【解決手段】自律的にまたは外部操作に応じて床面を走行する自走式ロボットにおいて、走行駆動部の駆動時に、傾斜角度センサおよび加速度センサの検出結果に基づいて、アーム支持部の回動位置およびアーム部の姿勢状態をロボット本体の重心位置を変化させるように調整しながら、当該ロボット本体の動的安定性を維持するようにした。
前記制御部は、前記傾斜角度センサおよび前記加速度センサの検出結果に基づいて、前記ロボット本体に作用する転倒モーメントが所定レベルを超えた時点で、前記アーム部が前記床面に接触するように前記アーム支持部を回転移動させる
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の自走式ロボット。
前記制御部は、転倒状態にある前記ロボット本体について、前記アーム支持部の回転位置を調整して前記アーム部の先端を前記床面に当接させた状態で、当該アーム部の各関節を可動させながら前記走行駆動部の一対の前記駆動輪が前記床面に当接する復帰状態に戻す
ことを特徴とする請求項5に記載の自走式ロボット。
【背景技術】
【0002】
近年、自動清掃ロボットなどの自律移動可能なロボットには、外部環境に対して自己の位置を推定すると同時に環境地図を作成するSLAM(Simultaneous Localization and
Mapping)技術が搭載されたものが数多く提案されている。
【0003】
このSLAM技術を用いた自律移動ロボットとしては、レーザレンジセンサ等の測距センサを用いて、高精度に自己の位置を推定しながら、実空間内に存在する物体の3次元位置を表現する環境地図を動的に生成することにより、自己の移動経路を特定して環境内を自律的に移動するものが一般的である。
【0004】
自律的に移動する自走式ロボットは、施設内を走行する際には人混みを避けるように速度を比較的遅くするように制御されるが、施設の閉館時間など利用者が存在しない時間帯などでは、必要な場所へ移動するのに、可能な限り速く走行することが望ましい。
【0005】
従来から移動体の姿勢を保持し転倒を防止するための装置として、移動体辺縁部に従動輪や支持部材を設けたものが知られている。例えば、移動体の水平面に対する傾きおよび傾きの方向が基準値を上回ったときに、当該基準値を下回るまで、移動体から支持部材を路面に張り出して下向きに駆動し続けることにより、移動体の姿勢保持および転倒防止が可能な装置が開示されている(特許文献1参照)。
【0006】
また、重力と慣性力との合力が接地面と交わる交点であるZMP(ゼロモーメントポイント)を転倒開始前に計測して転倒安全性を評価するようにして、転倒を未然に防止するようになされた移動型ロボットが提案されている(特許文献2参照)。
【0007】
さらに、装置本体に転倒防止足を突出可能に設けておき、当該装置本体の傾きの有無に応じて、伝達機構を介して増幅して伝達される錘の回動動作により、装置本体から転倒防止足を突出または退避させるようになされた転倒防止装置が開示されている(特許文献3)。
【0008】
さらに、二輪倒立型ロボット本体の前後に転倒を防止するための一対の転倒防止用脚部を設けておき、停止時にはスタンドとして機能させる一方、ロボット本体の傾きが過大になった場合や、正常な倒立制御が行えない場合にも接地面に対して垂直に転倒防止用脚部を接地させるようにして、安定して転倒を防止することを可能とする二輪倒立型ロボットが開示されている(特許文献4参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、上述の特許文献1、3および4では、移動体の傾きに応じて本体の辺縁部から従動輪や支持部材を突出させて当該移動体の姿勢を保持して転倒を防止することから、転倒防止用の機構が必要となり、部品点数も増えて構成が煩雑になる問題がある。
【0011】
また上述の特許文献2では、移動型ロボットは、アーム連結部を支持する固定支柱自体を前方に移動させるとともに、当該アーム連結部を固定支柱の回転軸から下降させて重心位置を落とした姿勢に変更するが、固定支柱の前後移動やアーム連結部の上下移動は、一対の車輪を保持する走行部の設置枠内での動作にすぎない。
【0012】
