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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-133191(P2020-133191A)
(43)【公開日】2020年8月31日
(54)【発明の名称】金属製パネル
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/12 20060101AFI20200803BHJP
   B21D 47/00 20060101ALI20200803BHJP
   B21D 47/04 20060101ALN20200803BHJP
【FI】
   E04F13/12 C
   B21D47/00 G
   B21D47/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-26530(P2019-26530)
(22)【出願日】2019年2月18日
(71)【出願人】
【識別番号】000237374
【氏名又は名称】富士工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 栄作
【テーマコード(参考)】
2E110
【Fターム(参考)】
2E110AA57
2E110AB03
2E110AB04
2E110AB22
2E110AB23
2E110BA12
2E110BB12
2E110BB22
2E110BB23
2E110BB24
2E110BC13
2E110BD03
2E110BD22
2E110DC06
2E110DC18
2E110EA06
2E110GA33W
2E110GA33X
2E110GB02W
2E110GB02X
2E110GB03W
2E110GB03X
2E110GB06W
2E110GB06X
2E110GB54Z
(57)【要約】
【課題】意匠性に優れ、十分な強度が得られ、しかも、加工が容易である金属製パネルとする。
【解決手段】パネル設置部に固定可能で、金属製の本体2と、金属板を加工して凹凸で立体形状の装飾部3aを有する表面パネル3とを備え、前記表面パネル3と前記本体2は、前記装飾部3が前記本体2で補強され、前記表面パネル3が前記本体2の表面、側面、裏面のうち、少なくとも表面を覆うように組み合わせてある金属製パネル。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル設置部に固定可能で、金属製の本体と、金属板を加工して凹凸で立体形状の装飾部を有する表面パネルとを備え、
前記表面パネルと前記本体は、前記装飾部が前記本体で補強され、前記表面パネルが前記本体の表面、側面、裏面のうち、少なくとも表面を覆うように組み合わせてあることを特徴とする金属製パネル。
【請求項2】
請求項1に記載の金属製パネルにおいて、
前記装飾部は同一高さの複数の本体接触部を有し、前記複数の本体接触部が前記本体の表面に接触して前記本体の表面と前記装飾部との間に空間部を有している金属製パネル。
【請求項3】
請求項2に記載の金属製パネルにおいて、
前記装飾部の本体接触部と前記本体の表面との接触部分は、接着剤で接合している金属製パネル。
【請求項4】
請求項3に記載の金属製パネルにおいて、
前記本体は、前記空間部が外部に開口する孔を有している金属製パネル。
【請求項5】
請求項1から4いずれかに記載の金属製パネルにおいて、
前記本体は、前記表面パネルを支持するパネル支持部と、前記パネル支持部の周囲に設けられた辺部を有し、
前記表面パネルは、前記装飾部の周囲に折り曲げ部を有し、前記折り曲げ部は爪部を備え、
前記装飾部が前記パネル支持部の表面に接し、前記折り曲げ部が前記辺部の外側面に接し、前記表面パネルが前記本体の表面と側面を覆い、前記爪部は、前記辺部を巻きこむように折り曲げられている金属製パネル。
【請求項6】
請求項1から4いずれかに記載の金属製パネルにおいて、
