(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-132394(P2020-132394A)
(43)【公開日】2020年8月31日
(54)【発明の名称】作業車
(51)【国際特許分類】
B66F 9/06 20060101AFI20200803BHJP
B66F 11/04 20060101ALI20200803BHJP
【FI】
B66F9/06 L
B66F11/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-30530(P2019-30530)
(22)【出願日】2019年2月22日
(71)【出願人】
【識別番号】000116644
【氏名又は名称】株式会社アイチコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正悟
(74)【代理人】
【識別番号】100157417
【弁理士】
【氏名又は名称】並木 敏章
(72)【発明者】
【氏名】松平 功介
(72)【発明者】
【氏名】立島 光晴
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA08
3F333AB04
3F333BB23
3F333BD02
3F333BE02
3F333CA30
3F333DB10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】旋回台から外方に突出することなく油圧バルブ類、制御装置類を設けることができる旋回台を有した作業車を提供する。
【解決手段】高所作業車が、車体に取り付けられた旋回台50と、旋回台50に少なくとも起伏自在に取り付けられたブームと、ブームの先端に取り付けられた作業台で構成される。旋回台50が、車体に水平旋回自在に支持された旋回テーブル51と、旋回テーブル51上に間隔をおいて立設された一対の側板52、53と、一対の側板の後部を繋ぐ後板55で構成され、一対の側板を繋ぐブーム支持軸によりブームの基端部を回動自在に支持する。後板55の上部56が一対の側板52、53の後端に近接して設けられ、後板55の中間部57が、側面視において一対の側板52、53の後端より前方に窪んで形成されており、後板55および一対の側板部材52、53に囲まれて後方に開口した収納空間50aが形成される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車両の車体に水平旋回自在に取り付けられた旋回台と、
前記旋回台に少なくとも起伏自在に取り付けられたブームと、
前記ブームに取り付けられた作業装置と、を有して構成される作業車であり、
前記旋回台が、
前記車体に水平旋回自在に支持された旋回テーブルと、
前記旋回テーブル上に所定間隔をおいて左右に並んで立設された左右一対の側板部材と、
前記左右一対の側板部材の後部を繋いで設けられた後板部材と、を有して構成され、
前記左右一対の側板部材を繋いで取り付けられるブーム支持軸により前記ブームの基端部を回動自在に支持可能であり、
前記後板部材の上部が前記左右一対の側板部材の後端に近接して設けられ、
前記後板部材の中間部が、側面視において前記左右一対の側板部材の後端より前方に窪んで形成されており、
前記後板部材および前記左右一対の側板部材に囲まれて後方に開口した収納空間が形成されることを特徴とする作業車。
【請求項2】
前記ブーム支持軸が、前記左右一対の側板部材の上端部に設けられ、前記後板部材の上部より上側に位置することを特徴とする請求項1に記載の作業車。
【請求項3】
前記後板部材の上部および下部が断面矩形状で左右に延びるボックス形状であることを特徴とする請求項1もしくは2に記載の作業車。
【請求項4】
前記ブームを起伏動させる起伏シリンダが前記ブームの下方側に位置して設けられ、
前記起伏シリンダの先端部が前記ブームの下面に枢結され、
前記起伏シリンダの基端部が、前記後板部材の下部により支持されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の作業車。
【請求項5】
前記作業装置が、前記ブームの先端に上下揺動可能に取り付けられた作業台と、前記作業台と前記ブームとの間に設けられて前記ブームの起伏に応じて前記作業台を上下揺動させる上部レベリングシリンダと、前記旋回台と前記ブームとの間に設けられた下部レベリングシリンダとを備え、前記ブームの起伏作動に応じて伸縮される前記下部レベリングシリンダからの作動油の供給を受けて前記上部レベリングシリンダが伸縮作動して前記作業台を水平に保持するように構成されており、
