【課題を解決するための手段】
【0007】
このような背景から、本発明の第1の態様は、生体計測センサを有する生体計測スマートカードに参照生体計測データアイテムを記録する方法であって、生体計測センサが獲得した生体計測データアイテムを、参照生体計測データアイテムとして記録することは、第1の外部装置を用いて、生体計測スマートカードと第2の外部装置との間のトランザクションを認可する(authorise)ため、生体計測スマートカードが、第1の外部装置上で入力された生体計測スマートカードのユーザのパーソナルシークレットコードを認証すること(validation)に応答して、完了する、ことを特徴とする方法に関する。
【0008】
相関的に本発明の第2の態様は、
− 生体計測スマートカードのユーザの生体計測データアイテムを獲得するように構成された生体計測センサ(16)と、
− 獲得された生体計測データアイテムを記憶するように構成されたメモリ(14)と、
− 獲得された生体計測データアイテムを記憶するように構成されたマイクロコントローラ(10)と、
− 第1の外部装置と通信するインタフェース(18)と、を有する生体計測スマートカードであって、生体計測センサが獲得した生体計測データアイテムを、参照生体計測データアイテムとして生体計測スマートカードのメモリに記録することは、第1の外部装置を用いて、生体計測スマートカードと第2の外部装置との間のトランザクションを認可するため、生体計測スマートカードが、第1の外部装置上で入力された生体計測スマートカードのユーザのパーソナルシークレットコードを認証することに依存する、ことを特徴とする生体計測スマートカードに関する。
【0009】
このように請求される本発明によれば、ユーザは、従来の外部装置を用いて、パーソナルシークレットコードにより保護された従来のトランザクションに基づいて参照生体計測データアイテムを記録することにより、自らの生体計測スマートカードを構成することができる。
【0010】
それにより、ユーザにカード供給者(例えば、生体計測銀行カードの場合は、銀行)まで出向くこと、または、新規の参照生体計測特徴(reference biometric feature)の記録に関するセキュリティを維持しながらアドホック装置に接続することを余儀なくさせるような面倒な構成は回避される。
【0011】
本発明の実施形態に係る方法および生体計測スマートカードの他の特徴は、従属クレーム中に記載されている。
【0012】
実施形態において、該方法は、詳細には、
− 生体計測センサにより、生体計測スマートカードのユーザの生体計測データアイテムを獲得するステップと、
− 参照生体計測データアイテムとして生体計測スマートカードに生体計測データアイテムを記録するステップであって、第2の外部装置とのトランザクションのときに完了し、トランザクションを認証する(validate)ために入力されたユーザのパーソナルシークレットコードの認証に依存するステップと、を有する。
【0013】
第1の外部装置は、例えばセールスポイント(sales point)の支払い端末(スマートカード読取り機、さらにはスマートフォン)である。一変形形態として、第1の外部装置は、識別ユニットまたはアクセスバッジ用のバッジ読取り機である。
【0014】
例えば、トランザクションは、銀行取引であり、生体計測スマートカードは、例えば、EMV規格に準拠している銀行カードである。一変形形態として、トランザクションは、例えば、建物に出入りするためのアクセス制御であり、生体計測スマートカードは、アクセスバッジである。
【0015】
生体計測センサは、必ずしもセキュア要素によって制御されないという点に留意すべきである。例えば、生体計測センサは、任意にはスマートカードのセキュア要素の要求があったとき、生体計測スマートカード上に存在する追加のマイクロコントローラによって制御され得る。例えば、追加のマイクロコントローラは、生体計測スマートカードがパワーオンされたとき生体計測データが獲得される場合に、センサを自律的に制御する。
【0016】
本発明の特定の実施形態において、生体計測スマートカードがパワーオンされるとき(例えばトランザクションまたは別のパワーオン動作に先行するパワーオン)、もしくはトランザクションが開始されるとき、またはスマートカードがパーソナルシークレットコードを認証することに応答して、生体計測センサによって生体計測データアイテムが獲得されることは、完了する。
【0017】
本発明の特定の実施形態において、パーソナルシークレットコードは、PINコードである。一変形形態として、パーソナルシークレットコードは、タッチスクリーンのロック解除用タイプのパターンまたはパスワードである。
【0018】
本発明の特定の実施形態において、該方法は、生体計測データアイテムを記録することに関する指示(indication)を表示するコマンドを、第1の外部装置に送るステップをさらに有する。
【0019】
このコマンドは、ISO7816規格に準拠しているAPDUコマンドであり得る。
【0020】
例えば、指示は、生体計測データアイテムが参照生体計測データアイテムとして記録されたことを示す。同様に、この指示は、生体計測センサによる生体計測データを獲得するための一連の動作に関する情報も提供し得、またはセンサに対して提示すべき指を規定することさえ可能である。
【0021】
本発明の特定の実施形態において、該方法は、将来のトランザクションを認可するためにパーソナルシークレットコードの代りに参照生体計測データアイテムが使用されるようセキュアトランザクションメカニズムを変更するステップをさらに有する。