前記本体は、前記表面パネルを支持するパネル支持部と、前記パネル支持部の周囲に設けられた辺部を有し、前記辺部は、前記本体をパネル設置部に固定するための突起部と、前記突起部が挿入可能な突起部用切欠き部を備え、
前記表面パネルは、前記装飾部の周囲に折り曲げ部を有し、
前記装飾部が前記パネル支持部の表面に接し、前記折り曲げ部が前記辺部の外側面に接し、前記表面パネルが前記本体の表面と側面を覆い、
前記突起部と前記突起部用切欠き部は、2つの金属製パネルを並べて設置した状態で相互に嵌り合うようにした金属製パネル。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の金属製パネルにおいて、
前記辺部は、前記パネル支持部の周囲に連続して設けられて被取り付け枠体を形成し、
前記折り曲げ部は、前記装飾部の周囲に連続して取り付け枠体を形成し、
前記取り付け枠体は、前記被取り付け枠体に嵌り、前記被取り付け枠体を覆っている金属製パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の壁や天井、塀などに用いる金属製パネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
壁などのパネル設置部に設置する金属製パネル(金属タイル)が、特許文献1に開示されている。
この金属製パネルは、金属板をプレス加工して主体部と、主体部の周囲を囲む側辺部を有する形状である。この金属製パネルは、壁であるモルタルに側辺部を差し込むことで設置する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭62−82636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された金属製パネルは、金属板をプレス加工したものであるから、プレス加工しやすいように板厚が薄い金属板を用いているので、金属製パネルの板厚は薄く、金属製パネルは強度が弱いものである。
このために、金属製パネルを壁面などのパネル設置部にねじなどで固定して設置した場合に、充分な強度が得られずに、物が当たったりすると金属製パネルが簡単に変形したり、破損する恐れがある。
また、特許文献1に開示された金属製パネルは、外部から目視される部分が平坦面であり、意匠性に劣る。
これを解決するために本発明者等は、金属製パネルの外部から目視される部分を、凹凸を有する立体形状として意匠性に優れたものとすることを見出したが、金属板を凹凸を有した立体形状に加工し易くするために、板厚が薄い金属板を用いる必要があり、金属製パネルの板厚が薄くなることで強度が弱く、実用性に問題があった。
【0005】
本発明は上記の課題を解決するために為されたものであり、その目的は、意匠性に優れ、十分な強度が得られ、しかも、加工が容易である金属製パネルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の金属製パネルは、パネル設置部に固定可能で、金属製の本体と、金属板を加工して凹凸で立体形状の装飾部を有する表面パネルとを備え、前記表面パネルと前記本体は、前記装飾部が前記本体で補強され、前記表面パネルが前記本体の表面、側面、裏面のうち、少なくとも表面を覆うように組み合わせてあることを特徴とする金属製パネルである。
【0007】
本発明の金属製パネルにおいては、前記装飾部は同一高さの複数の本体接触部を有し、前記複数の本体接触部が前記本体の表面に接触して前記本体の表面と前記装飾部との間に空間部を有している金属製パネルとすることができる。
この金属製パネルによれば、本体接触部と本体の表面との接触部で表面パネルを補強できる。
【0008】
本発明の金属製パネルにおいては、前記装飾部の本体接触部と前記本体の表面との接触部分は、接着剤で接合している金属製パネルとすることができる。
この金属製パネルによれば、装飾部を叩いたときに本体接触部が本体の表面に衝突して異音を発生することがない。金属製パネルに振動が発生した場合にも、本体接触部と本体の表面が衝突することによる異音の発生を防ぐことができる。
また、本体接触部と前記本体の表面が接触して前記本体の表面と前記装飾部との間に空間部を有することで、接着剤の硬化を早めることができる。
