【課題】両端部よりも中央部が径方向外側に膨らんだ部位を備え、動力伝達軸に用いられる管体を製造できるマンドレル及び動力伝達軸に用いられる管体の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、繊維強化プラスチック製であって動力伝達軸に用いられる管体の製造に用いられるマンドレル1であって、樹脂を含浸した連続繊維が巻き付けられる胴部2を備え、胴部2は、径方向外側に膨らむことができる膨張部10を備え、膨張部10の膨張量は、両端部よりも中央部の方が大きいことを特徴とする。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、各実施形態のマンドレル及び動力伝達軸に用いられる管体の製造方法について、図面を参照しながら説明する。各実施形態で共通する技術的要素には、共通の符号を付し、説明を省略する。最初にマンドレルにより製造される管体を備えた動力伝達軸について説明する。
【0011】
[動力伝達軸]
図1に示すように、動力伝達軸101は、FF(Front−engine Front−drive)ベースの四輪駆動車に搭載されるプロペラシャフトである。
動力伝達軸101は、車両の前後方向に延在する略円筒状の管体102と、管体102の前端に接合するカルダンジョイントのスタブヨーク103と、管体102の後端に接合する等速ジョイントのスタブシャフト104と、を備えている。
スタブヨーク103は、車体の前部に搭載された変速機と管体102とを連結する連結部材である。スタブシャフト104は、車体の後部に搭載された終減速装置と管体102とを連結する連結部材である。
動力伝達軸101は、変速機から動力(トルク)が伝達されると軸線O1回りに回転し、その動力を終減速装置に伝達する。
【0012】
管体102は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)により形成されている。なお、本発明において繊維強化プラスチックに使用される繊維は、炭素繊維に限られず、ガラス繊維やアラミド繊維であってもよい。
管体102は、管体102の大部分を占める本体部110と、本体部110の前側に配置された第一接続部120と、本体部110の後側に配置された第二接続部130と、本体部110と第二接続部130との間に位置する傾斜部140と、を備えている。
【0013】
なお、
図2以降の図面においては、管体102の形状を分かり易くするため、管体102の形状を誇張して描写している。
図2に示すように、本体部110の前端部111には、第一接続部120が連続し、本体部110の後端部112には、傾斜部140が連続している。
【0014】
軸線O1を法線とする平面で本体部110を切った場合、本体部110の外周面114の断面形状及び内周面115の断面形状は、円形状となっている。本体部110の外径は、中央部113から両端部(前端部111及び後端部112)に向うに連れて縮径しており、中央部113の外径R1は、両端部(前端部111及び後端部112)の外径R2よりも大きい。なお、本体部110の内径も、本体部110の中央部113から両端部(前端部111及び後端部112)に向うに連れて縮径している。
【0015】
軸線O1に沿って本体部110を切った場合、本体部110の外周面114の断面形状及び内周面115の断面形状は、緩やかな曲線を描き、中央部113が外側に向けて突出する円弧状となっている。よって、本体部110の外形は、中央部113が径方向外側に膨らむ樽形状(バレル形状)となっている。また、その断面形状において、本体部110の板厚は、両端部(前端部111及び後端部112)から中央部113に向うに連れて薄くなっており、中央部113の板厚T1は、両端部(前端部111及び後端部112)の板厚T2よりも薄い。
【0016】
図1に示すように、第一接続部120内には、スタブヨーク103のシャフト部103aが嵌め込まれている。シャフト部103aの外周面は、多角形状に形成されている。第一接続部120の内周面は、シャフト部103aの外周面に倣った多角形状に形成されている。このため、スタブヨーク103と管体102が互いに相対回転しないように構成されている。
