【解決手段】 本発明は、駆動シャフト20と回転体4とを着脱可能に保持する着脱装置10であって、着脱装置10に設けられたロック部材14を解除部12の方へ付勢する付勢部13、ロック部材14に設けられた共用当接部144を有する着脱装置である。共用当接部144は、異なる形状の駆動シャフト20の先端と当接でき、駆動シャフト20の先端部が共用当接部144に当接した後、付勢部13の付勢に抗してロック部材20が所定距離<b>移動することにより、ロック部材14と解除部12とが掛け合うことで駆動シャフト20は保持状態となり、回転体4が装着される。
【背景技術】
【0002】
レンジフードは、排気を行うためのシロッコファンや油煙等を回収するためのグリスフィルタなどの回転体を備えている。これらの回転体をモータで回転させて、排気や排気に含まれる油の回収を図っている。
シロッコファンやグリスフィルタなどの回転体は、調理によって発生した油煙に由来する油等が付着しやすいため、定期的な清掃が必要となる。そのため、汚れた回転体を清掃するためには、定期的に回転体を駆動シャフトから取り外す必要がある。
例えば、特許文献1のものは、駆動シャフト先端のねじ溝部にツマミを回転挿入することで駆動シャフトとファンを締結している。このような取付構造の場合には清掃の度にツマミを回転させてファンを着脱する必要があった。ファンは手が届きにくい高所や水平に設けられることも多く、ツマミを回転させて着脱するのに手間がかかるものであった。
【0003】
このような手間のかかる着脱作業を軽減するために、駆動シャフトとファンを容易に行えるようにした着脱装置が種々開発されている。
例えば、特許文献2(特許5298371、特に段落0028〜0036)に記載されているようなワンタッチ着脱装置が開発さるようになった。特許文献2のワンタッチ着脱装置は、装着時に、着脱装置の操作レバーの挿入穴に先端テーパー形状の駆動シャフトを挿入する。このとき、駆動シャフト先端のテーパー面で、操作レバーが誘導され、操作レバーが駆動シャフトに設けられた係止溝(所定の位置)に到達した時点で、駆動シャフト保持部を兼ねる操作レバーが駆動シャフトの基端部に付勢されて駆動シャフトとファンが取り付け状態となる。
このように、様々な駆動シャフトの先端形状の機器が存在している中で、従来の着脱装置においては、着脱装置はシャフトの先端形状に依存しており、シャフト先端形状が特定の形状のものにしか使用できないという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
駆動シャフトの先端形状は、前記したようにねじ溝付きのものやテーパー状のものが、これまで多く採用されており、それに加え、D形など様々あった。さらに、形状だけでなく、駆動シャフトの径も異なることがあった。例えば、同じレンジフードでも、ファンを回転させる駆動シャフトの先端部と、グリスフィルタを回転させる駆動シャフトの先端部は、径自体が異なっていることがあり、それぞれ設計開発されていた。
このように、駆動シャフトの先端形状と着脱装置は対応して設計開発されており、設計コストがかかっていた。駆動シャフト先端部の形状が異なる形状であっても汎用的に使用できる着脱装置が望まれていた。
本発明は、上述の課題を解消するために成されたものであり、シャフト先端の形状が異なる場合であっても汎用的に使用できる着脱装置および当該着脱装置を備えるレンジフードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、駆動シャフト20と回転体4とを着脱可能に保持する着脱装置10であって、前記駆動シャフト20の周面を保持して保持状態とする保持部11と、前記保持状態を解除して保持解除状態にするために操作される解除部12と、前記保持解除状態において前記解除部12と掛け合う掛合部141を有するロック部材14と、前記ロック部材14を前記解除部12の方へ付勢する付勢部13と、前記ロック部材14に設けられ前記駆動シャフト20の先端部が当接する共用当接部144と、を備え、前記保持解除状態において、前記掛合部141と前記解除部12に設けられた被掛合部124とが掛け合って前記保持解除状態を維持し、前記保持解除状態から前記保持状態に移行する場合において、前記先端部が前記共用当接部144に当接した後、前記付勢部13の付勢に抗して前記ロック部材14が所定距離<b>移動することにより、前記掛合部141と前記被掛合部124との掛け合いが外れて前記保持状態となり、前記共用当接部144は、異なる形状の前記駆動シャフト20の先端部に対応した複数の当接部(1441、1442)を有することを特徴とする着脱装置とすることで課題の解決を図ったものである。