【0009】
本発明の金属製パネルにおいては、前記本体は、前記空間部が外部に開口する孔を有している金属製パネルとすることができる。
この金属製パネルによれば、空間部の通気性が優れているから、本体接触部と本体の表面を接合するために本体の表面に塗布した接着剤が早期に硬化し、金属製パネルを短時間に製作できる。
【0010】
本発明の金属製パネルにおいては、前記本体は、前記表面パネルを支持するパネル支持部と、前記パネル支持部の周囲に設けられた辺部を有し、前記表面パネルは、前記装飾部の周囲に折り曲げ部を有し、前記折り曲げ部は爪部を備え、前記装飾部が前記パネル支持部の表面に接し、前記折り曲げ部が前記辺部の外側面に接し、前記表面パネルが前記本体の表面と側面を覆い、前記爪部は、前記辺部を巻きこむように折り曲げられている金属製パネルとすることができる。
この金属製パネルによれば、本体と表面パネルは爪部で固定されているので、金属製パネルの運搬時や設置時などに、表面パネルが本体から外れることがない。
【0011】
本発明の金属製パネルにおいては、前記本体は、前記表面パネルを支持するパネル支持部と、前記パネル支持部の周囲に設けられた辺部を有し、前記辺部は、前記本体をパネル設置部に固定するための突起部と、前記突起部が挿入可能な突起部用切欠き部を備え、前記表面パネルは、前記装飾部の周囲に折り曲げ部を有し、前記装飾部が前記パネル支持部の表面に接し、前記折り曲げ部が前記辺部の外側面に接し、前記表面パネルが前記本体の表面と側面を覆い、前記突起部と前記突起部用切欠き部は、2つの金属製パネルを並べて設置した状態で相互に嵌り合うようにした金属製パネルとすることができる。
この金属製パネルによれば、突起部を利用してパネル設置部に設置できる。2つの金属製パネルを隙間なく並べて設置できる。
【0012】
本発明の金属製パネルにおいては、前記辺部は、前記パネル支持部の周囲に連続して設けられて被取り付け枠体を形成し、前記折り曲げ部は、前記装飾部の周囲に連続して取り付け枠体を形成し、前記取り付け枠体は、前記被取り付け枠体に嵌り、前記被取り付け枠体を覆っている金属製パネルとすることができる。
この金属製パネルによれば、取り付け枠体が被取り付け枠体に嵌っていることで本体と表面パネルを強固に組み合わせることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の金属製パネルによれば、意匠性に優れ、十分な強度が得られ、しかも、加工が容易である金属製パネルとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の金属製パネルの表面側斜視図である。
図2】本発明の金属製パネルの裏面側斜視図である。
図3図1に示す金属製パネルのA−A断面図である。
図4】本体の表面側斜視図である。
図5】本体の裏面側斜視図である。
図6図4に示す本体のB−B断面図である。
図7】本体の設置作業説明図である。
図8】表面パネルの表面側斜視図である。
図9】表面パネルの裏面側斜視図である。
図10図8に示す表面パネルのC−C断端面図である。
図11図8に示す表面パネルのC−C断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の金属製パネルを図1から図3に基づいて説明する。図1は、金属製パネルの表面側斜視図、図2は、金属製パネルの裏面側斜視図、図3は、図1に示す金属製パネルのA−A断面図である。
図1と、図2に示すように、金属製パネル1は、本体2と、本体2と組み合わせる表面パネル3を備えている。
本体2は、壁面や天井面などのパネル設置部に固定されて、金属製パネル1をパネル設置部に設置するものである。本体2は、金属板を加工したもの、又は鋳造品などで、十分な強度を持っており、金属製パネル1の強度メンバーの役目を有している。
表面パネル3は、板厚が薄い金属板を加工して、凹凸を有した立体形状の装飾部3aを有し、意匠性に優れている。
【0016】
