1空間は、マットレスを出し入れする第1開口を有し、
前記第2空間は、枕を出し入れする第2開口を有することを特徴とするマットレスへの枕の装着具。
【請求項2】
前記第2開口が、第1開口とは相違する側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のマットレスへの枕の装着具。
【請求項3】
第1開口よりも小さい第2開口が、第1開口と同じ側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のマットレスへの枕の装着具。
【請求項4】
前記第1空間に、マットレスの長さ方向の大きさを拡張する拡張部材を収容可能であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のマットレスへの枕の装着具。
【請求項5】
枕を収容する収容部と、前記収容部をマットレスの特定の位置に取り付ける取付部を有することを特徴とするマットレスへの枕の装着具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マットレスの特定の位置に枕を装着する装着具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
弾力性を有するマットレスを使用すると、使用者は快適に就寝することができる。
使用者が就寝する際には、枕が使用されることが多い。
就寝中、使用者(就寝者)が同じ姿勢を続けることは稀であり、寝返り等様々な動きをすることが多い。その結果、枕の位置がずれることがある。
そこで、従来、枕の位置がずれないようにするための構成が提案されている。例えば、特許文献1には枕の位置を固定することができる部材がベッド上に装着された「起倒ベッドの落下防止カバー」の発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−29342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているような従来の構成は、枕等を固定する取付器具がベッドに直接装着されている。そのため、枕を使用せずに就寝したいときには、これらの取付器具がむき出し状態になるため、これらの取付器具が邪魔になる。
【0005】
そこで本発明は、マットレス側に枕の取付器具を常備せず、枕の取付けと取外しが容易なマットレスへの枕の装着具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、マットレスの一部又は全部を収容する第1空間と、枕を収容する第2空間を有し、前記第1空間と第2空間の相対位置は固定されており、前記第1空間は、マットレスを出し入れする第1開口を有し、前記第2空間は、枕を出し入れする第2開口を有することを特徴とするマットレスへの枕の装着具である。
【0007】
本発明では、マットレスにおける使用者の頭部を載置する側から、当該マットレスを、第1開口を介して第1空間内に収容することを想定している。
請求項1に記載の発明では、第1空間に対して相対位置が固定された第2空間内に枕が収容されるので、第2空間内の枕と第1空間内のマットレスの相対位置が固定される。よって、枕は、第1空間内のマットレスの特定の位置に配置される。すなわち、枕をマットレスの特定の位置に装着することができる。
また、第1空間に収容されたマットレスとは無関係に、枕のみを第2空間に対して出し入れすることができる。すなわち、枕はマットレスが収容された第1空間とは別の第2空間に収容されているので、第2空間に対して枕を出し入れする際に、枕とマットレスが互いに擦られずに済む。そのため、枕の出し入れによってマットレスが損耗することを防止することができる。
【0008】
第2開口が、第1開口とは相違する側に設けられているのが好ましい(請求項2)。
第2開口が第1開口とは相違する側に設けられていると、マットレスをベッド上に載置し、ベッドをリクライニング状態(ベッドがくの字に屈曲し、使用者の上半身側が傾斜姿勢になる状態)にした際に、枕が第2空間から脱落しない。
ここで「第1開口とは相違する側」とは、第1開口に対して直交する方向にある側や、第1開口とは反対側を意味している。すなわち、第1空間が、マットレスの一部のみを収容することができる場合には、ベッドをリクライニングした際に、第1開口が下向きになることがあるが、第2開口が側方を向いた状態を維持(第1開口に対して直交する方向にある側)したり、第2開口が上向き(第1開口とは反対側)になると、枕は第2空間から脱落しない。
【0009】
また、第1開口よりも小さい第2開口が、第1開口と同じ側に設けられていてもよい(請求項3)。すなわち、第2開口は、縦横の長さが相違する枕が、短手方向には通過可能で、長手方向には通過できない大きさを有しているのが好ましい。
【0010】
請求項4に記載の発明は、前記第1空間に、マットレスの長さ方向の大きさを拡張する拡張部材を収容可能であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のマットレスへの枕の装着具である。
【0011】