第二接続部130内には、スタブシャフト104のシャフト部104aが嵌め込まれている。第二接続部130の内周面は、シャフト部104aの外周面に倣った多角形状に形成されている。このため、スタブシャフト104と管体102が互いに相対回転しないように構成されている。
【0017】
傾斜部140の外径は、本体部110から第一接続部120に向かうに連れて次第に縮径し、円錐台形状となっている。傾斜部140の板厚は、第二接続部130側(後側)の端部から本体部110側(前側)の端部に向かうに連れて漸次薄くなっている。このため、傾斜部140のうち前端部の板厚が最も薄く、脆弱部を構成している。
以上から、車両が前方から衝突されて動力伝達軸101に衝突荷重が入力すると、軸線O1に対して傾斜する傾斜部140にせん断力が作用する。そして、傾斜部140に作用するせん断力が所定値を超えると、傾斜部140の前端部(脆弱部)が破損する。このため、車両衝突時、車体の前部に搭載されたエンジンや変速機は速やかに後退し、衝突エネルギーは車体の前部により吸収される。
【0018】
上記した管体102によれば、
図2に示すように、曲げ応力が集中し易い本体部110の中央部113は、外径R1が大径に形成され、所定の曲げ強度を有している。一方で、曲げ応力が集中し難い本体部110の両端部(前端部111及び後端部112)は、外径R2が小径に形成され、軽量化している。また、本体部110の中央部113は、板厚T1が薄く軽量化している。よって、管体102は、中央部113の所定の曲げ剛性を確保しつつ本体部110が軽量化し、本体部110の曲げ一次共振点が向上している。
【0019】
[第一実施形態]
図3に示すように、第一実施形態のマンドレル1は、略円柱状の胴部2と、胴部2の両端から突出する一対の軸部3と、を備えている。
一対の軸部3は、他の装置に引っ掛けて胴部2を浮かせた状態にするための構成である。よって、本発明は、胴部2のみから構成されてもよい。
【0020】
胴部2は、樹脂を含浸した連続炭素繊維、或いはプリプレグ(炭素繊維に樹脂を含浸させたシート)を巻き付けるための芯材である。
胴部2は、一端側に配置された第一基材4と、他端側に配置された第二基材5と、第一基材4と第二基材5とに挟まれた膨張部10と、を備えている。
【0021】
図4に示すように、第一基材4は、円柱状に形成され、第一接続部120を形成する部位である。
第二基材5は、一端から他端に向って縮径する円錐台部5aと、円錐台部5aの他端から他端側に延出する円柱部5bと、を備えている。円錐台部5aは、傾斜部140を形成する部位であり、円柱部5bは、第二接続部130を形成する部位である。
【0022】
第一基材4の他端面4aには、第一基材4よりも小径に形成された円柱状の第一突起4bが形成されている。円錐台部5aの一端面5cには、第一突起4bと同形状の第二突起5dが形成されている。
第一基材4と第二基材5との間には、第一基材4と第二基材5とを連結する連結棒6が設けられている。
連結棒6は、2つの棒部材を連結してなり、軸線O2方向に延在するとともに収縮可能となっている。また、連結棒6には、図示しないコイルバネが設けられており、作用する圧縮荷重が解除されると初期の長さに復帰するようになっている。
【0023】
図3に示すように、膨張部10は、軸線O2を中心とする円筒状の部品であり、外径が第一基材4と同一となっている。
膨張部10は、軸線O2方向に延在する複数の板状部材(外周面構成部材)11を備えている。複数の板状部材11は、軸線O2回りに隣接して並べられており、膨張部10の外周面を構成している。板状部材11は、軸線O2方向に圧縮されると撓む可撓性材料により形成されている。
板状部材11は、径方向の厚みが薄く形成されている。よって、板状部材11は、軸線O2方向の圧縮荷重が作用すると、径方向に向って撓むようになっている。
図5に示すように、板状部材11の両端部11aには、周方向に貫通する孔11bが形成されている。また、各板状部材11の孔11bにはワイヤ12が通されており、各板状部材11の両端部11aが結束されている。よって、各板状部材11は、分離せず一体となっている。