図3に示すように、表面パネル3は本体2に接触して組み合わせられ、表面パネル3は本体2で補強される。本体2の表面と側面は表面パネル3で覆われている。
したがって、金属製パネル1は、パネル設置部に設置した状態で、本体2は見えずに表面パネル3の装飾部3aが目視されるので、意匠性が優れたものとなる。
また、十分な強度を持っている本体2を、パネル設置部に固定して、金属製パネル1を設置するので、十分な取り付け強度が得られる。
表面パネル3は本体2で補強されるので、表面パネル3が簡単に変形したり、破損することがなく、金属製パネル1は十分な強度を有する。
表面パネル3は、板厚が薄い金属板を加工したものであるから、加工が容易であり、細かい形状を装飾部3aに表しやすい。
【0017】
本体2を図4から図7に基づいて説明する。図4は、本体の表面側斜視図、図5は、本体の裏面側斜視図、図6は、図4に示す本体のB−B断面図、図7は、本体の設置作業説明図である。
図4図5に示すように、本体2は、4つの辺で囲まれたパネル支持部20と、パネル支持部20の対向した2つの辺と連続した第1辺部21、第2辺部22と、パネル支持部20の対向した2つの辺と連続した第3辺部23、第4辺部24を有する。つまり、4つの辺部21、22、23、24はパネル支持部20の周囲に設けてある。
パネル支持部20の4つの辺は同一長さで、パネル支持部20の表面形状は正方形である。第1、第2、第3、第4辺部21、22、23、24は、パネル支持部20の裏面から突き出している。
【0018】
パネル支持部20の表面20aで表面パネル3が支持される。すなわち、パネル支持部20の表面20aが本体2の表面である。その表面20aは平坦面で、パネル支持部20のパネル支持面は平坦面である。パネル支持部20は、表面20aと裏面20bに貫通した複数の孔25を有している。
4つの辺部21、22、23、24は、パネル支持部20の表面20aから直角に裏面20b側に向かい、先端面21a、22a、23a、24aはパネル支持部20の裏面20bよりも裏側に位置している。すなわち、パネル支持部20の辺と、4つの辺部21、22、23、24の外側面が本体2の側面で、パネル支持部20の裏面20bと、4つの辺部21、22、23、24の先端面21a、22a、23a、24aと、内側面が本体2の裏面である。4つの辺部21、22、23、24は連続し、パネル支持部20の周囲に被取り付け枠体26を形成している。
4つの辺部21、22、23、24には、突起部27と、突起部用切欠き部28と、表面パネル固定用切欠き部29が、それぞれ同じ数だけ有している。
【0019】
突起部27は、4つの辺部21、22、23、24の先端面21a、22a、23a、24aから辺部と直角に側方に突出し、突起部27は、辺部側の幅が先端部側の幅より広い三角形状である。すなわち、突起部27は本体2の側面より側方に突き出している。
突起部27の裏面27aが設置面で、裏面27aは4つの辺部21、22、23、24の先端面21a、22a、23a、24aよりも裏側に位置している。
突起部27は固定用穴27bを有する。
突起部用切欠き部28は、各辺部21、22、23、24の先端面21a、22a、23a、24aに開口し、突起部27の辺部側の幅よりも広い幅で、突起部27の板厚よりも深い深さである。つまり、突起部用切欠き部28は突起部27が挿入可能な形状、大きさである。
【0020】
図6に示すように、表面パネル固定用切欠き部29は、突起部用切欠き部28の幅よりも狭い幅で、第4辺部24における突起部用切欠き部28の底面部分を切り欠いて形成してある。つまり、突起部用切欠き部28と表面パネル固定用切欠き部29は山形の形状に連続している。
したがって、1つの切欠き部を加工することで、突起部用切欠き部28と表面パネル固定用切欠き部29を形成できるので、その切欠き部の加工が簡単である。
なお、突起部用切欠き部28と表面パネル固定用切欠き部29を別々の位置に形成してもよい。
【0021】
4つの辺部21、22、23、24に形成した突起部27と、突起部用切欠き部28は、4つの辺部21、22、23、24の長さ方向一端部から同じ距離の位置にそれぞれ形成してある。つまり、2つの本体2を並べて設置したときに、一方の本体2の突起部27、突起部用切欠き部28が他方の本体2の突起部用切欠き部28、突起部27とそれぞれ嵌り合うようにしてある。