【0007】
また、より汎用性を高めるため、前記着脱装置10において、前記所定距離<b>は、前記駆動シャフト20の先端が前記異なる形状であっても一定であるように構成した。
これにより、共用当接部144が多様な形状の駆動シャフト20の先端部を受け入るだけでなく、前記駆動シャフト20の先端の形状にかかわらず、常に一定の所定距離<b>移動させるだけで、前記掛合部141と前記被掛合部124との掛け合いが外れて前記保持状態とすることができるようになった。
【0008】
さらに汎用性を高めるため、前記着脱装置10において、前記回転体4は、前記駆動シャフト20が貫通する貫通孔とボス部40を有し、前記ボス部40は、駆動シャフトピン205を係止する係止溝部401を有し、前記掛合部141は、所定の高さ<a>の掛合壁を有し、前記保持状態における前記係止溝部401から当接部(1441、1442)までの距離を距離<c>とし、前記駆動シャフトピン205の位置から前記先端部までの距離を距離<d>とし、前記所定距離<b>は、前記所定の高さ<a>と略等しく、前記距離<c>は、前記距離<d>と略等しいものとすることで、部品の共通化が図れるようになった。
すなわち、駆動シャフト20の先端形状にかかわらず、前記所定距離<b>は、前記所定の高さ<a>と略等しくすることで前記掛合部141と前記被掛合部124との掛け合いを確実に外すことができるようになり、当該部材の設計を駆動シャフト20の先端形状ごとに設計を見直す必要がなくなった。
また、駆動シャフト20の先端形状にかかわらず、前記距離<c>は、前記距離<d>と略等しいものとすることで、確実に駆動連結できるようになり、当該部材の設計を駆動シャフト20の先端形状ごとに設計を見直す必要がなくなった。
【発明の効果】
【0009】
駆動シャフト20の先端部には種々の形状(テーパ形状、ねじ形状)のもの様々あるが、異なる形状の前記駆動シャフト20の先端部に対応した複数の当接部(1441、1442)を有する共用当接部144を利用したロック部材14により、先端部の形状によらず共通に使用でき、駆動シャフト20の所定の位置で保持することができるようになった。
このように、部品が共通化できコストの削減が図れるとともに、汎用性の高く、しかも、安定して保持できる着脱装置が提供可能となった。
また、既に様々な先端形状の駆動シャフト20が開発されているレンジフード1にあっては、以上の効果がより生かされるものとなった。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施例>
本発明に係るレンジフード1について説明する。
図1は、本実施例におけるレンジフード1の正六面図(一部)、
図2は、本実施例におけるレンジフード1の整流板7を取り外した時の右下から見た斜視図、
図3は、レンジフード設置時における手前側−奥側の前後方向の断面図を示す。
【0012】
本発明のレンジフード1は、下方または周囲で行われる調理によって発生する湯気や油煙等を捕集するための、上方に凹状の内面パネル5を内面に有する薄型のフード2を有する。フード2は、上部後方に位置する連通口6付近で、排気ダクト(図示せず)に接続された送風機ボックス3と連結される。送風機ボックス3は、内部にシロッコファンであり空気の流れを発生させるファン4を有する。従って、ファン4が稼働すると連通口6は負圧となり、内面パネル5の下方の空気は連通口6を通して吸入され、排気ダクトを通して外部に排出される。
【0013】