【0024】
図4に示すように、膨張部10の両端部11aは、第一基材4の他端面4aと第二基材5の一端面5cとに当接している。また、膨張部10の両端部11a内には、第一基材4の第一突起4bと第二基材5の第二突起5dが挿入されている。膨張部10は、第一基材4と第二基材5との間から脱落しないように挟持されている。
【0025】
図5に示すように、第一突起4bは、板状部材11の一端側の端部11aを超えて他端側に突出している。よって、第一突起4bは、板状部材11において、一端側の端部11aよりも他端側に位置する領域11cに当接している。
特に図示しないが、同様に、第二突起5dは、板状部材11の他端側の端部11aを超えて一端側に突出し、板状部材11における他端側の端部11aよりも一端側に位置する領域に当接している。以上から、各板状部材11は、内側に向って撓むことが規制される。
【0026】
次に第一実施形態のマンドレル1の動作例を説明する。
図6に示すように、マンドレル1は、軸線O2方向に圧縮する加重を加えることができる圧縮装置20に装着して使用するものである。なお、圧縮装置20は、後述する巻き付け工程(ステップS1)において、マンドレル1を軸線O2回りに回転させる機能も有している。
【0027】
圧縮装置20によりマンドレル1を圧縮させると、
図6に示すように、第一基材4と第二基材5とが近接する。第一基材4の他端面4aと第二基材5の一端面5cは、各板状部材11を軸線O2方向に圧縮する。そして、各板状部材11は外側に撓んで円弧状となる。結果、膨張部10は、軸線O2方向の断面形状が円弧状となり、端部よりも中央部が径方向外側に突出する。
【0028】
次に第一実施形態のマンドレル1を用いて、動力伝達軸101に用いられる管体102の製造方法について説明する。本実施形態では、管体102を形成する樹脂として熱硬化性樹脂を用いた場合を例に挙げて説明する。
図7に示すように、管体102の製造方法は、マンドレル1に材料を巻き付ける巻き付け工程(ステップS1)と、膨張部10を膨張させる膨張工程(ステップS2)と、樹脂を硬化させる硬化工程(ステップS3)と、マンドレル1を管体102から引き抜く脱芯工程(ステップS4)と、を備えている。
【0029】
(巻き付け工程)
図8に示すように、巻き付け工程(ステップS1)は、マンドレル1を圧縮装置20に装着し、マンドレル1の外周面に離型剤を塗布する。そして、圧縮装置20を駆動させてマンドレル1を回転させる。次に、管体102を形成する材料をマンドレル1の外周側に巻き付けて中間生成物21を形成する。
【0030】
管体102を形成する材料は、樹脂を含浸した連続炭素繊維又はプリプレグ(炭素繊維に樹脂を含浸させたシート)が挙げられる。つまり、マンドレル1は、フィラメントワインディング法又はシートワインディング法に利用することができる。
【0031】
本実施形態の巻き付け方法は、マンドレル1を回転させて樹脂を含浸した連続炭素繊維をマンドレル1に巻き付け、第一成形体を形成する。次に、マンドレル1を引き続き回転させて第一成形体の外周にプリプレグを巻き付ける。よって、管体102は、フィラメントワインディング法とシートワインディング法との2つの工法を取り入れられて製造されている。
ここで、フィラメントワインディング法によって製造される第一成形体は、繊維(炭素繊維)の連続性が保たれるため機械的強度(特にねじり強度)が高い。
一方、シートワインディング法によれば、マンドレルの軸線方向に延在するように炭素繊維を配置することができ、軸線O1方向に高弾性化した第二成形体を製造できる。
つまり、上記した製造方法によれば、管体102の内部で、軸線O1回りに巻回された繊維からなる繊維層と、軸線O1方向に延在する繊維からなる繊維層と、が積層しており、機械的強度が高く、かつ、軸線O1方向に高弾性化した管体2を製造できる。
なお、周方向に配向する繊維としてPAN系(Polyacrylonitrile)繊維が好ましく、軸線O1方向に配向する繊維としてピッチ繊維が好ましい。
【0032】
当該巻き付け工程(ステップS1)の終了時、