このため移動型ロボットにおいて、一対の車輪を駆動保持するベース部の設置枠を超えて外方に突出する部材を有する場合には適用できず、当該突出する部材が可動する場合には、その部材の可動状態を考慮して重心位置を調整しなければならない困難さが残る。
【0013】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、専用の部材を設けることなく走行時の動的安定性を確保することが可能な自走式ロボットを提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
かかる課題を解決するため本発明においては、自律的にまたは外部操作に応じて床面を走行する自走式ロボットにおいて、一対の駆動輪を同時にまたは独立して回転駆動してロボット本体を所望方向に走行させる走行駆動部と、少なくとも1以上の関節機構を有するアーム部の端部を支持し、かつ、鉛直方向を回動中心としてアーム部と一体となって走行駆動部に対して回動自在に当該走行駆動部の上段に連結されたアーム支持部と、走行駆動部に対するアーム支持部の回動位置およびアーム部の姿勢状態に基づいて、ロボット本体の重心位置を算出する重心位置算出部と、走行駆動部の床面に対する傾き角度を検出する傾斜角度センサと、走行方向に対するロール軸およびピッチ軸をそれぞれ回転中心とするアーム支持部の2軸合成加速度を検出する加速度センサと、走行駆動部およびアーム支持部をそれぞれ駆動制御する制御部と、を備え、制御部は、走行駆動部の駆動時に、傾斜角度センサおよび加速度センサの検出結果に基づいて、アーム支持部の回動位置およびアーム部の姿勢状態をロボット本体の重心位置を変化させるように調整しながら、当該ロボット本体の動的安定性を維持するようにした。
【0015】
このように自走式ロボットは、走行時にロボット本体の動的安定性を常に維持するように、アーム支持部の回動位置およびアーム部の姿勢状態をロボット本体の重心位置を変化させるように調整することにより、別途転倒防止用の部材を専用に設ける必要がなくて済み、かつ、床面に対して必ずアーム部が当接することから転倒復帰を容易にすることが可能となる。
【0016】
また本発明においては、アーム支持部におけるアーム部は、多自由度を有する多関節機構からなり、制御部は、アーム支持部が走行駆動部に対して回動する際、鉛直方向の回動軸を中心とする所定の偏心率となるように、当該アーム部の各関節機構をデフォルト位置に設定するようにした。
【0017】
この結果、自走式ロボットは、通常の走行時に走行駆動部に対してアーム支持部を回動する際、アーム部をデフォルト位置に設定するようにして、能動的に行うロボット本体の重心位置の変化に規則性を設けることにより、当該重心位置の変化の調整のための演算負担を軽減することができる。
【0018】
さらに本発明においては、アーム部は、アーム支持部から床面に対する平行方向に突出する最大長さが所定長さ範囲内に納まるように、各関節機構を所望状態に屈曲または伸展させるようにした。この結果、自走式ロボットは、通常の走行時にアーム部のエンドエフェクタにて物品等を把持した状態であっても、走行駆動部の設置枠から外方に所定長さ内に限定しておくことにより、ロボット本体の重心位置の変化が極端に大きくなるのを未然に防止して、傾倒時にアーム部の特定の関節部位を床面に対向させることが可能となる。
【0019】
さらに本発明においては、制御部は、傾斜角度センサおよび加速度センサの検出結果に基づいて、ロボット本体に作用する転倒モーメントが所定レベルを超えた時点で、アーム部が床面に接触するようにアーム支持部を回転移動させるようにした。この結果、自走式ロボットは、転倒時にロボット本体が直接床面に衝突することなく、アーム部の特定の関節部位から床面に当接させることが可能となる。
【0020】
さらに本発明においては、制御部は、アーム部が床面に接触した時点で衝突を緩衝するように特定の関節部位を可動させるようにした。この結果、自走式ロボットは、アーム部の特定の関節部位が床面に当接した際の衝撃をロボット本体が直接受けることなく、当該アーム部の根元を含む各関節部位にて吸収することができ、ロボット本体が受ける衝撃ダメージを低減させることが可能となる。
【0021】
さらに本発明においては、制御部は、転倒状態にあるロボット本体について、アーム支持部の回転位置を調整してアーム部の先端を床面に当接させた状態で、当該アーム部の各関節を可動させながら走行駆動部の一対の駆動輪が床面に当接する復帰状態に戻すようにした。