連通口6には、空気の流れを通過させる孔を有する円盤状のグリスフィルタ8が設けられ、グリスフィルタ8の円盤の中心に駆動シャフトが挿通され着脱装置10により装着されることでモータ81と連結されている。
【0014】
内面パネル5の下方の空気は、調理によって発生する油煙等を含んでおり、ファン4が稼働すると、連通口6に存在する、即ちファン4が発生させた空気の流れの流路上であってファン4より上流側に位置するグリスフィルタ8の孔に吸引され、その孔を通過することになる。グリスフィルタ8は、モータ81により回転可能に設けられており、レンジフード1が稼働(通常運転)すると、ファン4が空気の流れを発生させると共にモータ81がグリスフィルタ8を回転させる。グリスフィルタ8が回転すると、空気は孔を通って通過するが、油分はグリスフィルタ8の表面に衝突する。レンジフード1は、グリスフィルタ8を回転させることにより、空気に含まれる油分を捕集する。
【0015】
グリスフィルタ8と駆動シャフト20を連結する着脱装置10は、整流板7の直上に位置するので、作業者が、グリスフィルタ8を洗浄等するために駆動シャフトから取り外す場合は、まず整流板7を取り外し、
図2に示すようにグリスフィルタ8を露出させてから本発明の着脱装置10を操作する。
上記本発明のレンジフードの構造は、一例を示すものであって、これに限るものではない。
【0016】
図4は、着脱装置が設けられたファン4とモータ9の外観斜視図である。モータ9は、駆動シャフト20を介してファン4を駆動する。ファン4と駆動シャフト20は、本発明の着脱装置10により取り付けられている。着脱装置10の側面からは、解除部の操作部121が出ており、操作部121を押すことでファン4を駆動シャフト20から抜くことができるように構成されている。駆動シャフト20とファン4が、着脱装置10を用いて止着されることで、モータ9等の動力装置の駆動力がファン4に伝達される。
【0017】
(着脱装置)
図5は、ファン4の着脱装置10を拡大した斜視図である。解除部12の操作部121は着脱装置10から突出しており、操作部121を押し込むことで、後述するように駆動シャフト20を挟むように付勢された保持部を押し開き、駆動シャフト20からファン4をワンタッチで取り外しできるようになっている。着脱装置10は、後述する保持部などの部品に油分が付着するのを防止するため、また内部の各機構を隠すことですっきりと見せるために覆う着脱装置カバー30で覆われている。着脱装置カバー30には、着脱装置取付孔301が周囲に複数設けられている。着脱装置取付孔301を用いてファン4へねじ等で固定できるように構成されており、固定により着脱装置10とファン4は一体化される。
【0018】
(着脱装置を構成する部材)
図6は、着脱装置10の分解図である。モータ側には、ボス固定金具18が設けられている。次いで、ボス固定金具18上にボスベース17が配設される。着脱装置取付孔301、ボスベース取付孔171、固定金具取付孔181は位置合わせされ、図示されていないボス部へねじ等で固定される。これにより、ファン4と着脱装置10は一体化される。
【0019】
(保持部)
再び
図6を参照されたい。ボスベース17の中央には、保持部ガイド溝172が設けられ、第1保持部材111および第2保持部材112がはめ込まれる。
保持部11を構成する第1保持部材111および第2保持部材112は、トーションばね115で常時閉まる方向(駆動シャフト20を挟む方向)に付勢されている。
ボスベース17の保持部ガイド溝172にはめ込まれた第1保持部材111および第2保持部材112が外れないように、プレート15が設けられ、プレート取付孔152を用いてねじでボスベース17に取り付けられている。
【0020】
図7には、第1保持部材111と第2保持部材112がボスベース17に設けられている状態が図示されている。ボスベース17には保持部ガイド溝172が設けられており、その両側には両保持部材(111、112)の開閉をガイドする開閉ガイド部173が設けられている。両保持部材(111、112)は、保持部ガイド溝172にはめ込まれている。第1保持部材111の両側には、第1開閉被ガイド部1113が設けられている。また、第2保持部材112の両側にも、同様に第2開閉被ガイド部1123が設けられている。両保持部材(111、112)が、ガイド溝172の開閉ガイド部173に沿って摺動することにより、両保持部材(111、112)は、左右に移動する。