請求項4に記載の発明では、第1空間が、マットレスの長さ方向の大きさを拡張する拡張部材を収容可能であるので、第1空間に収容された拡張部材とマットレスが一体化される。そのため、マットレスと拡張部材を連結する機構を別途設ける必要がない。
【0012】
請求項5に記載の発明は、枕を収容する収容部と、前記収容部をマットレスの特定の位置に取り付ける取付部を有することを特徴とするマットレスへの枕の装着具である。
【0013】
請求項5に記載の発明では、枕を収容する収容部と、収容部をマットレスの特定の位置に取り付ける取付部を有するので、マットレスの特定の位置に枕を配置することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のマットレスへの枕の装着具では、マットレスの特定の位置に枕を装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施形態に係る枕の装着具を取り付けたマットレスの斜視図であり、(a)は装着具に枕を装着していない状態を示し、(b)は、装着具に枕を装着した状態を示す。
【
図2】(a)は、
図1(b)のマットレス、装着具、及び枕を個別に示す分解斜視図であり、(b)は、(a)のマットレス、装着具、及び枕を別の角度から見た分解斜視図である。
【
図3】(a)は、拡張部材を並置したマットレス、装着具、及び枕の分解側面図であり、装着具のみを断面視して示しており、(b)は、拡張部材を並置したマットレスに装着具を取り付ける途中の状態と、装着具に枕を装着する途中の状態を示す側面図であり、(c)は、装着具に拡張部材とマットレスの一部を装着すると共に、装着具に枕を装着した状態を示す側面図であり、(d)は、拡張部材を並置していないマットレスに装着具を取り付けると共に、装着具に枕を装着した状態を示す側面図である。
【
図4】
図1〜
図3とは別の実施形態に係る装着具と、マットレスを示す斜視図である。
【
図5】
図1〜
図4とはさらに別の実施形態に係る装着具と、マットレスを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら説明する。
図1(a)、
図2(a)に示すように、マットレス1は、拡張部材2を並置して長さを拡張することができる。拡張部材2は、マットレス1と同様の素材で構成されており、マットレス1と同程度のクッション性を有している。マットレス1と拡張部材2の幅寸法は同じ、又は同程度であり、拡張部材2は、マットレス1の長さ方向の寸法を拡張したいときにマットレス1に隣接配置される。
【0017】
本実施形態に係る装着具3は、周知の布生地で形成されている。
図2(a)、
図2(b)に示すように、装着具3は、開口5aを有する第1空間5と、開口6aを有する第2空間6を備えている。開口5aは、第1空間5の出入口を構成しており、開口6aは、第2空間6の出入口を構成している。第1空間5と第2空間6は、布生地からなる仕切7(
図3(a))によって仕切られている。すなわち、第1空間5と第2空間6の間には仕切7があり、両者は連通していない。第1空間5は、第2空間6の下方に設けられている。
【0018】
また、開口5aと開口6aは、互いに反対側に設けられている。すなわち、装着具3の一方側に開口5a(第1開口)が設けられており、装着具3の他方側に開口6a(第2開口)が設けられている。具体的には、開口5aは、マットレス1及び拡張部材2が配置された側(
図3(a)で見て左側)に設けられており、開口6aは、マットレス1及び拡張部材2が配置された側とは反対側(
図3(a)で見て右側)に設けられている。
【0019】
図2(b)に示すように、第1空間5は有底であり、底部5bを有している。すなわち、第1空間5における開口5aとは反対側に底部5bが設けられている。
第2空間6も有底であり、底部6b(
図2(a))を有している。すなわち、第2空間6における開口6aとは反対側に底部6bが設けられている。
【0020】
次に、装着具3をマットレス1に取り付ける方法について説明する。
本実施形態では、マットレス1における使用者の頭部を載置する側から、マットレス1を、開口5a(第1開口)を介して第1空間5内に収容し、マットレス1に装着具3を取り付けることを想定している。
【0021】
図3(a)に示すように、装着具3の開口5a側にマットレス1を配置し、開口6a側に枕4を配置する。
図3(b)、
図3(c)に示すように、開口5aを介して拡張部材2及びマットレス1を第1空間5内に収容し、装着具3をマットレス1に取り付ける。
【0022】
本実施形態では、装着具3はマットレス1に対して短い。また、拡張部材2が、マットレス1の端部に並置されており、拡張部材2は第1空間5の底部5bに当接している。拡張部材2が底部5bに当接したとき、装着具3は、マットレス1の一部のみを収容してマットレス1に取り付けられている。このとき、マットレス1と拡張部材2は、装着具3によって一体に連結されている。換言すると、マットレス1と拡張部材2を連結する機構を別途設ける必要がない。
【0023】