例えば、図7に示すように、図示しないパネル設置部に、2つの本体2を左右に並べて、左側の本体2Aの右側の第3辺部23と、右側の本体2Bの左側の第4辺部24を隙間なく接して設置する時に、左側の本体2Aの右側の辺部23の突起部27、突起部用切欠き部28と、右側の本体2Bの左側の第4辺部24の突起部用切欠き部28、突起部27が相互に嵌り合うようにしてある。つまり、突起部27と突起部用切欠き部28は円対称に配置してある。このことは、本体2に表面パネル3を取り付けて金属製パネル1とした場合も同様である。
【0022】
突起部27は三角形状であるので、既に設置してある本体2に対して、設置しようとしている本体2を斜めに移動して突起部27を、既に設置してある本体2の突起部用切欠き部28に差し込むときに、突起部27同士が干渉することがない。本体2を斜めに移動するとは、4つの辺部21、22、23、24と直角な方向に移動(平行移動)するのではなく、4つの辺部21、22、23、24と直角よりも小さい角度、例えば45度の方向に移動することである。
したがって、図7に示すように、既に設置してある2つの本体2C、2Bの直角に隣り合う2つの辺部23、21に向けて、設置しようとしている1つの本体2Dを矢印方向(本体2Cの第3辺部23と45度の斜めの方向)に移動した時に、既に設置してある本体2C、2Bの突起部27に、設置しようとしている本体2Dの突起部27が干渉しないので、2つの本体2C、2Bの直角に隣り合う第3辺部23と、第1辺部21の突起部27、突起部用切欠き部28と、設置しようとしている1つの本体2Dの2つの辺部24、22の突起部用切欠き部28、突起部27を相互に嵌り合うことができる。このことは、金属製パネル1を設置する場合も同様である。
【0023】
本体2は、板厚が厚い金属板を、金型を用いてプレス機械で、打ち抜き加工、穴あけ加工、折り曲げ加工等をして、パネル支持部20となる板の周辺に4つの辺部21、22、23、24となる折曲片を有する形状としてある。金属板としては、板厚1mmのステンレス板が好ましいが、それに限ることはない。
パネル支持部20の孔25の径は5mmから6mmとし、板厚の5倍以上の径とすることで、金型が劣化しにくくなる。
孔25は、円形状に限らず、楕円形状や矩形状でも良い。また、カットベンド加工して孔25の周囲部分がパネル支持部20の裏面20bから僅かに突き出す形状とすることが可能である。これにより、後で説明する接着剤が孔25から漏れにくくなる。
本体2は鋳造により製作することもできる。
【0024】
表面パネル3を図8から図11に基づき説明する。図8は、表面パネルの表面側斜視図、図9は、表面パネルの裏面側斜視図、図10は、図8に示す表面パネルのC−C断端面図、図11は、図8に示す表面パネルのC−C断面図である。
図8図9に示すように、表面パネル3は、板厚の薄い金属板を、金型を用いてプレス機械で折り曲げ加工して4つの辺で囲まれた矩形状の装飾部3aと、装飾部3aの4つの辺と連続した4つの折り曲げ部3bを有し、折り曲げ部3bは装飾部3aの周囲に位置している。
装飾部3aの4つの辺の長さは、本体2のパネル支持部20の4つの辺と同じ長さで、装飾部3aの表面形状は、本体2のパネル支持部20と同じ大きさの正方形である。
4つの折り曲げ部3bは装飾部3aの周方向に連続し、取り付け枠体30を形成している。取り付け枠体30は矩形状で、本体2の被取り付け枠体26に嵌り合う大きさである。
【0025】
4つの折り曲げ部3bは、固定用の爪部31を、本体2の4つの辺部21、22、23、24に形成したパネル固定用切欠き部29と同じ数だけそれぞれ有している。爪部31の折り曲げ部3bの長さ方向の位置は、本体2のパネル固定用切欠き部29の4つの辺部21、22、23、24の長さ方向位置と同一である。つまり、表面パネル3と本体2を組み合わせた状態で、爪部31とパネル固定用切欠き部29が同じ位置となるようにしてある。爪部31の幅は、パネル固定用切欠き部29の幅よりも小さい。
