特開2020-133344(P2020-133344A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-133344(P2020-133344A)
(43)【公開日】2020年8月31日
(54)【発明の名称】鋼管杭
(51)【国際特許分類】
   E02D 5/56 20060101AFI20200803BHJP
【FI】
   E02D5/56
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2019-31592(P2019-31592)
(22)【出願日】2019年2月25日
(11)【特許番号】特許第6584041号(P6584041)
(45)【特許公報発行日】2019年10月2日
(71)【出願人】
【識別番号】594087300
【氏名又は名称】エイチ・ジー・サービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179176
【弁理士】
【氏名又は名称】江川 寛
(72)【発明者】
【氏名】樋口 雅久
【テーマコード(参考)】
2D041
【Fターム(参考)】
2D041BA11
2D041BA33
2D041CA05
2D041DB02
2D041FA14
(57)【要約】      (修正有)
【課題】大型の鋼管杭に必要な厚い金属板では機械加工でらせん状に加工するのは困難であるため、機械加工によるらせん状加工を必要としない鋼管杭を提供する。
【解決手段】鋼管12の側面に少なくとも二つのスリット状の開口部14と、鋼管12の先端に取付けられる鋼管杭先端部材16とを備え、鋼管杭先端部材16は、外周が一つの円弧及び二つの直線で形成された少なくとも二つの拡翼部18と、外周が一つの円弧及び一つの直線で形成された接合部材20から構成され、開口部14には、拡翼部18の外周の一つの直線部分が差し込まれ、拡翼部18の外周のもう一方の直線部分が結合部材20によって結合された鋼管杭10を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤に回転貫入する円筒状の鋼管杭において、
前記鋼管杭は、鋼管及び前記鋼管の側面であって、前記鋼管杭の回転方向側の端部がもう一方の端部よりも前記鋼管杭の貫入方向側の端部に近くなるよう開口された少なくとも二つのスリット状の開口部と、前記鋼管の先端に取付けられる鋼管杭先端部材と、を備え、
前記鋼管杭先端部材は、板厚8mm以上の金属板であって、外周が一つの円弧及び二つの直線で形成された少なくとも二つの拡翼部と、外周が一つの円弧及び一つの直線で形成された接合部材から構成され、
前記開口部には、前記拡翼部の外周の一つの直線部分が前記開口部に差し込まれ、前記拡翼部の外周のもう一方の直線部分が前記結合部材によって結合されたことを特徴とする鋼管杭。
【請求項2】
前記拡翼部の二つの直線はほぼ直交することを特徴とする請求項1に記載の鋼管杭。
【請求項3】
前記接合部材は、前記鋼管の長手方向とほぼ直交する角度で取り付けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の鋼管杭。
【請求項4】
前記拡翼部のうちの一つと前記接合部材が、一枚の金属板から互いがつながった状態で制作されることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の鋼管杭。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟弱地盤において建屋等の構造物を支持するために使用される地盤中に回転貫入させる鋼管杭に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に軟弱地盤であって地盤の支持力が充分でない場所に建築物を建設する場合には、建設機械により地下に存在する硬質地盤中にコンクリート杭又は鋼管杭を貫入させ、支持力を確保する。
【0003】
コンクリート杭は鋼管杭に比べて安価であり、かつ高い支持力を有するので従来、多くの建設現場で採用されてきた。
【0004】
しかしコンクリート杭の場合は杭の長さが建設現場では容易には調整できないという難点があるため、硬質地盤の深さが一定していないような複雑な地盤では使用が難しい。
【0005】
一方、鋼管杭は切断又は溶接により容易に建設現場で長さの調節が可能であるため、硬質地盤の深さが一定していないような複雑な地盤で用いられることが多い。
【0006】
ここで鋼管杭を貫入させた状態で打ち止める地層は支持層という。杭の支持力は、地盤の硬さと杭先端面積の積に比例するため、鋼管杭を使用する工法では、杭先端部に直径を拡大による支持面積の増加と地盤内への杭の回転貫入作用を兼ねて、羽根(以下、「拡翼部」と記載する。)が取り付けられる。
【0007】
この拡翼部は地盤中への貫入性能を向上させるためらせん状に形成されることが多い。しかし金属板である拡翼部をらせん状に加工することは時間的にもコスト的にも施工者にとって負担が大きい。
【0008】