【0022】
この結果、自走式ロボットは、転倒状態から復帰する際、アーム部が床面に当接していることから、アーム支持部はアーム部の各関節部位を伸長させるように駆動することにより、比較的短時間でそのまま元の立位状態に復帰させることが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
以上のように本発明によれば、走行時の安定性を維持することが可能な自走式ロボットを実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面について、本発明の一実施例を詳細する。
【0026】
(1)本実施形態による自走式ロボットの構成
図1〜
図3は全体として本実施の形態による自走式ロボット1を示す。自走式ロボット1は、自律的または外部操作に応じて床面を走行する二輪駆動型の移動体であり、一対の駆動輪5a、5bを同時にまたは独立して回転駆動してロボット本体を所望方向に走行させる走行ベース部(走行駆動部)2と、少なくとも1以上の関節機構を有するアーム部6の端部を支持し、かつ、鉛直方向を回動中心としてアーム部6と一体となって走行ベース部2に対して回動自在に当該走行ベース部2の上段に連結されたアーム支持部3とを備える。
【0027】
走行ベース部2は、
図3の底面図に示すように、一対のオムニホイール7a、7bが前輪として設けられるとともに、後輪である一対の駆動輪5a、5bの間の後端中心には補助輪8が設けられている。これにより自走式ロボット1は、走行ベース部2が一対の駆動輪5a、5bを同時に回転駆動して前後方向に走行することができる一方、一対の駆動輪5a、5bを独立して回転移動して各オムニホイール7a、7bが追従して左右いずれにも走行することができる。
【0028】
すなわち一対の駆動輪5a、5bはそれぞれ駆動モータ(例えばインホイールモータ)9a、9b(後述する
図5)によってそれぞれ独立して回転駆動し、駆動輪5a、5bの前進回転或いは後進回転によって前進及び後進し、駆動輪5a、5bの前進回転角度に差を与えることによって前進しつつ右或いは左に走行する。また、駆動輪5a、5bを互いに逆方向に回転駆動することによって自走式ロボット1がスピン、即ちその位置で方向転換する。
【0029】
アーム支持部3は、少なくとも1以上の関節機構を有するアーム部6の端部を支持し、かつ、鉛直方向を回動中心としてアーム部6と一体となって走行ベース部2に対して回動自在に当該走行ベース部2の上段に連結されている。
【0030】
なお、走行ベース部2の上段には、アーム支持部3の連結部に近い位置にトレイ10が固定されており、アーム支持部3によるアーム部6を用いて必要に応じて物品等を載置し得るようになされている。
【0031】
走行ベース部2の前面側(進行方向側)には、レーザレンジセンサ11および3次元スキャン可能なRGB−Dセンサ12が設けられるとともに、その上側の周囲全方向を囲むように所定間隔で複数の3D距離画像センサ13が配置されており、斜め前方方向および左右方向の障害物の検知を行うようになされている。
【0032】
具体的にレーザレンジセンサ11は、設置位置から見た対象物(障害物)に照射し、その反射光を受光して距離を算出する。これを一定角度間隔で距離を測定することにより、平面上に扇状の距離情報を最大30m、角度240度の範囲で得ることができる。
【0033】
またRGB−Dセンサ12は、RGBカラーカメラ機能に加えて、当該カメラから見た対象物(障害物)までの距離を計測できる深度センサを有し、対象物の3次元スキャンを行うことができる。この深度センサは赤外線センサからなり、構造化光の単一のパターンを対象物に投影した状態で対象を撮影し、そのパラメータを用いて三角測量により画像上の各点のデプスを算出する。
【0034】
例えばRGB−Dセンサ12として、例えばkinect(マイクロソフト社、登録商標)を適用した場合、水平視野57度、垂直視野43度、センサ範囲は1.2m〜3.5mの範囲を撮影することが可能であり、RGB画像は640×480、Depth(深度)画像は320×240画素で共に30フレーム/秒で取得できる。
【0035】