爪部31は、折り曲げ部3bの先端面32よりも装飾部3aと反対側に突出している。
【0026】
図10に示すように、折り曲げ部3bには、爪部31の幅方向両端面31aと連続した一対のスリット33が形成してあるので、爪部31を、折り曲げ部3bの先端面32よりも装飾部3a寄り位置で折り曲げできる。
【0027】
図8図9に示すように、装飾部3aは凹凸加工されて複数の凹部34と複数の凸部35を有する立体形状である。
複数の凹部34の深さと、大きさは不揃いで、最も深い凹部34が複数あり、その各凹部34の底面34aが、図11に1点鎖線で示す一本の直線a上に位置する。つまり、最も深い凹部34の底面34aは同じ高さ(深さ)である。
この複数の凹部34の底面34aが、本体2のパネル支持部20に接触する本体接触部4である。この直線aは、折り曲げ部3bの先端面32と平行である。
複数の凸部35の高さと、大きさも不揃いである。
装飾部3aの凹凸加工は、金型を用いてプレス機械で行うが、これに限ることはなく、他の加工方法で加工することも可能である。
また、装飾部3aの形状は、キルト模様、木目、岩肌など様々な立体形状とすることができる。
【0028】
板厚の薄い金属板とは、アルミニウム、鉄、ステンレスのいずれかの材質で、板厚が0.3mmから0.8mmの金属板である。
表面パネル3の装飾部3aは、金属板を表面側及び裏面側に突き出すように凹凸加工してあるが、金属板の表面側にのみ突き出すように凹凸加工してもよい。この場合は、金属板の突き出していない部分の裏面が本体接触部である。
つまり、表面パネル3の装飾部3aの裏面は、同一高さの複数の本体接触部4と、本体接触部4より上方に突き出た部分を有する形状である。
【0029】
図1図2図3に基づき、表面パネル3と本体2を組み合わせた状態を説明する。
図2に示すように、表面パネル3の取り付け枠体30が本体2の被取り付け枠体26に嵌っている。
図3に示すように、最も深い凹部34の底面34a(本体接触部4)がパネル支持部20の表面20a(パネル支持面)に接触し、その接触部分以外の部分は空間部5となっている。接触部分は図示しない接着剤で接合してある。つまり、パネル支持部20の表面20aと装飾部3aの裏面との間には、接着剤で接合された接触部分と空間部5の両方が存在する。
突起部27は表面パネル3の折り曲げ部3bの外側面(表面パネル3の外周面)より側方に突出している。
【0030】
図2図3に示すように、表面パネル3の爪部31は、本体2の辺部21、22、23、24におけるパネル固定用切欠き部29の底面部分を巻き込むように折り曲げられて、表面パネル3を本体2に固定している。爪部31の折り曲げ部分はパネル固定用切欠き部29内に収められ、その折り曲げ部分が本体2の辺部21、22、23、24の先端面21a、22a、23a、24aから突出することがない。なお、パネル固定用切欠き部を設けずに、爪部31を辺部21、22、23、24の先端面部分を巻き込むように折り曲げしても良い。
図9に示すように、爪部31の先端寄りに孔31bを穿け、その孔31bに工具を差し込んで爪部31を折り曲げすれば、爪部31を折り曲げし易い。爪部31の折り曲げる部分に孔31bを設けることでも折り曲げ易くなる。
また、爪部31の孔31bを、塗装作業時などに表面パネル3を吊り下げる吊り孔として利用できる。
【0031】
以上のようにして表面パネル3と本体2を組み合わせたことで、次のような利点を有する。
本体2と表面パネル3は、接着剤と爪部31とで固定されているので、金属製パネル1を運搬、設置時などに表面パネル3が本体2から外れない。
表面パネル3の装飾部3aの凹部34の底面34a(本体接触部4)と、パネル支持部20の表面20aが接触し、その接触部分が接着剤で接合してあるので、表面パネル3の装飾部3aが本体2で補強され、板厚が薄く強度が弱い装飾部3aが変形しにくく、強度を保つことができる。装飾部3aを叩いた時に凹部34の底面34a(本体接触部4)がパネル支持部20の表面20aに衝突して異音を発生することがない。
【0032】