図8に示すように、マンドレル1の外周側には、マンドレル1の外周形状に沿った筒状の中間生成物21が形成される。
中間生成物21は、第一基材4に形成された中間第一接続部22と、膨張部10に形成された中間本体部23と、円錐台部5aに形成された中間傾斜部24と、円柱部5bに形成された中間第二接続部25と、を備えている。
また、巻き付け工程(ステップS1)では、中間生成物21の径方向の厚みW1に関し、各部位において均一となるように形成されている。
なお、マンドレル1にプリプレグを巻き付ける際、プリプレグをローラでマンドレル1に押圧しながら巻き付けてもよい。
【0033】
(膨張工程)
膨張工程(ステップS2)では、
図9に示すように、まず圧縮装置20を駆動させてマンドレル1を軸線O2方向に圧縮する。これにより、膨張部10が膨張し、いわゆる樽形状(バレル形状)となる。よって、中間本体部23は、膨張部10の形状に倣って膨張する。この結果、中間本体部23の軸線O2方向の断面形状は、円弧状となり、両端部から中央部に向うに連れて外側に突出している。
そして、膨張部10は、両端部よりも中央部の方が大きく径方向外側に膨らむことから、中間本体部23の厚みW2は、両端部23aから中央部23bに向うに連れて次第に薄くなる。
【0034】
(硬化工程)
特に図示しないが、硬化工程(ステップS3)は、マンドレル1の圧縮状態を保持しながら、加熱装置により中間生成物21を所定温度で加熱して樹脂を硬化させ、樹脂を成形する工程である。所定温度とは、使用する熱硬化性樹脂によって異なり、大凡130°〜180°である。
【0035】
(脱芯工程)
脱芯工程(ステップS4)は、マンドレル1の圧縮状態を解除する。これにより、連結棒6の図示しないコイルばねの付勢力により連結棒6が伸張し、第一基材4と第二基材5とが離間する。
よって、膨張部10を軸線O2方向に圧縮する荷重が解除され、各板状部材11が直線状となり、膨張部10は円筒状に復帰する。
次に、
図10に示すように、マンドレル1の第一基材4を管体102の第一接続部120から引っ張り出す。これにより、連結棒6を介して第一基材4と連結する第二基材5と、第二基材5の一端面5cに当接する膨張部10も引っ張り出される。
そして、管体102の第一接続部120から膨張部10と第二基材5とを引き抜いたら、脱芯工程(ステップS4)が終了となる。
【0036】
以上から、第一実施形態のマンドレル1によれば、両端部よりも中央部が径方向外側に膨らんだ本体部110を備えた管体102を製造することができる。
また、本実施形態によれば、マンドレル1を壊すことなく管体102から脱芯することができる。つまり、マンドレル1を繰り返し使用することができ、コストを低減することができる。
【0037】
なお、第一実施形態においては、熱硬化性樹脂を用いているが、本発明は、熱可塑性樹脂を用いてもよい。また、熱可塑性樹脂を用いた場合には、巻き付け工程(ステップS1)前に、熱可塑性樹脂を溶融状態とするために加熱工程が必要となる。さらに、硬化工程(ステップS3)では、樹脂を硬化させるために冷却する必要がある。
【0038】
[第二実施形態]
次に第二実施形態のマンドレル201について説明する。
第二実施形態のマンドレル201は、軸線O2方向への引っ張り荷重を作用させることができる引っ張り装置220に装着して使用するものである。
図11に示すように、第二実施形態のマンドレル201は、略円柱状の胴部202と、胴部202の両端から突出する一対の軸部203と、を備えている。
胴部202は、円柱状の第一基材204と、円錐台部205a及び円柱部205bが形成された第二基材205と、第一基材204と第二基材205とに挟まれた膨張部210と、を備えている。
【0039】
第一基材204の他端面204aには、円柱状の第一突起204bが形成されている。円錐台部205aの一端面205cには、円柱状の第二突起205dが形成されている。
図12に示すように、第一突起204bの外周面には、径方向内側に窪む係止溝204cが形成されている。
同様に、
図11に示すように、第二突起205dの外周面にも、径方向内側に窪む係止溝205eが形成されている。
【0040】