RGB−Dセンサ12をアーム支持部3の上部中央に設置したのは、ほぼ床面に近い走行ベース部2では垂直視野が確保できないためであり、床面から0.6m〜1.8mの高さ確保が必要となる。
【0036】
3D距離画像センサ13は、LEDパルスを照射し、対象物からの反射光の到達時間を画素単位で計測すると同時に取得した画像情報を重畳することにより、対象物までの距離情報を画素単位で算出する。この3D距離画像センサ13は、上述のRGB−Dセンサ12よりも高精度の検出能力を有し、かつレーザレンジセンサ11よりも視野角が広いことから、屋外向けの補完センサとして必要である。
【0037】
3D距離画像センサ13として、例えばピクセルソレイユ(日本信号株式会社の商品名)を適用した場合、水平視野72度、垂直視野72度、センサ範囲は0.3m〜4.0mの範囲を撮影することが可能である。
【0038】
本発明の自走式ロボット1では、レーザレンジセンサ11、RGB−Dセンサ12および3D距離画像センサ13を用いて、外部環境に対して自己の位置を推定すると同時に環境地図を作成するSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術が実現するようになされている。
【0039】
このSLAM技術を用いた自走式ロボット1は、高精度に自己の位置を推定しながら、実空間内に存在する物体の3次元位置を表現する環境地図を動的に生成することにより、自己の移動経路を特定して環境内を自律的に移動することが可能である。
【0040】
またアーム支持部3の上端部には、複数の超広角レンズを搭載する撮像カメラ14が設けられており、自走式ロボット1の全方位(360度)の空間を撮像し得るようになされたいる。さらにアーム支持部3の中央上部には、集音マイクおよびスピーカ(ともに図示せず)が搭載されており、周囲環境の音声を集音し、必要に応じて発話や警告音を発するようになされている。
【0041】
(2)アーム支持部におけるアーム部の構成
図4に示すように、アーム支持部3は、走行ベース部2に対して回動自在に連結された支持本体部20と、当該支持本体部20の回動方向に対して垂直方向に旋回可能に連結された肩上腕部21と、当該肩上腕部21と同じ方向に旋回可能に連結された前腕部22と、当該前腕部22の旋回方向と垂直方向に旋回可能に連結された手首部23と、当該手首部23の旋回方向と垂直方向を回転軸として回動可能に連結されたハンド部(エンドエフェクタ)24とを有する。
【0042】
すなわちアーム支持部3は、支持本体部20に対して4自由度をもつ多関節構造のアーム部6(肩上腕部、前腕部、手首部、ハンド部)が各軸(A軸〜D軸)を回転中心として回動自在に連結された構成からなる。
【0043】
具体的には、支持本体部20と肩上腕部21はA軸を中心に回動可能に連結され、肩上腕部21と前腕部22はB軸を中心に回動可能に連結され、前腕部22と手首部23はC軸を中心に回動可能に連結され、手首部23とハンド部24はD軸を中心に回動可能に連結されている。
【0044】
これら支持本体部20と肩上腕部21の関節部位、肩上腕部21と前腕部22の関節部位、前腕部22と手首部23の関節部位、手首部23とハンド部24の関節部位にはそれぞれ例えば直流サーボモータからなるアクチュエータが設けられ、図示しない伝達機構を介して回転駆動されるようになされている。
【0045】
このハンド部24は、例えば4本指の把持機能を有するエンドエフェクタであり、内部に設けられたアクチュエータがアーム部6(ハンド部を除く)の動作に連動して駆動制御されて開動作または閉動作を行うようになされている。
【0046】
アーム支持部3は、通常の走行時にはアーム部6のハンド部24が支持本体部20に収納されるとともに、肩上腕部21と前腕部22との関節部位が外方向に突出するように折り曲げられ、肩関節軸(A軸)の延長上に手首軸(D軸)が交差するようにデフォルト位置が設定されている。
【0047】
(3)自走式ロボットの内部構成
図5は、自走式ロボット1に搭載される統括制御部30の構成図である。統括制御部30はマイクロコンピュータを主体として構成され、全体の制御を司る走行制御部31、走行経路情報を記憶する目標走行経路制御部32、および、駆動系を制御する作動制御部33を備える。