前記下部レベリングシリンダの基端部が、前記後板部材の上部により支持されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高所作業車、クレーン車などのように、車体上に旋回台を備え、旋回台に起伏等が自在なブームが取り付けられ、ブームに作業装置が設けられて構成される作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
高所作業車、クレーン車等の作業車として、走行自在な車両に水平旋回自在に旋回台を設け、この旋回台に起伏等が自在なブームを設け、このブームに作業装置が設けられる構成が一般的に知られている。作業装置は、高所作業車においてはブームの先端に作業者が搭乗する作業台が設けられて構成され、クレーン車においてはブームの先端から先端に吊り上げフックを有した吊り上げワイヤを繰り出すように構成するとともにワイヤの巻取・操出機構をブームの基端部側もしくは旋回台に設けられて構成される。このような構成の作業車においては、作業装置による高所作業やクレーン作業を、旋回台の旋回により車両の周囲の広い範囲において行わせることができるようになっている。このような高所作業車として、例えば、特許文献1〜3に示されるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−240400号公報
【特許文献2】特開2001−63973号公報
【特許文献3】特開2000−302390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような作業車において、旋回台に設けられるブームおよび作業装置の作動制御のための油圧バルブ類および制御装置類は、これらブームおよび作業装置と油圧配管、制御信号伝達用ケーブル等で繋がれるため、旋回台に設けることが一般的である。従来においては、旋回台の側板に上記油圧バルブ類、制御装置類が取り付けられている。ところが、このように側面に取り付けると、これら油圧バルブ類、制御装置類が旋回台の側面から外方に突出し、旋回台の周辺スペースを有効活用しにくいという問題があった。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑み、旋回台から外方に突出することなく油圧バルブ類、制御装置類を設けることができるような構成の旋回台を有した作業車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的達成のため、本願発明に係る作業車は、走行車両の車体に水平旋回自在に取り付けられた旋回台と、前記旋回台に少なくとも起伏自在に取り付けられたブームと、前記ブームに取り付けられた作業装置と、を有して構成される。そして前記旋回台が、前記車体に水平旋回自在に支持された旋回テーブルと、前記旋回テーブル上に所定間隔をおいて左右に並んで立設された左右一対の側板部材と、前記左右一対の側板部材の後部を繋いで設けられた後板部材と、を有して構成され、前記左右一対の側板部材を繋いで取り付けられるブーム支持軸により前記ブームの基端部を回動自在に支持可能である。さらに、前記後板部材の上部が前記左右一対の側板部材の後端に近接して設けられ、前記後板部材の中間部が、側面視において前記左右一対の側板部材の後端より前方に窪んで形成されており、前記後板部材および前記左右一対の側板部材に囲まれて後方に開口した収納空間が形成される。
【0007】
上記構成の作業車において、好ましくは、前記ブーム支持軸が、前記左右一対の側板部材の上端部に設けられ、前記後板部材の上部より上側に位置する。
【0008】
上記構成の作業車において、好ましくは、前記後板部材の上部および下部が断面矩形状で左右に延びるボックス形状である。
【0009】
上記構成の作業車において、好ましくは、前記ブームを起伏動させる起伏シリンダが前記ブームの下方側に位置して設けられ、前記起伏シリンダの先端部が前記ブームの下面に枢結され、前記起伏シリンダの基端部が、前記後板部材の下部により支持される。
【0010】
上記構成の作業車において、好ましくは、前記作業装置が、前記ブームの先端に上下揺動可能に取り付けられた作業台と、前記作業台と前記ブームとの間に設けられて前記ブームの起伏に応じて前記作業台を上下揺動させる上部レベリングシリンダと、前記旋回台と前記ブームとの間に設けられた下部レベリングシリンダとを備え、前記ブームの起伏作動に応じて伸縮される前記下部レベリングシリンダからの作動油の供給を受けて前記上部レベリングシリンダが伸縮作動して前記作業台を水平に保持するように構成されており、前記下部レベリングシリンダの基端部が、前記後板部材の上部により支持される。
【発明の効果】
【0011】