第一基材204と第二基材205との間には、軸線O2方向に延在して第一基材204と第二基材205とを連結する連結棒206が設けられている。
連結棒206は、2つの棒部材を連結してなり、軸線O2方向に伸張可能となっている。連結棒206には、図示しないコイルバネが設けられており、伸張荷重が解除されると初期の長さに復帰するようになっている。
【0041】
膨張部210は、軸線O2方向に延在する複数の板状部材(外周面部材)211を軸線O2回りに隣接して並べることで構成されている。板状部材211は、円弧状に形成され、中央部が径方向外側に向って突出するように配置されている。以上から、膨張部210は、両端部よりも中央部が径方向外側に向って突出する樽形状(バレル形状)となっている。
板状部材211は、弾性変形可能な材料で形成されている。よって、板状部材211に軸線O2方向への引っ張り荷重が作用すると、板状部材211は直線状となる(
図13参照)。そして、作用していた軸線O2方向への引っ張り荷重が解除されると、板状部材211は円弧状に復帰する。
【0042】
図12に示すように、板状部材211の両端部211aには、孔211bが形成されてワイヤ212が通されている。よって、各板状部材211の両端部211aはワイヤ212に結束されて一体となっている。
板状部材211の両端部211aには、第一基材204の係止溝204cと第二基材205の係止溝205eに係止する突起213が形成されている。よって、引っ張り装置220の引っ張り荷重によって第一基材204と第二基材205とが軸線O2方向に離間すると、板状部材211の両端部211aに設けられた突起213が第一基材204の係止溝204cと第二基材205の係止溝205eに係合し、板状部材211が軸線O2方向に引っ張られる。結果、
図13に示すように、各板状部材211が直線状となり、膨張部210が円筒状となる。
【0043】
次に第二実施形態のマンドレル1を用いた管体102の製造方法について説明する。管体102の製造方法は、巻き付け工程(ステップS1)と、膨張工程(ステップS2)と、硬化工程(ステップS3)と、脱芯工程(ステップS4)と、を備えている(
図7参照)。以下、第一実施形態の製造方法との相違点に絞って説明する。
【0044】
巻き付け工程(ステップS1)において、引っ張り装置220でマンドレル201を引っ張り、膨張部210を樽形状(バレル形状)から円筒状に変形させる(
図13参照)。
膨張工程(ステップS3)においては、マンドレル201に作用する引っ張り荷重を解除する。これにより、連結棒206の図示しないコイルばねの付勢力により連結棒206が収縮する。この結果、膨張部210が膨張して樽形状となる(
図11参照)。この結果、マンドレル201に形成された中間生成体の中間本体部も膨張して樽形状となる。
また、膨張部210は両端部よりも中央部の方が大きく径方向外側に膨らむことから、中間本体部の厚みは、第一実施形態と同様に、両端部から中央部に向うに連れて次第に薄くなる(
図9のW2を参照)。
さらに脱芯工程(ステップS4)において、再度マンドレル201に引っ張り荷重を作用させて、膨張部210を円筒状にする(
図13参照)。そして、引っ張り荷重が作用した状態を保持させながら、管体102の第一接続部120の内部からマンドレル201を引き抜き、管体102が製造される。
【0045】
以上から、第二実施形態のマンドレル201によれば、両端部よりも中央部が径方向外側に膨らんだ本体部110を備えた管体102を製造することができる。
【0046】
[第三実施形態]
次に第三実施形態のマンドレル301について説明する。
第三実施形態のマンドレル301は、後述する第一スライド部316a及び第二スライド部317aを軸線O2方向に移動させることができるスライド装置320に装着して使用するものである。
【0047】
図14に示すように、第三実施形態のマンドレル301は、略円筒状の胴部302と、胴部302の両端から突出する筒状の一対の軸部303と、を備えている。
胴部302は、円柱状の第一基材304と、円錐台部305a及び円柱部305bが形成されたた筒状の第二基材305と、第一基材304と第二基材305とに挟まれた膨張部310と、膨張部310を膨張させる可動部315を備えている。