【0048】
走行制御部31は、予め設定された走行経路情報を記憶する目標走行経路制御部32からの走行経路情報と、レーザレンジセンサ11、RGB−Dセンサ12および3D距離画像センサ13による各検出信号に基づいて自己位置推定と環境地図の構築を同時に行いながら、走行経路の適否や変更の要否を判断したり、走行障害物の有無を判断する。
【0049】
例えばオフィスフロアにおける自走式ロボット1がティーチングされた走行経路上を走行する際に壁面や階段直前などの走行障害物に接触するか否かを判断し、接触する直前に一旦停止して当該走行経路に沿う方向に走行経路を変更する。
【0050】
走行制御部31は決定した走行経路情報を作動制御部33に送り、作動制御部33は、該走行経路情報に応じて、左右のモータドライバ34a、34bを制御し、駆動モータ5a、5bの回転を制御する。
【0051】
実際に自走式ロボット1は、上述したSLAM技術を利用して、ユーザが所望する対象エリアの環境地図を自動的に作成する。
【0052】
具体的には自走式ロボット1は、レーザレンジセンサ11から得られる対象物との距離情報および角度情報に基づいて、2次元格子で区切ったグリッド上の局所地図を移動環境を示すエリアとして設定していきながら、所望の対象エリア全体を表す環境地図を作成する。
【0053】
それと同時に自走式ロボット1の一対の駆動輪5a、5bに対応するエンコーダ(図示せず)から読み出された回転角度に基づいて、自機の走行量を演算し、次の居所地図と現時点までに作成された環境地図とのマッチングおよび自機の走行量から自己位置を推定する。
【0054】
また走行制御部31は、走行ベース部2およびアーム支持部3をそれぞれ駆動制御するとともに、走行ベース部2に対するアーム支持部3の回動位置およびアーム部6の姿勢状態に基づいて、ロボット本体の重心位置を算出する。
【0055】
本実施の形態において、走行ベース部2には、床面に対する傾き角度を検出する傾斜角度センサ35と、走行方向に対するロール軸およびピッチ軸をそれぞれ回転中心とするアーム支持部3の2軸合成加速度を検出する加速度センサ36とを有する。
【0056】
そして走行制御部31は、走行ベース部2の駆動時に、傾斜角度センサ35および加速度センサ36の検出結果に基づいて、アーム支持部3の回動位置およびアーム部6の姿勢状態をロボット本体の重心位置を変化させるように調整することにより、当該ロボット本体の動的安定性を維持することができる。
【0057】
また自走式ロボット1は、外部の情報入力装置(図示せず)と無線通信する通信部37を備え、統括制御部30の制御に応じて、環境地図のデータを送信するとともに、情報入力装置からの操作指示の内容を示すデータを受信する。
【0058】
さらに自走式ロボット1は、二次電池またはキャパシタからなる比較的大容量の駆動用バッテリ38を内蔵しており、外部との給電台(図示せず)に設けられた給電端子に駆動用バッテリ38の充電端子を導電接続させることにより、商用電源から供給される電力を当該給電端子を介して駆動用バッテリ38に供給して充電することが可能となる。
【0059】
(4)自走式ロボットの転倒時および復帰時の動作
本実施の形態の自走式ロボット1において、通常の走行時に、走行制御部31は、走行ベース部2の駆動時に、傾斜角度センサ35および加速度センサ36の検出結果に基づいて、アーム支持部3の回動位置およびアーム部6の姿勢状態をロボット本体の重心位置を変化させるように調整しながら、当該ロボット本体の動的安定性を維持する。
【0060】
このように自走式ロボット1は、走行時にロボット本体の動的安定性を維持するように、アーム支持部3の回動位置およびアーム部6の姿勢状態をロボット本体の重心位置を変化させるように調整することにより、別途転倒防止用の部材を専用に設ける必要がなくて済み、かつ、床面に対して必ずアーム部6が当接することから転倒復帰を容易にすることが可能となる。
【0061】
その際、自走式ロボット1において、走行制御部31は、アーム支持部3が走行ベース部2に対して回動する際、鉛直方向の回動軸を中心とする所定の偏心率となるように、当該アーム部6の各関節機構をデフォルト位置に設定する。
【0062】