着脱装置10の装着時には、後述するように両保持部材(111、112)は開いた保持解除状態に保持され、中央に形成された孔はより開き、図示されていない駆動シャフト20が挿通されることになる。保持解除状態から保持状態に移行すると、両保持部材(111、112)は閉まり、第1保持部材111の第1駆動シャフト保持部1115と第2保持部材112の第2駆動シャフト保持部1125が駆動シャフト20に当接する。
保持部11は、第1保持部材111と第2保持部材112の外方に当接するトーションばね(図示せず)から構成されており、トーションばね115の付勢力により両保持部材(111、112)は駆動シャフト20を挟み付けて保持する。
【0021】
図8に図示されているように、前記両保持部材(111、112)の第1駆動シャフト保持部1115および第2駆動シャフト保持部1125が駆動シャフト20を保持する箇所は、縮径部202である。
【0022】
(解除部)
図9は、解除部12の拡大図である。解除部12には、作業者がファン4を駆動シャフト20から抜くときに押すための操作部121が設けられている。操作部121が押されることで、解除部12の両側に一対設けられた押圧部122が、図示していない第1保持部材111および第2保持部材112の両移動ガイド部(1114)と摺動するように構成されている。
解除部12の中間には、後述するロック部材14と掛合う被掛合部124が設けられている。
【0023】
図10は、第1保持部材111の構造を分かりやすく説明するため側方からみた斜視図であり、
図7および
図9と併せて両保持部材(111、112)の動きを説明する。
図10においては、第2保持部材は図示されていない。押圧部122は、第1保持部材111の内面に設けられた移動ガイド部1114に当接しており(第2保持部材112も同様である)、操作部121を押すことで摺動し、両保持部材(111、112)は開いてゆく。
【0024】
保持部11の動きをより具体的に説明する。
図9に示されるように、解除部12の両側面には、押圧部122が設けられており、操作部121を押すと、
図10で示される第1保持部材111の内面にある移動ガイド部1114と
図9で示される解除部12の押圧部122が前記したように摺動する。
その結果、
図7に図示されているように、ボスベース17の保持部ガイド溝172の両側に設けられた開閉ガイド部173に沿って、第1保持部材111がトーションばね(図示されていない)の押圧力に抗して摺動し、次第に第1保持部材111が駆動シャフト20から離れる方向に押しやられる。第2保持部材112も第1保持部材111と逆方向に同様の動きをする。
実施例1では、解除部12の移動方向と直交する方向に両保持部材(111、112)が移動するように構成されているが、第1保持部材111と第2保持部材112の移動方向は適宜であり、実施例で示される方向はその一例に過ぎない。
【0025】
図11は、第1保持部材111および第2保持部材112と解除部12との係合関係を示す斜視図であり、駆動シャフト20は説明のために図示していない。この状態は、ファン4を駆動シャフト20に装着した状態、すなわち、トーションばね115、第1保持部材111および第2保持部材112と構成される保持部11で、駆動シャフト20を挟持している保持状態を図示している。
解除部12の端部には、凹状の規制部123が設けてあり、両挟持部材(111、112)が駆動シャフト20を挟持している状態では、規制部123内に第1挟持部材111の係合部1119が入り込んでいる。挟持を解除すべく解除部12の操作部121を押すと、凹状の規制部123から係合部1119が抜け出るように構成されている。第2挟持部材112も同様である。この規制部123があるため、両挟持部材(111、112)を左右に開らこうとする何らかの自体が生じたとしても、規制部が両挟持部材(111、112)の係合部に係合しているため、開くことができない。操作部121を押して解除部12が押し込まれて移動しない限り両挟持部材(111、112)が開くことはない。