空間部5内の通気性は、パネル支持部20の孔25により優れたものであり、本体2と表面パネル3の接触部分を接合するためにパネル支持部20の表面20aに塗布した接着剤の硬化が促進され、接着剤は早期に硬化するので、金属製パネル1を短時間で製作でき、生産効率が向上する。また、一つの空間部5に少なくとも一つの孔25が必ず存在するように孔25を設けることが好ましい。これによれば、空間部5の通気性を良くして接着剤の硬化を促進することができる。
金属製パネル1は、突起部27の裏面27aを壁面や天井面などのパネル設置部に接し、突起部27の固定用穴27b(図5)からねじを、パネル設置部にねじ込んで固定することで設置する。
複数の金属製パネル1を設置する場合は、設置しようとしている金属製パネル1の突起部27を、既に設置してある金属製パネル1の突起部用切欠き部28に差し込んで、4つの折り曲げ部3b同士を接し、突起部27をねじでパネル設置部に固定することで設置する。
【0033】
本体2の突起部27の裏面27aが4つの辺部21、22、23、24の先端面21a、22a、23a、24aより裏面側に位置しているので、金属製パネル1をパネル設置部に設置した状態で、本体2の4つの辺部21、22、23、24の先端面21a、22a、23a、24aとパネル設置部との間に隙間ができるので、その隙間に突起部27を差し込むこともできるが、パネル設置部が平坦でなく、隙間に突起部27を差し込めない場合を考慮して突起部用切欠き部28を設けてある。
【0034】
図5に示すように、突起部27の近くに突起部用切欠き部28が形成されているので、既に設置してある金属製パネル1の突起部用切欠き部28に、設置しようとしている金属製パネル1の突起部27を挿入して設置すると、両方の金属製パネル1の突起部27同士が接する。
したがって、本体2の4つの辺部21、22、23、24の先端面21a、22a、23a、24aとパネル設置部との間に隙間があっても、金属製パネル1がパネル設置部に沿う方向に大きくずれることはない。
【0035】
金属製パネル1は、大きさの異なるものを組み合わせて取り付けることが可能である。例えば、一辺が150mmの金属製パネルと、一辺が300mmの金属製パネルと、一辺が600mmの金属製パネルと、一辺が900mmの金属製パネルと、一辺が1200mmの金属製パネルを組み合わせて取り付けできる。つまり、最小の大きさの金属製パネルと、その整数倍の大きさの金属製パネルを組み合わせて取り付けできる。
本体2の孔25の大きさは、金属製パネル1の大きさに係わらず同一とする。同一とすることで、共通の金型により加工することができる。
本体2の被取り付け枠体26と、表面パネル3の取り付け枠体30にエンボス加工をすることで、外れないように嵌合して固定することができる。
また、被取り付け枠体26と取り付け枠体30をスポット溶接で固定することもできる。
【0036】
図3に示す空間部5に断熱等の目的で、発泡ウレタン等の充填剤を入れてもよい。
表面パネル3の装飾部3の全面を凹凸で立体形状としたが、平坦面と凹凸で立体形状の部分を有するようにしてもよい。
以上の実施の形態では、表面パネル3は、本体2のパネル支持部20の表面20a、(すなわち、本体2の表面)と、本体2のパネル支持部20の辺、辺部21,22,23,24の外側面(すなわち、本体2の側面)を覆うようにしたが、表面パネル3は本体2の表面のみを覆い、本体2の側面は覆わないものとしてもよい。例えば、表面パネル3を装飾部3aのみとする。
【符号の説明】
【0037】
1…金属製パネル、2…本体、3…表面パネル、3a…装飾部、3b…折り曲げ部、4…本体接触部、5…空間部、20…パネル支持部、20a…表面、20b…裏面、21…第1辺部、22…第2辺部、23…第3辺部、24…第4辺部、25…孔、26…被取り付け枠体、27…突起部、28…突起部用切欠き部、29…表面パネル固定用切欠き部、30…取り付け枠体、31…爪部、32…先端面、34…凹部、34a…底面、35…凸部。
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