本願発明によれば、旋回台を構成する後板部材の中間部が、側面視において左右一対の側板部材の後端より前方に窪んで形成されており、後板部材および左右一対の側板部材に挟まれて後方に開口した収納空間が形成されるので、この収納空間内に油圧バルブ類、制御装置類を配置することができる。このため、旋回台から外方に突出することなく油圧バルブ類、制御装置類を設けることができ、旋回台の占有スペースを小さくして、旋回台の周辺スペースを有効活用することができる。
【0012】
上記構成の作業車において、前記ブーム支持軸が、前記左右一対の側板部材の上端部に設けられ、前記後板部材の上部より上側に位置するように構成するのが好ましく、このようにすれば旋回台によるブーム支持構造の影響を受けることなく収納空間を設けることができる。
【0013】
上記構成の作業車において、前記後板部材の上部および下部が断面矩形状で左右に延びるボックス形状であるのが好ましい。このようにすると、前記後板部材の上部および下部を強化することができ、前記後板部材の中間部を前方に窪んで形成することによる旋回台の強度低下を補強することができる。
【0014】
上記構成の作業車において、前記ブームを起伏動させる起伏シリンダを前記ブームの下方側に位置して設け、前記起伏シリンダの先端部を前記ブームの下面に枢結し、前記起伏シリンダの基端部を、前記後板部材の下部により支持する構成とするのが好ましい。このようにすれば、旋回台による起伏シリンダ支持構造の影響を受けることなく収納空間を設けることができる。また、上述のように前記後板部材の下部を断面矩形状で左右に延びるボックス形状とすれば、起伏シリンダ支持構造を強化することができる。
【0015】
上記構成の作業車において、前記作業装置が、前記ブームの先端に上下揺動可能に取り付けられた作業台と、上部レベリングシリンダと、下部レベリングシリンダとを備え、これら上部および下部レベリングシリンダにより前記ブームの起伏作動に対応して作業台を水平に保持するような構成とし、前記下部レベリングシリンダの基端部が、前記後板部材の上部により支持する構成とするのが好ましい。このようにすれば、下部レベリングシリンダ支持構造の影響を受けることなく収納空間を設けることができる。また、上述のよう
に前記後板部材の上部を断面矩形状で左右に延びるボックス形状とすれば、下部レベリングシリンダ支持構造を強化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係る高所作業車を示す斜視図である。
【
図2】上記高所作業車を後方から見た斜視図である。
【
図3】上記高所作業車に用いられる旋回台を後方から見た斜視図である。
【
図7】上記旋回台に制御装置類を搭載した状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
図1に、本発明に係る作業車の一例としての高所作業車1を示す。さらに
図2には、この高所作業車1を作業状態で後部から示している。この高所作業車1は、車体3の前部に運転キャビン5を有し、左右の前輪13、13および左右の後輪15、15を有したトラック車両をベースとして構成されている。車体3の前後に作業時等に高所作業車1を持ち上げ支持するアウトリガジャッキ9、9が設けられている。このアウトリガジャッキ9の構成を、後部側のアウトリガジャッキ9を例にして説明する。アウトリガジャッキ9は、車体3に取り付けられたアウトリガボックス9aと、アウトリガボックス9aにより側方に伸縮可能に支持された左右のアウトリガビーム9b、9bと、左右のアウトリガビーム9b、9bの先端に取り付けられた左右のジャッキ11、11とを備えて構成される。なお、前部側のアウトリガジャッキ9も同様な構成である。アウトリガビーム9bは内蔵の張出油圧シリンダにより左右に張出、格納可能であり、ジャッキ11は内蔵のジャッキシリンダにより支持部11aを下方に張出、格納可能である。このため、作業時には、
図2に示すように、アウトリガビーム9b、9bを左右に張り出すとともにジャッキ11の支持部11aを下方に張り出して高所作業車1を持ち上げ支持することができる。
【0018】
車体3の後端部には、アウトリガジャッキ9の作動を行わせるためのジャッキ作動制御装置5が設けられている。ジャッキ作動制御装置5には種々のスイッチ類や、操作レバー類が設けられており、作業者がこれらスイッチ類、操作レバー類を操作して、アウトリガビーム9bを左右へ張出、格納作動させたり、ジャッキ11の支持部11aを上下に張出、格納させたりすることができるようになっている。
【0019】