解除部12は、駆動シャフト20からファン4を外すときに使用する操作部121を有している。なお、ファン4を駆動シャフト20に装着した状態(両保持部111、112)では、操作部121は、
図5に示すように、着脱装置10から外へ飛び出ている。(
図5参照)
【0026】
(ロック部材と解除部)
ロック部材14は次の機能を有する。
(1) 駆動シャフト保持状態
ファン4を駆動シャフト20に装着し、着脱装置10の保持部11により駆動シャフト20の周面を保持して保持状態とした際に、ファン4の回転により生じる遠心力により、解除部12が着脱装置カバー30の外へ飛び出さない状態を保持する。
(2) 駆動シャフト保持解除状態
駆動シャフト20からファン4の着脱を容易にするために、解除部12の操作部121を押し込んだ際に、保持部11を保持解除状態としたままロックする。
【0027】
(保持解除状態)
再び、着脱装置10の分解図である
図6に戻って説明する。離れて図示されているが、解除部12の上にロック部材14が当接して設けられている。ロック部材14には、第1掛合部141(本発明の「掛合部」)と、これとは別に第2掛合部142が設けられ、共に解除部12と掛け合う。
図9の解除部12に設けられた被掛合部124は、状況に応じロック部材14の第1掛合部141または第2掛合部142と掛け合うこととなる。
さらに、ロック部材14は、着脱装置10内のどの部材にも固定されておらず、駆動シャフト20の方向に自由に動き得るようになっているが、ロック部材14の上には付勢部である押圧ばね13が当接しており、ロック部材14を常に解除部12側に押し付けているため、押圧ばね13の付勢力に抗する力が加わらない限りロック部材14は自由に動くことはない。
【0028】
(保持状態)
図12は、解除部12の上にロック部材14が当接している状態を示す斜視図である。ロック部材14の第2掛合部142と解除部12の被掛合部124は掛け合っておらず、若干の空隙146が存在する。ファン取り付け時には、
図12において矢印で示された[第2掛合部142と被掛合部124との掛け合い時の解除部移動方向]へ、解除部12が移動することにより空隙146はなくなり、第2掛合部142と解除部124は当接し掛け合う状態となる。
ファン4を駆動シャフト20に取り付けた状態では、解除部12の操作部121が、着脱装置カバー30から飛び出た状態にあり、ファン4の回転による強い遠心力を受けている。ロック部材14の第2掛合部142と被掛合部124が掛け合うことで、遠心力により解除部12が操作部121方向に飛び出さないようになっている。
【0029】
(保持解除状態から保持状態への動き:取り外し時)
次いで、駆動シャフト20からファン4を取り外す工程を説明する。
駆動シャフト20からファン4を取り外す際には、第1保持部材111および第2保持部材112による保持を解除すべく、解除部12の操作部121を押して
図12に矢印で示した[ファン取り外し時の解除部移動方向]へ解除部12を移動させる。
図11に示すように、トーションばね115で、第1保持部材111および第2保持部材112は、駆動シャフト20を保持する方向へと常時押圧されており、両保持部材(111、112)と接触する解除部12の押圧部122もトーションばね115の押圧力を受けている。トーションばね115の押圧力に抗して、解除部12を押し込むことで両保持部材(111、112)が駆動シャフト20から離れてゆく。
このとき、
図12に示すように解除部12の上面とロック部材14の摺動面143が摺動し、次第に第1掛合部141の方向に、被掛合部124が移動する。
ロック部材14の上には、押圧ばね13が設けられているため、ロック部材14は、常に解除部12側へと付勢されている(図中の矢印で示された[押圧ばね付勢方向]方向参照)。