【0048】
第一基材304と第二基材305と間には、軸線O2方向に沿って延在する連結棒306が配置されている。連結棒306の両端は、第一基材304及び第二基材305内に入り込むとともに、第一基材304及び第二基材305の内周面に接続し、第一基材304と第二基材305とが一体になっている。
【0049】
膨張部310は、第一基材304に連結する複数の第一板状部材311と、第二基材305に連結する複数の第二板状部材312と、第一板状部材311の他端部と第二板状部材312の一端部を連結するリング部材313を備えている。第一板状部材311と第二板状部材312とは、周方向に交互に配置されており、膨張部310は円筒状となっている。また、第一板状部材311と第二板状部材312とは、可撓性を有する材料により形成されている。
【0050】
第一板状部材311の一端側は、第一基材304に回転自在に連結し、第一板状部材311が径方向に傾倒自在となっている。また、第一板状部材311の他端側には、周方向に貫通し軸線O2方向に長く形成された第一長孔311aが形成されている。
また、第二板状部材312の他端側は、第二基材305に回転自在に連結し、第二板状部材312が径方向に傾倒自在となっている。また、第二板状部材312の一端側には、周方向に貫通し軸線O2に長く形成された第二長孔312aが形成されている。
【0051】
リング部材313は、環状部品であり、各第一長孔311aと各第二長孔312aを貫通している。また、リング部材313は、軸線O2方向に幅広に形成され帯状となっている。このため、第一板状部材311の他端部と第二板状部材312の一端部とは、軸線O2方向にスライド自在に連結されているものの、リング部材313を起点とする回転が規制されている。
なお、本実施形態では、第一板状部材311と第二板状部材312とリング部材313とが請求項に記載される「可撓性を有し、かつ、軸方向に伸縮自在な伸縮部材」に相当する構成である。
【0052】
可動部315は、第一駆動部316と第二駆動部317とを備えている。
第一駆動部316は、連結棒306にスライド自在に組み付けられた第一スライド部316aと、第一スライド部316aとスライド装置320とを連結する第一スライド棒316bと、第一スライド部316aと第一板状部材311とを連結する第一連結部316cとを備えている。第一連結部316cは、軸方向に対し傾倒しているとともに、両端が第一スライド部316aと第一板状部材311とのそれぞれに回転自在に接続している。
【0053】
第二駆動部317は、連結棒306にスライド自在に組み付けられた第二スライド部317aと、第二スライド部317aとスライド装置320とを連結する第二スライド棒317bと、第二スライド部317aと第二板状部材312とを連結する第二連結部317cとを備えている。第二連結部317cは、軸方向に対し傾倒しているとともに、両端が第二スライド部317aと第二板状部材312とのそれぞれに回転自在に接続している。
【0054】
次に第三実施形態のマンドレル301の動作例を説明する。
スライド装置320を駆動させて、第一スライド部316aを一端側にスライドさせるとともに、第二スライド部317aを他端側にスライドさせる。
これによれば、
図15に示すように、第一連結部316cが第一板状部材311の他端側を径方向外側に押圧し、第一板状部材311が径方向外側に傾倒する。
同様に、第二連結部317cが第二板状部材312の他端側を径方向外側に押圧し、第二板状部材312が径方向外側に傾倒する。
一方で、第一板状部材311の他端部と第二板状部材312の一端部は、リング部材313により回転しないように規制されているため、第一板状部材311の他端側と第二板状部材312の一端側は、軸線O2方向との平行を維持する。
よって、第一板状部材311及び第二板状部材312のそれぞれは、撓んで円弧状となる。結果、膨張部310は、軸線O2方向の断面形状が円弧状となり、両端部よりも中央部が径方向外側に突出する。
【0055】