車体3の後部中央には、上方に突出して水平旋回可能に構成された旋回台50が設けられている。旋回台50は旋回モータ(図示せず)により車体3の上で水平旋回される構成であるが、その詳細構造は後述する。旋回台50の上部にはブーム支持軸19aにより枢結支持されて起伏自在となってブーム19が取り付けられている。ブーム19は入れ子式構造の複数のブーム部材から伸縮作動が可能に構成されており、内蔵の伸縮シリンダ21により伸縮作動される構成である。ブーム19を起伏作動させるために、旋回台50とブーム19の下面とに跨がって起伏シリンダ23が設けられている。起伏シリンダ23の先端部はブーム19の下面に設けられたブラケット19bに枢結され、基端部は旋回台50に枢結されている(基端部の枢結構造は後述する)。
【0020】
ブーム19の先端部には垂直面内において揺動自在に垂直ポスト29が取り付けられている。垂直ポスト29はブーム19の先端に取り付けられた上部レベリングシリンダ25によりブーム19の起伏に拘わらず垂直に保持されるように構成されている。この垂直ポスト29に首振り自在に(垂直ポスト29を中心として水平旋回自在に)作業台27が取り付けられている。作業台27には操作装置28が設けられており、作業台27に搭乗し
た作業者が操作装置28のスイッチ、操作レバーL等を操作してブーム19の起伏作動、伸縮作動や、旋回台50の旋回作動を行わせ、作業台27を所望の作業位置に移動させて高所作業を行うことができるようになっている。
図1には、ブーム19および作業台27を車体3上の格納位置に格納した状態を示しており、ブーム19は縮小されるとともに旋回台50から前方に向いてブーム受け3aの上に載置されている。
【0021】
車体3上の左側には、前後に延びて第1工具箱31および第2工具箱33が設けられており、第1工具箱31の上には第3工具箱35が設けられている。また、車体3上の右側には第4工具箱37が設けられている。第2工具箱33の上面33aおよび第3工具箱35の上面35aは、格納状態で作業者が作業台27に搭乗するためのステップ面としての役割を果たすようになっている。第1および第3工具箱31、35の前側に支持部材44により支持されて運転キャビン5の上に位置する搭乗ステップ板45が設けられている。一方、車体3の後部において、
図2に詳しく示すように、後部側アウトリガボックス9aの下面に取り付けられて足掛けバー41が設けられ、足掛けバー41の上側に位置するアウトリガボックス9aの上面に第1ステップ面9cが形成されている。
【0022】
この第1ステップ面9cの前側には、第1および第2ステップ台42、43が設けられており、それらの上面が第2ステップ面42aおよび第3ステップ面43aの役割を果たすようになっている。これら第1および第2ステップ台42、43の前に、上述した第1〜第3工具箱31、33、35が設けられており、第2工具箱33の上面33aおよび第3工具箱35の上面35aが第2ステップ面42aおよび第3ステップ面43aに続くステップ面となる。このため、第2工具箱33の上面33aを第4ステップ面33aと称し、第3工具箱35の上面35aを第5ステップ面35aと称する。これにより、作業者は、足掛けバー41から第1ステップ面9cに登り、さらに、第2ステップ面42a、第3ステップ面43a、第4ステップ面33aおよび第5ステップ面35a上を歩いて、搭乗ステップ板45の上まで移動し、搭乗ステップ板45から作業台27に搭乗することができるようになっている。
【0023】
以上のように構成された高所作業車1において、旋回台50は、左側の第2工具箱33、右側の第4工具箱37および後側のジャッキ作動制御装置5に囲まれており、その配置に制約があるという問題がある。旋回台50は、高所作業時に水平旋回するものであるため、旋回時に旋回台50とこれら周囲の部材との干渉を避ける必要がある。第2工具箱33および第4工具箱37の左右幅寸法を小さくすればこの問題を抑えることができるが、これら工具箱の収納容量が小さくなるという問題や、工具箱の上面により形成されるステップ面の幅が狭くなり、作業者が作業台に搭乗するときに歩きにくくなるという問題が生じるおそれがある。
【0024】
一方、旋回台50の幅を小さくするということも考えられるが、旋回台50はブーム19およびその先端に取り付けられた作業台27等を支持するものであり、所定の強度が要求されるため、これを小さくすることは難しいという事情がある。さらに、ブーム19の起伏、伸縮作動等を制御するための制御バルブ類や、制御装置類は旋回台50に設けるのが最も都合が良く、これらを旋回台50の左右の側板の外面に取り付けるということが今まで一般的に行われていた。しかしながら、これら制御バルブ類、制御装置類を旋回台50の側板の外面に取り付けると、これらとの干渉を避けるため、第2工具箱33、第4工具箱37およびジャッキ作動制御装置5などの設置スペースが制約されて狭くなるという問題がある。
【0025】
このようなことからこの高所作業車1においては、旋回台50の構成に工夫を凝らしており、これについて、旋回台50を取り出して示す