【0022】
本発明の特定の実施形態において、複数の参照生体計測データアイテムは、生体計測スマートカードに記録され、セキュアメカニズムを変更するステップは、記録された参照生体計測データアイテムの数が予め定められた閾値を超えたとき、完了する。
【0023】
この変更により、例えば、将来のトランザクションを認可するため、パーソナルシークレットコードの代わりに参照生体計測データアイテムを使用することができる。
【0024】
本発明の特定の実施形態において、セキュアメカニズムを変更することは、予め定められたイベントを検出したときまたはランダムに取り消され、トランザクションを認可するのにパーソナルシークレットコードが再び使用される。こうして、トランザクションの認証のモードは、デフォルトモードに復帰し得る。
【0025】
これにより、より高いセキュリティレベルを維持することが可能になる。同様に、これにより、追加の生体計測データアイテムまたは最近の生体計測データアイテムを、参照生体計測データアイテムとして記録することも可能になる。
【0026】
実施形態によると、デフォルトの認証メカニズムへのこの復帰は、規則的に、例えば、当該カードを用いて予め定められた数のトランザクションが完了したとき発生し得る。
【0027】
したがって、本発明の特定の実施形態において、予め定められたイベントには、生体計測スマートカードによって完了されるトランザクションの予め定義された最大数に達成することが関与する。
【0028】
一変形形態として、デフォルトモードへのこの復帰は、ランダムに発生し得る。
【0029】
本発明の特定の実施形態において、生体計測データアイテムを参照生体計測データアイテムとして記録することは、参照生体計測データアイテムと有効性情報(validity information)とを関連付けることを有し、予め定められたイベントは、関連付けられた有効性情報と関連して(as a function of)参照生体計測データアイテムの無効性を決定することである。
【0030】
このために、該方法は、関連付けられた参照生体計測データアイテムが有効であるか否かを決定する目的でトランザクションを認証するため、あらゆる使用に先立って有効性情報を検証するステップを有し得る。
【0031】
本発明の特定の実施形態において、有効性情報は、参照生体計測データアイテムの有効期間、参照生体計測データアイテムの失効年月日またはトランザクションを認証するための参照生体計測データアイテムの最大使用回数を定義する。
【0032】
したがって、記録されたとき関連付けられた有効性情報に従って参照生体計測データアイテムがもはや有効でないことが決定された場合、セキュアメカニズムは、デフォルトモード、すなわちパーソナルシークレットコードに基づくものに復帰する。
【0033】
本発明の特定の実施形態において、第1の外部装置は、第2の外部装置である。
【0034】
本発明の特定の実施形態において、通信インタフェースは、ISO7816規格に準拠している接触型通信インタフェース、またはISO14443および/もしくはISO15693規格に準拠している非接触型通信インタフェースである。
【0035】
本発明の特定の実施形態において、生体計測データアイテムは、指紋、虹彩、顔、または心電図を特徴付けする。
【0036】
実例として、生体計測データは、虹彩、指紋または顔の写真、および/またはそれらのパターンのコード化を有し得る。生体計測データは、顔の形状、例えば、鼻、耳または口の端部などの顔の注目点の相対的な位置などを提供し得る。
【0037】
生体計測スマートカードの利点、目的および特定の特徴は、上述の方法のものと類似している。
【0038】
特定の一実施形態において、上述の方法のさまざまなステップは、コンピュータプログラム命令によって決定される。
【0039】
その結果として、本発明は、データ媒体上のコンピュータプログラムであって、マイクロプロセッサにより実現され(implemented)得、上述の方法のステップを実現するように適合する命令を有するコンピュータプログラムにも関する。
【0040】
このプログラムは、任意のプログラミング言語を使用でき、ソースコード、オブジェクトコードまたはソースコードとオブジェクトコードとの間の中間コードの形、例えば部分的にコンパイルされたフォーマット、または他の任意の所望のフォーマットのコードの形をしていてもよい。
【0041】
同様に、本発明は、マイクロプロセッサによって読取られ得かつ上述のコンピュータプログラムの命令を有するデータ媒体にも関する。
【0042】
データ媒体は、プログラムを記憶する能力を有する任意のエンティティまたは装置であり得る。例えば、媒体は、例えばマイクロ回路ROMなどのROM、例えばハードディスクなどの磁気記録手段またはフラッシュメモリなどの記憶手段を含むことができる。
【0043】
さらに、データ媒体は、無線または他の手段により、電気ケーブルまたは光ケーブルを介してルーティングされ得る電気または光信号などの通信可能な媒体であり得る。本発明に係るプログラムは、詳細には、インタネットタイプのネットワークの記憶プラットフォーム上にダウンロードされ得る。
【0044】
代替として、データ媒体は、内部にプログラムが組込まれている集積回路であり得、この回路は、対象の方法を実行するようにまたはこの実行のために使用されるのに適応する。
【0045】
上述のデータ媒体およびコンピュータプログラムは、それらが実現する方法に類似する特徴および利点を有する。