また、自走式ロボット1は、通常の走行時に走行ベース部2に対してアーム支持部3を回動する際、アーム部6をデフォルト位置に設定するようにして、能動的に行うロボット本体の重心位置の変化に規則性を設けることにより、当該重心位置の変化の調整のための演算負担を軽減することができる。
【0063】
例えば
図6(A)〜(C)に示すように、自走式ロボット1は、走行ベース部2に対してアーム支持部3を走行方向に合わせて位置決めしておき(
図6(A))、このときの重心位置を基準とする。続いてアーム支持部3を走行ベース部2に対して右旋回方向(
図6(B))に回転させると、重心位置が基準よりも右側方向に移動する。これに対してアーム支持部3を走行ベース部2に対して左旋回方向(
図6(C))に回転させると、重心位置が基準よりも左側方向に移動する。
【0064】
さらに自走式ロボット1において、アーム部6は、アーム支持部3から床面に対する平行方向に突出する最大長さが所定長さ範囲内に納まるように、各関節機構(関節部位)を所望状態に屈曲または伸展させるようにした。
【0065】
この結果、自走式ロボット1は、通常の走行時にアーム部6のハンド部(エンドエフェクタ)24にて物品等を把持した状態であっても、走行ベース部2の設置枠から外方に所定長さ内に限定しておくことにより、ロボット本体の重心位置の変化が極端に大きくなるのを未然に防止して、傾倒時に肩上腕部21と前腕部22との関節部位を床面に対向させることが可能となる。
【0066】
さらに
図7(A)に示す自走式ロボット1において、走行制御部31は、傾斜角度センサ35および加速度センサ36の検出結果に基づいて、ロボット本体に作用する転倒モーメントが所定レベルを超えた時点で、アーム部6における肩上腕部21と前腕部22との関節部位が床面に接触するようにアーム支持部3を回転移動させるようにした(
図7(B))。
【0067】
この結果、自走式ロボット1は、転倒時にロボット本体が直接床面に衝突することなく、アーム部6における肩上腕部21と前腕部22との関節部位から床面に当接させることが可能となる。
【0068】
さらに
図8(A)に示す自走式ロボット1において、走行制御部31は、アーム部6が床面に接触した時点で(
図8(B))、衝突を緩衝するように特定の関節機構を可動させるようにした(
図8(C))。この結果、自走式ロボット1は、アーム部6における肩上腕部21と前腕部22との関節部位が床面に当接した際の衝撃をロボット本体が直接受けることなく、当該アーム部6の根元を含む関節部位にて吸収することができ、ロボット本体が受ける衝撃ダメージを低減させることが可能となる。
【0069】
さらに自走式ロボット1において、走行制御部31は、転倒状態にあるロボット本体について(
図9(A))、走行ベース部2に対するアーム支持部3の回転位置を調整してアーム部6の先端を床面に当接させた状態で、当該アーム部6の各関節を可動させながら走行ベース部2の一対の駆動輪5a、5bが床面に当接する復帰状態に戻すようにした(
図9(B)および(C))。
【0070】
この結果、自走式ロボット1は、転倒状態から復帰する際、アーム部6が床面に当接していることから、アーム支持部3はアーム部6の各関節部位を伸長させるように駆動することにより、比較的短時間でそのまま元の立位状態に復帰させることが可能となる。
【0071】
(5)他の実施の形態
なお上述の実施の形態において、自走式ロボット1として、外部操作に応じてまたは自律的に走行可能な二輪駆動型の移動体を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、四輪駆動型でもよく、アーム部6を支持しながら移動できれば、駆動方法や車輪の数など多種多様のものを適用しても良い。また一対の前輪をそれぞれオムニホールにしたが、それ以外にもキャスタやキャタピラなど種々の走行機構を適用してもよい。
【0072】
また上述の実施の形態においては、アーム部6として4自由度をもつ多関節構造のアーム部6(肩上腕部21、前腕部22、手首部23、ハンド部24)が各軸(A軸〜D軸)を回転中心として回動自在に連結された構成のものを適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、多自由度を有する多関節機構からなるアームであれば、種々の構造のものを適用するようにしてもよい。