摺動しながら、第1掛合部141の端部に被掛合部124が到達したとき、ロック部材14は押圧ばね13の付勢力により下へと押し下げられ、第1掛合部141の深くへと被掛合部124が押し込まれ掛け合う。押圧ばね13により、ロック部材14の第1掛合部141と解除部12の被掛合部124の掛け合いが押し込まれたまま継続されるため、解除部12は、前記掛合により動くことができず、ロックされた状態となる。この状態を示すのが、
図13である。
解除部12がロックされるため、第1保持部材111および第2保持部材112も駆動シャフト20から離れた状態に維持(ロック)され、ファン4を駆動シャフト20から簡単に抜くことができるようになる。
【0030】
(保持解除状態から保持状態への動き:取り付け時)
ファン装着時には、
図13のように両保持部(111、112)が保持解除状態でロック部材14によりロックされており、ファン4を駆動シャフト20に装着しやすいようになっている。ロック部材14には、駆動シャフト20と当接する共用当接部144が設けられている。
【0031】
図14は、ロック部材14を
図13とは逆側からみた斜視図である。共用当接部144には、
図14に示すように複数段の段部からなる第1当接部1441および第2当接部1442が設けられており、駆動シャフト20の先端部の径が異なっていたとしても、いずれかの当接部(1441、1442)に前記先端部が当接できるようになっている。また、第1掛合部141の掛合壁の高さが<a>であることも示されている。
【0032】
図13の状態において、ファン4と一体となった着脱装置10に駆動シャフト(図示せず)を挿入すると、ロック部材14の駆動シャフト20の共用当接部144に駆動シャフト20が当接する。当接したまま駆動シャフト20を押し続けると、どの部材とも固定されていないロック部材14は、押圧ばね13の付勢力に抗して所定距離<b>移動する。
これに対して、解除部12は、
図11で図示されているように第1保持部材111と第2保持部材112にはめ込まれ動くことができず、ロック部材14のみが駆動シャフト20を押し込んだ時に移動する。
【0033】
第1掛合部141(本発明の「掛合部」)の掛合壁の高さを所定の<a>とすると、本発明の実施例1では、所定距離<b>と所定の高さ<a>が等しくなるように設計されている。そのため、駆動シャフト20の先端が共用当接部に当接した後、付勢部(押圧ばね13)の付勢に抗してロック部材14が所定距離<b>移動することにより、掛合壁の高さ<a>の被掛合部124との掛け合いが外れる解除部12が動けるようになる。
【0034】
トーションばね115で、第1保持部材111および第2保持部材112は、駆動シャフト20を挟持する方向へと常時押圧されており、前記掛け合いが外れると両保持部材(111、112)は、駆動シャフト20の周面を保持する方向へと移動する。これに伴い、両保持部材(111、112)と接触する解除部12の押圧部122が、両保持部(111、112)の移動に伴い押し出されるように解除部12が移動する。
その後、ロック部材14の第2掛合部142と、解除部12の被掛合部124が掛け合って止まるまで摺動する。このようにして、駆動シャフト20へのファン4の装着が完了する。
【0035】
(駆動機構を構成する部材)
上記したようにボス固定金具18(ファンは図示されていない)の一側には、着脱装置10が設けられるが、ボス固定金具18の他側のモータ側には
図15に示すようにボス部40が設けられる。ファン4を駆動シャフト20に取り付ける際は、ボス部40の中央に設けられた挿通孔に駆動シャフト20先端を差し込み挿通する。駆動シャフト20には一対の駆動シャフトピン205が設けられ、ボス部40の四方に設けられた係止溝部401にはめ込まれる。
駆動シャフトピン205を係止溝部401にはめ込むためには位置合わせを必要とするが、一対の駆動シャフトピン205に対し係止溝部401は4箇所配設され、かつ、係止溝部401へ向かう傾斜面が設けられているため、多少はめ込む位置がずれていたとしても、傾斜面に誘導されて容易にはめ込むことができる。
駆動シャフトピン205と係止溝部401がはめ込まれることで、駆動シャフト20とファン4は駆動連結される。
【0036】