また、開口6aを介して枕4を第2空間6内に収容する。すなわち、装着具3の第2空間6は、枕4を収容する収容部として機能する。第2空間6には底部6bが設けられており、有底である。そのため、枕4は第2空間6の範囲内でのみ移動が可能である。すなわち、枕4の移動可能な範囲は、第2空間6内に限定されている。
【0024】
マットレス1と並置された拡張部材2が、底部5bに当接してマットレス1(拡張部材2)と装着具3の位置が固定されており、また、枕4の移動が第2空間6の範囲内に限定されている。その結果、拡張部材2を含めたマットレス1に対する枕4の位置がほぼ固定される。この枕4がマットレス1に対して固定された位置は、
図3(c)に示すように、比較的背が高い使用者の頭部がちょうど配置される位置である。枕4は、装着具3の第2空間6内に収容されているため、使用者は直に枕4に触れることがない。そのため、使用者の寝返り等の動作によって枕4が第2空間6内を移動することはほとんどない。
【0025】
このように、装着具3によって、マットレス1に枕4が装着されている。また、本実施形態の装着具3は、マットレス1のカバーとして機能している。すなわち、マットレス1における装着具3が装着された部位は、装着具3によって覆われており、第2空間6から枕4が取り出されても、マットレス1における装着具3で覆われた部位は外部に露出しない。
【0026】
また、
図3(d)は、拡張部材2を連結していないマットレス1に装着具3を取り付けた状態を示している。この場合には、マットレス1の一部が装着具3の第1空間5内に収容され、マットレス1の端部が底部5bに当接し、マットレス1に対する装着具3の位置が固定される。そして、このマットレス1に取り付けられた装着具3の第2空間6に枕4が収容されている。装着具3を介してマットレス1に装着された枕4の位置は、
図3(d)に示すように、比較的背が低い使用者の頭部が配置される位置である。
【0027】
このように、装着具3は、マットレス1に拡張部材2を連結するか否かに関わらず、枕4の位置を使用者にとって使用しやすい適切な位置に固定する機能を有している。すなわち、装着具3の第1空間5と第2空間6の相対位置が固定されていることにより、第1空間5が、枕4の収容部として機能する第2空間6を、マットレス1の特定の位置に取り付ける取付部を構成している。
【0028】
次に、本発明の別の実施形態について説明する。
図4は、別の実施形態に係る装着具10と、マットレス1を示している。
【0029】
装着具10は、
図2(a)の第2空間6及び開口6aの代わりに、第2空間11及び開口11a(第2開口)を備えている。開口11aは、略直方体形状の枕4の長手方向の寸法よりは短く、枕4の短手方向の寸法よりは若干大きい大きさを有している。そのため、枕4の短手方向を開口11aの幅方向と一致させると、枕4は開口11aを通過して第2空間11内に収容可能である。そして、第2空間11内で枕4の向きを90度回転させる(
図4の状態)と、枕4の長手方向が開口11a側を向き、枕4は開口11aを介して第2空間11から外部に出ることができなくなる。この装着具10の開口11aは、
図4に示すように、開口5aと同じ側であって、開口5aの上方に設けられている。
【0030】
このように開口11aを構成すると、マットレス1を図示しないベッド上に載置し、ベッドをリクライニング(使用者の上半身を水平姿勢から傾斜姿勢に変更)して、開口11aが下向きになっても、枕4が第2空間11から脱落することがない。すなわち、マットレス1に対して枕4の位置が、装着具10によって固定され、マットレス1の特定の位置に枕4を装着することができる。
【0031】
図5は、さらに別の実施形態に係る装着具15を示している。
装着具15では、装着具3の第2空間6(
図2(b))、装着具10の第2空間11(
図4)の代わりに、第2空間16が設けられている。
【0032】
第2空間16は、開口5aと直交する位置に開口16aが設けられている。すなわち、開口16aは、装着具15をマットレス1に取り付けた際に、マットレス1の側方に位置する。開口16aは、開口11a(
図4)と同程度の大きさを有している。
【0033】
装着具15をマットレス1に取り付けると、マットレス1を載置した図示しないベッドをリクライニングしても、開口16aがマットレス1の側方にあるため、第2空間16内の枕4は、開口16aを介して第2空間16から脱落しない。すなわち、マットレス1に対して枕4の位置が、装着具15によって固定され、マットレス1の特定の位置に枕4を装着することができる。
【0034】
以上説明した例では、いずれの装着具3、10、15も、枕4を収容した第2空間6、11、16(収容部)と、この第2空間6、11、16をマットレス1に取り付ける第1空間5(取付部)を有しているが、装着具は、第1空間5の代わりに、ベルトのような紐状の部材(取付部)を有していてもよい。すなわち、ベルトを締結することによって装着具をマットレスに装着し、ベルトを緩めると、装着具をマットレスから取り外すことができるように装着具を構成することもできる。
【符号の説明】
【0035】
1 マットレス
2 拡張部材
3、10、15 装着具
4 枕
5 第1空間(取付部)
5a 開口(第1開口)
6、11、16 第2空間(収容部)
6a、11a、16a 開口(第2開口)