図3〜
図7を参照して、以下に説明する。なお、
図4は、旋回台50の左右方向中央を通って前後に延びる垂直面に沿って旋回
台50を断面にしてその右側を見た断面図である。旋回台50は、旋回ベアリングおよび旋回駆動装置など(図示せず)により車体3の上に水平旋回自在に支持される旋回テーブル51を備え、この旋回テーブル51の上に左右に所定の間隔を置いて左右の側板52、53が接合されて立設されている。左右の側板52、53は左右対称形状で、前端52a、53aが斜め後方に傾斜して上方に延び、後端52b、53bが若干後方に傾斜しつつほぼ垂直に延びた形状をしている。左右の側板52、53の後部側に、これら左右の側板52、53を繋いで上下に延びる後板55が接合されて設けられている。後板55は、その上部56において左右の側板52、53の後端52a、53aに近接するとともに、中間部57が後端52a、53aより前方に窪んでいる。なお、下部58は中間部57より若干後方に位置する。このため、左右側板52、53と後板55に囲まれて後方に開口する収納空間50aが形成される。
【0026】
左右の側板52、53の上部に、ブーム支持軸19aを支持するためのブーム支持孔52c、53cが形成されている。これらブーム支持孔52c、53cにブーム支持軸19aを挿入させて支持し、
図1に示すように左右の側板52、53の間において、ブーム19の基端部を、ブーム支持軸19aを介して枢結支持する。この結果、ブーム19は旋回台50により起伏自在に支持される。
【0027】
後板55の上部56は、
図4の断面形状から分かるように、左右に延びる矩形箱状に形成されてこの部分が強化されている。このように強化された上部56に左右一対の下レベリングシリンダ支持部材61、61が所定間隔を置いて並列に配置されている。下レベリング支持部材61、61には下レベリングシリンダ支持孔61a、61aが形成されており、ここに下レベリングシリンダ支持軸が挿入され、この下レベリングシリンダ支持軸を介して下部レベリングシリンダ26が枢結支持される。下部レベリングシリンダ26は、
図1に示すように、先端部がブーム19の下面に枢結されており、ブーム19の起伏に応じて伸縮される。このように伸縮された下部レベリングシリンダ26から供給、排出される作動油が上部レベリングシリンダ25に送られてこれを伸縮作動し、垂直ポスト29をブーム19の起伏に拘わらず垂直に保持し、作業台27を水平に保持するようになっている。
【0028】
後板55の下部58も、
図4の断面形状から分かるように、左右に延びる矩形箱状に形成されてこの部分が強化されている。このように強化された下部58に左右一対の起伏シリンダ支持部材63、63が所定間隔を置いて並列に配置されている。起伏シリンダ支持部材63、63には起伏シリンダ支持孔63a、63aが形成されており、ここに起伏シリンダ支持軸が挿入され、この起伏シリンダ支持軸を介して起伏シリンダ23が枢結支持される。このように、下部レベリングシリンダ26および起伏シリンダ23は、矩形箱状に形成されて強化された後板55の上部56および下部58によりしっかりと安定して支持されている。また、このように上部56および下部58が強化されているため、後板55の中間部57を前方に窪ませて収納空間50aを形成した場合でも旋回台50の強度を保つことができる。
【0029】
図7には、上記構成の旋回台50の収納空間50a内に、ブーム19の起伏、伸縮作動等を制御するための制御バルブおよびコントローラなどの制御装置類60を配置した状態を示している。これら制御装置類60は旋回台50を旋回させたときに、左右の側板52、53の後端52b、53bが描く円筒状の軌跡面より内側に配置されている。これにより、旋回時に制御装置類60が周辺部材と緩衝するようなことを、左右の側板52、53により保護できるようになっている。なお、
図1、
図2および
図7においては、説明の容易化のため旋回台50の収納空間50aを露出させて示しているが、
図7に示すように制御装置類60を収納空間50a内に配置した状態で、これらを覆うカバーを旋回台50の後面に取り付けても良い。
【0030】
以上、高所作業車1を例にして本発明に係る好ましい実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではない。例えば、クレーン車のように、旋回台に起伏自在にクレーン用ブームを取り付ける構成のものも同様に本発明の実施形態となる。
【符号の説明】
【0031】
1 高所作業車 3 車体
9 アウトリガジャッキ 19 ブーム
23 起伏シリンダ 27 作業台
31、33、35、37 第1〜第4工具箱 41 足掛けバー
50 旋回台 50a 収納空間
51 旋回テーブル 52、53 左右の側板
55 後板