(駆動シャフト、シャフトピンおよび当接部の関係)
図15は、先端部が太い径の駆動シャフト20を着脱装置10に取り付け保持状態としたときの断面図(一部、外観図を含む)である。
駆動シャフトピン205は、ボス部40の四方に設けられた係止溝部401にはめ込まれている。
図15右図に示されているように、保持状態においては、先端部が太い径の駆動シャフト20が多段に設けられた共用当接部144の第1当接部1441と当接しており、第2当接部1442には何も当接していない。この保持状態における、駆動シャフトピン205の位置から、駆動シャフト20の先端部までの距離を距離<d>とする。
また、
図15左図は、説明のため第1当接部1441に当接している駆動シャフト20を図示していない。駆動シャフト20の先端部は、右図のように第1当接部1441に当接している。
保持状態における、ボス部40の係止溝部401から、駆動シャフト20の先端部が当接する第1当接部1441までの距離を距離<c>する。
保持状態において、距離<c>は、距離<d>と略等しくなるように設計されており、確実に駆動シャフトピン205が係止溝部401にはめ込まれるようになっている。
【0037】
図16は、先端部がテーパー形状をした駆動シャフト20を着脱装置10に取り付け保持状態としたときの断面図(一部、外観図を含む)である。駆動シャフト20は、先端部がテーパー形状となって径が細ため、共用当接部144の第1当接部1441には当接できず第2当接部1442と当接している。保持状態において、距離<c>は、距離<d>と略等しくなるように駆動シャフトピン20の位置が設定されているため、確実に駆動シャフトピン205が係止溝部401にはめ込まれるようになっている。
【0038】
図17は、先端部がねじ形状の駆動シャフト20の場合を示している。駆動シャフト20を着脱装置10に取り付けた、保持状態となっている。駆動シャフト20の先端部の径が細いため、前記先端部は共用当接部144の第1当接部1441とは当接せず、第2当接部1442と当接している。
【0039】
以上のように、本発明の共用当接部144は多様な形状の駆動シャフト20先端部の形状に対応でき、また、先端部の径が変わっても対応できるようになっている。部品の共通化が図れるため、コスト低減に寄与できる。
【0040】
実施例1では、前記したようにロック部材14の第1掛合部141(本発明の「掛合部」)の掛合壁高さである<a>と、駆動シャフト20の先端部が共用当接部144に当接した後、付勢部(押圧ばね13)の付勢に抗してロック部材14が移動する距離<b>を等しく設計した。駆動シャフト20の先端が異なる形状であっても、前記したように共用当接部144が受け入れるため、駆動シャフト20が距離<b>移動しさえすれば、ロック部材14と解除部12の掛け合いが外れる。
すなわち、駆動シャフト20先端が異なる形状であっても、常に距離<b>は一定となる。
【0041】
(他の共用当接部の態様)
共用当接部144の形状は、円錐形でもよい。円錐形にすると、駆動シャフト20の先端部の径に無段階に対応できる。
【0042】
(回転体の態様)
実施例では、回転体をシロッコファンとしている態様であった。レンジフード1で実施するファン4は、シロッコファン、ターボファン、プロペラファンなど種類を問わない。また、駆動シャフト20の方向も垂直、水平、傾斜等、方向を問わない。さらに、回転体をグリスフィルタ8としてもよい。
特に、
図3に示したようにグリスフィルタ8専用のモータ81を設けた場合、グリスフィルタ8駆動用の駆動シャフトはファン駆動用の駆動シャフトより径が細くてもよい。様々な径の駆動シャフト先端部に対応できる本発明の共用当接部144を用いた着脱装置を採用すれば、グリスフィルタ8の着脱装置10とファン4の着脱装置10の部品の共通化が図れ、コストの削減に寄与できる。
さらに、レンジフード以外に用いられる回転体にも適用し得る。
【0043】
(ロック部材を付勢する付勢部)
実施例では、ロック部材14を付勢する付勢部として押圧ばね13を用いたが、ロック部材14を付勢できるものであれば、ゴムなど弾性体等どのようなものでも適用できる。