そのためらせん状に加工することなく、同様の効果をもつ鋼管杭として例えば特許文献1のような鋼管杭先端部材が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2014−206013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1の鋼管杭先端部材によれば、段落[0031]にあるように略Y字型に折り曲げ加工した翼7をスリット13が形成された鋼管11に挿入し、スリット13の形状なりに翼7を曲げ戻しながら翼7の切り込み9端部が翼7と鋼管11外周の取り付け部に位置するまで挿入する、とある。
【0011】
このような方法で鋼管に翼を取り付けることは翼7の板厚が極めて薄い(厚さ1リ程度)場合の鋼管杭であれば可能なのかもしれない。
【0012】
しかし一般的な住宅の建築に使用される鋼管杭であっても鋼管径は101mm(管の肉厚4.2mm)、拡翼部の板厚は8mm以上(通常は9mm程度)あるため特許文献1に記載の鋼管杭先端部材の翼取付方法で翼を取り付けよう鋼管のスリットに翼部分を押し込んでも、強度の明らかに弱い鋼管の側が変形することとなり、実際には制作することができない。
【0013】
またもし特許文献1に記載の鋼管杭先端部材のように段落[0031]にあるように「スリット13の形状なりに翼7を曲げ戻しながら、翼7の切り込み端部9が翼7と鋼管11外周の取り付け部に位置するまで挿入する」、との記載があり、これは翼7を塑性変形させながらスリットに挿入するということである。
【0014】
仮に特許文献1の記載通りに鋼管杭先端部材が制作できたとしても、現在の建築基準法では使用前に拡翼部が塑性変形したものは使用することが認められていない。
【0015】
このような特許文献1に記載の鋼管杭先端部材は種々の課題を有しているため、実現することは難しいという課題があった。
【0016】
本発明はこの課題に鑑み、らせん状の拡翼部と同等程度の回転貫入性能を持ちながら、らせん状に機械加工するという工程を不要とした鋼管杭を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
(1) 本発明に係る鋼管杭は、 地盤に回転貫入する円筒状の鋼管杭において、前記鋼管杭は、鋼管及び前記鋼管の側面であって、前記鋼管杭の回転方向側の端部がもう一方の端部よりも前記鋼管杭の貫入方向側の端部に近くなるよう開口された少なくとも二つのスリット状の開口部と、前記鋼管の先端に取付けられる鋼管杭先端部材と、を備え、前記鋼管杭先端部材は、板厚が8mm以上の金属板であって、外周が一つの円弧及び二つの直線で形成された少なくとも二つの拡翼部と、外周が一つの円弧及び一つの直線で形成された接合部材から構成され、前記開口部には、前記拡翼部の外周の一つの直線部分が前記開口部に差し込まれ、前記拡翼部の外周のもう一方の直線部分が前記結合部材によって結合されたことを特徴とする。
【0018】
(2) 本発明に係る鋼管杭は、(1)に記載の鋼管杭において、前記拡翼部の二つの直線はほぼ直交することを特徴とする。
【0019】
(3) 本発明に係る鋼管杭は、(1)又は(2)に記載の鋼管杭において、前記接合部材は、前記鋼管の長手方向とほぼ直交する角度で取り付けられていることを特徴とする。
【0020】
(4) 本発明に係る鋼管杭は、(1)から(3)のいずれか一つに記載の鋼管杭において、前記拡翼部のうちの一つと前記接合部材が、一枚の金属板から互いがつながった状態で制作されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
(1)に記載の鋼管杭によれば、鋼管杭の拡翼部はらせん状の機械加工を必要とせず、板の切断による加工だけで制作することが可能となる。また鋼管にスリット状の開口部を設け、その開口部に拡翼部を差し込み、結合部材と結合するだけでらせん状の拡翼部をもつ鋼管杭と同様の機能を持たせることが可能となる。
【0022】
(2)に記載の鋼管杭によれば、拡翼部の外周の二つの直線部分をほぼ直交させることでそれぞれの鋼管杭の拡翼部にかかる応力をほぼ同じにでき、荷重の偏りを防止することが可能となる。
【0023】
(3)に記載の鋼管杭によれば、接合部材を鋼管杭の長手方向とほぼ直交する角度とすることで鋼管杭の地盤への支持力を最大化させることが可能となる。
【0024】
(4)に記載の鋼管杭によれば、二つの金属板から鋼管杭先端部材を制作することが可能となり、制作に必要な時間とコストを削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明に係る鋼管杭の外形図である。
図2】本発明に係る鋼管杭の鋼管の外形図である。
図3】本発明に係る鋼管杭の側面図である。
図4】本発明に係る鋼管杭の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明する。かかる実施形態は発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお本明細書及び図面において実質的に同一の機能、構成を有する要素については同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0027】
図1は鋼管杭10の外形を示した図であり、鋼管杭10は鋼管12と、鋼管12に備えられた開口部14、鋼管杭先端部材16から構成されている。