以上から、第三実施形態のマンドレル301によれば、両端部よりも中央部が径方向外側に膨らんだ本体部110を備えた管体102を製造することができる。
なお、本実施形態の膨張部310は、第一板状部材311と第二板状部材312とリング部材313により構成されているが、一方が第一基材304に接続し、他方が第二基材305に連結する二重管であってもよい。
【0056】
[第四実施形態]
次に第四実施形態のマンドレル401について説明する。
第四実施形態のマンドレル401は、流体を供給することができる流体供給装置420に装着して使用するものである。
図16に示すように、第四実施形態のマンドレル401は、胴部402と、胴部402の両端から突出する一対の軸部403と、を備えている。
胴部402は、円筒状の第一基材404と、円錐台部405a及び円柱部405bが形成された第二基材405と、第一基材404と第二基材405とに挟まれた筒状の弾性部材409と、を備えている。
【0057】
第一基材404の他端側の外周面には、径方向内側に窪む凹面404aが形成されている。第二基材405において、円錐台部405aの一端部の外周面に、径方向内側に窪む凹面405cが形成されている。
一対の軸部403と第一基材404と第二基材405とには、流体供給装置420から膨張部410内に流体を供給するための供給孔407が形成されている。
【0058】
弾性部材409は、円筒状の膨張部410と、膨張部410の一端側に位置し第一基材404の凹面404aに外嵌される第一固定部411と、膨張部410の他端側に位置し第二基材405の凹面405cに外嵌される第二固定部412と、を備えている。
第一固定部411は、第一基材404と協働して第一接続部120を形成する。第二固定部412は、第二基材405の円錐台部405aと協働して傾斜部140を形成する。また、第一固定部411と第二固定部412は、図示しない接着剤により第一基材404及び第二基材405に接着されている。
【0059】
次に第四実施形態のマンドレル401の動作例を説明する。
流体供給装置420を駆動させて膨張部410内に流体を供給する。これにより、
図17に示すように、膨張部410は、内圧が上昇して径方向外側に膨張する。特に、第一基材404及び第二基材405から離れている膨張部410の中央部が径方向外側に膨張する。この結果、膨張部410は、軸線O2方向の断面形状が円弧状となり、端部よりも中央部が径方向外側に突出する。
【0060】
以上から、第四実施形態のマンドレル401によれば、両端部よりも中央部が径方向外側に膨らんだ本体部110を備えた管体102を製造することができる。
【0061】
以上、各実施形態について説明したが、本発明は実施形態で説明した例に限定されない。例えば、第一実施形態の膨張部10、第二実施形態の膨張部210、及び第三実施形態の膨張部310は、第一実施形態において板状部材11が径方向外側に撓んだ場合、各板状部材11の間に隙間が形成される。よって、中間生成体の内周側を均一に押圧できないおそれがある。このような場合においては、マンドレルに対し、膨張部の外周面を被覆するゴム膜をさらに設けてもよい。これによれば、各板状部材11の間の隙間を埋められて中間生成体の内周側を均一に押圧することができる。
【0062】
また、第一基材及び第二基材の円柱部の外形を断面視で多角形状に形成してもよい。これによれば、第一接続部120及び第二接続部130の断面形状が多角形状に形成される。よって、別途に第一接続部120及び第二接続部130を多角形状に成形する手間を省くことができる。
【0063】
また、各実施形態の膨張部10,210,310、410の外周側に環状の弾性部材を巻き付けて、膨張部10,210,310、410の膨張量を抑えるようにしてよい。
【0064】
また、マンドレルによって製造される管体は、上記したものに限定されない。例えば、傾斜部に関し、板厚が本体部110側(前側)の端部から第二接続部130側(後側)の端部に向かうに連れて漸次薄くなっていてもよい。これによれば、傾斜部のうち後端部の板厚が最も薄くなり、傾斜部の後端部が脆弱部を構成する。若しくは、本発明の傾斜部は、外周面又は内周面に凹部を設けて一部区間の板厚を変化させて脆弱部を形成してもよい。