【0028】
鋼管杭先端部材16は二つの拡翼部18および一つの接合部材20から構成されている。この拡翼部18および接合部材20は少なくとも8mm以上の板厚の金属板から構成されている。
【0029】
図2は鋼管杭10の外径図である。鋼管12はスリット状の開口部14を二つ備えており、開口部14は鋼管杭の回転貫入方向(図1図2では下側方向)に向かって斜めになるように開口されている。
【0030】
拡翼部18は外周の一つの直線部分が鋼管12に備えられた開口部14に差し込んだ状態で接合され、拡翼部18のもう一つの直線部分は接合部材20に接合されている。
【0031】
なお鋼管杭10の強度を確保するため開口部14と拡翼部18の接合部分および拡翼部18と接合部材20の接合部分は全周溶接とすることが望ましい。
【0032】
図3は鋼管杭10の側面図である。スリット状の開口部14は鋼管杭10の回転貫入方向に向かって形成されているので、図3のように拡翼部18は鋼管12に斜めに取り付けられることになる。また接合部材20は図3のように鋼管12の長手方向とほぼ直交する角度で取り付けられることが望ましい。これにより鋼管杭10の回転貫入時に出来るだけ貫入しやすくなると同時に、杭そのものの支持力を向上させることが可能となるためである。
【0033】
図4は鋼管杭10の底面図である。この図4のように鋼管12の内側まで拡翼部18は差し込まれ、鋼管12の外側で接合部材20と接合されている。これは開口部14が大きくなりすぎると鋼管杭10の強度が低下するので鋼管12のスリット状の開口部14が大きくなりすぎないようにするためである。
【0034】
鋼管杭10は機械加工されたらせん状の拡翼部は有しておらず、金属板から切り出された板から形成された拡翼部のみ有しているが、らせん状に機械加工された拡翼部を有する鋼管杭と同様に回転貫入し、構造物を支持することが可能である。
【0035】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明した。
【0036】
当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範囲内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、軟弱地盤であって地盤の支持力が充分でない場所に建築物を建設する場合に、地下に存在する硬質地盤中に貫入させ、支持力を確保する鋼管杭として利用することができる。
【符号の説明】
【0038】
10:鋼管杭、12:鋼管、14:開口部、16:鋼管杭先端部材、18:拡翼部、20:接合部材
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2019年7月11日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
地盤に回転貫入する円筒状の鋼管杭において、
前記鋼管杭は、鋼管及び前記鋼管の先端部近傍の側面であって、前記鋼管杭の回転方向側の端部がもう一方の端部よりも前記鋼管杭の貫入方向側の端部に近くなるよう開口された少なくとも二つのスリット状の開口部と、前記鋼管の先端部近傍に取付けられる鋼管杭先端部材と、を備え、
前記鋼管杭先端部材は、板厚8mm以上の金属板であって、外周が一つの円弧及び二つの直線で形成された少なくとも二つの拡翼部と、外周が一つの円弧及び一つの直線で形成された接合部材から構成され、
前記開口部には、前記二つの拡翼部の外周の一つの直線部分が前記開口部のそれぞれに差し込まれ、前記二つの拡翼部のそれぞれの外周のもう一方の直線部分が前記鋼管の長手方向に対してほぼ直交する方向に設置された前記接合部材によって接合されたことを特徴とする鋼管杭。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
(1) 本発明に係る鋼管杭は、地盤に回転貫入する円筒状の鋼管杭において、前記鋼管杭は、鋼管及び前記鋼管の先端部近傍の側面であって、前記鋼管杭の回転方向側の端部がもう一方の端部よりも前記鋼管杭の貫入方向側の端部に近くなるよう開口された少なくとも二つのスリット状の開口部と、前記鋼管の先端部近傍に取付けられる鋼管杭先端部材と、を備え、前記鋼管杭先端部材は、板厚が8mm以上の金属板であって、外周が一つの円弧及び二つの直線で形成された少なくとも二つの拡翼部と、外周が一つの円弧及び一つの直線で形成された接合部材から構成され、前記開口部には、前記二つの拡翼部の外周の一つの直線部分が前記開口部のそれぞれに差し込まれ、前記二つの拡翼部のそれぞれの外周のもう一方の直線部分が前記鋼管の長手方向に対してほぼ直交する方向に設置された前記接合部材によって接合されたことを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
(1)に記載の鋼管杭によれば、鋼管杭の拡翼部はらせん状の機械加工を必要とせず、板の切断による加工だけで制作することが可能となる。また鋼管にスリット状の開口部を設け、その開口部に拡翼部を差し込み、鋼管杭が地盤に貫入される鋼管の長手方向に対してほぼ直交する方向に設置された接合部材と接合するだけでらせん状の拡翼部をもつ鋼管杭と同様の機能を持たせることが可能となる。